見本 第 1 章 Bluetooth 五つのミッション 第 1 第 1 部 Bluetooth の基礎知識 章 切れにくく邪魔もしない!安全・安心・安定の3 拍子そろった 切 イントロ Bluetooth 五つのミッション 1 2 紅林 薫 Bluetooth は,1994 年にヨーロッパで産声をあ パソコン側の Bluetooth アダプタをマスタ, マ げました.日本ではさまざまな経緯から,あまり ウスやキーボードをスレーブと呼び,マスタは同 光が当たりませんでしたが,実績十分の無線規格 時に最大 7 台のスレーブと通信ができます. です.Bluetooth 機器は,全世界で相互接続が保 本章では,この Bluetooth のミッションを見て 証 さ れ て い ま す. 認 証 機 関 BQTF(Bluetooth いきます. Qualification Test Facility)が,図 1-1 に示すよう な申請された個々の機器について,プロファイル ごとに接続試験を行い,認証マークである図 1-2 1-1 ミッション① 数 m 先を無線で確実に制御する の Bluetooth ロゴを与えています. ● 雑音の多い場所でも安心して使える Bluetooth は,パソコンの USB ケーブルをなく 従来,データを収集するときは,パソコンを利 すことを目的にして生まれた,数 m までの近距離 用するのが一般的でしたが,最近はスマホやタブ で無線通信をする規格です.一般に,パソコンと レットを使いたいという要望が増えています.し マウスやキーボード,ヘッドセットなどをつなぐ かし,これらには I/O 端子が用意されていません. ときは USB を利用することが多くなりますが,パ 3 4 5 6 7 ソコンの周辺はたいてい図 1-3 のようにケーブル でいっぱいになります.こんなときは,パソコン に Bluetooth アダプタを 1 個取り付けて,マウスや 8 キーボードを Bluetooth 対応のものに取り換えれ 図 1-2 Bluetooth の ロゴ・マーク ば,完全なケーブルレスのパソコン環境を実現で きます. 9 10 11 (a)スマートフォン (b)ヘッドセット (c)バーコード読み取り器 12 (d)血圧計 図 1-1 Bluetooth 機器のいろいろ…かなりのポータブル機器に付いてきた 19 第 2 章 Bluetooth 4.0 の LE モード 第 2 第 1 部 Bluetooth の基礎知識 章 コイン電池で長時間動作! サッと起きてパッと寝る イントロ Bluetooth 4.0 の LEモード 1 2 田中 邦夫 / 道蔦 聡美 Bluetooth 4.0規格で用意されたLE(Low Energy) でした.そこで,根本的に通信プロトコルを変え モードは,これまでの規格 1.0 ∼ 3.0(以下,クラ て,もっと低消費電力化を図るために生まれたの シック規格)とは出所も違うまったくの新しい機 が,Bluetooth 4.0 規格の LE モードです. 能です.コイン電池 1 個で長時間動作できるよう, 超低消費電力化したものです(表 2-1) . 3 4 2-1 LE モードの特徴 表 2-2 に 示 す の は Bluetooth 規 格 の 遍 歴 で す. バージョンが上がるたびに,通信速度の向上や低 ● 使いどころ 消費電力化が計られています.4.0 とクラシック規 クラシック規格は,ヘッドセットやヘッドホン 格は互換性がありません. など常に通信している割合が高く,通信に若干の 通信速度は,Bluetooth 3.0 + HS(High Speed) 遅延があっても問題にならない使い方が前提でし で最大 24Mbps に向上しています.消費電力を抑 た.一方,LE モードは通信頻度が低く,スリー える Sniff Subrating は Bluetooth 2.1 で追加されま プが長いセンサ類(温度や脈拍)と組み合わせると したが,Bluetooth は 1 回の通信に時間がかかるの 力を発揮します. で,ZigBee など他の無線通信より消費電力が多め 通信速度は,従来の Bluetooth + EDR(3Mbps) 表 2-1 従来の Bluetooth 規格(クラシック規格)とは互換性なし! Bluetooth 4.0 項 目 無線周波数チャネル数 クラシック規格 Bluetooth 4.0 (LE モード) 79 40 項 目 11.25ms/1.25s 1.25ms/1.25s GFSK(1M ∼ 3Mbps) GFSK(1Mbps) 接続までの時間 11.25ms/1.25s 1.25ms/1.25s 出力 +20dBm(クラス 1), + 4dBm(クラス 2) 22.5ms/1.25s 1.25ms/1.25s スキャン+接続までの 時間 パケット・フォーマット 6 2 Ack パケット送信時間 126μs 80μs 接続時間 8 バイト(オクテット) 送信時間 214μs 144μs 最大パケット・サイズ 1021 バイト (オクテット) 27 バイト (オクテット) 最大スループット 2178.1kbps 305kbps 1M バイト転送時間 2.9 ∼ 18.2s 13.9s 16 24 CRC ビット長 暗号化 Safer+ AES-128 1回 パケットごと Ack 形式 即時 ウィンドウ内 トポロジ フレキシブル スター形 認証方法 LMP PDUs 75 14 2.5ms LMP ネゴシエーション 時間 5m ∼ 50ms ネゴシエーションなし L2CPA 接続時間 5m ∼ 50ms 固定チャネルの場合, ネゴシエーションなし 30m ∼ 120ms 3ms 1.25ms 瞬時 4 ∼ 12 バイト (オクテット) 4 バイト (オクテット) 17 1 ホッピング時間 L2CAP オーバーヘッド L2CAP コマンド 7 9 20ms アプリケー ショ ン・ データ転送時間 6 8 Bluetooth 4.0 (LE モード) 電波形式 +10dBm スキャン周期 クラシック規格 5 10 11 12 31 第 3 章 30 ドル・キットではじめる Bluetooth 無線 第 3 第 2 部 1 日体験コース オールインワン・モジュールで超高速開発 章 1 個から買えるモジュールでパソコンやタブレットと通信 イントロ 30ドル・キットではじめる Bluetooth 無線 1 2 後閑 哲也 第 2 部では,タブレット端末(例えば Nexus 7)と キットです. Bluetooth 通信を行える機器の作り方について解説 ・RN-42-SM:RS-232-C 対応,マイコンとの接続 します(図 3-1) .手始めに本章では,タブレットと パソコンとの Bluetooth 無線通信の実験を行います. 実 験に使 用するのは,Bluetooth モジュ ー ル が容易[写真 3-1(a)] ・RN-42-EK:USB 対応,パソコンとの接続が容 易[写真 3-1(b) ] RN-42( マ イ ク ロ チ ッ プ・ テ ク ノ ロ ジ ー, 旧 いずれも TELEC(テレコムエンジニアリングセ Roving Network 社 )を搭 載した次の二つの開 発 ンター)による認証(技術基準適合証明および工事 Bluetooth機能 第3章 開発キットによる Bluetooth通信を実験! タブレット 第4章 I/O実験ボードを作る タブレット UART USB 3 4 5 6 Bluetooth通信 無線 マイコン Bluetooth開発キット (a)USB対応のBluetooth開発キットを使用 7 Bluetooth 開発キット 第5章 本格的な測定器を作る (b)RS-232-C対応のBluetooth開発キットを使用 8 図 3-1 タブレットと Bluetooth 通信できる機器を作る 第 3 章では,タブレットとパソコンとの Bluetooth 無線通信の実験を行う 9 10 11 (a)RS-232-C 対応の RN-42-SM 12 (b)USB 対応の RN-42-EK 写真 3-1 実験に使う Bluetooth モジュール 45 第 4 章 タブレットとつながる! カンタン I/O 実験ボード 第 4 第 2 部 1 日体験コース オールインワン・モジュールで超高速開発 章 シリアル制御だけ! 回路もソフトウェアも超シンプル! イントロ タブレットとつながる! カンタンI/O 実験ボード 1 2 後閑 哲也 使用するプログラム:04_Sample Program Bluetooth スタータ・キット RN-42-SM (RS-232-C 図を示します.表 4-1 に機能をまとめました. インターフェース)を搭載したカンタン I/O 実験 制御用のワンチップ・マイコン(PIC16F1827)と ボー ド( 写 真 4-1)を作りました. これを使 っ て, Bluetooth スタータ・キット RN-42-SM は,USART タブレット(Nexus 7,Android 4.2.1)が親機(ホ (Universal Synchronous Asynchronous Receiver スト),I/O 実験ボードが子機(スレーブ)という Transmitter)で接続します.周辺部品は,LED が 関係で,ワイヤレス制御の実験を行います. 2 個,スイッチが 2 個,温度センサが 1 個です. さらに, パソコンにスタータ・キットRN-42-EK(USB 写真 4-1 の黒い四角い部品は 3.7V のリチウム・ インターフェース) を接続して,同様の実験をします. イオン蓄電池です.通常のアルカリ電池でも 3 本 ! 4-1 全部入りだから超カンタン マイコンのI/OをL/Hできる実験ボード 3 4 5 以上直列接続すれば問題なく動作します.これら の電池の出力電圧を 3 端子レギュレータで降圧し 6 て 3.3V を生成しています. ● ハードウェア おまけで,RN-42-SM の汎用入出力ピンに 2 個の 図 4-1 に,製作した I/O 実験ボードのブロック LED を接続しました. 7 制御用マイコン LED 温度センサ 汎用スイッチ LED 8 リセット・スイッチ リチウム・ イオン蓄電池 9 10 11 Bluetooth スタータ・キット RN-42-SM 12 写真 4-1 製作したカンタン I/O 実験ボード LED,スイッチ,温度センサを搭載する 57 第 5 章 回路や部品の性能チェックに! ポータブル周波数特性アナライザ 第 5 第 2 部 1 日体験コース オールインワン・モジュールで超高速開発 章 サッと出してピッ! 大画面ディスプレイでまるで高級測定器 サ イントロ 回路や部品の性能チェックに! ポータブル周波数特性アナライザ ジュールによる無線機能を持つアナログ信号処理 2 後閑 哲也 使用するプログラム:05_Sample Program 信号発生機能とレベル測定機能,Bluetooth モ 1 3 5-1 こんな装置 基板(写真 5-1)を作りました.電池で動いて,持 ち運び可能な周波数特性アナライザです.PIC マ ● 使い方 イコンで制御するアナライザ本体と表示装置とし タブレット側で[端末接続]ボタンをタップしま て利用するタブレット(Nexus 7)で構成されてい す.「Analyzer」という端末を接続してから,[ス ます. イープ]ボタンをタップすると計測がスタートし タブレット端末を持ち歩いている方ならば,こ ます.図 5-2 と図 5-3 に測定例を示します.コイル の基板を使って,いつでもどこでも回路や電子部 とコンデンサで作ったLC ローパス・フィルタ(図 品の周波数特性をチェックできます(図 5-1) .何 5-2)と LC ハイパス・フィルタ(図 5-3)の周波数 百 万 円もする巨 大なネッ トワー ク・ アナライザ 特性です. (フィルタなどの周波数特性を測れる)を使うほど ではない測定用途はたくさんあります. 5 6 アナライザ側は PIC マイコンのファームウェア を,タブレット側はアプリケーション・プログラ ムを使います. アナログ信号処理 基板 (信号発生機能, レベル測定機能, Bluetooth通信機能) 4 7 タブレット端末 (Nexus 7) 8 ポータブルだから いつでもどこでも 測れる! 電池 で動く! 9 10 回路や部品 写真 5-1 製作したポータブル周波数特性アナライザ 信号発生機能とレベル測定機能,Bluetooth モジュールによる無線機能 を持つアナログ信号処理基板を製作した.表示装置としてタブレット端 末を利用する 図 5-1 本器を使えばいつでもどこでも手軽に回路や電子部 品の周波数特性を測れる 11 12 65 第 6 章 My パソコンでデータ収集! ワイヤレス百葉箱 第 6 第 3 部 Bluetooth モジュール活用事例 章 PIC マイコンでセンサのデータを集めて Bluetooth で送信! P イントロ Myパソコンでデータ収集! ワイヤレス百葉箱 1 2 後閑 哲也 使用するプログラム:06_Sample Program 本章では,温度,湿度,気圧,明るさの四つの 構成を示します.PIC マイコンを搭載したボード 環境データを測定し,Bluetooth 無線でパソコン でセンサによる測定を行い,測定データを PIC マ へ無線で送信して表示するシステムを製作します. イコンから Bluetooth を使って無線でパソコンに 表示データには,アナログ計測とディジタル情報 送信して結果を表示します. も追加されています.パソコンのアプリケーショ 本システムには, 写 真 6-2 に示す二つの Blue ンは Visual Basic で製作します. tooth モジュールを使用しています.RN-42-SM (マ 6-1 こんな装置 イクロチップ・テクノロジー)はワイヤレス・セ ンシング基板に搭載し,PIC マイコンと TTL レベ 3 4 5 ルで直結します.また,RN-42-EK(マイクロチッ ● 本器の構成 プ・テクノロジー)はパソコンと USB ケーブルで 写真 6-1 に本システムの外観を,図 6-1 に全体の 接続しています. 6 7 8 マイコンとの接続に向く UART対応のBluetooth モジュールRN-42-SM 9 10 ワイヤレス・ センシング基板 11 パソコンとの接続に向く USB対応のBluetooth モジュールRN-42-EK 12 写真 6-1 Bluetooth ワイヤレス百葉箱の接続 97 第 7 章 タブレットで大画面表示! ポータブル・データ・ロガー 第 7 第 3 部 Bluetooth モジュール活用事例 章 4 チャネル入力,15 サンプル / 秒,分解能 62.5μV イントロ タブレットで大画面表示! ポータブル・データ・ロガー 2 後閑 哲也 使用するプログラム:07_Sample Program 18 ビッ ト分 解 能のΔΣ型 A-D コンバー タ MCP 1 3 用しても大丈夫です. 3424 で測定したデータを,PIC マイコンのメモリ にログ・ デー タとして保 存し,Bluetooth による ● 全体の構成 無線通信でタブレットに送って表示する装置を作 図 7-2 に,本器の構成を示します. ります.タブレットに接続されたときにデータを ワイヤレス・ デー タ収 集 基 板の Bluetooth モ 一括して送信し,タブレットでグラフ化します(図 ジュールには,RN-42-SM(第 6 章参照)を使って 7-1). います.TTL レベルの UART に直 結できるので, 図 7-1 の CH-1 にはオフセット付きの正弦波を入 PIC マイコンからも簡単に制御ができます. 力し,CH-2 にはオフセット付きの矩形波を入力し ワイヤレス・データ収集基板の制御は,PIC マ ています. サンプリングは 1 秒としているので, イコンで行います.マイコンは,UART を内蔵し いずれも 1Hz 以下の周波数としています. た 28 ピンのものであればどれでも使えます.今回 7-1 こんな装置 4 5 6 は収集したデータを保存するため,RAM の多い 16 ビットの PIC24FJ64GA002 を使いました. 7 写真 7-1 に,本器の外観を示します.Nexus 7 ● 機能と仕様 タブレットと,PIC マイコンで制御するワイヤレ 本器の機能を表 7-1 に示します.ログ・データ ス・データ収集基板とで構成されています.四角 を 700 回分グラフに表示しますが,サンプリング の黒い部 品は, リチウム・ イオン蓄 電 池です. 間隔は自由に設定できるようにします. バッテリには,アルカリ電池 3 本または 4 本を使 ワイヤレス・データ収集基板の仕様は,表 7-2 Nexus 7タブレット 8 9 10 ワイヤレス・ データ収集基板 11 リチウム・イオン 蓄電池 図 7-1 ポータブル・データ・ロガーで波形を観測してタ ブレットで表示させた(100 データ /div,10 秒 /div) 写真 7-1 ポータブル・データ・ロガーの外観 117 12 第 8 章 タブレットで再生&操作! MP3 オーディオ・ステーション 第 8 第 3 部 Bluetooth モジュール活用事例 章 Bluetooth,SDカード,ラインの3入力! スタンドアロンでも使える タブレットで再生&操作! MP3オーディオ・ステーション 後閑 哲也 使用するプログラム:08_Sample Program Bluetooth Bluetooth モジュ ー ルを使 っ て, タブレッ ト 「Nexus 7」から音楽再生と音源切り替えの制御 をする「MP3 オーディオ・ステーション」を製作 しました(図 8-1) .タブレットに保存した音源を Bluetooth 経 由で再 生するだけではなく,SD メ 製作した MP3 オーディオ・ステーションの外観 を写真 8-1 に示します.図 8-2 に示すように,タブ レット(Nexus 7),メイン・ボード,スピーカか 力からの再生もできます.音源の切り替えや音 ら構 成されます. メイン・ ボー ドには,MP3 デ 量設定などの制御は,タブレットから Bluetooth コーダ・ボードと Bluetooth モジュール RN-52 の で操作します. 評価ボード RN-52-EK を利用しました. Bluetooth Bluetooth モジュール「RN-52」 (マイクロチッ MP3 オーディオ・ステーションは, プ・テクノロジー)は,オーディオ用のプロファ ・ コーデックを内蔵しており音楽データをスピー 2 8-1 MP3オーディオ・ステーション のシステム構成 MP3 の再生,パソコンやテレビなど汎用外部入 御 用デー タを同 時に送 受 信できます. さらに, 1 3 カに出力できます. モリー カー ド( 以 下,SD カー ド )に保 存した イルに対応しており,オーディオ・データと制 イントロ 4 5 6 音源 1:タブレットに保存した音楽をBluetooth 経由で再生する ・音源 2:SD カードに保存した MP3 データを再 生する 7 8 9 SDカードに音楽を入れておけば, タブレットなしでも使える! 10 11 12 図 8-1 タブレット(Nexus 7)から Bluetooth で音楽データをワイヤレス転送&再生 137 第 9 章 My スマホとつなぐ! Bluetooth コードレスホン実験ボード 第 9 第 3 部 Bluetooth モジュール活用事例 章 充電機能付きだから持ち運びもできる イントロ Myスマホとつなぐ! Bluetoothコードレスホン実験ボード 大野 俊治 使用するプログラム:09_Sample Program My スマホ 2 3 防水マイクと スピーカで, 水没の心配なく 長電話♪ 充電中でスマホが動かせな くても,どこでも通話や音 楽が聴けるのって便利∼! えー! 4 あのね. 最近, 彼がさぁ … 5 部屋に入れば,家のスピー カとスマホが自動接続して, 好きな音楽がスタート! 6 図 9-1 製作した「BlueHAND ボード」でできること 7 本章では,音声対応の Bluetooth モジュールを ジュール WT32 の設定や動作を対話的に確認 実装した「BlueHAND 実験ボード」を製作します. ができる.また,USB 給電も可能 そして,ノート・パソコンやタブレット,スマー ・WT32 のアナログ入出力用にマイク・アンプと トホンなどの Bluetooth 対応機器から本実験ボー ヘッドホン・アンプを用意する.ヘッドホンや ドを制御して,スピーカから音楽を流したり,音 電話機の受話器を接続するだけで,音楽再生 楽情報を取得したり,通話したりします. やハンズフリーでの通話ができる 9-1 ハードウェア ・リチウム・イオン / リチウム・ポリマ電池を接 続するための端子を持ち,電池での動作確認が 用して,USB 経由で電池を充電できる Bluetooth の評価実験のために,写真 9-1 に示す ・制御マイコンとして ARM Cortex-M0 コア搭載 BlueHAND 実験ボードを製作しました.構成を図 の LPC1114FN28 を実装できる.シリアル選択 9-2 に示します. ジャ ンパの設 定( 写 真 9-2)により,WT32 を ▶機能 LPC1114 からも制御できる 換 器 FT230X を 介 し て, Bluetooth モ ジ ュ ー ル変 換 基 板 WCA-009 を USB で パ ソ コ ン と 接 続 し て,Bluetooth モ 8 9 できる.また,WT32 のチャージャ機能を利 ● その名も「BlueHAND 実験ボード」 ・USB- シ リ ア ル 変 1 ・JTAG あるいは USB 経 由のシリアルでマイコ ンへ書き込む ・ WT32 の GPIO 端子とアナログ入力端子,マイ 159 10 11 12 第 10 章 BLE4.0 対応! I/O アダプタ基板&ファームウェア 10 第 第 4 部 Bluetooth ドングル活用事例 章 低消費電力&短時間接続! イントロ BLE4.0対応! I/Oアダプタ基板&ファームウェア 辻見 裕史 使用するプログラム:10_Sample Program 写真 10-1 は,Bluetooth 4.0 LE(Low Energy) モー ドを備えた USB ドングルと PIC マイコンを 1 2 3 10-2 回路とキーパーツ 使って製作した I/O アダプタです.パソコンとの 間で低消費電力無線通信が可能で,電池で動きます. 図 10-3 に,I/O アダプタの回 路 図を示します. 今回,LE モード用のファームウェア(簡易「プ コネクタ類を含めても 10 個ちょっとの部品で作る ロトコル / プロファ イル 」)を開 発しました. 図 ことができます. 10-1 に示すように,パソコンから文字列を送ると, 最初の 1 文字だけが変化した文字列が I/O アダプ タから返ってきます. 10-1 こんなふうに使える 4 5 ● 低消費電力規格 Bluetooth 4.0 対応! LE モード搭載の USB ドングル 市販のドングルは,大別して次の 2 種類あります. (1)従来の Bluetooth 2.1/3.0 + EDR のドングル 6 , (b) [写真 10-2(a) ] (1,000 円程度) ● 応用 1…RS-232-C ケーブルが不要になる 図 10-2(a)に示すように,PIC マイコンの入出 (2)Bluetooth 4.0のドングル[写真10-2(c) , (d) ] (1,500 円程度) 7 力(I/O)端子で制御できるもの,例えば,LED や 温 度センサ, モー タ,USB メモリ, 音 声 処 理, RS-232-C 機器,GP IB 機器など,これらがすべて パソコンから無線で制御できるようになります. ICD3 用 ピン・ヘッダ USB コネクタ (A タイプ) Bluetooth LE ドングル 8 ● 応用 2…自作の装置にワイヤレス入力機能を 9 アドオンできる LED 図 10-2(b)のように,スイッチなどを付加して PIC マイコン用のファームウェアに少し手を加え マイコン PIC24FJ64 GB002-I/SP ると,マウスやキーボード,ジョイスティックな どの Bluetooth デバイスを自作できます. ● 応用 3…スマホと一緒に持ち歩けばいつでも 10 レゾネータ 3.3V 電源用 DC プラグ デバッグ用 ピン・ヘッダ 11 どこでも I/O 図 10-2(c)のように,PIC 用のファームウェア を改造すると,I/O アダプタは iPad や iPhone,ア ンドロイド携帯などと低消費電力で無線接続でき ます. 初回接続用タクト・スイッチ 写 真 10-1 PIC マイコンと Bluetooth LE ドングルで 作った汎用 I/O アダプタ 177 12 第 11 章 Bluetooth ドングルを制御するマイコン・プログラムの全容 11 第 第 4 部 Bluetooth ドングル活用事例 章 PIC でオリジナル・アダプタ作りに挑戦! イントロ Bluetoothドングルを制御する マイコン・プログラムの全容 辻見 裕史 使用するプログラム:10_Sample Program 11-1 Bluetooth ドングル 自作の Bluetooth 機器を 作るには 1 2 3 ● GATT プロファイルで必要なサービスをまと 4 める LE モードで Bluetooth 通信をするときは,どの ような用途に使うのかを決め,それに合うプロファ 5 イルを選びます. USB-HID デバイス(例えば第 10 章作った I/O ア ダプタ)と Bluetooth 4.0 LE モードで無線通信す 6 るときは,HOGP(HID Over GATT Profile)を 選択します.次にそのプロファイルが必要として い る 各 種 サ ー ビ ス が 何 で あ る か を 調 べ ま す. ル)に準拠した通信をするだけなら,第 4 部 第 10 HOGP のサービスは次の四つです. 章の説 明で十 分です. しかし,Bluetooth による (1)デバイス名などを提供する「Generic Access 無線の入力装置を自作する場合は,用途に応じて サービス」 (2)送受信データの形式(バイト数など)を提供 する「HID サービス」 必要なサービス群を GATT データベースとして一 つにまとめる必要があります. 例えば,キーボードとマウスはどちらも入力機 (3)電池残量情報を提供する「電池残量サービス」 器ですが,前者は主にキー・コードを,後者は主 (4)PnP(プラグアンドプレイ)情報を提供する に移動距離の情報をパソコンに送るという,互い 「デバイス情報サービス」 に異なるサービスを提供しています.したがって, これらのサービスをまとめてデータベース化する キーボードとマウスのそれぞれで,互いに異なる 方 法 を 規 定 し て い る の が GATT(General GATT データベースを構築しなければなりません. ATTribute)プロファイルです. また,iPad や Android 携帯に I/O アダプタをつ どのような用途にせよ(HOGP 以外のプロファ なぐ場合,手順はそれぞれ異なります(Windows イルでも),各種サービスはすべて GATT プロファ の場合とも異なる) .それぞれに対応する手順を採 イルに沿ってデータベース化する必要があります. 用する必 要があります. 例えば, ある Bluetooth LE モード用のファームウェアを開発するときは, キーボードが iPad にはつながっても,Android 携 GATT プロファイルの理解が不可欠です. 帯にはつながらないということがありますが,こ れはプロファイルが同じでも手順が異なる場合が ● オリジナルのプロファイルを作る 7 あるからです. Bluetooth 4.0 LE モードで,HOGP(プロファイ 189 8 9 10 11 12 第 12 章 Bluetooth ドングルと PIC で作るワイヤレス GPIB 12 第 第 4 部 Bluetooth ドングル活用事例 章 専用ケーブルより安価! 到達距離 60m で混信にも強い イントロ BluetoothドングルとPICで 作るワイヤレスGPIB 辻見 裕史 使用するプログラム:12_Sample Program ● 取り回ししにくい GPIB 通信のケーブルをな ● システム構成…混信に強い Bluetooth を使う システム全体としては図 12-1 のような構成にな くしたい 計測器とパソコンの間をつなぐ GPIB(General ります.GPIB 機 器 1 台につき B-GPIB1 台が必 要 Purpose Interface Bus)規格はかなり古いもので です.1 台のパソコンで 7 台までの GPIB 機器を制 すが,いまでも数多くの応用機器において現役で 御できます.7 台までというのは Bluetooth の制約 す.ただし有線ですから,遠くに GPIB 機器があ です.ZigBee でなく Bluetooth を選択した理由は, ると,あの太いケーブルを長く引き回す必要があ 混 信に強いからです. さらに Bluetooth ドングル ります. には, これを避けるため無線 Bluetooth ドングルと PIC ・ZigBee モジュールに比べ小さくて違和感がない マイコンを用いて,GPIB 機器とパソコンとの間を ・近くの電気店ですぐ手に入る 無 線 接 続 す る た め の 装 置( 写 真 12-1, 以 降 1 2 3 4 5 6 ・安価(千円程度)である という利点があります. B-GPIB)を作成しました. ● 製作した装置の特徴 7 ▶ GPIB ケーブル 1 本より安価 Bluetooth ドングル Bluetooth モジュールは,プロファイルを内蔵 したタイプが一般的だと思います.一方,最近は 写真 12-2 に示すようなプロファイルを内蔵してい 8 ない安 価な Bluetooth ドングルを PIC で制 御する 試みが Harada 氏(Android OS)と筆者(Windows 9 GPIB機器1 パソコン GPIB機器2 Bluetooth ドングルなど B-GPIB 2 B-GPIB 1 Bluetooth通信用プロファイルを 搭載したPICマイコン PIC32MX795F512H-80I/PT PICマイコン PICマイコン Bluetooth ドングル 10 無線ディジタル通信 Bluetooth ドングル 11 GPIB端子を搭載する測定器へ 写真 12-1 製作したワイヤレス GPIB「B-GPIB」 図 12-1 機器同士の GPIB 通信を無線化するためのシステム 構成 GPIB 機器とパソコンを無線で接続できる GPIB 機器 1 台につき B-GPIB 1 台が必要 209 12 このPDFは,CQ出版社発売の「Bluetooth無線でワイヤレスI/O」の一部見本です. 内容・購入方法などにつきましては以下のホームページをご覧下さい. 内容 http://shop.cqpub.co.jp/hanbai/books/41/41341.htm 購入方法 http://www.cqpub.co.jp/order.htm 見本
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