全ページ - フロンティア・マネジメント株式会社

中国商務情報通信
03
VOL.
フロンティア・アイズ・チャイナ
FRONTIER±EYES CHINA
春 節 と「 華 人 経 済 圏 」
http://www.frontier-mgmt.com
シニア・アドバイザー
今年は2月19 日が「元旦」に当たり、前日の「大
須田 成人
日」から7 連休となった中国の旧
正月(春節)ですが、報道では「春節前後(2月4日∼3月15日)に交通機関で移動する
旅行客は延べ 28 億人(前年比 3.4% 増)」と予測されるなど「民族大移動」のエネルギー
に圧倒されます。
私が香港に住んでいた頃は、この時期になるとアパートの管理人に渡す「紅包」(お年
玉)の金額に頭を悩ませていました。一方、ビルやマンションの入口には、「恭喜発財!」
など、赤い紙に金色で大書された 4 文字のおめでたい言葉が掲げられます。個人的には
「万事如意!」といった言葉が好きでした。
旧正月自体は漢民族だけの文化ではありませんが、「春節」という祝い方は中国人共通
の文化です。海外にいる中国系現地人、いわゆる華人は春節を祝います。春節は住んでい
る国、国籍とは関係なく、中国人(華人)としての一体感を感じられるイベントに違いあ
りません。
もともと中国とか中華という言葉は世界の中心という意味で、そこでは国境の概念は
希薄です。おそらく中国人の意識では、世界のどこにいようと、「中華の DNA」を持った
者は全て中華の民ということになるのでしょう。市場経済化した中国本土と、高い経済力
を誇る東南アジア華人が作るバーチャルな経済圏を「華人経済圏」と呼びます。日本人
が中国やアジアでビジネスを展開する場合、地図では見えない「人」の経済圏である「華
人経済圏」にも意識して臨みたいものです。
©FRONTIER MANAGEMENT INC. 2015, AII rights reserved. Printed in Japan.
FEch1503A
フロンティア・マネジメントの
チャイナビジネス
中国市場における現地サービス業とのアライアンスにおけるポイント(その1)
中国市場における現地サービス業との
アライアンスにおけるポイント(その1)
は、日本側は初回面談までは中国でのビジネスに乗り気
の間では、ちょっとした言葉づかいや姿勢がその後の交
では無かったそうです。しかし、トップ同士の面談を通
渉に決定的な影響を及ぼすこともあります。そのため、
じて両者が好印象を持つことになり、連携しての中国市
FMIでは「日本での経験を持つ中国人」と「中国での
場展開が両者間で合意されるに至りました。
経験を持つ日本人」のメンバーが両者の間に入ることで、
Vol.1・Vol.2ではお客様の中国事業展開に対するFMIによるサポートについてご紹介しました。本号以降では、
トップ同士の面談で話しあう
テーマとは?
日系企業の中国展開における留意点とFMIによるサポートについて紹介して参ります。今回のテーマは中国企業
とのアライアンス(業務提携)です。
双方の考え方の整理をはじめとした交渉の円滑化をサ
ポートしています。
例えば前述のケースでは、FMI が通訳を含めた仲介
役を行い、両者の2 回目の面談後には、協業のストラク
トップ同士の面談は、
単なる挨拶や顔合わせではなく、
チャーの大枠が決まるというスピード合意に達しました。
その後の方向性を話し合う重要な機会と捉えるべきと考
その後、同案件の交渉は順調に進み、交渉開始から1
る過程には発掘(選別・選定)
・交渉・コンセプトの具
えます。協業に関する詳細はその後の実務者レベルの話
年での出店にたどり着きました。
体化という様々な重要な場面が存在します。
し合いに任せるとしても、図表 に挙げたようなポイント
今後もFMIはパートナーの発掘・選定段階よりお客
何よりもまず重要なのがパートナーの発掘です。では、
について相手側の考え方を確かめ、協業の大枠や方向
様に対してサービスを提供することで、お客様の中国事
現在、中国には製造業・サービス業を問わず多くの日
パートナーはどのように発掘すればよいのでしょうか。結
性を擦り合わせることが望ましいと思われます。
業の本格的展開に貢献して参りたいと考えています。
系を含む外資系企業が進出しています。かつては日系
論から申し上げると、パートナー発掘は運に左右される
FMIではこの段階を特に重視し、図表 で挙げたポ
の進出と言えば製造業が中心でしたが、近年はサービス
部分も多く「正解」は存在しません。しかしながら、発掘・
イントをチェックするための仲介者・第三者としての役割
業の進出も年々目立つようになっています。
選定の過程で生じうるリスクをいかに見極め、不安要素
を果たすように努めています。言葉や文化が異なる人々
日本国内ではサービス業に属する企業の多くが多店
を排除するかという点が重要であることは論を待たず、
舗展開を進めています。一方、中国に進出している日系
この過程においてどの程度まで知恵を絞り体力を費やす
サービス業に目を向けると、単独(独資)で進出し店舗
かが、その後の展開に大きな影響を及ぼします。
数も少数である企業が多いように見受けられます。
一般的に、中国でパートナーと事業展開を行う企業の
主要なターゲット(客層)をどう設定するかにもよりま
多くが、パートナーを知人により紹介されることが多いと
すが(例えば富裕層向けか、大衆向けか、現地邦人を
聞きます。そのため、紹介されたパートナー候補がはた
意識するか等)
、将来的に多店舗での展開を目指してい
して「ベスト」であるのか、という不安を感じている企
●早期の「トップ面談」の実施
る企業にとっては、現地パートナーの選定と協力が事業
業も多いもようです。
➡方向性の枠組みの早期決定がその後の
展開上で大変重要な要素になると考えられます。
FMIでは、お客様のこのような不安を少しでも和らげ
13 億人以上の人口を有し、地域により文化・風習が異
るために、早期のトップ面談の開催を強くお勧めしてい
なる中国において、単独での多店舗展開は資金面やロー
ます。トップ面談を実施し、経営者同士がお互いの相性・
カライズ化(さらには地元との交渉・手続きなど)等の
考えが一致するかを確認し、仮に双方の思惑が一致す
観点から多くの課題に直面する可能性があるためです。
る場合は早期に今後の方向性をすり合わせることが大
パートナーとの事業展開は
重要な選択肢の一つ
変重要であると考えているためです。
パートナー選定における
早期面談の重要性
一口にパートナーと言っても、パートナーとの協業に至
01
FRONTIER±EYES CHINA VOL.03
FMIが過去にサポートを実施したあるケースでは、上
記の考えに基づきトップマネジメント面談を最初に設定し
ました。本案件では日本側は中国企業からの直接のご
A
アライアンスパートナー発掘時のポイント
(文責:中国事業部)
出所:フロンティア・マネジメント作成
P OIN
T!
交渉・事業化に多大な影響
●面談時に確認・意見交換することが望ましいテーマ
▶相手側(中国企業)に日本の文化への理解があるか
例)日本側・中国側のトップマネジメントの考え方が合うか?
▶どのようなコンセプトで事業を展開するか?
例)使用するブランドは(日本側・中国側・新規)?
▶ローカライズ(現地化)をどのように/どの程度進めるか? ▶展開地域・出店場所の選定で中国側の協力を得られるか?
指名を受け面談に応じたのですが、後で聞いたところで
VOL.03 FRONTIER±EYES CHINA
02
フロンティア・マネジメントの
チャイナビジネス
中国市場における現地サービス業とのアライアンスにおけるポイント(その1)
中国市場における現地サービス業との
アライアンスにおけるポイント(その1)
は、日本側は初回面談までは中国でのビジネスに乗り気
の間では、ちょっとした言葉づかいや姿勢がその後の交
では無かったそうです。しかし、トップ同士の面談を通
渉に決定的な影響を及ぼすこともあります。そのため、
じて両者が好印象を持つことになり、連携しての中国市
FMIでは「日本での経験を持つ中国人」と「中国での
場展開が両者間で合意されるに至りました。
経験を持つ日本人」のメンバーが両者の間に入ることで、
Vol.1・Vol.2ではお客様の中国事業展開に対するFMIによるサポートについてご紹介しました。本号以降では、
トップ同士の面談で話しあう
テーマとは?
日系企業の中国展開における留意点とFMIによるサポートについて紹介して参ります。今回のテーマは中国企業
とのアライアンス(業務提携)です。
双方の考え方の整理をはじめとした交渉の円滑化をサ
ポートしています。
例えば前述のケースでは、FMI が通訳を含めた仲介
役を行い、両者の2 回目の面談後には、協業のストラク
トップ同士の面談は、
単なる挨拶や顔合わせではなく、
チャーの大枠が決まるというスピード合意に達しました。
その後の方向性を話し合う重要な機会と捉えるべきと考
その後、同案件の交渉は順調に進み、交渉開始から1
る過程には発掘(選別・選定)
・交渉・コンセプトの具
えます。協業に関する詳細はその後の実務者レベルの話
年での出店にたどり着きました。
体化という様々な重要な場面が存在します。
し合いに任せるとしても、図表 に挙げたようなポイント
今後もFMIはパートナーの発掘・選定段階よりお客
何よりもまず重要なのがパートナーの発掘です。では、
について相手側の考え方を確かめ、協業の大枠や方向
様に対してサービスを提供することで、お客様の中国事
現在、中国には製造業・サービス業を問わず多くの日
パートナーはどのように発掘すればよいのでしょうか。結
性を擦り合わせることが望ましいと思われます。
業の本格的展開に貢献して参りたいと考えています。
系を含む外資系企業が進出しています。かつては日系
論から申し上げると、パートナー発掘は運に左右される
FMIではこの段階を特に重視し、図表 で挙げたポ
の進出と言えば製造業が中心でしたが、近年はサービス
部分も多く「正解」は存在しません。しかしながら、発掘・
イントをチェックするための仲介者・第三者としての役割
業の進出も年々目立つようになっています。
選定の過程で生じうるリスクをいかに見極め、不安要素
を果たすように努めています。言葉や文化が異なる人々
日本国内ではサービス業に属する企業の多くが多店
を排除するかという点が重要であることは論を待たず、
舗展開を進めています。一方、中国に進出している日系
この過程においてどの程度まで知恵を絞り体力を費やす
サービス業に目を向けると、単独(独資)で進出し店舗
かが、その後の展開に大きな影響を及ぼします。
数も少数である企業が多いように見受けられます。
一般的に、中国でパートナーと事業展開を行う企業の
主要なターゲット(客層)をどう設定するかにもよりま
多くが、パートナーを知人により紹介されることが多いと
すが(例えば富裕層向けか、大衆向けか、現地邦人を
聞きます。そのため、紹介されたパートナー候補がはた
意識するか等)
、将来的に多店舗での展開を目指してい
して「ベスト」であるのか、という不安を感じている企
●早期の「トップ面談」の実施
る企業にとっては、現地パートナーの選定と協力が事業
業も多いもようです。
➡方向性の枠組みの早期決定がその後の
展開上で大変重要な要素になると考えられます。
FMIでは、お客様のこのような不安を少しでも和らげ
13 億人以上の人口を有し、地域により文化・風習が異
るために、早期のトップ面談の開催を強くお勧めしてい
なる中国において、単独での多店舗展開は資金面やロー
ます。トップ面談を実施し、経営者同士がお互いの相性・
カライズ化(さらには地元との交渉・手続きなど)等の
考えが一致するかを確認し、仮に双方の思惑が一致す
観点から多くの課題に直面する可能性があるためです。
る場合は早期に今後の方向性をすり合わせることが大
パートナーとの事業展開は
重要な選択肢の一つ
変重要であると考えているためです。
パートナー選定における
早期面談の重要性
一口にパートナーと言っても、パートナーとの協業に至
01
FRONTIER±EYES CHINA VOL.03
FMIが過去にサポートを実施したあるケースでは、上
記の考えに基づきトップマネジメント面談を最初に設定し
ました。本案件では日本側は中国企業からの直接のご
A
アライアンスパートナー発掘時のポイント
(文責:中国事業部)
出所:フロンティア・マネジメント作成
P OIN
T!
交渉・事業化に多大な影響
●面談時に確認・意見交換することが望ましいテーマ
▶相手側(中国企業)に日本の文化への理解があるか
例)日本側・中国側のトップマネジメントの考え方が合うか?
▶どのようなコンセプトで事業を展開するか?
例)使用するブランドは(日本側・中国側・新規)?
▶ローカライズ(現地化)をどのように/どの程度進めるか? ▶展開地域・出店場所の選定で中国側の協力を得られるか?
指名を受け面談に応じたのですが、後で聞いたところで
VOL.03 FRONTIER±EYES CHINA
02
Monthly Topics
中国の外食産業の動向について①
∼フロンティア・マネジメントならではの視点で注目されるトピックスをお伝えします∼
中国の外食産業の動向について①
B
(元)
では、中国の同産業の特徴と課題などを中心に紹介いた
1,000
7.5
800
7.0
600
6.5
400
6.0
200
5.5
などのサービスを挙げました。経済発展に伴い中国経済・
注:中国国家統計局は2013 年の一人当たり外食費を公表していませんが、2013
り外食費は約1,374 元(同 2万2,000 円弱)程度になると考えられます。
食産業の動向に焦点を当て、まずは中国の消費・外食産
外食消費にも地域多様性が存在
業に関するデータをご紹介します。
ここまで述べてきたとおり、中国全体では外食を含む
「食」に関する消費が高まってきていますが、広大な国土
と多くの人口を有する中国には食の分野でも多様性が存
高まる食に関する消費
【図表
在します。
【図表
】は、中国政府が公表している消費支出に関
場の存在感は年々高まっていると言えます。一方で、中国
8.0
食費の比率も7.5%から8%の間を推移しています。
年の食費の前年比の伸び率を踏まえて単純計算すると、2013 年の一人当た
(%)
1,200
スが期待される分野として「食品」や「小売」
、
「外食」
(注)
外食費(一人当たり)
の外食産業にはまだ多くの課題が存在するようです。次号
1,400
思われます。本号のマンスリートピックスでは、中国の外
の規模を示すと近年は 30 兆円弱で推移しており、中国市
8.5
の約 22%に相当します 。同期間の家計消費に占める外
中で、外食分野は今後ますます注目度の高まる分野だと
す。ご参考までに日本の外食産業(料理品小売業を含む)
出所:中国国家統計局公表データよりフロンティア・マネジメント作成
Vol.1において、FMIでは今後中国でのビジネスチャン
産業の構造が変化すると同時に消費の多様化が進展する
2013 年には40 兆円、2014 年には48 兆円程度に達していま
中国の都市部の一人当たり外食費と
家計消費に占める比率の推移
家計消費に占める比率(%:右軸)
します。 (文責:アソシエイト・ディレクター 横塚 仁士)
D
出所:中国烹饪協会公表データよりフロンティア・マネジメント作成
中国の「飲食(産業)収入額」
(億元)
0
2008
2009
2010
2012 (年)
※2013年度の外食費に関するデータは非公表
したものです。
過去10 年間で大幅に増加しています。中でも額としての
当然、各地域の外食費は各地域の経済規模や成長の
伸びが大きいのが食費(外食費も含む)です。2013 年の
15,000
度合いに大きな影響を受けていますが、上海市のように一
前段までは、家計消費という観点から外食産業に関連
消費支出全体に占める食費の比率は 2000 年の同数値と
人当たり外食費が 2,600 元(同3 万3,000 円弱)に達する
のある数値を見てきましたが、次に産業としての観点から
10,000
比べるとやや低下していますが、食費の絶対額は3倍以
地域もあれば江西省のように670 元(同 8,500 円弱)にと
外食に関わりのある数値をご紹介します。
【図表 】では、
上に増えています。
どまる地域もあります。一方、食費に占める外食費に注目
中国の外食産業の市場規模の目安として中国烹饪協会が
【図表
すると、陝西省のように比率が高い地域も見受けられます。
公表している「中国の餐饮(飲食)産業の収入額」の推
の2008 年から2012 年までの 5 年間の推移と、家計消費
この背景には、外食産業の発展の度合いや進出動向など
移を示しました。中国の外食産業の規模は成長を続け、
全体に占める比率の推移を示しています。2012 年の一人
の要因のほかに、各地の食文化などの影響があると思わ
あたりの年間外食費は1,315元(当時のレートで約1万
れ、外資系企業が進出を考慮するうえでの重要なキーポ
7,000 円弱)であり、この数値は同年の一人あたりの食費
イントになると思います。
】には、一人あたりの家計消費における外食費
C
A
中国都市部の一人当たり家計消費支出額(2000年/2013年)
その他
食品
(外食費も含む)
医療保険
4%
教育・娯楽
食品
2000年
4,998元
39%
1,971元
14
13.6%
12
17,648
10
9.0%
9.0%
8
6
4
5,000
2
0
2010
2011
2012
0
2014 (年)
2013
※1:飲食業と非飲食業の飲食収入を含む広い概念の数値であることに留意
※ 2:2014年の為替レートを1日本円=約17.3元として換算
外食費(一人当たり平均)
出所:中国国家統計局公表データよりフロンティア・マネジメント作成
食費に占める外食費率(%:右軸)
(%)
30
3,000
28
2,500
26
(外食費も含む)
医療保険
4%
22
2013年
1万8,023元
交通通信費
24
2,000
6%
13%
13%
9%
その他
教育・娯楽
6%
交通通信費
出所:中国国家統計局公表データよりフロンティア・マネジメント作成
20,635
中国の各地区の一人当たり外食費と食費に占める外食費比率
(元)
16
23,448
20,000
外食産業の規模は成長傾向に
18
25,569
25,000
の一人当たり外食費と、食費に占める外食費の比率を示
(%)
27,860
16.9%
5.0
2011
約48兆円※2
前年比伸び率(%:右軸)
30,000
】は、2012 年の中国の各一級行政区
するデータです。図表が示す通り、中国の消費支出額は
中国の飲食産業の収入額※1の推移
20
1,500
35%
6,312元
18
1,000
15%
16
14
500
12
9%
新 疆
寧 夏
青 海
甘 粛
陝 西
チベット
西南
雲 南
貴 州
四 川
重 慶
海 南
華南
福 建
広 西
広 東
華西
湖 南
湖 北
河 南
山 東
江 西
華東
安 浙 江
東北
江 蘇
華北
上 海
衣類
黒竜江
FRONTIER±EYES CHINA VOL.03
住居費
吉 林
03
衣類
遼 寧
住居費
内モンゴル
家庭用設備・用品
0
10%
10%
山 西
9%
河 北
10%
天 津
11%
北 京
家庭用設備・用品
10
西北
VOL.03 FRONTIER±EYES CHINA
04
Monthly Topics
中国の外食産業の動向について①
∼フロンティア・マネジメントならではの視点で注目されるトピックスをお伝えします∼
中国の外食産業の動向について①
B
(元)
では、中国の同産業の特徴と課題などを中心に紹介いた
1,000
7.5
800
7.0
600
6.5
400
6.0
200
5.5
などのサービスを挙げました。経済発展に伴い中国経済・
注:中国国家統計局は2013 年の一人当たり外食費を公表していませんが、2013
り外食費は約1,374 元(同 2万2,000 円弱)程度になると考えられます。
食産業の動向に焦点を当て、まずは中国の消費・外食産
外食消費にも地域多様性が存在
業に関するデータをご紹介します。
ここまで述べてきたとおり、中国全体では外食を含む
「食」に関する消費が高まってきていますが、広大な国土
と多くの人口を有する中国には食の分野でも多様性が存
高まる食に関する消費
【図表
在します。
【図表
】は、中国政府が公表している消費支出に関
場の存在感は年々高まっていると言えます。一方で、中国
8.0
食費の比率も7.5%から8%の間を推移しています。
年の食費の前年比の伸び率を踏まえて単純計算すると、2013 年の一人当た
(%)
1,200
スが期待される分野として「食品」や「小売」
、
「外食」
(注)
外食費(一人当たり)
の外食産業にはまだ多くの課題が存在するようです。次号
1,400
思われます。本号のマンスリートピックスでは、中国の外
の規模を示すと近年は 30 兆円弱で推移しており、中国市
8.5
の約 22%に相当します 。同期間の家計消費に占める外
中で、外食分野は今後ますます注目度の高まる分野だと
す。ご参考までに日本の外食産業(料理品小売業を含む)
出所:中国国家統計局公表データよりフロンティア・マネジメント作成
Vol.1において、FMIでは今後中国でのビジネスチャン
産業の構造が変化すると同時に消費の多様化が進展する
2013 年には40 兆円、2014 年には48 兆円程度に達していま
中国の都市部の一人当たり外食費と
家計消費に占める比率の推移
家計消費に占める比率(%:右軸)
します。 (文責:アソシエイト・ディレクター 横塚 仁士)
D
出所:中国烹饪協会公表データよりフロンティア・マネジメント作成
中国の「飲食(産業)収入額」
(億元)
0
2008
2009
2010
2012 (年)
※2013年度の外食費に関するデータは非公表
したものです。
過去10 年間で大幅に増加しています。中でも額としての
当然、各地域の外食費は各地域の経済規模や成長の
伸びが大きいのが食費(外食費も含む)です。2013 年の
15,000
度合いに大きな影響を受けていますが、上海市のように一
前段までは、家計消費という観点から外食産業に関連
消費支出全体に占める食費の比率は 2000 年の同数値と
人当たり外食費が 2,600 元(同3 万3,000 円弱)に達する
のある数値を見てきましたが、次に産業としての観点から
10,000
比べるとやや低下していますが、食費の絶対額は3倍以
地域もあれば江西省のように670 元(同 8,500 円弱)にと
外食に関わりのある数値をご紹介します。
【図表 】では、
上に増えています。
どまる地域もあります。一方、食費に占める外食費に注目
中国の外食産業の市場規模の目安として中国烹饪協会が
【図表
すると、陝西省のように比率が高い地域も見受けられます。
公表している「中国の餐饮(飲食)産業の収入額」の推
の2008 年から2012 年までの 5 年間の推移と、家計消費
この背景には、外食産業の発展の度合いや進出動向など
移を示しました。中国の外食産業の規模は成長を続け、
全体に占める比率の推移を示しています。2012 年の一人
の要因のほかに、各地の食文化などの影響があると思わ
あたりの年間外食費は1,315元(当時のレートで約1万
れ、外資系企業が進出を考慮するうえでの重要なキーポ
7,000 円弱)であり、この数値は同年の一人あたりの食費
イントになると思います。
】には、一人あたりの家計消費における外食費
C
A
中国都市部の一人当たり家計消費支出額(2000年/2013年)
その他
食品
(外食費も含む)
医療保険
4%
教育・娯楽
食品
2000年
4,998元
39%
1,971元
14
13.6%
12
17,648
10
9.0%
9.0%
8
6
4
5,000
2
0
2010
2011
2012
0
2014 (年)
2013
※1:飲食業と非飲食業の飲食収入を含む広い概念の数値であることに留意
※ 2:2014年の為替レートを1日本円=約17.3元として換算
外食費(一人当たり平均)
出所:中国国家統計局公表データよりフロンティア・マネジメント作成
食費に占める外食費率(%:右軸)
(%)
30
3,000
28
2,500
26
(外食費も含む)
医療保険
4%
22
2013年
1万8,023元
交通通信費
24
2,000
6%
13%
13%
9%
その他
教育・娯楽
6%
交通通信費
出所:中国国家統計局公表データよりフロンティア・マネジメント作成
20,635
中国の各地区の一人当たり外食費と食費に占める外食費比率
(元)
16
23,448
20,000
外食産業の規模は成長傾向に
18
25,569
25,000
の一人当たり外食費と、食費に占める外食費の比率を示
(%)
27,860
16.9%
5.0
2011
約48兆円※2
前年比伸び率(%:右軸)
30,000
】は、2012 年の中国の各一級行政区
するデータです。図表が示す通り、中国の消費支出額は
中国の飲食産業の収入額※1の推移
20
1,500
35%
6,312元
18
1,000
15%
16
14
500
12
9%
新 疆
寧 夏
青 海
甘 粛
陝 西
チベット
西南
雲 南
貴 州
四 川
重 慶
海 南
華南
福 建
広 西
広 東
華西
湖 南
湖 北
河 南
山 東
江 西
華東
安 浙 江
東北
江 蘇
華北
上 海
衣類
黒竜江
FRONTIER±EYES CHINA VOL.03
住居費
吉 林
03
衣類
遼 寧
住居費
内モンゴル
家庭用設備・用品
0
10%
10%
山 西
9%
河 北
10%
天 津
11%
北 京
家庭用設備・用品
10
西北
VOL.03 FRONTIER±EYES CHINA
04
中国の気になるデータ
FMIの中国ビジネスチーム
∼フロンティアマネジメント独自の視点でデータを紹介します∼
FMIの
中国ビジネス
チーム
2014年の中国の電子商取引は
250兆円規模に
中国事業部
シニア・アドバイザー
シニア・ディレクター
シニア・ディレクター
24.2
25.2%
20
21.3%
22.3%
19.8%
ディレクター
25
21.1
アソシエイト・ディレクター
20
17.3%
Nishimoto Hidehiro
中江 明皓
Nakae Akihiro
羅 恵
Luo Hui
横塚 仁士
Yokozuka Hitoshi
14.8%
伊藤 美優
Ito Miyu
榮 智亮
Rong Zhiliang
繆 軼君
Miao Yijun
季 欽欽
Ji Qinqin
丁 晶瑩
Ding Jingying
[email protected]
アソシエイト
15
[email protected]
12.3
10
西本 英浩
[email protected]
18.0
15.0
15
Suda Shigeto
[email protected]
成長率(%:右軸)
25
須田 成人
[email protected]
30
中国電子商取引市場規模(兆元)
Nakamura Toru
[email protected]
(%)
30
中村 達
[email protected]
中国の電子商取引市場規模予測 (調査会社調べ)
(兆元)
部長
10.1
10
事業開発第二部
ディレクター
[email protected]
5
5
Frontier Management (Shanghai) Inc.
0
2013
2014
2015
2016
2017
2018(年)
0
ディレクター
[email protected]
予測値
アソシエイト
[email protected]
出所:艾瑞『iResearch』
(http://www.iresearch.cn/)ウェブサイト公表記事
アソシエイト
中国の商務省によると、2014 年の中国の電子
定的に成長を遂げると予測しており、2018 年に
商取引の額は前年比 25% 増となる13 兆元(247
は電子商取引市場は24.2 兆元(460 兆円)に達
兆円)に達したとのことです。この数値はBtoB
し(図表)
、特にBtoCが成長のけん引役になる
も含んでいますが、昨年の中国全体の社会消費
としています。
品小売総額が26.2 兆元(500兆円)と前年比12
中国進出した消費分野の日系企業の多くが事
%の増加であったことと比べると、その伸びは大
業展開上の課題としてブランドの浸透を挙げてい
変大きいと言えます。
ます。電子商取引市場に出品している日系の製
一方、現地のリサーチ企業の艾瑞(iResearch)
品の中には着実に知名度を高めている商品もあ
の推計では14 年の電子商取引市場は12.3 兆元
るそうで、中国での電子商取引は日系企業にとっ
(234兆円)であり、うち73%をBtoBが占めてい
るとのことです。同社は今後も電子商取引は安
ても重要なツールになるかもしれません。
(文責:中国事業部)
[email protected]
ご注意事項
1
法律上、
会計上の助言
2
秘密保持
3
著作権
4
免 責
本誌記載の情報は、法律上、会計上、税務上の助言を含むものではありません。法律上、会計上、税務
上の助言を必要とされる場合は、それぞれの専門家にご相談ください。
本誌記載の情報の貴社への開示は貴社の守秘義務を前提とするものです。当該情報については貴社内
部の利用に限定され、その内容の第三者への開示は禁止されています。
本誌記載の情報の著作権は原則として当社に帰属します。いかなる目的であれ本資料の一部または全部
について無断で、いかなる方法においても複写、複製、引用、転載、翻訳、貸与等を行うことを禁止します。
本誌記載の情報は、弊社が信頼できると考える各方面から取得しておりますが、その内容の正確性、信
頼性、完全性を保証するものではありません。弊社は当該情報に起因して発生した損害については、そ
の内容如何にかかわらず一切の責任を負いません。
05
FRONTIER±EYES CHINA VOL.03
VOL.03 FRONTIER±EYES CHINA
06
中国の気になるデータ
FMIの中国ビジネスチーム
∼フロンティアマネジメント独自の視点でデータを紹介します∼
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中国ビジネス
チーム
2014年の中国の電子商取引は
250兆円規模に
中国事業部
シニア・アドバイザー
シニア・ディレクター
シニア・ディレクター
24.2
25.2%
20
21.3%
22.3%
19.8%
ディレクター
25
21.1
アソシエイト・ディレクター
20
17.3%
Nishimoto Hidehiro
中江 明皓
Nakae Akihiro
羅 恵
Luo Hui
横塚 仁士
Yokozuka Hitoshi
14.8%
伊藤 美優
Ito Miyu
榮 智亮
Rong Zhiliang
繆 軼君
Miao Yijun
季 欽欽
Ji Qinqin
丁 晶瑩
Ding Jingying
[email protected]
アソシエイト
15
[email protected]
12.3
10
西本 英浩
[email protected]
18.0
15.0
15
Suda Shigeto
[email protected]
成長率(%:右軸)
25
須田 成人
[email protected]
30
中国電子商取引市場規模(兆元)
Nakamura Toru
[email protected]
(%)
30
中村 達
[email protected]
中国の電子商取引市場規模予測 (調査会社調べ)
(兆元)
部長
10.1
10
事業開発第二部
ディレクター
[email protected]
5
5
Frontier Management (Shanghai) Inc.
0
2013
2014
2015
2016
2017
2018(年)
0
ディレクター
[email protected]
予測値
アソシエイト
[email protected]
出所:艾瑞『iResearch』
(http://www.iresearch.cn/)ウェブサイト公表記事
アソシエイト
中国の商務省によると、2014 年の中国の電子
定的に成長を遂げると予測しており、2018 年に
商取引の額は前年比 25% 増となる13 兆元(247
は電子商取引市場は24.2 兆元(460 兆円)に達
兆円)に達したとのことです。この数値はBtoB
し(図表)
、特にBtoCが成長のけん引役になる
も含んでいますが、昨年の中国全体の社会消費
としています。
品小売総額が26.2 兆元(500兆円)と前年比12
中国進出した消費分野の日系企業の多くが事
%の増加であったことと比べると、その伸びは大
業展開上の課題としてブランドの浸透を挙げてい
変大きいと言えます。
ます。電子商取引市場に出品している日系の製
一方、現地のリサーチ企業の艾瑞(iResearch)
品の中には着実に知名度を高めている商品もあ
の推計では14 年の電子商取引市場は12.3 兆元
るそうで、中国での電子商取引は日系企業にとっ
(234兆円)であり、うち73%をBtoBが占めてい
るとのことです。同社は今後も電子商取引は安
ても重要なツールになるかもしれません。
(文責:中国事業部)
[email protected]
ご注意事項
1
法律上、
会計上の助言
2
秘密保持
3
著作権
4
免 責
本誌記載の情報は、法律上、会計上、税務上の助言を含むものではありません。法律上、会計上、税務
上の助言を必要とされる場合は、それぞれの専門家にご相談ください。
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部の利用に限定され、その内容の第三者への開示は禁止されています。
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について無断で、いかなる方法においても複写、複製、引用、転載、翻訳、貸与等を行うことを禁止します。
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頼性、完全性を保証するものではありません。弊社は当該情報に起因して発生した損害については、そ
の内容如何にかかわらず一切の責任を負いません。
05
FRONTIER±EYES CHINA VOL.03
VOL.03 FRONTIER±EYES CHINA
06
中国商務情報通信
03
VOL.
フロンティア・アイズ・チャイナ
FRONTIER±EYES CHINA
春 節 と「 華 人 経 済 圏 」
http://www.frontier-mgmt.com
シニア・アドバイザー
今年は2月19 日が「元旦」に当たり、前日の「大
須田 成人
日」から7 連休となった中国の旧
正月(春節)ですが、報道では「春節前後(2月4日∼3月15日)に交通機関で移動する
旅行客は延べ 28 億人(前年比 3.4% 増)」と予測されるなど「民族大移動」のエネルギー
に圧倒されます。
私が香港に住んでいた頃は、この時期になるとアパートの管理人に渡す「紅包」(お年
玉)の金額に頭を悩ませていました。一方、ビルやマンションの入口には、「恭喜発財!」
など、赤い紙に金色で大書された 4 文字のおめでたい言葉が掲げられます。個人的には
「万事如意!」といった言葉が好きでした。
旧正月自体は漢民族だけの文化ではありませんが、「春節」という祝い方は中国人共通
の文化です。海外にいる中国系現地人、いわゆる華人は春節を祝います。春節は住んでい
る国、国籍とは関係なく、中国人(華人)としての一体感を感じられるイベントに違いあ
りません。
もともと中国とか中華という言葉は世界の中心という意味で、そこでは国境の概念は
希薄です。おそらく中国人の意識では、世界のどこにいようと、「中華の DNA」を持った
者は全て中華の民ということになるのでしょう。市場経済化した中国本土と、高い経済力
を誇る東南アジア華人が作るバーチャルな経済圏を「華人経済圏」と呼びます。日本人
が中国やアジアでビジネスを展開する場合、地図では見えない「人」の経済圏である「華
人経済圏」にも意識して臨みたいものです。
©FRONTIER MANAGEMENT INC. 2015, AII rights reserved. Printed in Japan.
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