砂糖の秘密∼食品を保存

楽しい実験、工作
家庭にあるものを使った実験を紹介
(しょうかい)
し、身近な現象に興味、関
心を持たせるコーナーです。
砂糖の秘密∼食品を保存
あま
甘いだけじゃない!
? 砂糖の意外な働きと役割
甘いお菓子や飲み物。私たちの周りには、砂糖を使っている物がたくさ
んあります。特に長崎は、昔から砂糖をよく使用しています。甘いだけでな
く、食材のうま味を増加させておいしさをアップさせる働きもあります。
その
ほか、砂糖に含(ふく)
まれているブドウ糖は、脳のエネルギーになり、
白砂
糖は胃腸に働きかけて痛みを緩和(かんわ)
させる働きもあるそうです
(使
用量を考える必要があります)。
さらに、砂糖は塩と同じように、昔から
食品を保存するためにも利用されてきま
した。
ジャムやシロップ漬けなどがありま
す。今回は、砂糖が食品を保存するため
に利用される理由について説明します。
食品が腐(くさ)る理由
食品が腐ったり痛んだりするのは、腐敗菌(ふはいきん)
が原因です。私たちが生きていくために
水分が必要なように、腐敗菌などの微生物(びせいぶつ)
も水分が必要です。
その水分は、食品
中に含まれている水分を利用。
微生物が利用できる水分を少なくすれば、
腐敗菌の活動を妨
(さま
た)
げ、
微生物などが増えるのを防ぎ、
食品を保存することができます。
つまり食品の中にある水分(自由水)
を少なくすれば良いのです。
その方法として、乾燥(かんそ
う)
させる方法や、熱して水分を飛ばす方法などが知られています。
ジャムなどは、水分をどんどん飛
ばして糖分の濃度
(のうど)
を高くしているので、
長期間保存ができるのです。
※食品の中には、食品成分に結合していて、微生物には利用できない水分(結合水)
もあ
ります。
砂糖を利用する理由
砂糖には水に溶(と)
けやすい性質(親水性=水に結びつきやすい性質)
があります。水を抱
(かか)
え込(こ)
んで水の分子が自由に動くことを妨(ふせ)
ぎます。言い換(か)
えるならば、砂糖
が水分と結びついて
(結合水ができて)、酸素が溶けにくくなり、酸化防止につながるのです。
食品中の砂糖の濃度を、
60から65%にすると、腐敗菌は体の水分が奪(うば)
われてしまい生
きていけなくなります。昔の人たちは、
こういったことを経験から学んで、利用していたのです。
砂糖の歴史
以前(3月22日付)、
「べっこう飴(あめ)」
の時にも紹介しましたが、砂糖は奈良時代に鑑真和
尚が日本に持ち込んだと言われています。
インドの砂糖の技術が地中海沿岸に広がり、
ベネチア
に集中。
11から13世紀にかけて、十字軍の騎士(きし)
たちによって広く知られるようになりまし
た。貴重なため薬として使われ、食物の保存に使うことができたのは、王侯(おうこう)
や貴族などが
中心でした。海外の植民地から安価の砂糖を手に入れることができるようになって、現在のように
食物の保存にも使われるようになりました。
やってみよう
イチゴジャム
にヘタをとったイチゴと砂糖(イチゴの重さの3分の1以上)
を
1 鍋(なべ)
入れ、
1晩おく。水分が出てきて、調理しやすくなります。
この時、
出てきた水分を取り除く。
2 弱火で煮込む。
※取り除いた水分は、甘いので、炭酸水で割るとおいしい飲み物になります。
この時、
イチ
ゴをつぶしながら作業します。
つぶし具合は、各人の好みで。
レモン汁を少し入れるのもお
すすめです。
次のような方法もあります。
(イチゴの重さの3分の1以上)
を耐熱(たいねつ)容器に入れ、
1 ヘタをとったイチゴと砂糖
ふたなどをしないでレンジで5分加熱する。
2 取り出して、
スプーンなどでつぶしながら混ぜる。
さらにレンジで3分加熱する。
3 取り出して、
2 を繰り返す。
アクを取り、
ちょうど良いとろみになるまで 4 取り出して冷ます。
ミカンなど、
いろいろな物で挑戦してみてください。
教えてくれた人 長崎市科学館 科学教育グループ 岩倉範壽さん
「長崎市科学館では7月4日18時半からプラネタリウムの夕べ『七夕コンサート』
(要予約、
高校生以上510円、
3歳∼中学生250円)
を開催します。活水女子大学音楽学部による
美しい合唱や演奏とともに満天の星空を楽しむことができます。参加希望の人は電話で科
学館までお問い合わせください」
所 長崎市油木町7−2 ☎ 095・842・0505 開 9時半∼17時