キヤノンのレンズ交換式カメラのラインアップの変化

キヤノンが今年前半に発売する 3 機種
史上最多の新製品を発表したキヤノンの
レンズ交換式カメラのラインアップどう変わる?
確かにマーケットの活性化という大義名分はあ
そして 8000D となるわけだ。並行してミラーレ
るものの、これだけの新製品を受け入れる市場が
スの M3 が存在し、こちらも基本的にはエントリー
あるのだろうか、と首を傾げてしまう。製品サイ
機ということになる。
クルの早いコンパクトは別にしても、キヤノンの
ミ ド ル シ ッ プ 機 が 7D と フ ル サ イ ズ の 6D と
ミラーレスの EOS M3 は発売日が 3 月下旬。M2
5DMark Ⅲ が あ っ た が、 こ の 上 に 今 回 の 5DS/
の発売後わずか 7 ヶ月。1 年足らずで後継機の発
5DS R が加わった。キヤノンは新しいシリーズ機
表となった。確かにデジカメの進歩は早く、新し
として捉えているのではなく、5DMark Ⅲの派生
い技術を取り入れて商品を造り上げていくのが宿
カメラとして位置付けているが、やはり最新技術
命のようである。そうしなければシリーズの陳腐
が投入されており、フルサイズの次の主力機にな
化も早い。
るカメラであろう。そして頂点にフラッグシップ
M3 は キ ヤ ノ ン の ミ ラ ー レ ス 機 だ か ら、 ま だ
の 1DX がある。
ラインアップはないものの、主力の一眼レフは
こうやって見てくると、ラインアップの整合性
あれれっ、というほどにラインアップが増えて
に欠けていよう。エントリーの 2 桁ナンバーが
きた。今回、ファミリー向け入門機として EOS
もっとも低廉で、1 桁ナンバーはその上、4 桁が
KissX8i、プレミアム入門機として EOS 8000D
エントリートップになった。3 桁は現在ない。ミ
を、そしてフルサイズの EOS50DS/50S R を発表
ドルシップは 5DMark Ⅲよりも 6D のほうが下で、
した。
5DS の 2 機種発売でフルサイズが拡充され、ここ
KissX8i は従来の X7 の後継機として位置付け
がフルサイズの中核帯になるのだろうか。5DS は
られるが、それでは 8000D は何か。基本性能は
5060 万画素のフルサイズ機で、やはり風景や広
X8i と同じだが操作系をより上級機に近い仕様に
告写真などの高解像度を必要としている分野に向
変更している。前者がファミリー向けを謳い、後
いている。APS-C 機はよりスピード性を求められ
者は本格志向のユーザー向けというわけだ。つま
るようになろう。
り初めから作品を撮りたいというユーザーを対象
いずれにしろ、これだけの機種が市場に送り
にしている。それなら 70D でどうなの、という
出され、旧型機とも併存し、低迷しているコンデ
疑問が生じるが、やはり最新技術が搭載されたこ
ジをカバーするようにレンズ交換式がマーケット
ちらを選ぶことになろう。ちなみに直近の 70D
の主流になる状況といえる。だからこそ、キヤノ
のボディ価格は 10 万円弱だから、価格的には一
ンはこれだけの新製品を用意した。スマホ時代に
致するだろう。
対応したラインアップとなるもので、選択範囲の
ということは、キヤノンのラインアップの考え
幅が広がるユーザーにとっては歓迎である。次は
方としてエントリー機の幅を広げた、という見方
ミラーレスのラインアップ強化に向かうのだろう
ができる。下は KissX70 があり、次に KissX8i、
か。
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