- 日本HP

Case study
BIGLOBEが
2ペタバイト超のストレージ環境構築を推進、
容量あたりのコストを1/3に削減
大容量ストレージサーバー「 HP ProLiant SL4500シリーズ」上に
オブジェクトストレージを構築し、BIGLOBEのブロードバンド利用者 約300万人のメール領域を確保
業界
ISP、クラウド
目的
BIGLOBE のブロードバンド利用者 約 300万人が利用
するメール環境のストレージシステム刷新。総データ
量は 500TB を 超 え、さらに増え続ける状 況下で、ス
トレージにかかる総コスト(導入・運 用・データセン
ター等)を大幅に削減すること。
アプローチ
NASや SAN などのストレージ専用機ではなく、大容量
HDDを搭載可能なx86サーバーを利用する「オブジェク
トストレージ」を選択。容量あたりのコストを大幅に削
減するとともに、サービス品質の維持と確実なデータ
保護を実現する。
ITの効果
・性能と信 頼性をより低コストで提 供するインテル ®
Xeon® プ ロセッサー E5-2400 製 品ファミリーを
搭 載する大容量ストレージ搭載スケールアウトサー
バー「HP ProLiant SL4500 シリーズ」とオブジェクト
ストレージソフトウェア「Scality RING」
を採用し、2 ペ
タバイト超の大容量かつ低コストのストレージ環境を
実現
・
「HP ProLiant SL4500 Gen8 サーバーノード」1 台あた
り 88TB(4TB SATA × 22)のディスク容量と 192GB メ
モリを搭載
・Scality RING はメールアプリケーション(Zimbra)
との
コネクターを備えシステム構築が容易
・
“自働サーバー”ならではの優れた自己管理機能によ
り運用負荷・保守コストを大幅に軽減
「 大容量ストレージサーバーとオブジェクトストレージを組み合
わせる新たな選択肢は、膨大なデータを扱う私たちにとってま
さに福音となりました。パフォーマンス、信頼性、コストの観点
から適材適所でストレージを使い分けることで、より価格競争
力の高いサービス基盤を実現できるはずです」
−ビッグローブ株式会社 クラウドサービス本部 クラウドサービスグループ マネージャー 石下 隆一 氏
・HP サポートプラス 24 を採用し 24 時間 365 日 /4 時間
以内の保守対応を可能に
ビジネスの効果
・従来のストレージシステムとの比較で容量あたりのコ
ストを 1/3 に削減
・汎用的な 2U サーバー採用時との比較でも圧倒的なコ
スト優位性
・低コストで競争力の高いメールサービス基盤を実現
・数十ペタバイトを超えるストレージ容量のスケーラビ
リティを確保
・ログや画像などのアーカイブ用途へのオブジェクトス
トレージの適用が視野に
約 300 万環境のオブジェクトストレージへの
移行を推進
日本を代表するインターネット接続/クラウドサービス事業者で
あ る BIGLOBE が、ブ ロードバ ンド 利 用 者 約 300 万人 が 利 用す
るメールサービスのストレージシステムの移行を進めている。総
データ量は 500TB を超え、さらに増え続ける状況下で BIGLOBE
が選択したのは、オブジェクトストレージ製品「 Scality RING」と、
性能と信頼性をより低コストで提供するインテル® Xeon® プロ
セッサー E5-2400 製品ファミリーと、大容量ストレージを搭載
する「 HP ProLiant SL4540 Gen8 サーバー」である。従来のスト
レージ環境との比較で容量単価を実に 1/3 まで引き下げ、増え続
ける非構造化データを将来にわたり低コストで管理できる環境
を実現した。
Case study | ビッグローブ株式会社
ビッグローブ株式会社
クラウドサービス本部
クラウドサービスグループ
マネージャー
石下 隆一 氏
チャレンジ
「増え 続 けるデ ー タにも 柔 軟に 対応 できるう
え、構 造 がシンプルなので 運 用管 理の負荷も
増え続けるメールデータと
削減できると期待しました。汎用的な x86 サー
容量コスト削減へのチャレンジ
バーを使えるので、専用ストレージ製品と比較
「 BIGLOBE」は、ビッグローブ 株 式 会 社(以下、 すると導入コストの大幅な削減も見込めます」
BIGLOBE)が 運 営 する日 本 を 代 表 する ISP ブ (石下氏)
ランドだ。その歴 史は、NEC が 1986 年に開 始
したパソコン通信サービス
「 PC-VAN」にまで遡 石 下 氏を 中 心 に 2012 年 からオブジェクトス
る。1996 年に、NEC が 運営する通 信 系サービ トレージに関する研究を進め、知見を深めた。
ス 3 事業を統合し「 BIGLOBE」ブランドでサー そして、オ ブ ジェクトストレ ー ジ 製 品 に 米 国
「 Scality RING 」を、プラットフォー
ビ スを 開 始。「どこでも 快 適・安 全 につな が Scality 社の
るインターネット接 続サービス」を起 点に、ク ムに、性 能と信 頼 性 をより低コストで 提 供 す
ラウドサービ ス、MVNO 事 業 など順 調にビジ る インテル ® Xeon® プ ロセッサー E5-2400
ネスを拡大し、2014 年には NEC グループから 製 品ファミリーを搭 載 する大 容量ストレージ
搭 載 ス ケ ールア ウトサ ーバー「 HP ProLiant
の独立を果たした。
SL4500 シリーズ」の採用を決めた。
現在、BIGLOBE は「メールサービスのストレー
ジ シス テム 移 行 プ ロ ジェクト」を 推 進 中 だ。
BIGLOBE のブ ロ ードバ ンド 利 用 者 約 300 万
人が利用するサービス基盤の刷新である。
ソリューション
ビッグローブ株式会社
クラウドサービス本部
クラウドサービスグループ
梅津 祐太 氏
NECソリューションイノベータ
株式会社
東北支社
プラットフォーム事業部
主任
山本 洋平 氏
インテル ® Xeon® プロセッサー
E5-2400 製品ファミリー搭載
2
「メール 基 盤に関してはサービ スの 開 始 直 後 オブジェクトストレージに
を採用
から、増え続けるデータとそれを収容するスト 「Scality RING」
レージのコスト=容量単価を最 適化させる試 「 Scality RING 」は Linux 上で 動 作 するソフト
行錯誤を続けてきました」と語るのは、今回の ウェアとして提 供される。x86 サーバークラス
プロジェクトをリードしたクラウドサービス本 ターをリング 状 に 構 成し、デ ー タを サーバー
部 クラウドサービスグループ マネージャーの の内蔵ディスクで分散管理する。スケールアウ
ト 型 の Software Defined Storage(SDS)ソ
石下隆一氏である。
リューションと捉 えることもできるだろう。大
メールサービス基 盤における容量あたりのコ 規模なストレージ 環境を必要とするサービス
スト削減へのチャレンジは、次のような変遷を プロバイダー、データセンター事 業 者、通信事
経てきたという。初期の物理サーバーと DAS ス 業者などで導入実績のある製品だ。
トレージの 構 成 は、次 期システムで NAS に 集
約され容量単価は約半 分に削 減された。仮 想 「 Scality RING は 物 理 サ ーバー 6 台 から のス
サーバーの導入によるシステム構成の刷 新を モ ールスタートが 可 能 で、サーバー の 台 数 を
行 い、前システム 比 でさらに容 量単価を 1/10 増やすだけでストレージ容量を容易に拡張で
きます。増設はオンラインで可能で RAID やボ
にまで引き下げた。
リュームの管理も不要です。データ保護の観点
「総データ量は 500TB を超えさらに増え続け では、レプリケーション機能によりデータを“4
ています。この背景には、ユーザー のメール利 重化”し、複 数のノードで保 持することで高い
用に対する意識の変化があると考えています。 可用性を実現します」とプロジェクトに携わっ
かつては読んだメールは消去するのが一般的 た NEC ソリューションイノベー タ株 式 会 社の
でしたが、現在はサーバー上に保存する傾向が 山本洋平氏は話す。同社は、本プロジェクトを
強くなっています」(石下氏)
はじめ BIGLOBE の各種システムの開発・運用
を 10 年来支えているパートナー企業である。
増 え 続 けるデ ー タをすべ て 管 理しつ つ、スト
レージコストを抑える。二律背反の課題を解決 「 Scality RING は、ディレクトリ、ボリューム構
するために石下氏らが着目したのが「オブジェ 成を意識することなく、シンプルな使い勝手を
クトストレージ」だった。
提 供します。また、メールサーバー のデータ格
納用に開発された経 緯があり、BIGLOBE で採
「オブジェクトストレージは、x86 サーバークラ 用しているメールプラットフォーム
『 Zimbra 』と
スター上に“単一のデータ格納領域”という非 のコネクターが用意されているなど、既存環境
常にシンプルなストレージ環境を実現します。 との親和性にも優れていました」(山本氏)
しかもペタバイト級のスケーラビリティが手に
入ります」(石下氏)
「既存のストレージ 環境との比較で、容量単価
を 1/3 にまで引き下げられる見込みです。デー
オブジェクトストレージでは、ブロックやファ タを 4 重化して保持すれば、ストレージ容量も
イルではなく“オブジェクト”という単位でデー 実データの 4 倍必要になりますが、それでもコ
タを扱い、ID と属性情報(メタデータ)によって ストを 1/3 にできるのです」と石下氏は話す。
デ ー タとアプリケーションと 紐づ ける。RAID
やファイルシステム、ディレクトリやフォルダー ディスクの利用効率を下げても、容量単価を大
構成を意識する必要はなく、
“クラウドスケー 幅に低 減できるという事 実は注目に値するだ
ル の単一データ格 納 領 域 ”を利 用できること ろう。ただし、ここには注意が必要だ。プラット
が大きな特長だ。
フォーム 選 定 が、投 資 対 効 果 を大きく左 右 す
るのである。
Case study | ビッグローブ株式会社
■システム構成の違いによるコスト比較
2Uサーバーのコストが
既存ストレージを上回る
既存ストレージ
容量単価
1/3
データ容量(TB)
HP ProLiant
SL4540 Gen8
2Uサーバー
大容量ストレージ搭載スケールアウトサーバー
HP ProLiant SL4540 Gen8
●インテル ® Xeon® プロセッサー E5-2400シリーズ(最大 2CPU/16コア)
●最大192GBメモリ/最大 60 台のディスクを搭載可能
HP ProLiant SL4500シリーズ
(4.3Uシャーシに2サーバーノードを収容)
投資対効果を最大化する超高密度サーバー
「検討にあたって、あらためてサーバーやネット
「HP ProLiant SL4500 Gen8」
ワーク機器類、電力やスペースなど運用にかか
プロジェクトは、Scality RING を稼働させるプ るコストを洗い出し、システム構成の違いによ
ラットフォームをどのように選定したのだろう るコスト見通しを比較しました。その結果、HP
か。石下氏は検討の経緯を次のように話す。
ProLiant SL4500 シリーズと Scality RING を
組み合わせたときの圧倒的なコスト優位が、一
「当初は 2U サーバーの採用を想 定していたの 目瞭然になりました」(石下氏)
ですが、サーバー台 数に比例してネットワーク
機器も必要になり、トータルコストを押し上げ 「 HP ProLiant SL4500 シリーズでは、従 来の
ることが判明しました。さらに、2U サーバーを ストレージ 環 境との比 較で容量単価を 1/3 に
増 やし 続 けていくと、近 い 将 来に従 来 のスト まで圧縮できます。導入から 5 年間運用するこ
レージ 環 境のコストを上回ってしまうことが とを見 越したときに、最も高い 投 資 対 効 果 が
わかったのです」
得られると判断しました」(石下氏)
Scality RING の 投 資 対 効 果 を 高 め る に は、 クラウドサービス本部 DC プラットフォームグ
サーバー内に 2U サーバーを大きく上回る数の ループの梅津祐太氏も次のように話す。
HDD を搭 載できることが 不 可欠 だ。大 容量の
ディスクを搭 載可能なサーバーを検 討し始め 「 HP と Scality はグローバルパートナーシップ
たとき、Scality 社のエンジニアが 推 奨した製 を結んでおり、ペタバイト級のシステムを含め
品が「 HP ProLiant SL4500 シリーズ」だった。 稼働実績が豊富でした」 HP ProLiant SL4500 シ リ ーズ は、「 大 容 量
ストレージ搭 載スケールアウトサーバー」とい
うコンセプト の高 密 度 サーバーである。4.3U
のシャーシに 2 台のサーバーノードを収容。モ
ジュール型大容量ストレージ、I/O モジュール、
電 源ユニットなどを高密度に実装する。1 ノー
ド あたり最 大 88TB(4TB SATA × 22)の ディ
スク、最大 192GB のメモリを搭載可能だ。
3
Case study | ビッグローブ株式会社
ソリューション
概略
導入ハードウェア
・HP ProLiant SL4540 Gen8
導入サービス
・HP サポートプラス24
ベネフィット
「BIGLOBE としても、これほどの
超高密度サーバーの運用は初め
投資対効果に優れたペタバイト級の
てです。万にひとつの障害にも
ストレージ環境を実現
HP ProLiant SL4500 シリーズと Scality RING 迅速に対応できるよう、
HP のサ
―― 最 新 の テ クノロ ジ ー を 採 用して 新 し い
ポートを受けて万全の体制を整
メール基盤を構築するにあたり、
「検証には十
えました」ー 梅津氏
分な時間をかけた」と石下氏は話す。
「 2012 年 11 月 か ら Scality RING の 検 証 を 始
めました。稼 働中のシステムからディスクを抜
くなど、疑 似 的に障 害を 発 生させて挙 動を確
認しながら、安 全な 復 旧 手順を入 念に組み立
てていきました。2014 年に入ってからは、HP
ProLiant SL4500 シリーズによる実機検 証を
進めました」(梅津氏)
プロジェクトは BIGLOBE のブロードバンド利
用者 約 300 万人のメールデータの移行を進め
つつある。2015 年秋にはユーザー向けのサー
ビス基 盤も整 備される予定で、その時点 での
システムは「 HP ProLiant SL4540 Gen8 」×
26 ノード(13 シャーシ)、ディスク 572 本(4TB
SATA)によるストレージ 容量は 2PB を超える
スケールとなる。
2014 年 6 月、テ スト の 最 終 段 階 として 社 内
200 ユーザー のメールデータを 新システムに 最後に石下氏が次のように締めくくった。
移 行し、稼 働を開始した。第 1 期で導入された
のは「 HP ProLiant SL4540 Gen8」× 6 ノード 「大容量ストレージサーバーとオブジェクトス
(3 シャーシ)。1 ノードあたり 192GB のメモリ、 トレージを 組み合 わせる新たな選 択 肢は、膨
88TB(4TB SATA × 22 本)の ディスクを 搭 載 大なデータを扱う私 たちにとってまさに福音
する構成である。
「社内 環 境でシステムの 安 定 性やサービス品
質を確認したうえで、お客様のデータ移行を順
次進めていく計画です」(山本氏)
となりました。パフォーマンス、信頼性、コスト
の観点から適材適所でストレージを使い分け
ることで、より価格競争力の高いサービス基盤
を実現できるはずです」
詳しい情報
HP ProLiant SL4500 シリーズの導入に際して HP ProLiant についてはこちら
は、運 用 管 理 体 制も大きく見 直して負荷 の 低
減を図ったという。
“自働 サーバー”と形 容さ
れる HP ProLiant Gen8 サーバーならではの自
己 診 断・通報機 能、
「 iLO4」によるリモート管
理機能を積 極的に活用するとともに、
「 HP サ
ポートプラス 24」を採用して“ 24 時間 365 日+
当日 4 時間以内のオンサイト保守”という体制
を整えた。
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