北欧で大問題! 冬期のダニ・カビ対策

住まいの快適を支える
空
換
調 (5) 気
と
冬に問題になるインフルンザウィルスは、相対湿度が40%以
下になると猛繁殖します。
とくに抵抗力の弱い老人や乳幼児に
とって、
冬場の加湿がいかに重要であるかが分かりますね。一方、
夏のダニ・カビ対策は、
相対湿度を60%以下に抑えること。つまり、
北欧で大問題!
冬期のダニ・カビ対策
微生物が繁殖しにくい40%から60%の間に相対湿度を保てれば、
快適で健康な生活をすることができるのです。
除加湿機能付きの空調換気システム
こそが…
冬期加湿をし、
夏期に除湿をして相対湿皮を40%から60%の
高気密健康住宅研究所 鵜野 日出男
国立保険医療科学院の池田耕一建築衛生部長は「ヨーロッパでは化学物質過敏症の時代はすでに終わっている。
いま空気質で問題になっているのはダニ・カビ対策である」と3年前から提言されています。
ただし、
日本と違って問題は夏ではなく冬なのです。
化学物質が問題になっているのは
日本だけ
夏ムシムシ、冬カラカラは日本独自
そこで、
東京とほぼ同緯度の都市とヨーロッパの主要都市に
ご存知のように、
日本ではホルムアルデヒドなど化学物質の影
ついて、
月別の平均気温と相対湿度を調べてみました(図1)。
響から消費者を守るために建築基準法が改正され、
すべての
ご覧のように、
パリとかミュンヘンは夏の平均気温は20℃にもなり
住宅に機械換気が義務づけられました。この1年間は、
換気と
ません。これに対して東京は28℃と10℃も高いのです。
間に維持してゆける住宅を提供してゆくことは、
これからの日本
ダニは相対湿度50%、
カビは60%を突破すると急増
をきちんとコントロールするには、
隙間だらけの住宅ではダメです。
図3は、
全米冷凍空調学会が発表した相対湿度と微生物の
どうしても相当隙間面積が1㎠以下の高気密住宅でなければな
活動との相関関係を示す図。バクテリア、
ウイルス、
ダニ、
カビな
りません。
ど微生物の活動は相対湿度に大きく関わっていることが分かり
そして、除加湿機能付きの空調換気システムの技術開発と
ます。
の建築業界に課せられた最大の課題のひとつです。相対湿度
普及も重要な課題。空調技術に対する期待は、
ますます大きく
なっているといえるでしょう。
ホルムアルデヒドで明け暮れた感があります。そんなわけですか
ら、
欧米でも化学物質に対する研究が盛んで、
学会では環境ホ
ルモンなどに関する議論が花盛りのように思ってしまいます。
ところが、
室内空気質についての日本の第一人者である前出
の池田耕一氏は「ヨーロッパでは住宅で化学物質が問題にな
る時代は終わっている。いま問題になっているのはダニとカビ。
空気質は化学から建築の問題に変わってきている」
と3年前か
ら断言していました。
ドイツ在住の医師も同じ指摘を
「こちらで今、
大問題になっているのは、
ダニとカビです」。
さらに驚いたのは、
相対湿度の年間変化(図2)。ほとんどの
といった話は、
5年前、
ドイツ在住の荒武さんという医師からも聞
都市が、
∨の型なのに対し東京だけが∧の型。つまり、
東京に
きました。
ドイツは日本よりもはるかに緯度が高く、
夏はエアコンも
代表されるように、
日本の都市は「夏期の高温多湿」
と
「冬期の
ほとんど必要ないほど。
異常乾燥」
という世界に例のないハンディを背負っているのです。
「日本のように高温多湿でもないのに、
どうしてダニ、
カビが問
冬期の乾燥の原因は、
湿ったシベリア寒気団が日本アルプス
題になるのですか」
と尋ねたところ、
意外な答えが…。
に遮られて日本海側に大量の雪を降らせ、
カラカラに乾燥した
「ダニ、
カビが問題になるのは夏ではなく冬です。
ドイツの冬は
風がフェーン現象として太平洋側に吹き込むためです。
「火事
毎日が曇天か雨。相対湿度が高い。そのうえ全館24時間暖房
と喧嘩は江戸の花」といわれた江戸時代の大火も、
ほとんどが
が普及してきたために、
冬期がダニ、
カビにとって生存の最適期
冬期に発生しているのです。
間となったのです。夏期は相対湿度も温度も低いため、
ダニやカ
ビはほとんどいないのですよ」。
10
11