第 章 1 東レ㈱ 第 章 2 第 章 3 有機薄膜太陽電池用ポリマーを開発 【本社】〒 103-8666 東京都中央区日本橋室町 2-1-1 Tel.03-3245-5111 【URL】http://www.toray.co.jp/ 【生産能力】― 【設備投資額】― 【担当部署】― これまでに開発したドナー材料の N-P7(Eg = セル効率 10.6%実現 1.95eV)は、チオフェン環の数を調整すること 第 章 4 第 章 5 第 章 6 2005 年から有機薄膜太陽電池(OPV)の研究 で、一般的なドナー高分子材料である P3HT よ に取り組んでいる。これまでに、高い開放電圧 りも深い HOMO(− 5.37eV)を実現し、結果、 (Voc)が得られる新規ポリマー材料(N-P7)を 高い解放電圧(0.99V)を得ることができた。こ 2 開発し、ミニセル(25mm )で 5.5%の効率を実 の N-P7 と 70PCBM を組み合わせたセルで変換 現していたが、光吸収能力およびキャリア移動 効率 5.5%(Jsc 9.72mA/cm2、Voc 0.99V、FF 度が高いチオフェン系新規ポリマーを新たに開 0.754)を達成したが、依然として、短絡電流が 発した。反射率の高い銀裏面電極と表面反射防 小さいという課題があった。 止フィルムの採用、さらには発電層を 300nm こうした課題を解決するため、新たに開発し に厚膜化することで、ほぼ太陽光のフォトンを たのが「Polymer-1」というドナー材料である。 吸収できるようになり、変換効率 10.6%を実現 「Polymer-1」は、主鎖・側鎖の構造を最適化し、 した。 平面性を高くすることで、高い吸光係数と高い 現在、用途開発に向けて様々な企業と協業し キャリア移動度を両立することができた。キャ ており、早ければ 15 年の実用化を目指してい リア移動度は他のドナー材料、例えば、P3HT る。 や N-P7 などと比較して、1 桁以上高い数値と 第 章 7 なっている。 太陽光のフォトンをすべて吸収 また、吸収端波長は N-P7 が 650nm 程度だっ たのに対し、「Polymer-1」は 800nm 近くまで 第 東レは、OPV の変換効率向上に不可欠なポ 拡大し、長波長の光吸収能力が高まった。さら リマー系ドナー材料の開発に力を入れている。 に、ナノレベルで相分離した理想的なバルクヘ 章 テロ構造を実現するため、発電層の成膜条件を 8 最適化した非加熱塗布法という新たな成膜方法 を導入した。 第 章 この新規ポリマーとアクセプター材料である 70PCBM を組み合わせることで、バルクヘテロ 9 接合型の有機薄膜太陽電池を作製した。当初は、 発電層の膜厚 130nm で 16.1mA/cm2 の短絡電 流と、9.0%の変換効率を実現したが、さらな 第 る短絡電流の向上を図るため、膜厚を 300nm 章 10 に厚膜化するとともに、裏面に銀電極と反射層 試作した有機薄膜太陽電池 第 章 11 66 (BCP / LiF)を配置した。300nm の厚膜にす 太陽光発電産業総覧 2015 新たな成長ステージに入った太陽光発電 主要企業 250 社の事業戦略と展望 第 章 1 Ningbo Solar Electric Power Co., Ltd. 第 中国の太陽電池製造の老舗メーカー 2 2 期あわせて、年産能力は合計 350MW に到達 3 ニンポーソーラー(寧波太陽能電源有限公 した。10 年末には 500MW 化した。11 年に年 司、 Ningbo Solar Electric Power Co., Ltd.) は、 産能力を 650MW に引き上げた。 グループ再編で垂直統合化 章 メーカーだ。中国の太陽電池メーカーとして 第 1978 年に国営企業として設立された太陽電池 章 のうち、50 ∼ 100MW が生産開始。第 1 期と第 第 1978 年設立の太陽電池メーカー 章 【本社】〒 315040 寧波高新区星光路 211 号 Tel.+86-574-87121761 【URL】http://www.nbsolar.com/ 【生産能力】 (2013 年末)650MW、 (2014 年末)650MW 【設備投資額】― 4 も最も早い時期に設立された企業の 1 社といえ に、単結晶型のシリコンインゴットを引き上げ ル製造に加え、ウエハーも内製化している。さ た。ニンポーソーラーは 78 年の設立当時、浙 らに、グループ企業には太陽光発電システム 江省の寧波市で太陽電池の生産を始めた。太陽 メーカーなどもある。今後は太陽電池の部材確 電池セルだけでなく、セル製造に使う部材や太 保が重要と考え、ポリシリコン(多結晶シリコ 陽電池モジュール、太陽光発電システムに使う ン材料)やシリコンインゴットの製造にも進出 各種コントローラーやインバーターなども生産 した。 した。 07 年に多結晶シリコン材料プラントの建設 5 第 ニンポーソーラーは太陽電池セルとモジュー 第 章 る。すでに前身の研究機関時代にあたる 66 年 章 6 を計画し、衢州市に 56 万 m の用地を確保した。 業や、遠隔地の通信基地局などに独立型の太陽 3 期に分けて投資を行い、年産能力 3000t のプ 光発電システムを導入した。現在は中国以外に ラント 3 基(合計 9000t)の建設を計画していた も海外(欧米やアフリカ、東南アジアなど)に太 が、計画は遅れている。 7 陽電池関連製品を輸出している。 インゴット製造では、寧波市の多結晶型イン 章 90 年代は中国内陸部の無電化村落の電化事 第 2 ゴットメーカーの SIPV(寧波晶元太陽能有限 公司)に出資し、 子会社化した。SIPVのインゴッ ニンポーソーラーは、2000 年までは中国市 章 ト年産能力は 09 年末時点で約 150MW 規模と 第 寧波ハイテクパークに新工場建設 8 みられる。 場向けの製造・販売を中心に、地道に太陽電池 12 ∼ 14 年は不況で生産停滞 電池ブームに乗り、事業拡大のペースを加速 地(敷地面積 8 万 m2)を確保し、工場建設に着 池メーカーは不良在庫と価格下落に悩まされ 手した。ここでウエハー加工、太陽電池セルと た。その結果、12 ∼ 13 年は設備投資を見送る モジュール製造を行う。第 1 期投資は年産能力 メーカーがほとんどになっている。寧波ソー 200MW のラインを導入し、量産体制に入った。 ラーはまだ1GWに満たない中堅メーカーだが、 さらに 09 年内に第 2 期投資の年産能力 150MW 不況の影響で工場の稼働率は低下した。今後の 章 155 10 第 第 5 章 中国の太陽電池メーカーの動向と戦略 9 章 世界的な太陽電池不況により、中国の太陽電 第 させた。07 年に寧波高新技術園区に新工場用 第 章 事業を展開してきた。05 年以降は中国の太陽 11 第 章 1 ネクストエナジー・アンド・リソース㈱ 第 章 2 SI とモジュールを提供 【本社】〒 399-4117 長野県駒ヶ根市赤穂 11465-6 Tel.0265-98-6800 【URL】http://www.nextenergy.jp/ 【主要生産品目】太陽光発電システム設置、モジュール生産販売、リユース、グリーン電力供給 【担当部署】 第 部材選定からファイナンス・保険まで 章 全子会社とした。丸福久保田組は、これに伴い 3 第 章 4 第 章 5 を純粋持株会社とし、両社をこの新設会社の完 ネクストエナジー・アンド・リソース㈱は、 社名を「福美建設株式会社」に変更した。 両社は、 システムインテグレーター(SI)やモジュール 互いのノウハウを活かして、陸置き太陽光発電 製造・販売の事業を基本に、部材選定からファ 所建設事業を共同で受注するなど事業を拡大し イナンス、保険のコンサルティングに至るま てきたが、太陽光発電の分野における競争の激 で、 ワンストップのSIサービスを展開している。 化が予想される中、ホールディングス化によっ 海外で数多くの導入実績を持つドイツ SMA 社 て組織の一体化を図り、体制を強化する必要が のパワーコンディショナーや HILTI 社の架台を あると判断した。 日本でいち早く採用している。成功の原動力と なったのが、実は中古モジュールの再利用事業。 杭基礎打器を独自開発 報道で紹介されて評判になり、本業の受注拡大 独自開発の杭基礎打器「ネクストパイラー」 など評価装置を導入して自前で中古モジュール を用いて施工性を大幅に向上させた架台施工 を評価しており、そこから太陽電池に関する豊 法は、㈱リサイクルワン、ミツウロコグリー 富な知見を得ている。 ンエネルギー㈱およびリース会社の 3 社によ 同社は、自然エネルギーの事業化を目指し、 る出資法人「㈱富津ソーラー」(千葉県富津市、 第 2003 年 13 月に設立された。当初は小水力発電 40.36MW 出力)の建設現場に導入された。汎 章 を手がけていたが、水利権など様々な問題がつ 用機であるバックホウのブレーカーユニット部 きまとう難しい事業であることが分かり、太陽 に簡単に取り付けでき、複数台投入によって同 光発電に宗旨替えしたが、最初はなかなかうま 時に数カ所での作業も可能となるため、工期の 第 くいかなかった。しかし、産業技術総合研究所 大幅な短縮とコスト削減に貢献する。 章 などの研究機関から使用済みのモジュールを仕 また同社の太陽電池モジュールは、鹿島建設 入れたのを契機に、太陽電池の再利用事業を発 のメガソーラー「那須ちふり太陽光発電事業」 第 にもつながった。 今も、ソーラーシミュレーター 章 6 7 8 第 章 9 第 章 10 第 章 11 想した。その事業が報道で紹介されて知名度が (栃木県那須郡那須町大字豊原乙字大畑、最大 向上、本業である SI 事業やモジュール販売の受 出力約 2MW)に採用され、13 年 10 月に設置完 注獲得にも繋がった。再利用では、独自にソー 了した。ネクストエナジーはモジュールの納 ラーシミュレーターなどの評価装置を揃え、モ 品とメンテナンスサービスを一括して担った。 ジュールやパワコンを評価している。 採用されたモジュールは 6 インチの単結晶シリ 13 年には、同社と丸福久保田組は両社発行済 コン太陽電池セルを用い、1 枚あたりの出力は 株式のすべてを、新設したネクストホールディ 245W。 ングス㈱に取得させる株式移転を実行し、同社 276 太陽光発電産業総覧 2015 新たな成長ステージに入った太陽光発電 主要企業 250 社の事業戦略と展望 第 章 1 三井化学㈱ 第 太陽電池用部材に加えて、コンサル事業にも参入 2 モノシランガスは、87 年から商業生産を開 3 章 図るため、国内の 2 系列を減損処理した。 第 ポリオレフィン系封止材強化 章 【本社】〒 105-7117 東京都港区東新橋 1-5-2 Tel.03-6253-2100 【URL】http://jp.mitsuichem.com/ 【主要生産品目】封止材、バックシート 【担当部署】― 始しており、現在は大阪工場で年産 200t 規模 バックシート用ガスバリアフィルム、薄膜シリ で量産している。モノシランガスについても価 コン太陽電池用モノシランガス、クリーニング 格競争が厳しい状況が続いているが、同社では、 用 NF3 ガス、接着剤(タケネート、テケラック) 併産するジシランの収率を高めることで、シラ などを提供している。 ン系ガスの収益性改善を図るとしている。 太陽電池用 EVA 封止材「ソーラーエバ」は、 最近では、独自の材料設計技術とフィルム加 これまで、国内(勝田工場、名古屋工場、生産能 工技術を融合した高透明&ハイガスバリアフィ 力4万t) で生産していたが、12年8月からマレー ルムの開発に取り組んでいる。高透明&ハイガ シア(マラッカ)で新プラント(年産 1 万 t)が稼 スバリアフィルムは、ベースの PET フィルムの 働を開始した。ただ、12 年度は販売数量およ 上に有機/無機層を形成した構造になってい び価格が大幅に低下し、収益性が悪化したため、 る。 12 年度に国内の生産拠点で生産設備の減損処 無機材を溶媒に溶かすことで、オールウエッ 理を行い、 生産能力を 4 系列(3 万 t)に集約した。 トプロセスで成膜できるのが大きな強みで、溶 ただ、EVA 封止材については、市場環境は 媒は成膜後に百数十度で乾燥すること除去で 厳しいことから、国内では今後、ポリオレフィ きるという。10-5 から 10-6g/m2・d という高い ン(PO)系の「ソーラーエース」に比重を移し、 バリア性を有しており、光線透過率は 91%。 第 EVA 系の「ソーラーエバ」については、コスト 300mm 幅のフィルムをロール・ツー・ロール 7 競争力のあるマレーシアに集約する方針を打ち プロセスで製造できる耐性を整えており、有機 出している。 EL や有機薄膜太陽電池への応用を目指してい 太陽電池用封止材を含むフィルム・シートセ る。 章 4 第 章 5 第 章 6 章 第 章 グメントの 12 年度売上高は 748 億円、営業損 益は 33 億円の赤字だったが、13 年度は売上高 第 太陽電池関連部材として、太陽電池用封止材、 8 コンサルティング事業に参入 が 799 億円、営業利益は 9 億円に回復した。太 14 年には、ドイツの PI Photovoltaik-Institut 販売が伸び、 新製品の拡販やコスト削減などで、 Berlin AG(PI ベルリン)と共同で、太陽光発電 増益になった。 に関する診断及びコンサルティング事業を開始 クリーニング用ガスの NF3 は、「電解一段法」 することを明らかにした。 という独自の方法で製造している。日本(下関) 太陽光発電の先進地である欧州では、多くの 発電所でパネルの発電不良などのトラブルが発 生し始めており、設置前のモジュールの品質評 厳しいことから、12 年度には生産の最適化を 価や運用時の不具合の早期発見への需要が高 章 345 10 第 第 10 章 太陽電池関連部材メーカーの動向と戦略 9 第 章 および米国(ミシガン州)に 6 系列(年産 1700t) の生産設備があったが、供給過剰で価格競争が 第 章 陽電池用シートについては、国内市場を中心に 11 書 名 ................太陽光発電産業総覧 2015 体裁・頁数 .........B5 判 オフセット刷り 384 頁 定 価 ................22,000 円+税、〒共 この PDF ファイルは株式会社産業タイムズ社が、サンプル閲覧用に作成したものです。 この書類の記事・写真図画等の著作権は株式会社産業タイムズ社、またはその情報の提供者に帰属します。 再配布にあたっては内容の改変を行わないでください。 Copyright (C) 2015 Sangyo Times, Inc. 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