世界のパイオニアたち 2.自動車の誕生から産業化への道のり ● 三輪車から四輪車へ ダイムラーの第1号車 ガソリン自動車の第1号は三輪車でしたが、最初の四輪車は、1893年のベンツの 「ヴィクトリア」です。そして、一回り小さい「ヴェロ」が、1894年に発売 されました。 1 内燃機関の発明 資料:メルセデスベンツ日本提供 自動車の歴史は内燃機関の発明に始まります。その最初の発明は17世紀といわれていますが、「自分で動く」 という自動車本来の機能を持つものは、イギリスのジェームズ・ワットの蒸気機関の発明(1767年)後、本格的に その開発が始まりました。 ● 各国の自動車販売の幕開け ベンツの作った三輪乗用車 フランスでは、ドイツから特許権を得たパナールとプジョーをはじめ、ルノー社 の創始者ルノー兄弟らによって大量生産・販売が始まりました。アメリカで ● キュニョーの自動車 フランス、ルイ14世軍の技術大尉ニコラス・ジョセフ・キュニョーが砲車を牽引するためにつくった巨大な 蒸気車。大きなボイラーをフロントに備えた前輪駆動。時速9kmで走ったといわれますが、荷重が重いため は、1893年にデュリア兄弟によってガソリン自動車の市販が開始され、20世 紀初頭にはフォード社やキャデラック社が誕生しました。 にハンドルがきかず、試運転中に壁に激突、世界で最初の自動車事故としても記録されています。 ● 世界初の自動車製造からガソリン車の開発へ キュニョーが発明した蒸気自動車 資料:メルセデスベンツ日本提供 何世紀にもわたって、馬車にかわる人工の乗り物として自力 ● 高級車の源流 で動く動力源を夢見た人たちがいましたが、ジェームズ・ワッ 蒸気機関を生んだイギリスでは、蒸気バスの台数が増えるにつれて煙や火の トが新しい蒸気機関を開発(1767年)した18世紀の後半になる 制定されていましたが、それが解除されると、待っていたかのようにランチ と、これを自動車の機関にしようという挑戦が始まりました。 ェスターやオースチンなどの自動車会社が続々と設立され、さまざまな市販 世界初の自動車は、フランスの陸軍技術大尉キュニョーが 1769年に製作した「蒸気自動車」といわれています。 ロールス・ロイス シルバーゴースト 粉による公害問題が起きました。そのため、1861年に全面禁止に近い法律も 車が出現していくことになります。なかでもヘンリー・ロイスとC・S・ロール 資料:トヨタ博物館提供 スが1904年に創立したロールス・ロイス社は徹底した品質管理のもとに高級 車をつくり、1906年、傑作として名高い40/50馬力の6気筒車を発表。幽霊 2 ガソリンエンジンの優位性 資料:トヨタ博物館 のように静かでスムーズな走行性と塗色から「シルバーゴースト」と呼ばれ、 高級車の源流となりました。 世界最初の自動車は蒸気を原動力としたものに始まり、ほどなくガソリン、電気、ディーゼル(圧縮着火機関) の順に開発されました。しかし、それらのうちガソリンエンジンが最も効率のよいことがわかると、その後の 開発競争の主力となりました。 ● 自動車発達の歴史 1860年にフランスのルノワールが内燃機関の実用化に成功し、1862年にはこのエンジンを使った自動車の試 ● 蒸気自動車・電気自動車の盛衰 1769年 フランスのキュニヨーが蒸気三輪自動車を試作 19世紀の後半、ガソリン自動車の基礎技術が完成した 1860年 フランスのルノワールが内燃機関の実用化に成功 といわれています。同様に電気自動車や蒸気自動車も 1863年 ドイツのオットーが2サイクル機関を開発 完成度を高め、いずれも相当な台数が街を走っていま 1876年 オットー、4サイクル機関を完成 ドイツのダイムラーがガソリン四輪乗用車を、ドイツの ベンツがガソリン三輪乗用車をそれぞれ完成 した。しかし、1901年の「テキサス油田」の発見のの 1886年 運転にも成功しました。これに刺激されたドイツ人オットーは1863年に2サイクルエンジンを、1876年には ち、ガソリンエンジンの普及に拍車がかかり、蒸気自 1888年 イギリスのダンロップが空気入りゴムタイヤを発明 4サイクルエンジンの開発に成功。今日の高出力エンジンのスタートを切ることになります。この新しい内 動車と電気自動車はともに機構上の問題などによって、 1890年 ドイツのダイムラーが自動車会社を設立 燃機関を自動車に応用しようと、各地で多くの人々がちょうど同じ時期に考え、実行に移しました。そして 自動車工業の舞台から次第に姿を消していきました。 を発明 1892年 ドイツのディーゼルが圧縮着火機関(ディーゼル・エンジン) 1886年に、ドイツのダイムラーとベンツにより現在のガソリンエンジンとほぼ同じものが完成したのを皮切 りに、フランス、イギリス、アメリカなどでも今日に通じるガソリンエンジンの車の生産が始まりました。 1894年 フランスで世界初の自動車レース開催 1900年 ドイツのダイムラー社が電気点火を採用 1902年 ドイツのボッシュが高圧点火装置を完成 1903年 アメリカのフォード社設立 1908年 アメリカのゼネラル・モーターズ社設立
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