1. 転倒危険者を察知する「ナースの直感」の分析研究 研究実施のお知らせ 対象 国立長寿医療研究センターもの忘れセンター外来で、バイオバンク包括同意書取 得済み患者を対象とします。 方法:看護師の直感;もの忘れセンター外来6名の看護師で当日担当2名が外来受診時 の待ち時間30分程度患者様から感じた様子を、転倒危険を3段階(少ない、ややある、 大きい)で判定し電子カルテメモに記入します。 転倒関連検査測定;もの忘れ外来でルティーンに行っている検査項目から 身長、体重、握力 3m up and go テスト (椅子から立ちあがって3m 先のポールを周り椅子に戻 りまでの時間を測定) 10m 歩行速度 足首角度計(20度未満は転倒危険) 転倒スコア(21項目21点満点 10点以上は危険) 転倒検査終了後、1ヶ月以内の転倒 を行い、ナースの直感の意味を 看護師の直感(3段階分類)と過去の転倒 看護師の直感(3段階分類)と転倒スコア(合計点、サブスケール各点) 看護師の直感(3段階分類)と転倒関連検査値 看護師の経験年数による差異は、観察者にはブラインドで、サブ解析で用います。 など統計学的手法で解析します。 研究期間 平成28年 5 月 17 日〜平成29年3月31日 2. 転倒危険者を察知する「ナースの直感」の分析研究の説明書 研究実施説明書 もの忘れ外来に通院されている、患者様を対象に、転倒を察知する看護師の洞察力に 関する研究のご説明を開始いたします。 転倒は太ももの付け根(大腿骨頸部)骨折、手首の骨折の 80%以上の原因です。 大腿骨頸部骨折も手首の骨折も、骨折後は寿命が短くなり大腿骨頸部骨折は寝たきり の原因の4番目に重要です。 もの忘れのあるかたは大体2倍くらい転倒し易いことも知られています。 転倒し易い人を早く発見するため、もの忘れ外来では最新の方法で検査を行って、転 倒予防の指導をしています。今までの検査で今後1年以内に転ぶ確率が高い人を見つ けることは出来ますが、今すぐ危険な人を見つけ、今日から厳重な転倒予防の注意を する人を見つけることは難しいことでした。 看護師は、長年転び易い人を多く見てきているため、ナースの直感がすぐに転ぶ人を 見分けることが可能かも知れません。 外来に来ていただいた人の歩き方や動作から、ナースが直感で(転倒の危険が少ない、 ややある、大きい)に分けて記録し、「危険」かどうか判定します。この判定がもの 忘れ外来で従来行っている、転倒関連の検査データとどう関連するかを分析して、ナ ースの直感を科学的に解明したいという研究です。 患者様や家族はいつも通りに通院していただき、特に追加の検査も費用も発生しませ ん。早く転倒を見つける新しい手段の開発は、ご家族への転倒危険察知と予防にも近 い将来役立つと確信しています。 是非研究にご参加下さりますようお願いいたします。 なお、本研究実施は「転倒危険者を感知する「ナースの直感」の分析研究」(国立長 寿医療研究センター倫理利益相反委員会による倫理審査を経て、機関長の実施許可を 得ています。 研究に参加されてもあらたな負担やリスクは生じません。研究が実施 又は継続されることに同意した場合であっても随時これを撤回でき、同意しないこと 又は同意を撤回することによって不利な取扱いを受けることはございません。 研究に関する研究計画書及や研究の方法、結果に関する資料は、ホームページで概 要を公開します。個人情報等は本研究のみに限って使用し、情報はバイオバンクにて 連結可能匿名化を行い厳重に保管します。 本申請は平成27年度一般社団法人中京 長寿医療研究推進財団医学助成金を用い実施します。 利益相反は該当しません。 研究に対する疑義には適宜対応致します。 研究責任者 鳥羽研二 3. 研究計画書 (1) 研究の名称 転倒危険者を感知する「ナースの直感」の分析研究 (2) 研究の実施体制 研究者名 国立長寿医療研究センター・もの忘れセンター医師 鳥羽 研二 (研究総括) 共同研究者名 所属:国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 看護部 氏名:大久保直樹、三村絵美、三宅 愛、藤﨑あかり、久田真未、竹内さやか (直感データ取得、入力) 所属:国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 氏名:櫻井孝 (転倒関連検査結果取得) 所属:国立長寿医療研究センター 長寿看護・介護研究室 氏名:大島浩子 (統計解析) (3) 目的 看護師の直感が、転倒危険者を見分ける感度が高いという研究報告があるが、 この直感の内容分析や、直感は他の検査方法より早期の転倒を予測するかといった研究 は見当たらない。 本研究では 1)直感と転倒率を照合し、直感の転倒予想が科学的なものか判定し、 2)直感と既存の転倒危険度測定を照合し、直感の中身を分析する。 3)前向きに一ヶ月間転倒を調査し、早期転倒予測に資するか検討する。 方法と研究期間 (4) 測定方法 看護師の直感;2名の看護師が同一症例を、転倒危険を3段階(少ない、ややある、大 きい)で判定し電子カルテメモに記入する。観察時間は直感なので、外来受診時、診察 待ち時間の30分程度で行う。 転倒関連検査測定;もの忘れ外来でルティーンに行っている検査項目を行う 身長、体重、握力 3m up and go テスト (椅子から立ちあがって3m 先のポールを周り 椅子に戻るまでの時間を測定) 10m 歩行速度 足首角度計(20度未満は転倒危険) 転倒スコア(21項目21点満点 10点以上は危険) 転倒検査終了後、1ヶ月以内の転倒 #データ分析方法 看護師の直感(3段階分類)と過去の転倒 看護師の直感(3段階分類)と転倒スコア(合計点、サブスケール各点) 看護師の直感(3段階分類)と転倒関連検査値 看護師の経験年数による差異は、観察者にはブラインドで、サブ解析で用いる 研究期間は平成28年 5 月 16 日〜平成29年3月31日 (5) 対象 国立長寿医療研究センターもの忘れセンター外来で、バイオバンク包括 同意書取得済み患者を対象とする 除外基準;車いす使用者、明確な麻痺、介助歩行の症例は除外する (6) 研究の意義 研究の背景 転倒の危険因子は身体的要因(内的因子)と環境要因(外的因子)がある 内的因子は、歩行機能に関連するバランス、筋力や立位や歩行に影響する疾患、症状、 薬剤に大別される 外的因子は、段差、障害物、階段、坂といった普遍的な要素と床や履物といった個別 の要素に分けられる。 転倒リスク評価は、集団でのスクリーニングでは、普遍的かつ簡便な方法が求められ る(表1)。 複数回転倒には、3m up and go テストが優れているという報告はあ る。しかしながら、既存の方法では、「すぐに転ぶかどうか、特段の付き添いを必要 とするかどうか」の判定方法はない 表 1 測定方法の難易度で分けた、転倒の危険因子 1) 簡便で、機器、熟練したスタッフは不要 転倒歴, ADL, 環境要因アンケート 2) 機器は不要、熟練したスタッフが必要 Timed up and go test, 片足立ち試験, 継ぎ足歩行、歩行速度 3) 機器を要する 重心動揺計, 3 次元歩行解析装置, 足首角度計、筋肉量定量 (CT, DXA) (7) インフォームドコンセントを受ける手続き バイオバンクの包括的合意内で行うが、研究自体のお知らせ文書を作成して、研究対 象者に研究を拒否できる機会を提供した上で、オプトアウトによるインフォームドコ ンセントを得るようにする(別添資料:1. 転倒危険者を察知する「ナースの直感」 の分析研究 研究実施のお知らせ)。 (8) 個人情報 連結可能匿名化(バイオバンク規定による、連結の管理はバイオバンク医療情報部が 行う)。 (9) 重篤な有害事象は想定されない (10)資料情報の保管;電子カルテ、バイオバンク資料は10年以上保管され、本 人の意思がない限り廃棄されない。 (11)機関長への報告;倫理的報告は重篤な有害事象は想定されない。 研究実施 報告は終了報告書を国立長寿医療研究センターに提出し、研究内容報告は財団への研 究報告書で行う。 (12)研究資金: 一般財団法人 中京長寿医療研究推進財団医学研究助成 40万円 利益相反なし (13)研究の情報公開:研究実施のおしらせ(別添資料1)によって実施の情報公 開を行い、成果の情報は学会への発表を行う。 (14)対象者からの相談対応;対象者からの相談があれば、分担研究者が応ずる (15)経済負担、研究謝礼;なし (16)通常診療を超える場合の他の治療法;該当なし (17)通常診療を超える場合の研究実施後の医療;該当なし (18)遺伝的特徴の知見取得;該当しない (19)侵襲的医療;該当しない (20)特定されない将来の医療研究への同意;バイオバンク包括研究同意書で取得
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