2 - 金沢大学

Title
多焦点ファンビームコリメータを用いた201TLCL心筋SPECTの画像
評価:心筋ファントムによる検討
Author(s)
舩山, 理沙; 小野口, 昌久; 中嶋, 憲一; 松尾, 信郎; 若林, 大志; 飛坂, 実;
小西, 貴広; 花岡, 慎介
Citation
北陸循環器核医学研究会記録集, 61: 1-15
Issue Date
2014-02-01
Type
Presentation
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/2297/38719
Right
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http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/
多焦点ファンビームコリメータを用いた
201TLCL心筋SPECTの画像評価
-心筋ファントムによる検討舩山理沙1),小野口昌久1), 中嶋憲一2), 松尾信郎2), 若林大志2), 飛坂実3),
小西貴広3), 花岡慎介3)
1)金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 量子医療技術学講座
2)金沢大学附属病院 核医学診療科
3)金沢大学附属病院 アイソトープ部
背景
IQ-SPECTシステム・・・
多焦点ファンビームコリメータ(SMARTZOOMコリメータ,以下
SZC)を装備し,心臓を中心に収集する.
⇒LEHRの4倍の感度を持ち,検査時間の短縮または患者投与量
の低減を可能にする1).

また,位置により変化するコリメータ形状に対応したコリメータ開口
補正,専用の逐次近似法(3D-OSCGM)を使用する1).
※LEHR: Low Energy Window
※OSCGM: Ordered Subset Conjugate Gradient Method
1) R. Rajaram, M.Bhattacharya, X. Ding, et al :Tomographic Performance Characteristics of the IQ-SPECT System. IEEE
Nuclear Science Symposium Conference Record, 2011
目的

201TlCl(以下Tl)を用いた詳細な検討はなされて
いない.

心筋ファントムを使用することにより,Tlを用いた
IQ-SPECTシステムにおける最適処理条件の
検討を行い,画像の特徴と各種補正の効果を評
価する.
方法①使用機器,ファントム
使用機器
SPECT/CT装置
コリメータ
収集装置
処理装置
画像解析プログラム

PC
: symbiaT6 (SIEMENS)
: SZC, LEHR
: syngo Acquisition Workplace MI application A(SIEMENS)
: syngo Acquisition Workplace MI application P(SIEMENS)
: Prominence Processor Ver.3.0 (日本メジフィジックス)
: Heart score View Ver.1.1.2 (日本メジフィジックス)
: OS Windows7 (mouse computer)
ファントム
擬人化心筋ファントム(D-spectrum)
広さ
2cm

脊柱
心臓
・正常心筋 1.67 μCi/mL
・肝臓:心筋:BG = 6: 10: 0.8
・核種 201TlCl
・欠損部 水を封入
肺
肝臓
厚さ
1cm
深さ
3cm
方法②収集条件
収集条件
SZC
LEHR
ピクセルサイズ
4,8mm
6.6mm
マトリックスサイズ
128×128
64×64
プロジェクション数
34view(17view/detector)
60view(30view/detector)
収集時間
14sec/view
40sec/view
回転角度
208度(RAO59度から開始)
360度
回転半径
心臓中心から28cm
24cmの円軌道
拡大率
1.00倍
1.45倍
メインウインドウ
70keV±10%
70keV±10%
サブウインドウ(散乱補正用)
70keVのupper,lower20%
70keVのupper,lower20%
ファントム体位
仰臥位
仰臥位
X線CT条件
管電圧
130kVp
管電流時間席
20mAs
スライス厚
5mm
方法③処理条件

画像再構成法
SZC ⇒ 3D-OSCGM
※OSEM: Ordered Subset Expectation Method
LEHR ⇒ 3D-OSEM

処理条件
処理条件
SZC
LEHR
Update
(Subset ×Iteration)
5~60
(Subset=2,3,5)
90(RC),
75(RC+AC,RC+AC+SC)
後処理フィルタ
Gaussianフィルタ
(FWHM=9.8mm,ピクセルサイズの2倍)
Gaussianフィルタ
(13.2mm,ピクセルサイズの2倍)
散乱補正用
FWHM=19.2mm,ピクセルサイズの4倍
26.4mm,ピクセルサイズの4倍

補正方法
分解能補正(以下RC): Flash-3D法
減弱補正(以下AC)
: X線CT法
散乱線補正(以下SC): Multi Energy Window(MEW)法
補正の組み合わせ
①RC
②RC+AC
③RC+AC+SC
方法④評価方法

物理的評価
①%CV = ( SD/Mean) ×100 (正常心筋Baseの前壁にROIを設定)
②Circumferential Curve作成(前壁カウントを100%に正規化, 40ポイント)
⇒微分均一性 = 100 × ( Max - Min)/(Max + Min)
⇒欠損部の%uptake

視覚的評価
5段階評価の平均値をスコア化.
核医学を専門とする観察者計4名で行い,平均値を求めた.
①正常心筋 ⇒ 均一性
②下壁欠損 ⇒ 欠損描出能

統計的手法
FisherのPLSD法によりMEAN±1SDを算出 ⇒ 危険率5%未満を有意とした.

最適処理条件下の補正効果評価用のPolar mapをHeart score Viewにより作成した.
結果①物理学的評価(%CV, 正常心筋Base)
SZC 3D-OSCGM
RC+AC
10
8
8
%CV
10
6
4
6
4
2
2
0
0
5
15
20
30
40
50
5
60
15
20
30
Update
Update
RC+AC+SC
10
8
%CV
%CV
RC
6
4
2
0
5
15
20
30
Update
40
50
60
40
50
60
結果②物理学的評価(微分均一性, 正常心筋Base)
SZC 3D-OSCGM
20
微分均一性(%)
15
有意差有り
10
微分均一性:RC+AC > RC > RC+AC+SC
(p<0.05)
NOAC
RC
5
AC
RC+AC
SCAC
RC+AC+SC
0
20
30
40
Update
50
60
結果③視覚的評価(均一性,正常心筋Base)
SZC
Update
LEHR
20
30
40
50
60
RC: 90,他: 75
3.75
3
3.25
3.25
2.5
3.75
3.75
4
4.25
4.75
4.75
4.92
4
3.75
3.75
3.75
2.75
4.92
RC
スコア
RC+AC
スコア
RC+AC+SC
スコア
結果④視覚的評価(欠損描出能,Base)
SZC スコア4前後で欠損部の%Uptakeは約60%%
Update
LEHR
20
30
40
50
60
RC: 90,他: 75
3.5
4.25
4.75
5
5
4.75
2.25
3
4
4.75
4.75
2.5
3.25
4
4.75
5
5
2.5
RC
スコア
RC+AC
スコア
RC+AC+SC
スコア
結果⑤各種補正効果(正常心筋)
SZC Update=30
補正法
RC
LEHR Update= RC:90, 他:75
RC+AC
RC+AC+SC
補正法
Apex
Apex
Middle
Middle
Base
Base
RC
RC+AC
RC+AC+SC
RC
RC+AC
RC+AC+SC
RC
RC+AC
RC+AC+SC
77.3
79.3
84.2
84.1
84.0
82.9
63.0
87.1
89.5
61.4
86.4
82.0
まとめ

SZCを用いた場合の最適処理条件
収集時間:14sec/view, Gaussianフィルタ:9.8mm(ピクセルサイズの2倍)において
①RCのみ, RC+AC+SC ⇒ Update 30程度
②RC+AC ⇒ 30~50
最適処理条件下の画像の特徴,補正効果
①RCのみ

LEHRと比しSZCでは前壁と下壁の%Uptakeの差が小さくなった.
②RC+AC
低下領域が改善されるが,前壁と比し下壁の%Uptakeが高い傾向にあった.
RCのみの特徴から,SZCでは下壁の感度が高いためと考えられる.
③RC+AC+SC
前壁の%Uptakeが上昇し差は小さくなったが,中隔では上昇せず相対的に低下領
域として描出された.
結語


心筋ファントムを使用することにより,Tlを用いた
IQ-SPECTシステムにおける最適処理条件の検討
を行い,画像の特徴と各種補正の効果を評価する
ことができた.
今後,核種やファントムを変えて,本実験の結果を更
に検討していく必要がある.