ECLIA 法によるタクロリムスおよびシクロスポリン測定試薬の基礎的検討

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ECLIA 法によるタクロリムスおよびシクロスポリン測定試薬の基礎的検討
◎生戸 健一 1)、北秋 翔子 1)、佐藤 伊都子 1)、林 伸英 1)
神戸大学医学部附属病院 検査部 1)
【目的】 タクロリムス(TCL)やシクロスポリン(CSA)
CSA:CV=3.9〜19.8%)、日差再現性は TCL:
は強力な免疫抑制作用を示す一方、腎障害など重篤な副作
CV=2.5〜4.0%、CSA:CV=2.9〜5.1%(対照試薬は TCL:
用が認められることから血中薬物濃度測定が必須な薬剤で
ある。TCL や CSA は血液中では血球分画に高濃度に分布す
CV=6.3〜7.8%、CSA:CV=6.5〜11.4%)であった。② 実
効感度;CV=20%での感度は TCL:0.22ng/mL、CSA:
るため赤血球からの抽出と除蛋白を目的とした前処理操作
12.04ng/mL であった。③ 希釈直線性;TCL、CSA ともに
が必要であるが、操作の頻雑さから測定者間での手技誤差
良好な結果を示した。④ 相関性;対照試薬との相関は
が問題視されてきた。今回、前処理操作が簡便な電気化学
TCL(n=51):y=1.039x+0.457(r=0.974)、
発光免疫測定(ECLIA)法による TCL および CSA 測定試
CSA(n=52):y=1.130x+13.106(r=0.984)であった。⑤
薬の基礎的検討を行ったので報告する。
手技誤差の検討;測定者間の再現性は TCL:2.7%、CSA:
【材料と方法】 測定試薬はエクルーシス試薬 タクロリム
2.5%(対照試薬は TCL:4.1%、CSA:10.7%)であった。
ス/シクロスポリン(ロシュ社)、対照試薬はアーキテクト
【まとめ】 今回の基礎的検討では、基本性能や対照試薬と
タクロリムス/シクロスポリン(アボット社)、対象は当院
の相関性は良好な結果が得られた。特に、再現性や手技誤
検査部に測定依頼のあった患者 103 例の EDTA 加全血検体
差の改善が認められたことから、本試薬は日常検査におけ
を用いた。基礎的検討として再現性、実効感度、希釈直線
る有用性の高い試薬であると考えられた。
性および相関性の検討を行った。更に、前処理操作の手技
連絡先:078-382-6314(内線 6326)
誤差を検討するため、測定者 9 名の再現性を評価した。
【結果】 ① 再現性;同時再現性は TCL:CV=1.0〜2.1%、
CSA:CV=1.4〜2.4%(対照試薬は TCL:CV=2.9〜6.0%、