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研究集会「結び目の数学 VII」
講演アブストラクト集
12 月 23 日 (火)
13:40–14:10
Adrian Jimenez Pascual (東京大学大学院数理科学研究科)
On lassos and the Jones polynomial of satellite knots
The purpose of the talk is to present in the first place a new family of knots in
the solid torus called lassos and some of their properties. We will recall the idea
of satellite knot and the formula for their Alexander polynomial. I will then investigate the Kauffman bracket and the Jones polynomial of knots in the solid torus,
and straightaway give explicit formulae for their calculus for satellite knots. In
this respect, by using lassos as patterns of satellite knots I will construct infinitely
many knots having the same Alexander polynomial as the one of a chosen knot. In
the last part I will prove for certain subfamilies of these satellite knots that they
are actually different from each other by using their Jones polynomial.
14:20–14:50
野崎 雄太 (東京大学大学院数理科学研究科)
An extension of the LMO functor
Cheptea, Habiro and Massuyeau constructed the LMO functor, which is defined
on a certain category of cobordisms between two surfaces with at most one boundary component. In this talk, we extend the LMO functor to the case of any number
of boundary components.
15:00–15:30
和田 康載 (東京学芸大学大学院教育学研究科)
クローバー絡み目のミルナー不変量と edge-homotopy 分類
n 個のループを持ち, 各ループがある 1 つの頂点と 1 本の辺で接続されているグラ
フを Cn とする. グラフ Cn の三次元球面 S 3 への埋め込み c を S 3 内の n 成分クロー
バー結び目と呼ぶ. コンパクトかつ向き付け可能な S 3 内の曲面で, c がその曲面
の変位レトラクトであるものを c の disk/band 曲面と呼び, c の disk/band 曲面 Fc
を用いて得られる n 成分ストリング絡み目を LFc とする. 数列 I = i1 i2 · · · ik (ij ∈
{1, 2, . . . , n}) におけるミルナー不変量 µLFc (I) をクローバー絡み目 c のミルナー
不変量 µc (I) と定義する. ここで, k を µc (I) の長さと呼ぶ. 我々は, 長さ k 以下の
ミルナー不変量が 0 である 2 つのクローバー絡み目が (edge-homotopy+C2k+1 ) 同
1
値である必要十分条件は, それらの長さ 2k + 1 以下のミルナー不変量が一致する
ことであることを示した. ここで, (edge-homotopy+C2k+1 ) 同値とは, 2 つの同値
関係 edge-homotopy と C2k+1 同値を組み合わせて得られる同値関係のことである.
特に n = 3 のときは, クローバー絡み目の edge-homotopy 分類を長さ 3 以下のミル
ナー不変量で与えることができる.
15:50–16:20
新甫 洋史 (九州大学大学院数理学府)
Idelic class field theory for 3-manifolds
(植木 潤氏 (九州大学) との共同研究)
類体論とは高木貞治を発端とする代数体のアーベル拡大体を記述する理論であ
り, 後に C. Chevalley によってイデール群を用いて記述された. 本講演では結び
目と素数の類似に基づき, 3 次元多様体におけるある無限成分の絡み目に対してイ
デール群を導入し, 分岐アーベル被覆を記述する類体論を構成する.
16:30–17:00
植木 潤 (九州大学大学院数理学府)
On a branched Zp -cover of rational homology 3-spheres
岩澤理論は GL1 自明表現の変形の理論と見れる. 有理ホモロジー 3 球面の巡回
分岐 p 被覆の射影系に対し, 一般化された岩澤型公式を述べる. また, 結び目群の
SL2 表現の普遍変形について, 等標数 · 混標数の両方で成り立つ結果を述べ, 具体
例として二橋結び目の標準的 Riley 表現の普遍変形を見る.
12 月 24 日 (水)
10:00–10:30
村尾 智 (筑波大学大学院数理物質科学研究科)
On bind maps for braids
本講演では bind map を導入し, 2 つの応用を与える.組み紐の端点をいくつか
の 3 価頂点を用いて綴じ合わせることで, 3 価組み紐を構成することができる. こ
の操作は組み紐全体から 3 価組み紐全体への写像を定義し, この写像を bind map
と呼ぶ. 1 つ目の応用として, この写像を用いることで任意のハンドル体絡み目は
組み紐と bind map の情報を用いて表すことができる. 2 つ目の応用として, 各組
み紐に対してある綴じ方により得られる 3 価組み紐が, 他の綴じ方をもつ 3 価組み
紐に変形可能かどうかを表すグラフが bind map を頂点集合として定まる. 特に 3
本組み紐に対して, このようにして得られるグラフの形を完全に決定した.
2
10:40–11:10
勝木 隆史 (佐賀大学大学院工学系研究科)
ハンドル体結び目の射影図の自明化数と非自明化数について
奈良教育大学の花木 良氏によって結び目, 絡み目及び空間グラフの射影図の自
明化数と非自明化数が定義された. その場合と同様にハンドル体結び目の射影図
の自明化数と非自明化数が定義できる. 本講演ではいくつかのハンドル体結び目
の射影図に注目することで, 自明化数と非自明化数のとりうる値の考察を与える.
11:20–11:50
岩切 雅英 (佐賀大学大学院工学系研究科)
Unknotting numbers for handlebody-knots and Alexander quandle colorings
A crossing change of a handlebody-knot is that of a spatial graph representing
it. We see that any handlebody-knot can be deformed into trivial one by some
crossing changes. So we define the unknotting numbers for handlebody-knots.
In the case classical knots, which are considered as genus one handlebody-knots,
Clark, Elhamdadi, Saito and Yeatman gave lower bounds of the Nakanishi indices
by the numbers of some finite Alexander quandle colorings, and hence they also
gave lower bounds of the unknotting numbers. In this talk, we give lower bounds
of the unknotting numbers for handlebody-knots with any genus by the numbers
of some finite Alexander quandle colorings of type at most 3.
13:20–13:50
成瀬 透 (京都大学数理解析研究所)
曲面結び目のカンドルコサイクル不変量の奇数重化公式
曲面結び目の, 二面体カンドルを用いたカンドルコサイクル不変量について奇数
重化公式を示す. この公式を定式化するために, 枠つき曲面結び目とその図式を導
入し, 枠つき曲面結び目のラックコサイクル不変量を定義する. この不変量を用い
て, 枠にそって奇数重化された曲面結び目のカンドルコサイクル不変量の値を与え
る公式 (奇数重化公式) を示す.
14:00–14:30
阿部 翠空星 (埼玉大学大学院理工学研究科)
Finite type invariant と quandle shadow cocycle invariant との関係
量子不変量とカンドルを用いた不変量の関係を見つけることは大変興味がある.
本講演では finite type invariant より条件を弱めた quasi finite type invariant を定
義し, dihedral quandle で具体的に計算された 2-bridge link と torus link の quandle
shadow cocycle invariant から quasi finite type invariant を導く. また, 同様の方法
3
で lens space と Brieskorn 多様体の有限型不変量を定義した.
14:40–15:10
野坂 武史 (九州大学大学院数理学研究院)
高次 Blanchfield pairing の図式的計算法にむけて
高次 Blanchfield pairing とは結び目群の PTFA 係数 1 次ホモロジー上の 2 次形式で
ある. これは位相 Concordance 群に可解フィルター Cn を折込むため Orr-CochranTeicher により導入された. 本研究では, 結び目図式からの計算法として quandle
2-cocycle 不変量のコンテクストで, 当 pairing の明示式を試み, n に順じ次の結果を
得た. まず n = 1 として Alexander quandle の当不変量が古典的 Blachfield pairing
と等価である事を示した. 特にトーラス結び目に関し, 当 2 次形式の明示を初めて
成功させた. 次に n = 1.5 として (Casson-Gordan 符号数と等価と思われる) 捩れ
Milnor 符号数も図的計算アルゴリズムも与えた. 高次の n として Gromov-Cheeger
型 L2 -符号数の計算法を “部分的に”試みた. 但し, 以上の詳細は冗長のため報告書
に回し, 本講演では結果を概説する.
15:30–16:00
住吉 千波 (神戸大学大学院理学研究科)
絡み目の 3 彩色に関する J.H. Przytycki の公式について
J.H. Przytycki は 3 彩色とカウフマン多項式との関係性を見出だしたが, 明確な
証明は与えられていない. 本講演では, ゲーリッツ行列を考えることにより, 3 彩色
数とカウフマン多項式との関係性について証明する.
16:10–16:40
伊藤 昇 (早稲田大学高等研究所)
Triple chords and strong (1, 2) homotopy
(瀧村 祐介氏 (学習院中等科) との共同研究)
球面曲線 (knot projection) のコード図が, 互いに交わる 3 本からなるコード図
(triple chord) を部分コード図として含む, 含まないという条件がどのように球面
曲線の特徴付けを与えるか, ということについてわかったことを報告する.
16:50–17:20
瀧村 祐介 (学習院中等科)
Strong and weak (1, 2) homotopies on knot projections and new invariants
(伊藤 昇氏 (早稲田大学高等研究所) との共同研究)
球面上の knot projection における, 射影された Reidemeister move 1, 2 を考える.
Reidemeister move 2 は strong 2 と weak 2 の 2 種類に分けられる. Reidemeister
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moves の組み合わせ (1, strong 2), (1, weak 2) それぞれにおいて定義される同値関
係において, 2 つの knot projections が移り合うための必要十分条件を得たので報
告する. また, 一方方向のみのスムージングを用いて, (1, strong 2) に関しての新
しい整数値不変量を得て, その幾何的な特徴付けを報告する. このようなタイプの
不変量が (1, weak 2) と (1, strong 2) の関係を導く様子も紹介する.
12 月 25 日 (木)
10:00–10:30
池田 みずほ (山形大学大学院理工学研究科)
Turk’s head knot THK(4,n) の r 彩色数について
Pedro Lopes と Joao Matias は 2010 年に Turk’s head knot THK(3, n) の r 彩色数
は r と n によって決定付けられることを示した. 今回の講演では Turk’s head knot
THK(4, n) の r 彩色数について得られた結果を報告する.
10:40–11:10
安藤 龍郎 (日本女子大学理学部数物科学科)
Rectangular Seifert circles and arcs system
(林 忠一郎氏 (日本女子大学), 林 美和氏 (日本女子大学) との共同研究)
Rectangular diagrams of links are composed of vertical line segments and horizontal line segments where vertical segments go over horizontal segments at all
crossings. We show that an oriented link diagram D with c(D) crossings and s(D)
Seifert circles can be deformed by an ambient isotopy of R2 into a rectangular
diagram with at most c(D) + 2s(D) vertical segments, and that, if D is connected,
at most 2c(D) + 2 − w(D) vertical segments, where w(D) is a certain non-negative
integer. To obtain these results, we show that the system of Seifert circles and
arcs substituting for crossings can be deformed by an ambient isotopy of R2 so
that Seifert circles are rectangles and arcs are vertical line segments.
11:20–11:50
武内 佑馬 (埼玉大学大学院理工学研究科)
Knots and links in chiral nematic colloids
コロイド粒子を液晶の中に入れると, コロイド粒子の周りに土星の環のような欠
陥線が現れる. 複数のコロイド粒子を並べることで欠陥線が繋がり, 様々な link を
構成することができる. 今回の研究では, コロイド粒子を格子状に並べることで任
意の link を構成できることが証明できたのでこれを紹介する.
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13:40–14:10
佐藤 晶彦 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
大黒-境-高瀬の結び目図式変形の絡み目への拡張
大黒-境-高瀬は 2012 年の論文で, 与えられた結び目の図式から得られる Seifert
曲面の種数を結び目の型を変えずに減少させる操作を与えた. 本講演では彼らの
議論を分離可能でない絡み目の場合に拡張する.
14:20–14:50
名倉 真紀 (横浜国立大学工学研究院)
On plane band descriptions of an ST-move
Local moves have attached much attension in knot theory. On this speak, we
focus on a local move that is called an ST-move and show that there is a band
description of it. Moreover we explain one way to construct a band description of
a given ST-move. Here an ST-move is a local move whose two tangle diagrams
are not equal and have no crossings.
15:00–15:30
金信 沙織 (神戸大学大学院理学研究科)
On composite knots of #-unknotting number one
#-unknotting number が 1 であるような合成結び目が存在することが知られてい
る. この研究では特に合成結び目の両因子結び目の橋指数が n (n = 2, 3, 4, 6, . . . )
であるような例の構成に関する研究の紹介である.
15:50–16:20
丹下 基生 (筑波大学大学院数理物質科学研究科)
レンズ空間結び目のアレクサンダー多項式
整数デーン手術によってレンズ空間を生む結び目のアレクサンダー多項式は OzsvathSzabo らによる制限が知られている. この講演では, そのような結び目もしくは, ホ
モロジー球面内の任意の doubly primitive knot において, アレクサンダー多項式
の係数にはある一筆書きの性質があることを示す.
16:30–17:00
小沢 誠 (駒澤大学総合教育研究部)
Impossibility of embeddings of 2-dimensional complexes into the 3sphere
(松崎 尚作氏 (早稲田大学教育 · 総合科学学術院) との共同研究)
3 次元球面に埋め込まれた 2 次元 CW 複体に対して, その双対グラフを求める.
双対グラフ補空間の 1 次元ホモロジー群において, 2 次元 CW 複体から同次連立 1
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次方程式を得る. この同次連立 1 次方程式が整数解を持たないことを用いて, ある
2 次元 CW 複体が 3 次元球面に埋め込めないことを示す.
12 月 26 日 (金)
10:00–10:30
久野 恵理香 (大阪大学大学院理学研究科)
Uniform hyperbolicity for curve graphs of nonorientable surfaces
N = Ng,n を種数 g ≥ 1 境界成分 n ≥ 0 の向き付け不可能曲面とする. N の curve
graph C(N ) とは, essential な単純閉曲線のホモトピー類を頂点とし, 2 つの単純閉
曲線のホモトピー類の中で横断的に交わらない代表元の組が選べるときに, それら
と対応する 2 つの頂点を辺で結ぶことによってできるグラフのことである. 2007 年
に Bestvina-Fujiwara が, 2013 年に Masur-Schleimer が C(N ) は Gromov hyperbolic
であることを示したが, その一様性は分かっておらず, その hyperbolicity constant
も与えられていなかった. 一方, 2013 年に Hensel-Przytycki-Webb は向き付け可能
曲面 S の curve graph は種数と境界成分の個数に依らず 17-(Gromov) hyperbolic
であることを示した. 本講演では, この Hensel-Przytycki-Webb による議論を, 向
き付け不可能曲面の場合に適用して得られた結果について報告する.
10:40–11:10
大森 源城 (東京工業大学大学院理工学研究科)
非有向閉曲面の Z2 係数 1 次ホモロジー上の mod 2 交叉形式を保つ自己同型群の
有限表示
(小林 竜馬氏 (東京理科大学) との共同研究)
種数 g の非有向閉曲面 Ng の H1 (Ng ; Z2 ) 上の mod 2 交叉形式を · とし, · を保つ
H1 (Ng ; Z2 ) 上の自己同型群を Aut(H1 (Ng ; Z2 ), ·) とする. Aut(H1 (Ng ; Z2 ), ·) は有限
群なので有限表示可能である. 本講演では Aut(H1 (Ng ; Z2 ), ·) の具体的な有限表示
について述べる. また, その応用として Aut(H1 (Ng ; Z2 ), ·) の 2 次ホモロジー群の
計算について解説する.
11:30–12:00
天摩 由貴 (日本大学大学院総合基礎科学研究科)
Non left-orderable surgeries and generalized Baumslag-Solitar relators
(市原 一裕氏 (日本大学) との共同研究)
I will talk about recent developments of our research on Dehn surgeries on knots
yielding 3-manifolds with non left-orderable fundamental groups. It will be shown
that a knot admits a non left-orderable surgery if the knot group has a presentation
with a generalized Baumslag-Solitar relator and satisfies certain conditions on a
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longitude of the knot. As an application, examples of twisted torus knots with
non left-orderable surgeries will be given.
12:10–12:40
松崎 尚作 (早稲田大学大学院教育学研究科)
絡み目の曲面族への配置について
R3 に埋め込まれた連結 2-多様体から成る族を曲面族と呼ぶ. 曲面族 P = {Pi }i∈Λ
が与えられた時, R3 の絡み目 L が P に配置可能であるとは, 向きを保つ R3 の自己
同相写像 f が存在して, 絡み目 f (L) の任意の成分が P に属するある 2-多様体に含
まれることを言う. 本講演では, 任意の絡み目は, ある条件を満たす様な任意の曲
面族に配置可能である事などについて述べる.
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