自動溶存マンガン(Mn)濃度計 説 明 Model MNR-001 書 図-1.自動溶存マンガンモニターの機器構成図 光が照射され、ブランク吸光度が分光光度計 (1) 浄水処理水(検水)を導入 223 により測定される。 (2) 31a:検水導入・電磁弁を開く。 (8) ブランク吸光度や、検水の Mn 濃度は演算処 理部 224 で求められる。 (3) オゾン発生器にて空気中 O3 に高電圧を印加 (9) 求められた Mn 濃度は制御装置 29 に送る。 し、O3 ガスを発生させる。 ・・・231、232 (4) 25:加減圧ポンプにて、オゾン(O3)噴霧- (10) O3 分解槽へ排出する。O3 の外部漏出防止。 (11) O3 ガスのみを脱オゾン槽へ送る。 接触酸化条件を効果的にします。 (12) 測定後、薬液(アスコルビン酸 Na)送液を (5) 検水を O3 酸化・・濃度二段階・接触時間変更 (6) 制御装置により、電磁弁 31a を開き、加減圧 電磁弁を開き、洗浄する。 (13) 測定後、オゾン接触槽・測光セルを洗浄。 ポンプ 25 が開き、検水が導入、また追い出 薬液洗浄後、電磁弁 31e を開き、純水にて しに使われる。 (7) セル 221 に対し、LED 光源 222 からの測定 自動洗浄する。 2 は じ め に 溶存Mn 含有水をポリエチレンチューブにて常 地下水・伏流水、ダム水、湖沼水には粘土から 「反応槽」にて、一 時取り込み、O3 接触酸化槽、 マンガン(Mn)が溶解し、1mg/L~10mg/L の高 旦、貯留した検水に一定時間オゾンガスを接触さ 濃度の Mn を含む水があります。河川水では上流 せ、溶存 Mn を二酸化 Mn(MnO2)に酸化させ のダム・湖沼水・鉱山湧出水が流れてくる地点や、 ます。このオゾン酸化した Mn に測光波長を照射 堰から取水する原水にもMn 含有水が見られます。 し、その吸収を測光器にて吸光光度を測定し、分 水中の Mn は、重炭酸 Mn(MnHCO3)の化 析します。 溶存 Mn 含有水を、最大 15 分に 1 回の繰り返 学形態で水中に溶解しており、溶存マンガンと 言います。 し頻度(30 分、1hr など測定頻度に選択も可能) マンガンの水道水質基準値は 0.05mg/L で、水質 管理目標は 0.05mg/L です。この基準値の根拠は 図-2.自動Mnモニターの測定順序 健康影響ではなく、Mn の酸化物、黒色の Mn 水 酸化物に起因する黒水障害の抑制のために設定さ れています。 しかし、Mn による黒水障害を発生させないよ うにするには、浄水の Mn 濃度を 0.001mg/L 以 下に水質管理することが必要で、十分な水質管理 に取り組む浄水場や、広域水道では、Mn 濃度は 0.001mg/L になるよう浄水処理されています。 Ⅰ.Mn の濃度測定メカニズム 3. 酸化 Mn の吸光光度法の波長選択と安定化 1. 空気中の酸素からオゾンガスを生成 自動溶存マンガン濃度計MNR-001 は、 水中に存在する酸化Mnは波長約250~600nm エアーコンプレッサーにより、大気を吸い込み、 (ピーク波長:370nm 付近)の波長帯の光を強く 空気中の酸素に高電圧を掛け、オゾンガス(O3)を 吸収します。 常時、生成させています。 当社の自動 Mn 濃度計の特長の第二は、測光波 本装置の特徴は空気中の酸素をオゾンガスして 長域のうち、妨害因子による影響の少ない 400~ いることで、小さな消費電力で済み、エコシステ 500nm の単色光である光波長、 これを測定光とし ムになっていることが特長の第一です。 て照射し、測光することが特長です。 検水中に残留塩素が存在すると、 370nm 波長に 光吸収がある次亜塩素酸ソーダによる影響を受け ます。本 Mn モニターの開発過程において、波長 2. 水中の溶存 Mn をO3 酸化し、二酸化 Mn 390nm においても、次亜塩素酸ソーダによる Mn とし、その光吸吸収を測光します。 3 図-4 は溶解性Mnが 2.0mg/L の水にオゾンガスを 濃度測定に影響があることが分かりました。 接触させた後、吸光度を測定するまでの時間と吸光 本 Mn モニターによる Mn 濃度測定は、この 度の関係を示すグラフです。 370nm 波長域を避け、より正確な Mn 測定が可 能となったことが、本機による「吸光光度測定法」 図-4.Mn 2.0mg/L の水の静置時間による の重要な特長です。 静置時間と吸光度測定までの時間 4.O3 注入後、3分の静置時間を置き、測光。 水中の溶解性 Mn にオゾン注入したとき、O3 を停止した後も、酸化反応槽中に残ったオゾンが Mn 酸化を 150 秒くらい進めます。 図-3.Mn 0.1mg/L の水の静置時間による 静置時間と吸光度測定までの時間 オゾン接触後の静置時間が 100 秒までは、吸光光度 が大きく上昇します。 そして、150 秒を超えたあたりから吸光度は安定 度を増します。オゾンガスを停止した後も、酸化反 応槽中に残ったオゾンが Mn 酸化を進めているため、 オゾンガス停止後、3分間の静置時間を置き吸光度 を測定する設定にしたため、自動溶存Mnモニター 図-3 は溶解性Mnが0.1mg/L の水にオゾンガスを接 MNR-001 は、安定的で正確な測定をすることがで 触させた後、吸光度を測定するまでの時間と吸光度 きます。 の関係を示すグラフです。 O3 ガス停止後、3分間の静置時間を置き吸光度を オゾン接触後の静置時間が 100 秒までは、吸光光度 測定する設定にしました。これにより、自動溶存M が大きく上昇します。 nモニターMNR-001 は、安定的で正確な測定をす ることができます。 次の図-4 は溶解性Mnが2.0mg/L の水にオゾンガス また、オゾンと試料水の接触時間は測定レンジ を接触させた後、吸光度を測定するまでの時間と吸 光度の関係を示すグラフです。 毎に設定されますが、オゾン濃度を制御すること オゾン接触後の静置時間が 100 秒までは、吸光光度 なく、 安定した計測が出来るように調整しました。 が大きく上昇します。 安定的なMn濃度測定が可能になりました。 4 ンガン酸化物を直ぐに溶解します。 7.食品添加物アスコルビン酸Naを使って、マ ンガン酸化物を洗浄し、セルの透明度を守ります。 アスコルビン酸ナトリウムは「ビタミンC」と しても知られており、食品添加物です。 新技術の洗浄法を用いるとオゾン反応槽やセル は黒変化しません。 自動 Mn モニターにおける測定精度の確保や、 8.発光光源にLEDを使用しました。 安定的な測定における問題点を保持するうえで 計測用光源として長寿命・低消費電力 LED 必要なことは、黒色の水酸化物、Mn スラッジ を使用しているためランニングコストが僅かな、 によって測定セルが汚染させないことです。 エコシステムを実現しました。 ① Mn濃度測定のためオゾンを注入し、生成 した黒色の Mn 酸化物、あるいは、②塩素酸 9.自動溶存 Mn 濃度計 MNR-001 型の特長 化によって生成した Mn 酸化物に起因し、反応 槽内面や、配水チューブ内に Mn 酸化物が付着 ① 水中の溶解 Mn をオゾン酸化し、その酸化 し、黒色スラッジが蓄積すると、吸光度測定が Mn を吸光光度分析することが第一の特長。 出来なくなります。Mn 濃度計の開発において、 最大の問題になります。 ② 妨害因子の少ない測定波長域 400nm~ 500nm を選定したことが第二の特長。 本自動 Mn 濃度計の第五の特長は、成分的に安 全で、 なおかつ洗浄力の強い薬液を用いたことで、 酸化 Mn による測光セルやチューブの黒変化、汚 ③ O3 注入後、3分の静置時間を置き、測光し、 染問題を解消したことが、今回開発した自動マン 安定した計測が出来るようにした第三の特長。 ガンモニターの大きな特長です。 ④ アスコルビン酸は強い還元性で Mn 酸化物を 洗浄液は濃度 0.02%アスコルビン酸溶液が有 溶解し、反応槽、測定セルやチューブの洗浄効 する強い還元性を活用するため、想定対象水が 果が高く、Mn による黒変化を発生させず、 5mg/L と言う高濃度の Mn 含有水でも繰り返し、 持続的な測定が可能になったのが第四の特長。 長期の現場実験によって安定的な連続計測を実 ⑤ 本機の通常測定濃度は 0.01~0.05mg/L です。 現しました。 セルを取り換えるだけで、高濃度域の Mn3.0mg/L が出来ることが第五の特長。 既存の膜処理施設や自動モニターの洗浄剤はク エン酸を用い、 酸の溶解力で洗浄をしていました。 ⑥ LEDを光源としたことが第六の特長。 クエン酸は弱酸であるため、マンガンのスラッジ を十分洗い落せる洗浄力や溶解力はありません。 ⑦ しかし、アスコルビン酸はマンガン酸化スラッジ に対し、酸としての力ではなく、還元性の力でマ 5 小型で省スペースです。 ⑧ 試薬交換 2回/月(作業はお客様でも可 図-7 設定画面 能)低コストです。 ⑨ 洗浄水は水道水でOK。配管接続にすれば、 浄水器・イオン交換などは不用。 以上の特長があげられます。 10. 自動マンガンモニターの画面 図-5.メイン画面 図-6 メニュー画面 6 仕 様 概 書 要 本装置は、浄水配水配管の黒水対策として配水中のマンガン濃度を常時監視する日本で唯一の自動計 測器です。 急速ろ過機に直結し、マンガン濃度が上限設定値以上になれば急速ろ過装置の逆洗を自動的に開始す る制御や、深井戸・原水の Mn 濃度が変わったときにインバーターポンプを設置し、リンクすれば、急 速ろ過機のろ過流速を自動変更する制御も可能です。 特 長 ① 最短 20 分周期での連続測定が可能です。 ② 測定に試薬を使用していないため試薬補充をする必要がありません。 ③ 機械的稼動部品が少なく、保守に必要なコストを極力抑えることが出来ます。 仕様要項 測定原理 : 吸光光度法 測定周期 : 最短 20 分 測定範囲 : 0~3mg/L および 0~0.5mg/L (ただし検出限界は、0.01mg/ L) 表 示 : 5インチタッチパネル(モノクロ) 計測結果は、1ヶ月保持 外部出力 : DC 4~20mA(負荷抵抗500Ω以下) 警報出力 : ①上限設定値オーバー、 ②洗浄水不足、 ③計測値異常 使用条件 : ① 検 水・検水水温 : 2~40℃ ・検水流量 : 1~3L /分 (検水槽に常時通水) ② 浄 水 : 15L/日 (洗浄水として) ③ 周囲条件 ・温 度 : 2~40℃ ・相対湿度 : 5~85%(結露不可) ・その他 : 直射日光,振動衝撃,腐蝕性ガス,ダストのない所に設置すること。 ④ 電 源 ・電 圧 : AC100V±10V,50または60Hz ・消費電力 : 500VA 外形寸法 :450(W)× 620(D)× 1475(H) (屋根含む) 7
© Copyright 2024 Paperzz