JS新技術として3技術を選定 ― 水処理の効率化

―記 者 発 表 資 料―
平成 26 年 12 月 24 日
日本下水道事業団
JS 新技術として3技術を選定
―水処理の効率化およびコスト縮減に資する新技術を積極的に導入します―
『新技術導入制度』により、水処理に係る3技術を新技術として新たに選定しまし
たことをお知らせします。
今後、日本下水道事業団(JS)の受託建設事業において、従来選定した新技術に
加え、今回選定した新技術の積極的な導入を図って参ります。
なお、この制度で選定された技術は、JSの受託建設事業における適用性を有して
いることを確認したもので、JSの受託建設事業以外の場合における性能等を評価す
るものではありません。
<今回選定した新技術> (別紙参照)
新技術Ⅰ類(JSが関与して開発した技術)
●担体投入活性汚泥法(リンポープロセス)
開発者:日本下水道事業団、㈱西原環境
●ゴムメンブレン式超微細気泡散気装置
開発者:日本下水道事業団、JFE エンジニアリング㈱、三菱化工機㈱、㈱西原環境
新技術Ⅱ類(公的な機関が関与し開発、評価された技術で、JS の技術確認を経たもの)
●担体利用高度処理システム(バイオチューブ)
開発者:川崎市、JFE エンジニアリング㈱
<問い合わせ先>
日本下水道事業団 技術戦略部
新技術推進課長
つぶら や
圓 谷 秀夫
TEL:03-6361-7838
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別紙
● 今回の新技術の選定は、平成 26 年 10 月 6 日、平成 26 年 11 月 28 日及び平成 26
年 12 月 16 日開催のJS技術委員会の審議を経たものである。
● 技術の概要等
【担体投入活性汚泥法(リンポープロセス)
】
活性汚泥を保持する固定化担体により生物処理の効率化を図るとともに、浮遊汚泥
濃度を低く抑え、最終沈殿池の固形物負荷を低減する。高度処理対応型は、担体に硝
化細菌・脱窒細菌を高濃度保持させ、従来の高度処理法より短い反応時間で処理がで
きる。
「導入効果」
(1)反応タンク、最終沈殿池の増設を伴わず、従来法より処理水量の増加が可能
(2)担体に高濃度に保持された硝化細菌・脱窒細菌により、硝化・脱窒反応を促進
可能
【ゴムメンブレン式超微細気泡散気装置】
スリットを有するゴムメンブレンを用いた高効率の散気装置。約 1mm の超微細気
泡を低圧損(5kPa 以下)で発生させることで、反応タンクに要する消費電力の削減
が可能となる。
「導入効果」
(1)反応タンクに要する消費電力の削減が可能
(2)低圧損のため、施設の改築時に、形式の異なる散気装置と同一送風機での併用
が可能
【担体利用高度処理システム(バイオチューブ)
】
反応タンクに投入した固定化担体に硝化細菌を高濃度に保持することで、高負荷窒
素処理が可能となり、標準法と同等の反応時間で窒素除去ができる。
「導入効果」
(1)担体に高濃度に保持された硝化細菌・脱窒細菌により、硝化・脱窒反応を促進
可能
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担体投入活性汚泥法(リンポープロセス)
『リンポーキューブ』を用いた処理水量増加・高度処理対応処理プロセス
技術概要
➢固定化担体を反応タンクに投入し
処理を効率化する活性汚泥法
➢担体により反応タンク容積を
小さくすることが可能
➢担体分離装置のスクリーン開口を
大きく確保できるため閉塞がない
➢担体は耐摩耗性に優れる
処理水量増加対応型
・適用対象:標準活性汚泥法
反応タンク、最終沈殿池の増設なしで、
従来法より処理水量の増加が可能
主要設備
➢担体(15年経過後)と担体分離装置
担体:
12mm×12mm×15mm
高度処理対応型
・適用対象:
循環式硝化脱窒法 , A2O法
➢担体返送ポンプ
A2O法の場合
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担体に高濃度に保持された硝化細菌・脱窒
細菌により、硝化・脱窒反応を促進可能
ゴムメンブレン式超微細気泡散気装置
適用範囲
・ 下水処理施設の反応タンクの新設、増設、改築更新
・ 全面曝気、旋回流式に適用可能
導入メリット
・ 高い酸素移動効率(21~38%、清水・水深5m)
→ 消費電力量削減
・ 低い圧力損失(5kPa以下、通気量10~65Sm3/m2/h)
→ 既設散気装置との併用でも同一送風機が使用可能
・ 圧損上昇予防操作は不要
→ 目詰まりなく耐久性が良く、最長10年稼働中
技術概要
・ スリットを有するゴムメンブレンを合成樹脂製の支持管に固定
・ 約1mmの超微細気泡を低圧損で発生させることが可能
・ 送気停止時、メンブレンのスリットが閉じると同時に
メンブレン
(EPDMまたはポリウレタン)
メンブレンが支持管に水圧で密着し、汚水の
逆流による目詰りを防止
支持管
(PVC)
固定枠
サドル
1,359
エアー吐出口
エアー
吸込口
2,844
117
ヘッダー管(100A) 発泡部
発泡
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担体利用高度処理システム(バイオチューブ)
技術概要
バイオチューブ
反応タンクに固定化担体を投入し、硝化細菌を高濃度に
保持することで、標準法と同等の反応時間で窒素除去を行う。
寸法: 外径4㎜×内径3㎜×長さ5㎜
材質: ポリプロピレン + タルク 比重: 1.01(水とほぼ同等)
担体の特長
・
・
・
・
微生物(硝化細菌)を大量に保持
耐久性が高く補充が不要(13年間補充なく安定運転継続中)
反応タンク内で均一に分散
最初沈殿池
保管が容易
適用範囲
循環水
スクリーン
流入
スクリーン
終沈
越流水
・ 適用処理方法
1.担体利用嫌気ー無酸素ー好気法
2.担体利用循環式硝化脱窒法
・ 適用水温は15℃以上
撹拌機
最終沈殿池
余剰
汚泥
導入メリット
無酸素槽
・ 反応タンクの増設無く高度処理化へ対応
・ 新設高度処理施設の反応タンクの省スペース化
返送汚泥
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好気槽
散気装置
JS 新技術に登録されている技術一覧
No. 類型 選 定 日
技 術 名
開 発 者
JS、大阪市、(株)タクマ、
1
Ⅰ
技 術 概 要
「アナモックス細菌」を利用し、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素から直接窒素を除去する技術。硝
平成24年 アナモックス反応を利用した
(株)日立プラントテクノロジー、 化脱窒法と比べ、有機物を必要としない、必要酸素量が少ない、発生汚泥量が少ないなどの利点を
5月7日 窒素除去技術
メタウォーター(株)
有する。
2
Ⅰ
平成24年 高速吸着剤を利用した
5月7日 リン除去・回収技術
JS、旭化成ケミカルズ(株)
特殊な多孔構造の高速リン吸着剤を用いて、下水二次処理水からリンを極低濃度にまで除去でき
る。脱着により、肥料や代替リン鉱石として利用可能なリン酸が回収できる。
3
Ⅰ
平成24年
循環型多層燃焼炉
7月20日
JS、メタウォーター(株)
焼却炉の循環部に後燃焼部を付加し、全体を3つのゾーン(層)に分けて、それぞれのゾーンに送る
燃焼用空気量を制御する。これにより、燃焼の最適化を図り、燃費、温室効果ガスN2O発生を削減で
きる。
4
Ⅰ
平成25年 熱改質高効率嫌気性
3月26日 消化システム
JS、三菱化工機(株)
嫌気性消化システムに可溶化装置を追加し、消化汚泥を水熱反応により熱改質することで、再消化
しやすくする。これにより、汚泥の減量・消化ガスの増量ができる。
5
Ⅰ
平成25年 担体充填型
7月26日 高速メタン発酵システム
JS、メタウォーター(株)
消化タンク内に担体を充填し、高温で嫌気性消化を行うことで、滞留日数を短縮し汚泥分解率や消
化ガス発生量を従来の消化プロセスと同等とすることができる。また、自動発酵制御(NH4-N濃度制
御、投入負荷量制御)を行うことで、安定発酵と運転管理の負担を軽減できる。
6
Ⅰ
平成25年 圧入式スクリュープレス
7月26日 脱水機(Ⅲ型)
JS、(株)石垣
脱水汚泥の低含水率化と変動する汚泥性状に対して安定した処理が可能な技術である。濃縮部で
の凝集汚泥の高濃度化や、脱水部を長くすることで脱水時間が延長され、脱水性能の向上が図れ
る。
7
Ⅰ
平成26年 OD法における二点DO制御シ
JS、高知大学、前澤工業(株) 好気ゾーン、無酸素ゾーンを安定形成し、処理水質の安定化と消費電力の削減を図る。また、流入
7月30日 ステム
OD槽内のDO勾配が一定となるよう曝気装置及び水流発生装置を独立に制御を行う。これにより、
条件によっては、一時的な流量超過や水質など高負荷運転による対応も図る。
活性汚泥を保持する固定化担体により生物処理の効率化を図るとともに、浮遊汚泥濃度を低く抑
え、最終沈殿池の固形物負荷を低減する。高度処理対応型は、担体に硝化細菌・脱窒細菌を高濃
度保持させ、従来の高度処理法より短い反応時間で処理ができる。
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Ⅰ
平成26年 担体投入活性汚泥法(リン
10月6日 ポープロセス)
9
Ⅰ
スリットを有するゴムメンブレンを用いた高効率の散気装置。約1mmの超微細気泡を低圧損(5kPa以
平成26年 ゴムメンブレン式超微細気泡
(株)、三菱化工機(株)、(株)
下)で発生させることで、反応タンクに要する消費電力の削減が可能となる。
12月16日 散気装置
JS、(株)西原環境
JS、JFEエンジニアリング
西原環境
気泡式流動炉本体の炉底部、炉中部、炉上部の3箇所から燃焼用空気を供給する。これにより、燃
焼の効率化を図り、燃費、温室効果ガスN2 0発生を削減できる。
10
Ⅱ
平成24年
多層燃焼流動炉
5月7日
東京都下水道局、
メタウォーター(株)
11
Ⅱ
平成24年 過給式
5月7日 流動燃焼システム
排ガスタービン過給機により焼却炉内部を加圧状態にすることで、燃焼ガス容積が減り、炉が小型
(独)土木研究所、
化できるとともに、燃焼速度が速くなることで、炉内温度を高くできる。また、流動ブロアー、誘引ブロ
(独)産業技術総合研究所、
月島機械(株)、三機工業(株) アーが不要となる。これにより、電力、燃費、温室効果ガスN2O発生が削減できる。
12
Ⅱ
平成26年 気泡式
6月10日 高効率二段焼却炉
(株)神鋼環境ソリューション、
(公財)日本下水道新技術機
構
気泡式流動焼却炉への燃焼用空気を、一次空気、二次空気の2箇所に分けて供給し、改良した空
気分散板の採用や2次空気の吹き込み位置・方法を最適化することで、炉内に局部高温域を形成
し、温室効果ガスN2 O発生量の低減、補助燃料使用量及び電力使用量を削減する。
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Ⅱ
平成26年 パッケージ型
6月10日 鋼板製消化タンク
(株)神鋼環境ソリューション、
(公財)日本下水道新技術機
構
消化タンク本体を鋼板で製作することにより、従来技術と同等の消化性能を維持した上で、建設工
期の短縮や事業計画変更への柔軟な対応を図る。また、インペラ式撹拌機の採用で省電力化を図
り、各種センサー類を組み合わせることで運転支援を行う。
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Ⅱ
平成26年 担体利用高度処理システム 川崎市、
JFEエンジニアリング㈱
11月28日 (バイオチューブ)
反応タンクに投入した固定化担体に硝化細菌を高濃度に保持することで、高負荷窒素処理が可能
となり、標準法と同等の反応時間で窒素除去ができる。
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Ⅲ
平成24年 高効率二段燃焼
5月7日 汚泥焼却炉
前段燃焼炉で抑制燃焼を行い、N2Oの発生を抑制し、後段2次燃焼室において局所高温部(約
900℃)を形成し、完全燃焼させる。これにより、燃料、温室効果ガスN2O発生が削減できる。
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Ⅲ
平成25年 高速砂ろ過システム
(株)タクマ
3月26日 (高速上向流移床型砂ろ過)
(株)神鋼環境ソリューション
下水二次処理水の浮遊物質(SS)の除去を目的とした技術。従来の砂ろ過装置から、ろ過砂・装置
や機器の構造を改良することで、ろ過速度の高速化を図る。これにより、省スペース・省エネルギー
化と建設費が削減できる。
【 新技術の分類 】
●新技術Ⅰ類:JSが単独または共同研究により開発した技術
●新技術Ⅱ類:国、自治体等の公的機関が開発(民間との共同研究も含む)した技術で、 JSが技術確認したもの
●新技術Ⅲ類:上記以外の者が開発した技術で、JSが技術確認したもの
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