ポリプロピレン製フィルムによる高 pH 試薬安定性向上への取組み

ポリプロピレン製フィルムによる高 pH 試薬安定性向上への取組み
◎山田 正樹、新 博、平井 和美、藤本 一満
ファルコバイオシステムズ 総合研究所
高 pH 試薬は外気中の二酸化炭素(CO2)を吸収すること
PP 法:ポリプロピレン製フィルム(PP)を試薬容器(70mL 用)の形に
で試薬の安定性は低下する。昨年、日本電子 BM9030 自動
切り、そのフィルムを試薬に浮かせて、ZTT の安定性をみた(図
分析装置の試薬保冷庫内に CO2 吸収剤を設置する(F ライム
1)。
法)ことで高 pH 試薬の安定性が向上することを報告した。
【結果及び考察】
1.ZTT 試薬への PP の影響:各試薬 50mL
今回、日立ラボスペクト 008(LST008)において、特に不安定で
に 30mm×75 mm の PP を 7 日間浸し、
管理血清の ZTT、
ある ZTT 試薬の安定性向上法を考えた。
TTT を測定したところ変動はなかった。
【CO2 ブロック法】F ライム法:CO2 吸収剤として主原料が水
2.F ライム法:コンセーラⅠ、Ⅱを試料とし、F ライム法の無しと有
酸化カルシウムのヤバシライム-f を試薬容器に 70g 充填したものを測
りで 8 時間後の変動率をみたところ、ZTT は+68、+97 と
定試薬の両側にセットし、ZTT の安定性をみた。
+45、+58%となり、F ライム法で大きな効果はなかった。こ
試薬ボトル
3
の原因は、LST008 は試薬保冷庫内(結露防止の為)に外気
を吸引していることが、F ライムの劣化を早くしていると思わ
れた。
2.PP 法:コンセーラⅠ、Ⅱを試料とし、PP 法の無しと有りで
8 時間後の変動率をみたところ、ZTT は+68%、+97%と+23、
+29%となり、安定性に効果があった。
高pH試薬
【結語】ラボスペクト 008 において、ポリプロピレン製フィルムを試薬
上に浮かせた方法は、ZTT の安定性向上に効果があった。
図 1 PP 法
この方法は他の項目でも応用できると思われる。