Agilent B1505A クイック・スタート/ デモ・ガイド (10 kV/1500 A対応) N1265A UHCエクスパンダ/ フィクスチャ N1266A HVSMU電流エクスパンダ N1268A UHVエクスパンダ ご注意 マニュアル・パーツ番号 © Agilent Technologies, Inc. 2012 B1505-97060 米国および国際著作権法の規定に基づき、 Agilent Technologies, Inc.による事前の 同意と書面による許可なしに、本書の内容 をいかなる手段でも (電子的記憶および読 み出し、他言語への翻訳を含む)複製する ことはできません。 版 2012年11月 Agilent Technologies 5301 Stevens Creek Blvd Santa Clara, CA 95051 USA 保証 本書に記載した説明は「現状のまま」で提 供されており、改訂版では断りなく変更さ れる場合があります。また、アジレント・ テクノロジー株式会社 (以下「アジレント」 という)は、法律の許す限りにおいて、本 書およびここに記載されているすべての情 報に関して、特定用途への適合性や市場商 品力の黙示的保証に限らず、一切の明示的 保証も黙示的保証もいたしません。アジレ ントは本書または本書に記載された情報の 適用、実行、使用に関連して生じるエラー、 間接的及び付随的損害について責任を負い ません。アジレントとユーザが別途に締結 した書面による契約の中で本書の情報に適 用される保証条件が、これらの条件と矛盾 する場合、別途契約の保証条件が優先され ます。 テクノロジー・ライセンス 本書に記載されたハードウエア及びソフト ウエア製品は、ライセンス契約条件に基づ き提供されるものであり、そのライセンス 契約条件の範囲でのみ使用し、または複製 することができます。 制限付き権利の説明 本ソフトウェアが米国政府の主契約者また は下請契約者によって使用される場合、本 ソフトウェアは、DFAR 252.227-7014 (1995年6月)に定められた“Commercial computer software”、またはFAR 2.101 (a)に定められた“commercial item”と (1987年6月) して、またはFAR 52.227-19 2 またはそれに相当する政府機関の規制また は契約条項に定められた“Restricted computer software”として提供され、ラ イセンスされます。本ソフトウェアの使用、 複製、または公開は、Agilent Technologiesの標準商用ライセンス条件 に従う必要があり、米国政府の国防総省以 外の機関に与えられる権利は、FAR 52.227-19(c) (1-2) (1987年6月)に定めら れたRestricted Rightsを超えることはあ りません。あらゆる技術データに関して米 国政府のユーザに与えられる権利は、FAR 52.227-14(1987年6月)またはDFAR 252.227-7015(b) (2) (1995年11月)に定め られたLimited Rightsを超えることはあり ません。 警告 本機器の動作には高電圧が使用されています。 安全のための注意事項をすべて遵守しないと、 測定端子に触れることで致命的な感電事故が 起きるおそれがあります。 ● 赤いインジケータが点灯している場合、致命的な電圧(±10 kV DC/パルス) が測定端子に存在する可能性があります。 ● 通常はインターロック機能を使用してください ● 本機を操作する際には、本機の操作と危険についての知識があり、救命措置 を実施できる人が必ず近くにいるようにしてください。 ● 場合によっては、±500 V以下の電圧でも死亡事故につながるおそれがあり ます。このため、十分な予防措置を常に実施する必要があります。 3 はじめに Agilent B1505Aパワー・デバイス・アナライザ/カーブトレーサは、パワー・ デバイスの測定と特性評価のための強力なツールです。 このクイック・スタート/デモ・ガイドは、1500 Aおよび10 kVまでのハイパ ワー・デバイスが対象で、B1505Aのハイ・パワー測定と独自の機能の詳細手 順を紹介しています。 本書では、各テストに対して、テスト機器へのケーブル接続とテストのパラメー タ設定を詳細に説明しているので、ガイドに従って簡単にテストを設定して実 行できます。 このB1505Aデモ・ガイドのターゲット・システムは、新登場の超大電流ユニッ ト(UHCU)、高電圧中電流ユニット (HVMCU)、超高電圧ユニット (UHVU)で 構成されています。 本書で取り扱う範囲 • 測定器からデバイス端子へのケーブル接続 • 測定パラメータのテスト・セットアップおよびデータの抽出方法 • B1505Aに搭載され、B1505Aのすべての制御を提供するEasyEXPERTソフ トウェアを使用したテストの実行と解析 ハイパワー・デバイスの測定には、デバイスと測定器の両方の専門知識が必要 な場合があります。 例えば、UHCUとHVMCUは、出力ポートに直列抵抗があります。これは市販 のカーブ・トレーサと同様であり、指定された電圧/電流値をそのまま出力す るSMUと比べて、多少異なる出力電圧/電流特性を示します。 パルスド・テストでの超大電流測定では、測定ケーブルの寄生インダクタンス と測定ケーブル間の浮遊容量によって、電圧/電流波形に歪みが生じやすくな ります。大電流動作領域では、デバイスが発振しやすくなる場合もあります。 このような影響により、予期しないテスト・データや疑わしいテスト・データ になることがあります。 B1505Aには、このような問題に対処するためのさまざまな機能があります。 このデモ・ガイドでは、これらの機能について説明しています。 このデモ・ガイドに記載されたセットアップ手順と測定手順を実行することに より、正確な測定が行えます。 4 目次 第1章 B1505Aの概要 1-1. Agilent B1505Aパワー・デバイス・アナライザ/カーブトレーサ 8 - 各モジュールの出力レンジ 1-2. Agilent N1265A超大電流エクスパンダ/フィクスチャ 11 1-3. UHCUおよびHVMCUの出力抵抗の影響 12 1-4. EasyEXPERTソフトウェア 14 ● トレーサ・テスト ● アプリケーション・テスト ● クラシック・テスト ● クイック・テスト 第2章 測定の準備 2-1. B1505Aを使用する前に 19 2-2. デモで使用する測定器とアクセサリ 20 2-3. デモで使用するデバイス 23 2-4. B1505Aとエクスパンダ/フィクスチャ間のケーブル接続 24 2-5. B1505Aの起動 30 2-6. EasyEXPERTリビジョンA.05.00用アプリケーション・テスト・ ライブラリの更新 第3章 デモ1:Vth測定 37 38 B1505AとEasyExpertのテスト操作の概要 第4章 デモ2:UHCUトレーサ・テスト 50 トレーサ・テスト・モードを使用したUHCUによる超大電流測定 デモ2-1. トレーサ・テストによるId-Vd測定 55 デモ2-2. オシロスコープ・ビューによるId-Vdトレーサ・テスト 65 デモ2-3. Rdsオン特性 71 デモ2-4. トレーサ・テストによるIGBT Ic-Vc測定 78 デモ2-5. IGBT VCE(sat)特性 81 第5章 デモ3:UHCUアプリケーション・テスト 85 UHCU:アプリケーション・テスト・モードによるId-Vg/Ic-Vg伝達特性 デモ3-1. Id-Vg伝達特性(アプリケーション・テスト) 88 デモ3-2. Ic-Vg伝達特性(アプリケーション・テスト) 92 5 第6章 デモ4:HVSMU/HVMCU Idss/Vdssを使用した高電圧測定および 高電圧中電流Id-Vd特性 95 デモ4-1. HVSMUを使用したIDSSおよびBVDSSデモ 102 デモ4-2. HVMCUを使用したId-Vd 1.1 A/2.2 kVおよび2.5 A/1.5 kVデモ 110 第7章 デモ5:高電圧CV測定 115 デモ5-1. 低電圧Cdg測定(40 V) 127 デモ5-2. 高電圧Cdg測定(1.5 kV) 130 デモ5-3. Cds、Coss、Cgs測定のテスト・フィクスチャ接続 132 第8章 デモ6:UHVUによる10 kV測定 134 デモ6. 高電圧ダイオード・ブレークダウン・テスト 第9章 デモ7:温度トリガ機能 145 デモ7. 温度トリガを使用したVthドリフト測定 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 156 自動パラメータ抽出: 第11章 デモ9:レポート作成 162 PCでのデータ解析 B1505Aをオフにするには 付録 172 173 付録1. EasyEXPERTリビジョンA.05.00用アプリケーション・テスト・ライブラリ の更新 A1-1. AgilentのWebサイトからのサンプル・ファイルセットのダウンロード A1-2. Vth測定アプリケーション・テストの変更 180 付録2. Desktop EasyEXPERTソフトウェア 6 付録3. B1505Aデモ品を返却する前に 182 A3-1. 測定データの保存 A3-2. ワークスペースと測定データの削除 付録4. B1505Aデモ品の返却 185 第1章 B1505Aの概要 第1章 B1505Aの概要 N1268A超高電圧エクスパンダ B1505Aパワー・デバイス・ N1265A超大電流エクスパンダ/フィクスチャ N1266A HVSMU電流エクスパンダ アナライザ/カーブトレーサ 目的 この章では、B1505Aを使用する前に知っておいたほうがよいB1505Aに関す る基本情報を提供しています。 B1505Aのハイ・パワー・レンジを十分に活用するには、比較的複雑なシステ ム構成が必要です。 こ の 章 の 目 的 は、 測 定 を 成 功 さ せ、 測 定 結 果 を 理 解 す る た め に 不 可 欠 な、 B1505Aのテスト・コンポーネントの基本情報を提供することです。 この章の内容は以下のとおりです。 1 Agilent B1505Aパワー・デバイス・アナライザ/カーブトレーサ - B1505Aテスト・モジュールの情報 - B1505A全体での出力電圧/電流レンジ - 各テスト・モジュールの出力電圧/電流レンジ 2. Agilent N1265A超大電流エクスパンダ/フィクスチャ - 内蔵テスト・モジュール・セレクタ 3. UHCUおよびHVMCUの出力抵抗の影響 - 出力抵抗の影響 - SMU(出力抵抗なし)との違い 4 EasyEXPERTソフトウェア EasyEXPERTソフトウェアには以下の4つのテスト・モードがあり、各テス ト・モードには固有の機能があります。本書では各モードの重要なポイント を紹介しています。 • トレーサ・テスト • アプリケーション・テスト • クラシック・テスト • クイック・テスト 7 第1章 B1505Aの概要 1-1. Agilent B1505Aパワー・デバイス・アナライザ/カーブトレーサ Agilent B1505Aパワー・デバイス・アナライザ/カーブトレーサは、最大 1500 Aおよび10 kVまでの最先端のハイパワー・デバイスの測定を目的として 設計されています。またB1505Aには専用のMS Windows®アプリケーション・ プログラムであるEasyEXPERT測定ソフトウェアが搭載されています。 B1505Aメインフレームは、10 fA ∼ 1500 A、2 μV ∼ 10 kVの広い範囲でパ ワー・デバイスを測定できます。さらに、3,000 VのCV測定機能も備えています。 N1265A超大電流エクスパンダ、N1266A HVSMUエクスパンダ、N1268A超 高電圧エクスパンダを使用すれば、出力レンジを1500Aおよび10 kVまで拡張 できます。 B1505Aに搭載されたEasyEXPERTソフトウェアは、リアルタイムのカーブト レーサ・インタフェースと、直感的で柔軟なデータ管理/解析環境を提供して います。 B1505Aテスト・モジュール B1505Aには、以下のモジュールをサポートする10個のモジュール・スロット があります。 B1510A ハイ・パワー SMU(HPSMU)、10 fA ∼ 1 A/2 μV ∼ 200 V B1511A ミディアム・パワー SMU(MPSMU)、10 fA ∼ 100 mA/0.5 μV ∼ 100 V B1512A 大電流SMU(HCSMU)、10 pA ∼ 1 A/200 nV ∼ 40V(DC)または 10 pA ∼ 20 A/200 nV ∼ 20 V(パルス) B1513B 高電圧SMU(HVSMU)、10 fA ∼ 4 mA/200 μV ∼ 3000 Vまたは 10 fA ∼ 8 mA/200 μV ∼ 1500 V B1514A 中電流SMU(MCSMU)、10 pA ∼ 100 mA/200 nV ∼ 30 V(DC) または10 pA ∼ 1 A/200 nV ∼ 30 V (パルス) B1520A マルチ周波数CMU(MFCMU)、1 fF ∼ 10 nF(1 MHz、DCバイアス 0 ∼ 3000 V、高電圧バイアス・ティー・アダプタおよびHVSMU 使用) 以下のエクスパンダ・ボックスを追加することにより、B1505Aの出力電圧お よび電流を拡張できます。 N1265A 超大電流エクスパンダ/フィクスチャ(UHCU)、500 μA ∼ 1500 A/100 μV ∼ 60 V(パルスのみ) N1266A HVSMU電流エクスパンダ(HVMCU)、200 nA ∼ 110 mA/3 mV ∼ 2200V (DC)または4 μA ∼ 2.5 A/3 mV ∼ 2200 V (パルス) N1268A 超高電圧エクスパンダ(UHVU)、10 pA ∼ 10 mA/10 mV ∼ 10 kV (DC)または10 pA ∼ 20 mA/10 mV ∼ 10 kV(パルス) 注記: 各エクスパンダの制御には2台のMCSMUを使用します。B1505Aにインス トールされているMCSMUの数が不足している場合、エクスパンダ間で MCSMUが共有されます。 注記:Windows、Windows NT、MS Windows、Windows Vistaは、米国および他の国におけるMicrosoft Corporationの商標または登録商標です。 8 第1章 B1505Aの概要 出力電圧および電流レンジの概要を図1-1に示します。 各モジュールの出力および測定範囲の詳細を図1-2に示します。 図1-1. エクスパンダを追加したB1505Aの出力レンジ 各DCモジュールの電圧/電流レンジ HPSMU DC HCSMU パルス HCSMUパルス HVSMU MPSMU 電流(A) MCSMU MCSMUパルス UHCU/1500A HVMCU/ 2.5 A 30 μs* HVMCU/ 1.1 A 30 μs* UHVU UHVUパルス 電圧(V) * 時刻0の値からexp(−PW/(0.22 μF×(Ro+R load))で低下します。 ここで、PW:パルス幅、Ro:600 Ωまたは2 kΩです。 図1-2 (a). 出力および測定範囲(その1) (A)HPSMUの出力および測定範囲 (B)MPSMUの出力および測定範囲 電流 電流 電圧 電圧 9 第1章 B1505Aの概要 (b). 出力および測定範囲(その2) 図1-2 (C)HCSMUの出力および測定範囲 (D)MCSMUの出力および測定範囲 電流 電流 パルス パルス DC DC 電圧 電圧 (E)HVSMUの出力および測定範囲 (F)UHCUの出力および測定範囲(パルスのみ) 電流 電流 電圧 電圧 1500 Vレンジ 3000 Vレンジ 500 Aレンジ 1500 Aレンジ (G)HVMCUの出力および測定範囲 (H)UHVUの出力および測定範囲 電流 電流 パルス DC パルス DC 電圧 電圧 20 mAレンジ 1.1 A/2200 Vレンジ 2.5 A/1500 Vレンジ 10 10 mAレンジ 第1章 B1505Aの概要 1-2. Agilent N1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャ Agilent N1265A UHCエクスパンダ(UHCE)/フィクス チャ(図1-2)は、パッケージ化されたパワー・デバイスに使 用します。このフィクスチャはB1505Aの最大出力レンジで ある1500 Aおよび10 kVに対応しています。 UHCUはN1265Aに付属の内蔵テスト・ユニットです。 テスト用のその他の測定ユニットは、N1265A UHCE/フィク スチャに接続します。 容 量 測 定 に は、N1259Aオ プ シ ョ ン020高 電 圧 バ イ ア ス・ ティーを使用します。 図1-2. Agilent N1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャ ドレイン/コレクタ電源は、モジュール間で自動的に切り替えられます。 N1265Aには、図1-3に示す内蔵セレクタが備わっていて、ドレイン/コレクタ 電源をUHCU、HVSMU/HVMCU、MPSMU/HPSMUの間で切り替えることが できます。これにより、測定ユニットの間の配線を変更せずに測定を継続でき、 ケーブルのつなぎ替えに関連するエラーをなくすとともに、テスト時間を短縮 できます。 HVSMU経路には、ブレークダウン・テスト用に100 kΩの直列抵抗を挿入でき ます。 ゲート・チャネルでは、0 Ω、10 Ω、100 Ωの直列抵抗を選択して、測定の安 定度を制御できます。 ゲート ロー ロー ハイ センス ハイ フォース センス フォース F:フォース S:センス P.A:保護アダプタ 10 Ω 100 Ω または1 kΩ HVSMUのフォース端子 はハイ・センス端子と 接続されます。 電圧制御 電流制御 図1-3. N1265Aエクスパンダ/フィクスチャの内蔵セレクタの接続例 11 第1章 B1505Aの概要 1-3. UHCUおよびHVMCUの出力抵抗の影響 UHCUおよびHVMCUの電圧源(Vcomp)の外側のハイ・フォース出力には、出 力 直 列 抵 抗(Rout)が 存 在 し ま す( 図1-4(a)を 参 照 )。 ケ ー ブ ル 抵 抗Rcblも、 Routと直列に接続されます。 これらの抵抗による電圧降下を補正するメカニズムは存在しないため、DUT端 子にかかる電圧はユーザが設定したVcompの値とは異なります。 図1-4(b)に示すのは、図1-4(a)の回路で測定した代表的な測定曲線です。各ゲー ト・ステップに対応するドレイン掃引の終了ポイントは、Vcomp/Routまたは Vcomp/(Rout+Rcbl)で決まる直線上に並んでいます。 これは単に曲線を確認する場合には通常問題となりませんが、以下の場合には 問題になります。 - 現在の値を知らずに特定の電圧を追加したい場合 - 高電圧(Vcompに近い値)を印加せずに大電流を測定したい場合(図1-4(b)を 参照) 図1-4. 出力抵抗の影響 ハイ・フォース ハイ・センス ロー・センス ヒント: 曲線のプロットにはDUT端子で の実際の電圧が検出されて使用 されるため、測定された電圧は 正確です。 ロー・フォース 図1-4 (a). 簡素化したブロック図 最大I=Vcomp/Rout 図1-4 (b). Routが存在する場合の代表的な測定曲線 12 第1章 B1505Aの概要 リファレンス情報 ◆ SMUの場合 図1-5 (a)は、HPSMUおよびMPSMUの簡素化したブロック図を示します。 これらのモジュールの出力ブロックにある抵抗は、テスト・ケーブルの抵抗 を含めて、センス・ループの内部にあり(図1-5の と を参照)、DUT端 子には正確な設定電圧がかかります。 (b)は、SMUの代表的なId-Vd測定の例です。 図1-5 各セカンダリ・ゲート・ステップ・パラメータに対応する掃引の終了ポイン トは、掃引の終了電圧の位置に垂直に並んでいます。 すなわち、SMUの場合、負荷条件に合わせて個別に設定した特定の電圧で測 定を実行できます。 これは、図1-4 (b)の結果との大きな違いです。図1-4(b)では、掃引の終了電 圧が負荷電流と出力抵抗に応じて変化しています。 注記:DUTのブレークダウンやSMU側での突然のショートが発生した場合 に保護の役割を果たすパッシブ抵抗がないため、このアーキテクチャはハイ・ パワー・アプリケーションには適していない可能性があります。 図1-5 (a). HP/MPSMUの簡素化したブロック図 フォース センス フィードバック GNDUフォース GNDUセンス (b). SMUの代表的なId-Vdの例 図1-5 13 第1章 B1505Aの概要 1-4. EasyEXPERTソフトウェア 4つのテスト・モードが使用可能 B1505Aのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)として使用される EasyEXPERTソフトウェアには、4種類のテスト・モードがあります。トレーサ・ テスト、アプリケーション・テスト、クラシック・テスト、クイック・テスト の4つです。 各テスト・モードには独自の機能があるため、テスト要件に適したテスト・モー ドを使用すれば、より良い測定結果を迅速に得ることができます。B1505Aの テスト・モードについて簡単に説明します。 1. トレーサ・テスト・モード 20 Aを超える電流が必要なハイ・パワー・テスト・アプリケーションには、 測定モジュールとして主にUHCUが用いられます。 最大電流が1 ∼ 2 Aで電圧が数100 Vの場合、HVMCUを使用します。 UHCUまたはHVMCUを使用する場合、トレーサ・テスト・モードが最適な テスト・モードです。 トレーサ・テスト・モードは、図1-6に示す例のように、対話型のカーブトレー サ・インタフェースを備え、測定中にB1505Aのフロント・パネル・ノブを 使用してパラメータをリアルタイムで変更できます。例えば、Id-Vd掃引の ドレイン電圧は、カーブトレーサの電圧ダイアルを回すのと同じように、 B1505Aのノブを回して手動で変更できます。 その他のパラメータも測定中にリアルタイムに変更でき、テスト条件と結果 を迅速に決定できます。 トレーサ・テストには、テストをサポートする以下のような便利な機能があ ります。 • MOSFET、ダイオード、IGBT、BJTの代表的な測定のためのサンプル・セッ トアップ。測定パラメータを入力するだけで測定を開始できます。 • 選択した測定ポイントの電圧と電流の両方のパルス波形をモニタできるオ シロスコープ・ビュー。 • 設定した条件が満たされると測定を自動的に中止する停止条件。この機能 は、ブレークダウン・テストに便利です。 • 測定表示の背景に基準トレースを表示して、基準トレースと現在の測定ト レースとの間の変化を比較可能。 • 過去の測定トレースを再現するトレース再生機能。例えば、デバイスがブ レークダウンして破壊されるまでの過去の測定トレースを再現できます。 • 指定した値に達するとプライマリ掃引ステップ(VAR1)を制限するコンプ ライアンス機能。 - パワー・コンプライアンス - 電流コンプライアンス - 電圧コンプライアンス • マーカおよびライン機能 14 第1章 B1505Aの概要 図1-6. トレーサ・テスト・モードのGUIの例 トレーサ・テストのサンプル・メニュー トレーサ・テストGUIに関する注記 以下の番号は、測定を開始するための基本的なステップを示 します。 1. トレーサ・テスト選択タブ 2. トレーサ・テスト・サンプル・メニュー 3. チャネル定義領域 4. 測定パラメータ設定領域 5. シングル/繰り返し測定ボタン 6. 掃引/測定パラメータを制御する回転ノブ トレーサ・テストのサンプル・メニュー トレーサ・テストのサンプル・メニューは、ハイパワー・デバイスの設定を作 成するための出発点として最適です。メニューからテスト・サンプルを選択す れば、B1505Aの構成を反映したデフォルトの設定とパラメータがすでに入力 されています。そのため、すぐに設定を編集をでき、測定開始までの時間を短 縮できます。図1-6に示すステップ番号に従って、テスト・セットアップを改良 できます。 ヒント: トレーサ・テスト・モードには、もう1つの使用方法があります。 トレーサ・テスト・セットアップはクラシック・テスト・セットアップに容 易に変換でき、トレーサ・テスト・モードを簡単なテスト・セットアップお よびテスト・デバッグ・ツールとして使用できます。 サンプル・テスト・セットアップを使えば複雑なテスト・セットアップが自 動的に作成でき、対話型のカーブトレーサ・インタフェースにより新しいテ スト・セットアップを完成するための改良作業が容易になります。 その後、完成した設定をクラシック・テストに変換し、決められた測定パラ メータを繰り返し使用したり、その他の表示トレースや解析機能 (自動マー カ、ラインなど)を追加したりできます。 15 第1章 B1505Aの概要 2. アプリケーション・テスト・モード アプリケーション・テスト・モードには、定義済みのテストのライブラリが 付属し、一般的なデバイス・テスト (Ic-Vce測定など)のための測定器パラメー タのほとんどを手動で設定する必要がありません。空白部分を埋めるだけの わかりやすい操作で測定が行えます。測定ボタンをクリックするだけで、測 定が実行され、パラメータが自動的に抽出されます。 アプリケーション・テスト・モード(図1-7)は、B1505Aに付属の定義済みテ スト・ライブラリで、Id-Vd測定など、基本的かつ頻繁に使用されるテスト が含まれています。測定はユーザが測定パラメータを入力するだけで開始で きます。Measureボタンを押せば、測定から自動的に抽出された正しいデー タによる測定結果が得られます。 例のように、変更は非常に簡単です。アプリケーション・ノートB1500A-4 『Agilent B1500A用EasyEXPERTアプリケーション・テストのカスタマイ ズ』(Agilent P/N:5989-5167JAJP)を参照してください。 結論として、要件を満たしていればアプリケーション・テストがベストな方 法です。そうでない場合、既存のアプリケーション・テスト定義を変更するか、 クラシック・テスト・モードを使用するかの2つの方法があります。 図1-7. アプリケーション・テストのGUI 1. テスト・パラメータを入力する 16 2. Measureボタンを押す 第1章 B1505Aの概要 3. クラシック・テスト・モード クラシック・テスト・モードでは、EasyEXPERTソフトウェアの測定および解 析機能をすべて利用できます。 トレーサ・テスト・モードで作成した測定セットアップをクラシック・テスト・ モードにインポートして、自動解析計算を追加できます。こうして得られたク ラシック・テスト・セットアップは、対話型テストにも自動テストにも使用で きます。 クラシック・テスト・モードを使えば、アプリケーション・テスト・ライブラ リが対応していないアプリケーションにも対応できます。 図1-8に、クラシック・テストのセットアップ・ウィンドウの例を示します。こ こで、 1.[Channel Setup]ページ、 2.[Measurement Setup]ページ、 3. オプションのSMUパラメータ設定用サブパネル、 4.[Display Setup]ページは、測定開始前に最低限入力する必要があるページ です。 図1-8. クラシック・テストの測定パラメータの設定パネル 17 第1章 B1505Aの概要 新しいクラシック・テストの定義を設定する場合は、定義済みのアプリケー ション・テストに比べて、図1-8に示すように、デバイスとB1505AのSMU との接続や、SMUの機能設定などについて、より多くの知識が必要です。一 般的に、クラシック・テストではユーザがSMUの制御をより直接的に操作で きるのに対して、アプリケーション・テストはユーザにとってブラック・ボッ クスのようなものであり、詳細を知るにはアプリケーション・テストの定義 を開いて内部の設定を参照する必要があります。 4. クイック・テスト・モード クイック・テスト・モードは、トレーサ・テスト、アプリケーション・テスト、 クラシック・テストの各モードで作成したテスト・セットアップを、プログ ラミングなしで自動化できる便利な方法です。テスト・フィクスチャに対す るテスト・シーケンスの他に、EasyEXPERTに付属するウェーハ・プローバ・ ドライバを使用することにより、ウェーハ全体を対象としたオンウェーハ・ テストのテスト・シーケンスも自動化できます。 図1-9. クイック・テストでは、選択したテストがシーケンシャルに実行されます。 選択したテストはシーケン シャルに実行されます。 18 第2章 測定の準備 第2章 測定の準備 目的 第2章では、B1505Aで測定する前の以下の準備作業について説明します。 1 B1505Aを使用する前に 2. デモで使用する測定器とアクセサリ 3. デモで使用するデバイス 4. B1505Aとエクスパンダ/フィクスチャ間のケーブル接続 5. B1505Aの起動 6. EasyEXPERTリビジョンA.05.00用アプリケーション・テスト・ライブラリ の更新 この章の目的は、B1505Aを起動し、EasyEXPERTを設定して、測定の準備を 行うことです。 2-1. B1505Aを使用する前に 警告 Agilent B1505Aのフォース端子、センス端子、ガード端子には、人体に 危険な電圧(UHVUで10 kV、HVSMUで3 kV、HVMCUで2.2 kV、HPSMU で200 V)が存在する場合があります。B1505Aの使用中は、感電を避け るために以下の安全に関する注意事項を遵守する必要があります。 • 3極AC電源コードを使用して、キャビネット(使用する場合)とB1505Aをグ ランド(安全用アース端子)に接続してください。 • B1505Aとテスト・フィクスチャをインターロック・ケーブルで接続する必 要があります。 • インターロックが機能しているか定期的に確認してください。 • インターロック回路は変更しないでください。 • 拡張ケーブルを使用してDUTをテスト・フィクスチャの外に接続しないでく ださい。ただし、ウェーハ・プローバはテスト・フィクスチャと同等の安全 機能を備えているので例外です。 • フォース端子、ガード端子、センス端子に触れる前に、B1505Aの電源をオ フにしてすべてのコンデンサを放電させてください。B1505Aの電源をオフ にしたくない場合、B1505Aの設定に関わらず以下の手順をすべて実行して ください。 - Stopキーを押してモジュール出力をオフにする。 高電圧インジケータが点灯していないことを確認する。 シールド・ボックスのアクセス・ドアを開く。 SMUに接続されているすべてのコンデンサを放電させる。 19 第2章 測定の準備 2-2. 測定サンプルで使用する測定器とアクセサリ 測定サンプルでは以下のB1505A構成を使用します。 図2-1. 例で使用するB1505Aの構成 N1265Aセレクタ入力または N1266A HVMCU入力のドレイン/ コレクタへ 特殊な要件のための追加モジュール (標準のデモ構成では不使用) N1265A/N1266A/N1268A エクスパンダの電圧/電流制御入力へ ゲートへ 容量測定用 N1265Aセレクタ入力の ドレイン/コレクタへ Agilent B1505Aパワー・デバイス・アナライザ/カーブトレーサの構成 標準のB1505Aデモ構成には、以下のテスト・モジュールが含まれています。 HVSMU(B1513B)高電圧SMU 1台 HCSMU(B1512A)大電流SMU 1台 MCSMU(B1514A)中電流SMU 4台 MFCMU(B1520A)マルチ周波数CMU 1台 MPSMU(B1511A)ミディアム・パワー SMU 1台 GNDUグランド・ユニット(B1505Aのメイン・フレームに付属) 1台 • • • • • • デモで使用するエクスパンダとケーブル 図2-2に、N1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャ、N1266A HVMCエクス パンダ、N1268A UHVエクスパンダを示します。 図2-3に、エクスパンダ/フィクスチャとB1505Aとの接続に使用するケーブル を示します。 図2-4に、テスト・フィクスチャ内部で使用するテスト・ワイヤ/ケーブルを示 します。 20 第2章 測定の準備 図2-2. Agilent N1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャ、N1266A HVMCエクスパンダ、N1268A UHVエクスパンダ N1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャ N1266A HVMCエクスパンダ N1268A UHVエクスパンダ 図2-3. B1505AとN1265A/N1266A/N1268Aエクスパンダ/フィクスチャとの接続に使用するケーブル 16493T HVトライアキシャル・ケーブル 16493L GNDUトライアキシャル・ケーブル 16494Aトライアキシャル・ケーブル 16493S HCSMUケーブル 16493V UHVケーブル:ハイ側 16493V SHVケーブル N1300A CMUケーブル 16493Jインターロック・ケーブル 16493GデジタルI/Oケーブル 21 第2章 測定の準備 図2-4. テスト・フィクスチャ内部の接続に使用するケーブル/ワイヤ コレクタ/ドレインおよびエミッタ/ ソース・フォース・ライン・ワイヤ ユニバーサル・フォース/ センス・ライン・ワイヤ N1265A-041熱電対 N1260A高電圧バイアス・ティー 22 容量測定用SHVケーブルおよび SHVバナナ・アダプタ UHVUテスト・ケーブル 第2章 測定の準備 2-3. 測定サンプルで使用するデバイス 以下のデバイスは、本書全体で測定に使用されます。 デバイスのタイプは、B1505Aの最大出力レンジをカバーするように選択され ています。 - 大電流MOSFET (HCMOS):IRFP4004で500A以上をカバー。 高電圧MOSFET (HVMOS):IXTH1N250で2500 V以上をカバー。 IGBT:FGA180N33ATDで中電圧および中電流(330 V、450 A)をカバー 高電圧ダイオード:GP-02-40で4 k ∼ 8 kVをカバー(2個を直列接続)。 図2-4. 本書で使用するデバイス IRFP4004 HC MOS IXTH1N250 HV MOS FGA180N33ATD IGBT GP02-40 4 kV ダイオード デモ・デバイスの仕様(代表値) 1. 大電流パワー MOSFET:IRFP4004Pbf o VDSS:40 V o Rds(on):代表値1.35 mΩ(最大値1.70 mΩ、Vgs=10 V、Id=195 A) o 最大ID:350A(100 μsパルス、VD=10 V) 1390 A(Vd=2.5 V) o SOA:3.5 kW(Tc=25 ℃、100 μsパルス) o Vth:2 ∼ 4 V(Id=250 μA) o Coss:代表値2360 pF(Vd=25 V) 2. 高電圧パワー MOSFET:IXTH1N250 o VDSS:2500 V o Rds(on):最大40 Ω o 最大ID:6 A(100 μsパルス、5 kW、Tc=25 ℃) o SOA:3 kW(Tc=25 ℃、100 μsパルス) o Vth:2 ∼ 4 V(Id=250 μA) o Coss:代表値77 pF(Vd=25 V) 3. IGBT:FGA180N33ATD o VCES:330 V o VCE(sat):代表値1.68 V(Ic=180A) o 最大ID:450 A(100 μsパルス、VC=16 V) o SOA:7.5 kW(Tc=25 ℃、100 μsパルス) o Vth:2.5 ∼ 5.5 V(代表値=4 V、Ic=250 μA) o Coss:代表値305 pF(Vd=30 V) 4. 超高電圧ダイオード:GP02-40 o VRRM:4,000 V o IF(AV):0.25 A o IR(4 kV):5 μA(25 ℃) 23 第2章 測定の準備 2-4. 基本DCデモでのB1505Aとフィクスチャ/エクスパンダ間のケーブル接続 測定を開始する前に、B1505A、N1265A超大電流エクスパンダ (UHCE) /フィ クスチャ、N1266A HVSMU電流エクスパンダ (HVCE) をケーブルで接続します。 このセクションで示す接続は、N1265A UHCUを使用するすべてのDC測定に 共通です。 注記: UHVUを使用する超高電圧デモと、容量測定のデモでは、異なる構成を使用し ます。これらの構成は、各デモのセクションで個別に示されています。 図2-5. B1505Aとエクスパンダの背面 B1505Aの標準デモ構成(背面) N1265A(背面) N1266A(背面) 24 第2章 測定の準備 配線ブロック図 図2-6に、B1505A、N1265A UHCE、N1266A HVCEの基本的な配線ブロッ ク図を示します。 注記: デモ・セットアップでは、2台しかない電圧/電流制御MCSMUを基本的に N1266A HVCEとN1265A UHCEで共有します。このため、N1265A UHCE の制御用に2台のMCSMUから4本のケーブル接続ラインが実線で表示されてい ます( を参照)。 N1266A HVCEへの4本の点線( を参照)は、N1265A UHCEとの間で切り替 えられることを示していますが、今回は接続していません。 図2-6. UHCUとHVMCUの基本的な配線ブロック図 デジタルI/Oケーブル (N1265Aに付属) デジタルI/Oケーブル (N1266Aに付属) 入力 出力 入力 ドレイン用 入力 出力 出力ハイ HVSMU HVCE用 電圧制御F 電圧制御S HVCE用 電流制御F 電流制御S MCSMUは、HVMCEとUHCEの 制御入力で共有されます。 UHC入力 UHC用 電圧制御 UHC用 電流制御 ゲートF ゲート用 ゲートS セレクタSMU F セレクタSMU S 出力ロー インターロック N1265A(セレクタ内蔵) 25 第2章 測定の準備 以下のステップ(図2-7の番号1 ∼ 13に対応)に従って、B1505Aとエクスパンダ をケーブルで接続します。 図2-9に、各ステップの詳細について、ケーブルの写真とコネクタの位置を示し ます。 図2-7. N1265A UHCEとテスト・フィクスチャのケーブル接続 N1265A、N1266Aのリア・パネル フォース センス センス センス フォース B1505Aの リア・パネル フォース インターロック センス センス センス センス デジタルI/O ステップ1 16493L GNDUケーブルを使用して、B1505AのGNDU端子とN1266Aの GNDU入力端子を接続します。 ステップ2 16494Aトライアキシャル・ケーブルを使用して、下側のB1511A MPSMU (SMU1)のフォースおよびセンス・コネクタと、N1265Aのセレクタ入力の それぞれのコネクタを接続します。 ステップ3 16494Aト ラ イ ア キ シ ャ ル・ ケ ー ブ ル を 使 用 し て、 下 か ら2番 目 のSMU (MCSMU2)のフォースおよびセンス・コネクタと、N1265Aのゲート制御 入力コネクタを接続します。 26 第2章 測定の準備 ステップ4 16494Aト ラ イ ア キ シ ャ ル・ ケ ー ブ ル を 使 用 し て、 下 か ら3番 目 のSMU (MCSMU3)のフォースおよびセンス・コネクタと、N1265AのUHC入力の 電圧制御入力コネクタを接続します。 ステップ5 16494Aト ラ イ ア キ シ ャ ル・ ケ ー ブ ル を 使 用 し て、 下 か ら4番 目 のSMU (MCSMU4)のフォースおよびセンス・コネクタと、N1265AのUHC入力の 電流制御入力コネクタを接続します。 ステップ6 16493T HVトライアキシャル・ケーブルを使用して、B1513A HVSMUの フォース・コネクタとN1266AのHVSMU入力端子を接続します。 ヒント: コネクタのネジは、手を使って抵抗を感じるまでしっかり締めてください。 ステップ7 16493L GNDUケーブルを使用して、N1266A HVMCUのロー出力端子と N1265AのGNDU入力端子を接続します。 ステップ8 16493T HVトライアキシャル・ケーブルを使用して、N1266Aのハイ出力コ ネクタとN1265Aのセレクタ入力のHVSMUコネクタを接続します。 ステップ9 16493Jインターロック・ケーブルを使用して、B1505Aのインターロック端 子とN1265Aのインターロック端子を接続します。 ヒント: インターロック・ケーブルを接続するには、ケーブル端子のプラスチック 部分を持って、測定器方向に押しながら回します(図2-8参照)。 インターロック・ケーブルの接続を外すには、ケーブル端子の金属部分を 持って、コネクタを回しながら引き抜きます。 図2-8. インターロック接続 接続する場合 接続を外す場合 押しながら回す 引きながら回す ステップ10 16493GデジタルI/Oケーブルを使用して、B1505AのデジタルI/Oコネクタと N1265A UHCE/フィクスチャのデジタルI/O入力コネクタを接続します。 ステップ11 16493GデジタルI/Oケーブルを使用して、N1265AのデジタルI/O出力コネク タとN1266A HVCEのデジタルI/O入力コネクタを接続します。 ステップ12 B1505A、N1265A、N1266Aに電源ケーブルを接続します。 27 第2章 測定の準備 図2-9. B1500A側 N1265A/N1266A側 ステップ1 GNDUケーブル N1265A ステップ2 トライアキシャルSMUケーブル N1265A ステップ3 トライアキシャルSMUケーブル N1265A トライアキシャルSMUケーブル N1265A トライアキシャルSMUケーブル N1265A ステップ4 ステップ5 ステップ6 HVトライアキシャル・ケーブル ステップ7 GNDUケーブル ステップ8 HVトライアキシャル・ケーブル 28 第2章 測定の準備 2-4-3. 電源ケーブル、キーボードおよびマウス ステップ9 インターロック インターロック・ケーブル デジタルI/O ステップ10 入力 デジタルI/Oケーブル デジタルI/O ステップ11 出力 デジタルI/Oケーブル ステップ12 キーボードとマウス 入力 B1505A、N1265A、N1266Aのすべてに電源ケーブルを接続します。 ステップ13 B1505Aを起動する前に、必ずキーボードとマウスを接続してください。 キーボード マウス 29 第2章 測定の準備 2-5. B1505Aの起動 2-5-1. B1505Aの起動 このセクションでは以下の操作について説明します。 ステップ1. Agilent B1505Aの電源オン ステップ2. EasyEXPERTソフトウェアの起動 ステップ3. EasyEXPERTワークスペースでのユーザ固有の作業領域の準備 ステップ1. Agilent B1505Aの電源オン B1505Aを受け取った後、以下のセットアップを実行します。 1. Standbyスイッチがオフになっていることを確認します。 2. B1505Aのリア・パネルで、Circuit Common端子がフレーム・グランド 端子にショート・バーで接続されていることを確認します。 3. Agilent 16444A-001 USBキ ー ボ ー ド と16444A-002 USBマ ウ ス を B1505AのUSBポートに接続します。 4. B1505Aを電源ケーブルでAC電源コンセントに接続します。 5. 測定端子をオープンにし(測定デバイスが接続されている場合は取り外し) Standbyスイッチ(フロント・パネルの右下隅)を押して、B1505Aの電源 をオンにします。 Windows、測定モジュールの初期化、自己校正が開始されます。 6. デフォルトのWindowsセットアップは、B1505Aのデフォルトのユーザ である"Agilent B1500 User"でWindowsに自動的にログオンします。 注記: Agilentから出荷されたB1505Aを初めて使用する場合、B1505AのWindowsオ ペレーティング・システムの初期セットアップを実行する必要があります。 ステップ2. EasyEXPERTの起動 ログオンした後、 [Start EasyEXPERT]ボタンをクリックし、EasyEXPERT が起動するまで待ちます。 注記: [Start EasyEXPERT]ウィンドウを閉じた後でもう一度実行するには、下 に示すWindowsデスクトップ上の[Start EasyEXPERT]ショートカットを クリックします。 30 第2章 測定の準備 初期化後に、EasyEXPERTのスタートアップ・ウィンドウが開きます。これに は以下の3つの場合があります。 手順に従ってEasyEXPERTデモ・ワークスペースを設定します。 ケース1:初めての使用 [File]メニューで[Close Workspace]を 選択してワークスペースを閉じ、 EasyEXPERTのワークスペース管理ウィ ンドウに戻ります。 ケース2:ワークスペースが1つだけの場合 [Close Workspace]をクリックして、 パネルをケース2のワークスペース 管理ウィンドウに変更します。 ワークスペース管理ウィンドウ [No, I want to start a new session]ラジ オ・ボタンをオンにします。 次ページのステップ3に進んで、デモ用 の新しいワークスペースを作成します。 ケース3:ワークスペースが2つ以上ある場合 2ページ後のステップ3fに進んで、デモ用 の新しいワークスペースを作成します。 31 第2章 測定の準備 ステップ3. ユーザ固有のワークスペースの準備 [Next]をクリックします。 ステップ3a.[No]ラジオ・ボタンをオンにして、 ステップ3b. 以下のワークスペース設定画面が表示されます。 ここでは新しいワークスペースを作成します。このワークスペースは、デモ 用のB1505Aの返却時に削除されます。 新しいワークスペース名の入力フィールドに、”Demo Workspace XX”な どの固有の名前を入力します。 ステップ3c. [OK]をクリックします。 次ページのステップ3dに進みます。 32 第2章 測定の準備 (続き:デモ・ワークスペースの設定) ステップ3d. 新しい”Demo Workspace XX”をクリックして強調表示します。 ステップ3e. [Continue]をクリックします。 次ページのステップ3jに進みます。 ステップ3f.新しいワークスペースの作成 複数のワークスペースがすでに存在する場合、B1505Aは以下のワークスペース設定画面を表示します。 ステップ3g. [Create a new Workspace]ラジ オ・ボタンをクリックします。 ステップ3h. 新しいワークスペース名の入力 フィールドに、"Demo Workspace XX"などの固有の名前を入力します。 ステップ3i. [Continue]をクリックします。 次ページのステップ3jに進みます。 注記: ワークスペースとは、Agilent B1505Aの内蔵ハードディスク・ドライブに作 成されるスペースであり、測定セットアップ、測定結果データなどの保存に使 用されます。ワークスペースは、各ユーザに対して作成して割り当てることが できます。 33 第2章 測定の準備 ステップ3j.以下の新しいEasyEXPERT初期ウィンドウが開きます。 新しい”Demo Workspace XX”が作成され、ユーザ・デモ・セットアップは 完了です。 34 第2章 測定の準備 2-5-2. 電源ライン周波数の設定 電源ライン周波数の設定は、信号の電圧または電流が小さい場合に、測定の確 度と安定度を確保するために非常に重要です。 デモ用のB1505AのAC電源ライン周波数設定を確認してください。 AC電源ライン周波数の設定がその地域のAC電源ライン周波数と異なる場合、 以下の手順で正しく設定してください。 • 変更するには 1.[Configuration]ボタンをクリックして、[Configuration]ウィンドウ を開きます。 2.[Line frequency]ボタンをクリックして、AC電源ライン周波数のリス トを開きます。 [50Hz]または[60Hz]を選択します。 3.[Close]ボタンをクリックします。 35 第2章 測定の準備 2-5-3. オンライン・ヘルプ EasyEXPERT用のオンライン・ヘルプが用意されています。 [Help]>[EasyEXPERT Help]メニューを選択して、オンライン・ヘルプ・ウィ ンドウを表示します。 オンライン・ヘルプには、以下の情報が記載されています。 • はじめに • • • • EasyEXPERTの使用 機能の詳細 内蔵プログラミング・ツール 問題が発生した場合 ◆ ヘルプを表示するには 以下の手順でオンライン・ヘルプを表示します。 1.[Help]>[EasyEXPERT Help]メニューを選択します。 2.[Help]ウィンドウが開きます。 36 第2章 測定の準備 2-6. EasyEXPERTリビジョンA.05.00用アプリケーション・テスト・ライブラリの更新 古 い デ モ 用B1505Aシ ス テ ム の 場 合、 デ モ の 条 件 を 満 た す た め に、 以 下 の EasyEXPERTアプリケーション・テスト・ライブラリの変更と追加を行う必要 があります。 追加 • エクスパンダ用Id-Vgs(A.05.01) • エクスパンダ用Ic-Vge(A.05.01) 変更 • Vth Vgs(off):VthまたはVgs(off)測定(A.05.00) • Vth Vge(off):IGBT VthまたはVge(off)測定(A.05.00) EasyEXPERTのリビジョンは以下のようにして確認できます。 1.[Configuration]ボタンをクリックして、[Configuration]ウィンドウ を開きます。 2. ここでEasyEXPERTリビジョンを確認します。 下の図に示すように最初の5文字が"A.05.00"の場合は、付録1に進み、必 要な変更を行ってください。 注記: "A.05.01"またはそれ以降の場合は、必要な作業はありません。 3.[Close]ボタンをクリックします。 37 第3章 デモ1:Vth測定 第3章 デモ1:Vth測定 B1505AとEasyEXPERTのテスト操作の概要 目的 この章の内容は以下のとおりです。 1. N1265Aフィクスチャの配線とデバイス設定 2. 3. 4. 5. エクスパンダ用のEasyEXPERTの設定 発振を防ぐためのゲートRsの使用(ヒント) アプリケーション・テストを使用したVth測定(Vd=Vg) アプリケーション・テストを使用したVth測定(Vd=一定) この章の目的は、上記の項目に従って、アプリケーション・テスト・ライブラ リを使用してデモ・デバイスのVthを測定できるようになることです。 機能 アプリケーション・テスト・モードでは、以下の機能を利用できます。 • GUIベース:デバイスの接続を容易に理解できます。 • 測定パラメータのみ:ほとんどの場合、テスト・パラメータを設定するだけ で測定を開始できます。ハードウェア・セットアップは通常は不要です。 • 自動解析:一般的に、測定にはデバイス・パラメータの自動解析結果が含ま れます。 使用するデバイス デモ1では以下のデバイスを使用します。 • IPFP4004 PbF HC MOSFET • FGA180N33ATD IGBT(オプション) • IXTH1N250 HV MOSFET(オプション) 注記: EasyEXPERTのリビジョンがA.05.00の場合は、Vth測定を開始する前にアプリ ケーション・テスト定義を変更する必要があります。 Vthアプリケーション・テスト定義をまだ変更していない場合は、第2章の2-6 を参照してください。 38 第3章 デモ1:Vth測定 3-1. N1265Aフィクスチャ内部の配線とデバイス設定 図3-1に、N1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャ内部の配線を示します。 図に示すように、N1265Aテスト・フィクスチャの出力端子パネルとインライン・ パッケージ・ソケット・モジュールをワイヤで接続します。 図3-1. N1265Aフィクスチャ内部の配線 3. エミッタ/ ソース コレクタ/ドレインおよびエミッタ/ ソース・フォース・ライン・ワイヤ フォース センス フォース センス フォース センス 2. コレクタ/ 1. ベース/ ドレイン ゲート ベース/ ゲート コレクタ/ ドレイン エミッタ/ ソース ユニバーサル・フォース/ センス・ライン・ワイヤ インライン・パッケージ・ソケット(3ピン) 以下の手順を実行して、図3-1の番号に従ってフィクスチャ内部のワイヤをセッ トアップします。 注記: と には、最大1500 Aに対応した太いワイヤを使用します。 その他の接続には細いワイヤを使用します。 ステップ1. N1265Aフィクスチャに3ピンのインライン・ソケット・モジュー ルがセットされていることを確認します。 セットされていない場合、図3-1に示すようにソケット・モジュー ルをセットし、ソケット・モジュールの四隅にある4個のピンを留 めてモジュールを固定します。 ステップ2. セレクタ出力のロー・フォース端子とインライン・パッケージ・ソ ケットの端子3のフォース(エミッタ/ソース)を接続します。 ステップ3. セレクタ出力のハイ・フォース端子とインライン・パッケージ・ソケッ トの端子2のフォース (コレクタ/ドレイン) を接続します。 39 第3章 デモ1:Vth測定 ステップ4. セレクタ出力のロー・センス端子とインライン・パッケージ・ソケッ トの端子3のセンス(エミッタ/ソース)を接続します。 ステップ5. セレクタ出力のハイ・センス端子とインライン・パッケージ・ソケッ トの端子2のセンス(コレクタ/ドレイン)を接続します。 ステップ6. ゲート出力のロー端子とインライン・パッケージ・ソケットの端子3 のセンス(エミッタ/ソース)を接続します。 ステップ7. ゲート出力のハイ端子とインライン・パッケージ・ソケットの端子1 のフォース(ベース/ゲート)を接続します。 注記: このセクションに示す接続は、N1265A UHCUとN1266A HVMCUを使用するすべ てのDC測定に共通です。 3-2. テスト機器のセットアップ 図3-2に示すようにテスト・デバイス(DUT)をセットします。 今回は、HC MOSFET:IRFP4004Pbをセットします。 MOSFETを3ピン・ソケット(左からゲート、ドレイン、ソース)に挿入します。 図3-2. DUTのセットアップ デバイス IRFP4004 HC MOS 40 G:ゲート D:ドレイン S:ソース C:コレクタ E:エミッタ 第3章 デモ1:Vth測定 3-2. エクスパンダ用のEasyEXPERTの設定 ◆UHCUを設定するには 各エクスパンダは、電源オン状態になった後で、使用前に設定が必要です。 注記:設定に進む前に、ケーブルが図2-7に示すように正しく接続されている ことを確認してください。 図3-3に示す手順に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. 設定アイコンをクリックします。 ステップ2. [UHC Expander/Fixture]タブをクリックします。 ステップ3. [Enable Ultra High Current Unit]チェック・ボックスをクリッ クしてオンにします。 ステップ4. B1505Aの配線セクションで設定したのと同じ制御SMUを電圧/ 電流制御SMUのドロップダウン・リストで選択します。すなわち、 電圧制御SMUにはSMU3:MC、電流制御SMUにはSMU4:MCを 選択します。 ステップ5. [Enable Selector]チェック・ボックスをクリックしてオンにし ます。 ステップ6. HVSMUが[HVSMU Current Expander]タブでまだ設定されて いない場合、HVSMUを空白のままにしておきます。 注記:使用可能な場合、SMU5:HVをHVSMUとして選択します。 ステップ7. SMUとしてSMU1:MPを選択します。 ステップ8. [Enable Gate Control]チェック・ボックスをクリックしてオン にします。 ステップ9. ゲート制御SMUとしてSMU2:MCを選択します。 図3-3. UHCE/フィクスチャの設定 ステップ10. ゲート制御SMUの出力のデフォルト値として100 Ωを設定します。 選択可能な値は、0、10、100、1000 Ωです。 注記:0 Ωを選択するとデバイスが発振しやすくなるので、お勧め できません。 41 第3章 デモ1:Vth測定 ステップ11.[Apply]ボタンをクリックすれば、設定がチェックされ、ステッ プ12に進みます。 ステップ12. フィールド12と13が、以前のEasyEXPERTの設定に応じて自動的 に入力されます。 電源インジケータがオレンジから黄色に変わり、図の15に示すよ うにセレクタ出力インジケータに現在アクティブなユニットが表示 されます。 ステップ13. ここでデフォルトの出力モジュールを変更できます。 このセクションでは、SMU1:MPSMUをデフォルトとして設定し ます。 注記:この設定を行うと、デフォルトからUHCに切り替える際にリ レーのスイッチング音が聞こえます。 ステップ14.[Apply]ボタンをクリックして、選択されたモジュールを更新し ます。 ステップ15. N1265Aフロント・パネルのセレクタ・インジケータが現在のセレ クタ・ステータス(SMU)を表すように変化します。 ステップ16.[Close]ボタンをクリックして、設定ウィンドウを閉じます。 42 第3章 デモ1:Vth測定 3-3. 発振を防ぐためのゲートRsの使用(ヒント) N1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャのゲート制御には、図3-4に示すよ うに、3つの内蔵の切換可能ゲート抵抗と、1つのショート経路があります。 この抵抗の役割はデバイスの発振を防ぐことであり、抵抗の値の選択にあたって は、回路の安定度 (発振までのマージン) 、パルス幅、パワー MOSFETのドレイン・ ゲートとIGBTのコレクタ・ゲート間の容量成分を考慮する必要があります。 一般的に、容量成分が大きく、パルス幅が小さい場合には、ゲート抵抗の値を 小さくする必要があります。 注記: デモの際には、手順で異なる値が指定されていない限り、通常は100 Ωを使用 します。 図3-4. ゲート抵抗 ゲート制御 モジュール・セレクタ ゲート ロー ロー ハイ センス ハイ フォース センス フォース デモでの標準 ゲート抵抗とし ては100 Ωを使用 します。 F:フォース S:センス 電圧制御 電流制御 デバイスの発振を防ぐための 内蔵の切替可能直列抵抗 43 第3章 デモ1:Vth測定 デモ1. アプリケーション・テストを使用したVth測定 パワー・デバイス測定の最初のステップは、ゲートしきい値電圧(カットオフ電 圧) (Vth)を知ることです。 Vthは、ドレイン/コレクタとソース/エミッタ間のチャネルをオンにするゲー ト電圧で、パワー MOSFET/IGBTのゲート・パラメータを設定するための基準 点と見なすことができます。 Vthを測定して評価するには、図3-5に示すようにいくつかの方法があります。 これまでのパワー・デバイス測定では、Vthを測定する際に、従来のカーブトレー サの測定リソースの制限に対処するために、ゲートとドレイン/コレクタを互 いに接続していました。 このため、パワー MOSFETのデータシート仕様には、通常このテスト手法によ るVthが記載されています。 しかし、この手法ではゲート・ピンとドレイン/コレクタ・ピンに余分な接続 が必要で、テスト・セットアップが複雑になります。 B1505Aでも同じ方法で測定できますが、もっとよい方法があります。2台の SMUを使用してこの測定をエミュレートすることにより、デバイスのケーブル 接続を変更せずに正確なVthを抽出できます。ケーブル接続を手動で変更する必 要がないことは、デバイス・パラメータの測定での重要なポイントの1つです。 ここでは2台のSMUを使用したVth抽出のデモを行います。 図3-5. Vth測定 Vth(Vd=Vg) これまでのVth測定は、従来のカーブ・トレーサを使用 して、ドレインとゲートを互いに接続して行われてき ました。 ゲート接続を変更する必要があります。 これに対して、B1505Aでは、ゲートをドレインと 同じ電圧に同期して掃引することにより、正確に同 じ値を測定できます。 ケーブル接続の変更は不要です。 Vth(Id= 250 μA) B1505AによるVth抽出 2台のSMUを同期させることに より、ゲートとドレインの電圧 を同じ電位で掃引します。 44 第3章 デモ1:Vth測定 デモ1-1. Vth Vgs(off)アプリケーション・テスト アプリケーション・テストを使用したVgs(off)測定(Vd=Vg) (off)アプリケーション・テストのVgs (off)テストを示しま デモ1-1は、Vth Vgs す。このテストでは、ゲートとドレインを同じ電圧で掃引します。 以 下 の 手 順 を 実 行 し て、 図3-6の 番 号 に 従 っ てIRFP4004大 電 流 パ ワ ー MOSFETのvgs(off)を測定します。 ステップ1. [Application Test]モード・タブをクリックします。 ステップ2. [PowerMOSFET]カテゴリをクリックします。 ステップ3. 検索フィールドに”Vth”と入力します。 ステップ4. [Vth Vgs (off)]アプリケーション・テストをクリックし、 [Select] をクリックします。 ステップ5. Vth Vgs (off)アプリケーション・テスト定義のGUIが開きます。 GUIで以下のテスト・パラメータを入力または選択します。 MeasMode Vgsoff Drain IntegTime SHORT Vd SMU1:MPSMU 1V Gate SMU2:MCSMU IdLimit 10 mA VgStart 1V Id@Vth_Vgsoff 250 uA VgStop 5V VgStep 20 mV Source GNDU 注記:MeasModeがVgsoffの場合は、Vd設定は無視され、ゲートの設定がドレ インにも適用されます。 図3-6. Vth Vgs (off) アプリケーション・テスト 45 第3章 デモ1:Vth測定 ステップ6. [Extended Setup]をクリックして、[Extended Setup]ウィン ドウを開きます。 下の図に示すようにパラメータを設定します。 ステップ7. セットアップ名を”Vgs(off)”に変更します。 ステップ8. シングル測定ボタン ます。 をクリックすれば、測定が開始し ステップ9. 測定結果はデータ・ディスプレイ・ウィンドウに表示されます。マー カの自動解析(図の11を参照)が表示され、Vgsoffパラメータの抽 出結果が[Parameters]領域に表示されます(図の12を参照)。 ステップ10. テスト結果エディタが開きます。 注釈やフラグを追加し、保存/削除を選択できます。 [OK]をクリッ クして決定を反映させます。 他の操作を実行するとこのエディタはデフォルトでOKとなり、デー タは自動的に結果領域 (EasyEXPERT GUIの下部) に保存されます。 注記:[Run Options]ボタンで保存オプションを設定できます。 ステップ11. リニアY1軸と対数Y2軸の両方で、Id=250 μAにマーカが自動的 に配置されます。 ステップ12. マーカ位置で測定されたVgsoff (補間値)が表示されます。 値は3.23 Vです。 (off)アプリケーション・テストの結果 図3-7. Vgs 46 第3章 デモ1:Vth測定 測定が終了して目的の結果が得られた後、テスト・セットアップを後で使用す るために保存できます。 図3-8に示す手順に従って、以下の操作を行い、テスト・セットアップを保存し ます。 ステップ1. [My Favorite Setup]をクリックします。 ステップ2. [Preset group]をクリックします。 ステップ3. [Add New Preset group]をクリックします。 ステップ4. グループ名("Demo"など)を入力します。 新しいプリセット・グループ名がMy Favorite Setupグループ内 に表示されます。 注記:テスト・セットアップは、プリセット・グループの単位でエ クスポートまたはインポートできます。 ステップ5. [Save] を ク リ ッ ク す れ ば、 テ ス ト・ セ ッ ト ア ッ プ が[Setup name:]フィールドの名前で保存されます。 ステップ6. オプション Test Parameters GUIの垂直スクロール・バーをスクロールすれ ば、Vgs(off)のGUIが表示されます。点線の接続は、ゲートとドレ インのSMUが掃引で同期されることを示しています。 確認 • Vgs(off)のId=250 μAでの測定結果は3.23 Vです。 仕様は2 ∼ 4 Vなので、妥当な測定結果といえます。 • アプリケーション・テスト定義が要件を満たす場合、アプリケーション・テ ストは手軽で非常に便利です。 図3-8. セットアップを”My Favorite Setup”に保存 47 第3章 デモ1:Vth測定 デモ1-2. Vth Vgs(off)アプリケーション・テスト アプリケーション・テストを使用したVth測定(Vd=一定) このデモでは、デモ1-1と同じ設定を使用しますが、Vdを1 Vに固定します。 図3-9に示す番号に従って、以下の操作を行い、デモ1-1の設定を変更します。 ステップ1. [MeasMode]を“Vth”に変更します。 ステップ2. [Setup name]を“Vth”に変更します。 ステップ3. テスト・セットアップをDemoプリセット・グループに保存します。 ステップ4. 設定が保存されます。 ステップ5. シングル測定ボタンを押せば、測定が開始されます。 図3-9. Vth Vgs (off) アプリケーション・テスト:Vth測定 48 第3章 デモ1:Vth測定 図3-10にテスト結果を示します。 Vthの抽出結果は3.23 Vで、Vdを1 Vに固定しても結果は図3-7の表示とほとん ど同じです。 • テスト結果を保存します。 図3-10. Vthテスト結果 確認 一般的に、Vth測定を飽和領域で実行した場合、Vth測定とVgs(off)測定はほぼ 同じデータを示します。通常は、Vd=1 Vでこの条件が満たされます。 デモのその他の課題 • VthまたはVgs(off)測定をIGBTおよびHV-MOSFETに対して実行します。 - IGBT:「Vth Vge(off)」アプリケーション・テスト定義を使用し、デモ1 と同じテスト・パラメータを使用します。 - HV MOSFET:デモ1と同じアプリケーション・テスト・パラメータを使 用します。 ヒント: • Id-VdまたはId-Vg測定では、Vgのスタート電圧をVthに近い値に設定するこ とをお勧めします。 49 第4章 デモ2 第4章 デモ2:UHCUトレーサ・テスト トレーサ・テスト・モードでのUHCUによる超大電流測定 内容 4-1. N1265Aフィクスチャ内部の配線とデバイス設定 4-2. エクスパンダ用のEasyEXPERTの設定 4-3. トレーサ・テスト実行モードとは 50 4-デモ2-1. Id-Vdトレーサ・テスト 4-デモ2-2. Id-Vdトレーサ・テスト:オシロスコープ・ビュー 4-デモ2-3. Rdsオン特性 デモ2-3-1. Rdsオン特性(Rdsオン対Id) デモ2-3-2. Rdsオン特性(Rdsオン対Vg) 4-デモ2-4. Ic-Vc(IGBT)トレーサ・テスト 4-デモ2-5. Vce(sat)(IGBT)トレーサ・テスト 第4章 デモ2 第4章 デモ2:UHCUトレーサ・テスト トレーサ・テスト・モードを使用したUHCUによる超大電流測定 目的 この章に示すテストは以下のとおりです。 1. Id-Vd(HC MOSFET) 2. オシロスコープ・ビュー 3. Rdsオン(HC MOSFET) 4. Ic-Vc(IGBT) 5. Vce(sat)(IGBT) この章の目的は、上記のテストを実行し、トレーサ・テスト・モードを使用し てB1505Aの独自の測定機能を理解することです。 このセクションでは、B1505Aの以下の機能について説明します。 • 500 Aテストによる1500 A測定機能(電流はテスト・フィクスチャの能力に 機能 • • • • • • より制限) 電流および電圧コンプライアンス・モード パワー・コンプライアンス・モード 数値演算機能(Rdsの抽出) Iフォース機能(Vce(sat)の測定) オシロスコープ・ビュー トレース再生 デモ2では以下のデバイスを使用します。 使用するデバイス • IPFP4004 PbF HC MOSFET • FGA180N33ATD IGBT 4-1. N1265Aフィクスチャ内部の配線とデバイス設定 セクション3-1および図3-1と同じセットアップを使用します。 図4-1. DUTのセットアップ デバイス IRFP4004 HC MOS G:ゲート D:ドレイン S:ソース C:コレクタ E:エミッタ FGA180N33ATD IGBT 51 第4章 デモ2 4-2. エクスパンダ用のEasyEXPERTの設定 ◆UHCUを設定するには 各エクスパンダは、電源オン状態になった後で、使用の前に設定が必要です。 注記:設定に進む前に、ケーブルが図2-7に示すように正しく接続されている ことを確認してください。 図4-2に示す手順に従って、以下の操作を行います。 注記:ステップ12でSMU3:UHCがアクティブな場合、以下のステップ1からス テップ12までをスキップして、次ページのステップ13から開始することがで きます。 ステップ1. 設定アイコンをクリックします。 ステップ2. [UHC Expander/Fixture]タブをクリックします。 ステップ3 ∼ 10: デモ1から継続した場合、設定は同じです。 そうでない場合、セクション3-2の手順に従って設定を行います。 ステップ11.[Apply]ボタンをクリックします。 ステップ12. SMU3:UHC1がアクティブ・モジュールとして表示されます。 図4-2. UHCE/フィクスチャの設定1 52 第4章 デモ2 以下の手順については、図4-3を参照してください。 ステップ13. 出力デフォルトSMUを“SMU1:MP”から“SMU3:UHC1”に変 更します。 ステップ14.[Apply]ボタンをクリックして、選択されたモジュールを更新し ます。 ステップ15. N1265Aフロント・パネルのセレクタ・インジケータが現在のセレ クタ・ステータス(UHCU)を表すように変化します。 ステップ16.[Close]ボタンをクリックして、設定ウィンドウを閉じます。 図4-3. UHCE/フィクスチャの設定2 53 第4章 デモ2 4-3. トレーサ・テスト実行モードとは トレーサ・テスト・モードでは、従来の一般的なカーブトレーサの機能を利用 でき、簡単な測定セットアップ作業により、短時間でデバイスの特性評価が行 えます。 オシロスコープ・ビューを使用して、パルス測定の波形を2 μsの分解能でモニ タできます。 コレクタに印加された大電流信号は、寄生成分(テスト・セットアップのケーブ ルのインダクタンスなど)の影響により歪むことがあり、このような寄生成分の ために予期しない測定結果が生じることがあります。 オシロスコープ・ビューを使えば、正確な波形形状と、コレクタおよびゲート 信号の相対位置を表示することにより、このような問題を防ぐことができます。 これにより、タイミング・パラメータを調整して、最適な測定条件を実現でき ます。 革新的な自動記録機能により、被試験デバイス (DUT)が誤って破壊された場合 でも、データの消失を防ぐことができます。 このような優れた測定機能に加えて、わかりやすいEasyEXPERTソフトウェア 環境により、データ解析が容易になります。また、PCベースの作業環境にデー タをエクスポートして、プレゼンテーションやレポートの作成に役立てること ができます。 トレーサ・モードの定義済みセットアップ・メニューを使えば、パルスド測定 などの複雑な設定の場合でも、IVテストの設定が非常に簡単になります。 このセットアップは、クラシック・テスト・モードのテスト定義に変換できる ので、クラシック・テストを新たに作成する場合に便利です。 トレーサ・テストを実行するには ステップ1. [Tracer Test]タブをクリックします。 次の図に示すトレーサ・テスト・モード画面が開きます。 ステップ2. ソース・チャネルと測定チャネルを定義します。 ステップ3. ソース出力パラメータを設定します。 ステップ4. DUTを接続し、シングル・ボタンをクリックしてシングル測定 を開始します。 ステップ5. 注記:繰り返し測定は、測定中に測定パラメータを変更するた めに使用します。 54 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト デモ2-1:トレーサ・テストによるId-Vd測定 以下の事項の理解。 • テストのセットアップ方法 目的 • • • • 対話型掃引の実行方法 電流および電圧コンプライアンス・モード パワー・コンプライアンス・モード トレース再生 デモ2-1-1. デモ・デバイス 以下の図のように、IRFP4004PbFを3ピン・インライン・ソケットにセットし ます。 G:ゲート D:ドレイン S:ソース C:コレクタ E:エミッタ デバイス IRFP4004 HC MOS デバイスのSOA領域と容量の概要を以下に示します。デバイスの仕様について は、セクション2-3を参照してください。 最大安全動作領域 Vdss 40 V Rds(on)代表値 1.35 mΩ 最大値 1.70 mΩ Id(パルス) 1390 A * * Tj<175 ℃ Tc=25 ℃ Tj=175 ℃ 単一パルス 容量(pF) 容量対Vds Cdg - ドレインからゲートへのフィードバック・コ ンデンサ(Cdg)が大容量なので、ゲートには DCよりもパルス・ドライブを使用するのが 適切です。 ゲートをDCでドライブすると、Vdパルスの 立ち上がり時に、ドレイン・パルスからの電 荷によってゲート電圧がオーバードライブさ れ、過大なIdが流れる可能性があります。 55 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト デモ2-1-2. デモ・セットアップ 図4-4に示す番号に従って、以下の操作を実行し、IRFP4004PbFに対するId-Vd トレーサ・テスト・セットアップを準備します。 SMUリソースを設定するには ステップ1. [Sample setups]メニューをクリックして、[Sample setup]メ ニューを表示します。 ステップ2. [MOSFET]カテゴリを選択すれば、MOSFETトレーサ・テスト 定義メニューが開きます。 ステップ3. “ID-VDS”をクリックすれば、ID-VDS設定が表示されます。 ステップ4. SMUが図に示すとおりに設定されていることを確認します。 異なる場合は、ドレインおよびゲートSMUを適切に割り当て直し ます。 ステップ5. [Mode]リストをクリックして、VGSモードをVからVPULSEに 変更します。その他のパラメータは、図4-4に示すもの(以下の表の 内容)と同じにします。 • SMUの設定パラメータ SMUの名前、モード、機能は以下のように設定します。 図4-4. SMUリソースのId-Vdトレーサ・テスト ゲートSMU ID-VDSセットアップの例 56 Unit V name I Name Mode Function SMU2:MC VGS IG VPULSE VAR2 SMU3:UHC VDS ID VPULSE VAR1 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト X-Yスケールを設定するには 図4-5の番号に従って、以下の操作を行います。 X軸を設定するには: ステップ1. 最大Xスケール値をクリックします。 注記:クリックを検出する領域は非常に狭くなっています。ス ケール入力ボックスを表示するには、文字の部分を正確にクリッ クしてください。 ステップ2. [Horizontal Max.]入力ボックスが表示されます。 - 60 Vを 入 力 し、 入 力 ボ ッ ク ス のX印 を ク リ ッ ク す る か、 Enterキーを押します。 注記:他の部分をクリックすると、入力がキャンセルされます。 - 水平最大スケールが60 Vに変更されます。 Y軸を設定するには: ステップ3. 最大Yスケール値をクリックします。 ステップ4. [Vertical Max.]入力ボックスが表示されます。 - 500 Aを 入 力 し、 入 力 ボ ッ ク ス のX印 を ク リ ッ ク す る か、 Enterキーを押します。 - 垂直最大スケールが500 Aに変更されます。 X-Y最小値を設定するには: 上記と同じ手順を、最小スケールに対して繰り返します。 図4-5. Id-Vdトレーサ・テストのX-YスケールおよびVAR1パラメータの設定 [VAR1]メニュー を展開 マークなしのフィールド( がない もの)をドラッグすれば、メニュー・バー をスクロールできます。 電流コンプライアンスはテスト・フィ クスチャの最大電流制限値を超えない ように設定されています。 出力電圧コンプライアンスはテスト機 器の最大電圧制限値を超えないように 設定されています。 パルス遅延の設定:ゲート信号の低速 な立ち上がりに合わせるため、Var1に 対して10 μsを設定します。 パルス幅を60 μs ∼ 100 μsに設定し ます。 スケール入力ボックスを表示す るには、文字を正確にクリック してください。 57 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト VAR1を設定するには ステップ5. VAR1パラメータを設定します。 a. 下矢印アイコン をクリックすれば、VAR1フィールドが展開されます。 b. 以下のパラメータを設定します。 Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance LIN-SGL 0V 5V 21 Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Dual Polarity Hold Time 0V 10 us 100 us OFF 0s 1 501 A Pwr comp Output V Comp OFF 39 V ヒント:測定パラメータ入力フィールドをスクロールするには: c. パラメータ入力フィールドにマウス・カーソルを置くと、“Drag to scroll”というヒントが表示されます(図のdを参照)。 e. バーをドラッグすれば、マウス・カーソルが手の形に変わり、バーを スクロールして、見えない部分を表示することができます。 Var2を設定するには 図4-6の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ6. VAR2パラメータを設定します。 f. 下矢印アイコン をクリックすれば、VAR2フィールドが展開されます。 Start Stop NOS Compliance Pwr comp Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Hold Time 3.5 V 6V 6 100 mA OFF 0V 0s 120 us 0s g. 以下のパラメータを設定します。 注記: - メニュー・バーを上にスクロールするには、図4-5に示すようにバー をドラッグします。 - VAR2の[START:]には、ラボ1で測定したVthの値を入力します。 Vthは0.5 V単位に丸めます。例えば、Vth=3.1 Vの場合、3.5 Vを 入力します。 - VAR2の[STOP]には、 [START]に2.5 Vを加えた値を入力します。 これにより、[STEP]の値は500 mVになります。 58 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト 測定時間とパルス周期を設定するには ステップ7. [Meas. Time](積分時間)と[Pulse Period]を設定します。 h. 以下のパラメータを設定します。 Meas.Time 10 u ∼ 50 us Pulse Period AUTO ステップ8. テスト・セットアップに"ID-VD Pulse G" (ゲート・パルス付き Id-Vd測定の意味)などの固有の名前を付けて保存します。 図4-6. Id-Vdトレーサ・テストのVAR2および測定時間パラメータの設定 [VAR1]メニューを 展開 - VAR2の[START:] ラボ1で測定したVthの値を入力します。 Vthは0.5 V単位に丸めます。例えば、Vth =3.1 Vの場合は、3.5 Vを入力します。 - VAR2の[STOP]には、[START]に2.5 V を加えた値を入力します。これにより、 [STEP]の値は500 mVになります。 ゲート・パルス幅は、ドレイン・パル ス幅より20 ∼ 50 μs長く設定します。 59 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト デモ2-1-3. Id-Vd繰り返し測定を開始するには 図4-7の番号に従って、以下のように操作し、繰り返し測定を開始します。 ステップ1. テストを開始する前に、テスト・フィクスチャのカバーを閉じ ます。これは、大電流および高電圧による危険を防ぐためにき わめて重要です。 ステップ2. 繰り返し測定ボタン をクリックします。 ステップ3. 繰り返し測定が開始されます。 ステップ4. VAR1の[Stop]入力フィールドを強調表示して、アクティブ な状態にしておきます。 ステップ5. 回転ノブを右に回して、VAR1の掃引電圧を上げ、トレースの変 化を観察します。 ステップ6. 図4-7に示すように、Id-Vdリアルタイム掃引トレースが表示さ れます。 図4-7. Id-Vdトレーサ・テストの繰り返し測定 テスト・フィクスチャの 蓋を閉じます 60 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト 対話型掃引を実行するには 次の手順に従って、Id-Vd対話型掃引を実行します。 ステップ1. ストップ電圧が30 Vの場合、測定は途中まで進んでいます。 - 出力電圧コンプライアンスは39 Vに設定されており、最大掃 引ポイントはこの電圧より1測定ステップ上に制限されてい ます。 - VAR2の各掃引ステップでのVAR1の最終掃引ポイントは、 UHCUの出力抵抗と30 Vの出力電圧で決まる最大負荷直線に 制限されます。 ステップ2. この図には、VDを45 Vに上げたときのId-Vd曲線が表示されて います。VAR2ステップ1の最大掃引電圧は出力電圧コンプライ アンスによって約40 Vに制限されます。 ステップ3. VDを50 Vに上げます。VAR2のステップ2と3でブレークダウン に近い曲線が見られます。 ステップ4. これはVDストップ電圧が60 Vの測定です。これはUHCUの最大 パワーです。 ステップ5. VAR2のステップ1の掃引がMOSFETの最大VD仕様である40 V 付近で停止していることを確認します。 出力電圧コンプライアンス機能がなければ、MOSFETは破壊さ れるはずです。 ステップ6. もう1つ確認することは、Vd=60 Vの負荷直線がMOSFETの 100 μs SOAリミットをTc=25 ℃で超えていることです。 このレベルで測定を継続すると、まもなくMOSFETが永久的に損 傷します。 測定をこのレベルに数秒以上放置しないでください。あるいは、 このレベルの測定は実行しないようにしてください。 この測定を実行する代わりに、3.5 kWのパワー・コンプライア ンスを追加した測定を行ってみてください。 パワー・コンプライアンスを使用する測定についてはこの後で 説明します。 図4-8. Id-Vd対話型掃引 出力電圧 コンプライアンス 出力電圧コンプライア ンスにより、Idを増やし ても最大Vdリミットを 超えません。 ブレークダウン 近傍 Vdの 最大定格 SOA(100 μs)ライン Var2 出力の負荷直線 ステップ6 R=120 mΩ(500 Aレンジ) Var2ステップ5 出力電圧 コンプライアンス Var2ステップ4 SMUパワーアンプ Var2ステップ3 の出力電圧 Var2ステップ2 Var2ステップ1 61 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト 注記:このテストを1,500 Aレンジで実行すれば、高い確率でデバイスが損傷し ます。 ◆ デバイスの損傷を防ぐには: ● 最大ストップ電圧を30 Vに維持します。 注記:40 Vのストップ電圧のデータは単なる参照用です。 1,500 Aレンジの使用 ドレインUHCUの電流コンプライアンスが500 Aを超える場合(501 Aなど)、 電流レンジは1,500Aレンジに切り替わります。 UHCUの出力抵抗は40 mΩに切り替わり、最大許容電流が500 Aレンジに比 べて3倍に増えます。 図4-9の赤い線は、100 μsパルス幅での動作の安全動作領域(SOA)を示して います。 図からわかるように、Id-Vd曲線の一部はSOAを超えています。 デモ・デバイスを破壊しないため、最大ストップ電圧を30 Vを超えないよう にしてください。 次のページに、SOAリミットを超えたためにデバイスが損傷した例を示します。 図4-9. Id-Vd対話型掃引 出力抵抗=40 mH (1500 Aレンジ、ストップ 電圧=40 V)の負荷直線。 出力電圧 コンプライアンス 501 Aの電流 コンプライアンス・リミット 30 Vを 超えないこと。 Vdの 最大定格 500 Aの電流コンプラ イアンスを超えると 1,500 Aレンジに切り 替わります。 SOA 100 μsライン Vd=40 VでDUTを保護するには、 おそらくPW<30 μsが必要です。 62 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト デモ2-1-4. トレース再生機能を使用したデバイス損傷トレース トレース再生機能を使用すれば、測定トレースを記録してリコールできます。 図4-10にトレース再生機能の例を示します。これは、前のページのように過大 なパワーを印加したためにIRFP4004PgF MOSFETが損傷した瞬間を記録した ものです。 トレース再生を使用するには 次の手順に従って、掃引が停止した後にトレース再生機能を使用します。 ステップ1. トレース再生アイコンをクリックします。 ステップ2. トレース再生ウィンドウが開きます。 ステップ3. スライドバーを動かして、記録されたトレースを再生できます。 レコードをファイルに保存して、後でリコールできます。 以下に示すのは、デバイスが損傷したときのトレースです (例のみ)。 ステップ4. このトレースは、VD=38.7 VおよびID=365 Aでデバイスが損 傷したときの掃引を示しています(マーカ・データを参照)。 注記:マーカ機能は再生トレースでも使用できます。 注記:デバイス損傷時のパワーは38.7 V×365 A=14 kWで、 100 μsでの許容値3.5 kWをはるかに超えています。 ステップ5. おそらく、接合部が熱で損傷し、デバイスがショートしたと思 われます。 このポイントでの電流と電圧は、1,200 Aと5.3 Vです。 ブレークダウン速度があまりにも速かったため、電流コンプラ イアンスで電流を制限できませんでした。 ステップ6. 次の掃引トレースが表示されます。 明らかに、MOSFETが損傷してショート・モード不良を起こし ていることがわかります。 図4-10. デバイスの損傷の瞬間を捕捉したトレース再生の例 トレース再生 63 第4章 デモ2-1:Id-Vdトレーサ・テスト デモ2-1-5. パワー・コンプライアンスを3.5 kWに設定するには 前のページでは、パルスド測定でも過大なパワーを印加するとMOSFETが破壊 されることを例で示しました。 測定セットアップで適切なパワー・コンプライアンスを設定すれば、SOAリミッ トの超過を防ぎ、デバイスの損傷を避けられる可能性があります。 図4-11に、パワー・コンプライアンスの設定例と、3,500 Wのパワー・コンプ ライアンスでの測定曲線を示します。 図からわかるように、100 μsパルスのSOA領域は3.5 kWにパワー制限された 測定曲線と重なっていて、40 mΩの負荷直線内部にも制限されています。 ◆ パワー・コンプライアンスを設定するには - VAR1パラメータの[Pwr Comp.]フィールドを図4-11のように設定し ます。 電流コンプライアンス、パワー・コンプライアンス、電圧コンプライアンスの 効果 図4-11に、電流コンプライアンス、パワー・コンプライアンス、電圧コンプラ イアンスの3種類のコンプライアンス設定を示します。 • 出力電圧コンプライアンス 大電流、低電圧でデバイスを測定することもできますが、小電流領域での最 大電圧制限値も考慮する必要があります。出力抵抗での電圧効果が小さいた め、より高い電圧が印加されるからです。出力電圧コンプライアンスを使え ば、小電流領域での高電圧を制限できます。 • 電流コンプライアンス 電流コンプライアンスは、デバイスの最大電流定格を超えないために使用し ます。 図4-11. 3.5 kWのパワー・コンプライアンス、出力電圧コンプライアンス、電流コンプライアンス 501 Aの電流 コンプライアンス・ リミット 3.5 kWのパワー・ コンプライアンス (=SOA 100 μsライン) 出力電圧 コンプライアンス Vdの 最大定格 パワー・コンプライアンス を3.5 kWに設定 64 第4章 デモ2-2:オシロスコープ・ビュー デモ2-2 オシロスコープ・ビューによるId-Vdトレーサ・テスト測定 目的 オシロスコープ・ビュー・デモの目的は、オシロスコープ・ビュー機能を使用 して、波形を解釈し、パルス設定パラメータが適切かどうかを判定することです。 問題が見つかった場合は、修正措置することが望まれます。 以下の内容を説明します。 • オシロスコープ・ビューの設定方法 • オシロスコープ・ビューの結果の使用方法 デモ2-2-1. デモ・デバイスとデモ・セットアップ デモ2-1. Id-Vdテストと同じデバイスと設定を使用します。 デモ2-2-2. オシロスコープ・ビューとは EasyEXPERT(リビジョン5以降)は、B1505Aでオシロスコープ・ビューをサ ポートしています (図4-12を参照) 。これにより、パルス測定波形を2 μsの分解 能でモニタできます。 これには以下の機能があります。 • 電流/電圧曲線とパルス波形を同時に表示できます。 • 任意のポイントで波形測定パルスをモニタできます。 • マーカ・ラインで電圧と電流を読み取れます。 • 測定中にパルス測定条件を変更し、結果の波形をリアルタイムに確認でき ます。 ドレイン/コレクタに印加された大電流信号は、寄生成分(ケーブルのインダク タンスなど)の影響により歪むことがあり、このような寄生成分のために予期し ない測定結果が生じることがあります。 オシロスコープ・ビューを使えば、正確な波形形状と、ドレインおよびゲート 信号の相対位置を観察することにより、このような問題を防ぐことができます。 これにより、タイミング・パラメータを調整して、最適な測定条件を実現でき ます。 オシロスコープ・ビューを使えば、デバッグ時間が短縮するとともに、測定デー タの品質が向上します。 65 第4章 デモ2-2:オシロスコープ・ビュー デモ2-2-3. オシロスコープ・ビューの設定方法 図4-12に、Id-Vdトレーサ・テスト測定のオシロスコープ・ビューの例を示し ます。 指定した測定ポイントの出力電圧および電流の波形をモニタできます。 パルスド測定では、パルス波形、パルス電流、およびパルスド信号の測定ポイ ントの関係を確認することが、測定品質を確保する上で非常に重要です。 ◆パルス波形をモニタするには ステップ1. オシロスコープ・ビュー・アイコンをクリックします。 ステップ2. オシロスコープ・ビュー・ウィンドウが開きます。 オシロスコープ・ビューのパラメータをクリックすることによ り、ほとんどのパラメータを変更できます。 ステップ3. サンプリング・パラメータの選択とパラメータの設定は、ビュー のメニューから実行できます。 ステップ4. マーカ・フィールドには、マーカ位置の時刻と読み値が表示され ます。 ステップ5. 各パラメータのスケールが表示されます。 図4-12のオシロスコープ・ビューには、電流/電圧曲線上でマー クされたVar2のステップ3の16番目のVar1掃引ポイントのVDS 波形が表示されています。 図4-12. パルスドId-Vd:オシロスコープ・ビューの例 オシロスコープ・ビュー マーカ・ライン 66 第4章 デモ2-2:オシロスコープ・ビュー ◆ オシロスコープ・ビューのパラメータの設定方法 オシロスコープ・ビューを設定するには、図4-13の番号に従って、以下の操 作を行います。 ステップ1. [Data]メニューをクリックします。 ステップ2. オシロスコープに表示するパラメータをクリックします。 ステップ3. ポップアップ・メニューが1つずつ閉じ、選択したパラメータが マーカ表示フィールドに追加されます。 2と3の作業を繰り返して、表示するすべてのパラメータを設定 します。 ステップ4. スケール・パラメータもこの領域に表示されます。 ステップ5. サンプリング・ポイント・パラメータを設定するには、マーカ 表示フィールドをクリックします。 ステップ6. 時間スケールを変更するには、s/divフィールドをクリックしま す。 ステップ7. 時間原点を変更するには、時間原点の数値をクリックします。 ステップ8. 図の4のフィールドのパラメータまたは[Setup]メニューをク リックすれば、垂直スケール設定ウィンドウが表示されます。 各パラメータ・ウィンドウには、上から、垂直スケール、中央 基準レベル、ライン・カラーが表示されます。 これらの垂直スケール・パラメータを設定するには、各パラメー タをクリックします。 図4-13. オシロスコープ・ビューのパラメータの設定方法 1つずつ選択 67 第4章 デモ2-2:オシロスコープ・ビュー ◆オシロスコープ・ビューまたは波形モニタの使用方法 図4-14に、オシロスコープ・ビューの表示方法の例を示します。 図4-14の番号に従って以下の手順を実行し、波形を表示します。 ステップ1. オシロスコープ・ビュー・パラメータが図の1に表示されます。 ステップ2. 表示するデータ・ポイントが図の2に表示されます。ここでは 7番目のVar2ステップの27番目のVar1掃引ポイントです。 ステップ3. データ・ポイントがグラフに表示されます(図の3を参照) ステップ4. Var1のパルス遅延と幅は、それぞれ10 μsと80 μsです。 ステップ5. オシロスコープ・ビューにVDS、ID、VGSが表示されます。 ステップ6. オシロスコープ・ビューは図のように拡大できます(図の5を参 照)。 a. トレース・カラーとマーカ・ポイントの値が表示されています。 b. 水平スケールを変更するには、値をクリックします。 c. 水平軸中央の時間を変更するには、値をクリックします。 d. マーカを設定するには、グラフ上の任意のポイントをクリッ クします。 e. 緑のラインは、測定時間ウィンドウを示しています。 f. この領域は、各パラメータのトレースの振幅とオフセット(測 定曲線のシフト)を表示しています。 図4-14. オシロスコープ・ビューの使用方法 マーカ・ライン トレースと同じ色で マーカの読み値を表示 −30 μs 68 - 各パラメータの 振幅とオフセット 0 μs 第4章 デモ2-2:オシロスコープ・ビュー g. 実際のサンプリング開始時間を示しています(図の2で設定され た遅延)。 h. オプション: Var2ステップを"EACH"に変更した場合、波形モニタは各Var2 ステップの指定したVar1掃引ポイントで更新されます。 ステップ7. オシロスコープ・ビューのデータは、テキストとグラフィックの両 方の形式で保存できます。 セットアップ・データは、テスト・セットアップ・データの中に保 存されます。 注記:独立したセーブ/リコール機能はありません。 69 第4章 デモ2-2:オシロスコープ・ビュー デモ2-2-4. ◆ヒント:オシロスコープ・ビューの波形でVar1のパルス遅延を設定する方法 図4-15に、波形を使用してVar1のパルス遅延時間を設定する方法の例を示しま す。図4-15に示す番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. Var1のドレイン・パルス遅延を、10 μ( s 図4-14の設定)から0 μs (ゲート・パルス遅延が0 μsなので、ゲート・パルスに対する遅延 なし)に変更します。 パルス幅は同じです。 ステップ2. 波形を表示するデータ・ポイントがグラフに表示されます (図の2 を参照) ステップ3. 拡大されたオシロスコープ・ビューが表示されます。 注記:サイズを変更するには、オシロスコープ・ビューのメニュー で[Window]を選択するか、ウィンドウをドラッグします。 ステップ4. ドレイン電圧パルス (緑)は、赤い丸で囲まれた波形の付近で、ゲー ト・パルスよりも早くVthに達しています。 電流が比較的小さい(100 A未満のオーダ)ので、UHCU出力抵抗で の電圧降下が小さく、ドレインに高い電圧が印加されています。 ステップ5. 予想通りの大きいドレイン電流が低下して落ち着くまで、ドレイン 電圧は徐々に減少し、UHCU出力抵抗の負荷直線、UHCUの出力 電圧 (45.5 V)、およびMOSFETのインピーダンスで決まる電圧ま で下がります。 ステップ6. 遅延を変更し(<20 μsなど)、波形がどのように変化するかを確認 します。 このように、パルス・パラメータを制御することにより、デバイスに印加され る電圧を制御できます。 この例では、予想以上に大きい過渡電圧が印加されてデバイスを損傷するのを 避けることができます。 図4-15. オシロスコープ・ビューの波形の使用方法 −30 μs 70 0 μs 第4章 デモ2-3:Rdsオン特性 デモ2-3. Rdsオン特性 デモ2-3-1. Rdsオン特性(Rdsオン対Id) デモ2-3-2. Rdsオン特性(Rdsオン対Vg) Rdsオンのデモの目的は、以下の点について理解していただくことです。 • UHCUは電流源として動作でき、Rdsオン測定では電流源をドレインに接続 目的 するのが普通です。 • 数値演算機能によってRdsがリアルタイムで計算され、カーブトレーサ表示 にRdsを表示できます。 注記: 従来のカーブトレーサは、電圧源モードしかないため、一定の電流を印加 することは不可能でした。従来は、この測定には、非常に高価な製造用パ ワー・デバイス・テスタが必要でした。 しかし、B1505AのUHCUを使えば、この測定が簡単に行えます。 ◆Rdsオン特性の測定方法 Rdsを計算するには、図4-16に示すように2つの方法があります。 このデモでRdsオン抵抗の抽出に使用する計算式は、Rds=Vds/Id (図4-16 に示す1つめの方法)です。 Rdsの計算には、新しい数値演算機能を使用します。 注記: 1. デルタ関数を使用する2つめの方法は、トレーサ・テスト・モードで はサポートされていません。 2. デルタ関数は、クラシック・テスト・モードで使用できます。 トレーサ・テスト・セットアップは、クラシック・テスト定義に容 易に変換できます。詳細については、第10章を参照してください。 図4-16. Rdsオン特性 Rdsオンを抽出する2つの方法: • Rds=Vds/Id、RがIdに対して線形な場合 または • Rds=delta Vds/delta Id、RがIdに対して非線形な場合 予想Rds<2 mΩ I comp>501 Aに設定して40 mΩを使用 Vd掃引条件: • 以下を仮定: - 合計R=50 mΩ - 最大Id=300 A IRFP4004PbF: Rds(on) (Id=195 A、Vg=10 V) 代表値1.34 mΩ、 最大値1.7 mΩ Vd max=50 mΩ×300 A=15 V 71 第4章 デモ2-3:Rdsオン特性 ◆ デモ・デバイス このデモでは、IRFP4004 PbFパワー MOSFETを使用します。 Rds(オン)仕様はセクション2-3および4、デモ2-1に示されていて、最大 1.7 mΩ(Vgs=10 VおよびId=195 A)です。 デモ2-3-1. Rdsオン特性(Rdsオン対Id) ◆ Rdsオン対Id (Rds_on - Id)トレーサ・テスト・セットアップと測定 Rdsオン対Id特性を測定するには、ドレイン・ソースに対してVフォース掃引測 定を使用します。UHCUは出力抵抗を内蔵しているため、実際の電圧とドレイ ン電流は、MOSFETのオン抵抗によって決まります。 図4-17に示す番号に従って、以下の手順を実行します。 ステップ1. [Sample setups]メニューで[MOSFET -> Id-Vds]を使用します。 ステップ2. VAR1パラメータを以下のリストに従って設定します。 Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance Pwr comp Output V Comp LIN-SGL 500 mV 10 V 21 1 501 A 3.5 kW 2V Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Dual Polarity Hold Time 0V 0s 100 us OFF 0s 図4-17. Rdsオン - Idテストの設定 変更する対象をクリック。 500 mVから>10 Vまでの手動掃引 72 第4章 デモ2-3:Rdsオン特性 ステップ3. VAR2パラメータを以下のリストに従って設定します。 Start Stop NOS Compliance Pwr comp 10 V 10 V 1 100 mA OFF ステップ4. Meas.パラメータを設定します。 - Meas.Timeを50 usに設定します。 ステップ5. ツールバー・メニュー ->[Option]->[Arithmetic Operation] ->[Operation 1]をクリックして、Arithmetic Operation 1を 表示します。 ステップ6. 以下の式を設定します。 RDSon [ohm]=VDS/ID 対象をクリックして名前を編集するか、演算を変更します。 ステップ7. Y軸をRDSonに、X軸をIDに変更します。 ステップ8. Y軸最大値を2 m (Ω)に変更します。 ステップ9. X軸最大値を250 Aに変更します。 ステップ10.[Setup Name]を"RDS0n ID-VGS"に変更します。 ステップ11. シングル測定ボタンを押して測定を開始するか、手動で掃引します。 図4-18のような測定曲線が得られるはずです。 測定が終われば、図4-18の手順を実行してRdsを抽出します。 ステップ1. マーカをクリックします。 ステップ2. 測定のスタート・ポイントにマーカが表示され、マーカ・データが 表示されます。 ステップ3. マーカをId=195 A付近に移動します。 ステップ4. マーカ読み値からRds(on)を読み取ることができます。 注記:VAR1ステップを増やして測定ポイントの数を増やすと、目 標の195 Aに近い値が得られます。 図4-18. Rdsオン対Id特性 マーカ読み値: • Rds(on)=1.65 mΩ (Id= 195 A) 73 第4章 デモ2-3:Rdsオン特性 注記:(図の4を参照) スタート電圧は0 Vにはしないでください。理論的には、R=V/IでI=0 A、 V=0 Vなので、抵抗が無限大になります。 また、SMUのオフセット電圧およびオフセット電流を考慮すれば、測定エラー を無視できるレベルまで下げるために、スタート電圧をストップ電圧の1/10 程度に設定するのが良いでしょう。 確認 • 測定されたオン抵抗は1.65 mΩで、最大仕様制限値の1.7 mΩ以下でした。 • フィクスチャ・ソケットへのMOSFETの挿入高さを変えて、もう一度測定を 実行してみてください。 リードを深く挿入すれば、測定される抵抗値は小さくなるはずです。これは、 ドレイン端子とソース端子のリード抵抗が測定に含まれるからです。 注記:フィクスチャ・ソケットはケルビン接続を採用しているため、フィク スチャ・ソケットとMOSFETのリードとの間の接触抵抗の影響はわずかです。 74 第4章 デモ2-3:Rdsオン特性 デモ2-3-2. Rdsオン特性(Rdsオン対Vg) パワー MOSFETのデータシートには、通常Rdsオン特性がRdsオン対Vgで記載 されています。 このセクションでは、このテスト手法を紹介します。 ◆ Rdsオン対Vg (Rds_ON - Vg)トレーサ・テスト・セットアップと測定 Rdsオン対Vg特性を測定するには、ドレインに対してIフォース・モードを使用 し、ゲートを掃引します。UHCUには電流源の機能があるので、この測定は簡 単に実行できます。 図4-19に示す手順に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [Sample setups]メニューで[MOSFET -> Id-Vgs]を使用します。 ステップ2. VAR1パラメータを以下のリストに従って設定します。 Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance Pwr comp Output V Comp LIN-SGL 0V 10 V 51 1 100 mA OFF OFF 図4-19. Rdsオン - VGSテストの設定 変更する対象をクリック。 75 第4章 デモ2-3:Rdsオン特性 ステップ3. VAR2パラメータを以下のリストに従って設定します。 Start Stop NOS Compliance Pwr comp V Compliance 50 A 200 A 4 30 V OFF OFF Pulse base Pulse Delay Pulse Width Hold Time 0A 0s 1 ms 0s ステップ4. Meas.パラメータを設定します。 - Meas.Timeを500 usに設定します。 ステップ5. ツールバー・メニュー ->[Option]->[Arithmetic Operation] ->[Operation 1]をクリックして、Arithmetic Operation 1を 表示します。 ステップ6. 以下の式を設定します。 Rd [ohm]=VDS/ID 対象をクリックして名前を編集するか、演算を変更します。 ステップ7. Y軸をRdに変更します。 ステップ8. Y軸最大値を10 m (Ω)に変更します。 ステップ9. [Setup Name]をRd-VGSに変更します。 ステップ10. シングル測定ボタンを押して測定を開始するか、手動で掃引します。 図4-20のような測定曲線が得られるはずです。 図4-20. Rd-VGS特性 数値演算 マーカ読み値: • Rds(on)=1.625 mΩ (Id= 50 A ∼ 200 A) マーカ 76 第4章 デモ2-3:Rdsオン特性 測定が終われば、以下の手順を実行してRdsを抽出します。 ステップ1. マーカをクリックします。 ステップ2. 測定のスタート・ポイントにマーカが表示され、マーカ・データが 表示されます。 ステップ3. マーカをVGS=10 V付近に移動します。 ステップ4. マーカ読み値からRd onを読み取ることができます。 値は1.625 mΩです。 この例のRdsオンの値は、Vg=10 VではId電流の50、100、150、 200 Aの4つの値に対してほぼ同じです。 確認 • Rd-Vgグラフでは、MOSFETがドレイン電流に応じてVg=5.5 ∼ 6 V付近で オンになることがわかります。 • Vgが10 Vまで上がると、Rd onは約1.6 mΩに収束します。 測定結果は、デモ2-3-1の結果とデータシートの仕様と一致します。 77 第4章 デモ2-4:Ic-Vcトレーサ・テスト(IGBT) デモ2-4. トレーサ・テストによるIGBT Ic-Vc測定 IGBTテストがデモ2-1に示したパワー MOSFETのデモと同じであるのを示すこ とです。詳細についてはセクション4-4のデモ2-1を参照してください。 目的 デモの前に テスト・モジュールとB1505Aをケーブルで接続し、EasyEXPERTの設定 を確認してください。 ◆デモ・デバイスを設定するには デモIGBTを次の図に示すようにフィクスチャにセットします。 デバイス FGA180N33ATD IGBT デバイスのSOA領域、容量、飽和特性の概要を以下に示します。デバイス の仕様については、セクション2-3を参照してください。 容量対Vce 容量(pF) 最大安全動作領域 注記: Tc=25 ℃ Tj=150 ℃ 単一パルス 飽和電圧対Vge コモン・エミッタ Tc=25 ℃ 78 第4章 デモ2-4:Ic-Vcトレーサ・テスト(IGBT) デモのセットアップ FGA180N33ATD IGBTに対するIc-Vcトレーサ・テストの設定は、デモ2-1 のHCパワー MOSFETの場合とほぼ同じです。 以下に示すIGBT固有の設定以外の部分については、基本的にデモ2-1を参照 してください。 ◆ SMUリソースを設定するには ステップ1. [Sample setups]メニューをクリックして、[Sample setup] メニューを表示します。 ステップ2. [IGBT]カテゴリを選択すれば、IGBTトレーサ・テスト定義メ ニューが開きます。 ステップ3. "IC-VCE"セットアップをクリックして、IC-VCE設定を表示し ます。 ステップ4. SMUが図に示すとおりに設定されていることを確認します。 異なる場合、ドレインおよびゲートSMUを適切に割り当て直し ます。 ステップ5. [Mode]リストをクリックして、VGEモードをVからVPULSE に変更します。その他のパラメータは、以下の図に示すものと 同じにします。 IC-VCE設定 ◆ X-Yスケールを設定するには デモ2-1の図4-5に従って、X-Yグラフを設定します。 ◆ VAR1およびVAR2パラメータを設定するには VAR1、VAR 2、Meas.Timeパラメータを、以下の表のように設定します。 VAR1 Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance Pwr comp Output V Comp LIN-SGL 0V 5V 21 1 501 A 7 kW OFF Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Dual Polarity Hold Time 0V 20 us 80 us OFF 0s 79 第4章 デモ2-4:Ic-Vcトレーサ・テスト(IGBT) VAR2 Start Stop NOS Compliance Pwr comp Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Hold Time 6V 11.5 V 7 200 mA OFF 0V 0s 150 us 0s Meas. Delay Meas. Time Pulse Period AUTO 6 us AUTO 注記: VAR2のスタート電圧とストップ電圧は、測定中にデモIGBTのVthに応じて調 整します。 測定と結果 1. シングル測定ボタンをクリックします。 2. 測定が終われば、図4-21のような出力が得られるはずです。 ◆ 確認 1. V Complianceを設定する必要はありません。デモIGBTのブレークダウン電 圧は330 Vで、UHCUの最大電圧(=60 V)よりもはるかに高いからです。 2. デモIGBTのSOAは100 μs幅のパルスド・コレクタ電流で約7 kWなので、 RFP4004 MOSFETに比べてUHCUのパワー・レンジをより広く使います。 図4-21. IC-VCE特性 7 kWパワー直線 40 mΩ負荷直線(VC=50 V) 120 mΩ負荷直線(VC=60 V) 80 第4章 デモ2-5:Vce(sat)特性(IGBT) デモ2-5. Vce (sat)特性 目的 Vce(sat)デモの目的は、以下の点について理解していただくことです。 • UHCUは電流源として動作でき、Vce(sat)測定では通常電流源をコレクタに 接続します。 • B1505AはVce(sat)パラメータを容易に測定できます。 注記: 従来のカーブトレーサは、電圧源モードしかないため、一定の電流を印加 することは不可能でした。従来は、この測定には、非常に高価な製造用パ ワー・デバイス・テスタが必要でした。 しかし、B1505AのUHCUを使えば、この測定が簡単に行えます。 ◆Vce(sat)特性の測定方法 一定の電流を印加しながら、ゲートを掃引します。 UHCUの出力には出力抵抗が内蔵されているため、最大電圧コンプライアン ス値を測定の前に求めるのが望ましいといえます。 図4-16に、計算の例を示します。 ここでは、一定の電流を印加するために500 Aレンジを使用します。この場合、 UHCUの出力抵抗は120 mΩです。 図4-16の右下の囲みに示すように、約250 Aの電流を印加するためのUHCU の最大電圧要件は32 Vです。これは、コレクタ電流の仕様条件の180 Aに多 少のマージンを持たせた値です。 図4-16. Rdsオン特性 VまたはI Vcを測定 Icフォース Iフォース Rc: 120 mΩ (500 Aレンジ) 時間 Ic-Vc測定 測定条件: - Ic=40 A、Vge=15 V Vce(sat)最大値=1.4 V - Ic=180 A、Vge=15 V Vce(sat)代表値=1.68 V Ic SMU測定条件:Vc comp - Vc:最小2 V - Rc:120 mΩ - I最大掃引:250 A(>180 A) Vc comp=2 V+0.12 Ω×250 A ≧32 V 81 第4章 デモ2-5:Vce(sat)特性(IGBT) ◆ デモ・デバイス このデモでは、FGA180N33ATD IGBTを使用します。 Vce(sat)仕様は、セクション2-3および4、デモ2-4に示されています。VCE (sat)は、代表値1.68 V (Ic=180A)です。 デモ2-5. Rdsオン特性(Rdsオン対Id) ◆ Vce (sat)トレーサ・テスト・セットアップと測定 図に示す番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [Sample Setups]->[IGBT]->[IC-VGE]をクリックします。 ステップ2. SMU3:UHCの[Mode:]を”VPULSE”から”IPULSE”に変 更します。 ステップ3. VAR1パラメータを以下のリストに従って設定します。 Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance Pwr comp Output V Comp LIN-SGL 0V 10 V 51 1 100 mA OFF OFF ステップ4. VAR2パラメータを以下のリストに従って設定します。 図4-17. Vce (sat)テストの設定 82 Start Stop NOS Compliance Pwr comp V Compliance 40 A 180 A 3 60 V OFF OFF Pulse base Pulse Delay Pulse Width Hold Time 0A 0s 200 us 0s 第4章 デモ2-5:Vce(sat)特性(IGBT) ステップ5. [Meas.Time]を100 usに設定します。 ステップ6. Y軸の表示パラメータをICからVCEに変更します。 ステップ7、8. X軸とY軸の最大スケールを20 Vに変更します。 ステップ9. 繰り返し測定ボタンをクリックします。 ステップ10. Var1のストップ値をクリックし、パラメータが変更できるよう にします。 ゲート電圧を20 Vまで徐々に上げます。 図4-18のように、Vce(sat)曲線が得られます。 ◆ Vce(sat)電圧を解析するには ステップ11. マーカ・ボタンをクリックすれば、掃引のスタート・ポイント にマーカが表示されます。 ステップ12. いちばん上のラインの15 V(VAR2=180 A)の位置にマーカを 移動します。これはこのIGBTのVce(sat)測定条件です。 ステップ13. Vce(sat)を読み取ります。 この例では値は1.736 Vであり、IC=180 Aでの代表値(1.68 V) に非常に近い値です。 確認 Vce(sat)のグラフから、ゲート電圧が高くなれば、ゲート電圧が仕様の15 Vを 超えても、飽和電圧が低くなることがわかります。 注記:最大Vge仕様は30 Vです。 測定された曲線は、デモ2-4の先頭に示されたデータシートの曲線と一致してい ます。 図4-18. Vce (sat)解析 マーカ 83 第4章 デモ2 デモ2のまとめ デモ2では、以下の内容について扱いました。 デモ2-1. Id-Vdトレーサ・テスト • 大電流MOSFETを使用したId-Vdトレーサ・テスト。 • テスト・フィクスチャにワイヤとデバイスをセットする方法。 • EasyEXPERT設定ウィンドウでUHCUを設定する方法。 • サンプル・メニューでトレーサ・テストを設定する方法。 • 対話型トレーサ・テスト・モード掃引の実行方法。 • 3つのコンプライアンス・モードの使用方法: - 電流コンプライアンス - 電圧コンプライアンス - パワー・コンプライアンス • トレース再生機能の使用方法。 デモ2-2. オシロスコープ・ビュー • オシロスコープ・ビューの設定方法と使用方法。 • 電圧および電流波形の4チャネルの同時モニタはユニークな機能であり、 B1505Aのカーブトレーサ・モードでのみ使用できます。 (sat)特性 デモ2-3. Rdsオン特性、デモ2-5. Vce • これらの測定は電流源モードを使用するもので、B1505Aでのみ可能です。 • デモでの最大電流は約200 ∼ 300 Aでしたが、適切なデバイスとテスト・ソ ケットを用意すれば1000 A以上にまで拡大できます。 デモ2-4. Ic-Vcトレーサ・テスト(IGBT) • このデモの測定はパワー MOSFETとほぼ同じですが、テスト・セットアッ プの例はIGBTサンプル・メニューから選択します。 • 市 販 のIGBTモ ジ ュ ー ル は1500 A UHCUに 適 し た タ ー ゲ ッ ト で あ り、 N1265Aのワッシャ・プラグにテスト・リードで接続できます。 84 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 第5章 デモ3: Id-VgsおよびIc-Vge伝達特性 アプリケーション・テスト・モードでのUHCUによる超大電流測定 内容 5-1. デモのセットアップと伝達特性の概要 5-デモ3-1. Id-Vg伝達特性(アプリケーション・テスト) 5-デモ3-2. Ic-Vg伝達特性(アプリケーション・テスト) 目的 この章に示すテストは以下のとおりです。 1. Id-Vgアプリケーション・テスト(HC MOSFET) 2. Ic-Vgアプリケーション・テスト(IGBT) この章の目的は、上記のテストを実行し、アプリケーション・テスト・モード を使用してB1505Aのテスト・シーケンス・プログラミング機能を理解するこ とです。 機能 • Id-VgまたはIc-Vg測定には、ドレインまたはコレクタ電源に定電圧源が必要 です。 しかし、カーブトレーサ・モード (UHCU)では、電源の出力抵抗による電圧 降下があるため、これは困難です。抵抗を流れる電流は測定前には知られて いないので、抵抗による電圧降下の値は不明です。 • B1505Aに付属するEasyEXPERTアプリケーション・テスト定義を使えば、 アプリケーション・テスト・モードのプログラミング機能を利用してこの問 題を解決できます。 デモ3では以下のデバイスを使用します。 • IPFP4004 PbF HC MOSFET • FGA180N33ATD IGBT N1265Aフィクスチャ内部の配線とデバイス設定 セクション3-1および図3-1と同じセットアップを使用します。 エクスパンダ用のEasyEXPERTの設定 セクション4-2またはデモ2と同じ構成を使用します。 85 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 5-1. Id-Vg伝達特性の測定方法 図5-1に、UHCUによる基本的な測定のブロック図と、Id-Vgs測定の結果を示し ます。 一定のVdで行うId-Vgsテストでは、パワー MOSFETの利得(ゲート電圧からド レイン電流への伝達特性)を調べることができます。 デモ3では、サンプル・アプリケーション・テスト定義により、一定のVdでの Id-Vgsテストが可能なことを紹介します。 エクスパンダ用Id-Vgsアプリケーション・テストの背景にある基本的な考え方 を次に説明します(説明は飛ばしていただいてもかまいません)。 以下のステップ番号を順にたどり、図5-1の対応する番号を参照しながら、説明 をお読みください。 ステップ1. UHCU出力には直列出力抵抗があるため、コレクタ電流が不明 な場合、UHCU出力から一定の電圧を出力することはできませ ん。これは、 UHCUの出力抵抗Rdによる電圧降下があるためです。 ステップ2. Id-Vgs曲線は、ステップ3に示すサンプリング・ポイントの再プ ロット・ポイントに相当します。 ステップ3. これはId-Vds測定曲線のVdsのサンプリング・ポイントです。 ステップ4. UHCUの 出 力 電 圧 は、 実 際 に は、Rd、UHCUの 設 定 電 圧、 IGBTの出力インピーダンスで決まる負荷直線に従ってコレクタ に印加されます。 図5-1. エクスパンダ用Id-Vgアプリケーション・テストの内部動作 電圧 Idを測定 時間 Vdパルス(一定) Rd:40 mΩ(1500 Aレンジ) (Id comp>501 A) 120 mΩ(500 Aレンジ) (Id comp≦500 A) VdsでのId-Vds サンプリングの 再プロットは 定電圧。 掃引1 掃引1のスタート電圧でのRdによる 負荷直線 86 掃引2 Rdによる電圧降下 掃引3 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 ステップ5. UHCUに設定された電圧は、Rdによる電圧降下の分だけコレクタ・ ピンでの電圧と異なります。 ステップ6. ターゲットVdsでのIdを抽出するには、任意のVgステップでの Id-Vds測定曲線から一定のVdsでのIdを求めます。 ステップ7. 図5-1に示すようにさまざまなVgでId-Vgs掃引を繰り返すことによ り、正確なId-Vgs測定が行えます。しかし、SMUで直接Id-Vgを測 定するよりも多少時間はかかります。 ステップ8. B1505Aには、この方法によるEasyEXPERTアプリケーション・ テストが用意されています。 87 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 デモ3-1:Id-Vgs伝達特性 • 一定のVdで行うId-Vg伝達特性測定は、電源に出力抵抗があっても可能であ 目的 ることを理解すること。 • データ・ディスプレイ(出力データ)ウィンドウに解析結果を追加できること を経験すること。 デモ3-1-1. デモ・デバイス 以下の図のように、IRFP4004PbFを3ピン・インライン・ソケットにセットし ます。 デバイス G:ゲート D:ドレイン S:ソース C:コレクタ E:エミッタ IRFP4004 HC MOS デモ3-1-2. デモ・セットアップ 図5-2に 示 す 番 号 に 従 っ て、 以 下 の 作 業 を 実 行 し、IRFP4004PbFに 対 す る Id-Vgアプリケーション・テストを設定します。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [IGBT]および[PowerMOSFET]カテゴリを選択します。 ステップ3. 検索フィールドに“Ex”と入力すれば、名前に“ex”が含まれ るアプリケーション・テスト定義だけが[Library]フィールド に表示されます。 ステップ4. “Id-Vgs for Expanders”をクリックして選択すれば、アプリ ケーション・テストGUIが表示されます。 図5-2. Id-Vgsアプリケーション・ テスト IGBTおよびPowerMOSFET カテゴリ "Ex"でフィルタ 88 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 デモ3-1-3. テスト・パラメータの設定 図5-3に示す手順に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. 図5-3に示す入力場所を参照して、以下の表のテスト・パラメー タを入力します。 デバイス・パラメータ: Polariy Y1AxisIdMin Y1AxisIdMax Y2AxixGfsMin Y2AxixGfsMax Nch 0A 500 A 0S 500 S テスト・パラメータ:ゲートSMU2:MC VgsStart VgsStop VgsStep IgLimit VgsBase VgsWidth VgsDelay 3V 8V 200 mV 1A 0V 100 us 0s テスト・パラメータ:ドレインSMU3:UHC Vds IdLimit VdsBase VdsWidth VdsDelay Pulse P Mode Man P Period Meas Time Pulse Ave Count 10 V 501 A 0V 70 us 10 us AUTO 100 ms 10 us 1 ステップ2. [Extended Setup]をクリックして、 [Extended Setup]ウィ ンドウを開きます。 図5-3. Id-Vgアプリケーション・テストのパラメータ [Debug:]をOnに設定すれば、 中間Id-Vdサーチ掃引を モニタできます。 89 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 ステップ2. [Extended Setup]をクリックして、[Extended Setup]ウィン ドウを開きます。 ステップ3. 以下のパラメータを入力します。 その他のパラメータはそのままにしておきます。 VsrchLimit Debug 40 V Off ステップ4. 注記 [Debug]フィールドを”On”に設定すれば、中間Id-Vdサーチ掃 引をモニタできます。図5-1のステップ番号6 ∼ 7を参照してくだ さい。 ステップ5. シングル測定ボタンをクリックすれば、データ表示ウィンドウが開 き、測定が開始されます。 注記:各Id-Vgスポット測定の間にいくつかのサーチ掃引が実行され るため、Id-Vg掃引が完了するまでにはしばらく時間がかかります。 図5-4のように、Id-Vg曲線とGfs曲線が表示されます。 ステップ6. マーカ・アイコンをクリックすれば、最初の測定ポイントにマーカ が表示されます。 ステップ7. マーカを適切なデータ・ポイントに移動します。 例えば、Y2軸をクリックし、[Marker Maximum]アイコンをク リックすれば、マーカはGfsの最大位置に移動します。 ステップ8. マーカ・データには、左からX値、Y1値、Y2値が表示されます。 図5-4. エクスパンダ用Id-Vgsアプリケーション・テストの結果 90 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 ◆ ポスト解析 データ・ディスプレイ・ウィンドウにポスト解析を追加できます。 このセクションでは、Y2軸にログId曲線を追加してみます。 ● 異なるスケール・パラメータを追加するには 図5-5の番号を参照して、以下の操作を行います。 ステップ1. [View]メニューをクリックします。 ステップ2. [Display setup]をクリックします。 ステップ3. [Display setup]ウィンドウが開きます。 ステップ4. 別のパラメータを追加します。例えば、ログ・スケールのIDを、 Min.= 1 A、Max.= 1 kAで追加します。 ステップ5. [OK]をクリックすれば、新しいログIDパラメータがグラフ表 示に追加されます(緑のラインで示されたY3軸)。Y軸の右側を クリックすれば、Y2とY3を切り替えられます。 ステップ6. ラインの凡例を追加できます。 ステップ7. リスト表示で、VDSが10 V一定というテスト条件を確認できます。 ステップ8. Y2軸をクリックすれば、Y2軸がY2とY3の間で切り替わります。 図5-5. データ・ディスプレイ・ウィンドウでのポスト解析 91 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 デモ3-2:Ic-Vge伝達特性 デモ3-2-1. デモ・デバイス 次の図のように、FGA180N33ATD IGBTを3ピン・インライン・ソケットにセッ トします。 デバイス FGA180N33ATD IGBT デモ3-2-2. デモ・セットアップ デモ3-1-1と同じ手順を実行します。 ステップ4で、”Ic-Vge for Expanders”をクリックして選択し、アプリケーショ ン・テストGUIを設定します。 デモ3-2-3.テスト・パラメータの設定 テスト・パラメータを入力する手順は、デモ3-2-3のパワー MOSFETの場合と まったく同じです。 ステップ1. 以下の表に記載されているテスト・パラメータを入力します。 デバイス・パラメータ: Polariy Y1AxisIdMin Y1AxisIdMax Y2AxixGfsMin Y2AxixGfsMax Nch 0A 500 A 0S 100 S テスト・パラメータ:ゲートSMU2:MC VgeStart VgeStop VgeStep IgLimit VgsBase VgeWidth VgeDelay 4V 10 V 250 mV 1A 0V 100 us 0s テスト・パラメータ:ドレインSMU3:UHC Vce IcLimit VceBase 20 V 501 A 0V VceWidth VceDelay 70 us 10 us Pulse P Mode Man P Period Meas Time Pulse Ave Count AUTO 100 ms 10 us 1 拡張パラメータ: VsrchLimit Debug 60 V Off ステップ2. シングル測定ボタンをクリックすれば、データ表示ウィンドウが開 き、測定が開始されます。 図5-6のような結果が得られます。 92 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 ◆ ポスト解析 Gfsのピークにマーカを表示するには、図5-6の番号を参照して、以下の操作 を行います。 ステップ3. マーカ・アイコンをクリックすれば、最初の測定ポイントにマー カが表示されます。 ステップ4. Y2軸をクリックすれば、グラフィックス解析を制御するフォー カスがY2軸に移動します。 ステップ5. [Marker Maximum]アイコンをクリックします。 ステップ6. マーカがGfsの最大測定ポイントに移動します。 ステップ7. マーカ・データには、左からX値、Y1値、Y2値が表示されます。 図5-6. エクスパンダ用IGBT Ic-Vgeアプリケーション・テストの結果 93 第5章 デモ3:Id-VgsおよびIc-Vge測定 デモ3のまとめ デモ3では、以下の内容について扱いました。 • 以下の2つのアプリケーション・テストについて説明しました。 - エクスパンダ用Id-Vgs - エクスパンダ用Ic-Vce • どちらのテストも、伝達特性をきわめて容易に測定できます。 これらのテストは超大電流領域で行われるもので、B1505AのUHCUが登場 するまでは簡単には行えませんでした。 • これらのテストでは、ドレイン/コレクタ電源に一定の電圧を印加しながら ゲート電圧を掃引するのと同等の効果が得られます。 • 測定後にポスト解析を容易に追加できます。 94 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ 第6章 デモ4: HVSMUおよびHVMCUを使用した高電圧測定 Idss/Vdssおよび高電圧中電流Id-Vd特性 内容 6-1. デモのセットアップ 6-デモ4-1. HVSMUによるIDSSおよびBVDSSデモ 6-デモ4-2. HVMCUによるId-Vd 1.1 A/2.2 kVおよび2.5 A/1.5 kVデモ 目的 この章の目的は以下のとおりです。 • HVSMUおよびHVMCUを使用した高電圧テストを実行すること。 • 100 kΩ内蔵直列抵抗の影響を知ること。 • HVMCUの操作と、高電圧および高速パルス測定に関するヒントを学ぶこと。 • HVSMUの3 kV最大電圧 機能 • HVMCUの1.1 A/2.2 kVまたは2.5 A/1.5 kVの最大出力 デモ4では以下のデバイスを使用します。 IXTH1N250高電圧パワー MOSFET - MOSFET:IXTH1N250 o VDSS:2500 V o Rds(on):最大40 Ω o 最大ID:6 A(100 μsパルス、5 kW、Tc=25 ℃) 使用するデバイス 容量(pF) 容量対Vds - ドレインからゲートへのフィードバッ ク・コンデンサは小容量なので、ドレイ ン・パルスによって生じるゲートへの注 入電荷の影響を考慮することはそれほど 重要ではありません。 N1265Aフィクスチャ内部の配線とデバイス設定 セクション3-1および図3-1と同じセットアップを使用します。 95 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ 6-1. HVMCUでのB1505Aとフィクスチャ/エクスパンダ間のケーブル接続 デモ・システムでは、図6-1に示すように、2台のMCSMUがHVMCU構成と UHCU構成の間で共有されています。 MCSMUケーブルは、HVCEの電圧/電流制御入力コネクタに接続します(図 6-1の を参照)。 これらのケーブルは、2台のモジュール(UHCEおよびHVCE)で共有され、図 6-1に示すように、N1265A UHCEからN1266A HVCEコネクタの同じ名前の 入力に切り替える必要があります。 このセクションでは、UHCEへのケーブル接続はすでに行われていると仮定し ます。 したがって、このセクションでは、N1265A UHCEからN1266A HVCEへの切 り替え方法を説明します。 注記:B1505AシステムセットアップをHVCE (HVMCU)から開始する場合、セク ション2-4を参照してケーブル・セットアップを行った後、この後の手順を実行 してHVCE制御VIケーブルを接続してください。 図6-1. UHCUとHVMCUの基本的な配線ブロック図 (N1265Aに付属) デジタルI/Oケーブル デジタルI/Oケーブル (N1266Aに付属) ドレイン用 入力 出力 入力 出力ハイ 入力 出力 HVSMU HVCE用 電圧制御F 電圧制御S HVCE用 電流制御F 電流制御S MCSMUは、HVMCEとUHCEの制御 入力構成の間で共有されます。 UHC入力 電圧制御 UHC用 電流制御 UHC用 ゲートF ゲート用 ゲートS セレクタSMU F セレクタSMU S 出力ロー インターロック 96 N1265A(セレクタ内蔵) 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ◆ N1265Aの電圧/電流制御ケーブルのN1266Aへの切り替え 図6-2の番号に従って以下の操作を行い、電圧/電流制御ケーブルをつなぎ 替えます。 ステップ1. N1265A入力の電圧制御コネクタのセンスに接続されている 16494Aトライアキシャル・ケーブルを外します。 ステップ2. 取り外したケーブルを、N1266A入力の電圧制御コネクタのセ ンスに接続します。 ステップ3. N1265A入力の電圧制御コネクタのフォースに接続されている 16494Aトライアキシャル・ケーブルを外します。 ステップ4. 取り外したケーブルを、N1266A入力の電圧制御コネクタの フォースに接続します。 ステップ5. N1265A入力の電流制御コネクタののセンスに接続されている 16494Aトライアキシャル・ケーブルを外します。 ステップ6. 取り外したケーブルを、N1266A入力の電流制御コネクタのセ ンスに接続します。 ステップ7. N1265A入力の電流制御コネクタのフォースに接続されている 16494Aトライアキシャル・ケーブルを外します。 ステップ8. 取り外したケーブルを、N1266A入力の電流制御コネクタの フォースに接続します。 図6-2. N1265A UHCEおよびフィクスチャからの切り替えによるN1266A HVCEのケーブル接続 N1265A、N1266Aのリア・パネル フォース センス センス センス フォース B1505Aの リア・パネル フォース センス センス センス センス インターロック デジタルI/O 97 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ N1265Aフィクスチャ内部の配線とデバイス設定 セクション3-1および図3-1と同じセットアップを使用します。 テスト・デバイスのセットアップ 次の図に示すようにテスト・デバイス(DUT)をセットします。 HV MOSFET:IXTH1N250をデモ4では使用します。 MOSFETを3ピン・ソケット(左からゲート、ドレイン、ソース)に挿入します。 注記: ソケットの最大電圧は3 kVに 制限されています。 98 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ 6-2. HVSMU/HVMCUを使用するためのエクスパンダ用EasyEXPERTの設定 ◆UHCU構成を変更するには(前提条件) HVSMU/HVMCUの設定の前に、UHCU設定を変更して電圧/電流制御 MCSMUを解放する必要があります。これらのSMUは2台のエクスパンダ・ モジュールの間で共有されているからです。 図6-3に示す手順に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. 設定アイコンをクリックします。 ステップ2. [UHC Expander/Fixture]タブをクリックします。 ステップ3. 図に示すように、[Enable Ultra Current Unit]チェックボッ クスをクリックしてオフにします。 この操作により、制御SMU (電圧制御SMUのSMU3と電流制御 SMUのSMU4:MC)が非アクティブになります。 ステップ4. デフォルト出力をUHCから選択なし(空白)に変更します。 ステップ5. [Apply]ボタンをクリックすれば、UHCUがオフになります。 図6-3. UHCエクスパンダの設定変更によるUHCU制御SMUの解放 99 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ◆ HVSMU電流エクスパンダ(HVSMU/HVMCU)を設定するには 図6-4に示す手順に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. 設定アイコンをクリックします。 ステップ2. [HVMCU Expander]タブをクリックします。 ステップ3. [Enable High Voltage Medium Current Unit]チェック・ボッ クスをクリックしてオンにします。 ステップ4. HVSMUの[Input]選択ボックスで[SMU5:HVSMU]を選択 します。 ステップ5. B1505Aの配線のセクションで設定したのと同じ制御SMUを、 電圧/電流制御SMUのドロップダウン・リストで選択します。 すなわち、電圧制御SMUにはSMU2:MC、電流制御SMUには SMU3:MCです。 ステップ6. [Apply]ボタンをクリックすれば、設定がチェックされて適用 されます。 ステップ7. デフォルト出力をSMU2:HVMCUに変更します。 ステップ8. [Apply]ボタンをクリックして、アクティブな選択されたモ ジュールを更新します。 ステップ9. N1266Aのフロント・パネルのセレクタ・インジケータに、現 在のセレクタ・ステータスが表示されます。 この例では、HVMCのLEDが点灯しています。 図6-4. HVSMU電流エクスパンダ(HVSMU/HVMCU)の設定 100 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ N1265Aフィクスチャのセレクタ設定 これで、N1265Aフィクスチャのセレクタ設定が終了しました。 図6-5に、セレクタの最終設定を示します。 ◆ N1265Aセレクタの最終設定 図に示す手順に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [UHC Expander/Fixture]タブをクリックします。 ステップ2. HVSMUの入力に[HVSMU]を設定します。 ステップ3. セレクタのデフォルト出力に[HVSMU]を設定します。 ステップ4. リストから100 Ω抵抗を選択します。 ステップ5. [Apply]ボタンをクリックします。 ステップ6. [Close]ボタンをクリックして、設定ウィンドウを閉じます。 これで、N1265AフィクスチャのセレクタでHVSMU/HVMCUを使用するた めの設定が完了しました。 N1265Aのインジケータで、図の一番下に示すようにHVSMUのLEDが点灯 するはずです。 図6-5. HVSMUをN1265Aセレクタに設定するための最終設定 101 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ デモ4-1. HVSMUによるIDSSおよびBVDSSデモ デモ4-1-1. IDSS測定 ◆ IDSSトレーサ・テストを設定して測定するには 図6-6の対応する番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. サンプル・テスト・セットアップを使用します。 サンプル・セットアップをクリックし、 [MOSFET]->[ID (off) -VDS]を選択します。 ステップ2. VAR1掃引パラメータを以下の表に示すように設定します。 ストップ電圧は、データシートに示されている値に設定します (=BVDSS×0.8=2,000 V) Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance Pwr comp Output V Comp Hold Time LIN-SGL 0V 2 kV 101 1 1 mA OFF OFF 1s ステップ3. [Meas. time]と[Step time]を図に示すように設定します(デ フォルト値)。 Meas.Time=20 ms、Step Time=20.1 ms [Meas. time]を非常に短く設定すると、測定のノイズが増え、 リーケージ電流が大きくなることがあります。 ステップ4. SMU 2の[CONST]を0 Vおよび100 mAコンプライアンスに 設定します。 ステップ5. X軸の最大値を3 kVに変更します。 ステップ6. Y軸の最大値を100 μAに変更します(25 ℃での最大仕様は25 μA)。 ステップ7. シングル測定ボタンをクリックすれば、測定トレースがディス プレイに表示されます。 図6-6. Idssトレーサ・テストの設定 102 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ステップ8. マーカ・ボタンをクリックすれば、0 V位置にマーカが表示され ます。 ステップ9. マーカを2.0 kVに移動します。 ステップ10. マーカ値を2,000 VでのIDSSとして読み取ります。 この例での読み値は2,000 Vで−6 nAとなっていますが、この 値はHVSMUの1 mAレンジではノイズ・レベルと考えられます。 仕様のリミットは25 μAなので、サンプル・デバイスが示すリー ケージ電流は非常に低い値です。 ◆ 大まかなBVdssを検出するには 図6-7の対応する番号に従って以下の操作を行い、ブレークダウン電圧を求 めます。 ステップ11.[Meas.Time]と[Step Time]をそれぞれ1 msと1.1 msに変 更します。 注記:これらの値が大きすぎると、回転ノブを回してストップ 電圧を変更したときの応答に非常に時間がかかります。 最も短い[Meas.Time]は500 μsです。 ステップ12. 繰り返し測定をクリックします。 ステップ13.[Stop V]フィールドをクリックして、回転ノブによるパラメー タの変更を有効にします。 ステップ14. 回転ノブを回して最大掃引電圧を上げ、大まかなブレークダウ ン電圧を調べます。 ステップ15. この例では、ブレークダウン電圧は2,850 V付近です。 図6-7. トレーサ・テストでのノブ掃引を使用したBVdss検出 103 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ デモ・デバイスのブレークダウン電圧が図6-7のようにならない場合 IXTH1N250は、ときにより図6-8に示すようなきわめて高い電圧ブレークダウ ン特性を示すことがあります。 このような場合、以下の回避策を試してください。 回避策1: 別のIXTH1N250サンプルを使用して、ブレークダウン電圧が3 kV 未満になるかどうか試してください。 回避策2: 回避策1がうまく行かない場合、デモ用の1XTH1N250が他にあれ ば、それを使ってみてください。 回避策3: 上記の回避策がうまく行かない場合は、HV MOSFETをデモ用の IGBT:FGA180N33ATDに変更してください。 FGA180N33ATDのブレークダウン電圧は約400 Vです(次の図を 参照)。 単にデバイスを交換し、ターゲット電圧を約400 Vまたは最高450 Vに設定します。 IGBT:FGA180N33 ATDのブレークダウン特性 図6-8. IXTH1N250 HV-MOSFETの3 kVより高いブレークダウン電圧の例 104 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ デモ4-1-2. BVDSS測定 ◆ BVDSSトレーサ・テストを設定して測定するには ブレークダウン電圧は2.5 kVより高く、サンプルHV MOSFETのブレークダ ウン電圧は約2.85 kVであることがわかったので、次にMOSFETのブレーク ダウン特性を詳細に調べてみます。 図6-9の対応する番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. スタート電圧を2.5 kVに、ストップ電圧を2.6 kVに変更します。 ステップ2. コンプライアンスを4 mAに変更します。 注記:HVSMUは3 kVで最大4 mAを出力できます。測定は3 kVに非 常に近いので、このMOSFETテストに使用できる最大電流は4 mA です。 HVSMUは1.5 kVレンジでは8 mAを出力できます。 ステップ3. 最大IDスケールを5 mAに設定します。 ステップ4. 最小VDSスケールを2.5 kVに設定します。 ステップ5. [Set stop condition area]アイコンをクリックし、黄色の信 号をオンにします。 ステップ6. マウスをドラッグして、掃引停止条件領域を設定します。測定 データがこの領域に入ると、掃引は停止します。 ステップ7. 繰り返し測定ボタンをクリックし、VAR1の[Stop]フィールド をクリックしてストップ電圧フィールドをアクティブにします。 図6-10に示すサンプル・テスト結果が得られます。 図6-9. BVdssトレーサ・テストの設定 黄色の信号がオンになるまでクリック 105 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ステップ8. ノブを回して電圧を上げます。 ステップ9. 測定データが停止条件領域に達すれば、停止プロセスが開始されま すが、測定が実際に終了するまでには多少の遅れがあります。 ステップ10. マーカ・アイコンをクリックし、ブレークダウン電圧を確認します。 ステップ11.[Capture the reference trace]アイコンをクリックします。 現在のトレースが基準として捕捉され、他の測定結果との比較に使 用できます。 注記:この基準トレースは、次のデモで使用します。 確認 • 停止条件は、デバイスのブレークダウンのように、検出が困難な突然の電流 増加が起きたときに掃引を停止するために便利です。 • ノブ掃引測定で最大電圧を制限するには、電圧コンプライアンスを使用します。 図6-10. トレーサ・テストのノブ掃引と、停止条件領域に達したことによるBVdssの検出 106 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ デモ4-1-3. BVDSSと直列100 kΩドレイン抵抗の比較 BVDSS測定では、HVSMUの出力に100 kΩの直列抵抗を挿入できます。 100 kΩ抵抗を使用すれば、負性抵抗を持つデバイスや、スナップ・バック特性 を示すデバイスの特性評価が可能になります。 以下のデモでは、B1505Aでの100 kΩ抵抗の使用方法と、抵抗による電圧降下 の補正方法を示します。 ◆ 直列100 kΩ抵抗を設定するには 図6-11の対応する番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. EasyEXPERTの設定を開き、[HVSMU Current Expander] タブをクリックします。 ステップ2. [Enable Series Resistor (100 kohm)for HVSMU]チェック ボックスをオンにします。 ステップ3. [Apply]ボタンをクリックします。 ステップ4. [Close]ボタンをクリックします。 注記:この他に、ドレインHVSMUに100 kΩ直列抵抗を追加することにより、異 常なブレークダウン状況が発生したときにDUTの損傷を防ぐ効果もあります。 図6-11. 100 kΩ抵抗を構成するには 107 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ◆ 100 kΩ直列抵抗を使用してブレークダウン・テストを実行するには 注記:このテストは前のテストからの続きです。 図6-12に示すステップ番号に従って操作します。 ステップ1. ストップ電圧を3 kVに設定します。 ステップ2. [Option]->[Arithmetic Operation]をクリックし、 [Operation 1]と[Operation 2]を選択します。 ステップ3. [Arithmetic Operation]入力フィールドが開きます。 演算1を入力します。Vdrp [V]=ID×直列抵抗の値(この例では 98.7 kΩ)です。 ここで、Vdrp=100 kΩ抵抗Rによる電圧降下です。 注記:正確なブレークダウン測定のために、公称100 kΩ抵抗は 校正しておく必要があります。 ステップ4. 演算2を入力します。VD_cmp=VDS−Vdrpです。 ここで、Vd_cmpは補正済みのVDを表しています。VD_cmpで は列に収まらないので、VDを使用してもかまいません。 ステップ5. X軸の名前フィールドをクリックして、VD_cmpを選択します。 ステップ6. シングル測定ボタンをクリックすれば、測定が開始されます。 ステップ7. 掃引は3 kVで終了し、ブレークダウン曲線がトレースされます。 ステップ8. マーカ・ボタンをクリックすれば、0 V位置にマーカが表示され ます。 図6-12. 数値演算機能をセットアップするには 108 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ステップ9. マーカをブレークダウン仕様ポイントのID=0.25 mA付近に移動 し、マーカ値をVDSSとして読み取ります。 この例では、242 μAで2.861 kVです。 仕様は250 μAで最小2.5 kVなので、この例に使用したデバイスは 仕様を満たしています。 ステップ10. ライン/ドット・アイコンをクリックすれば、線種が変更され、図 に示すように点線曲線表示で正確な測定ポイントが確認できます。 これでわかるように、直列抵抗のない基準トレース (青)の測定間隔 は、100 kΩ直列抵抗のある黄色のトレースよりもはるかに広く なっています。 このように、電流/電圧曲線が非常に急峻な場合も、直列抵抗を使 うことに利点があります。 ステップ11.[Select reference traces]アイコンをクリックすることにより、 基準トレースのオン/オフ、削除、または保存ができます。 注記:測定ポイントを増やせば、現在の読み値のステップが狭くなります。 確認 • 直列抵抗は、ブレークダウンのように電圧/電流特性が突然変化する場合、 デバイスの電流/電圧曲線の急峻な部分を精密に評価するのに有効です。 • 直列抵抗を使用すれば、スナップ・バック特性のような負のインピーダンス によるブレークダウン特性もモニタできます。 • このタイプの測定には、トレーサ・テスト・モードの演算関数が有効です。 ◆ 直列100 kΩ抵抗を無効にするには 次のデモに進む前に、100 kΩ抵抗を無効にします。 図の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. EasyEXPERTの設定を開き、[HVSMU Current Expander] タブをクリックします。 ステップ2. [Enable Series Resistor (100 kohm)for HVSMU]チェック ボックスをオフにします。 ステップ3.[Apply]ボタンをクリックします。 ステップ4. 注記: N1265AのLEDステータスをチェック して、UHCエクスパンダがアクティ ブであることを確認します。 アクティブでない場合は、UHCエク スパンダをアクティブ・ステータス にします。 ステップ5.[Close]ボタンをクリックします。 109 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ デモ4-2. HVMCUを使用したId-Vd 1.1 A/2.2 kVおよび2.5 A/1.5 kVデモ デモ4-2-1. Id-Vd 1.1 A/2.2 kVデモ ◆ 2.2 kV Id-Vd特性を設定して測定するには 図6-13の対応する番号に従って、以下の操作を行い、パラメータを設定します。 ステップ1. Id-Vdサンプル・セットアップを選択します。 ステップ2. SMU2:MCモードをVPULSEに変更します。 ステップ3. 図6-13を参照して、VAR1のパラメータを以下の表に示すよう に設定します。 Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance Pwr comp Output V Comp LIN-SGL 0V 10 V 21 1 1.1 A OFF OFF Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Dual Polarity Hold Time 0V 10 us 40 us OFF 0s ステップ4. 初期ストップ電圧を10 Vに設定します。 ステップ5. 測定時間設定を以下のように設定します。 Meas.Time=10 us ステップ6. VAR2パラメータを以下のように設定します。 Start Stop NOS Compliance Pwr comp Pulse Base 2.8V 3.9 V 5 100 mA OFF 0V Pulse Delay Pulse Width 0s 100 us Hold Time 0s 図6-13. HVMCUを使用した2.2 kVトレーサ・テストを設定するには 初期条件では10 V を設定。 110 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ 注記:スタート電圧とストップ電圧は、デモ用のMOSFETのVthに応じて調整 が必要な場合があります。 ステップ7. VDSのX軸最大スケールを2.5 kVに設定します。 ステップ8. IDのY軸最大スケールを1 Aに設定します。 ステップ9. 1.1 Aの電流コンプライアンスでは最大2.2 kVまで掃引できます。 HVMCUの出力抵抗は2.2 kΩに設定しています。 白い点線は、最大2.2 kVのドレイン電源電圧と出力抵抗から決まる 負荷直線です。 最大電流/電圧掃引領域は、この点線、X=0 Vの線、Y=0 Aの線 で囲まれた領域に制限されます。 ステップ10. 繰り返し測定ボタンをクリックします。 ステップ11.[Stop V]をクリックして、変更をアクティブにします。 回転ノブを回して、測定トレースを観察しながら最大掃引電圧を2.2 kVまで増やします。 注記:図のグラフと同様の結果を得るには、VAR2のスタート電圧 とストップ電圧の調整が必要な可能性があります。 これらのパラメータも、マウスでこれらのパラメータにフォーカス を置くことで変更できます。 ステップ12. 測定トレースが矢印の方向に移動します。 最終的に、図6-13に示すのと同様の結果が得られるはずです。 ヒント: 注記:2 μsの測定時間設定では、パルス幅は約30 μsまで狭めることができ ます。 トラブルシューティング 測定が図6-14に示すようにベース・ラインから動かない場合。 図6-13のようなグラフを得るには、以下の手段を試してください。 - VAR2の[START:] デ モ1の セ ッ ト ア ッ プ を 参 照 し て、 デ モ 用 のIXTH1N250 HV-MOSFETのVthを測定します。 その後、Vthを0.5 V単位に丸めて、VAR2のSTARTに設定し ます。例えば、Vth=3.1 Vの場合、3.5 Vを入力します。 - VAR2の[STOP:] VAR2のSTOPには、STARTの値に1 V ∼ 1.5 Vを加えた値を 設定します。 または、VAR2のSTOPを0.5 ∼ 1 Vステップで最高6 Vまで 徐々に上げていきます。 図6-14. VAR2のストップ電圧が低すぎる場合 111 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ◆ オシロスコープ・ビュー このデモでは、比較的高速なパルス(40 μs)をドレイン電源に使用します。 このような場合、パルス波形のモニタが重要になります。 オシロスコープ・ビュー波形を表示する手順を以下に示します。図6-15に示 す対応する番号を参照してください。 ステップ1. オシロスコープ・ビュー・アイコンをクリックします。 ステップ2. オシロスコープ・ビュー・ウィンドウが開きます。 オシロスコープ・ビュー・パラメータを設定します。 パラメータの設定については、デモ2-2を参照してください。 ステップ3. 測定を開始すれば、モニタ・ポイントが表示されます。 ステップ4. モニタ・ポイントの電圧と電流の値が表示され、波形がオシロ スコープ・ビューに表示されます。 図6-15. HVMCUを使用したId-Vdトレーサ・テストのオシロスコープ・ビュー 112 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ デモ4-2-2. Id-Vd 2.5 A/1.5 kVデモ ◆ 1.5 kV Id-Vd特性を設定して測定するには ステップ1. 2.5 Aレンジを使用するため、ストップ電圧は1.5 kV以下である 必要があります。 ストップ電圧を1.5 kVに設定します。 ステップ2. コンプライアンスを2.5Aに設定します。HVMCUの出力抵抗は 600 Ωに設定されます。 ステップ3. パルス幅を30 μsに変更します。 注記:パルス幅を狭めるとHVMCUでより大きい電流を発生で きますが、パルス幅が狭すぎると測定の不確かさが増加する傾 向があります。 ステップ4. [Meas. Time]を6 μsに変更します。 ステップ5. X軸最大値を1.5 kVに変更します。 ステップ6. Y軸最大値を2.5 Aに変更します。 ステップ7. 最大電圧/電流負荷直線が示されます。 ステップ8. 繰り返し測定ボタンをクリックします。 ステップ9. 最大電流を増やすため、VAR2のスタート電圧とストップ電圧を わずかに上げる必要があります。 0.1または0.2 Vステップで電圧を上げて、図6-16に示すのと同 様の測定結果が得られるようにします。 ステップ10. 注記:VAR1のストップ電圧を変更することもできますが、 1.5 kVを超えると、電流コンプライアンスが1.1 Aに変わり、予 期しない結果になることがあります。 図6-16. HVMCUを使用した2.5 A/1.5 kVトレーサ・テストを設定するには 113 第6章 デモ4:HVSMUおよびHVMCUデモ ステップ11. 前のデモから続けて実行している場合、オシロスコープ・ビュー・ ウィンドウが表示されているはずです。 波形を正しくモニタできるように、垂直軸と水平軸のスケール を変更します。 確認 • HVMCUは、従来のカーブ・トレーサでは対応できなかった、2 Aおよび2 kVのレンジをカバーする独自のパワー・レンジに対応しています。 • この電圧レンジの中電流測定は、大電流条件でのブレークダウン特性や、 ウェーハ・レベルでのSOA研究に有用です。 - HVSMUには出力抵抗が内蔵されていて、突然のデバイス・ブレークダウ ンのような状況でDUTを保護するのに有効です。 • オシロスコープ・ビューは、HVMCUを使用した30 μs未満のレンジなどの 高速パルスド測定に有用です。 デモ4のまとめ デモ4では、以下の内容について説明しました。 • HVSMUでは最高3 kVのテストが可能です。 - 停止領域設定はブレークダウン・テストに有用です。 - 100 kΩ直列抵抗と演算関数は、ブレークダウン特性評価に有用です。 • HVMCUは、独自のパワー・レンジに対応しています。2.5 A/1.5 kVまたは 1.1 A/2.2 kVです。 • HVMCUは、パルス幅が狭いほど大きい電流を出力できます。 114 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 内容 7-1. MFCMUと高電圧バイアス・ティーを使用したC-V測定 7-2. デモのセットアップ 7-デモ5-1. 低電圧Cdg測定(40 V) 7-デモ5-2. 高電圧Cdg測定(1.5 kV) 7-デモ5-3. Cds、Coss、Cgs測定のテスト・フィクスチャ接続 目的 この章の目的は以下のとおりです。 • B1505Aを使用してC-V測定を実行できるようになること。 • ACガード法を使用してCdg、Cds、Cgsを測定できるようになること。 機能 • 3 kVの最大DCバイアス電圧 • 超ハイ・パワー DC測定機器による統合C-V測定機能 デモ5では以下のデバイスを使用します。 • IXTH1N250高電圧パワー MOSFET IXTH1N250のデータシートの容量対温度データ 容量対Vds 容量(pF) 使用するデバイス 115 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 7-1. MFCMUと高電圧バイアス・ティーを使用したC-V測定 7-1-1. 容量パラメータの定義 パワー MOSFETの以下の3つの容量は、通常、パワー MOSFETのデータシー トにリストされています。 - Crss 逆伝達容量 - Coss 出力容量 - Ciss 入力容量 図7-1に、パワー MOSFETの内部の容量 (ゲート-ドレイン間コンデンサCgd、 ドレイン-ソース間コンデンサCds、ゲート-ソース間コンデンサCgs) を示します。 Crss、Coss、Ciss容量成分は、図のようにCgd、Cds、Cgs成分を使用して計 算できます。 このセクションでは、パワー MOS-FETの固有容量成分(Cgd、Cds、Cgs)の測 定方法を紹介します。 デモでは、Cgd測定を行います。 各成分は、ACガード法を使用することにより独立に測定できます。 図7-1. Ciss:入力容量 Ciss=Cgs+Cgd Coss:出力容量 Coss=Cds+Cgd Crss:逆伝達容量 Crss=Cgd ◆ ACガードとMOSFETの容量成分測定 以下に示すのは、MOSFETの基本的な容量成分の各パラメータの測定ブロッ ク図です。この測定には、B1505A MFCMU、HVSMU、N1260A高電圧バ イアス・ティー、N1265Aフィクスチャが使用されています。 Cds測定 DCバイアス AC信号 電流計 (ACガード) この図はCds測定のブロック図です。 116 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 Cds成分を通るAC測定信号だけがIm電流計で測定され、Cdsに変換されます。 Cdgを通るAC電流はACガードを流れ、Cds成分には影響しません。 Cdg測定 DCバイアス AC信号 電流計 (ACガード) この図はCdg測定のブロック図です。 Cdg成分を通るAC測定信号だけがIm電流計で測定され、Cdgに変換されます。 Cdsを通るAC電流はACガードを流れ、Cdg成分には影響しません。 また、L入力の電位はほぼグランド・レベルなので、Cgsの間の電位差は0 Vに 近く、Cgs成分に分岐するCgd電流は無視できます。 注記:高い周波数ではACガードのインピーダンスが増加し、測定信号のCgs成 分への漏れが無視できなくなる場合があります。この影響により、Cdg測定に誤 差が加わる可能性があります。 Coss測定 DCバイアス AC信号 電流計 (ACガード) この図はCoss測定のブロック図です。 ゲートとソースが互いに接続されているため、CdgとCds (Cossに等しい)を流 れるすべての電流がIm電流計で測定され、Cossに変換されます。 117 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 Cgs測定 (ACガード) この図は、単純な測定セットアップでCgs容量成分を測定する構成例です。 Cgsを測定する場合、1台のSMUはドレイン・バイアス・パラメータの印加に使 用されるとともに、ACガード機能を提供する役割も果たします。 100 kHz以下の周波数では、SMUのインピーダンスは非常に低いと見なせるの で、等価ACガードとして使用できます。 Cdgを通って流れるAC信号はSMUに流れ込み、Cgs成分を通るAC測定信号だ けがIm電流計で測定されてCgsに変換されます。 注記: 100 kHzより高い周波数では、SMUとケーブルのインピーダンスが大きくなり、 ACガードと見なすことはできなくなります。 1 MHzでCgsを測定するには、ドレインとACガードを大容量のコンデンサで接続 し、ドレインにこの周波数での等価ガードを構成する必要があります。 118 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 7-2. デモのセットアップ ◆ N1260A高電圧バイアス・ティー DCバイアス電圧を最大3 kVまで拡張するため、図7-2に示すN1260A高電圧 バイアス・ティーを使用します。 この図は、入力信号端子と出力信号端子の両方を示すために2分割されてい ます。 DCバイアスは、HVSMUから100 kΩ抵抗を通して供給されます。 AC測定信号は、110 nFコンデンサを通じてハイ出力端子に供給されます。 110 nFコンデンサは測定コンデンサと直列に接続され、測定容量が1 nF前 後の場合は約1 %の誤差が加わることになります。 注記:測定容量が10 nF未満の場合は、追加の誤差はおおむね 「測定容量/110 nF×100 %」と見なすことができます。 図7-2. N1260A高電圧バイアス・ティー 入力側 出力側 HVSMUからのバイアス入力 (HVトライアキシャル・コネクタ) CMU出力 (SVHコネクタ) MFCMUからの4端子入力 (BNCコネクタ) CMU ACガード出力 (SVHコネクタ) ACガード ハイ N1260Aのセットアップ ロー 右の図は、N1265A UHCE/フィクスチャ との組み合わせによるN1260A構成を示し ています。 119 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 7-2-1. 高電圧C-V測定セットアップ ◆ N1265A、N1260A、B1505Aの接続の概要 図7-3に、B1505AのHV C-V構成のブロック図を示します。 B1505AのMFCMUはインピーダンスを測定し、HVSMUは最大3 kVのDCバ イアスを供給します。 これらの信号はN1260A高電圧バイアス・ティー内部でC-V測定信号として 統合され、N1265Aのフィクスチャ・セクションに伝送されてDUTに接続さ れます。MFCMUとN1260A高電圧バイアス・ティーの間の接続には、4端 子対構成が用いられます。 高電圧バイアス・ティーとN1265A UHCE/フィクスチャの接続は、2端子対 構成です。このケーブルに関連する誤差は、B1505Aの電源オンの後に行わ れるオープン/ショート校正によって低減できます。 感電事故を防ぐため、インターロック回路が装備されています。 図7-3. B1505Aの高電圧C-V測定のブロック図 N1260A高電圧 バイアス・ ティー N1265Aフィクスチャ (バイアス・ ティー) (バイアス・ ティー) (ACガード) (Cgs測定ではオプション) インターロック インターロック ◆ 3 kV CV測定構成のケーブル接続 図7-4に、高電圧C-V測定構成のケーブル接続の概要を示します。 ケーブル接続の手順 図の番号に従って以下の操作を行い、ケーブルを接続します。 ステップ1. N1300A CMUケーブルを使用して、N1300Aのコネクタ・ブロッ ク側をB1520A MFCMUに接続します。 先にすべてのコネクタを接続してから、コネクタ・ブロックを 図に示すようにB1502A MFCMUモジュールに挿入します。 N1300Aのコネクタ・ブロックを装着した後、2個のネジをしっ かり締めて、ブロックをB1502A MFCMUモジュールに固定し ます。 120 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 ステップ2. N1300A CMUケーブルの4個のコネクタの反対側をN1260A高電 圧バイアス・ティーの入力に図のように接続します。 - 赤い線をHcurに接続 - オレンジ色の線をHpotに接続 - グレーの線をLpotに接続 - 黒い線をLcurに接続 注記:緑の線はオープンにしておきます。 ステップ3. 16493T HVトライアキシャル・ケーブルを使用して、B1513A HVSMUのフォース・コネクタとN1260AのHVSMU入力端子を接 続します。 図7-4. 高電圧C-Vセットアップのケーブル接続 N1265Aの リア・パネル フォース センス センス B1505Aの リア・パネル センス センス N1260A高電圧 バイアス・ティー 出力側 フォース センス 入力側 B1505Aの リア・パネル センス フォース センス オープンのまま デジタルI/O 121 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 ステップ4. 16493V SHVケーブルを使用して、N1260Aのロー出力とN1265A フィクスチャのバイアス・ティー入力のロー端子を接続します。 ステップ5. 16493V SHVケーブルを使用して、N1260Aのハイ出力とN1265A フィクスチャのバイアス・ティー入力のハイ端子を接続します。 ステップ6. Cgs測定ではオプション: 16494Aトライアキシャル・ケーブルを使用して、下側のB1511A MPSMU(SMU1)のフォースおよびセンス・コネクタと、N1265A のSMU入力1のそれぞれのコネクタを接続します。 ステップ7. 16493Jインターロック・ケーブルを使用して、B1505Aのインター ロック端子とN1265Aのインターロック端子を接続します。 7-2-2. N1265Aフィクスチャ内部の配線 図7-5に、Cgd測定用のN1265A UHCエクスパンダ/フィクスチャ内部の配線 を示します。 図7-5に示すように、N1265Aテスト・フィクスチャの出力端子パネルとインラ イン・パッケージ・ソケット・モジュールをケーブル/ワイヤで接続します。 図7-5. Cgd C-V測定でのN1265Aテスト・フィクスチャへのケーブル接続 3. エミッタ/ ソース フォース センス フォース センス フォース 2. コレクタ/ 1. ベース/ ドレイン ゲート ベース/ ゲート コレクタ/ ドレイン エミッタ/ ソース インライン・パッケージ・ソケット(3ピン) 122 センス 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 ◆ 配線の手順:(Cgd) 図の番号に従って以下の操作を行い、フィクスチャ内部を配線します。 注記:バイアス・ティー出力には、高電圧C-Vの3 kV出力に耐えられるSHVケー ブルを使用します。 その他の接続には細いワイヤを使用します。 ステップ1. SHVケーブルを使用して、バイアス・ティー出力のロー端子を インライン・パッケージ・ソケットの端子1フォース(ベース/ ゲート)に接続します。 ステップ2. SHVケーブルを使用して、バイアス・ティー出力のハイ端子を インライン・パッケージ・ソケットの端子2フォース(コレクタ /ドレイン)に接続します。 ステップ3. ユニバーサル・ワイヤを使用して、N1265Aフィクスチャの GND/(ACガード)出力をインライン・パッケージ・ソケットの 端子3(エミッタ/ソース)に接続します。 SHVケーブルおよびSHVバナナ・アダプタ ユニバーサル・フォース/ センス・ライン・ワイヤ 123 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 7-2-3. MFCMUのオープン・ショート補正 ◆ MFCMUの「オープン」補正のための校正を実行するには 以下の手順でオープン補正を校正します。 ステップ1. テスト・フィクスチャの配線をセットアップします。 ステップ2. DUTをソケットから取り外して、テスト・フィクスチャをオー プンにします。 ステップ3. オープン校正を実行します。 図7-6. オープン補正のセットアップ オープン補正 ソケットからDUTを取り外す ◆ CMUの「オープン」校正を開始するには 図7-7の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. 校正アイコンをクリックして、 [Calibration]ウィンドウを開 きます。 ステップ2. [CMU Calibration]タブをクリックします。 ステップ3. DUT端子がオープンになっていることを確認します。 [Open Correction]の[Measure...]ボタンをクリックします。 ステップ4. オープン補正が開始されます。 校正中は、"Measurement is in progress..."というメッセージ が表示されます。 ステップ5. 補正が完了すれば、[Open Correction]チェック・ボックスに チェック・マークが表示されます。 124 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 図7-7. オープン校正-補正 ◆ MFCMUの「ショート」補正のための校正を実行するには 図7-8の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. 図に示すように、テスト・フィクスチャ・ソケットのピンをショー ト・ワイヤでショートします。 適当なワイヤが見つからない場合は、次のステップの方法を使 用します。 ステップ2. (ステップ1を実行しなかった場合のみ)図に示すように、ショー ト・ケーブルを使用してソケット・モジュールの入力端子同士 をショートします。 Cgdショート校正の場合、ドレインとゲートのセンス入力端子 をショートします。 図7-8. ショート補正のセットアップ ショート補正 オプション: ソケット・コネクタ入力ピンの ドレインとゲートをショート。 Cgd校正用にドレインとゲートのピンをショート 125 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 ◆ CMUの「ショート」校正を開始するには 図7-9の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. DUT端子がショートされていることを確認します。 [Short Correction]の[Measure...]ボタンをクリックすれば、 ショート補正が開始されます。 ステップ2. [Measurement is in progress...]がしばらく表示された後、 補正が完了すれば[Short Correction]チェック・ボックスに チェック・マークが表示されます。 ステップ3. [Close]ボタンをクリックして、CMUのオープン・ショート校 正を終了します。 ステップ4. ソケット・モジュールからショート・ワイヤを取り外します。 IXTH1N250 HV MOSFETを3端子インライン・ソケットにセッ トします。 図7-9. ショート校正-補正 126 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 デモ5-1. 低電圧Cdg測定(40 V) 1. C-V掃引測定(クラシック・テスト)を設定するには 図7-10の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [Classic Test]タブをクリックします。 ステップ2. C-V掃引アイコンをクリックします。 ステップ3. C-V掃引セットアップの[Channel Setup]ページが開きます。 ステップ4. [Add SMU]をクリックして、新しい[Unit]フィールドを開 きます。 ステップ5. [Unit]フィールドをクリックすれば、使用可能なモジュールが プルダウン・メニューに表示されます。 ステップ6. [SMU6:HV]をクリックして、HVSMUをDC掃引ソースとして 設定します。 ステップ7. [SMU1:MP]のラジオ・ボタンをクリックします。 ステップ8. [Delete]ボタンをクリックすれば、 [SMU1:MP]フィールド が削除されます。 ステップ9. ステップ7と8を繰り返して、 [CMU1:MF]と[SMU6:HV]の 2行を残します。 図7-10. Cdgクラシック・テストの設定 -[Channel Setup]タブ 127 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 ステップ10. SMU6:HVのパラメータを以下のように変更します。 - VBias: VD - I Name: ID - Mode: V - Function: VAR1 ステップ11.[Setup Name]を"Cgd-V Sweep"に変更します。 2. 測定パラメータを設定するには 図7-11の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [Measurement Setup]タブをクリックします。 ステップ2. [Start]、 [Stop]、 [Step]、 [Compliance]の各パラメータを、 図のように変更します。 - Start: 0V - Stop: 40 V - Step: 200 mV - Compliance: 8 mA ステップ3. 遅延時間を設定します。 - Delay: 200 ms ステップ4. 周波数を設定します。 - List: 1 MHz 図7-11. Cdgクラシック・テスト・セットアップ -[Measurement Setup]タブ 128 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 3. 表示パラメータを設定するには 図7-12の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [Display Setup]タブをクリックします。 ステップ2. [X-Y Graph]の[X]および[Y1]パラメータを図のように設 定します。 ステップ3. [List Display]のパラメータを図のように設定します。 ステップ4. HV MOSFETがテスト・モジュールのソケットにセットされて いることを確認します。 シングル測定ボタンをクリックすれば、Cgd掃引測定が開始さ れ、表示ウィンドウが表示されます。 ステップ5. 図7-13に、IXTH1N250 HV MOSFETのCgd掃引測定曲線を示 します。 図7-12. Cdgクラシック・テスト・セットアップ -[Display Setup]タブ 図7-13. Cdg測定 129 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 デモ5-2. 高電圧Cdg測定(1500 V) ◆ 1500 VのCgd特性を測定するには 図7-14の番号に従って、以下の操作を行い、高電圧CV特性を測定します。 ステップ1. [Measurement Setup]タブをクリックします。 ステップ2. VAR1パラメータを以下のように変更します。 - Linier/Log: LOG10 - Start: 100 mV - Stop: 1.5 kV ステップ3. [Timing]のパラメータを以下のように変更します。 - Delay: 500 ms ステップ4. [Setup Name]を"Cgd-V Log sweep"に変更します。 ステップ5. [Display Setup]タブをクリックします。 ステップ6. [X]パラメータを以下のように変更します。 - Scale: Log - Min: 100 mV - Max: 1.5 kV 図7-14. 1500 VのCdgクラシック・テスト・セットアップのための変更 -[Measurement Setup]タブ 130 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 ステップ7. [Y1]パラメータを以下のように変更します。 - Scale: Log - Min: 1 pF - Max: 1 nF ステップ8. シングル測定ボタンをクリックすれば、1.5 kVログ掃引測定が 開始されます。 図7-15に、IXTH1N250 HV MOSFETの1.5 kV Cgdログ掃引曲線を示します。 確認 • CV測定は低電圧でも高電圧でも容易に実行できます。 • 最大電圧は3 kVまで上げることができます。 • 2 nFを超えるような大きい容量の測定確度は、N1260A高電圧バイアス・ ティーを外して4端子対ケーブルをN1265Aフィクスチャに直接接続するこ とによって改善できます。 ただし、この場合最大バイアス電圧は25 Vに制限されます。 図7-15. 1500 V Cdgログ掃引測定 131 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 デモ5-3. Cds、Coss、Cgs測定のテスト・フィクスチャ接続 このセクションでは、その他のCVパラメータ測定のテスト・フィクスチャ接続 を示します。 Cds測定 3. エミッタ/ ソース フォース センス フォース センス フォース センス 2. コレクタ/ 1. ベース/ ドレイン ゲート ベース/ ゲート コレクタ/ ドレイン エミッタ/ ソース インライン・パッケージ・ソケット(3ピン) Coss測定 3. エミッタ/ ソース フォース センス フォース センス フォース センス 2. コレクタ/ 1. ベース/ ドレイン ゲート ベース/ ゲート コレクタ/ ドレイン エミッタ/ ソース インライン・パッケージ・ソケット(3ピン) Cgs測定 注記: 1. Cgs測定では、SMU1:MPをN1265AフィクスチャのSMU 1フォース入力に接続する必要があります。 - SMU 1をVAR1に設定します。 - HVSMUをConst=0 Vに設定します。 2. 最大測定周波数は100 kHzに制限されます。 3. MPSMUの最大固定電流レンジを使用します。 3. エミッタ/ ソース フォース センス フォース センス フォース 1. ベース/ ドレイン ゲート ベース/ ゲート コレクタ/ ドレイン エミッタ/ ソース インライン・パッケージ・ソケット(3ピン) 132 センス 2. コレクタ/ 第7章 デモ5:高電圧C-V測定 デモ5のまとめ デモ5では、以下の内容について扱いました。 • 高電圧C-Vセットアップの構成方法。 • オープン・ショート誤差補正/校正の実行方法。 • B1505AのC-V測定の最大電圧は、N1260A高電圧バイアス・ティーと組み 合わせた場合、3 kVです。 - デモは1.5 kVで実行しました。 - IXTH1N250 MOSFETは最大2.5 kVの電圧を印加できます。 • N1260A高電圧バイアス・ティーで現実的に測定できる最大容量は、2 %の 追加誤差を許容した場合、約2 nFです。 注記:MFCMUをスタンドアロンで使用した場合、これよりはるかに大きい 容量の測定でもより高い確度が得られます。 ただし、MFCMUの最大DCバイアス電圧の直接接続は、25 Vに制限されます。 133 第8章 デモ6:10 kV測定 第8章 デモ6:UHVUによる10 kV測定 内容 8-1. デモのセットアップ 8-デモ6. 高電圧ダイオード・ブレークダウン・テスト 目的 この章の目的は以下のとおりです。 • B1505AのN1268A超高電圧エクスパンダを使用した超高電圧測定を実行 できるようになること。 • 直列接続された2個の高電圧ダイオードを使用して、約8 kVのブレークダ ウン測定を体験すること。 機能 • 高電圧デバイス・テスト用の10 kVの最大DC出力。 • IGBTな ど の デ バ イ ス 用 に 最 大1500 Aと 最 大10 kVま で の テ ス ト・ ソ リューションの提供 使用するデバイス デモ6では以下のデバイスを使用します。 • GP02-40高電圧接合整流器 主な定格と特性 IF(AV) 134 0.25 A VRRM 4000 V IFSM 15 A(60 Hz正弦半波) IR 5.0 μA VF 30 V 最大Tj 175 ℃ 第8章 デモ6:10 kV測定 8-1. デモのセットアップ 8-1-1. UHVUの構成:ケーブル接続 ◆ N1265A、N1268A、B1505Aの間の接続の概要 図8-1に、B1505Aの超高電圧エクスパンダ構成のブロック図を示します。 N1268A超高電圧エクスパンダを制御するために、2台のMCSMUを使用し ます。 UHVUの出力は、N1265AフィクスチャのUHVU入力に接続されています。 デジタルI/O制御は、N1265AおよびN1268Aを通じて直列に接続されます。 インターロック回路も、UHVUとテスト・フィクスチャの両方の出力を制御 するために、同じ方法で接続されています。 図8-1. B1505A UHVUの測定のブロック図 インターロック インターロック N1268A UHVエクスパンダ デジタルI/O デジタルI/O UHVハイ UHVロー セレクタ ハイ ロー 16494A×各4 ゲートF ゲートH ゲートS ゲートL UHV用 UHC入力 UHV用 電流制御 電圧制御 ゲート用 ◆ UHVUのケーブル構成 図8-2に、B1505AからN1268A UHVUエクスパンダを通じてN1265Aテス ト・フィクスチャへのケーブル接続を示します。 ケーブル接続の手順 図の番号に従って以下の手順を実行し、ケーブルを接続します。 ステップ1. 16494Aトライアキシャル・ケーブルを使用して、下から3番目 のSMU (MCSMU3)の フ ォ ー ス お よ び セ ン ス・ コ ネ ク タ と、 N1268AのUHV入力の対応する"Vset/Vm SMU"コネクタを接 続します。 ステップ2: 16494Aトライアキシャル・ケーブルを使用して、下から4番目 のSMU (MCSMU4)の フ ォ ー ス お よ び セ ン ス・ コ ネ ク タ と、 N1268AのUHV出力の対応する"Irtn SMU"コネクタを接続し ます。 135 第8章 デモ6:10 kV測定 ステップ3. 16493V UHVケ ー ブ ル を 使 用 し て、N1268AのHV出 力 と、 N1265AフィクスチャのUHVハイ・コネクタを接続します。 ステップ4. 16493V SHVケーブルを使用して、N1268AのHVリターン入力と、 N1265AフィクスチャのUHVロー・コネクタを接続します。 ステップ5. 16493GデジタルI/Oケーブルを使用して、B1505AのデジタルI/O コネクタとN1265A UHCE/フィクスチャのデジタルI/O入力コネ クタを接続します。 ステップ6. 16493GデジタルI/Oケーブルを使用して、N1265AのデジタルI/O 出力コネクタとN1268AのデジタルI/O入力コネクタを接続します。 ステップ7. 16493Jインターロック・ケーブルを使用して、B1505Aのインター ロック端子とN1268Aのインターロック入力端子を接続します。 UHVケーブル:ハイ側 ステップ8. 16493Jインターロック・ケーブルを使用して、N1268Aのインター ロック出力端子とN1265Aのインターロック端子を接続します。 ステップ9. B1505A、N1265A、N1268Aに電源ケーブルを接続します。 SHVケーブル:ロー側 図8-2. UHVUのケーブル接続 16493V UHVケーブル:ハイ側 16493V SHVケーブル:ロー側 N1268Aの リア・パネル フォース センス N1265Aの リア・パネル センス センス センス B1505Aの リア・パネル フォース B1505Aの リア・パネル フォース センス センス センス 136 第8章 デモ6:10 kV測定 8-1-2. UHVUの構成:テスト・フィクスチャ ◆ テスト・フィクスチャの準備 図8-3の番号を参照して、以下の操作を行います。 ステップ1. 図の2に示すテスト・フィクスチャのソケット・モジュールを取 り外します。 テスト・フィクスチャ側のケーブルだけを抜きます。 ステップ2. ソケット・モジュールのケーブルは図に示すようにそのままに しておきます。 ケーブルを残しておけば、ソケットの再構成が容易になります。 ステップ3. UHVUアプリケーションでは、図に裏返しで示されている絶縁 プレートをフィクスチャにセットする必要があります。 絶縁プレートをテスト・フィクスチャにセットする際には、絶 縁プレートの4個のピンをテスト・フィクスチャ側の穴に合わせ ます。 ステップ4. 図は、N1265Aテスト・フィクスチャに絶縁プレートをセット し終わったところです。 図8-3. N1265AフィクスチャのUHVU用のセットアップ ピンを合わせる 137 第8章 デモ6:10 kV測定 8-1-3. UHCおよびHVMCU設定の選択解除(非アクティブ化) 最初に、UHCおよびHVMCUを選択解除(非アクティブ化)して、MCSMUを解 放します。 ステップ1. [Configuration]メニューのタブをスクロールするには、左右の 方向矢印をクリックします。 このボタンを使用すれば、ウィンドウに表示されていない設定タブ を表示できます。 ステップ2. [UHC Expander/Fixture]タブをクリックします。 ステップ3. [Enable Ultra High Current Unit]チェック・ボックスをオフに します。 ステップ4. [Enable Selector]チェック・ボックスをオフにします。 ステップ5. [Apply]をクリックします。 ステップ6. [HVSMU Current expander]タブをクリックします。 ステップ7. [Enable High Voltage medium Current Unit]チェック・ボッ クスをオフにします。 ステップ8. [Apply]をクリックします。 図8-4. EasyEXPERTの設定 138 第8章 デモ6:10 kV測定 ◆ UHVUの設定 図8-5の番号に従って以下の操作を行い、EasyEXPERTをUHVU用に設定し ます。 ステップ1. [Configuration]メニューのタブをスクロールするには、左右 の方向矢印をクリックします。 このボタンを使用すれば、ウィンドウに表示されていない設定 タブを表示できます。 ステップ2. [UHV Expander]タブをクリックします。 ステップ3. [Enable Ultra High Voltage Unit]チェック・ボックスをオン にします。 ステップ4. 電圧および電流制御SMUを図に示すように設定します。 ステップ5. [Apply]をクリックします。 この操作の前に必ずN1268Aをオンにしてください。 ステップ6. [Close]ボタンをクリックします。 図8-5. EasyEXPERTのUHVU用の設定 N1285Aをオンにしてから [Apply]ボタンをクリックします。 139 第8章 デモ6:10 kV測定 デモ6. 高電圧ダイオード・ブレークダウン・テスト ◆ フィクスチャへのUHVケーブルの接続とデモ用ダイオードのセットアップ 図8-6に示すように、N1265Aテスト・フィクスチャの出力端子パネルにワイ ヤを接続し、テスト・ダイオードにクリップを接続します。 図に示す番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. ワニ口クリップ付きのSHVケーブルを、N1265Aフィクスチャ のUHVのロー出力コネクタにセットします。 ステップ2. ワニ口クリップ付きのUHVケーブルを、N1265Aフィクスチャ のUHVのハイ出力コネクタにセットします。 ステップ3. 直列接続されたダイオードを、図に示すように、カソード側 (白 い帯が付いた側)をワニ口クリップのハイ側に、反対側をワニ口 クリップのロー側に接続します。 注記:ダイオードを直列接続するには、ダイオードの電流方向が 同じになるように、2個のダイオードのリード線同士を撚り合わ せます。 ダイオードを直列接続する理由は、ブレークダウン電圧を約2倍 にして、10 kVの最大出力付近でのUHVUの能力を示すためです。 ステップ4. N1265Aフィクスチャのカバーを閉じます。 図8-7に示すように、ダイオードのハイ端子とロー端子の金属部 分が、N1265Aフィクスチャのカバーに触れていないことを確 認します。 図8-6. フィクスチャ内部のUHVダイオードのセットアップ ハイ ロー ロー側クリップ ハイ側クリップ 140 第8章 デモ6:10 kV測定 図8-7. N1265Aフィクスチャのカバーを閉じたときのダイオードの様子 テスト・ケーブルとDUTがフィクスチャ内部の絶縁プレート以外の部分に 触れていないことを確認します。 ◆ N1268A高電圧増幅器の出力をアクティブにするには 測定を開始する前に、図8-8に示すように、”HV”ボタンを押してN1268A高 電圧増幅器の出力をオンにします。 図8-8. UHVUをアクティブにするとHVインジケータ/ボタンが点灯 測定開始前に"HV ON"キーを 押します。 141 第8章 デモ6:10 kV測定 ◆ ダイオード・ブレークダウン・トレーサ・テストを設定するには 図8-9の番号に従って、以下の操作を行い、ダイオード・ブレークダウン・ トレーサ・テストを設定します。 ステップ1. [Tracer Test]タブをクリックします。 ステップ2. サンプル・セットアップ・アイコンをクリックします。 ステップ3. [Diode]を押します。 ステップ4. ブレークダウン特性を測定するために[IR-VR]を押します。 図8-9. IR-VRダイオード・ブレークダウンのサンプル・メニュー ◆ 10 kVブレークダウン・テストを設定して測定するには 図8-10に示す番号に従って、以下の手順を実行します。 ステップ1. [Unit]フィールドにUHVUが設定されていることを確認します。 ステップ2. ストップ電圧を設定します。 - 測定の最初のチェック用に1 Vを設定します。 ステップ3. パラメータを図のように設定します。 - NOS: 101 - Compliance: 100 uA ステップ4. パラメータを図のように設定します。 - Meas.Time: 10 us - Step Time: 500 us ステップ5. X軸最大値を10 kVに設定します。 ステップ6. Y軸最大値を100 μAに設定します。 ステップ7. Y軸の最小値は0 Aです。 オプション:リーケージ電流測定が負の値を示し、トレースが画 面に表示されないときは、Y軸の最小値を−10 μAに設定します。 142 第8章 デモ6:10 kV測定 ステップ8からは図8-11を参照してください。 ステップ8. 停止条件設定アイコンをクリックします (黄色の信号が点灯します) 。 ステップ9. 測定データが達したときに掃引を停止する領域をドラッグします。 ステップ10. 繰り返し測定ボタンを押します。 ステップ11. ストップ電圧をクリックして、入力をアクティブにします。 ステップ12. ノブを右方向に回して、掃引最大電圧を上げます。 掃引の幅が右方向に拡大されます。 ステップ13. 掃引トレースが右方向に拡大されます。 図8-10. UHV 10 kVテスト・パラメータの設定1 図8-11. UHV 10 kVテスト・パラメータの設定2とノブ掃引 ドラッグして停止条件領域を設定 143 第8章 デモ6:10 kV測定 ステップ14からは図8-12を参照してください。 ステップ14. 最終的に、ダイオードがブレークダウンし、測定が停止条件領域に 達すると、掃引が自動的に停止します。 ステップ15. マーカ・アイコンをクリックすれば、測定のスタート・ポイントに マーカが表示されます。 ステップ16. ブレークダウンのスタート・ポイントにマーカを移動します。 ステップ17. マーカによってブレークダウン電圧と電流を読み取ります。 ステップ18. トレース再生アイコンをクリックします。 ステップ19. トレース再生制御ウィンドウが開きます。 ステップ20. バーをグラッブして左側に動かすと、ブレークダウンが発生するま での測定トレースがリコールされます。 トレース再生機能は特に、デバイスが破損または損傷されて、同じ テストを再現できない場合に非常に有用です。 注記:トレースを保存して、後でオフライン・レビュー用にリコー ルできます。 確認 • 例では約9.4 kVのブレークダウン電圧が示されています。 ダイオード仕様のブレークダウン電圧は最低4 kVなので、デモの例の9.4 kV というブレークダウン電圧は、2個のダイオードの直列接続としては妥当な 値です。 図8-12. UHV 10 kVブレークダウン・テストと解析 144 第9章 デモ7:温度トリガ機能 第9章 デモ7:温度トリガ機能 内容 デモ7. 温度トリガを使用したVthシフト測定 目的 この章の目的は以下のとおりです。 • 温度トリガ機能について学ぶこと。 • 温度トリガ機能を使用してVthシフト対ケース温度測定を体験すること。 機能 • 温度依存パラメータは、温度トリガ機能を使用することで容易に測定でき ます。 • 温度依存パラメータの例: - 伝達特性(Vth、Vgs(off)) - 飽和電圧 - オン抵抗 - ブレークダウン電圧 - 順方向電圧降下(ダイオード) 使用するデバイス IRFP4004 HC MOS IRFP4004PbFのデータシートから得られたVth対温度データ Vgs(th)対Tj(Id=250 μA) Tj、温度(℃) 145 第9章 デモ7:温度トリガ機能 温度トリガ機能を使用したVthシフト測定のテスト・フロー 温度トリガのデモでは、パワー MOSFETのVthドリフトを測定します。 図9-1にテスト手順を示します。 図に示す番号を参照して、以下の操作を行います。 ステップ1. 最初に、Ig-Vdの繰り返し測定の自己加熱を利用して、MOSFET のケース/ボディの温度を上げます。 ステップ2. 温度が約8 ℃上昇したら、温度トリガ機能を使用してVth測定を 開始します。 ステップ3. 各Vth測定は、以下の定義済みの温度トリガ・リストによってト リガされます。 ステップ4. デモでは2個の熱電対を使用します。1個はMOSFETボディの温 度を測定するため、もう1個はMOSFETの相対温度上昇を測定 するための基準としてテスト・フィクスチャの温度を測定する ために使用します。 図9-1. Vthシフト測定のテスト・フロー MOSFETの 自己加熱 T1上昇> 8 ℃? 熱電対:T1 いいえ はい 温度トリガ測定を 開始 温度トリガ・リスト 熱電対:T2 温度トリガのターゲット 温度:Tを設定 T1−T2≠ T Radius ? 温度トリガ 繰り返し測定 いいえ はい Vth測定をトリガ Tリスト 終了? はい 温度トリガ 測定終了 146 いいえ 第9章 デモ7:温度トリガ機能 図に示すように、N1265Aテスト・フィクスチャの出力端子パネルとインライン・ パッケージ・ソケット・モジュールをワイヤで接続します。 ◆ 配線の手順 SMUの配線は、セクション3-1のVth測定と同じです。 セクション3-1を参照して、テスト・フィクスチャ内部を配線します。 熱電対をN1265Aフィクスチャにセットするには: - 図9-2に示すように、2個の熱電対を”K. Thermocouple”1および2入力 ソケットにセットします。 注記:詳細は以下に示します。 図9-2. 温度トリガの配線 3. エミッタ/ ソース フォース センス フォース センス フォース センス 2. コレクタ/ 1. ベース/ ドレイン ゲート ベース/ ゲート コレクタ/ ドレイン N1265A-041熱電対 (3 mリード) エミッタ/ ソース インライン・パッケージ・ソケット (3ピン) 図9-3. 熱電対のセットアップ K型熱電対プラグ 裏側の図 147 第9章 デモ7:温度トリガ機能 ◆ 熱電対のセットアップ 図9-3に示す番号に従って、以下の操作を行い、熱電対をセットします。 ステップ1. 熱電対KソケットをN1265Aの熱電対入力ソケット2にセットし ます。 ステップ2 ソケットの拡大図を示します。 ステップ3. 熱電対ソケットを図に示すように挿入します。 ソケットには細い側 (−マーク)と太い側 (+マーク)があり、ソ ケット・モジュールを接続する際には同じタイプを合わせます。 ステップ4. 図にはソケットの裏側の拡大図を示します。 ステップ5. 熱電対2をソケット・モジュールの基部にセロハンテープで取り 付けます。 ステップ6. もう1個の熱電対をN1265Aのソケット1にセットします。 ステップ7. MOSFETの裏側プレートに熱電対1を取り付けます。 ◆ EasyEXPERTの設定 UHCUによる測定を開始する前に、UHCエクスパンダ/フィクスチャ設定が 必要です。 UHCUを設定するには 図9-4に示す手順に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. 設定アイコンをクリックします。 ステップ2. [UHC Expander/Fixture]タブをクリックします。 ステップ3. [Enable Ultra High Current Unit]チェック・ボックスをク リックしてオンにします。 注記:電圧/電流制御SMUはすでに設定されている必要があり ます。 ステップ4. [Enable Selector]チェック・ボックスをクリックしてオンに します。 ステップ5. [Enable Gate Control]チェック・ボックスがオンになってい ることを確認します。 ステップ6. デフォルト出力としてSMU1:MPを選択します。 ステップ7. [Thermometer]フィールドの[Channel 1]と[Channel 2] の両方のチェック・ボックスをオンにします。 ステップ8. [Apply]ボタンをクリックすれば、アクティブな選択されたモ ジュールが更新されます。 ステップ9. [Close]ボタンをクリックして、設定ウィンドウを閉じます。 図9-4. EasyEXPERTの設定:UHC 148 第9章 デモ7:温度トリガ機能 ◆“Vth Vgs (off)”アプリケーション・テストのセットアップ Vthの測定には、図9-5に示すように、第3章のデモ1と同じセットアップを使 用します。 図9-5に示す手順を実行します。 ステップ1 ∼ 5: デモ1のVth測定と同じセットアップを使用します。 注記:以下の2つの点を確認します。 - MeasMode:Vth -VthがId=250 μAで定義されている ステップ6. シングル測定ボタンをクリックし、得られたVthが妥当かどうか を確認します。 図9-5. Vth Vgs (off) アプリケーション・テストのVth設定 149 第9章 デモ7:温度トリガ機能 ◆ 温度トリガ・リストを設定するには 図9-6の番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. [Run Options]ボタンをクリックして、[Run Option]ウィ ンドウを開きます。 ステップ3. [Record Test Data Automatically]チェック・ボックスをオ ンにします。 注記:このチェック・ボックスをオンにして繰り返し測定を実 行した場合、トレーサ・テスト・モードを除いて、繰り返し測 定 ボ タ ン を ク リ ッ ク し た と き に、 [Repeat measurement Setup]ウィンドウが開きます。 ステップ4. 繰り返し測定ボタンをクリックします。 ステップ5. [Repeat measurement Setup]ウィンドウが開きます。 ステップ6. [Automatically fill in Device ID]チェック・ボックスをオン にします。 ステップ7. [Enable Thermo-trigger]チェック・ボックスをオンにします。 ステップ8. [N1265A Thermo-trigger List ...]ボタンをクリックします。 ステップ9. [Thermo-trigger List]ボックスが表示されます。 ステップ10.[Temp]セルの1行名をクリックします。 ステップ11.[T1-T2]セットアップをクリックします。 ステップ12からは図9-7に示す操作を行います。 ステップ12. 1行目のパラメータを以下のように設定します。 - Center: 5 deg. C - Radius: 0.5 deg. C - その他のパラメータはデフォルトのままにしておきます。 ステップ13.[Add] ボタンをクリックして、 新しい入力フィールドを開きます。 図9-7の[Thermo-trigger List]の2列目のようにパラメータを 設定します。 図9-6. 温度トリガ・リスト1のセットアップ 150 第9章 デモ7:温度トリガ機能 ステップ14.[Thermo-trigger List]の3 ∼ 5列目に対してステップ13を繰り返 し、以下の表に示すパラメータを入力します。 Temp Center Radius Delay Action 1 T1-T2 5 deg. C 0.5 deg. C 0s TRG 2 T1-T2 4 deg. C 0.5 deg. C 0s TRG 3 T1-T2 3 deg. C 0.5 deg. C 0s TRG 4 T1-T2 2 deg. C 0.5 deg. C 0s TRG 5 T1-T2 1 deg. C 0.5 deg. C 0s TRG ステップ15. 温度トリガ・リストをすべて設定した後、 [OK]ボタンをクリック します。 EasyEXPERTメニューに温度リストが設定されます。 注記:リストを再使用する場合、エクスポート機能とインポート機 能が使用できます。 ステップ16.[Counter reaching to:]チェック・ボックスをオンにします。 ステップ17. カウンタ番号を5に設定します。 温度トリガ・リストは5なので、測定停止条件を5に設定します。 ステップ18.[Reset counter before repeating]チェック・ボックスをオンに します。 この設定により、繰り返しカウンタは繰り返し測定の開始時に0に リセットされ、カウンタは繰り返し測定のたびに1ずつ増加します。 ステップ19. ここで、[cancel]をクリックして設定に戻ります。これは先に自 己加熱測定を開始する必要があるからです。 図9-7. 温度トリガ・リスト2の設定 151 第9章 デモ7:温度トリガ機能 ◆ 自己加熱のためのID-VDSトレーサ・テストの設定 図9-8に示す番号に従って、以下の操作を行い、ID-VDSトレーサ・テストを 設定します。 ステップ1. ID-VDSサンプル・メニューを選択して、以下のVAR1および VAR2テスト・パラメータを設定します。 VAR1 VAR2 Mode Start Stop NOS Interlacing Compliance LIN-SGL 0V 60 V 21 1 Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Dual Polarity Hold Time 0V 0s 100 us OFF 0s Start Stop NOS 4.5 V 6.5 V 5 Compliance Pwr comp 100 mA OFF Pwr comp Output V Comp 501 A 3 kW 35 V Pulse Base Pulse Delay Pulse Width Hold Time 0V 0s 120 us 0s ステップ2. このフィールドには、熱電対の温度がリアルタイムで表示され ます。 フィールドをクリックして、[dT:T1-T2 deg. C]を表示するよ うに設定します。 ステップ3. 繰り返し測定ボタンをクリックすれば、繰り返し測定が開始さ れ、MOSFETの温度が上昇し始めます。 ステップ4. 温度上昇はリアルタイムで[Thermometer]フィールドに表示 されます。 dTが約8 ℃に達したら、測定停止ボタンをクリックして、温度 トリガVth測定に切り替えます。 注記:MOSFETの温度は下がり始めるので、dTが6 ℃まで下がる 前に温度トリガVth測定を開始する必要があります。 図9-8. ID-VDSトレーサ・ テストの設定 152 第9章 デモ7:温度トリガ機能 ◆ 温度トリガVth測定を開始するには ステップ5からは図9-9に示す操作を行います。 ステップ5. [Application]タブをクリックすれば、Vth測定セットアップ が見つかるはずです。 見つからない場合、 [My Favorite]セットアップまたは[Result] データ領域からリコールできる可能性があります。 ステップ6. 繰り返し測定ボタンをクリックすれば、 [Repeat Measurement Setup]ウィンドウが開き、前に設定した条件が表示されます。 ステップ7. [Run]ボタンをクリックします。 ステップ8. dTがターゲット温度から[Radius]に指定した範囲内に達する と、最初の測定が開始されます。 ステップ9. トリガ温度を待っている間、ターゲット温度が表示されます。 ステップ10. リアルタイムの温度が表示されます。 ステップ11. Vth測定が繰り返され、温度トリガ・リストのステータスが最新 の状態に更新されます。 ステップ12. dTも更新されます。 図9-9. 温度トリガVthテスト 153 第9章 デモ7:温度トリガ機能 図9-10に、Vth測定のデータ表示を示します。 図の1. 温度トリガ・リストからトリガされたVth測定は、[Results]領域に 保存されます。 図の2. 各測定のVthが[Parameter]フィールドに抽出されます。 図の3. T1、T2、dT(=T1-T2)は[Device ID]フィールドに自動的に保存 されます。 VthおよびT1データは容易に抽出できます。図9-11にこのデモ結果によるVth プロットを示します。 図9-11は、デモ測定から抽出されたT1対Vthのプロットです。 線形回帰線が表示されており、これよりIRFP4004のVthの温度係数が −9.2 mV/℃であることがわかります。 図9-10. 温度トリガによるVth表示データ 図9-11. Vthシフト対ケース温度 IRFP4004のVth対ケース温度 温度(℃) 154 第9章 デモ7:温度トリガ機能 確認 • 図9-11で抽出されたVthの温度係数は−9.2 mV/℃です。 データシートの値 (第9章の1ページ目を参照)は、ID=250 μAの曲線のケー ス温度約25 ℃の部分より、約−9 mV/℃と読み取れます。 • これはB1505Aによるテスト結果とよく一致します。 • MOSFETの温度を上げるには自己加熱を利用しましたが、他にドライヤーを 使用してMOSFETを加熱するといった方法も考えられます。 デモ7のまとめ このデモでは、以下の内容を説明しました。 • 熱電対の使用方法。 • 温度トリガ機能の操作方法。 • アプリケーション・テストの自動Vth抽出では、自動解析を使用して、デバ イス・パラメータを非常に簡単に抽出できます。 注記:クラシック・テスト・モードを使用すれば、自動解析機能をきわめて 容易に実現できます。 次の章にその例を示します。 • デモ結果は、データシートのパラメータとよく一致しています。 155 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 自動パラメータ抽出 内容 10. デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換。 自動パラメータ抽出。 目的 このデモでは、トレーサ・テスト・セットアップから新しいクラシック・テスト・ モードのテスト定義への変換について説明します。 機能 トレーサ・テストをクラシック・テスト定義に変換することにより、以下の利 点が得られます。 • 電流測定のオートレンジ・モードが(デフォルトで)適用されるので、広い 範囲で正確な測定が可能です。 注記:トレーサ・テスト・モードでは、最高速度を維持するために固定レ ンジを使用しています。 • 自動解析機能を容易に追加できます。 • 各テストに対してさまざまなX-Yグラフ表示フォーマットを追加できます。 • リスト表示でさまざまなデータとデータ・ステータスをチェックできます。 • トレーサ・テストのサンプル・セットアップ・メニューを使用して、クラ シック・テスト・モード定義の測定部分を設定できます。 この方法を使用すれば、クラシック・テスト・モードの基本テスト・セッ トアップの面倒な手順を省くことができます。 マーカ読み値: • Rds(on)=1.65 mΩ (Id= 195 A) 156 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 デモ2-3-1で、Rds (on)ID−VDSを測定しました(前のページのトレーサ・テス トを参照)。 このデモでは、このトレーサ・テスト定義をクラシック・テスト定義に変換し てから、自動解析機能を追加します。 クラシック・テスト定義では、Rdsを抽出するために以下の操作を追加します。 1. マーカをアクティブにします。 2. マーカをId=195 Aに移動します。 3. マーカ位置のRds(on)の値を読み取ります。 4. Rds(on)をパラメータ表示フィールドに表示します。 ◆ テスト定義をトレーサ・テストからクラシック・テストに変換するには トレーサ・テスト・モードの定義は、クラシック・テスト・モードに容易に 変換できます。クラシック・テスト・モードに変換するために、 Rds(on)トレー サ・テスト・セットアップをリコールしてください。 図10-1に示す番号に従って、以下の操作を行います。 ステップ1. [Setup Name]フィールドに適切なテスト名を設定します (RDSon ID-VDS)。 ステップ2. [My Favorite Setup]の適切なグループで、[Save]ボタンを クリックします。 ステップ3. 例では、[My Favorite]グループ[Rds_ON]にトレーサ・テ スト定義を保存しています。 ステップ4. [Classic Test]モード・タブをクリックして、クラシック・テ スト・モードのGUIを開きます。 ステップ5.[My Favorite Setup]領域のアイコンをクリックして、ターゲッ ト・トレーサ・テスト定義を選択します。 この例では、RDSon ID-VDSトレーサ・テスト・アイコンをク リックします。 ステップ6. [Recall]ボタンをクリックすれば、トレーサ・テスト・モード の定義が自動的にクラシック・テスト・モードの定義に変換さ れます。 図10-1. トレーサ・テスト・モードからクラシック・テスト・モードへのテスト定義の変換 トレーサ・テスト・モード クラシック・テスト・モード 157 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 変換後のクラシック・テスト定義をチェックします。 図10-2に示すように、すべてのパラメータが変換されています。 ステップ1. チャネル・セットアップ。 ステップ2. 測定セットアップ。 ステップ3. 掃引ステータスは同じ。 ステップ4. ADC時間は50 μs。 ステップ5. パルス設定は同じ。 ステップ6. ユーザ関数:RDSonが変換されています。 ステップ7. X-Yグラフの表示設定が変換されています。 X-Yグラフと同じパラメータのリスト表示が追加されていることを 確認してください。 図10-2. トレーサ・テスト・モードからクラシック・テスト・モードへのテスト定義の変換 158 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 クラシック・テスト・モードには自動解析機能を追加できます。 ◆ 自動解析機能を追加するには 図10-3の番号に従って以下の操作を行い、自動解析機能を追加します。 ステップ1. [Auto Analysis Setup]タブをクリックします。 ステップ2. マーカを図のように設定します。 -[Enable Maker]チェック・ボックスをオンにします。 - マーカ解析条件としてID=195 Aを入力します。これはパワー MOSFETの仕様条件です。 ステップ3. [Interpolation Mode]チェック・ボックスをオンにして、補 間モードをアクティブにします。 ステップ4. [Function Setup]ページをクリックします。 ステップ5. [Analysis Function]を図のように設定します。 注記:@MY1関数はマーカのY1軸データを読み取り、式は@MY1 の値をRdsオン変数に設定します。 この後で、このデータを[Parameter Display]フィールドに表 示します。 図10-3 (a). クラシック・テスト定義への自動解析の追加 159 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 前のページから続きます。 ステップ6. タブをクリックして[Display Setup]ページを開きます。 ステップ7. [X-Y Graph]パラメータを図10-3 (b)に示すように追加します。 ステップ8. [List Display]にパラメータを追加します。 ステップ9. [Parameters]フィールドに[Rds_on]パラメータを追加し ます。 ステップ10.[Setup Name]にクラシック・テストの適切なセットアップ名 を設定します。 この例では、クラシック・テストを表す”CT”を追加しています。 ステップ11.[Save]ボタンをクリックします。 ステップ12. この操作により、新しいテスト定義が[My Favorite Setup] グループにクラシック・テスト・モードで保存されます。 ステップ13. シングル測定ボタンをクリックします。 図10-3 (b). [Display Setup]タブへの表示パラメータの追加 160 第10章 デモ8:トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換 ID-VDS CTクラシック・テストの結果を図10-4に示します。 図10-4に示す番号に従って、デモのサンプル出力の説明をします。 ステップ1. X-Y表示にはRDSon対ID曲線がプロットされます。 ステップ2. マーカは指定されたID=195 Aのポイントに自動的に配置され ます。 ステップ3. マーカのY1軸のデータが、抽出パラメータとして[Parameters] フィールドに表示されます。 オン抵抗は1.64 mΩで、ID=195 Aでの仕様である1.7 mΩよ りも小さくなっています。 ステップ4. リスト表示には、指定されたパラメータがすべて表示され、マー カ位置のデータが強調表示されます。 このように、特別な操作なしでこれらのパラメータを簡単に参照できます。 ステップ5. 注記、オプション: [Show Graph Legend]をクリックすれば、X-Yグラフ上にセット アップ・パラメータが表示されます。 図10-4. Rdsオン対Id特性:自動解析機能を使用したクラシック・テスト結果 まとめ • トレーサ・テストからクラシック・テストへの変換は非常に簡単です。 • 自動解析および表示パラメータの追加もきわめて容易な作業です。 • トレーサ・テスト・モードとクラシック・テスト・モードの組み合わせによっ て、使いやすい環境をB1505A上に実現できます。 161 第11章 デモ9:レポート 第11章 デモ9:PCでのデータ解析のレポート作成 内容 デモ9:レポート作成 このデモでは、レポート作成に関する内容を扱います。 レポートを作成する際に必要な作業としては、データの解析、データの変換、 アプリケーション・ソフトウェア間のデータ転送などがあります。 デモ9の内容は以下のとおりです。 1. 2. 3. 4. 5. 6. 162 Desktop EasyEXPERT データの表示/リコール グラフのコピー リスト・データのコピー 結果データのエクスポート/インポート お気に入りプリセット・グループのエクスポート/インポート 第11章 デモ9:レポート 1. Desktop EasyEXPERTの使用 • オフライン* のテスト/解析環境 • 利点: • 効率の改善 • EasyEXPERTおよび測定データにいつでもアクセス可能 • PC環境で使用可能 • 使い慣れたWindowsアプリケーションでの測定データの 処理 • 大画面ディスプレイがある場合、広い作業領域 • オフライン • B1500A H/Wが不要 • テスト・ライブラリの開発 * GPIBでB1500Aに接続することによりオンラインでも使用可能 オプション:Desktop EasyEXPERTの使用 レポート作成にDesktop EasyEXPERTを使用するのは便利な方法です。 • オフラインで作業でき、測定データをB1505Aからエクスポートして Desktop EasyEXPERTにインポートすることにより、いつでも測定デー タにアクセスできます。 • PCが使用でき、使い慣れたアプリケーションを使用して測定データを詳 細に解析し、レポートを作成できます。 • デスクトップ領域が広ければ、Desktop EasyEXPERTやアプリケーショ ン内でのデータ処理が容易になります。 注記:このデモにはDesktop EasyEXPERTは不要です。 Desktop EasyEXPERTを使用する場合、付録2を参照してください。 注記:Desktop EasyEXPERTソフトウェアのオンラインでの使用 Desktop EasyEXPERTは、PCとB1505AをGPIB経由で接続することに より、B1505A上のEasyEXPERTとまったく同じようにオンラインで使 用できます。 これにより、オフラインのPCで開発したテスト・ライブラリや新しいセッ トアップをエクスポートしなくても、B1505Aの測定リソースにアクセス できます。 測定データは自動的にDesktop EasyEXPERTに保存されるので、結果 データをB1505AからエクスポートしてPCにインポートする必要はあり ません。 163 第11章 デモ9:レポート 2. データのリコール/表示 解析のための測定データのリコール/再表示 EasyEXPERTのリスト・データ領域に保存されているテスト結果は、いつ でもリコールしたり、表示できます。 データ・リコール機能は、すべてのデータを取得した後、またはデータを Desktop EasyEXPERTに移動した後で、データを解析してレポートを作成 する場合に便利です。 テスト結果を表示するには、以下の2つの方法があります。 データの表示:テスト・データだけをデータ・ディスプレイ・ウィンドウに 表示します。表示したデータに対して解析機能が使用できます。 リコール:データ・ディスプレイ・ウィンドウとセットアップ・データの両 方をリコールします。 データのリコールは、測定セットアップを確認する場合や、データを確認し た後でもう一度測定を実行する場合に便利です。 ◆ データをリコール/表示するには 結果領域にデータをリコール/表示するには、スライドの番号を参照して、 以下の操作を行います。 1. データ行を右クリックするか、行を選択して[Results]バーをクリック すれば、機能メニューが開きます。 2.[Display Data]または[Recall]をクリックします。 164 第11章 デモ9:レポート 3. グラフをコピーするには ワードパッドに貼り付け グラフをコピーするには 上のスライドは、コピー/貼り付け操作の例を示しています。 データ・ディスプレイ・ウィンドウに表示されたグラフは、クリップボードに コピーできます。 グラフィック画像は、ワードプロセッサ・ソフトウェアなどの他のWindowsア プリケーションに貼り付けることができます。 ◆ グラフをコピーするには 上の例では、グラフ画像をワードパッドに貼り付けています。 グラフをコピーするには、スライドの番号を参照して、以下の操作を行います。 1. コピーするデータ・ディスプレイ・ウィンドウを開きます。 2. データ・ディスプレイ・ウィンドウのメニューで、[Edit]>[Copy Graph]を選択します。 3. ワードパッド(または別のアプリケーション)を開きます。 - ワードパッドで[編集]>[貼り付け]を選択します。 165 第11章 デモ9:レポート 4. リスト・データをコピーするには メモ帳に貼り付け スプレッドシート・ソフトウェアで開く リスト・データをコピーするには 上のスライドは、コピー/貼り付け操作の例を示しています。 データ・ディスプレイ・ウィンドウに表示されたデータ・リストは、クリップボー ドにコピーできます。データは、メモ帳などの他のWindowsアプリケーション にコピーできます。 ◆ リスト・データをコピーするには 上の例では、データ・リストをメモ帳に貼り付けています。 リスト・データをコピーするには、スライドの番号を参照して、以下の操作 を行います。 1. コピーするデータ・ディスプレイ・ウィンドウを開きます。 2. データ・ディスプレイ・ウィンドウのメニューで、[Edit]>[Copy List]を選択します。 3. メモ帳(または別のアプリケーション)を開きます。 - メモ帳で[編集]>[貼り付け]を選択します。 注記:コピーされたデータは、リスト表示領域に表示されているのと同じ フォーマットです。 データをスプレッドシートに貼り付けて解析する場合は、リスト領域で数値 フォーマットを変更することが必要な場合があります。 (次ページを参照) 注記:[Copy Parameters]機能 [Copy List]機能と同様に、[Copy Parameters]機能を使用すれば、 [Parameters]領域のデータをコピーできます。 166 第11章 デモ9:レポート 4-1. リスト表示のプロパティを変更するには [Edit]>[List Display Properties…] データ・ステータス 物理単位 例: 例:−1.2345 mA 例:−1.23456789012345E−003 A スプレッドシート・アプリケーションで使用するために リスト・データを別のフォーマットでコピーするには リスト表示にはいくつかの表示フォーマットがあります。 上のスライドに示すダイアログ・ボックスを使用して、[List Display]領域の データ表示フォーマットを設定できます。 ◆[List Display Properties]ダイアログ・ボックスを開くには [List Display Properties]ダイアログ・ボックスを開くには、スライドの番 号を参照して、以下の操作を行います。 1.[List Display]領域の[Properties...]ボタンをクリックするか、 2. データ・ディスプレイ・ウィンドウで[Edit]>[List Display Properties...]メニューを選択します。 3.[List Display Properties]ボックスが開きます。 [Display]領域 以下のチェック・ボックスをオンにすれば、データ・ステータスや物理単位 をデータに追加できます。チェック・ボックスをオフにすると該当する項目 が削除されます。 • Data Status:データの前のステータス・コードを追加または削除します。 • Physical Unit:データの後の物理単位を追加または削除します。 [Number Format]領域 データ表示フォーマットを以下の中から選択できます。 • Engineering Format(with Unit Prefix): 小数点、SIプレフィックス、単位を使用したデータ表示。例:−1.2345 mA • Scientific Notation: 小数点、指数部(E、+/−記 号、3桁の数値)、単位を使用 したデータ表示。 例:−1.23456789012345E −003 A 注記: スプレッドシートで計算する場合、 ここに示すプロパティを使用しま す:([Scientific Notation]だけが オン) 167 第11章 デモ9:レポート 5-1. テスト・レコードをエクスポートするには テスト・レコードをエクス ポートするための推奨 フォーマット テキスト・ファイル・エクスポート・ フィルタのGUI 1. エクスポートするデータ・レコードを選択して、右クリックします。 2. [Transport Data]>[Export As xxxx]を選択します。 複数のデータをエクスポートするには、[Transport Data]>[Folder Export] を選択します。 測定データ・レコードをエクスポートするには 測定データは、他のアプリケーションから使用できるフォーマットで、外部ファ イルにエクスポートできます。 ◆ テスト・レコードをエクスポートするには テスト・レコードをエクスポートするには、スライドの番号を参照して、以 下の操作を行います。 1. エクスポートするデータ・レコードを指定します。 2.[Result]ボタンをクリックして、機能メニューを表示します。 3. メニュー・リストから[Transport Data]>[Export As xxxx]を選 択します。xxxは使用可能なフォーマットを表します。 Windowsエクスプローラが開きます。 4. データを保存するファイル名とディレクトリを指定します。 注記:複数のテスト・レコードを1つのファイルにエクスポートするには、 [Transport Data]>[Folder Export…]メニューを使用します。 テスト・レコードをエクスポートするには、以下の5つのフォーマットが使 用できます。 •(Compressed)Test Resultファイル:EasyEXPERT間の転送に使用 します。 CSV ファイル:カンマ区切りテキスト・ファイル。 • XML Spreadsheetファイル:指定したXMLスタイルシートを使用し • て作成されたXMLファイル。 • My Format:フィルタ・ファイルを使用してデータの不要な部分を削 除します。 Text Fileフォーマット:GUIベースのフィルタを使用して、必要なデー • タだけをエクスポートします。 ◆ ファイルのエクスポートのヒント エクスポート・ファイルのフォーマットとフィルタの組み合わせには多くの 種類があります。フィルタは、EasyEXPERTの内部データベースから必要 なデータ要素を抽出するために使用します。 初心者向けの使いやすく有用なフォーマットとして、以下のものをお勧めし ます。 •[Export as Compressed Test Result ...]:EasyEXPERT間の転送に使 用します。 •[Export as Text File...]:Windowsアプリケーション間のデータ転送に 使用します。このフォーマットを使用する場合は、 [Text File Export Setting ...]を必ず設定してください。 168 第11章 デモ9:レポート 5-2. テスト・レコードをインポートするには テスト・レコードをEasyEXPERTにインポートするには 測定データをEasyEXPERTにインポートできます。 この操作は、データをDesktop EasyEXPERTに移動して、オフライン解析 やレポートの作成を行う場合に有用です。 注記: インポートできるのは、 [Test Result]または[Compressed Test Result]フォー マットでエクスポートされたファイルだけです。 ◆テスト・レコードをインポートするには テスト結果レコードをインポートするには、スライドの番号を参照して、以 下の操作を行います。 1.[Result]ボタンをクリックして、機能メニューを表示します。 2. メニュー・リストから[Transport Data]>[Import...]を選択します。 [Test Result Import]ダイアログボックスが開きます。 3. インポートするファイルを選択します。 169 第11章 デモ9:レポート 6. プリセット・グループをエクスポート/ インポートするには [My Favorite Setup] ボタン お気に入りプリセット・グループのエクスポート/インポート プリセット・グループをエクスポート/インポートできます。 この操作は、B1505AとDesktop EasyEXPERTの間でプリセット・グルー プを移動するために使用できます。 ◆ エクスポートするには 現在のプリセット・グループをエクスポートするには、スライドの番号を参 照して、以下の操作を行います。 1.[My Favorite Setup]ボタンをクリックします。 2.[Preset group]をクリックします。 3.[Export This Preset Group...]を選択し、エクスポートするプリセット・ グループのフォルダと名前を指定します。 ◆ インポートするには プリセット・グループをインポートするには、スライドの番号を参照して、 以下の操作を行います。 1.[My Favorite Setup]ボタンをクリックします。 2.[Preset group]をクリックします。 3.[Import Preset Group...]を選択し、インポートするプリセット・グルー プを指定します。 170 第11章 デモ9:レポート デモ9:まとめ この実習では、以下のことを学びました。 1. Desktop EasyEXPERT - オフライン・データ処理は、作業効率をさまざまな面で効率化する ことができます。 - オンライン(B1500AをPCから制御)でも使用できます。 2. データのポストプロセッシングには、データの表示/リコールを使用 します。 3. レポート作成には、以下の機能が有用です。 - グラフのコピー - リスト・データのコピー - 測定データのエクスポート/インポート - お気に入りプリセット・グループのエクスポート/インポート デモ9:まとめ 上のスライドに記載された内容を学びました。 171 B1505Aをオフにするには ◆ B1505Aをオフにするには B1505Aの今日の最後のデモ作業が終了した後、以下の操作を行います。 1. デモ・デバイスをテスト・フィクスチャから取り外します。 2. B1505Aをオフにします。 2A.[Standby]スイッチ(フロント・パネルの右下隅)を押すか、[Start] メニューからWindowsのシャットダウンを実行します。 2B. EasyEXPERTが閉じ、Windowsが安全にシャットダウンされて、 Agilent B1505Aはスタンバイ状態になります。 172 付録 付録 目次 付録1. EasyEXPERTリビジョンA.05.00用アプリケーション・テスト・ライブラリの更新 A1-1. AgilentのWebサイトからのサンプル・ファイルセットのダウンロード A1-2. Vth測定アプリケーション・テストの変更 付録2. Desktop EasyEXPERTソフトウェア 付録3. B1505Aデモ品を返却する前に A3-1. 測定データの保存 A3-2. ワークスペースと測定データの削除 付録4. B1505Aデモ品の返却 173 付録1 付録1. 準備のための補足情報 以前に出荷されたB1505Aデモ品には、デモで用いられるリビジョンA.05.01の EasyEXPERTアプリケーション・テスト・ライブラリが含まれていませんでし た。また、デモの要件を満たすために、既存の2つのアプリケーション・テスト・ ライブラリを変更する必要があります。 EasyEXPERTリビジョンがA.05.00の場合は、デモを開始する前に、必要なファイ ルをAgilent Webサイトからダウンロードしてインストールしてください。 ● EasyEXPERTのリビジョンを確認するには 図A1-1のようにEasyEXPERTの設定ウィンドウを開きます。ダウンロード とインストールの手順を以下に示します。 以下の操作を行ってください。 図A1-1. A1-1. EasyEXPERTリビジョンA.05.00への新しいアプリケーション・テストのインストール A1-1-1. AgilentのWebサイトからのサンプル・ファイルセットのダウンロード 以下の手順に従ってAgilentのWebサイトからアプリケーション・テスト定義 ファイルセットをダウンロードします。 手順 - Webサイト: www.agilent.com/find/B1505A にアクセスして[Technical Support]に 移動します。 [B1505A MB3 Demo]とzipファイルのインジケータを探 します。 - ダウンロード: リンクをクリックすると、 “B1505A_MB3_Demo_AT.zip”アプリケー ション・テスト・ライブラリ・ファイルをダウンロードできます。 ダウンロードしたファイルをB1505AのWindowsシステムの適切なフォ ルダに保存します(例:D:/tmpまたはデスクトップ)。 174 付録1 A1-1-2. zip圧縮ファイルからの展開 ダウンロードしたファイルは、EasyEXPERTから読み取れるように、通常の Windowsファイル・フォーマットで展開する必要があります。 図A1-2に示す手順に従って、ダウンロードしたzipファイルからファイルを展 開します。 ステップ1. B1505A_P-BJT_HB_Library.zipファイルを右クリックします。 ステップ2. ポップアップ・ウィンドウのメニューから[Extract All...]を 選択します。 ステップ3. 展開ウィンドウが開きます。[Next]をクリックします。 ステップ4. ダウンロードしたzipファイルの展開場所としてデスクトップを 選択します。 [Next]をクリックします。 ステップ5. Windowsエクスプローラが開きます。 指定したフォルダの下にすべてのファイルが展開されます。 この例では、デスクトップの“B1505A_MB3_Demo_AT”フォ ルダです。 図A1-2. ダウンロードしたzipファイルの展開 1. zipファイルを右クリック 3. zipファイルを展開する フォルダを選択/設定 2.[Extract All]を選択 4.[Extract]を押す 5. zipファイルの展開が完了 175 付録1 A1-1-3. ダウンロードしたアプリケーション・テスト・ファイルの EasyEXPERTソフトウェアへの設定 次の手順に従って、アプリケーション・テスト定義をEasyEXPERTにインポー トします。 [手順]:図A1-3を参照 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2. EasyEXPERTの[Library]バーをクリックして、[Library]メ ニューを開きます。 ステップ3. [Library]メニューから[Import Test Definition]を選択すれば、 Windowsエクスプローラが開きます。 ステップ4. サンプル・ファイルセットを抽出したフォルダを探します。 図に示す2つのアプリケーション・テスト定義を選択します。 ステップ5. Windowsエクスプローラの[Open]ボタンをクリックすれば、 EasyEXPERTのアプリケーション・テスト・ライブラリにすべて のアプリケーション・テスト定義がインポートされます。 ステップ6. [Application Category]フィールドの[IGBT]と[PowerMOSFET] のチェック・ボックスをオンにします。 これらのカテゴリに含まれるすべてのアプリケーション・テスト定 義が[Library]フィールドに表示されます。 ステップ7. 検索ボックスに“Ex”と入力すれば、テスト名に“ex”を含むア プリケーション・テスト定義だけが[Library]フィールドに表示 されます。 ステップ8. [Library]ウィンドウに新しいアプリケーション・テスト定義が 表示されます。 これらのアプリケーション・テスト定義が存在するかどうかを確認 します。 図A1-3. アプリケーション・テスト定義のインポート 6. [IGBT]および [PowerMOSFET] チェック・ボックス をチェック 2.[Library]をクリック 3.[Import Test Definition]を選択 1.[Application Test] をクリック 4. インポートしたライブラリ・ 8. 新しいアプリケー セットを見つけて選択 ション・テスト 定義 5.[Open]をクリック 7. 検索フィールドに "Ex"と入力 176 付録1 A1-2. Vth測定アプリケーション・テスト定義の変更 EasyEXPERTリビジョンA.05.00に含まれる以下の2つのアプリケーション・ テスト定義は、デモンストレーションでIGBTおよびパワー MOSFETのVth測 定に使用されるMPSMUをサポートしていません。 • Vth Vgs(off):VthまたはVgs(off)測定(A.05.00) • Vth Vge(off):IGBT VthまたはVge(off)測定(A.05.00) これら2つのアプリケーション・テスト定義をデモの前に変更する必要があります。 注記:EasyEXPERTリビジョンE.A.05.01以降の場合は、MPSMUがサポートされてい るので、このセクションに示す変更は不要です。 A1-2-1. Vth Vgs(off)-パワー MOSFETの変更 図A1-4の番号に従って、以下の操作を行い、Vth Vgs (off)のアプリケーション・ テスト定義を変更します。 ステップ1. [Application Test]タブをクリックします。 ステップ2、3.[IGBT]および[PowerMOSFET]アプリケーション・カテ ゴリのチェック・ボックスをオンにします。 ステップ4. 検索フィールドに”Vth”と入力します。 ステップ5. Vth Vgs (off)テスト定義を右クリックして、アプリケーション・ テスト定義メニューを開きます。 ステップ6. [Open Definition of This Test...]をクリックして、テスト定 義エディタ・ウィンドウを開きます (図A1-5)。 図A1-4. アプリケーション・テスト定義を開くには 177 付録1 ステップ7. テスト定義エディタが表示されています。 ステップ8. [Test Parameter Definitions]領域の垂直スクロールバーを下の 方に移動して、[Drain]の項を表示させます。 ステップ9. ドレインの項の行領域をクリックして、コントロールにフォーカス を移します。 ステップ10.[Resource Types]ボタンをクリックします。 ステップ11.[Define Resource Type]ウィンドウが開きます。 ステップ12.[Add]ボタンをクリックして、新しいリソース入力フィールドを 追加します。 ステップ13. リソース・メニューから[MPSMU]を選択します。 ステップ14. MPSMUが使用可能なリソース・タイプに設定されます。 ステップ15.[Close]ボタンをクリックします。 図A1-5. アプリケーション・テスト定義を変更するには 178 付録1 ステップ16.[File]>[Save]をクリックします。 ステップ17.[Confirm Test Definition Overwrite]ウィンドウが表示されます。 ステップ18. テスト定義の上書きを確認して、 [OK]をクリックし、アプリケー ション・テスト・エディタを閉じます。 図A1-6. 新しいアプリケーション・テスト定義を保存するには A1-2-1. Vth Vgs(off)の変更: A1-2-2. Vth Vgs(off)-IGBTの変更 Vth Vge(off)アプリケーション・テスト定義を変更するためには、Vth Vgs(off) に対する図A1-4 ∼ A1-6と同じ手順を実行しますが、ステップ8を以下のように 変更します。 図A1-5のステップ8の行を以下のステップに置き換えます。 ステップ8. [Test Parameter Definitions]領域の垂直スクロールバーを下の 方に移動して、[Collector]の項を表示させます。 179 付録2 付録2. Desktop EasyEXPERTソフトウェア Desktop EasyEXPERTソフトウェアは、Windows PCにインストールできます。 Desktop EasyEXPERTは、B1505AのEasyEXPERTと全く同じ機能を備え、 B1505Aのデモに以下の機能を追加するために使用できます。 1. デモ用のB1505Aで実行したすべての測定結果を保存して、デモ用の B1505Aの返却した後でも、オフラインでテスト結果をリコールでき ます。 2. EasyEXPERTの機能をオフラインで確認できます。 3. データをPCソフトウェアで解析すれば、PCの広いウィンドウ領域を利 用できます。 4. 必要な場合、B1505Aに内蔵されたEasyEXPERTと全く同じ方法で、 PCからB1505Aを制御できます。 • Desktop EasyEXPERTソフトウェアをインストールするには Desktop EasyEXPERTのインストール手順を実行します。 • Desktop EasyEXPERTを開始するには(オフライン・モード): 1. Windowsデスクトップの[Desktop EasyEXPERT]アイコンをクリッ クします。 2.[Start EasyEXPERT]ウィンドウが開きます。 3. Desktop EasyEXPERTを 開 始 す る 前 に、 次 に 示 す Desktop EasyEXPERTの オプションを設定します。 ステップ1.[Option]をクリックします。 ステップ2.[Execution Mode...]をクリックして、[Execution Mode] ウィンドウを開きます。 Desktop EasyEXPERTには以下の2つの動作モードがあり ます。 1. オンライン・モード: B1505A、B1500A、4155/56 B/CなどをGPIB経由で 制御できます。 2. オフライン・モード: アプリケーション・ライブラリの作成やデータ解析が 行えます。 180 付録2 ステップ3. ここでは[Offline]を選択し、オフライン・モードを選 択します。 ステップ4. 測定モデルの選択:[B1505A]をクリックします。 ステップ5. [OK]をクリックし、[Execution Mode]ウィンドウを 閉じます。 4.[Start EasyEXPERT]ボタンをクリックします。 オフライン・モードのB1505A Desktop EasyEXPERTが開きます。 181 付録3 付録3. B1505Aデモ品を返却する前に 本書の測定をAgilentのB1505Aデモ品で実行した場合、B1505AをAgilentに 返却する前に、必要があれば、測定データを将来の参照用に保存し、操作履歴 を削除してください。 このセクションでは、そのための情報を提供しています。 A3-1. 測定データの保存 測定データは、いくつかのフォーマットで保存できます。 このセクションでは、EasyEXPERTフォーマットでデータを保存する方法を紹 介します。このデータはB1505AまたはDesktop EasyEXPERTにインポート でき、データ管理の柔軟性が最も高い方法です。 Desktop EasyEXPERTソフトウェアは、ダウンロードして、Windows PCに インストールできます。 測定データをEasyEXPERTフォーマットでエクスポートする場合、本書のアプ リケーション・テスト・ライブラリを保存しておいてください。 Desktop EasyEXPERTソフトウェアにデータをアップロードするときに、親 アプリケーション・ライブラリがEasyEXPERTソフトウェアにインストールさ れていない場合、測定データをインポートする前にアプリケーション・テスト・ ライブラリをインストールしておく必要があります。 [エクスポートの手順] 図A3-1に示す操作を行います。図の番号は以下のステップ番号に対応しています。 ステップ1. 上矢印をクリックして[Results]エリアを拡大します。 ステップ2. 図の右側のように[Results]エリアが拡大されます。 ステップ3. エクスポートするデータを選択します。選択されたデータは図のよ うにバックグランド・カラーが青色に変わります。 ステップ4. [Results]バーを左クリックすれば、結果エリアのメニューが開 きます。 ステップ5. [Transport Data]を選択すれば、次のメニューが表示されます。 ステップ6. [Export As Compressed Test Result...]を選択すれば、 [Compressed Test Result Export]エクスプローラが開きます。 ファイル名を入力し、適切な記録メディアにデータを保存します。 注記:ここで保存するデータは、本書で使用したサンプルの測定データのフォー マットと同じです。 このデータを別のEasyEXPERTソフトウェアで開く場合、同じ手順を使用して ください。 182 付録3 図A3-1. [Results]エリアを拡大して測定データ・セットを選択 183 付録3 A3-2. ワークスペースと測定データの削除 B1505Aデモ品から操作履歴を削除する最も簡単な方法は、使用したワークス ペースをワークスペースの管理ページから削除することです。 ワークスペースの管理ページは、標準の起動プロセスか、セクション2-5-1の図 のケース1の方法で開くことができます。 図A3-2に、既存のワークスペースを削除する手順を示します。 以下の手順で操作してください。手順のステップ番号は図の番号に対応してい ます。 データを一度削除すれば、回復する手段がありませんので、この作業は慎重に 行ってください。 [削除の手順] ステップ1. [Your Workspaces:]を選択します。 ステップ2. [Manage Workspace]ボタンをクリックします。 ステップ3. [Workspace Manager]サブウィンドウが開きます。 ステップ4. [Available Workspaces:]のリストからワークスペース名を選択 します。 ステップ5. [Delete]ボタンをクリックすれば、[Confirmation]サブウィン ドウが表示されます。 ステップ6. [Confirmation]サブウィンドウで、[OK]ボタンをクリックし ます。 EasyEXPERTから、ワークスペースと関連するデータおよびセットアップが削 除されます。 図A3-2. EasyEXPERTからの既存のワークスペースの削除 184 付録4 付録4. B1505Aデモ品の返却 B1505Aデモ品を返却する際には、送付されたすべての品目が揃っていること を確認してください。 個人データを保護するため、デモ用に作成したワークスペースは必ず削除して おいてください。 ワークスペースを削除する方法については、付録Bを参照してください。 さらに、EasyEXPERTまたはWindowsファイル・システムに機密データが記 録されている場合、必ず削除してください。 注記: Agilentでは、B1505Aデモ品を次のユーザに貸し出す際に、データの削除は行っ ていません。 185
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