14-D-0893 2015 年 2 月 5 日 大手石油元売 5 社の通期業績予想下方修正−直ちに格付に影響せず、今後の収益およ び財務の状況を注視 以下は、大手石油元売 5 社が通期業績予想を下方修正したことについての株式会社日本格付研究所 (JCR)の見解です。 ■見解 (1) 大手石油元売 5 社が相次いで通期業績予想の大幅な下方修正を発表した。原油価格急落に伴い在庫評価損 が大きく膨らむうえ、主としてタイムラグに起因する石油製品マージンの縮小も収益を圧迫する。また、 原油を含む資源価格全般の下落に伴い、石油天然ガス開発のほか石炭などの上流事業を手掛ける石油元売 では減損損失を計上するケースもみられた。 (2) 在庫評価損は一時的要因だが、当期純損失計上に伴う自己資本の毀損により財務体質の悪化を招いている。 もっとも、足元の原油価格にはやや底打ちの兆しもみられ、仮に今後回復へ向かえば在庫評価益に転じるこ とになる。自己資本毀損の程度は石油元売により異なるが、当面の原油価格推移や自己資本修復の進捗を見 定める必要があり、今回の業績予想下方修正が直ちに格付に影響することはないと JCR は考えている。 (3) ただし、OPEC のシェア重視へのスタンス変化により、原油価格が従前のレベルに回復することは到底見 込み難い状況にある。また、石炭や銅の価格についても、当面の回復余地は限定的と思われる。こうした 状況変化を受けて、石油天然ガス開発をはじめとする資源事業の収益貢献低下が不可避となっており、石 油精製・販売事業による収益下支えの重要性が高まっている。原油価格急落の影響が一巡した後の収益回 復および財務体質改善の進捗を注視していく。 (担当)千種 裕之・古川 聖治 【参考】 発行体:JX ホールディングス株式会社(証券コード:5020) 長期発行体格付:A+ 見通し:安定的 発行体:出光興産株式会社(証券コード:5019) 長期発行体格付:A- 見通し:安定的 発行体:コスモ石油株式会社(証券コード:5007) 長期発行体格付:BBB 見通し:安定的 発行体:東燃ゼネラル石油株式会社(証券コード:5012) 長期発行体格付:A 見通し:安定的 発行体:昭和シェル石油株式会社(証券コード:5002) 長期発行体格付:A 見通し:安定的 ■留意事項 本文書に記載された情報は、JCR が、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCR は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、JCR の格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。JCR の格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。JCR の格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。JCR の格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。 ■NRSRO 登録状況 JCR は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating Organization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。 1/2 http://www.jcr.co.jp ■本件に関するお問い合わせ先 情報サービス部 TEL:03-3544-7013 FAX:03-3544-7026 2/2 http://www.jcr.co.jp
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