特別企画 20件だった婚礼がたった2カ月で30件超えに年間相互の協力が実現した “三方よし” の提携ホテルボストンプラザ草津ホテルボストンプラザ草津常務取締役総支配人南義彦氏副総支配人井口高志氏婚礼支配人武久和浩氏チーフウエディングコンシェルジュ松田優子氏 2011年にチャペルを新設し独自の運営を行なうも年間受注件数が20 件と伸び悩んだボストンプラザ草津は、プロの力を借りるために2013 年5月よりT&G社と提携を開始。すると施設もプランも変更していないにもかかわらず、提携後わずか2カ月で獲得件数が30件を超えるという驚異的な成果を出している。そこにはどんな取り組みがあったのか。総支配人の南氏、副総支配人の井口氏、婚礼支配人としてT&Gより派遣された武久氏に聞いた。 Yoshihiko Minami 1968年滋賀県草津市生まれ。日本初の旅行会社・日本旅行創業者である南新助のひ孫。92年㈱日本旅行入社。営業と添乗業務に明け暮れる。2001年退社。同年温浴事業開発に着手し、癒し太閤ねねの湯（山科）にてオープン後も総支配人を務める。03年南興業㈱ホテルボストンプラザ草津に入社。05年管理支配人。06年管理部長。09年宿泊支配人兼務を経て、11年常務取締役総支配人。現在に至る。 62 ― 2013.8.30 ― 素質あるスタッフに成長機会を 3年後には100件を目指しましょうと与えられていないという責任感おっしゃっていただいているのですが、最初は「本当にそこまでできる蜷まず、婚礼の外部委託を検討されのだろうか？」とまったく現実的に考た背景を教えてください。えられていなかったのですが、今で南はもしかしたらできるのかもしれない私たちのホテルでは2011年のと感じ始めています。サウスウィング新設の際にチャペルも新設し、10月よりボストンウエディンそして何よりうれしいのは、T&G グをスタートさせました。まずは1年さんから来たスタッフの方ではなく、間様子を見てみて50件くらいは行けうちにいたスタッフが婚礼をどんどたらいいなと考えていたのですが。ん獲得できるようになっているとい結果として20件にとどまりました。しうことです。かも、そこから伸びていくという見込スタッフも大きく成長みも感じられない。 “三方よし” の結果に開始当初は外部から採用した責任者もいたのですが、その後不在となり、私も副総支配人の井口も婚礼は経験がありませんでしたので、せっかくスタッフもいて、一生懸命やっていて、もしかしたらものすごく伸びる Takashi Iguchi 1971年京都府京都市生まれ。95年ホテルボストンプラザ草津オープニングスタッフとして入社。96年同ホテルオープン販売促進課勤務（宴会セールス）主任→係長 →副支配人を経て2006年販売促進課支配人を務める。 11年ホテルボストンプラザ草津副総支配人。現在に至る。蜷実際にスタッフも成長したと？南例えば、成約率30％だったスタッフが今では70％を超えるまでになっています。6月だけで見たら77％、信じられません。ホテル全体の成約素質があるかもしれないのにそういった機会をあげられていない。これそしてもう一点、お話が双方良いは自分の責任だと。そこからでした。雰囲気で進んでいった中で、T&Gさ率も20％くらいだったのが現在では 60％まで伸びています。んの方から、「一度待ってほしい。自実際スタッフたちも楽しそうに働い蜷外部委託を検討された中で、なぜ分たちがしっかりと成果を出せるかていますし、本当に良かったです。 T&Gだったのでしょうか？どうかをしっかりと調べさせていた伸びる素質を持ったスタッフがもと南だいて、できるとなったらぜひやらせもといて、T&Gさんが来てくれたおする提案をしてくださった点が大きてください」と、すぐにOKではなく、かげで成長できた。本人は楽しそうかったですね。双方がWIN-WINになれるように真に働いていますし、ホテルとしてもビ蘆当初の契約でたくさんのお金を払剣に考えてくださったのも信頼が持ジネスとして結果が出ているわけでてました。すからうれしいですし、当然お客さ私たちの希望にしっかりと合致うことは考えていないまも喜んでくださっています。本当に蘆スタッフが大量に入ってきて、というのも既存スタッフが委縮するの提携2カ月で驚くべき効果が “三方よし”で、近江商人の滋賀県らしい話です（笑）。で避けたい蘆外部から来た人が成果を出すの蜷提携を開始されたまだ2カ月半くではなく、既存スタッフが成果をらいですが、成果は出ていますか？蜷T&Gから来ている武久さんはどん出せるようにしてほしい南な教育をしたのでしょうか？蘆数年後には再度自社運営に挑戦したいかなりわがままではありますが、それをT&Gさんは受けてくださりました。驚くほど出ています。当初1年間で20件だった婚礼が提携開始わ武久ずか2カ月半で30件と信じられない景にはいろいろな要因があると思っくらいの成果です。ています。 T&Gさんのお話では初年度60件、大きく伸びていますがその背まず、このボストンプラザにはもと ― 2013.8.30 ― 63 特別企画もと大きなポテンシャルがありまし武久ホテルがとても協力的だったた。施設も素晴らしいですし、スタ点です。当然これまでと違うことをッフもものすごく一生懸命頑張っていするようになるわけですが、私からる方たちでした。そういったところにの提案に対して南総支配人、井口副ちょっとした考え方とか、テクニック総支配人はじめ、本当にホテルの方をお伝えしただけです。全員が協力してくださりました。総料ありがちなのは、自分のホテルに理長だって新規接客に「いつでも呼長くいると素晴らしい強みも当たり前んでくれ」と言ってくれています。こに感じてしまって、そこをしっかりとの協力がなければこれだけ早く成果 PRできなかったりすることがありまを出すのは難しかったと思います。す。それを「もっとしっかりとPRして南もいいのでは？」などアドバイスをしたのですから、協力するのは当然ですりしました。料金体系やプランを変えよ。それと、武久さんというキャラクたとか、そういうことはありません。ターも良かったと思いますよ。コン良くするために来てくれているサルタントのような感じではなく、みスタッフの婚礼に対する協力姿勢が変わった蜷実際に武久さんの上司としてホテルのオペレーションに関して全体を見ていらっしゃる井口副総支配人か Kazuhiro Takehisa 1976年福岡県北九州市生まれ。2000年名古屋マリオットアソシアホテル名古屋開業準備室にレストランサービス・キャプテンとして入社。02年長野県ワイナリーレストランサンクゼールに入社しレストラン支配人兼ブライダル支配人として勤務。08年㈱シェラリゾート白馬入社レストラン支配人を経て同ホテル支配人兼ブライダル支配人として従事。12年㈱テイクアンドギヴ・ニーズ入社、事業推進部マネージャーとして従事。13年5月ホテルボストンプラザ草津婚礼支配人として配属、現在に至る。んなに自分から飛び込んで、すぐ打ち解けて仲良くなっていったというか。まだ3カ月でしたっけ？もうずっと前からいるみたいな感じです。井口実際、多くのスタッフと飲みに行ったり食事に行ったり、積極的にコミュニケーションをとりに行っていら見て、どの点が変わったと感じてる努力の成果もあると思います。いますか？婚礼スタッフ以外の、ホテルれましたね。私たちはどうしても長にいるスタッフ全員が婚礼にかかわい付き合いもありますし、また一般成約率が大きく向上しっている、という意識が生まれてき的にはこれくらいのパーセンテージ広告にも前向きにています。以前はあまりそういう意が平均とか分かってはいるのです識を感じることはなかったのですが、婚礼件数が少ない中ではどうし蜷まだ伸びしろはあるとお考えですが、T&Gさんが入って宿泊も、レスても交渉がしづらいものです。そういか？トランも、調理も、全員でブライダルう中でT＆Gさんが来て交渉をしてく武久を盛り上げていこうと努力をしていださりました。実際これだけ伸びて広告の出し方など見せる部分を強化ますね。まだ発展途上の部分もありいるわけですし、交渉もしやすいとすれば実際のイメージがわきやすくますが、もっと協力体制が強くなれいうのもありますよね。なり、成約率の向上につながると思井口っています。それ以外に単価アップばさらなる受注にもつながるのでは思っています。相互の積極的な協力がの施策もいろいろとありますので、大きな成果にこれから取り組んでいきたいと思い婚礼が伸びているから価格交渉も可能にはい。例えば会場の装花やます。蜷武久さんからみて、どうしてここま南で大きな成果が出たのか、当然ポテ低いとどうしても厳しい見方をしてし蜷T&Gが入ってほかに変わった点はンシャルがあったのも一つの要因かまいますが、今のように成約率が上ありますか？と思いますが、それ以外に何か考えがってくるとこれだけ出せばどのくら南られますか？い集客できて成約につながって、と 64 パートナー企業との交渉もしてく ― 2013.8.30 ― 広告も、以前のように成約率がたちのことを考えてくれた」と思って描けますし積極的になれますね。もらえるように、それは心の底から思蜷良いことづくめに感じますが、現っていないと伝わりませんからね。在の課題はありますか？自分ができる親切は全部やろうと、南そう思っています。親切に一切コス前向きな課題ですが、今スタットはかかりませんし。フに言っているのは「なぜ伸びたのか」をしっかりと考え分析しろという仕事が今までで一番楽しい点ですね。ただT&Gさん、武久さんが来たから、ではいけない。個々が蜷仕事が楽しくなりましたか？そこをしっかりと考えて理解し、今後ものすごく楽しいです。以前からに生かしなさいということですね。井口私はこのホテルが大好きでしたのあとは、婚礼がこれだけ伸びている中で今後人材をどうしていくで、仕事も大好きだったのですが、か、ですね。もしかしたら今婚礼以外実績が伸びないときは苦しいときものスタッフでも婚礼が適したスタッフありました。でも、今は今までで一番がいるかもしれません。これも前向きな課題です。自分のホテルの良さに気付けていなかった Yuko Matsuda 1975年滋賀県守山市生まれ。97年大学卒業後、ホテルボストンプラザ草津に入社。宿泊課へ配属されフロント 8年勤務の後2005年販売促進課に配属。宴会セール兼ウエディングプランナーを経て販売促進課主任、チーフウエディングコンシェルジュに就任。楽しいですね。ホテルもT&Gさんも結果出そうと協力をしてくださっていますし。今までやり方が分からなかったところに対して、道をつくってくれたというか、本当に大きいですね。そう蜷婚礼セールスの松田さんは、T&G るので一応見に来た」という人に対いうさまざまなサポートで私たちも心との提携でどう変わりましたか？して、正直半分心の中ではあきらめに余裕ができて、より集中できるよ松田お客さまにこのホテルを提案ていた自分がいました。ですが、今うになりました。する中で気づいていなかった点がたでは「第一希望はかなえられませんくさんあったこと、そして良い所も伝が、それ以外の希望は全部かなえらえきれていなかったという点がたくれるのがボストンプラザです。ほかさんありました。にもこんな素晴らしい点もあります」蜷ホテルとしての目標は100件といと積極的に提案ができます。うことですが。私はこのホテルに勤めて長いのでさらに高い目標に向けてすが、長く勤めるが故にお客さまか今思えばそういうお客さまにすごら見て良い所も当たり前になってしく失礼なことをしていたと反省していあります。成約率も単価も、100件まっていて、その良さをうまくアピールます。せっかく大切なお時間を割いも十分可能だと思っています。できていなかったですね。そこを客て来てくださっているのに、私が一南観的な視点で見ていただいて、どこ方的に難しいと半分あきらめていたますからね。正直最初は100件なんが強みなのかを改めて教えていただのですから。て想像もつかない世界でしたが、今いた、自信もつきました。今は全然違います。せっかく来て武久まだまだ良くなる点はたくさん T&Gさんがそうおっしゃってい実際にこうやって結果が出はじめて、くださった方にはこのホテルの良さ少しずつやれるかもしれないという蜷提案の仕方も変わりましたか？を100％知っていただこうと。100％気になってきています。松田気に入ってもらえることは難しいかも例えば…、うちのホテルは琵相互にとって良い結果となるよう琶湖が見えないのですが、以前はしれませんが、「いろいろ見た中で、に、引き続き積極的に協力させてい「琵琶湖が見える所を第一希望でやボストンプラザのプランナーさんが一ただきながらボストンウエディングをりたいと思っている。でも立地もあ番熱いプランナーだったと、一番私つくっていきたいと考えています。 ― 2013.8.30 ― 65