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島根大学地質学研究報告 9.97∼115ページ(1990年7月)
Geol.Rept。Shimane Univ。,9 p.97∼115(1990)
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
卜部厚志*・赤坂正秀*・三梨 昂**
Study・nthec・rrelati・n・fthepyr・clastickeybeds
in the Miura Group,Kanto district,Japan
Atsushi URABE*,Masahide AKAsAKA*and Takashi MITsuNAsHI**
Abstract
TheMi・一Pli・ceneMiuraGr・updistributedintheMiuraandB・s・Peninsulaisc。mp。sed
of marine sediments such as silt,sands,gravels and tuff.The tuff beds are the most
useful pyroclastic key beds for correlation.Most of pyroclastic key beds are correlated with
thestratigraphicalc・mbinati・n・fthebedswhicharedistinguishedeach。therbythe
various characters.We investigated the typical pyroclastic key beds(So tuff,Ok tuff,Hk
tuff)・ftheMiuraGr・up・interms・fthef・ll・wingcharacters;thickness,c・1・r,intralayer
lith・1・gicalsuccessi・n・sizedistributi・n,mineralc・mp・siti・n,heavymineralc。mp。siti。n,
shape of glass and chemical composition of amphibole.The results show that the each bed
・ftheOktufHsdistinguishedbytheheavymineralc・mp・siti・nandthestratigraphical
combination of each bed is useful for correlation of the Ok tuff.The Hk tuff and So tuff
are characterized by the heavy mineral compositions which are abundant in amph● 奄b盾撃 .The
characters of these pyroclastic key beds in the Miura Peninsula are the same as those in
the Boso Peninsula.Thus the heavy mineral compositions of the pyroclastic key beds are
useful for correlations in the extensive area.
三浦半島南部の鍵層Soを含む凝灰岩層の対比のため
は じ め に
に重鉱物組成を検討した.平田ほか(1984)は,鍵層
三浦・房総半島に広く分布する三浦層群(第1図)
’ 140。
、東亮べ毛蝋.で .シ
には,多くの凝灰岩層が挟在している.これらの凝灰
,.. 汗葉
.ノ
岩層は,広範囲におよぶ同時性をもつことから,凝灰
東 》’
岩層の層序的組み合わせが鍵層として用いられ地質構
”二 一一 』}.、.
ド㌧㌧:● 泉
造が解明されている.
横浜/ ・ハ
湾
三浦層群中で広域的に追跡された鍵層は,So・Ok
・Hkである.三梨・矢崎(1958)は,鍵層Ok・Hk
房噛
について,構成する単層を肉眼的特徴によって区分
総半∫昂i二il
し,その組み合わせにより対比を行った.村井(1962)
∫』耀●訪
豪・.
は,凝灰岩(鍵層Hk)の粒度組成や鉱物組成が広域的
に均一であることを示した.堀内・斎藤(1982)は,
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@ 鴨川
■ 11
0 20km
35。
*島根大学理学部地質学教室:Department of Geology,Faculty of
ひ.
チ
Science,Shimane University,1060,Nishikawatsu,Matsue690,
一
皿皿三浦層群
Japan.
**元島根大学理学部地質学教室,
第1図 位 置 図
97
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
98
房総半島
西北部
中一東部
三浦半島
ナノ化
時代 (C N)
北部
西部
南部
中部
(N)
上総層群
上総層群
鮮新世
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中期中新世
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ノ化
ナ・本研究
石。文 献
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一鍵層
テ灰岩鍵層
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木の根層
暫岩
凝灰質岩
・ 火山豆石
第2図三浦層群の層序(蟹江・笹原,1990)
島東部
総中部
房
西部
道﹂﹁
水
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半
北部
島
中部
南部
浦
半
最上部
上 総 層 群
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三浦層群
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佐 久 間 層
群
保
田 層
第3図 三浦層群の層序(三梨ほか,1979に一部加筆).
①:白狐チャネル,②:田越川礫岩層,③:千畑礫岩層,矢印は鍵層間の層厚を示す.房総半島での鍵層
Soは南西部のみに対比される.
づいて,ナノ化石の国際分帯との対比や鍵層のK−Ar
Hkについて岩石学的研究を行い,三梨ほか(1979)に
よる対比を支持する結果を得た.堀内・谷口(1985)
法による絶対年代(岡田ほか,1990)の検討を行い,
は,堀内・斎藤(1982)が報告した地域の各凝灰岩層
三浦層群の層序の一部改訂(三浦半島南部・房総半島
について輝石の化学組成による検討を行い,輝石の組
西部)を提案した(第2図).しかし,その層序では,
成が対比に有効であることを示した.
鍵層Soは鍵層Okの上位である鍵層Bg(鍵層Hk
一方,蟹江・笹原(1988)は,笹原・蟹江(1987)
の約100m下位)と対比されており,三梨・矢崎(1968)
による重鉱物組成分析の結果から,鍵層Ok・Hk・
による層序関係(第3図)と異なる.
Soの対比を行った.蟹江・笹原(1990)は,これに基
著者らは,三梨・矢崎(1958)による鍵層Okの対
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
、、ノ
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5km
第4図 鍵層Okの採集地点
凡例,A:久里浜,B:佐島,C,菊名,D:金田,E:金谷(不動岩),F:奥山川,G:上白狐,H:
下白狐,1:相川,」:稲子沢;1:相模・下総層群,2:上総層群,3:三浦層群,4:葉山・保
田層群
比が,凝灰岩層の組み合わせによって行われているの
(1980),中嶋ほか(1981),卜部ほか(1990)などに
に対し,蟹江・笹原(1988,1990)は鍵層Okを単層
の組み合わせとして扱っていないことから矛盾が生じ
群中の代表的な鍵層であるOk・Hk・Soの層序関係
よって明らかにされているため詳細は省略し,三浦層
たと考える.
について述べる.
本研究では,鍵層中の単層の重鉱物組成・火山ガラ
地質構造と鍵層を基準にした対比から決定された三
スの形態・構成鉱物の化学組成等の特徴を明らかに
浦・房総半島の三浦層群の層序を第3図に示す(三梨
し,単層の組み合わせを重視した対比を行った.
・矢崎,1968;三梨ほか,1979,1990).このうち,鍵
なお,鍵層Okの対比についての研究の一部はト部
層Ok−Hk間の層厚変化は,三梨・矢崎(1968)やト
ほか(1990)によって報告されているが,本研究では
部ほか(1990)により明らかにされている.鍵層So
これを含めてさらに検討を加えた.
は,三浦層群中部に挟在し三浦半島南部に分布する.
本研究では,島根大学の三宅康幸博士,高須 晃博
また,房総半島南西部においても対比がなされている
士から,構成鉱物について御教示を頂いた.地質調査
(三梨,1990).これらの鍵層の層序関係は,下位より
所の小玉喜三郎博士には,試料採集について御教示を
So,Ok,Hkである.
うけ,対比について御討論を頂いた.東京農業大学の
試
猪俣道也博士には,鍵層Hk・Soの構成鉱物について
料
資料を頂いた.信州大学の山口佳昭博士には,角閃石
A.採 集
の化学組成について御討論頂いた.元島根大学の橋尾
宣弘,根岸 悟,佐目元昭,山田将史の各氏には試料
鍵層Ok・Hk・Soの試料採集のために,これらの
鍵層を詳細に追跡することによってその層序と地質
の採集について御協力を得た.
構造が解明されている地質図を用いた(三梨・矢崎,
また,本学大学院の松本一郎氏には,御討論を頂い
1968;三梨ほか,1979;小玉ほか,1980;中嶋ほか,
た.EPMA分析に際し本学農学部の古野 毅博士,上
1981;ト部ほか,1990).試料採集した鍵層について
原 徹氏にお世話になった.これらの方々に記して感
は柱状図を作成するのみでなく,その上下の全層準の
謝の意を表します.
柱状図(1/100)を作成し対比にもちいた.
各鍵層の層序関係
鍵層Okの模式地である三浦半島中部大楠山では,
模式的な試料採集が現在困難なため,上下の層序関係
三浦・房総半島の三浦層群の地質構造について
が明瞭である房総半島西部富津市の志駒川河床(稲子
は,三梨・矢崎(1968),三梨ほか(1979),小玉ほか
沢泥岩層の模式地)(J)において採集した試料を模式と
100
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
した(第4図).また房総半島では,中西部の富津市南
度・泡の大小を反映し,したがって火山灰を供給した
方を中心に金谷(E),奥山川(F),上白狐(G),下白狐
マグマの性質や火山の活動様式を反映すると考えられ
(H),相川(1)で試料採集を行った.三浦半島での試料採
ている.ここで用いた偏平型・中間型・多孔質型の区
集は,岩相変化と対比の有効性の関係を検討するた
分(第2,4表)は,吉川(1976)が泡の大小を表現す
め,久里浜(A),佐島(B),菊名(C),金田(D)(第4図)
るために用いたもので,偏平型→多孔質型と泡が小さ
の4地点で行った.
くなると考えられている.
鍵層Hkについては,すでに広域的な追跡と重鉱物
偏平型火山ガラス:透明で平滑なガラス.平板上で
組成・構成鉱物の化学組成などのさまざまな研究がな
突起のないもの(HA)と曲線状の突起があるもの
されている(平田ほか,1984など).本研究では,三浦
(HB)に区分した(図版1).
・房総半島における岩相変化と対比の有効性の関係に
多孔質型火山ガラス:細かな気泡を多く含み非常に
ついて検討するために必要な地点(菊名(K),金田(L),
密に突起のあるもの.細かな気泡が非常に密にあり不
稲子沢(N),香木原(O),勝浦(P))での採集にとどめた
規則な形のもの(TA)と繊維状にのびたもの(TB)
(第6図).
に区分した(図版2).
鍵層Soについても重鉱物組成や構成鉱物の化学組
中間型火山ガラス:偏平型と多孔質型の火山ガラス
成などが研究されている(堀内・斎藤,1982;堀内・
の中間的な性質を持つ.多孔質型ほど細かな気泡をも
谷口,1985;笹原・蟹江,1987など).本研究では,火
たず曲線状の突起がたくさんあるもの(CA)と直線
山ガラスの形態について検討するため,模式的な地点
状の突起があるもの(CB)に区分した(図版3).
荒崎(Q),諸磯(R),城ケ崎(S)で試料採集した(第7
特殊型火山ガラス(本研究):平滑であるが内部に
図).
B.処理・方法
凝灰岩層の鉱物組成を検討するためには,採集した
サンプルを乾燥させそのまま樹脂で固化して薄片をつ
くり観察する方法と,サンプルを水洗いして筋によっ
直線的にのびた透明鉱物があるもの(TO).淡紫色∼
赤紫色.後述する鍵層Okを構成するOksco層に多く
みられる(図版4).
各鍵層の記載
て粒度をそろえてからプレパラートにして観察する方
鍵層として用いている凝灰岩層は一般に細かく,火
法がある.本研究では,岩相変化と対比の有効性の関
砕物の分類ではvolcanic ashの区分に属する.しか
し,鍵層を詳細に記載するために,砕屑岩の粒度分類
係を検討する目的から,岩相が異なる地点から採集し
た試料の鉱物組成を検討する必要がある.このため,
を用いて以下の記載を行っている.鍵層としている凝
前者の方法では,周囲の岩相による粒度変化が構成鉱
灰岩層は,粒度・構成鉱物・有色鉱物の大きさおよび
物比に影響を与えるので,後者の方法をとった.
鉱物組成:各サンプルをほぐしてわんがけし,60#,
量・堆積構造(フレーム構造,級化の有無等)などの
肉眼的特徴で区分できる.
120#,250#の飾を用いて箭別をおこなった.筋別し
Ok:本鍵層は,三梨・矢崎(1958)により三浦∼房総
た試料を乾燥させ,プレパラートを作成した.偏光顕
半島において対比された.模式地は三浦半島中部の大
楠山である.本層は数枚のゴマシオ状凝灰岩*と1枚
微鏡下で1000粒以上の粒子を観察し,長石(F)・火山
ガラス(Gl)・単斜輝石(Cpx)・斜方輝石(Opx)・
角閃石(Amp)・ジルコン(Zr)・その他(ot)に区
分した.その際,重鉱物が200粒以上の場合は,各重鉱
物数の%をそのまま重鉱物組成としたが,200粒以下
の場合は,重鉱物を分離して各重鉱物の割合(%)を
求めた.なお,鉄鉱物は堆積時の2次的混入の可能性
があるためその他(ot)に区分し重鉱物としては扱っ
ていない.
火山ガラスの形態:火山ガラスは,鉱物組成を測定し
た試料について200粒以上観察した.
火山ガラスの形態は,基本的にはマグマの発泡の程
のスコリア軽石凝灰岩**との層序的組み合わせにより
定義される.このうち基本的な対比に有効なのは,4
枚のゴマシオ状凝灰岩と1枚のスコリア軽石凝灰岩で
ある.本研究では第5図の柱状図のように,各単層を
下位よりOk1,0k2,0k3,0ksco,Ok4とする.
*ゴマシオ状凝灰岩は,みかけがゴマシオに似ているのでこう呼ば
れている.ここで,ゴマシオ状凝灰岩としているのは,白色の
pumiceous sand grained tuff(パミス・石英・長石・ガラスなど)
とmafic mineral(角閃石・輝石など)の混ざったものである.
**火砕物の分類上でのスコリアは,4㎜以上の大きさをもち多孔質
で塩基性の成分をもつものとされている.ここではこれより小さ
い1㎜∼4㎜までの粒度のものもスコリア凝灰岩と呼び,それ以
下のものをスコリア質砂岩としている,また,スコリアと軽石が
まざったものをスコリア軽石凝灰岩としている.
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第6図 鍵層Hkの採集地点とその柱状図
凡例,K:菊名,L:金田,M:金谷,N:稲子沢,O:香木原,P:勝浦
1:泥岩,2:細∼中粒砂
岩,3:試料採集位置
Ok1:厚さ20∼40cm中∼粗粒ゴマシオ状凝灰岩.上部
総半島において対比され,三梨・矢崎(1968),三梨ほ
では漸移的に粗粒のパミスが多くなる.中粒の有色
か(1979)により広域的に追跡されている.模式地
鉱物が多い.
は,三浦半島の逗子市(東小路)である.厚さ100∼
Ok2:厚さ20∼40cmの中∼粗粒ゴマシオ状凝灰岩.中
200cmの中粒ゴマシオ状凝灰岩と細礫スコリア凝灰岩
粒の有色鉱物が多い.
よりなる(第6図).これらの間にシルト粒凝灰岩な
Ok3:厚さ10∼20cmの中∼粗粒ゴマシオ状凝灰岩.粗
いしは凝灰質泥岩が挟在することが多い.ゴマシオ状
粒の有色鉱物が多い.
凝灰岩は,泥岩の薄層により3パートに区分できる.
Ok sco:厚さ5cm程度の粗∼極粗粒スコリア軽石凝灰
本研究では,下位よりHkL Hk2,Hk3とした.
岩.下部は粗粒のスコリアが多く.上部は粗粒のパ
Hk1,2:中∼粗粒ゴマシオ状凝灰岩.有色鉱物は中∼
ミスが多いが,やや漸移的である.
粗粒の角閃石が多い.
Ok4:厚さ10∼30cmの粗粒ゴマシオ状凝灰岩.ほかの
単層と比較すると有色鉱物が多く.粗粒な角閃石が
ややパミスが多く,全体的に平行ラミナが発達する
多く含まれる.
場合が多い.
岩相によって各単層の層厚が変化するが,その特徴
So:本鍵層は,三梨・矢崎(1968),小玉ほか(1980)
は変化しない.ただし,三浦半島南部の金田(D)では,
周囲の岩相がクロスラミナを示す粗粒砂岩であり,鍵
層を構成するゴマシオ状凝灰岩も堆積時の混入の影響
をうけている.したがって,各単層が鍵層Okのどれ
に対比できるかは,肉眼的特徴からは判定でぎない*.
Hk:本鍵層は,三梨・矢崎(1958)によって三浦・房
*第5図で示めされている金田(D)における鍵層Okの対比は,後に述
べる重鉱物組成などを総合的に検討した結果である.
Hk3:中∼粗粒ゴマシオ状凝灰岩.HkL2と比較して
により,三浦半島南部で広域的に追跡された.模式的
な地点の柱状図(荒崎・諸磯・城ケ島)を第7図にし
めす.厚さ100∼300cmの中∼粗粒ゴマシオ状凝灰岩と
細礫スコリア凝灰岩よりなる.ゴマシオ状凝灰岩は,
いくつかのパートに区分でぎる.上部では,細礫のス
コリアが散在し,上方ほどパミスが多くなる傾向があ
る.ただし,クロスラミナや平行ラミナが発達してお
り,堆積時の混入が考えられるため,下部のラミナが
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
甫
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103
m−c G.T.
S
R
第7図 鍵層Soの採集地点とその柱状図
凡例,Q’荒崎,R’ 諸磯,S 城ケ島;1:泥岩,2:泥質砂岩,
3 試料採集位置
発達しない部分をSo1,So2として記載する.
Opx,Cpx)を第8図に示す.ただし,この図では,肉
So1,2:中∼粗粒ゴマシオ状凝灰岩.有色鉱物は粗粒
眼的特徴によって区分できた単層の重鉱物組成をプ
の角閃石が多い.
ロットし,金田(D)のものを除外してある.鍵層Okを
鉱物組成と火山ガラスの形態
構成する各単層(Ok1∼Ok4)の重鉱物組成比は,
Ok2とOk3の領域が大きく重なっているものの,全
各鍵層の鉱物組成および火山ガラスの形態を以下に
体としては特徴的な領域を占める.したがって,重鉱
述べる.
物組成比によりOk1,0k2,0k4あるいはOkL Ok3,
Ok二重鉱物組成(Amp,Opx,Cpx)
Ok4を区別することが可能である.また,Ok2あるい
各地点における鍵層Okの単層ごとの鉱物組成の重
はOk3に相当する単層の区分についても,単層間の
鉱物組成分析の結果を第1表に示す.また,単層ごと
層序関係がわかっていれぽ重鉱物組成比により判定す
(Ok1,0k2,0k3,0ksco,Ok4)の重鉱物組成(Amp,
ることが可能である.なお,構成鉱物比(長石(F),重
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
104
Amp
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★0孟3
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50
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A*畔
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50
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第8図
鍵層Okの重鉱物組成(角閃石・斜方輝石・単斜輝石)のダイアグラム
図中のA∼」は,第4図に同じ
H.M
■0孟4
*0左560
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F
第9図
鍵層Okの鉱物組成(ガラス・長石・重鉱物)のダイアグラム
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
105
HA+HB
■0孟4
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50
*1.かE
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TA+TB 50 CA+CB
第10図 鍵層Okのガラスの形態(偏平型・中間型・多孔質型)のダイアグラム
Amp
HA◆HB
N ▲〃’孟3
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▲〃孟3
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50
50
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▲閉
’
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▲K
50
5Q
Opx
Cpx
第11図
▲0
●K
●P
■K
鍵層Hkの重鉱物組成(角閃石・斜方輝石・
単斜輝石)のダイアグラム
図中のK∼Pは,第6図に同じ
鉱物(H.M),ガラス(Gl))(第9図)では,Okscoが
P▲■▲N ●0
口P
〃ズ2 N
■
TA+TB
第12図
■
〃差7
N・.h
50
CA+CB
鍵層Hkのガラスの形態(偏平型・中間型・
多孔質型)のダイアグラム
ガラス質な傾向がみられるが,Ok1∼Ok4の各ゴマシ
型が少ない傾向がみられるが,全体的に中間型が多く
オ状凝灰岩層を単層ごとに区分することはできない.
単層ごとに区分して対比にもちいることは困難であ
ガラスの形態:各単層ごとの火山ガラス形態(偏平型
る.ただし,Oksco層は,赤紫色を呈した特殊型の火
(HA+HB),中間型(CA+CB),多孔質型(TA+
山ガラスを含むことが特徴である(第2表).
TB))の割合を第2表と第10図に示す.各地点におけ
Hk二重鉱物組成(Amp,Opx,CPx)
るそれぞれの単層のうちゴマシオ状凝灰岩では,偏平
各地点における鍵層Hkの鉱物組成を第3表に,ま
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
106
Amp
掌,
HA+HB
▲302
▲302
d
●30■
●30■
50
50
5
Opx
Cpx
第13図 鍵層So重鉱物組成(角閃石・斜方輝石・単
R R Q
ム ●S ’
TA◆TB
第14図
斜輝石)のダイアグラム
50 CA◆CB
鍵層Soのガラスの形態(偏平型・中間型・
多孔質型)のダイアグラム
図中のQ∼Rは,第6図に同じ
1.5
1.5
職,躍
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者’
1.0
1.0
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0
0.5 0 0・5 1.O
Na←K Alv14Fe3+◇Ti
15B
第15図 鍵層Ok(Ok4)の角閃石の化学組成
15:Alw−Na十K,15B
AILAIM+Fe3++2Ti,+:金谷(E),●:相川(1),▲:稲子沢(」)
た,重鉱物組成を第11図にしめす.各層の重鉱物組成
に,また,重鉱物組成を第13図にしめす.採集地点が
は,角閃石の割合が高いことを特徴とする.また,各
少ないが模式的な地点での重鉱物組成は,角閃石が非
地点ごとにOk1∼Ok3を比較すると,上部になるほ
常に多いことで一致している.
ど含まれる角閃石の割合が低くなる.
ガラスの形態:鍵層Soの火山ガラスの形態(第4
ガラスの形態:各地点における鍵層Hkの火山ガラス
表,第14図)は偏平型が少なく,So1およびSo2とも
の形態(偏平型,中間型,多孔質型)を第4表および
ほぼ同一の傾向がみられる.
第12図にしめす.おおむね偏平型が少なく,Hk1∼
Hk3の順に中間型が減少していく傾向がみられる.
構成鉱物の化学分析
So:重鉱物組成(Amp,Opx,CPx)
鍵層を構成する各単層を重鉱物組成によって検討
模式的な地点における鍵層Soの鉱物組成を第3表
するためには,構成鉱物の化学組成を確かめておく必
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
107
●
垂鵡錆
嬬
、阜
●4
十
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1.0
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1.5
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0.5
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16C
O
0 0.20
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0.2 0.40
Ti
0.2 0.4 0.6 0.8 1.O
16D 16E
O O.2 0.40 0.2 0.4
1.2
Alv1+ Fe3++2Ti
Na+K in A Fe2シ(Fe2++Mg)
第16図 鍵層Ok(ok4)の角閃石の化学組成
16A:Al』AIM,16B:AILTi,16C:AILAIM十Fe3+十2Ti,16D:AILNa十K in A site,16E
AILFe2+/
(Fe2++Mg),+:金谷(E),●:相川(1),▲稲子沢(」)
避
1.5
1.5
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0.5
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Na+K
0
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0.5 1.O
AIVl+Fe3+◎Ti
第17図 鍵層Soの角閃石の化学組成
17A:AILNa+K,17B:Al』AIM+Fe3++2Ti,●:諸磯(R),+
城ケ島(S)
要がある.鍵層Okの各単層の重鉱物組成は角閃石の
クロアナライザーを用いた.分析条件は,加速電圧
量比に特徴がみられるため,本研究では,予察的に金
15KV,試料電流0.02μA (標準試料スピネル上)で
谷(E)・相川(1)・稲子沢(」)のOk4層に含まれる角閃石
ある.補正計算は,赤坂・山口(1988)による補正計
の化学組成を検討した.また,鍵層Soでも,重鉱物
算プ・グラムを用い,Bence&Albee法(BENcEand
のほとんどが角閃石であるためその化学組成を検討し
ALBEE,1968)でおこなった.Fe2+とFe3+の見積もり
た.
はSTOUT(1972)の方法を用いて行った.また,角閃
角閃石の分析には,島根大学のJXA733型X線マイ
石の分類は,L M.A.(1978)の分類法に基づいた
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
108
●
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18C
18B
18A
0
0 0.20 0.2 0.40 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 O O.2 0.4 0 0.2 0.4
Na+KinA F激Fe2㌔Mg)
Alvl Ti Alvl+Fe3++2Ti
第18図 鍵層Soの角閃石の化学組成
lV18A:AILAl配,18B:AILTi,18C:Al四一Alw十Fe3+十2Ti,18D= AILNa十K in site,18E Al』Fe2+/
(Fe2++Mg),●諸磯(R),+:城ケ島(S)
ROCK(1987)のプログラムを用いて行った.これら
(Ok4)に含まれる角閃石のものより多い傾向がある.
の分析結果の一部を第5,6表にしめす.
これも鍵層Soの角閃右のFe・・がOk4のものより多
Ok4:金谷・相川・稲子沢の3地点における鍵層Ok
のうちそれぞれのOk4層に含まれる角閃石は,すべ
いことを反映している.
てMagnesio−Homblendeである.また,これらの化学
各鍵層の対比と検討
組成をAIL(Na+K)図およびAIL(AIM+Fe3++Ti)
Ok:三梨・矢崎(1958)は,鍵層Okを構成する各単
図(第15図)で比較すると,相川の角閃石と稲子沢の
層の肉眼的特徴と層序的組み合わせによって鍵層Ok
角閃石は若干組成が異なるが,いずれも金谷のものの
の対比を行っている.これに基づぎ各地点において柱
組成領域におさまり,次ぎに述べる鍵層Soの角閃石
状図を作成し,各単層の肉眼的特徴とその層序的組み
の組成領域と比べても,全体としては比較的よく収束
合わせを検討した結果,各地点において三梨・矢崎
している.組成変化と陽イオン置換の関係をより明確
(1958)の対比の正当性を確認した(第5図).
にするために,AlwとAIM,Ti,AIM+Fe3++2Ti,
重鉱物組成の分析結果より各単層は異なる重鉱物量
Na+K in A site,Fe2+/(Fe2++Mg)の関係(KAwAKA−
比をもつことが明らかとなったので,鍵層Okを“異
TsuandYAMAGucHI,1987)を第16図に示した.Alwと
なる重鉱物組成比をもつ単層の組み合わせ”としてと
AIM+Fe3++2Tiは相関を示すが,AIMおよびTi
らえることができる.また,ゴマシオ状凝灰岩に挟ま
の変化が小さいことから,AFの変化は主にFe3+に依
れたスコリア軽石凝灰岩は,赤紫色を呈した火山ガラ
存していることがわかる.
スを含むことを特徴としており(第2表),鍵層Okの
So:諸磯,城ケ島における鍵層Soに含まれる角閃石
対比に際して有効な要素の1つと考えられる.
は,Magnesio−Homblendeであり,それらの化学組成
このような鍵層Okの特徴から,三浦半島南部にお
領域は,ほぼ同一である(第17図).また,陽イオン置
いて対比が比較的困難であった菊名(C),および金田
換の関係は鍵層Ok(Ok4)の場合と同様で,化学組成
(D)(第5,6図)の鍵層Okの対比が可能となる.
の変動は主にFe3+とそれに対応するAFの変化によ
菊名(C)でOkと同定された鍵層は,Ok1∼Ok3お
る(第18図).
鍵層Soに含まれる角閃石のAINは,鍵層Ok
よびOkscoの肉眼的特徴をしめす単層含む.Oksco
層は火山ガラスの色からも確認できる.Ok1∼Ok3
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
Amp
109
と指摘している.そこで本研究では,卜部ほか(1990)
による地質図をもとに,蟹江・笹原(1988)が対比を
疑問視している地域の各地点(E∼G)において,
三梨・矢崎(1958)による組み合わせに基づいた対比
をおこない,さらに重鉱物組成・ガラスの形態・
Ok4層に含まれる角閃石の化学組成についての検討
ごフ・
50
をおこなった.その結果,この地域の鍵層Okは,鍵
層Okとしての特徴(重鉱物組成・ガラスの色)をす
50
▲D
べてみたしており,さらに,金谷(E)の鍵層Okは,や
0孟2 ★♂D
や粗粒で各単層が一体となっているがこのうち角閃石
は,相川(1),稲子沢(J)における鍵層OkのOk4層に含
0左3
まれる角閃石とほぼ同一の化学組成をもっている(第
0’1
Cpx
50
15,16図)ことが明らかになった.これらからこの地
Opx
第19図 金田(D)のOkscoより下位の単層に関する重
鉱物組成ダイアグラム▲印のものは★印のも
のより下位
域の鍵層Okは,他の地域と同様に鍵層Okとして対
比できることを確認した.さらに,稲子沢泥岩層の模
式ルート(志駒川)にそって作成した稲子沢泥岩層全
層準の1/50実測柱状図でも,鍵層Okの特徴をもつ
の重鉱物組成も他の地域のものと同様の特徴を示す.
組み合わせが他に出現しない*ことからも鍵層Okを
しかし,層序的にOk4に相当するゴマシオ状凝灰岩
単層の組み合わせとして扱うことの正当性が確認でき
は,重鉱物組成がOpx:Cpx:Ampニ58.0:42.0:0で
る.
角閃石が含まれず,このことからより上位のOk5∼
また,後述するようにこの地域では,上位100∼150
Ok7(Opx:Cpx:Amp=54∼64:35∼45:0)に対
mにある凝灰岩が鍵層Hkとして対比され追跡される
比される可能性が大きい.したがって本研究では,菊
ことから,Ok−Hk層準として一連の対比が可能であ
名(C)での鍵層OkはOk4が欠如したものとして第5
る.したがって,蟹江・笹原(1988,1990)の結果は,
図に示してある.後述するように,鍵層Okの上位の
鍵層Okの同定に問題があるものと考えられる.
凝灰岩層が鍵層Hkに対比されることから,本地域は
Ok−Hk層準として対比される.
Hk:鍵層Hkは,三梨・矢崎(1958)により三浦・房
総半島において対比され,三梨・矢崎(1968),三梨ほ
さきに述べたように,金田(D)で鍵層Okと同定され
か(1979)により詳細に追跡されている.さらに平田
た鍵層は,周囲の粗粒砂岩がクロスラミナを示すこと
ほか(1984)により構成鉱物の量比,EPMA分析によ
から,鍵層を構成するゴマシオ状凝灰岩も堆積時の混
る各鉱物の検討がなされ三浦・房総半島における対比
入の影響を受けていると考えられる.本鍵層は粗粒な
が確認されている.このため本研究では重鉱物組成に
パミスが多く重鉱物が少ない傾向を示し,単層の肉眼
よる鍵層Hkの広域的な対比の有効性を検討した.
的特徴づけが困難である.しかし,火山ガラスの色か
菊名(K)の鍵層Hkは,平行ラミナが発達しておりパ
ら,Okscoが決定される.また,Okscoの下位で層序
ミスの割合が多いが,重鉱物組成は他地域の鍵層Hk
的に区分される2枚の単層の重鉱物組成を他の地域の
と一致している.
ものと比べると,単斜輝石が10%程度少ないが,Ok2
金田(L)の鍵層Hkは,粗粒砂岩中に挟在しているた
およびOk3の領域に近い(第19図).したがって,よ
め,層序的な組み合わせば他の地域と一致するが,堆
り下位の単層をOk2に,より上位の単層をOk3に対
積時の影響を強く受けているため,粗粒なパミスが多
比できる.このようにして決定したOk2,0k3,
く重鉱物がきわめて少ない.また,重鉱物組成は,他
Okscoとその層序的組み合わせによって,本地域の鍵
の鍵層Hkと比較すると角閃石の割合が少ない.すで
層を鍵層Okに対比することが可能である.
に述べたように下部(Hk1)から,ラミナ構造を示す
蟹江・笹原(1988)は,房総半島西部地域(本研究
のE∼G地点)(第4図)の鍵層Ok・Hkについて重
鉱物等の比較から他の地域の鍵層Ok・Hkと異なる
*鍵層Okの上位5∼30mに類似した組み合わせをもつものがあるが,
各単層の肉眼的特徴と重鉱物組成が異なる.“鍵層Om”として追
跡可能.
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
110
上部(Hk3)になるほど角閃石の割合が減少する傾向
灰岩層を多産する三浦・房総半島地域ではそれらの単
がある.このことから,堆積時の影響により,含まれ
層の組み合わせによる対比が有効であることが確認さ
る角閃石の割合が減少していることが示唆される.ゆ
れた.また,それぞれの鍵層について三梨・矢崎(1958,
えに,金田(L)における鍵層Hkの角閃石の割合が少な
1968)および三梨ほか(1979)による対比を支持する
い原因は,堆積時の影響を強く受けたためと考えられ
結論を得た.これにより,蟹江・笹原(1990)による
る.
提案は不適当である.
金谷(M)については,各層の重鉱物組成が一致する
鍵層の重鉱物組成は,偽層した場合を除き岩相によ
ことから,鍵層Hkとして対比できるが,層厚が厚く
る影響を受けにくく広域的な変化が少ないことから対
なっている.
比に有効な要素であると考えられる.特に鍵層Okに
その他の地点では,多少の層厚変化はあるが層序的
ついては構成する各単層が肉眼的特徴によって対比で
組み合わせと重鉱物組成の検討によって対比が可能で
きない場合でも重鉱物組成の検討によって対比が可能
ある.
となる.実際の野外における鍵層Okの同定に際して
菊名(K)から約50㎞離れた勝浦(P)までは,ガラ不の
は,各単層の肉眼的特徴とOk4の鉱物組成の特徴(粗
形態には,多少のばらつきがみられる(第12図)が重
粒の角閃石を多く含み,肉眼で識別できること)が有
鉱物組成はほとんど変化していない.
効な指標となる.今後,鍵層によって決定された層序
よって鍵層Hkについて各地点の層序的組み合わせ
に基づいて,岩相や層厚の変化する地域での堆積環境
による対比(第6図)と重鉱物組成(第11図)から三
を復元し,堆積盆地の形成過程を検討する必要があ
浦半島から房総半島東岸までの対比が可能である.
る.
文
So:三梨・矢崎(1968)や小玉ほか(1980)によって
献
三浦半島南部において詳細に追跡され,その後多くの
研究(堀内・谷口,1985;笹原・蟹江,1987など)に
赤坂正秀・山口佳昭,1988:EPMAオフライン定量
より,重鉱物組成・構成鉱物の化学分析がおこなわれ
補正計算プ・グラムの改良.島根大学地質学研究報
対比されることが確認されている.本研究では,柱状
告,7,85−90.
図を用いてゴマシオ状凝灰岩とスコリア凝灰岩の組み
BENcE,A.E.and ALBEE,A.L.,1968:Emprical
合わせによる対比をおこない,重鉱物組成・角閃石の
correction factors for the electron microanalysis of
化学組成・火山ガラスの形態を検討した.その結果は
silicates and oxides.10z4〆.Gθol.,76, 382−403.
すでに述べたとおりで,これらから各地点の鍵層So
平田大二・相原延光・猪俣道也,1984:三浦層群中の
は,同一のものとして対比できることを確認した.
鍵層の構成鉱物.日本地質学会第91年学術大会講演
ま
要旨,137.
と め
堀内一利・斎藤京子,1982:三浦半島南部,三浦層群
三浦・房総半島における上総層群・三浦層群をはじ
における凝灰岩鍵層の重鉱物組成.日本大学文理学
めとした地域には,多くの凝灰岩層が存在し,鍵層と
部自然科学研究所研究紀要,17,47−58.
して追跡され層序の組み立てのほか地質構造とその発
・谷口英嗣,1985:三浦半島南部,三浦層群
展過程を解明する1つの手段とされている.しかし,
の凝灰岩鍵層の対比に関する基礎的研究.日本大学
その数の多さゆえに対比に際しては,さまざまな特徴
文理学部自然科学研究所研究紀要,20,11−31.
をもつ単層の層序的組み合わせにより対比されてき
IMA,1978:Nomenclature of amphiboles.ノ4解.
た.しかし,これまでの鍵層としての凝灰岩層の研究
mn.,63∫1023−1052;Cαn.M∫n.αn4ル1∫n.
では,この組み合わせを重視した検討と鉱物学的手段
〃αg.,42,533−563.
による検討がなされていない.今回,三浦層群の代表
蟹江康光・笹原由紀,1988:凝灰岩鍵層による三浦層
的な鍵層Ok・Hk・Soについて柱状図による対比・
群の対比一三浦・房総両半島地域一.日本地質学会
重鉱物組成・ガラスの形態による検討をおこない構成
第95年学術大会講演要旨,50.
鉱物の一部について化学分析を行った.その結果,三
・ ,1990:三浦半島と房総半島中部
梨・矢崎(1958)が肉眼的特徴によって区分した各単
の三浦層群の層序.日本地質学会第97年討論会講演
層は,重鉱物組成によっても特徴づけられること,凝
要旨,19−20.
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
111
KAwAKATsu, K. and YAMAGucHI, Y., 1987
川地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1図
Successive Zoning of amphiboles during progres−
幅),地質調査所,107p.
sive oxidation in the Daito−Yokota granitic
岡田尚武・斎藤和男・金子 満,1990:三浦層群の石
complex,San−in belt,southwest Japan.Goo6h肋.
灰質ナノプランクトンと凝灰岩鍵層のK−Ar年代.
Cosηzooh∫ηz./lo護α,51, 535−540.
日本地質学会第97年討論会講演要旨,23−24.
小玉喜三郎・岡 重文・三梨 昂,1980:三崎地域の
RocK,N.M.S.,1987:A FORTRAN program for
地質.地域地質研究方向,(5万分の1図幅),地質
tabulating and naming amphibole analyses
調査所,38p.
according to the Intematioml Mineralogical
三梨 昂,1990:関東堆積盆南部のシンセディメンタ
Association scheme.ル1∫nθ〆α1.Pθぴol.,37,79−88.
リー・テクトニクス.地質学論集,34,1−9.
笹原由紀・蟹江康光,1987:新第三系三浦層群に挟在
・奈須紀幸・楡井 久ほか,1976,1979:東
する凝灰岩鍵層の鉱物組成.横須賀市博物館報告
京湾とその周辺地域の地質.特殊地質図(20),地質
(自然科学),34,29−37.
説明書,地質調査所.
STouT,」.H.,1972:Phase petrology and mineral
・矢崎清貫,1958:火砕鍵層による房総・三
chemistry of coexisting amphiboles from
浦両半島の新生代層の対比(第1報).石油技誌,
Telemark,Norway./.Pαプol.,13,99−145.
23, 16−22.
ト部厚志・佐目元昭・秋山晋二・椿 和弘・山内靖喜
・ ,1968:日本油田・ガス田図6,
・三梨 昂,1990:房総半島半島中部西岸・浦賀水
三浦半島(1:25,000).地質調査所.
道地域の第三系の地質構造.地質学論集,34,31−
村井 勇,1962:凝灰岩層の粒度組成と鉱物組成の均
44.
一性について.地震研究所彙報,40,333−355.
吉川周作,1976:大阪層群の火山灰層について.地質
中嶋輝允・牧本博・平山次郎・徳橋秀一,1981:鴨
雑,82,497−515.
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
112
第1表鍵層Okの鉱物組成
採集地点 鍵層
A 久里浜 Ok4
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
B 佐 島 Ok4
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
C 菊 名 Ok5
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
D 金 田 Oka
@ Okb
@ Okc
@ Okd
@ Oksco
@ Ok3a
@ Ok3b
@ Ok2
E 金 谷 Ok4
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
@ 0kO
F 奥山川 Ok4
@ 0ksco
@ Ok3
@ ,0k2
@ 0k1
G 上白狐 Ok4
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
H 下白狐 Ok4
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
1 相 川 Ok4
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
J 稲子沢 Ok7
@ 0k6
@ 0k5
@ 0k4
@ 0ksco
@ Ok3
@ 0k2
@ 0k1
F
26.3
Q0.1
Q8.6
P8.3
Q4.4
42.7
Q7.0
R1.4
Q4.4
S4.4
39.8
P9.3
S7.9
S3.8
S1.6
24.9
Q8.3
Q9.1
R4.7
Q4.8
R0.9
R0.9
Q9.8
45.2
Q8.7
Q8.5
S9.4
T6.3
Q4.8
37.9
Q8.8
T7.3
U0.7
U3.3
33.4
Q2.7
R3.9
R4.3
S2.0
32.7
Q0.4
R7.7
R1.2
R3.1
56.1
Q0.4
T3.8
S5.2
R7.7
42.3
T5.7
S7.5
T9.6
Q0.4
S0.9
R8.7
T0.4
G1
H.H
45.4
U7.2
R9.5
T8.5
T4.8
19.3
T2.8
R0.1
S0.0
P6.6
19.2
V4.5
Q3.3
R5.5
Q8.7
63.9
U2.2
T6.5
T1.9
U1.1
S9.0
T3.0
T1.8
27.6
U1.2
T7.8
Q7.5
P6.7
U2.0
15.9
U1.1
P8.0
Q4.8
P4.0
26.0
U6.4
S1.8
S2.3
R6.0
24.3
U7.5
R3.9
R9.7
T5.9
14.6
V1.0
Q1.8
R7.8
R8.2
26.7
P5.7
R0.0
P4.3
U6.6
R6.4
S3.7
Q0.7
26.9
P1.8
R1.2
Q2.9
P9.7
36.9
P8.7
R7.3
R4.7
R4.2
39.9
T.3
Q7.9
P8.7
Q4.8
10.7
X.1
P4.1
P2.9
P2.1
P9.5
P5.4
P7.1
25.9
X.5
P3.3
Q1.3
Q6.4
P2.4
41.0
X.7
Q3.0
P4.2
Q1.1
39.5
X.7
Q3.0
Q2.0
P7.2
42.4
P1.9
Q7.3
Q8.6
P0.7
28.4
V.8
Q3.6
P6.1
Q2.9
26.6
Q4.6
Q0.2
Q5.9
P2.4
Q1.8
P6.9
Q4.6
ot.
1.4
O.9
O.7
O.3
P.1
1.1
P.5
P.2
O.9
S.8
1.1
O.9
O.9
Q.0
S.9
0.5
O.4
O.3
O.5
Q.0
O.6
O.7
P.3
1.1
O.6
O.4
P.8
O.6
O.8
5.2
O.4
P.7
O.3
P.6
1.1
P.2
P.3
P.4
S.8
0.6
O.2
P.1
O.5
O.3
0.9
O.8
O.8
O.9
P.2
4.4
S.6
Q.3
O.2
O.6
O.9
O.7
S.3
Opx
Cpx
Amp
Zr
33.0
V2.5
S9.6
S9.2
S6.2
20.7
T5.3
R5.0
S3.5
S7.8
49.7
R3.3
T3.2
S2.7
T1.7
71.9
S5.6
U0.8
V0.5
T2.8
U0.3
T6.7
T1.3
23.7
S9.0
S5.0
R9.6
R9.3
T1.6
24.2
V0.3
S9.4
R4.4
S9.3
27.2
U4.7
S2.6
T0.4
S1.1
28.1
S8.4
R2.8
R3.0
S5.5
23.9
S8.2
S7.7
S5.0
S7.2
47.5
T1.3
T4.1
R1.9
T1.9
S6.4
S6.7
T2.8
19.5
P7.4
Q8.0
P7.7
T0.6
23.8
Q6.3
R4.0
Q0.0
S0.3
36.0
S7.4
R2.0
S0.0
R5.6
44.4
S4.4
Q2.8
P8.9
Q6.0
P0.9
P6.4
40.4
7.1
Q.9
Q.9
V.7
Q.0
9.6
W.8
21.9
Q6.0
Q3.8
P9.8
R9.3
R2.8
19.0
P9.8
Q5.1
Q7.0
R6.4
13.5
R0.3
Q5.8
P9.1
S5.8
13.8
S3.8
Q2.6
Q4.8
R8.5
20.3
S1.0
Q8.2
Q1.1
S5.2
39.6
R8.4
R0.3
Q1.8
R3.3
Q9.2
Q7.3
S0.4
V.2
P9.6
Q5.4
P.2
46.0
S.1
P9.3
Q5.1
Q.0
0.0
W.8
U.5
X.2
P.1
1.3
O.0
X.5
P.6
V.1
P4.3
P1.8
P1.5
P0.0
14.6
P0.5
W.3
W.1.
P1.7
2.0
P0.0
V.0
X.0
P4.2
Q5.9
Q1.1
R4.7
45.2
Q0.2
Q7.8
R4.1
Q.9
T.8
S.7
9.3
S.8
R.3
U.5
T.2
S.1
P6.6
P1.5
47.7
Q1.0
R1.3
9.0
V.2
S.5
V.4
Q.2
P2.0
55.0
4.3
R.9
U.1
R.8
Q.7
O.1
Q5.4
T.9
Q.2
P0.9
S.7
2.4
R.1
R9.4
R7.4
T.2
S.8
T.6
P0.5
51.1
4.6
W.4
T.6
55.7
Q.4
P8.3
Q1.1
P2.9
Q.4
0.0
O.0
O.0
12.8
P0.3
P5.7
S1.3
V.4
Q2.5
Q2.4
P.3
T.2
S.9
V.4
P.9
R.6
T.5
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
113
第2表鍵層Okのガラスの形態
cl:無色,br:うす茶色,
採集地点 鍵層
A 久里浜 Ok4
Oksco
nk3
Ok2
Ok1
B 佐 島 Ok4
Oksco
nk3
Ok2
Ok1
C 菊 名 Ok5
Oksco
nk3
Ok2
Ok1
D 金 田 Oka
Okb
Okc
Okd
Oksco
Ok3a
Ok3b
Ok2
E 金 谷 Ok4
Oksco
Ok3
Ok2
Ok1
OkO
F 奥山川 Ok4
Oksco
Ok3
Ok2
Ok1
G 上白狐 Ok4
Oksco
Ok3
Ok2
Ok1
HA
HB
1.4
2.2
S.0
3.0
3.7
4.2
0
Q.3
0
1.6
1.9
1.4
2.1
0.9
0
3.1
6.0
0
0.8
0
0.8
5.6
1.8
0.9
0.5
0.5
1.0
3.9
1.9
4.0
0.4
0.9
0
7.7
Ok3
Ok2
Ok1
0
5.2
3.9
0.9
2.7
Oksco
Ok3
Ok2
Ok1
J 稲子沢 Ok7
Oksco
nk3
Ok2
Ok1
1.1
0
0
0
0.9
9.8
1.5
0
6.2
W.8
7.8
4.9
10.9
11.9
10.1
14.5
3.1
5.6
10.0
3.2
10.5
17.1
14.7
21.9
16.4
14.5
4.2
16.2
16.2
17.2
23.1
7.6.
5.8
4.0
2.7
5.3
6.8
4.4
6.8
11.8
11.2
16.7
17.9
7.2
7.3
9.8
8.2
22.8
11.2
12.6
00
Ok6
Ok5
Ok4
7.9
8.6
8.1
2.4
X.1
4.1
1.9
3.1
S.6
5.2
2.3
0
11.1
1 相 川 Ok4
10.5
P5.4
0
H 下白狐 Ok4
Oksco
9.4
0
0.4
7.0
S.2
11.3
10.5
CA
52.4
28.5
S6.6
44.4
45.3
25.1
12.3
S4.8
29.4
25.8
53.7
39.8
T3.4
70.3
54.3
39.3
39.4
39.2
41.2
34.1
35.6
41.2
30.9
60.3
51.3
58.0
39.5
58.0
41.2
47.4
23.4
52.3
37.9
45.4
34.1
26.3
47.1
46.2
40.6
37.0
25.6
44.4
30.7
53.0
59.3
29.8
60.8
59.1
70.3
58.8
37.7
40.1
52.4
24.8
T4.4
56.1
58.8
CB
2L2
10.1
P4.6
10.6
4.9
12.4
8.1
P6.8
15.6
13.6
25.3
14.5
Q0.6
16.4
18.0
23.7
16.2
14.3
22.6
5.9
18.1
16.8
23.2
16.5
18.2
9.8
TA
9.4
30.7
P2.1
10.5
6.6
23.9
44.4
28.7
P2.2
14.1
43.7
14.4
18.7
U.9
5.6
9.8
16.3
23.8
23.2
19.9
22.0
13.6
8.8
12.2
10.1
9.3
7.8
11.6
10.2
7.1
13.7
22.6
19.9
11.5
32.8
6.4・ 26.1
10.2
15.2
10.5
12.5
5.4
21.2
18.8
24.2
7.7
29.7
30.2
21.1
21.1
17.0
16.4
28.5
15.7
16.6
7.4
21.1
16.0
15.6
29.4
12.3
16.8
14.7
4.1
12.2
4.6
10.7
7.7
16.0
8.5
10.2
4.7
12.6
17.6
18.2
9.1
P6.3
15.5
15.8
TB
6.1
6.1
9.4
20.6
17.2
22.5
15.6
18.6
Q3.3
12.1
12.7
V.3
27.5・
13.6
5.8
30.8
P1.3
31.6
12.7
3.5
6.2
W.0
0
11.4
7.8
7.2
11.0
0.9
19.5
23.7
17.2
30.5
1.7
3.0
9.0
11.2
wine:赤紫色(ワイン色)
TO
0
7.5
@ 0
0
0
0
17.5
P.2
0
0
0
14.5
@ 0
0
0
0
0
0
0
5.2
0
0
0
0
1.1
0
0
0
0
3.1
0.9
2.1
1.6
17.0
21.6
5.1
0
0
0
0
18.0
3.1
11.2
10.8
11.7
13.0
1.4
12.8
23.3
12.0
11.8
3.4
5.0
9.5
8.2
19.3
0
0
0
0
18.1
0
0
0
0
26.3
color
c1
c1;ot,wine
モP
cl
c1
c1
c1−br;ot,win
モP
c1
c1
c1
cl;ot,wine
モP
c1
c1
c1
c1
c1
c1
br;ot,wine
c1
cl
c1
c1
c1;ot,wine
c1
c1
c1
c1
c1;c1−br
br−c1;ot,wih
c1
cl
c1
c1
c1−br;ot,win
c1
c1
c1
c1
c1−br;ot,win
c1
c1
c1
c1−br
br−c1;ot,win
c1
c1
c1
c1
c1
c1
c1
br−c1;ot,win
0.4
9.0
0
7.1
1.3
0
0
0
0
0
0
0
19.4
21.1
P.9
@ 0
モP
5.0
1.8
0
0
cl
c1
19.0
卜部厚志・赤坂正秀・三梨 昂
114
第3表 鍵層Hk・Soの鉱物組成
採集地点 鍵層
@ So1
34.8
45.4
T5.8
55.1
T1.0
26.2
24.6
Q4.0
24.0
R3.0
41.2
S3.8
S3.7
82.7
22.3
R2.1
R7.4
58.0
T2.4
Q6.4
45.0
S9.2
S4.5
32.0
R8.8
T3.7
H.H
19.7
U.3
U.1
3.6
Cpx
Opx
other
3.3
P.4
O.4
31.7
Q2.4
Q2.7
12.5
P7.9
P8.4
18.2
P4.6
P6.3
30.4
Q5.6
P5.5
1.2
P.1
O.8
0.4
1.8
O.8
O.5
0.5
O.3
P.7
2.5
Q.2
O.4
1.9
O.9
O.7
21.0
Q1.3
P6.9
25.5
32.3
Q7.9
Q7.2
18.8
P5.5
37.3
28.7
P9.1
19.1
P5.1
0.8
1.4
P.9
1.9
O.9
9.1
5.8
S.0
3.6
P.8
10.1
3.4
P.7
R.5
4.3
R.3
O.5
1.5
P.8
T.8
25.0
P3.3
P4.3
25.0
Q4.0
P9.5
P.1
4.7
P.5
R.1
Amp
Zr
72.9
V6.0
W1.8
55.4
63.0
U9.4
U7.1
69.6
V6.8
X2.6
67.6
V9.6
V9.4
66.5
V2.4
V6.1
2.8
P.4
O.8
9.0
1.3
P.3
Q.2
5.9
V.3
T.1
3.8
Q.2
P.3
00
00
Q 荒 崎 So1
R 諸 磯 So2
@ So1
S 城ヶ島 So2
G1
3.6−4.41.1
K 菊 名 Hk3
@ Hk2
@ Hk1
L 金 田 Hk1
M 金 谷 Hk3
@ Hk2
@ Hk1
N 稲子沢 Hk3
@ Hk2
@ Hk1
0 香木原 Hk3
@ Hk2
@ Hk1
P 勝 浦 Hk3
@ Hk2
@ Hk1
F
37.9
R5.4
R2.2
13.3
44.2
S4.7
R9.5
29.1
Q9.5
T4.1
34.4
R4.0
R8.8
35.7
R4.6
R0.0
1.3
89.2
89.4
X1.4
96.3
X2.2
0.2
4.5
S.6
3.1
U.0
第4表 鍵層Hk・Soのガラスの形態
cl:無色,br うす茶色
HB
CA
K 菊 名 Hk3
9.1
6.8
9.8
21.9
10.2
14.9
L 金 田 Hk1
M 金 谷 Hk3
0
17.4
5.7
0.3
3.9
0.9
6.5
採集地点 鍵層
Hk2
Hk1
Hk2
Hk1
N 稲子沢 Hk3
Hk2
Hk1
0 香木原 Hk3
Hk2
Hk1
P 勝 浦 Hk3
Hk2
Hk1
Q 荒 崎 So1
R 諸 磯一So2
So1
S 城ヶ島 So2
So1
HA
5.5
3.1
2.4
2.9
1.0
5.8
17.1
14.0
29.7
36.8
20.9
58.9
30.8
39.3
35.5
31.6
29.0
43.3
15.1
21.7
41.7
20.4
33.0
30.0
3.8
0.7
3.4
3.3
1.3
8.2
6.5
8.4
8.6
9.0
34.0
47.8
39.5
37.7
39.2
1.6
22.5
13.5
3.5
7.0
2.3
5.7
9.8
8.7
8.4
4.8
CB
6.5
9.4
11.1
16.3
13.0
21.4
21.3
4.4
20.6
18.4
4.5
9.8
14.6
10.2
16.7
12.3
22.6
TA
TB
15.9
15.8
19.9
17.4
21.1
23.4
9.8
8.3
8.5
7.9
5.2
14.8
17.8
42.5
37.4
18.0
36.7
29.9
13.8
33.6
24.5
16.7
7.2
1.7
7.6
8.8
5.3
17.2
30.7
20.8
8.2
color
TO
13.1
21.1
25.6
18.9
24.5
20.1
21.2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
c1
c1
c1
c1−br
c1
c1
c1
c1−br
c1−br
cl−br
c1
c1
c1
c1
c1−br
c1
24.2
19.9
22.6
14.3
19.2
0
0
0
0
0
c1
c1
c1
c1
c1
21.6
10.5
4.8
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
115
第5表鍵層Ok(Ok4)の角閃石の化学組成
*Magnesio−Homblende
金谷0 k(Ok4)
相川O k
(Ok4)
C(wt.%)
Sio2
A1203
Fe203
FeO
HgO
CaO
Na20
K20
Tio2
47.34
46.85
47.16
46.72
6.68
6.96
6.76
6.61
6.55
5.15
4.56
5.06
6.82
6.41
8.26
8.59
8.65
10.32
10.09
10.19
14.82
10.98
14.88
14.56
14.47
11.13
14.76
Fe2卜
Hg
Ca
Na
K
Ti
㎞一 一 { 一 一 一 一
6.01
6.45
6.50
4.46
4.83
4.97
48.29
10.22
9.61
14.76
11.15
10.66
13.76
10.96
10.95
11.01
14.48
11.17
1.53
1.59
1.43
1.49
1.57
1.51
1.49
1.41
1.49
0.25
0.29
0.25
0.25
0.23
0.25
0.26
0.22
0.31
1.39
1.65
1.62
1.66
1.58
0.44
98.37
23.00
6,874
1,187
0,497
1,163
3,185
1,729
0,446
0,054
0.36
0.038} 一 一 一 哨 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 r 雫 _ _ _ 一
1.40
1.33
1.51
0.50
0.50
0.34
@ 98.24
98.16
98.15
23.00
23.00
23.00
6,792
6,997
7,004
1,196
1,024
1,028
0,711
0,488
0,528
1,052
1,256
1,225
3,155
3,140
3,131
1,715
1,741
1,731
0,426
0,420
0,397
0,046
0,048
0,041
0,177
0,153
0,145
0,044
0,062
@ 15.29
P5.31
P5.33
3,214
1,700
0,441
0,043
0,181
0.048一 一 『 一 一 輯 一 一 一 一 一 一 艸 一 一 { _ _ _ _ _
98.46
23.00
6,979
1,099
0,432
1,231
3,180
1,727
0,418
0,057
0,164
0,042
P5.33
0.061『 一 一 } 一 一 『 一 』 一 一 一 一 一 噂 一 一 _ _ _ _
*
*
*
*
0,046
0,177
0,044
@ 15.32
P5.31
*
*
*
Name
1.62
一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 岬 一 一 一 一 _ _ _ _ _ _
98.38
23.00
6,834
1,119
0,699
1,041
*
1,299
2,990
1,712
0,404
0,046
0,173
0,054
P5.29
98.06
23.00
6,811
1,133
0,746
1,005
3,212
1,710
0,420
1L15
0.36
0.39一 } 一 一 一 『 一 』 一 一 一 一 一 一 一 _ _ _ _ _ _
98.24
23.00
6,900
1,161
0,555
0,152
0,180
0,044
@ 15.35
P5.32
*
sota1
48.25
6.98
48.10
5.97
14.18
11.03
98.32
23.00
6,908
1,145
0,564
1,243
3,073
1,718
0,431
0,046
A1
Fe31
C(wt.%)
47.49
0.31} 一 } 一 一 一 岬 一 一 一 一 一 一 一 一 噌 _ _ 一 _
Tota1
0
Si
(Ok4)
47.52
0.36
HnO一 一 一 } 一 一 一
稲子沢O k
C(wt.%)
第6表 鍵層Soの角閃石の化学組成
*Magnesio−Homblende
諸磯
Sio2
A1203
Fe203
FeO
MgO
CaO
Na20
K20
Tio2
MnO一 一 一 一 一 一 _
sotal
0
Si
A1
Fe3七
Fe21
Mg
Ca
Na
K
Ti
S o
城ケ島
C(wt.%)
46.73
47.00
45.41
46.23
47.58
47.15
47.75
47.30
7.12
7.12
8.51
7.56
7.09
7.05
6.42
6.97
45.60
8.67
5.01
5.26
5.81
6.09
5.29
5.97
5.59
4.97
5.02
10.02
14.23
10.77
9.24
8.56
8.66
8.55
5.17
9.52
8.73
9.22
8.60
8.79
14.53
10.78
14.45
10.97
14.44
10.83
14.93
10.80
14.38
11.02
14.79
10.69
14.46
10.93
14.55
11.05
14.33
11.06
45.54
8.74
1.43
1.52
1.79
1.56
1.41
1.42
1.34
1.36
1.72
1.69
0.86
0.36
0.38
0.38
0.34
0.41
0.35
0.37
0.41
0.37
1.49
1.70
2.09
1.68
1.51
1.55
1.36
1.55
2.12
0.35
0.39
0.37
0.44
0.40
0.37
@ 98.32
X8.00
X7.90
23.00
23.00
23.00
6,833
6,840
6,598
1,227
1,221
1,457
0,551
0,576
0,635
1,225
1,124
1,040
3,102
3,152
3,130
1,687
1,681
1,708
0,405
0,429
0,504
0,160
0,067
0,070
0,164
0,186
0,228
0,043
0,048
@ 15.41
P5.40
P5.32
X7.80
23.00
6,744
1,300
0,668
1,057
3,140
1,693
0,441
0,071
0,184
0,046
P5.34
X7.94
23.00
6,888
1,210
0,577
1,035
3,222
1,675
0,396
0,063
0,164
0,054
P5.28
0.35一 } 一 一 一 一 『 一 一 一 『 一 一 』 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 _ _ } _ _ _ _
0.043一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 『 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
0.41
0.43『 一 』 一 一 』 一 一 『 一 一 一 一 { 一 一 一 一 一 _ _ } _ { _ _
2.12
0.40一 一 『 一 ∼ 一 一 _
X8.05 @ 98.08
23.00
23.00
6,626
6,622
1,485
1,498
0,543
0,549
1,045
1,069
3,152
3,107
1,719
1,723
0,485
0,476
0,076
0,069
0,232
0,232
0,046
P5.41
P5.39
0.049一 『 一 一 一 一 一 } 一 一 } 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 { _ _ _ _ _ 一 _
0,049 一 一 一 一 一
*
*
*
*
@ 97.84
X8.06
X8.15
23.00
23.00
23.00
6,858
6,936
6,866
1,209
1,099
1,196
0,566
0,653
0,611
1,157
1,061
1,119
3,118
3,208
3,129
1,717
1,664
1,700
0,400
0,377
0,383
0,076
0,065
0,069
0,170
0,149
0,169
0,051
0,053
@ 15.29
P5.32
P5.26
*
*
*
*
*
*
sota1
Name
S o
C(wt.%)
三浦層群における火砕鍵層の対比についての基礎的研究
第1図版
巌難
購
竃
轟
嚇慧
難
饗・
轍講
一審 1,艦
@ @ @ @ @ @譲
麺翔灘
騨
@ 翻
糠
@甑
晒議懇灘撚翅
繍
B 蕪
欝 塾
籔 灘
鎌、.籔
灘叢麗馨
@ @騰
轡鑛 嚢
麟
鎌
鱒
縷醐藤蝦鴻
灘獅 ・麟一、㈱
灘
・一,饗一一
幾,慈
悼嚢・
1:偏平型ガラス,2:多孔質型ガラス,3:中間型ガラス,4:特殊型ガラス,Scale bar:0.1mm
醤