トップメッセージ 2 東京海上日動の現状 2016 平素より、皆様には東京海上日動をお引き立て賜り、 誠にありがとうございます。 当社は、お客様の信頼をあらゆる事業活動の原点に この保険という仕組みを一人でも多くのお客様に利用し ていただき、お役に立つことが私たちの使命だと考えて おります。 おき、お客様への 「安心と安全」 の提供を通じて、豊かで 快適な社会生活と経済の発展に貢献することを経営理念 として、 その実現に向け日々取り組んでおります。 昨年度からスタートしました中期経営計画では、お客様 や地域社会からなくてはならない存在になることを目指し 本年4月14日に熊本県を中心として大規模な地震が て、 「損害サービス対応力の強化」 や 「生保と損保を一体に 発生し、各地で大きな被害が生じました。この度の地震で して保険をお客様に提案すること」 の取り組みを進めてお 被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げますと ります。また、東京海上グループには国内外に専門性の ともに、被災地の復興に向け、社員一同、全力で支援して 高い多くのグループ会社があります。当社はこれらのグ まいりたいと考えております。 ループ会社が持つさまざまなノウハウを積極的に活用し て、お客様により魅力的な商品・サービスを提供すること 我が国では、少子高齢化の進展に伴い人口動態が変化 を目指して日々仕事に取り組んでおります。 していますが、一方で、人工知能等の最新のテクノロジー 社会はこれからも大きく変化していきますが、当社は が幅広く利用され、 日本の社会は今後大きく発展していく いかなる環境変化があろうとも、 「何としてもお客様を ことが期待されています。 こうした中で、リスクも多様化して お守りする」 という強い使命感を持ち、損害保険と生命 おり、巨大化する自然災害、情報技術の進歩に伴うサイ 保険の両面でお客様をお守りする 「世界に類を見ない バーリスク、企業活動のグローバル化に伴う新しいリスク 良い会社 Good Company 」 を創ってまいる所存です。 の増加等が顕在化してきています。当社では、こうした 環境変化の中で、お客様を取り巻くさまざまなリスクや 不安に対して、より確かな備えを提供することができる 皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援を賜り ますようよろしくお願い申し上げます。 「保険」 の役割が今後さらに重要になってくるものと考え ております。 2016年7月 私は日頃から、 「保険は人類が生み出した素晴らしい 取締役社長 知恵・仕組み」 であり、 お客様の いざ をお守りするため、 東京海上日動の現状 2016 3 震災への対応 熊本地震への対応 2016年4月、熊本県を中心として発生した「平成28年(2016年)熊本地震」では、最大マグニチュード7.3を観測し、 大分県を含めて各地で大きな被害が発生しました。 当社では震災発生直後から災害対策本部を設置し、お客様に一日でも早く保険金をお届けできるよう、態勢を強化して取 り組んできました。引き続き全社一丸となって、保険金のお支払いを通じた被災地の復旧・復興支援に取り組んでいきます。 災害対策本部の設置 震災発生直後に、社長の北沢を本部長とする 「本店災害対 • 2013年に本格導入した損害サービスシステム基盤上で、 策本部」 を立ち上げるとともに、現地に先遣隊を派遣し、 「現 全国の損害サービス拠点がリアルタイムにペーパーレスで 地対策本部」 を設置しました。 情報を連携・共有し、遠隔地からも保険金のお支払手続き 等の対応を行いました。これにより、被災地ではお客様対 応や損害確認等に一層注力することができました。 全国の損害サービス拠点 リアルタイム・ ペーパーレスの 情報共有 本店災害対策本部 損害サービス システム基盤 バックアップオフィス 本店災害対策本部 現地対策本部 一日も早く安心をお届けするために サテライトオフィスの設置・運営 事故の受付 • 災害対策本部を設置すると同時に、お客様からの被害のご サテライトオフィス サテライトオフィス サテライトオフィス 連絡を受け付ける態勢を強化しました。 • 新聞・テレビ・ラジオ等も活用し、被災地のお客様へ事故 受付センターのご案内を実施しました。 被災地での損害サービス体制 • サテライトオフィスに派遣された社員、鑑定人、 アジャスター 全店支援態勢の構築 (損害調査員) が、被災されたお客様を訪問し、被害を受け • 通常の事故受付フリーダイヤルに加え、初期対応・各種事 た物件の状況確認を行いました。 務等を集約したバックアップオフィスを設置し、平時よりも 被害のご連絡をいただいていないお客様へのご案内について 約440名増員して対応しました。 • 被害のご連絡をいただいたお客様に迅速に対応するのは • 現地対策本部とともに、サテライトオフィス※を熊本県を中 もちろんのこと、ご請求いただける可能性が高いお客様に 心に複数設置し、全国各地から社員や鑑定人を最大約 も、積極的にお支払可能な保険金のご案内を行っていくこ 840名派遣し、全社を挙げた対応を行いました。 とは、損害保険会社としての社会的使命と考えております。 ※被災エリアで、損害確認等を行うために立ち上げる臨時オフィス • 代理店と連携し、被害の大きな地域で事故のご連絡をい ただいていないお客様については、お見舞いを申し上げる とともに、保険金の ご 請 求についての ご 案 内をさせてい ただきました。 バックアップオフィス (地震保険金ご請求センター) 被害状況の確認 4 東京海上日動の現状 2016 被災されたお客様への対応 ご契約者への特別措置 その他の復旧・復興支援 被害を受けられたご契約者の方への特別措置として、 「更 当社では、震災直後から被災地を支援することを目的とし 新契約のお手続き」 と 「保険料のお払込み」 の期間を猶予し、 て、社員、代理店等への義援金の募集を開始しました。国内 被害を受けられた日から2016年10月末日までにお手続き 外のグループ各社からの義援金と合わせて、東京海上グ (お払込み) くだされば、ご契約を有効にご継続いただけるこ ループとして総額9,100万円を被災地支援に尽力している ととしました。 NGOや熊本県、大分県、各国の赤十字社等に寄附しました。 (2016年6月30日現在) 東日本大震災から5年を迎えた取り組み 当社は、2011年3月の東日本大震災で被災されたお客様の生活や事業の復旧・復興に向け、全国から延べ約1万人の 要員を投入し、代理店と一体となって迅速な保険金のお支払いに努めてきました。震災から5年が経過しましたが、 「震災を 忘れることなく、私たちに何ができるのか」を問い続け、社内外で各種取り組みを行っています。今後も記憶を風化させるこ となく、一人ひとりができることを続けていきます。 被災地復興支援・防災推進に関する情報 発信と思いの共有 フォーラムの開催 東日本大震災から5年となる2016年3月に3つのフォー ラムを通じて、当社の被災地復興・防災推進に向けた取り 組みを発信し、多数の参加者と今後の継続的な取り組みに 向けた思いを共有しました。 社内イベントの開催 「いま私たちにできること」 名称 開催日・場所 内容 国連国際防災戦 略事務局 (UNISDR) ・ 民間セクター・ アライアンス主催 フォーラム 2016年 3月11日 東京 マングローブ植林プロジェクトに よる生態系サービスの経済的価 値に関する情報発信。 仙台市主催 「仙台防災未来 フォーラム 2016」 2016年 3月12日 仙台 産学連携による津波リスク評価 研究や防災啓発等の総合的な 被害軽減対応の成果発表。 2016年 3月13日 仙台 東北大学との最新の産学連携研 究成果の発表や自治体、企業、 NPO、保険代理店が一堂に会し たパネルディスカッションを通じ、 被災地復興支援や防災推進に向 けた思いを参加者と共有。 東京海上日動・ 東北大学主催 「震災を忘れない フォーラム」 2016年3月11日、東北ブロックで勤務する社員を中心 に、社内イベント 「いま私たちにできること」 を開催しました。 社長をはじめ多くの社員が参加し、講演やディスカッショ ンを通して、被災地の復興と成長、そしてこれまで取り組ん できたことを振り返るとともに、東北の未来のために何がで きるかを一人ひとりがあらためて考える機会となりました。 東京海上日動の現状 2016 5 トピックス テレマティクスサービス 「ドライブエージェント」 の開発 新商品 「D&Oマネジメントパッケージ」 の発売 近年、 コーポレートガバナンスの強化や、グローバル化の進 当社は、先進的なテレマティクス技術を活用し、お客様の 展により、役員の透明性・公平性が強く求められています。 ま 「いざ」 というときにお役に立ち、さらなる安心・安全をご提 た、株主代表訴訟や第三者訴訟による賠償額も高額化してお 供するため、パイオニア株式会社と協業して法人向けサー ビス 「ドライブエージェント」 を開発しました。 り、役員個人のリスク対策への重要性が高まっています。 このような環境を踏まえ、当社は従来の会社役員賠償責 「ドライブエージェント」 は、映像の記録や通信機能を有す 任保険 (D&O保険) の補償を大幅に拡大し、経営者のリスク る 「ミラー型テレマティクス端末」 を活用し、①高度な事故対 を包括的に補償する 「D&Oマネジメントパッケージ」 を開発 応サービス、②安全運転支援コンサルティング、③事故防止 し、2016年4月に発売しました。 支援機能を提供するものです。 新商品では、会社から役員が訴えられた場合の補償も対 今後も高度な損害サービス対応や事故削減に資する取 り組みを進めていきます。 象とし、また役員個人が負担する費用の拡充に加え、会社が 負担した社内調査などの費用も補償します。 今後も企業の役員・経営者の皆様にご安心いただける商 品・サービスの開発に取り組んでいきます。 訪日外国人向け 新型海外旅行保険の発売 訪日外国人の増加に伴い、訪日外国人の不慮のケガ・病 5インチのタッチパネル ディスプレイを内蔵。 気等の際の安心・安全を確保するための取り組みが官民で 進められています。 当社は、2016年7月より訪日外国人旅行者が日本国内で 背面(フロントガラス側) ケガや病気等を被った場合の治療費用や、患者・遺体の本国 に広 角カメラを内 蔵し、 「TOKIO 等への移送費用等を補償する新しい海外旅行保険 映像の記録や車線の逸 脱検知等が可能。 OMOTENASHI POLICY」 の販売を開始しました。 日本入国後にスマートフォンやタブレットで簡単に加入す 自動運転車の公道実証実験への参画について ることができ、 「治療費キャッシュレスサービス」 「電話による 当社は、自動運転技術の進展や自動運転車の公道実証実 通訳サービス」 に加えて、無料Wi-Fiや翻訳といった外国人 験の本格化を踏まえ、損害保険会社として初めて公道実証 旅行者にニーズの高い機能を備えた 「アプリケーションサー 実験に参画することになりました。 また、実験の円滑かつ持続 ビス」 (当社専用スマートフォンアプリ) を付帯しています。 的な実施をサポートするため、公道実証実験向けの専用保険 を開発しました。 当社はこれらの商品・サービスの提供を通じて、快適な 訪日旅行をサポートするとともに、 「自動運転車の公道実証実験専用保険」 は、実験を後押し より外国人を受け入れやすい環境 し、さらなる技術進展に寄与するものとして、世界レベルで保 整備への貢献を目指していきます。 険会社のイノベイティブな取り組みを表彰するコンテスト※ で、第二位にあたる S i l ver を受賞しました。 技術進展に伴う新たなリスクに対応することは、損害保険 事業の根幹であり、自動運転技術の進展を見据えた研究や、 実験で得た知見を活かし、当社の経営理念である 「安心と安 全」 の提供に向け、取り組みを進めていきます。 ※E fmaがアクセンチュアと共催する I nnova t i oni nI nsur ance Awa rds の Bes t Disruptive Product or Serviceの部 6 東京海上日動の現状 2016 TOKIO OMOTENASHI アプリ 新企業CM 「挑戦シリーズ 『東京2020 挑戦者たち』篇」 放送開始 健康経営への取り組み お客様に信頼され、 選ばれる会社であり続けるために、その 当社は、2015年7月より新企業CM「挑戦シリーズ『東京 原動力となる社員とその家族の心身の健康は重要なテーマと 2020 挑戦者たち』篇」 の放送を開始しました。本CMでは、 考えています。東京海上グループの目指す GoodCompany 当社が 「東京2020ゴールドパートナー(損害保険カテゴ を創る原点は、健康経営そのものであるという理念に基づ リー) 」 として、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大 き、健康管理を統轄する役員のもと、健康経営の推進体制を 会の成功に向けて、 アスリート・人・社会の挑戦を応援してい 構築し、社員の健康増進、生活習慣の改善等に積極的に取り きたいという思いをお伝えしています。アスリートが戦いに挑 組んでいます。 また、お客様企業に対する健康経営推進の支 む姿と重ねて、人々の人生の中にあふれているさまざまな挑 援や、健康経営普及に向けた情報発信も行っています。 戦と、 その挑戦に向き合う感情をストレートに表現しました。 「挑戦シリーズ」 は、災害発生時などの有事の 「いざ」 はもち ろんのこと、人や社会が新たな一歩を踏み出すときの、前向 こうした取り組みにより、東京海上ホールディングスは健 康経営に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が 共同で選定する 「健康経営銘柄2016」 に選定されました。 きな 「いざ」 についても支えられる存在でありたいという思い また、当社は、高い安全衛生水準を維持・改善している企 を込めて、 「すべての挑戦を応援していきたい」 というテーマ 業として、厚生労働省が実施する 「安全衛生優良企業公表制 で展開しています。 度」 において、東京都で第一号の認定企業となりました。 これからも社員一人ひとりが健康の保持・増進に努める ように環境を整え、企業価値の向上に積極的に取り組んでい きます。 2015年度 「なでしこ銘柄」 選定 東京海上ホールディングスは、女性の活躍推進に優れた 上場企業として、経済産業省と東京証券取引所が共同で主 催する、2015年度「なでしこ銘柄」 に選定されました。 2015年度は26業種から45社の企業が選定され、同社は 2013年度に続き、2度目の選定となりました。 多様な価値観を持ち、性別・年齢・国籍等にかかわらず 能力を最大限発揮することが、お客様に提供する商品・サー ビスの品質を高めるうえでも重要であると考え、今後も女性 活躍推進・ダイバーシティ推進に取り組んでいきます。 東京海上日動の現状 2016 7 トピックス 米国スペシャルティ保険グループ HCC社の買収手続き完了について 東京海上ホールディングスは、2015年10月、米国スペ ※ シャルティ保険グループ 「HCCインシュアランス・ホールディ ングス社」 (以下 「HCC社」 ) の買収手続きを完了しました。 HCC社は、米国全州および英国・スペイン等で事業展開 ミャンマー・ヤンゴン支社の開業 2015年7月23日、当社はミャンマーにヤンゴン支社を開 設し、同年7月と8月に開業パーティを開催しました。 当社は1997年からミャンマーにヤンゴン駐在員事務所を 設け、お客様への各種情報の提供を行ってまいりましたが、 お客様へのサービス体制を強化し、ビジネスの拡大を図るこ する世界トップクラスの優良スペシャルティ保険グループで、 とを目的として、ティラワ経済特区内における保険営業免許 参入している多くの市場で強固な競争優位性を確立し、高い を取得しました。 収益性・成長性・健全性を実現しています。 本買収を通じて、海外保険事業のさらなる拡大とともに、 今後、ティラワ経済特区内での元受営業および経済特区 外での再保険ビジネスを拡大していきます。 東京海上グループとHCC社が、相互に事業の理解を深め、 価値観を共有しながら、将来にわたって成長を実現できるグ ループを築いていきます。 ※ スペシャルティ保険とは、一般の保険ではカバーされないような特定のリ スクを対象とし、専門性の高いアンダーライティング力や技術力を必要と する保険です。 マングローブ植林によって生み出された価値 について 当社はアジア・太平洋地域で行っているマングローブ植林 プロジェクトについて外部機関に調査を委託し、 国際的に認め られた方法論に従い評価したところ、1999年4月から2014 米国におけるさらなる成長の取り組み 年3月末までの間に生み出された経済価値が、累計で約350 東京海上ホールディングスのグループ企業であるトウキョ 億円に達しているとの試算結果を得ました。植林面積は2016 ウ・マリン・マネジメント (以下 「TMM」 ) は、2015年7月に 年3月末累計で約9,474ヘクタールとなり、2009年度から7 「ダラス支店」 を、2016年4月に 「サンフランシスコ支店」 と 年連続でカーボン・ニュートラルを実現しています。 また、これ 「コロンバス支店」 を開業しました。 までに16回植林ツアーを実施。社員やその家族等、延べ約 米国南部に位置し、全米有数の都市圏を構成するダラス、 500名がボランティアとして参加し、 マングローブの森づくりに 西海岸における金融・ハイテクノロジーの中心地であるサン 貢献しています。 フランシスコ・シリコンバレー、オハイオ州の中心に位置する 生態系サービス コロンバスは、日系企業を含む国内外からの投資や産業の 成長により、今後もマーケットの拡大が期待されています。 TMMは、これまで全米7支店体制のもと、各種保険の引 受やサービスを提供してきましたが、今後も大きな成長が期 待される地域への支店開設を通じ、より先進的かつ高品質な リスクマネジメントサービスの提供に努めていきます。 累計価値 (1) マングローブ生産物収穫量 約87.1億円 (2)環境外の漁業生産性の支援 約81.5億円 (3)海岸線の安定化と浸食防止 約73.5億円 (4)極端な気象からの避難所 (被害軽減) 約57.7億円 (5)水質調整 約47.1億円 (6)炭素隔離 (気候変動の緩和) 合計 約3.4億円 約350.3億円 マングローブ植林によって生み出された価値の試算結果 8 東京海上日動の現状 2016
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