希望郷いわて国体の開催による 本県への経済波及効果 ~国民体育大会の歩みと 希望郷いわて国体・いわて大会の概要~ 目 次 は じ め に 1.国民体育大会の歴史と役割 ⑴ 国民体育大会の創設 ⑵ 果たした役割 ⑶ 二巡目以降の歩み ⑷ 国民体育大会の改革への取り組み 2.第 回国民体育大会の概要 3. 第 回全国障害者スポーツ大会の概要 ⑴ 希望郷いわて国体の基本方針・基本目標 ⑵ 希望郷いわて国体の概要 71 お わ り に ⑴ 試算の前提条件 ⑵ 経済波及効果の試算 4. 希望郷いわて国体等の経済波及効果 ⑴ 全国障害者スポーツ大会の歩み ⑵ 希望郷いわて大会の概要 16 4 岩手経済研究 2015 年2月号 特 別 調 査 開会式と閉会式が行われる北上陸上競技場 特別調査 (第 回全国障害者スポーツ大会)も、国内 ○国民体育大会は、都道府県持ち回りで毎年開 さを体験するとともに、人々の障がいに対す のある選手が競技等を通じ、スポーツの楽し 要 約 催される国内最大の国民スポーツの祭典であ る理解を深め、障がい者の社会参加の推進に 最大の障がい者スポーツ大会である。障がい る。昭和 年、戦後の焦土と化した日本にお ○各大会の経済波及効果は本大会が375億 寄与することを目的としている。 の喜びを与え、国内にスポーツを普及させる いて、娯楽を失った国民と青少年にスポーツ 目的で始まった。 3800万円、冬季大会が 億2100万円、 障害者スポーツ大会が 億2200万円で、 年に開催された前回の岩手国体では、 は じ め に 第 回国民体育大会(希望郷いわて国体)と 第 回全国障害者スポーツ大会(希望郷いわて 大会)が平成 年(2016年)に、岩手県で 開催される。本県での国民体育大会(以下、国 体)の開催は、昭和 年(1970年)の第 回大会以来 年ぶりで、本大会と冬季大会の全 競技が開催県を会場として行われる、いわゆる 完全国体は初めての開催となる。 国体はわが国最大のスポーツの祭典であり、 り広げられた。また、国体開催を契機として る大会である。開催基本方針にもあるように ○今回は東日本大震災の被災県が初めて開催す 向上、地域づくりや人づくりなど多岐にわたり、 とから、地域におけるスポーツ振興、競技力の 人など様々な方々が一緒になって開催されるこ 競技者のみならず、観戦する人や大会を支える 行われたスポーツ施設の建設や道路などのイ 本県にとっては復興のシンボルとなるもの 試算するものである。 年 岩手県産業連関表」を用いて数量的に評価し、 県に及ぼす経済波及効果について、 「平成 介するとともに、期待される効果のうち、岩手 初めて開催される希望郷いわて大会の概要を紹 本稿では、二巡目となる希望郷いわて国体、 産業への大きな影響を与えることが見込まれる。 費など、多くの投資や消費がなされ、県内経済・ 備や、大会運営費、大会関係者や観客による消 ンフラ整備は地域の活性化や県内経済の発展 の愛称には、東日本大震災からの復興を「希 望」を持って目指し、両大会を成功に導き、 上げていく、との思いが込められている。両 県民が一丸となって「希望郷いわて」を作り で開催される。本県での国体の開催は、昭和 大会が成功裡に終わることを祈るとともに、 両大会の開催が県内に大きな社会的効果や経 回大会以来 回は本大会に先立ち冬季大会も開催すること れることを期待したい。 済効果を与えることを通じて地域振興が図ら 46 から、本県では初めての完全国体となる。 年の第 年ぶりである。今 えよう 感謝。 」をスローガンに、県民・企 業 団 ・ 体などの力を結集した「オールいわて」 ○希望郷いわて国体は、 「広げよう 感動。伝 大きな効果をもたらす。加えて、競技施設の整 3 大会を合計した本県への経済波及効果は 45 で、 開催の意義は大変大きい。 「希望郷いわて」 初の天皇杯獲得(男女総合優勝)を成し遂げ、 28 に寄与した。 452億8100万円と試算される。 71 16 16 県民が一丸となった花いっぱい運動などが繰 ○昭和 31 46 46 21 25 ○国体終了後に開催される希望郷いわて大会 岩手経済研究 2015 年2月号 5 45 25 21 45 特別調査 1.国民体育大会の歴史と役割 ⑴ 国民体育大会の創設 国民体育大会は、都道府県持ち回りで毎年開 内経済の発展に寄与した。 ⑶ 二巡目以降の歩み 開催都道府県は第 回沖縄国体で一巡し、翌 に、国民生活を明るく豊かにしようとすること ツの振興と地方文化の発展に寄与するととも 康増進と体力の向上を図り、併せて地方スポー ュアリズムとスポーツ精神を高揚して国民の健 る。広く国民の間にスポーツを普及し、アマチ の開催が決まると開催地には数々のスポーツ施 につながり、地域の活性化にも寄与した。国体 方では、選手、指導者、県民の郷土意識の高揚 競技指導者の資質向上が図られるとともに、一 おいては、競技団体等のスポーツ組織の充実、 域スポーツの振興に大きく貢献した。開催地に 各都道府県の財政状況は厳しさを増すことにな と呼ばれる低成長、デフレ期に入ったことで、 日本経済のバブル崩壊を経て、失われた 年 ることで、開催経費は増加する傾向にあった。 ぐった国体は、回を重ね大会が盛大に開催され を掲げて始まり、戦後 年強をかけて全国をめ を切った。戦後復興と各地域へのスポーツ普及 素化を求めることになる。平成 年には国体を スポーツを普及させる目的でスタートし、以後、 国民と青少年にスポーツの喜びを与え、国内に 後の焦土と化した日本において、娯楽を失った 県内各地における歓迎や花いっぱい運動などの 皇杯獲得(男女総合優勝)を成し遂げたほか、 の熱意、県民の支援、選手の努力により初の天 「みんなの国体 のびゆく岩手」をテーマに、「誠 実・明朗・躍進」をスローガンとして、関係者 示し、施設整備費と選手強化費を大幅に削減し 営の簡素化と天皇杯獲得にこだわらない方針を 高知国体では、当時の橋本高知県知事が国体運 書」を提出する。その後、平成 年に開催された 会に対し「国体の簡素化・効率化に関する要望 6 岩手経済研究 2015 年2月号 ツを国民に伝播していく役割を担うことになっ た。 ⑵ 果たした役割 回大会から二巡目のスタート が、その目的となっている。主催者は、日本体 設が拡充され、国体道路と呼ばれるような地域 る。開催地に求められる人的・財政的負担が大 年の第 育協会、国(文部科学省) 、開催地都道府県の のインフラの整備も進むことから、開催を希望 きくなるなど国体を取り巻く環境は大きく変化 昭和 三者による共催となっており、スポーツに関す する声が後を絶たず、激しい誘致合戦が繰り広 全国持ち回り方式と都道府県対抗方式は、地 る施策の基本となる事項を定めているスポーツ 年に開催された前回の岩手国体では、 毎年各都道府県持ち回りで開催されている。 県民一丸となった取り組みは、現在でも県民の た。昭和 年から続く開催した都道府県が天皇 昭和 第3回大会から都道府県対抗方式が確立し、 財産として心に刻まれている。また、国体開催 杯を獲得する流れは途切れたが、その後は開催 12 開催予定の7県の知事が連名で国と日本体育協 天皇杯(男女総合優勝)皇后杯(女子総合優勝) を契機として行われたスポーツ施設の建設や道 10 が創設された。国体が各都道府県を巡っていく 39 京都を中心とした京阪神地域で開催された。戦 20 40 したすべての都道府県が天皇杯を獲得している。 第1回大会は昭和 年に直接の戦禍を逃れた し、開催を予定している県は大会そのものの簡 催される国内最大の国民スポーツの祭典であ 42 げられた。 43 基本法で規定されている。 63 路などのインフラ整備などは地域の活性化や県 45 中で、戦後民主主義の旗頭になっていたスポー 21 特別調査 ⑷ 国民体育大会の改革への取り組み 共催者である日本体育協会では国体の諸問題 に対する見直しや改善を図るため、平成 年3 月に「新しい国民体育大会を求めて〜国体改革 2003〜」を策定した。国体をめぐる課題と して経済の長期低迷による財政問題、スポーツ の発掘・育成・強化」の一層の充実と、 「地域 から世界へ」羽ばたくアスリートの育成への寄 与、の3点を提示し、国体の充実・活性化に向 けた取り組みを行っている。 年3月 《第 回国民体育大会開催基本方針》 日に東日本を直撃した 平成 マグニチュード9・0の大地震とそれに伴 う巨大津波等により、本県においても多く の尊い命と財産が奪われた。 出場への困難さ、一過性で過剰な強化策などを 希望郷いわて国体は、 「広げよう 感動。伝 ⑴ 希望郷いわて国体の基本方針・基本目標 がら「いのちを守り 海と大地と共に生き の復興を目指し、全国からの支援も受けな 本県ではこの東日本大震災津波災害から あげ、これからの時代に適応した大会の性格や る ふるさと岩手・三陸の創造」に向けて 全力を挙げて取り組んでいるところである。 2.第 回国民体育大会の概要 あり方を示した。また、その改革について、 「大 えよう 感謝。 」をスローガンに、県民・企業 団 ・ 体などの力を結集した「オールいわて」で 会の充実・活性化」と夏季大会・秋季大会の一 年ぶりで、 が進められている平成 年に開催されるこ て先例にとらわれない「新しい岩手型国体」 として開催する。 この大会の開催を契機に、岩手のスポー ツ文化の振興を目指すとともに、県民が地 進と「元気な日本社会」の創造への寄与、 ②「ス 済活動の活性化といった「地域の活性化」の促 ンボルとなる国体」を基本目標として定めてい の総力を結集して、夢と感動を与え、復興のシ また、いわて国体が目指すものとして「県民 する。 金色に光り輝くふるさと岩手づくりを推進 がら、心豊かで一人ひとりが希望を抱ける 域に誇りを持ち、共生の理念を大切にしな ポーツ文化の浸透」の促進と「スポーツととも る。基本目標の実現に向けて、①復興の力とな 本方針に掲げられている。 位置付け、また、国体改革の趣旨も踏まえ とから、本県にとって東日本大震災津波災 シンボルとして位置付け、先例にとらわれない 組んでいる最中での開催であり、国体を復興の 東日本大震災からの復興に向けて全力で取り となる。 本大会と冬季大会の全競技が開催県を会場とし 回大会以来 第 回国民体育大会は、復興への取組み の国際化の進展によるトップアスリートの国体 11 71 23 71 害からの復興のシンボルとなる大会として (1970年)の第 45 て行われる、いわゆる完全国体は初めての開催 28 本化や大会規模の適正化など「大会運営の簡素・ 効率化」を二本柱とした具体的な内容を明示し た。 年) 、 「国民体育大会冬季大 その後、 「国体の今後のあり方プロジェクト 提言骨子」 (平成 会の在り方に関する提言」 (平成 年)を経て、 平成 年3月に新たな国体像として「 世紀の 46 まとめた。 世紀の国体の目指す方向性として、 「新しい岩手型国体」として開催することが基 国体像〜国体ムーブメントの推進 〜」をとり 25 開催される。本県での国体の開催は、昭和 年 71 13 21 21 19 国体を通じた、①地域コミュニティの再生や経 21 にある社会の実現」への寄与、③「アスリート 岩手経済研究 2015 年2月号 7 25 特別調査 うデモンストレーションスポーツとして、シー 市、二戸市を会場として開催され、翌2月 日 8 岩手経済研究 2015 年2月号 から2月 日の期間でスキー競技が八幡平市を れることとなっている。 イキング、ミニバイアスロンの3競技が実施さ ンスポーツとしてカーリング、スノーシューハ 会場に開催される。また、デモンストレーショ 23 る国体、②岩手のスポーツ振興に寄与する国体、 カヤックやビーチバレーなど 競技が行われる ことになっている。 ら開催される。1月 日から1月 日の期間で スケート・アイスホッケー競技が盛岡市、花巻 31 ③岩手の魅力発信と県民総参加による手作りの 国体、を大きな柱として掲げ様々な取り組みを ②冬季大会 日間の日程で開催さ 29 本大会に先立ち、冬季大会は平成 年1月か 展開しているところである。 ⑵ 希望郷いわて国体の概要 ①本大会 日までの 希望郷いわて国体本大会は、平成 年 月1 月 読み上げ装置にて、内容を 音声で聞くことができます。 日から れる。開会式・閉会式は、北上市総合運動公園 北上陸上競技場で行われるが、この会場は、県 内唯一の第一種公認の陸上競技場であり、現在 第16回全国障害者スポーツ大会(希望郷いわて大会) 27 20 主催/文部科学省、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会 岩手県、盛岡市、花巻市、北上市、奥州市、一関市、雫石町 社会福祉法人岩手県社会福祉協議会、社会福祉法人岩手県身体障害者福祉協会、一般社団法人岩手県手をつなぐ育成会、 特定非営利活動法人岩手県精神保健福祉連合会、岩手県障がい者社会参加推進センター、公益財団法人岩手県体育協会 メイントラック等の改修を行っているところで ある。 正式競技は毎年実施競技、隔年実施競技、開 競技のほか、 催地選択競技の3つに区分され、都道府県対抗 で実施される。毎年実施される アスロン、開催地選択競技として軟式野球の合 計 競技が本大会の正式競技となる。 ル、グランド・ゴルフ、パワーリフティング、 こくっち 28 うにっち 10 綱引の4競技が予定されている。また、正式競 そばっち 各競技会は、日体協加盟競技団体及び会場地市町村も主催となります。 音声コード 第71回国民体育大会(希望郷いわて国体) 主催/公益財団法人日本体育協会、文部科学省、岩手県 とふっち おもっち 28 技とは別に、国体開催県において広く親しまれ、 希望郷いわて国体は、岩手県で冬季大会・本大会の全競技を行う 「完全国体」 として開催します。 11 または、今後普及等を目的としたスポーツを行 (水泳競技は平成28年9月4日日~9月11日日) 11 隔年で実施する競技として、なぎなた、トライ 34 平成28年10月22日土~10月24日月 冬季大会 スケート・アイスホッケー競技会/平成28年1月27日水~1月31日日 スキー競技会/平成28年2月20日土~2月23日火 本 大 会 平成28年10月1日土~10月11日火 10 正式競技以外の公開競技としてゲートボー 37 希望郷いわて国体・いわて大会のパンフレット 特別調査 3.第 回全国障害者スポーツ大会の概要 ⑴ 全国障害者スポーツ大会の歩み 全国障害者スポーツ大会は、障がいのある選 この2大会が統合され、平成 年の宮城国体終 知的障害者スポーツ大会」の2大会があったが、 プン競技として実施される。 及する観点から有効と認められる4競技がオー バレーボールが加わり、身体障がい者・知的障 は、施設整備を含めた開会までの準備や大会期 希望郷いわて国体を中心とした3大会の開催 4.希望郷いわて国体等の経済波及効果 るとともに、人々の障がいに対する理解を深め、 がい者・精神障がい者の選手が一堂に会して行 今回の試算は、県国体・障がい者スポーツ大 た。 産業連関表を用いた経済波及効果の試算を行っ えるものと予想される。その効果を検証すべく、 一時的にせよ県内経済に大きなインパクトを与 など多くの来場者がもたらす観光消費によって、 障がい者の社会参加の推進に寄与することを目 希望郷いわて大会(第 回全国障害者スポー ⑵ 希望郷いわて大会の概要 あがった。 間中の運営費のほか、選手や大会関係者、観客 日本において障がい者スポーツが広まった契 機は、昭和 年に日本で開催された東京パラリ ンピックとされている。訓練の延長ではなく、 ツ大会)は、希望郷いわて国体終了後の平成 日までの3日間、5市 各国の選手たちが生き生きとスポーツをする姿 月 会局から、現時点で判明、想定されている範囲 日から 年 3町を開催地として実施される。開会式・閉会 月 に、日本の障がい者や医療関係者、福祉関係者 は深い感銘を受け、日本でも障がい者スポーツ で各種資料の提供を受け行ったものである。 競技大会では、障がい者スポーツの競技性が重 した、円滑な式典・競技運営や宿泊・輸送等の ⑴ 試算の前提条件 経済波及効果を試算するに当たり、試算の前 大会の目的は、パラリンピックなどの競技ス た前提条件は以下のとおり。 利便性に考慮した大会となる。 しい活躍が深い感動を呼び、広く国民が障がい ポーツとは異なり、障がいのある人々の社会参 提条件をいくつか設定する必要がある。設定し 者スポーツをスポーツとして認識することにな 実施競技は、個人6競技、団体7競技の正式 会場等の施設整備費が運営費として想定されて 経費、開会式等のセレモニーや競技に係る経費、 各大会では、準備、運営を行う上での事務的 ①運営費 った。 これまで障がい者のスポーツ大会としては昭 和 年から開催されてきた「全国障害者スポー 競技のほか、広く障がい者の間にスポーツを普 理解を深めることにある。 加の推進や、障がいのある人々に対する国民の 視された大会であった中、日本選手団のめざま 式及び競技の会場は、原則として、希望郷いわ 24 を盛んにしようという動きが高まった。さらに、 10 て国体の会場を使用し、障がいのある人に配慮 22 平成 年に開催された長野パラリンピック冬季 10 28 16 る。 う、現在の全国障害者スポーツ大会の形ができ 平成 年の大分大会からは、精神障がい者の れた。 了後、第1回全国障害者スポーツ大会が開催さ 13 的とする国内最大の障がい者スポーツ大会であ 手が競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験す 20 16 39 ツ大会」と平成4年から開催されてきた「全国 岩手経済研究 2015 年2月号 9 10 40 特別調査 408 603 1,373 7,356 19,001 資料:県国体・障がい者スポーツ大会局資料から当研究所作成 652 デ モ ス ポ 4 2 2 8 リ ハ 大 会 50 70 27 147 会 130 192 516 838 会 11 6 55 72 障 ス ポ 大 会 24 32 40 96 165 230 611 1,006 計 万人の内、県内来場者が 40 %の 60 15 資料:県国体・障がい者スポーツ大会局資料から当研究所作成 %の 20 61 万9千人、県外来場者 %の 県の事例などを参考に 万1千人の内、県内来 場者が 48 万2千人と設定する。 80 る。観客については「平成 年度版岩手県観光 員等は全員が1人当たり1泊するものとしてい 宿泊・日帰りの割合は、選手・監督と大会役 12 1%の 万8千人、日帰りが ・9%の 万 36 26 1千人、日帰りが ・9%の6万1千人とする。 ・1%の6万 50 73 統計概要」を参考に、県内来場者は宿泊が ・ 25 1千人、県外来場者は宿泊が 12 宿泊 万人、県内日帰り 万5千人、県外宿泊 者の県内外別、宿泊・日帰り別の内訳は、県内 以上を各大会ごとにまとめると、本大会来場 49 30 万2千人、県外日帰り5万1千人となる。冬 23 4千人となる(図表3) 。 帰り2万4千人、県外宿泊4万人、県外日帰り 来場者の内訳は、県内宿泊2万9千人、県内日 県外日帰り5千人となる。障害者スポーツ大会 県内日帰り3万2千人、県外宿泊1万8千人、 季大会来場者の内訳は、県内宿泊1万6千人、 25 10 岩手経済研究 2015 年2月号 来場者が %の 万6千人の見込みである。大 会役員等は 23 95 万8千人、県外来場者は %の9万2千人の 13 は、本大会が 万8千人、冬季大会が7万2千 476 合 4,742 人、障害者スポーツ大会が9万6千人と見込ま 112 億7300万円、 64 大 6,903 れており、 その合計は100万6千人となる(図 正式・公開競技 季 1,927 見込みである。観客については来場者数以外に 31 いる。 現時点の各大会の運営費は本大会が157 362 表2) 。これを県内外別、宿泊・日帰り別にそ 11 億100万円、冬季大会が 冬 季 大 会 県内外別等の想定はしていないことから、先催 8 障害者スポーツ大会が 億2700万円とされ 15,701 れぞれ分類する。 12 13 ており、その合計は190億100万円となる 6,270 県内外の来場者数の割合は、選手・監督 万 開 閉 会 式 (図表1) 。 3,016 5千人の内、県内来場者が5%の9千人、県外 合 計 ②大会別の推計来場者数 6,415 各大会の来場者数(各大会期間中の延べ人数) 観 客 冬 経 等 16 大会役員等 大 483 合 合 計 費 施設整備費 競技・イベント 事務的経費 83 選手・監督 本 1,318 計 126 障スポ大会 (千人) 図表2 各大会の推計来場者 19 会 大 本 (百万円) 図表1 各大会の運営費等 特別調査 252 51 304 838 32 49 18 5 23 72 29 24 52 40 4 44 96 275 361 636 309 61 370 1,006 230 305 冬 季 大 会 16 障スポ大会 本 大 会 5,948 1,672 1,381 2,495 11,496 冬季大会 454 118 105 197 874 障スポ大会 799 242 186 324 1,552 7,201 2,033 1,672 3,015 13,921 額単価」を採用し、県内宿泊客が1万6249 円、県内日帰り客が4439円、県外宿泊客が 2万4028円、県外日帰り客が6916円と した。 これを各大会の県内外、宿泊・日帰り別の来 (百万円) ②経済波及効果の内訳 図表4 各大会来場者による消費支出推計額 開催中に来場した選手や観客などにアンケート 来場者の本県における消費支出は実際に大会 その後の技術革新や物価変動などは考慮してお を基に経済波及効果を試算していることから、 する。つまり、平成 年当時の本県の産業構造 どで増加する需要のうち、県内の各産業で発生 25 海外から調達していることになる。 直接効果とは、大会運営費や来場者の消費な 調査を実施しないと分からないため、今回は統 する需要のことである。すなわち、新規需要と 計調査を基に推計する。 県観光課の「平成 年度版岩手県観光統計概 留意が必要である。 らず、特にも本県では東日本大震災により産業 と間接効果に分類される。 果に大別され、さらに1次波及効果は直接効果 経済波及効果は、1次波及効果と2次波及効 (注)四捨五入の関係により合計が一致しない場合がある 資料:当研究所作成 場者数を乗じて推計すると、本大会の来場者の 消費支出は114億9600万円、冬季大会が 8億7400万円、障害者スポーツ大会が 億 5200万円となる。さらに産業連関表の各産 業需要に分配するため、観光庁の「旅行・観光 産業の経済効果に関する調査研究(平成 年3 月) 」の国内旅行者の消費費目を参考に、交通 費や宿泊費、飲食費、土産・買物代などにそれ ぞれ細分化する(図表4) 。 ⑵ 経済波及効果の試算 ①使用する産業連関表 経済波及効果は、公表されているもので最新 の「平成 年岩手県産業連関表」を用いて試算 飲 食 費 土産・買物代 合 計 宿 泊 費 計 15 26 直接効果(県内需要)の差分は、県外もしくは (注)四捨五入の関係により合計が一致しない場合がある 資料:当研究所作成 構造が大きく変化している可能性があることに 合 交 通 費 合 535 会 大 本 計 日帰り ③来場者の消費支出の推計 合 計 要」の「日帰り宿泊別・県内県外別・観光消費 岩手経済研究 2015 年2月号 11 21 21 計 宿 泊 日帰り 計 宿 泊 県 外 県 内 (千人) 図表3 各大会の県内外別、宿泊・日帰り別の来場者数 特別調査 億8700万円から1次波及効果が104億 9 9 0 0 万 円 と な り 、2 次 波 及 効 果 は したがって、3大会の運営費等による経済波 及効果は297 億3400万円と試算される 3500万円となることから128億3400 間接効果とは、直接効果のあった産業の原材 料の調達などで発生した誘発額の内、県内の各 (図表5) 。 万円と試算される。 冬季大会 1,373 1,318 354 1,672 480 2,152 障スポ大会 1,927 1,750 515 2,265 613 2,878 19,001 18,341 4,651 22,992 6,742 29,734 資料:当研究所作成 億 産業で発生する生産額のことである。 ④来場者の消費支出に伴う経済波及効果 24,704 冬季大会は、直接効果5億8200万円と間 1 次 波 及 効 果 7,712 2,787 10,499 2,335 12,834 冬季大会 874 582 210 792 176 969 障スポ大会 1,552 1,048 379 1,427 317 1,744 13,921 9,342 3,376 12,718 2,828 15,547 接効果2億1000万円から1次波及効果が (百万円) また、1次波及効果のあった各産業では雇用 5,649 12 岩手経済研究 2015 年2月号 27 図表6 来場者の消費支出に伴う経済波及効果 来場者の消費支出に伴う経済波及効果は、本 19,055 億1200万円と間接効果 3,782 者所得の増加が発生する。この雇用者所得の増 1 次 波 及 効 果 大会は直接効果 (百万円) 加分の一部が消費に回ることで誘発される生産 15,273 額の内、県内の各産業で発生するものを2次波 及効果という。 ③大会運営費等の経済波及効果 各大会の運営費等の経済波及効果は、本大会 は直接効果152億7300万円と間接効果 総 効 果 2次波及効果 需要増加額 総 効 果 2次波及効果 需要増加額 億8200万円から1次波及効果が190億 億 間接効果 5 5 0 0 万 円 と な り 、2 次 波 及 効 果 は 直接効果 77 間接効果 4900万円となることから247億400万 図表5 大会運営費等に伴う経済波及効果 23 (注)四捨五入の関係により合計が一致しない場合がある 資料:当研究所作成 円と試算される。 冬季大会は、直接効果 億1800万円と間 接効果3億5400万円から1次波及効果が 億7200万円となり、2次波及効果は4億 億 8000万円となることから 億5200万円 と試算される。 障 害 者 ス ポ ー ツ 大 会 は 、直 接 効 果 11,496 計 5000万円と間接効果5億1500万円から 1次波及効果が 億6500万円となり、2次 本 大 会 合 17 21 波及効果が6億1300万円となることから 15,701 計 13 億7800万円と試算される。 本 大 会 合 22 直接効果 56 37 16 28 特別調査 会 24,704 12,834 37,538 冬 季 大 会 2,152 969 3,121 障スポ大会 2,878 1,744 4,622 29,734 15,547 45,281 計 される(図表6) 。 また、開催地にとっても半世紀に一度の大事 ことから関連する分野、産業も多種多様となる。 業であり、経済活動の範囲は県下全域にわたる 以上③、④より、本大会の経済波及効果は 東日本大震災の影響もあり、先催事例と比較し ⑤まとめ 375億3800万円、 冬季大会が 億2100 ても低予算での開催とはなるが、今回の試算で は453億円の経済波及効果を本県にもたらす 億2200万 円と試算される。3大会を合計した本県への経 との結果となった。その中では、来場者の消費 による効果を155億円としている。 他県から訪れる人はもちろん、岩手県民にと っても、両大会の開催は岩手の魅力を再認識す 希望郷いわて国体・希望郷いわて大会は平成 流を広げ、全国へ発信することで経済活動の範 を通じて岩手らしいおもてなしの心あふれる交 る良い機会となるのではないだろうか。両大会 年1月の冬季大会から開催される。国体は、 お わ り に (図表7)。 済波及効果は、452億8100万円となる 万円、障害者スポーツ大会が 31 46 ーツ大会だが、私たち県民一人ひとりが「する」 し、熱い戦いを繰り広げる国内最大の総合スポ 国内スポーツ界の中核をなす競技者が一堂に会 「希望郷いわて」の愛称には、東日本大震災 考えられる。 囲も広がり、今後新たな経済効果を生むことも ている。両大会が成功裡に終わることを祈ると 7億9200万円となり、2次波及効果は1億 加えて、今回は東日本大震災の被災県が初め ともに、両大会の開催が県内に大きな社会的効 からの復興を「希望」を持って目指し、両大会 億 て開催する大会である。一時は本県での開催も 果や経済効果を与えることを通じて地域振興が (部長・柳田 修、研究員・澤田 恭範) 危ぶまれたものの、関係各位の努力により予定 ルとなるもので、開催の意義は大変大きい。 針にもあるように本県にとっては復興のシンボ 図られることを期待したい。 「みる」 「支える」といった様々な形で参加する と試算される。 障害者スポーツ大会は、直接効果 億4400万円と試算される。 波及効果が3億1700万円となることから 1次波及効果が 億2700万円となり、2次 4800万円と間接効果3億7900万円から 10 本 14 したがって、3大会の来場者の消費支出に伴 どおりの開催となった経緯もある。開催基本方 7600万円となることから9億6900万円 28 を成功に導き、県民が一丸となって「希望郷い 資料:当研究所作成 ことができる大会でもあり、岩手のスポーツ文 合 わて」を作り上げていく、との思いが込められ 大 合 計 来場者消費支出 大会運営費等 化の振興に大きく寄与するものである。 (百万円) う経済波及効果は155億4700万円と試算 岩手経済研究 2015 年2月号 13 図表7 「希望郷いわて国体」等の経済波及効果(合計) 17 特別調査 スローガン 月 ◆スケート 剣道 ■ターゲット・ バードゴルフ (ショートトラック) ♠カーリング 軟式野球 軟式野球 軟式野球 ■サーフィン ■パークゴルフ 軟式野球 ■ウォークラリー ♣ペタンク 軟式野球 洋野町 軽米町 柔道 (※予備会場) 二戸市 ッケー 九戸村 一戸町 久慈市 軟式野球 野田村 ンススポーツ 八幡平市 葛巻町 ■マレットゴルフ 普代村 岩手町 田野畑村 ェリー 軟式野球 ■ネオホッケー 岩泉町 軟式野球 滝沢市 レスリング 盛岡市 雫石町 ■シーカヤックマラソン 高等学校野球(軟式) 宮古市 矢巾町 セーリング ■ソフトバレーボール 紫波町 ボール 山田町 花巻市 大槌町 西和賀町 北上市 釡石市 金ケ崎町 ラクビーフットボール トライアスロン ●グラウンド・ゴルフ ■ウォーキング ■マラソン (成男、女子) ■クッブ 住田町 大船渡市 奥州市 陸前高田市 ソフトボール(少男) 平泉町 第 71 回国民体育大会 ■ビーチバレー 本大会 正式競技、特別競技 一関市 ♠スノーシューハイキング 球 (サウンドテーブルテニス(身)を含む) 水泳 (オープンウォータースイミング) 遠野市 雪合戦 陸上競技 サッカー (少男) ●本大会 公開競技 トボール バレーボール(成年) バスケッ (成男、少男) フェンシング ■スポーツ吹矢 ■本大会 デモンストレーションスポーツ ◆冬季大会 正式競技 ♠冬季大会 デモンストレーションスポーツ ●パワーリフティング ■インディアカ ■バウンドテニス ★バスケットボール ★車椅子 バスケットボール 第 16 回全国障害者スポーツ大会 ★正式競技 ♣オープン競技 岩手経済研究 2015 年2月号 14 特別調査 〈希望郷いわて国体・いわて大会の種目及び会場〉 スローガン 平成28年10月22日土~10月24日月 冬季大会 スケート・アイスホッケー競技会/平成28年1月27日水~1月31日日 スキー競技会/平成28年2月20日土~2月23日火 本 大 会 平成28年10月1日土~10月11日火 (水泳競技は平成28年9月4日日~9月11日日) 会場地市町村一覧 テニス (少年) 相撲 ◆スキー ◆スキー ラグビーフットボール ライフル射撃(CP除く) ◆スキー (ジャイアントスラローム) (スペシャルジャンプ) (コンバインド) (少男) ◆スキー (クロスカントリー) ◆スケート 剣道 ■ターゲット・ バードゴルフ なぎなた (ショートトラック) ♣ペタンク ゴルフ(女子、少男) ■オリエンテーリング ♠ミニバイアスロン ホッケー ゴルフ (成男) 二戸市 ■少年少女ホッケー 一戸町 水泳 (競泳) 水泳 (飛込) 水泳 水泳 (水球) サッカー(成男、女子) (シンクロナイズドスイミング) サッカー (女子) ■ダンススポーツ 八幡平市 テニス (成年) 体操 (競技) ライフル射撃 (CP) 山岳 岩手町 カヌー(スプリント) アーチェリー 空手道 ボウリング 高等学校野球(硬式) ■ビリヤード ■3B体操 ★アーチェリー ■武術太極拳 滝沢市 盛岡市 ★水泳 ★フライングディスク ★ボウリング ★グランドソフトボール ■スポーツチャンバラ ★サッカー ■ラジオ体操 雫石町 矢巾町 紫波町 ♣ビリヤード ◆スケート ♣卓球バレー (スピード) ◆スケート (フィギュア) ◆アイスホッケー 自転車 ♠カーリング ♣ゲートボール 花巻市 西和賀町 サッカー (成男) ボート バレーボール(少年) ハンドボール ソフトボール (成年、少女) 北上市 ■室内雪合戦 クレー射撃 高等学校野球(硬式) ●綱引 ●ゲートボール 金ケ崎町 ■リレーション3 奥州市 ★ソフトボール ★フットベースボール ★バレーボール ◆アイスホッケー ソフトボール(少男) 平泉町 一関市 陸上競技 15 体操 (新体操) ソフトテニス バドミントン ■エアロビック ■ヒルクライム ■フライングディスク ■ペタンク ボクシング バスケットボール ウエイトリフティング 卓球 馬術 弓道 (スラローム、ワイルドウォーター) (成年、少女) 岩手経済研究 2015 年2月号 カヌー ★陸上競技 ♠スノーシューハイキング ★卓球 (サウンドテーブルテニス(身)を含む) ●パワーリフティング ■インディ
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