406KB - 三洋化成工業

●サンヨー ・ プロダクト ・ トピックス●
環境対応型塗料の市場増に応え
さらなる性能向上を実現する
水系塗料用ウレタン樹脂エマルション『ユーコート UX - 485
485』
』
外壁の塗装に
大気環境に対する意識の高まりを受け、法
規制などによるVOC︵揮発性有機化合物︶
低減が世界的な流れになるにしたがって塗料
分野でも脱溶剤化が進んできました。これま
で主流だった有機溶剤系塗料は、樹脂をトル
エンなどの溶剤に溶かしたもので、溶剤が蒸
発︵乾燥︶することで樹脂が塗膜になるとい
うメカニズムでしたが、有機溶剤に代えて水
を媒体として用いる水系塗料︵エマルション
塗料︶や媒体をまったく用いない粉体塗料、
紫外線硬化塗料などの開発が進められ実用化
されてきました。
特に水系塗料は従来の溶剤系塗料と同様の
設備で取り扱える場合もあり、建築用途、自
動車用途を中心に大きな伸びを示しています。
水系塗料は水、バインダー樹脂、顔料、その
他架橋剤、粘性調整剤、助溶剤などの添加剤
を主な構成材料としていますが、今回はこの
水系塗料の機能を向上させるウレタン樹脂エ
マルションを紹介します。ウレタン樹脂エマ
ルションは、直径数十∼数百㌨㍍のウレタン
樹脂粒子を水中に安定的に乳化分散したもの
です。
水系塗料
水系塗料のバインダー樹脂としては、主に
アクリル樹脂エマルションが用いられますが、
アクリル樹脂だけでは塗膜の可とう性や下地
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2014 秋 No.486
■アクリル樹脂とウレタン樹脂の相溶性の影響
ウレタン樹脂 アクリル樹脂 との密着性が不足しがちという欠点がありま
す。塗膜の可とう性が不足すると温度変化な
どで下地が伸縮してひび割れが発生したり、
下地との密着性が不十分だと塗膜が剥がれた
り浮いたりします。そこで添加されるのがウ
レタン樹脂エマルションで、塗膜に可とう性
を付与し、下地との密着性向上といった高機
能化を可能にします。このためバインダー樹
脂としてアクリル樹脂エマルションとウレタ
ン樹脂エマルションを併用した水系塗料が
種々の塗装用途で使用されています。
一方、アクリル樹脂とウレタン樹脂との相
溶性が悪いと、乾燥塗膜中で相分離を起こし
てしまい、光沢などの外観低下、耐候性など
の塗膜性能の低下を引き起こします。
三洋化成の水系塗料用ウレタン樹脂エマル
ション﹃ユーコートUX 4
- 85﹄は、アク
リル樹脂エマルションとの相溶性に優れてお
り、光沢などの塗膜外観や耐候性の低下が起
こらないため、経年劣化が低減し塗膜寿命が
保持されます。さらに塗膜には可とう性や密
着性といったウレタン樹脂の特性も生かされ
ています。
ウレタン樹脂エマルションの広い用途
ウレタン樹脂エマルションは、先に述べた
塗料用途以外にもインキ、化粧合板や木工な
どの接着剤用途、さらに合成皮革や顔料を織
三洋化成ニュース
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ドメイン径:∼ 0.1μm
ウレタン樹脂の凝集が発生していない
ドメイン径:∼ 0.5μm
ウレタン樹脂の凝集が発生➡外観
(光沢)
、密着性、耐候性等の悪化
ユーコート UX-485
乾 燥
従来のウレタン樹脂
アクリル樹脂/ウレタン樹脂( 9/1)の乾燥塗膜の TEM 写真(黒色部がウレタン樹脂)
■アクリル樹脂とウレタン樹脂併用系塗膜の耐候性(光沢保持率)
100
90
光沢保持率
(%)
80
70
ユーコート UX-485(10 質量%配合)
従来のウレタン樹脂(10質量%配合)
60
アクリル樹脂単独
50
0 100 200 経過時間(h)
300 400
〈光沢保持率の測定方法〉 促進耐候試験機(アイスパー UV テスター、光源:メタルハライドランプ、照射強度:75mW/cm2)
73℃・50%RH×4hr⇔38℃・95%RH×4hr を繰返して、60°光沢の初期値からの保持率を光沢保持率とした
■当社ウレタン樹脂エマルションの製品例
ユーコートUX-485 ユーコートUWS -145 パーマリンUA-368T パーマリンUA-200 ユープレンUXA-307
ポリオールの種類
ポリカーボネート系
親水基の種類
カルボン酸
カルボン酸
トリエチルアミン塩 トリエチルアミン塩
性
状
物
性
主用途
品 名
ポリエステル系
ポリカーボネート系
ポリエーテル系
ポリエステル系
カルボン酸
トリエチルアミン塩
カルボン酸
トリエチルアミン塩
スルホン酸
ナトリウム塩
40
不揮発分
(% )
40
35
50
30
粘度
(mPa・s)
70
300
250
300
50
120
20
210
70
200
100% Mod.
(MPa)
14
13
3
2
11
300% Mod.
(MPa)
−
14
−
4
12
粒子径
(nm)
破断強度
(MPa)
破断伸度
(% )
塗 料
25
21
42
23
31
250
400
420
710
660
◎
⃝
⃝
⃝
接 着
⃝
繊 維
◎
◎
◎
◎:非常に適している、⃝:適している
編布に固着させて色柄を付与する顔料捺染の
バインダー、ガラス繊維集束剤、ウール布の
防縮加工剤などの繊維用途にも幅広く用いら
れています。
三洋化成には、ポリイソシアネートとポリ
オールとの反応生成物であるウレタン樹脂に
関する長年の技術の蓄積があります。特にポ
リオールは多くの種類を有し、これまでウレ
タン樹脂に関する各種の要求に応えてきまし
た。またエマルションとして水に乳化分散さ
せる方法としては、界面活性剤を乳化剤とし
て使用する強制乳化型と、ウレタン樹脂中に
親水基を導入する自己乳化型がありますが、
乾燥後に界面活性剤がブリードアウトして物
性低下が発生しない自己乳化型が主流になっ
ています。三洋化成は、このエマルション技
術に関しても豊富な技術力をベースに、これ
まで上記の表のように﹃ユーコート﹄
﹃パー
マリン﹄各シリーズなど各種エマルションを
開発、上市してきました。
法規制などによるVOC削減がさらに進む
にしたがい、これに対応するため各分野でウ
レタン樹脂エマルションの需要はますます高
まっています。三洋化成は、これからも地球
環境に配慮した製品であるウレタン樹脂エマ
ルションに、よりいっそうの高機能を付加し、
各種用途に適した製品開発に注力していきま
す。
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