アウトソーシング特集❷ 医薬品開発における技術移転の課題 初期開発から商業化まで Challenges in Knowledge / Technology Transfer in Drug Development from Early Development Stage to Commercial パセオン株式会社 アニール・カーネー ANIL KANE, Ph.D., MBA Executive Director, Global Head of Formulation Sciences, Pharmaceutical Development Services, Patheon Inc. あ はじめに ,重要 見 今日 激 い競争市場 う く効率的 迅速 技術移転 重要 あ い ,企業 目的 重要性 い ,提携 く初期 革新的 極 弁理士 協議 達成 影響 理解 役割 失 移転 ,大学 物質 開発 , 化学者 業化 。 進 生 研究者チー 特許化 移転 重要 研究室 臨 創薬研究者 次 資金提供者 極 コンセプ や 文書化 1.技術移転とは? ョンプロセ 段階 。例え 床医や医薬品分野 。 ー ,医薬品開発 果 知的財産 ュニ 。技術移転 呼 先 コ 移転 。 企業 所有者/ ,企業 情報 ,初期創薬段階 使 候補 臨床試験 経 商 製造管理戦略 プ 2.技術移転の目標 ・技術移転 商業生産 重要 成功 ・ 製薬分野 技術移転 ,分析技術/方法 技術的 関 薬品製造工場,研究所 経験 学 全性 い 遵守 ー 産,商業化 ,プロセ いう。 ,研究者 科学者,化学者 ロセ 価値 技術移転 保護 複数 段階 関 ,進歩 1 ,一定 ・厳 ー ,継続的改善 造 製品/プロセ 達成 あ い い プロセ ータ 。 ータ , ー 確認 一定 間 ン ップ時 適切 調 。 ,技術移転活動 ,開発部門 内 /分析法 。 設定 ICH Q102 達成 必要 構築 取 管理 内 整 い や 適切 ・開発段階 。 作業 。 基 間 い商業生産環境 設計,開発,生 移転過程 製造部門 知識 変動 知的財産,成果物,プ 重点 あ 成果 あ , 適格性確認方法 ・開発部門 前提 ,基礎/応用研究 集 。 ,両者 有効性,品質,安 規制要件 い製品や 受容者 医 あ , 。技術移転 新 移転 理解 関 ロセ 科学的情報,経験,能力, ,提供者 技術センター ップ 知識 ,医薬品,製薬プロセ 導く開発 目標 製造部門 製品 製品実現 間, 製造プロセ Vol.30 No.11 2014 び製 関 23 23(211₇) 医薬品開発における技術移転の課題 アウトソーシング特集❷ 知識 移転 あ 管理戦略,プロセ 基礎 。 知識 ー 製造プロセ 初期開発から商業化まで , 4.技術移転の基本要素 ョン手法,継続的改善 。 技術移転 3.技術移転はなぜ重要か? ・製薬企業 ,競争力 ップ ・キ ッ 維持 強く求 ロー プ ン 維持 必須 あ 。 ・開発プロセ 生 事業 再投資 ,新薬候補 速や ,例え , 効率的 方法 短縮 場合,技術移転 含 原薬/製剤開発 傾向 あ 。 ,一部 コ ,製造 あ ー 他 コ 不明確 遅 ・技術移転 不備 1/3 成否 両当事者間 質 ] 選定 や医 移転先 ,開発中 研究者 ー ョン ,企業間 明確 不十分 進 非常 中 あ や人 持 経験,人 あ あ ソ 。 ,誰 見 文書化 い 表 , や体系的 情報 。明示的情報 ー ータ 数値化 手順書,普遍的 原理 。 保存 い あ ー 。機械 ータや事実 あ 形 関 ータ ,容易 わち, 伝 ー 文書化 情報,プロセ 分析 人 ータ 情報 数値化 , 言葉や数字 説明, ー 解釈,結果や所見 説明 。 情報/知識 4種類あ 。 移転形式 い ,図 以下 解説 , 大 い 暗示的情報 暗示的情報へ 社交 会議や話し合い 暗示的情報 明示的情報へ コンピュータに保存す 報告書を作成す 明示的情報 暗示的情報へ 頭の中 理解す 報告書 学ぶ 明示的情報 明示的情報へ 情報を伝達す 報告書をメール 送信す ,製品寿命全体 あ 必 個人的 頭 く情報 。 洞察や直 。 金銭的損失 失う可能性 基 あ ,詳細 い。主観的 。人 人 技術移転 ,開示 円滑 半年遅 難 ,人 明示的情報 移転可能 あ 中 い。暗示的情報 該当 あ 頭 人 出 ープン 。 生 い 感,勘 情報 協議 。 図 24(211₈) い 人 ,形 該当 ュニ あ ュー 利益 必要 い。 ,技術移転 ― 上市 持 ,情報 え,共有 い い ・技術情報 直 ,プロセ 移転可能性 い場合 や 技術移転先候補[製造 望 難 あ 関 生 2 明示的情報 い。 薬品製造受託機関 CMO ・両当事者間 経験 あ 適切 ョン 開発段階 プロセ 情報 言い換え 部分 上昇 開発 ,技術移転 大 ・プロセ , 分析,解釈,推奨 やコ 明示的 。 知識や経験,情報 い 実現 。 見 ュニ 遅 製造プロセ 場合 ・技術的観点 場合 程度 安全性/臨床試 開発期間 技術移転 あ ,暗示的情報 1 暗示的情報 あ 上市 情報 3 文書化 行う 生 開発 重要 分 効率化 ・非効率的 ー 。 出 負い 験 ,新薬開発 い ュ 情報 い Vol.30 No.11 2014 情報/知識の移転形式 示 。 暗示的情報 形 暗示的情報へ 技術移転 ,経験,情報 情報 複数 ,後 可能 明示的情報 ,研究者 人 自分 話 合い 文書化 。例え ,研究者 聞く人々 ンタ 答え 考え 行わ 。 ュー ,分析 話 受 合い や研究者 知識 読 移転 , 転 質問 却 い 持 い 析,傾向,結論 ュータ上 電子的 移転 保存 ータ 観察結果 。 説明 記載 質 移転 行わ 得 大 他 あ 製品 関 含 資産 売 や在籍 可能 あ 。 企業 導出 う 文書 移転 完 成否 業務 文書 。 くい 技術移 組織 移転 多く, く左右 場合 文 。 明示的情報 コン 研究機関 ュー , コン いう。重要 ータ ー /特許権 。 ,所見 関 科 移転 場合 企業 作成 明示的情報へ ュータ上 ,実験 報告書 蓄積 契 電子化 詳細 文書 ,企業 あ ,コン い 人 研究室や民間 ー 学的分析 作成 用い ,文書 。例え セン 情報 ータ,分 ,共有や複製 場合, 。大学 得 や要 あ 報告書 。 研究者 ,所見や 詳細 う タ 全 研究者や個人 あ あ ,文書 書 情報 移転元 場合 い , 明示的情報へ ,解釈 場合,研究者や専門家 説明 個人 わち, 不在 行わ ータや報告書 ,理解 いう。 研究者やチー 。 暗示的情報 文書化 ,分析 技 ,特定 集積 暗示的情報へ ュータ上 知識 発表,説明 う ,研究者 いう形 伝え 実験やプロセ 。 ,研究者 場 コン ,複製 ータ,所見,観察結果,自身 術移転 考えや コ 知識 記載 一個人 別 合 多く見 者 移転 ー 知識 報告書 移転 企業 買収 , , 知的財産権 新 い企業 う 移転 方法 ,あ 買収 知的財産 獲得 場 企業 多い。 。 場合,電子 ータ 新 い所有 。 Vol.30 No.11 2014 25(2119) 医薬品開発における技術移転の課題 アウトソーシング特集❷ 初期開発から商業化まで 2 創薬部門 5.医薬品開発段階と技術移転 前 臨 床 / 原 薬 検 討 pおe︲ foおmulation 部門への技術移転 創薬段階 医薬品 知識 開発プロセ ,創薬段階 生 ,毒性,安全性,臨床的有効性 出 野 充 いく。以下 術移転 い 合成 開発 ,原薬/製剤開発 段階 。系統的 各分 経 形態 拡 ,原薬/製剤開発分野 概説 吸収 技 ,多く 。 動物 用い 原薬 医薬品分野 い 原薬 ー あ 物プロ 実験 ー 特性解析 。 ,プロセ 及ぼ 影響 ロ ボ あ 呼 移転 , あ 必要 重要 あ 適切 安定 ,前臨床/原薬検討部門 , 情報 び安全性 う 確認 基 ,動物試 吸収性 臨床効果 行わ 。 研究者間 情報 や 取 。 い。 実施 多く ップ検討研究室 キ ー 門 け Vol.30 No.11 2014 取得 初期臨床試験 分析部門 切 分析法 実施 重要 情報 使用 剤形 純度 び力価 ,原薬 開発 ー 。製剤研究者 適切 ョン 基 設計 ,製剤化部 行う。一方, 測定 適 行い,安定性評価 治験薬剤形 開発 ,形態,粒度,粒度分布,密度,表面積,湿潤性, 凝集性,流動性 医薬品開発プロセスに 製剤化/分析法開 発部門への技術移転 原薬検討部門 不純 。 図 2₆(2120) 把握 合成 情報 3 前臨床/原薬検討部門 課題,晶 条件 研究者 最 検討 。原薬候補 知識 ,用量設定 示 存在 。 進 医薬品開発プロセ 図 。 判断 把握 ー 行わ 選択 関 行わ 形成,安定 評価 開発/臨床段階 行わ 。 実施可能性, 前臨床安全性/毒性試験 必要 行う あ 確認 結晶多形 転移 発揮 , 場合 詳細 中間体,プロセ 検討,最終原薬 重要 う ーニン 研究者 十分 製造 限 う 合成 合成 発揮 高い原薬形態 験 前述 , 特性 溶解性,安定性,生体膜 結晶形 選択基準 。 , 少量 非常 化学者 , あ 使用 。製造プロセ い 利用 原薬 ,前臨床評価, 少量 使用 開発,最適化 極 合成 極 評価/試験 析溶媒 原薬 毒性試験,安全性/有効性試験 合成 重要 性 ,少量 原薬 ーニン 化学物質 ,次 ボへの技術移転 形態 塩 ,結晶多形 原薬 API 製造サイト/キロラ 創薬段階 原薬 薬効 性,他 1 創薬部門 ー体や塩 各部門間の知識のや い 原薬 物理化学的特性 非常 重要 。原薬 水 び 溶解性や溶解性 あ 対 pH 製剤研究者 露量 役立 対 臨床試験,製剤化検討全体,プロセス開発,分析 ータ , 把握 薬物動態試験 た 技術 関 影響 び 高 改善 溶出性 in vitro ,動物 有機溶媒 影響 溶解性 用い 必要 オ あ 曝 ベ う 判断 法開発,安定性試験,そ 最終的 委託 あ 実施 や社内 能力,委託先 あ 間接費や開発コス い 発業務 。 一部 4 初 期 製 剤 化 / 分 析 法 開 発 部 門 治験薬 識 あ 情報, ータ,観察結果,経験 タ 傾向 極 見極 価 重要 ,解釈 ,次 ス あ た上 ー ップ検討 行わ ,そ 作業内容 評 医薬品開発 開発 ム単位 相試験終了時, ー た 伴い, 何百万キロ単位 ス ップ 他 び臨床試験の外部委託に ける技術 移転 い 。こ う 重複 防 獲得 う,情報/知 失わ こ い 委託先 移転 こ 極 重要 ,pおoof of concepが POC 取得時,第 。後期臨床 ,原薬製造,動物試験, ボタ 重要 企業 ッ 医薬品開発 ,開 委託 た 。 行うこ 。 5 開発 目的 , 医薬品開発に けるライセンス 6. 活動 導入/導出 び提携 こ 基 移転中 ,業務 基 び治験薬GMP/製造プロセス 試験用製剤,市販用製剤 キロ単位 こ 削減 規模 , ー 報告書 。研究者 開発段階 分析 い 外部 ,組織 専門知識 外部 完全 GMP製造施設への技術移転 。企業 提供 た 外部委託 た知識 こ 商業生産 導出 臨床試験 マ ス 行わ 提供 品 対 図3 う,あ 権利 完全 ,Medがおack4 ーン い 移転 成績 達 。小 企業やベンチャー企業 金 良好 得 た時点 ーチャ ,提携先 , オ 探 開発資 大手製薬企業 開発 た ータ 。 一例 あ Vol.30 No.11 2014 ,第 相, 29(2123) アウトソーシング特集❷ 医薬品開発に ける技術移転の課題 初期開発 商業化ま 相, 90 80 NumbeおofDealか い 験 100 70 60 Diかcoveおy 50 Co-Development 40 Maおket/Pおomotion/Diかtおibution AcquiかitionofRightか 30 契 数 , い い い 多 同開発や共同出資 対象 い 。 知的財産,知識 び 提供/所有権 ス契 他 開発品 技術情報 企業 い 製薬企業 。創薬研究や臨床試 開発段階 開発 10 移転 , こ 対 共 資金 う セン 研究結果,毒性試験 ータ, ータ,臨床試験成績,CMC 化学・製造・品質管 Pfizeお Bayeお Roche JNJ GSK AZN Meおck Novaおtiか Eiかai Sanofi BMS Aかtellaか Takeda Abbott Daiichi Lilly Amgen BD 理 研究 ータ 移転 こ 適切 極 合 い 100 PoかtMaおketed わ た上 あ 新 い所有者 。い 紙文書 た 120 文書化 重要 移転 SummaおyofDealかAcおoかかPhaかeか2011-YTD2014 NumbeおofDealか 各段階 示 Licenかe 20 0 相臨床試験,市販後 締結 NumbeおofDealTypeか い ,両当事者間 話 ウ ウ 直接や た ほ , ータや重要 情報,正 い結果解釈 伴うこ 多い。 いう大 あ 契 ス こ 失 Maおketed 80 Appおoved PendingAppおoval 60 PhaかeIII ま め PhaかeII 40 PhaかeI PおeClinical 20 図3 主要製薬企業の技術移転の契 上:業務,下:開発段階 30(2124) BD Lilly Amgen Abbott Daiichi Takeda BMS Aかtellaか Eiかai Sanofi Novaおtiか AZN Meおck JNJ GSK Roche Pfizeお Bayeお Reかeaおch 0 数と内訳 新薬 市場 出 開発 長い年月 開発, 必要 あ わ う 行わ ,医薬品開発 変わ こ ,医薬品 。外部委託や導出,共同 提携契 権利所有者 Vol.30 No.11 2014 8~10年 い 多い。こ い 業務 過程 こ 担い手 い 膨大 量 知識,科学/技術 た ,適切 報告書作成 非常 ,上市 遅 ,業務 重複 可能性 あ ,開発 一部 合 あ ータ 文書化,収集 生 た 重要 出 。 ータ 質,体系的 。非効率的 コス や 直 技術移転 上昇 必要 生 場 。 ■参考文献 1 Gaおけ Maがkin, Technologけ Tおanかfeお and がhe Univeおかiがけ, 1991 2 INTERNATIONAL CONFERENCE ON HARMONISATION OF TECHNICAL REQUIREMENTS FOR REGISTRATION OF PHARMACEUTICALS FOR HUMAN USE– Phaおmaceきがical Qきaliがけ Sけかがem Q10 hががp://くくく.ich.oおg/fileadmin/Pきblic_Web_Siがe/ICH_ Pおodきcがか/Gきidelineか/Qきaliがけ/Q10/Sがep4/Q10_Gきideline.pdf 3 A. Kane: Tおanかfeお of Knoく-Hoく foお Smooがh and Speedけ Tおanかiがion fおom Pおeclinical/Pおe foおmきlaがion foお a Qきick Pおoof of Concepが Phaかe / a Clinical Sがきdieか, Seminaお Slideか, Bおidgeくaがeお, Neく Jeおかeけ, 2014 4 Medがおack daがabaかe, Life Science Analけがicか Inc. 2010 Vol.30 No.11 2014 31(2125)
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