Q12(PDF版)

Q12
Horm Front Gynecol 3(2)1996
A 12
エストロゲン依存性疾患である子宮筋腫や子宮内膜症に対する薬物
治療の基本は,当然エストロゲンの分泌を抑制することにあります。GnRHアナロ
グ剤による治療はこれに沿った治療法といえます。
したがって,この治療法による効果の指標となるのは,①血中エストラジオール
(E2)値がよいこと,になりますが,これに関連した指標として,②血中ゴナドトロ
ピン
(LH,FSH)値,③排卵の有無(たとえばBBT)
,が挙げられます。血中ゴナド
トロピン値は,GnRHアナログ剤投与により直接抑制されますので,最も早くに判
定できる指標です。またBBTによる排卵の有無の判定を行うことは,ゴナドトロピ
ンやエストロゲン分泌が抑制された結果を現しています。
また,本剤の治療によりエストロゲン分泌が抑制され,対象となる疾患や症状
が改善されますので,次なる指標として,④腫瘤の大きさ,⑤症状,があります。
腫瘤の大きさを推定するのには,超音波断層法,CT,MRIがありますが,頻回に
行うためには簡便性から超音波断層法がよく使用されています。
さらに,エストロゲン分泌が抑制されたために起こるエストロゲン欠落症状で
ある⑥ほてり,発汗,も指標になりますが,客観性に欠けますし,別のエストロゲ
ン欠落症状である骨塩量減少は感度や測定上での問題もあります。
したがって,GnRHアナログ剤を使用した治療を行う際の指標としては,血中
E2値以外に,血中ゴナドトロピン値と腫瘤の大きさがよいと思われます。
(三宅 侃)
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