改革! - JFA Community

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COACH
JFA指導者登録制度がスタートします!
改革!
2004年度(平成16年度)以降
指導者養成事業
日本サッカー協会(JFA)では、
「世界のトップ10入り」を目指して、現在、さまざまな改革に取り組ん
でいます。その一つとして、日本サッカー界の一翼を担う指導者の皆さんの活動環境整備を目指して、2004
年度より、
「指導者養成事業」の改革を行います。
(1)対象
すべての公認指導者(公認S級コーチ、公認A級コーチ、公認B級コーチ、公認C級コーチ、公認D級コーチ・・・図1参照)
(2)JFA登録料金(年間あたり)
公認S級コーチ
:10,000円
公認A・B・C級コーチ
: 5,000円
公認D級コーチ
: 3,000円
(3)メリット
□リフレッシュ研修会
:指導実践の機会を増やし、再教育の充実を図る
□機関誌『テクニカルニュース(仮称)
』
(隔月発行)の無料送付 :全登録者を対象
□テクニカル情報の販売
:JFAテクニカルレポート+ビデオや、ナショナルトレセンプログラム+
□JFAメンバーズサイトによる情報提供
:各種講習会・研修会・刊行物の案内や登録者同士の交流の場を提供
□指導者派遣
:指導チームを探している指導者と、指導者を探しているチームとのマッ
ビデオの販売
お願い
JFA公認指導者資格を保有する皆さんへ
同封の「指導者養成事業ハンドブック2004」
に本記事掲載内容の詳細、各種諸手続きがありま
すので、必ずご一読お願いいたします!
チング
【注意】
本記事内にあるJFA公認指導者資格の名称は、すべて新制度
の名称(図1参照)を用いております。
※問い合わせ先:日本サッカー協会・技術部
〒113-0033 東京都文京区本郷3-10-15 JFAハウス
(Tel)03-3830-1810 (Fax)03-3830-1814
リフレッシュ研修会のポイント制が導入されます!
4年間で1回、
「公認指導者研修会(リフレッシュ研修会)
」−旧公認S級コーチは年1回−を受講するルールを変更。
「リフレッシュ研修
会」の受講実績がポイントに換算され、取得資格に応じて、一定の期間内に合計ポイントが基準を越えれば、取得した資格が更新できる
というルールに変わります。
また、加盟登録チームの指導者やトレセンスタッフをしていることでもポイントに換算されます。
指導者ライセンス制度が変わります!
2004年度(2004年4月1日より)より、JFA公認指導者資格(ライセンス)の統廃合を行い、5つのライセンスになります。
GKコーチングコースがスタート!
GK指導に焦点を絞った下記2コースが、2004年度から新設されます。
ゴールキーパーB級コーチ養成講習会
公認B級コーチライセンスを持っているGKコーチを対象に、GKの専門的な内容の講習会をスタートします。
ゴールキーパーC級コーチ養成講習会
公認C級コーチライセンスを持っているGKコーチを対象に、GKの専門的な内容の講習会をスタートします。
「キッズリーダー」がスタート!
GK指導に焦点を絞った下記2コースが、2004年度から新設されます。
キッズリーダー
保育園・幼稚園の先生、お父さん・お母さんを対象に、キッズの指導に必要な内容の講習会をスタートします。
キッズリーダーインストラクター
「キッズリーダー」を養成するインストラクターを養成します。各都道府県2名ずつ養成し、各地域でキッズリーダーを養成し、キッズ
サッカーの普及に務めてもらいます。
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公認指導者海外研修・プログラムから
今回の公認指導者海外研修では、3つの「レクチャー」が行われました。A・ジャケ氏の講演を中心に、その抜粋を紹介します。
JFA・TSG(鈴木・高橋)レクチャー
今大会のテクニカルスタディグループとし
て視察に来ていたナショナルトレセンコーチ
の鈴木淳氏と高橋真一郎氏より、前半は「ク
レールフォンテーヌ視察報告」
、後半は「ブラ
ジルvsカメルーンのゲーム分析」についてレ
クチャーがあった。
③
⑥
④
FIFAコンフェデレーションズカップ
フランス2003 公認指導者海外研修報告
①
②
JFA技術部
© Jリーグフォト
(株)
日本サッカー協会(JFA)技術委員会
では、毎年トレセン指導者海外研修、公認
導者の皆さんにも報告し、共有するように
にレクチャーをしていただくことができ、
したいと考えている。
同時に本大会に帯同している田嶋幸三技術
指導者海外研修(リフレッシュ研修会とし
今回は創刊準備号ということで、特にタ
委員長、JFAテクニカルスタディグルー
て)等、指導者を対象とした海外研修を企
イムリーな話題ではないが、今まで詳細な
プ・鈴木淳、高橋真一郎両ナショナルトレ
画している。時期など様々な問題があり、
報告をする場がなかったこともあり、
センコーチのレクチャーもあり、充実した
2003年度に関してはそれほど多くの参加
者がないのが現状であった。
しかし、JFAが主催するものとして、
講師・プログラム等内容的には充実させて
おり、その成果を多くの人で共有する場が
なかなかないのが残念であった。
今回、JFA指導者登録制度が開始され、
「FIFAコンフェデレーションズカップ フラ
研修会となった。
ンス2003」の公認指導者海外研修報告
また、試合視察については、日本戦2試
(参加者:14人)をここでさせていただく
合を含む合計4試合を観戦した。本大会が
こととする。
ヨーロッパのシーズン終了後(スペインを
国際サッカー連盟(FIFA)主催の国
除く)に開催されたこともあり、出場国ご
際大会を通じて公認指導者を対象に、JF
とに大会の位置付けも違うことから、その
Aとしてはじめて指導者研修会を実施し
時点でのベストメンバーではない国もあ
またこのテクニカルニュース(仮称)が創
た。研修会開催を決定してから大会まであ
り、分析対象として最適とは言い切れない
刊されることで、今後このような研修をよ
まり時間がなかったこと、公認指導者に対
が、日本代表が海外で、しかも公式戦でア
り有意義に企画し、インフォメーションし、
する情報伝達ツールがないことから、予想
ジア以外の国と対戦できる機会と考えれば
多くの方に参加していただけるようにして
よりも参加者が少なかった(当初20∼30
意義のあるものだった。
いきたいと考えている。また、今後は、こ
名を想定)
。
のような海外研修の成果をすべての登録指
一方で、参加者が少ないこ
とで、参加者同士の交流や本
公認指導者海外研修・日程表
研修会における参加者のリア
6月19日
午前、出国(成田→パリ)
21:00【試合視察】ブラジルvsカメルーン(サンドニ)
6月20日
午前、移動(パリ→リヨン)
午後、【エメ・ジャケ氏レクチャー】
21:00【試合視察】日本vsフランス(サンテティエンヌ)
6月21日
午前、
【JFA-TSG(鈴木・高橋)レクチャー】
21:00【試合視察】ブラジルvsアメリカ(サンテティエンヌ)
6月22日
午前、
【田嶋幸三委員長レクチャー】
21:00【試合視察】日本vsコロンビア(サンテティエンヌ)
クションが直接JFAとして
把握できたことは、次回の研
修会に向けて良い参考になっ
た点。
内容については、元フラン
ス代表監督、現フランスサッ
© Jリーグフォト
(株)
20
カー連盟・テクニカルダイレ
6月22日
出国(リヨン→パリ→成田)
クターであるエメ・ジャケ氏
6月23日
帰国
⑤
フランスサッカー連盟・技術委員会の
取り組み∼A・ジャケ氏の講演
フランスサッカー連盟(FFF)にはナシ
ョナル技術ディレクションという機関がある。
これは、技術面に関しての専門部門であり、
FFFが非常に重視している機関である。
このナショナル技術ディレクションは、連
盟のアクションプランの範囲内で、フランス
サッカー協会のテクニカルのポリシーを構想
し、提案し、実践、適用していくことを担当
している。
連盟のアクションプランは、FIFAワールド
カップと同じ4年毎に立てられる。FIFAワール
ドカップ毎に、世界のサッカー界を把握し、
それに基づいてアクションプランを作るよう
にしている。常に進展している世界、それが
サッカーの世界である。常にそれについてい
かなければならない。そうしないと世界のサ
ッカー界のトップの位置を維持することはで
きない。
現在、60名の優秀なフランスの選手たちが、
イングランド、ドイツ、イタリア、スペイン
で活躍している。そのこと自体は非常に喜ば
しいことであるが、反面、悲劇的な意味も持
っている。つまり、フランスのチームのレベ
ルが少し下がってしまうということであり、
ヨーロッパレベルのチャンピオンシップにフ
© JFA技術部
ランスのチームが姿を現さない事態になって
しまった。
14名のナショナルコーチが、私の権限の下、
業務を進めている。ナショナルレベルにおけ
るナショナル技術ディレクションの仕事に関
してトップレベルの業務を行うのが14名のナ
ショナルコーチである。
ポリシーとして、まずは、マス、グラスル
ーツ、一般大衆に対するサッカーの普及活動
を行っている。またプロフェッショナルチー
ムであるエリートに対しても働きかけを行う。
ナショナル技術ディレクターは必ずしも選
手出身というわけではなく、教育界出身の者
もいる。代表の選抜、指導者養成、若年層に
対するサッカーの普及のためのアクションと
いう3つのミッションが与えられている。そし
て、その下、つまり地方にテクニカルアドバ
イザーが124名いる。そしてその下に88名の県
テクニカルアドバイザーを設置している。フ
ランスにはサッカー界でも地域(レジョン)
ごとに特色があるので、地域にマッチした養
成を行っており、若年層の優秀な選手の発掘、
選抜といったアクションも行う。能力の高い
サッカーの選手であれば若年層であってもす
ぐに見つけられるようになっている。特に、
11∼12歳の子供の才能の発掘がここで行われ
ている。このように、エリート選抜組織が成
り立っている。能力の高い選手を発掘すると、
8∼10年間観察する。
ナショナルコーチは、16、17、18、19歳の
チームの選手の選抜、そして、指導者養成等
も行う。クレールフォンテーヌで年2回指導者
養成講習会が開かれる。また技術面について
話し合うテクニカル委員会等にも参加する。
地域テクニカルアドバイザーと県テクニカ
ルアドバイザー(CTD)には、各地域ごと
の役割が与えられている。地域テクニカルア
ドバイザー(CTR)は、各地域のリーグの
技術面のポリシーの実行とコーディネートを
行う。また、地域内のエリートのスポーツと
学校の両立の機会を調整する。そして、国家
資格第1レベルの指導者養成を行う。この第1
レベルは、ナショナル技術ディレクションが
担当するのではなく、地域のアドバイザーが
担当する。この国家資格が一番下にある教育
者のための資格である。その他、地域での将
来性のある選手の発掘、ならびに各チームの
養成センターとの連絡等もある。
21
COACHING EDUCATION
© JFA技術部
フランスサッカー連盟テクニカルダイレクター、エメ・ジャケ氏
県テクニカルアドバイザーは、県内のアマ
チュアのサッカーの発展と実践を目指す。12
∼14歳の優秀な、才能をもつ子供の発掘を行
うことも1つのミッションである。また、小学
校、中学校でのサッカーの発展も課せられて
いる。そして、ユース年代のチームの指導者
の養成等も任されている。
学んでいく。もちろん、ここでは学校教育も
行われている。また、選手個人に合った教育
等も行われている。家族が土曜日に子供たち
を迎えに来て、土日は家族の元に戻り、日曜
日は、自分たちの所属元の小さなサッカーク
ラブの試合に参加することになる。こういっ
た学校はフランス国内に7校あるが、2006年ド
イツで開催されるFIFAワールドカップまでに
12校に増やす予定になっている。
プライオリティーのもう1つの柱が女子サッ
カーの発展のための業務である。60名のトッ
プレベルの女子選手をクレールフォンテーヌ
に集め、養成を行っている。今後は、女子サ
ッカーを地域のレベルまで拡大して、さらに
普及しようとしている。今後何年かかるか分
からないが、長い目でみた発展のために力を
入れなければいけない。
③
2004年に向けて、4つの柱をベースにしたプ
ログラムが進められている。
ナショナル技術ディレクションの2004年に
向けての4つのプライオリティーの一つが指導
者養成である。2番目に重要な業務としてセレ
クションがある。つまり、カテゴリー別、年
齢別のナショナルチームの選抜である。毎年5、
⑤
A:時々そういう問題は起こります。人間で
すから当然のことです。しかし、本当に才能
のある選手であれば、いつかは手放します。
そして、我々の講習会に参加させます。そし
てそこからはじめて、我々、つまりFFFや
ディレクションとクラブとの密接な関係が生
まれます。経済的な面からそうした困難な問
題が起こることがあります。また、そのコー
チの貸し借りから生じる問題もあります。
⑥
質疑応答より
Q:CDT、ナショナルディレクションのス
タッフは、14名のうち7名が教育界からという
ことですが、まったくサッカーの経験はない
のですか?
A:教育界の出身者も、皆、若い頃はサッカ
ー選手でした。プロフェッショナルなレベル
にはいかなかった者たちですが、サッカーを
していました。プロフェッショナルになるよ
りも、学業を続けたいと考えた者たちですが、
アマチュアとしてできる限りのトップのレベ
ルで選手をしていた者たちです。このように
教育界からの者もサッカー経験者です。私の
下にいる7名は、もし続けていればプロフェッ
ショナルになれたであろう人たちばかりです。
④
Q:カンヌの育成のトレーニングを見る機会
がありましたが、ユースの年代の、例えば12
歳以下ですと7人制で試合をするとか、あるい
は年間のリーグ戦の数、ピッチの広さとか、
DTNでユース年代の練習の内容以外で決め
ていること、あるいは進めていることがあれ
ば教えてください。
A:12歳以下の若い選手達に対する練習や養
成に関してはポリシーがあります。もちろん、
フランス国民教育省とタイアップして行いま
す。学校と提携を結び、学校の教育もうまく
受けられるよう、授業時間を調節してもらっ
ています。普通に学校に通えるようにしても
らい、必ず学校が16時に終わるようにしても
らっています。その後、センターで毎日2時間
練習をさせています。ただし、技術面に関し
⑦
②
Q:各クラブが育成システムを持っていると
思いますが、連盟から発掘された選手を出し
たくない、つまり自分のクラブで育てた選手
を連盟のシステムには入れたくないという問
題は起こらないのですか?
22
⑩
違う新しいフランスのチームです。しかし若
い選手が多いです。彼らはいろいろなクオリ
ティーを持っています。若いといっても我々
が昔から知っている選手たちです。経験だけ
が足りない選手たちです。このことからオー
プンな、しかし、最後まで分からない試合に
なると思います。
⑫
⑧
Q:2002年FIFAワールドカップで、前回優勝
したフランスチームは、優勝候補だったが残
念な結果となりました、Z・ジダンのケガも
ありましたが。98年大会は優勝し、その後、
戦略・戦術システムはどのように移り変わっ
ていたのですか?また今日、日本と戦うフラ
ンスチームはどう変わっているのですか?
田嶋幸三技術委員長レクチャー
⑪
①
6回会議を開き、国際試合に出場できる、国際
レベルにマッチした選手の選抜を行う。
そして、3つ目がプレ育成である。1970年か
ら始まり、32年以上の歴史を持つ。フランス
サッカーの成功の理由はここにある。よくご
存じのT・アンリ、N・アネルカ、P・クリス
タンバル、そして本日、選手として活躍する
であろうW・ガラといった選手たちが、プレ
育成によって大きく育った。毎週、13、14、
15歳の60∼70名の(将来を期待される)選手
がクレールフォンテーヌで練習を行っている。
技術ならびにプレーの本質について徹底的に
てのみの練習です。月∼金まで毎日2時間の練
習をし、そして土日は家族と過ごす。このよ
うなことが行われています。提携して調整が
できた学校で行っています。このように学問
とスポーツが両立できるシステムを、今言っ
たような地域でつくり、学業を続けながらサ
ッカーを練習してもらうというシステムがで
きています。これは、若い選手を発掘し、将
来発展させるために非常に重要であると思い
ます。
COACH
小学校のレベルでもすでにやっていますが、
ごく最近、中学校、高等学校、つまり、16、
17、18歳のレベルにおいても同様なシステム
をつくり、学業とサッカーができるようにな
っています。これは、サッカーばかりでなく、
学業も続けたいという子供たちのためのもの
です。16歳からは義務教育ではないので学校
に行く必要はありませんが、大学まで行きた
いという者がサッカーを続けれられるシステ
ムになっています。
⑨
Q:スモールサイドゲームについてはどうで
しょうか?
A:5人制、7人制、9人制があります。5人制
が一番若くて8歳くらい、7人制が12歳くらい
まで、9人制が13、14歳くらいをそれぞれ対象
としています。もちろん年齢だけでなく、選
手レベルも関係あります。これによって、非
常にボールに触れる機会が増えます。走るだ
けということがなく、ボールに数多くタッチ
することができます。
なぜこういうことをやっているかというと、
今まで子供も、大人のサッカーピッチで練習
してきましたが、それだと試合中2回しかボー
ルに触れなかったということもあります。し
かしこのやり方でやりますと、ボールにタッ
チする機会が増えます。もちろん、ゴールは
小さくします。こういった実践的なことをや
らなければいけません。
A:2002年と1998年との戦略はまったく変わ
っていませんでした。
(98年の)勝っていた戦
略を使っても、
(2002年には)勝てなかったわ
けです。FIFAワールドカップごとにまったく
違う戦略を編み出さなければいけないという
のが1つの教訓です。理由の1つは、チームを
構成する選手が違います。選手もますます向
上しています。レベル的に追い付けないよう
な選手になっている者もいます。ともかく一
つ言えることは、同じことを二度とやらない
ということです。
イマジネーション、これが非常に重要です。
ということで、選手が常に考えなければいけ
ないサッカーでなければいけません。個人的
にも常に振り返っていかなければいけません。
そういうことからも非常に難しいことです。
同じ戦略、同じ方法を使ってはいけないとい
うことです。こういう選択を行うコーチやデ
ィレクターは、研究を行う研究者と同じです。
選手を驚かすような新しい斬新なものを行わ
なければいけません。つまり、違った練習を
したり、方法を変えたりといったことを行わ
なければいけません。2002年のものは完全に
失敗でした。2002年の方が1998年より強いチ
ームでしたが、しかし負けてしまいました。
強いチームが常に勝つとは限らないというこ
とです。
今日の試合については、フランスの監督と
話していないので何ともいえません。今日、
フランスの新しいチームが生まれると思いま
す。コロンビアと戦ったチームとはまったく
日本代表チーム、海外の最新サッカー情報、
日本の強化策についてレクチャーがあった
(抜粋は以下の通り)
。
1.FIFAコンフェデレーションズカップ・日本
代表に関して
・コロンビア戦のレフェリーが中南米のレフ
ェリーで占められており、しかも直前で主審
がケガのためウルグアイ人に変更となり、J
FAとしてFIFAに抗議した。
・FIFAレフェリーコミッティのトップは
スペイン協会の会長なので、直接コンタクト
できるようなリレーション作りも必要になる。
・JFA技術委員会は、代表の評価をするので
はなく、サポートする。そのためにマッチメ
イクグループも立ち上げた。
2.ユース育成に関して
・トレセンは強化の根幹と位置付けて、改革
を積極的に進めている。
・諸外国もユース育成に力を入れており、ス
イスではU-13∼15のサッカー学校を立ち上げ
たり、トルコではプロクラブでの育成や他国
(ドイツなど)での強化など様々な取り組みが
ある。
3.フェアプレーに関して
・特にユース年代では、レッドやイエローカ
ードのようにネガティブな評価だけでなく、
グリーンカードを導入し、良いことをしたら
もらえるようにプロモートしていきたい。例
えば、フィンランドはグリーンカード、オラ
ンダもオレンジカードが使用されている。
© JFA技術部
23
INTERVIEW
INTERVIEW
「日本にはJリーグという素晴らしいリーグ
があるから、そのリーグへの負担を減らす
U-23日本代表、
山本昌邦監督に聞く
ウンドになれば、圧倒的に日本がアドバ
にタイトな日程ですね。それに対しての
ンテージを持っているのでしょうね。
準備は、どのように考えていますか?
ことを考える必要があります。Jリーグで
「そう思います。そういう展開にもってい
「3月1日、3日、5日は、まずUAEラウン
も選手が活躍すれば、Jクラブにも貢献で
きたいと思っています。UAEラウンドで
ドです。中1日という日程の厳しさはもち
きるし、そこで選手たちも経験を積むこと
少なくとも、グループの中で一番上にいる
ろんですし、気象条件や食事等、環境面が
ができます。我々の大会、アジア最終予選
ということが、日本に戻ってきたときに最
だいぶ異なるところで、時差もあります。
の中でも、伸びていけるという意味でも、
大限勝てることだと思います。
そういう中で戦わなくてはなりません。
ダブルセントラル(2か所での開催)にもっ
© Jリーグフォト
(株)
アテネ五輪最終予選を目前に、
チーム強化、最終予選への抱負
●聞き手:布啓一郎(U-16日本代表監督)
U-23
バーレーンは初戦ということもあって、
まず、一つには1試合のパフォーマンス
てくることができたというのは、日本サッ
ポイントになります。監督のやり方を見て
を維持するためのフィジカルコンディショ
カー全体のことを考えると、本当に大きな
みると、システムを固定せず柔軟に変化さ
ンを上げなくてはなりません。我々は5週
成果だと思います。もし、ホーム&アウェ
せているので、その駆け引きもポイントに
間の準備期間を想定して、1月19日からス
ー方式になったら、Jリーグを7∼8試合休
なってくるでしょう。点をとれる選手を前
タートします。オフ・シーズン明けのゼロ
まなくてはなりません。そうなると、Jク
にそろえているので、一発の怖さもありま
からのスタートとなるので、どうしても身
ラブの方では計算できないから、はずされ
す。我々にとっては、初戦の入り方がかな
体づくりが大事になります。今回、Jリー
てしまってポジションがなくなってしまう
り重要になります。レバノンとUAEは、
グでの指導経験のある菅野淳コーチに来て
かもしれません。Jクラブにとっても、
代表とオリンピックの監督が兼務でした
もらえることになりました。Jクラブは毎
我々にとっても非常に良かったのではない
が、監督が辞めてしまったようです。監督
年、オフ明けからきちっと時間を使って身
かと思います。この件については、JFA
が決まって、どういう準備をするのか、直
体づくりをやっているので、そのノウハウ
が本当にがんばってくれて感謝しています。
前の情報収集が重要になってきます」
をいかし、菅野コーチを信頼して、しっか
Q:中東勢は中東では強いが、彼等はU
最終予選、5週間の準備期間を設定
りと身体づくりをしていきたいと思ってい
Q:U-23日本代表チーム、準備に関し
んでいく良い機会でした。(彼等が)一つ
て・・・
上の年代の選手たちと混ざって経験を積む
U-20世代からの招集が、全体のレ
ベルアップに
「2003年、スケジュールが変わってしまい
ことでU-20の選手たちのレベルが上がれ
ました(*1)。途中で頭を切り替えて、選手
ば、2003WYCにもいきるだろうし、
Q:2003年に行われたFIFA U-17世界選手
個々のレベルアップも図っておくために、
2003WYCで彼等が得た経験が、また我々
権、2003WYCに、今回アメリカのF・ア
できるだけクラブの活動を優先、できるだ
のところに戻ってくる、こういうことが効
ドゥーが14歳で出場しました。なかなか
けクラブでレギュラーポジションがとれる
率良くできるのではないかと考えました。
日本人が14歳で出るのは考えにくいです
これらのことを狙いとして、若手を連れ
よね。けれども、山本さんのオリンピッ
(代表チームでの)大会があってもその選
てカタールへ行きました。もう一つは、
クチームの年代になると、3つ、4つ下の20
手はクラブに残し、招集できるメンバーで
U-20の代表候補の選手たち、特に(2002
歳や19歳の年代の選手、例えば平山相太
チームを編成して、大会に参加してきまし
年度の)高校選手権に出ない選手に関して、
(国見高校)も招集される。その年代まで
た。そういう意味では、クラブの方でほと
あまりにも長く一線から遠ざかってしまう
十分ターゲットになってくるし、逆にそ
んどの選手がピッチの上に立てるようにな
ということもあったので、そのような選手
の若い時期に、どんどん上のカテゴリー
ってきたので、それは一つ大きな成功では
を中心に招集して連れていきました。
でやるというのは良い刺激になりますね。
ようにサポートしてきました。だから、
AEラウンド後1週間で日本に来て戦うこ
とになります。そういう部分では日本ラ
ないかと思っていますし、現在、このチー
このように、様々な機会を活用すること
ム全体にも、それがいかされていると思っ
で、全体的なレベルアップは図れたと思い
U-23の連携というのは、すごく大きな意
ています」
ます。上の選手が使えないときに、そこで
味を持つと思います。例えば、平山もなぜ
「そういう意味からすると、U-17、U-20、
合宿をあきらめるのではなく、逆に下の選
今回(2004年1月)呼べたかというと、
Q:若手の底上げ、全体のレベルアップ
手をたくさん吸い上げて、一つ上の選手と
2003WYCであれだけの貴重な経験がで
に取り組んできました・・・
経験させて、チームに戻す。そういう作業
きたので、いろいろな面で余裕があるだろ
「2003年1月にカタール国際大会がありまし
が非常に選手(の能力)を引き上げるには、
うし、国際大会の生活にも慣れています。
た。非常に良いチームが多く参加する大会
良い方法であったと思います。若い選手た
時差のある地域への移動の経験もありま
だったので、ベストメンバーで参加したか
ちにとっても、上の世代とやることは、自
す。招集したときに、これらが初めの場合、
ったのですが、1シーズンを頑張ってきた
分にできることと、できないことがすごく
例えば中東に行ったときに、その雰囲気に
選手、特にクラブでレギュラーをとった選
はっきりするので、各々目標もはっきりし
やられてしまう選手が出てきます。自分で
手たちのコンディションを考えると、秋か
てきます。カタールや東南アジアの遠征の
経験していると、自分である程度コントロ
らの最終予選に向けて(*1)、ここでしっか
機会を使って、彼等の力をこのチームにう
ールできるようになります。このような”
り休ませないと、1年間もたないと判断し
まく吸い上げることができ、チームづくり、
経験”が大きいと思うので、安心してこの
ました。良い機会なので、この大会をチー
準備の段階で良い結果になったのではない
チームに呼ぶことができるのです。やはり、
ムの底上げに活用しようと考えました。こ
かと思います。
大熊清監督のチームが2003WYCで結果
の時点で、U-20世代の選手たち(1983年1
今まででこのチームには約60名招集し
月1日以降生まれ)をまだ2003年FIFAワー
て、U-20のカテゴリーからは14名招集し
ルドユース選手権(以下、2003WYC)の
ています。チームコンセプトややり方、ル
関係で、このチームに招集できる機会はあ
ールといったベースは、彼等全員に理解し
Q:アジア最終予選について、今回この
りませんでした。彼等に基本的なコンセプ
てもらったと思います。最後の詰めは、こ
グループだけは、ホーム&アウェー方式
トやチームのルールとか考え方をレクチャ
れから2月・3月にやっていかなければな
ではなく、2ラウンドの集中開催方式(次
ーする、試合を通して国際試合の経験を積
らないと思っています」
ページ下表参照)となりました。
を出したこと、それにより選手たちが経験
ます。オフ明けゼロからの身体づくりの際
に、筋肉系のトラブルでつまずいて回復が
Q:1日おき90分ゲームというのは、非常
遅れると、開幕に間に合わなくなってしま
2003年 ∼U-22日本代表の活動記録
1月
カタール遠征
1月13日(カタール) U-22日本代表 2:1(2:0)U-22タイ代表
1月17日(カタール) U-22日本代表 2:1(1:0)U-22スイス代表
1月19日(カタール) U-22日本代表 4:0(2:0)U-20ドイツ代表
1月21日(カタール) U-22日本代表 2:2(0:2)U-22カタール代表
1月24日(カタール) U-22日本代表 0:1(0:1)U-22エジプト代表
2月
トレーニングキャンプ
3月
キリンチャレンジカップ2003
4月
トレーニングキャンプ
5月
アテネオリンピック・アジア第2次予選
© Jリーグフォト
(株)
キリンチャレンジカップ2003(⑩松井/日本vsコスタリカ)
4月1日(豊田スタジアム) U-22日本代表 1:1(1:0)U-22コスタリカ代表
5月1日(国立競技場) U-22日本代表 3:0(0:0)U-22ミャンマー代表
5月3日(国立競技場) U-22ミャンマー代表 0:5(0:1)U-22日本代表
→同最終予選進出!
キリンチャレンジカップ2003
5月21日(神戸ウィングスタジアム) U-22日本代表 4:0(2:0)U-22ニュージーランド代表
7月
キリンチャレンジカップ2003
7月23日(国立競技場) U-22日本代表 1:1(1:1)U-22韓国代表
8月
エジプト遠征
© Jリーグフォト
(株)
キリンチャレンジカップ2003(⑪田中/日本vsコスタリカ)
8月6日(アレキサンドリア) U-22日本代表 2:2(1:2)ヨルダン代表
8月8日(アレキサンドリア) U-22日本代表 2:1(2:0)パレスチナ代表
8月10日(アレキサンドリア) U-22日本代表 1:3(0:1)U-22エジプト代表
8月
シンガポール遠征
8月19日(シンガポール) U-22日本代表 1:0(0:0)シンガポール代表
9月
できたことが大きいと思います」
韓国遠征
9月17日(ソウル) U-22日本代表 1:2(0:2)U-22韓国代表
10月
トレーニングキャンプ
10月
カタール遠征
10月29日(香港) U-22日本代表 1:0(1:0)香港代表
11月3日(カタール) U-22日本代表 1:0(0:0)カタール代表
12月
トレーニングキャンプ
© Jリーグフォト
(株)
キリンチャレンジカップ2003(⑦石川/日本vs韓国)
24
25
うので、本当に慎重に身体づくりをしてい
で、どのような効果があがったのでしょ
かないといけないと思っています。
うか。
もう一つは、1日おきに3試合しなくて
「一つには、あの実習はかなりハードな種
選手もいます。自分ができることはこれだ
はならないので、"タフさ"というものも身
目もあります。最後の最後のところであき
けど、それを全力でやることがチームのた
に付けていかなくてはなりません。それは
らめないという気持ちを選手たちから引き
めに大事ということを学んだ選手もいると
コンディションづくりと、準備期間のスケ
出したいと考えていました。大会を通して
思います。選手たちも、皆で打ち解けて最
ジュールの中で、ゲームをどう組んでいく
どういう展開になるかわかりません。最後
後まで頑張ることの大切さを、チームとし
のかと言うことも含めて、取り組んでいか
の数秒になっても、まだ勝利を追い求める
て、グループとして感じ取ってくれればい
なくてはと考えています。
だけのハートは持っていないといけない。
いと思っていました。グループの中でリー
中1日というのは選手には、明らかにき
それを仲間と一緒に助け合いながら、その
ダーが出てきたり、サポート役が出てきた
つい。しかし、相手も同じように疲労する
ような側面をうまく引き出せたら良いと思
り、小さなグループだが、お互いがお互い
わけで、我々にとっては決してマイナスで
っています。サッカーと違う面の選手のポ
のポジションの中で役割を全しなければ、
はないと思っています。このチームでは数
テンシャル、潜在意識やメンタリティーの
課題が達成できません。そういう意味では、
多くの選手を同じレベルで競争させ、誰が
部分も見ることができるので、非常にその
選手たちは非常に意欲的にやってくれまし
出ても大きなレベル差なく闘えるチームの
効果は高かったと感じています。
た。また、空気の良いところ、環境の違う
準備ができています。選手層が厚い分、
"意外と無口でおとなしいけれど、大事
なところでしっかりと指示ができるな"と
います。1日・3日・5日の3連戦の中で、多
か、"もっと声を出したら、試合中もいい
技術が短期間で急激に上がるわけではあ
少メンバーを入れ替えても、パフォーマン
リーダーになれるのになあ"とか、そうい
りません。チーム全体が互いに連携して動
スを維持できるチームになってきています。
った選手たちの潜在的な能力も見ることが
けるようにした方が、チームにとって効果
できて、非常に興味深かったです。
が大きいのです。そういった意味でこの野
付けること、ここまではしてきなさいとい
もう一つには、田中マルクス闘莉王(浦
うことを、昨年末の合宿時に選手にレクチ
和)等、新しい選手をできるだけ早く融合
ャーしました。それを選手がどれくらい意
させるためには、サッカーをやっているだ
識してきたかということになるでしょう。
けよりも、そういう方が自分を出せて打ち
むしろ心配しているのは、オリンピッ
解けられるのではないかという狙いもあ
ク・イヤーで選手が逆にやり過ぎてしまう
り、あのタイミングで実施しました。その
ということ。過去にもそういうことはあり
点に関しても、自分の良いところを出しな
ました。代表チームのビッグイベントがあ
がら、うまく皆と溶け込んでくれたのでは
る年というのは、選手の意識が高すぎてや
ないかと思います。
り過ぎてしまうようなことがしばしばあり
© HARA Schuichiro
U-16日本代表、
2003年活動報告
森の中で行われたことも、良い効果につな
我々は優位に立てるのではないかと考えて
オフの過ごし方に関しては、最低限気を
U-16 JAPAN NATIONAL TEAM
やはり、厳しい種目ほど達成感がありま
す。率先して"俺がやる!"という頼もしい
がったと思います。
外学習は非常に良かったと思います」
2005年世界大会を目指して、強化を加速!
U-16日本代表監督 布啓一郎
(*1)当初は、アテネオリンピック・アジア最終予選は、
2003年8月開催が予定されていたが、アジアサッカー連
盟は4月、SARS問題により、2004年3月に開催を延期
することを決定した。
© HARA Schuichiro
(*2)社会性を育成する実際体験(Action Socialization
Experience)のこと。1つの小グループが1人で解決でき
ない精神的・身体的課題に対して、メンバー一人ひとり
の諸能力を出し合い、協力しながら、その課題を解決す
る活動。
ます。オーバー・トレーニングが起きて、
ケガにつながってしまうということがあり
ます。8月の本大会までを睨んだときに、
Road to Athene 2004
まずはしっかり休むようにとも選手たちに
1月
アジア最終予選、何が起こるかわからな
2月
リンピック)、U-20、U-17の4カテゴリー
しながら、同じチームであれ、たとえチー
である。U-20以上がすでにプロの選手た
ッカーリーグや大学の優れた選手を集めて
ムが変わっても、大きな指導の幹は変わら
ちの闘いであり大人のサッカーであるこ
代表チームを組織し、キャンプとゲームを
ないような一貫指導の体制を確立すること
キリンチャレンジカップ2004
U-23日本代表 vs U-23イラン代表/埼玉スタジアム2002
とを考えると、育成年代の集大成となる
行いながら代表強化を行ってきた。しかし、
が、その国のサッカーをレベルアップする
のは、FIFA U-17世界選手権であると考え
選手の輩出には波があり、アジアの壁の前
ことに繋がる時代となっていた。
国際親善試合
U-23日本代表 vs ロシア代表/静岡スタジアム エコパ
る。しかし、この大会での結果だけで評
に本大会直前で敗れた時も、アジアの決勝
もちろん、日本も育成を軽んじていた
価するわけではなく、この大会を通して
大会までも進めなかった時もあった。日本
わけではない。選手を集めて対抗戦を行
キリンチャレンジカップ2004
U-23日本代表 vs U-23韓国代表/長居スタジアム
今後何をなすべきか課題を抽出していく
が長く世界の扉を開けられない時代が続い
っていたトレセンから始まり、指導者に
ことを考えていきたい。
てしまった。
対しての指導の伝達も含めてトレーニン
25日
トレーニングキャンプ/オーストラリア・アデレード(∼2月1日)
8日
合修正できないことも考えられます。非常
3月
1日
時差、その他あらゆる環境が違うところの
万全の準備・周到な計画で、最終予
選へ
3日
5日
14日
アテネオリンピック・アジア最終予選(UAEラウンド)
動もやってこられたが、どのような目的
26
© HARA Schuichiro
そして11年前にJリーグが発足し、長
日本におけるこの年代は、15歳年代の
グ情報を発信していた。そして、現在、
受験、16歳年代の公式戦を含めてゲーム
再びサッカーの本質とは何かを問い直し、
経験の少なさなど、多くの課題を抱えア
U-23日本代表 vs U-23バーレーン代表/アブダビ
期一貫指導の重要性が言われ出したが、
U-23日本代表 vs U-23レバノン代表/アブダビ
日本が世界を観ることができない時にも
「JFAエリートプログラム」を開始するな
ジアを突破することに苦労してきた。選
U-23日本代表 vs U-23UAE代表/アブダビ
世界のサッカーは大きく進歩していた。
ど、世界のトップのサッカーといかにし
手としても若い年代で世界を肌で経験す
1998年、日本はFIFAワールドカップ本大
て肩を並べるかに全力を挙げて取り組ん
ることと、日本が公式大会の中で世界と
会に初出場を果たし、サッカー関係者の
でいる。それが日本の育成年代の強化に
の距離を測りにいくこと、この2つの目標
誰もが喜び、サッカーに携わらない人た
なり、そして確実に日本全体のレベルア
を達成するために、2004年9月、日本で開
ちもFIFAワールドカップが何なのかを初
ップ、代表チームの強化、その先の日本
催予定の2005年FIFA U-17世界選手権・ア
めて知ることができた。しかし、その
サッカーが世界のトップ10に入ることに
ジア予選=AFC U-17サッカー選手権=を
FIFAワールドカップを制したフランスの
繋がると確信している。
突 破 し ( 上 位 3 チ ー ム が 出 場 権 獲 得 )、
アテネオリンピック・アジア最終予選(日本ラウンド)
U-23日本代表 vs U-23バーレーン代表/会場未定
16日
U-23日本代表 vs U-23レバノン代表/会場未定
18日
U-23日本代表 vs U-23UAE代表/会場未定
Q:昨年末の合宿で野外実習(*2)を行いま
した。サッカーには直接は関係のない活
大会には4つのカテゴリーがある。年齢制
鍵になる。20年前ぐらいまでは、日本サ
トレーニングキャンプ/宮崎県総合運動公園(∼23日)
21日
ガが出てしまったりして、つまづくと3試
備を進めています」
国際サッカー連盟(FIFA)の世界
を行っていた。また20歳前後のでき上が
い間に、世界の強豪国は育成年代の重要性
限のないFIFAワールドカップ、U-23(オ
19日
うと思うし、特に3連戦の初戦、例えばケ
たって注意を払い、慎重に対策を練って準
を認識し、確実に育成年代からの一貫指導
2.2005年FIFA U-17世界選手権
∼世界との差を測りに行くために
わっており、サッカー選手を発育発達に即
メディカルチェック/国立スポーツ科学センター(∼16日)
11日
きてしまった時に、そこからやられてしま
コンディショニングについても、細部にわ
1.日本代表の強化に何が必要か
日本が世界を観ることができずにいた長
った選手を集めて強化する時代はすでに終
15日
ておかなければなりません。どこか穴がで
に慎重にやらなければなりません。気温、
である」というコメントだった。
日本代表がレベルアップするためには、
は伝えています。
いので、選手たちを全体でレベルアップし
2003年活動報告
∼69名の選手を招集
育成年代において何を行ったのかが大きな
どこかで無理がたたってケガをするという
のは避けたいので、そうならないように、
© HARA Schuichiro
第1位のチームがアテネ・オリンピック(8月11日∼28日)の出場権獲得!
エメ・ジャケ監督(当時)の優勝後の第
2005年ペルー大会に出場することが1つの
一声は「30年間のフランスの育成の勝利
目標となると考えている。
27
U-16 JAPAN NATIONAL TEAM
3.2003年、U-15日本代表の活動
ミスを恐れずに積極的にプレーをしてもら
ていたが、今後このようにカテゴリーを越
を行っていることだと思われ
界のトップレベルの相手との闘いを、そし
いたい。しかしその中で「自分のやりたい
えての活動はあるべきであると思われた。
る。しかし高校体育連盟(高
てアジア遠征ではアジアのライバルとの力
体連)やクラブを問わず大会
関係を肌で感じながら、ゲームを通して選
は学年割であり、監督は自分
手をレベルアップさせていきたい。
ことをやる」年代から、「やるべきことを
(1)U-16という年代
U-16
U-16年代とは大人のサッカーの入り口
行う」年代に入っていくことを理解し、サ
であるが、言い換えれば子供のサッカー
ッカーの本質とは何か、そして世界で闘う
前記したように2003年は、8回の活動で
の最後に当たる。子供のサッカーはOn
ためにはどんな選手になることが必要かを
延べ69名の選手を招集し、チームのコン
かはあまり意識していない。
2004年のアジア予選を突破し、2005年
the ballが中心であり、また、ここで自分
追求できる選手になってもらいたい。
セプトを伝えてきた(右下表)。この年代
そして、早生まれの選手は高
の世界大会を目指して、万全の準備をして、
の選手は変化が速く、短い期間で急激に
校1年生ではまだ線が細く、1
まずアジア予選に臨みたいと考えていま
とボールの関係を上達しておかなければ、
(3)ラージグループを形成した2003年
のチームの誰が早生まれなの
伸びてくることもある。そして、年齢が
年生の中でも埋もれがちにな
す。ただ、選手が多く活動をするのは所属
上げることは難しくなる。大人のサッカ
2003年は3月に始まり、計8回の活動を
低いほど同じような力量の選手は人数が
っているのも事実ではないか
チームであり、選手はそこで大きく成長し
ーとはOn the ballからOff the ball(グルー
行った。今年の活動の特徴は、U-15
多い。そのようなこの年代の選手に対し
と思われる。そういう高校1
ていきます。今後も所属チームと連絡をと
プ戦術の要素)が入ってきて、自分とボ
(1988年1月1日以降生まれ)単独の活動だ
て、なるべく広いラージグループを作り、
年生の早生まれの選手を1・2
りながら、しっかりした強化活動を行い、
ール、仲間の関係で何ができるかが要求
けでなく、U-16(1987年1月1日以降生ま
今後のチームに関しての目指す方向性を
月をかけて全国で観ていきた
今年はアジア予選突破を目指し、我々も全
される。そして、レベルが上がれば上が
れ)の活動にU-15の選手を半数混ぜての
理解してもらうための2003年の活動であ
いと考える。
力で活動をして行きたいと思います。チー
るほどミスが許されなくなり、1回のミス
活動が4回あったことだと思う。2つのカ
ったと思われる。
でゲームが決定してしまうのが大人のサ
テゴリーが合同でやることは、昨年までは
そして、2004年は今までに招集した選
ッカーと言えよう。
あまり行っておらず(上のカテゴリーに下
手を中心にチームを固めていく作業に入
2003年も海外遠征を行って
その子供と大人のサッカーの中間に位置
の選手の中で、秀でた選手が数名入ること
る。しかし、この年代はジュニアユースか
きたが、引き続き2004年もア
するこの年代は、まだミスが許されトラ
はあった)
、U-15の選手にとっては上のカ
らユース年代の変わり目でチームの環境が
日本に対して厳しいことを言ったが、日
ウェーにおける多くの経験をしたいと考え
イ&エラーができる最後の年代であり、現
テゴリーの選手と活動ができ、U-16の大
変わり、急激に頭角を現す選手もおり、力
本サッカーのレベルのアベレージが上がっ
ている。気候、時差、食事、習慣、言葉等
在の選手としての完成は目指していない。
会に出場できたことは大きかった。実際に
量のある選手が出てくれば今後もチームに
ていることは間違いない。また、今までの
日本の環境から離れ、その中での自己管理
まだまだボールスキルも上達する、そして
その活動に参加できた選手の人数は限られ
加えていきたい。
方向性は正しく、選手を指導するコーチの
の大切さを理解させていきたい。不自由の
方々の努力が日本サッカーをここまで押し
少ない日本から離れて、多くのストレスの
上げてきた。そして、日本サッカーは
中で選手として何が必要か、また何がだめ
FIFAワールドカップに出場できるように
だったのか、時には失敗もさせながら自分
発育発達の面からも後にボールスキルを
(2)U-15・16の合同での活動
ム一丸となり世界大会の切符を取りたいと
© HARA Schuichiro
(2)海外での経験による強化
向き、向かうことができるが、日本の選手
を許さない個の守備の強さが大切だとい
なった現在、我々日本の育成に関わるコー
で判断し、環境の変化にも対応できる選手
①ボールスキル(動きプレッシャーの中
はワンタッチでゴール方向にコントロール
う、最初のベースがなければ1対1の問題
チ全体がもう一つ上のステージを狙い、日
の育成をしたいと考える。
での正確なコントロール、パス)
するのか、相手がいるのでスクリーンして
は解決していかないと考える。
本国内に留まらず世界で闘える選手を育て
(4)2003年の活動からの課題
日本の選手のアベレージは上がった。
理由としてボールをコントロールすること
③闘うこととは何か(頭も体もハードワー
トップ10に入り、FIFAワールドカップの
ムの中ではプレッシャーやトップスピー
にストレスを感じていて、ボールを受けた
ク)
優勝を目指すために、育成年代における世
ドの中でのコントロールやパスがまだぶ
後のプランがない選手が多いというのが、
れてしまう。
現実だからではないかと思われる。
プレッシャーが速い現代サッカーにおい
て、パスをした後に止まっていたらゲーム
現在のレベルで満足せずに、さらにボ
にならない。足元でボールを受けるだけで
ールスキルを向上させ、国際ゲームで闘
は相手は怖くない。しかし、日本の選手は
えるボールスキルをもっと身に付けてい
スペースに走り込む回数が少なく、足元で
きたい。
ボールを受けてパスをしたら自分のパスを
見ているような選手が少なくない。
界との差をしっかり認識することが大切だ
と考える。
4.2004年、U-16日本代表の活動
(1)高校1年生(新2年生)早生まれの選
手の発掘
2003年 U-15(U-16合同を含む)日本代表の活動
3月
4月
5月
6月
7月
8月
10月
12月
U-14NTC → U-16とU-15の合同キャンプ (15名)
U-16フランス(モンタギュー)遠征 (9名)
U-15立ち上げキャンプ (30名)
U-16イタリア(サレルノ)遠征 (9名)
キャンプ(30名)→日韓戦 (18名)
ブラジル(ジーコカップ)遠征 (18名)
U-16フランス(バルデュマルヌ)遠征 (8名)
キャンプ (38名)
2004年の活動としては中学生が受験期
れたら、すぐ奪い返しに相手に攻撃するの
に入る1・2月に関しては、高校1年生の早
ある。前記したが、攻撃は常にゴールを狙
だ」というように、攻守にハードワークす
生まれ(1988年生まれ)のセレクション
う姿勢を出し、相手の状態を観てシンプル
る選手が決して多くない。もう一つ、ゲー
を全国各地で展開する。早生まれの選手の
に仕掛けていけるようになりたい。
ム中に必要な情報交換ができているだろう
アドバンテージは、すでにユースのカテゴ
か。守備におけるマークの受け渡しの声、
リーで活動していることであり、ユース年
し、いつ、どこで奪うことができるのか
パスコースの限定などのコーチング。攻撃
代の速いプレッシャーの中でトレーニング
が分かる選手、そして奪うためのフィジ
では、いつ、どこのタイミングでボールを
カルコンタクトを含め身体を寄せて当て
呼ぶのか、周りの選手との連携の声を出す。
ていくことができる選手を目指したい。
もちろん、声だけではない情報伝達の方法
U-16日本代表としてのチームを固めていく
しかし、1対1を攻守に向上させるために
もあるが、自分のやりたいことを声に出し
は多くの経験が必要になる、そのために
自分の意見を主張する。そして、主張する
は日本国内の育成年代、とくにジュニア
からには自己責任をとることができる選
ユース以下のゲームにおいて、攻撃はも
手、自分で考え、判断できる選手など、頭
っとゴールに対してしかけたりシュート
も体もハードワークできる選手が増えてき
を狙うなど、危険でなくてはならず、だ
てほしい。
1・2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
5日間
12日間
5日間
11日間
10日間
14日間
11日間
6日間
合計74日間
延べ69名の選手 → チームコンセプトを伝達
※( )内数字はU-15(1988年1月1日以降生まれ)選手数
2004年 U-16日本代表の活動計画
から守備はボールプレスと個人での突破
28
© HARA Schuichiro
U-16日本代表、2005年ペルー大会出場へ向けて強化!
1対1は攻守にわたり日本の弱い部分で
また、守備は1対1の対応の基本を理解
© HARA Schuichiro
また、もちろんヨーロッパにおいては世
また、守備の習慣が薄く「ボールを奪わ
②1対1
をお願いしたいと思います。
ていくことに目を向けたい。代表が世界の
ボールを保持するのかの判断が悪い。その
それは確かである。しかし、海外のゲー
また海外の選手がワンタッチでゴールに
考えますので、代表活動にご理解とご協力
© HARA Schuichiro
高校1年生早生まれセレクション→全国9か所
キャンプ
海外遠征
海外遠征
キャンプ
海外遠征
国内大会・強化キャンプ・調整キャンプ
AFC U-17サッカー選手権(日本)…16チーム参加/上位3チームが世界へ
30名程度での活動 → 予選20名
29
FIFA WOMEN'S WORLD CUP
FIFA女子ワールドカップ USA2003
JFAテクニカルレポート
JFA、女子サッカー強化を目ざして、
テクニカルスタディグループを初めて編成、
“世界との差”を分析
●2003年9月20日 20:30
日本女子代表は2003年6月のアジア地区予選(AFCアジア女子選手権/タ
イ)で4位となり、メキシコとのプレーオフを制して、4大会連続のFIFA女子ワ
ールドカップへの出場を果たした。
初戦、日本はFW大谷の3ゴール等でアルゼンチンに勝利したが、次戦で優勝
したドイツに0-3と完敗、3戦目のカナダ戦では先制ゴールを奪ったが、その後
3失点を喫し、グループリーグ敗退となった。
前半2
後半4
VS
●Columbus Crew Stadium
前半0
後半0
0
アルゼンチン女子代表
●試合時間:90分
●審判:
[主審]ELOVIRTA Katriina
(FIN)[副審]RARVIAINEN Emilia
(FIN)
/REGAN Andi
(NIR)[第4
の審判員]HUNT Sandra
(USA) ●観衆:16,404人
日本:
[GK]①山郷のぞみ[DF]②大部由美④山岸靖代
(72’
③磯崎浩美)
⑭矢野喬子[MF]⑤酒井與恵
⑥小林弥生
(56’
⑨荒川恵理子)
⑦川上直子⑧宮本ともみ⑯山本絵美[FW]⑩澤穂希
(79’
⑱丸山桂里奈)
⑪大谷未央
アルゼンチン:
[GK]①FERRO Romina[DF]②HUBER Clarisa③RICOTTI Mariela
( 75’
⑥LOPEZ
Noelia)
④GONSEBATE Andrea⑲BARBITTA NUNO Celeste[MF]⑤GEREZ Marisa⑧GATTI Natalia⑩
GOMEZ Rosana
( 45’
⑰COTELO Valeria)[FW]⑭VALLEJOS Fabiana⑱CORONEL Maiela⑳VILLANUEVA Maria
(45’
⑦ALVARIZA Karina)
●警告:
[アルゼンチン]16’
VILLANUEVA Maria、18’
GOMEZ Rosana、59’
BARBITTA NUNO Celeste
●退場:
[アルゼンチン]39’
GATTI Natalia
○団長:釜本邦茂(常務理事)○スーパーバイザー:大仁邦彌(常務理事)○監督:上田栄治(N
CS)○コーチ:吉田弘(NCS)○GKコーチ:川島透(NCS)○ドクター:諸川玄(聖マリ
アンナ医大西部病院)○AT:安達淳子(JMトレーナー)○総務:小野俊介(JFA)○EQマ
ネージャー:橋倉剛(アディダス ジャパン(株)
)○TQサポート:菅原大介(筑波大学)
Pos.
名前
所属
Pos.
名前
所属
GK
山郷のぞみ
さいたまレイナスFC
MF
中地舞
日テレ・ベレーザ
GK
小野寺志保
日テレ・ベレーザ
MF
須藤安紀子
日テレ・ベレーザ
DF
大部由美
YKKフラッパーズ
MF
宮本ともみ
伊賀FCくノ一
DF
磯崎浩美
田崎ペルーレFC
MF
宮間 あや
岡山湯郷Belle
DF
宮崎有香
伊賀FCくノ一
FW
澤穂希
アトランタ・ビート
DF
山岸靖代
伊賀FCくノ一
FW
大谷未央
田崎ペルーレFC
の質に格段の進歩が見られた。ドイツやア
の概要抜粋をここに紹介する。
は、ゲームの中で刻々と変化する状況を的
メリカの選手たちのサイドチェンジ時のキ
全国の女子サッカーの指導者、女子選手
確に判断し、プレーの原則、優先順位を守
ックの飛距離やパススピードの向上、また、
を有する男子チームの指導者、そして少し
り、シンプルにプレーしていた。一人ひと
トップの選手への速くかつ正確なくさびの
でも女子サッカーに興味を持たれている指
りがゲームを理解し、“自立”した選手に
パス、ピンポイントのクロスなど、質が高
導者の方々に、これからの指導現場で役立
見えた。日本の選手たちもボールを止める、
かった。日本選手たちのキックの質も向上
てていただければ幸いである。
運ぶ等の技術は、この大会の参加チームと
してきているが、今回、世界のトッププレ
比較しても高いものがあった。しかし、持
ーヤーたちが見せたレベルと比較するとま
っている技術をゲームの状況に応じて発揮
だ差が見られた。この差を縮めていくため
できるレベルまで、引き上げていくことが
には、ユース年代から両足でボールを蹴れ
必要である。
るようにすることや、状況に応じた多種多
大会概要∼FIFA女子ワールドカッ
プ USA2003
この「FIFA女子ワールドカップ」は、
FIFAに加盟する国・地域の女子代表チ
ームが世界一の座を競う大会(4年に一度
は同選手権で4位となり、北中米カリブ海
本選手は、より前を向くファーストタッチ、
日本vsカナダ
図3
ルウェー・中国といった「古豪たち」を抑
CAN
え、ドイツの初優勝、スウェーデン・ブラ
13
ジルの躍進、新戦力の台頭が見られ、女子
サッカーのプレー面での質的向上ととも
10
に、女子サッカーの新時代の幕開けを告げ
る大会となった。
11
GER
グループリーグ第2試合
0
日本女子代表
●2003年9月24日 17:45
前半0
後半0
VS
●Columbus Crew Stadium
前半2
後半1
3
ドイツ女子代表
●試合時間:90分
●審判:
[主審]TORTURA Sueli
(BRA)[副審]NUNES RIBEIRO Cleidy Mary
(BRA)
/SILVA Marlei
(BRA)[第4の審判員]HUNT Sandra
(USA) ●観衆:15,490人
日本:
[GK]①山郷のぞみ[DF]②大部由美④山岸靖代⑭矢野喬子
(59’
③磯崎浩美)
[MF]⑤酒井與恵
(55’
⑨荒川恵理子)
⑥小林弥生
(55’
⑰柳田美幸)
⑦川上直子⑧宮本ともみ⑯山本絵美[FW]⑩澤穂希⑪大
谷未央
ドイツ:
[GK]①ROTTENBERG Slike[DF]②STEGEMANN Kerstin⑬MINNERT Sandra⑰HINGST
Ariane
(71’
③BRESONIK Linda)
⑲GOTTSCHLICH Stefanie
(63’
⑧SMISEK Sandra)[MF]⑤JONES
Steffi⑥LINGOR Renate⑩WIEGMANN Bettina
(77’
④KUNENZER Nia)
⑱GAREFREKES Kerstin[FW]
⑨PRINZ Birgit⑭MEINERT Maren
戦術・技術的分析と日本の課題
(1)戦術・技術的分析∼ドイツの闘いを
今回初優勝を果たしたドイツは、1対1
日テレ・ベレーザ
●得点:
[ドイツ]23’
MINNERT Sandra
(0-1)
、36’
・66’
PRINZ Birgit
(0-2)
(0-3)
持ち、FW・MF・DFの3ラインが連動
日テレ・ベレーザ
●警告:
[ドイツ]80’
KUENZER Nia
してコンパクトフィールドを形成し、ボ
MF
山本絵美
田崎ペルーレFC
FW
丸山桂里奈
日本体育大学
MF
柳田美幸
田崎ペルーレFC
GK
福元美穂※
岡山湯郷Belle
●2003年9月27日 15:30
図2
1
前半1
後半0
●Gillette Stadium
VS
前半1
後半2
3
カナダ女子代表
●試合時間:90分
●審判:
[主審]IM Eunju
(KOR)
[副審]CHOI Soo Jin
(KOR)
/HONG Kum Nyo
(PRK)
[第4の審判員]
PETIGNAT Nicole
(SUI)●観衆:14,356人
日本:
[GK]①山郷のぞみ[DF]②大部由美③磯崎浩美④山岸靖代[MF]⑤酒井與恵
(61’
⑰柳田美幸)
⑥小林弥生
(53’
⑨荒川恵理子)
⑦川上直子⑧宮本ともみ⑯山本絵美
(88’
⑳宮間あや)[FW]⑩澤穂希⑪大
谷未央
カナダ:
[GK]⑳SWIATEK Taryn[DF]⑥NONEN Sharolta⑦MORNEAU Isabelle[MF]⑤NEIL
Andrea
(76’
⑧KISS Kristina)
⑬ MATHESON Diana⑮LANG Kara
(84’
⑨WILKINSON Rhian)
⑯TIMKO
Brittany[FW]②LATHAM Christine
( 59’
⑰BURTINI Silvana)
⑩ HOOPER Charmaine⑫SINCLAIR
Cristine⑱DENNIS Tanya
8
スウェーデンvsドイツ(決勝)
GER
JPN
ールを中心とした厳しい守備をしていた。
グループリーグ第3試合
16
の強さに裏付けされた強固な守備組織を
荒川恵理子
日本女子代表
ドイツの左サイドバック⑬S・MINNERTのサイ
ドチェンジのパス。この距離での速いパスは、一
発で相手の背後をとることができる。日本はこの
パスで⑱K・GAREFREKESに右サイドを破ら
れ、クロスから危険な場面をつくられた。
中心に
小林弥生
グループリーグ、日本との対戦でも、ハ
10
イプレッシャーをかけ続け、日本に本来
の力を発揮させなかった。その他スウェ
11
ーデン・アメリカ等の世界のトップクラ
スも、11人が連動して守備の組織をつく
⑪大谷は⑯山本からのパスを、前方にスペースが
あるにもかかわらず、簡単にバックパスをしてし
まった。もし、ワンタッチで前を向くことができ
ていれば、左サイドでの数的優位がつくられ、カ
ナダディフェンスを崩すきっかけができたはずで
ある。
図4
スウェーデンvsカナダ(準決勝)
り、ボールを奪うチャンスを逃さない、
積極的な守備が行われていた。日本も同
●得点:
[日本]20’
澤穂希
(1-0)[カナダ]36’
LATHAM Christine
(1-1)、49’
SINCLAIR Christine
(1-2)、
72’
LANG Kara(1-3)
様のコンセプトで闘ってきたが、世界の
●警告:
[カナダ]46’
MORNEAU Isabelle
トップクラスと比較すると、組織を形成
が不可欠」という観点から、女子サッカー
優勝したドイツ
の強化、普及に努め、積極的に改革を進め
をはじめ、スウェ
ている。そんな中、2003年9月20日から10
ーデン、アメリカ、
する「個」の強さが足りず、強固な守備
月12日までアメリカで開催された「FIFA女
ノルウェー、ブラ
組織を形成することができなかった。
子ワールドカップ USA2003」は、ドイツ
ジル、そして中国といった世界の強豪チー
れからの日本女子サッカーの強化、普及に
攻撃面においては、ドイツは一人ひとり
の優勝で幕を閉じた。第4回目となる今大
ムと日本の差はいったい何なのか。その課
とって、非常に重要である。この目的のた
が状況をよく見て判断し、しっかりとした
会に、日本は4回連続出場を果たしたもの
題を明らかにし、克服するための具体策に
めJFAはテクニカルスタディグループを
ビルドアップから、常に「サッカーの本
の、1勝2敗の成績で目標としていたセカン
ユース年代から取り組んでいくことが、こ
編成し、女子サッカー最高峰の大会である
質=ボールを奪い、ゴールを狙う」を失う
30
スがあるときは積極的にしかけてくる。日
18
変更して開催された。今回、アメリカ・ノ
FW
ならなかった。
り、ファーストタッチで前を向き、スペー
催地を前回1999年大会と同じアメリカに
FW
ッカーの発展には、女子サッカーの活性化
するぎりぎりまでボールから目を離し、周
予定されていたが、SARS(重症急性呼
田崎ペルーレFC
ドラウンド進出は
イプレッシャーの中でも、ボールにタッチ
JPN
をしている。また、常に前を向く意識があ
神奈川大学
日本サッカー協会(JFA)も「日本サ
3・4):トップレベルの選手たちは、ハ
囲を見て「判断を伴ったファーストタッチ」
川上直子
※:バックアップメンバー
NCS:ナショナルコーチングスタッフ AT:アスレティックトレーナー
EQ:エクィップメント TQ:テクニカル
ドイツvs日本
し、同大会4回連続の出場を果たした。
矢野喬子
日テレ・ベレーザ
②ファーストタッチ・前を向く意識(図
図1
地区予選3位メキシコとのプレーオフを制
DF
酒井與惠
要である。
プレーと日本の課題
開催)である。アジアからはアジア地区予
MF
MF
様のキックを身に付けるよう反復練習が必
(2)戦術・技術的分析∼トップレベルの
吸器症候群)の影響により、5月に急遽開
●得点:
[日本]13’
・38’
澤穂希
(1-0)
(2-0)
、64’
山本絵美
(3-0)、72’
・75’
・80’
大谷未央
(4-0)
(5-0)
(6-0)
日本女子代表
①キック(図1・2):今大会ではキック
勝利をものにしていた。ドイツの選手たち
この大会は、当初5月に中国での開催が
グループリーグ第1試合
6
ことなくゴールに向かい続け、得点を重ね
ない、テクニカルレポートを作成した。そ
3位で初出場を果たした韓国が出場。日本
© Jリーグフォト
(株)
日本女子代表
この大会に参加した強豪チームの分析を行
選を制した北朝鮮、同第2位の中国、同第
JFAテクニカルスタディグループ∼FIFA女子ワールドカップ USA2003
FIFA女子ワールドカップ USA2003
∼日本女子代表、準々決勝進出を逃す!
WOMEN
FIFA WOMEN'S WORLD CUP
CAN
11
SWE
SWE
ゴールを背にした状態でボールを受けたスウェー
デン⑪V.SVENSSONは背後の相手をすり抜けて
かわし、同時に相手守備陣の背後へ走り出した⑩
H.LJUNGBERGの動きに合わせ、精度の高いパ
スを送り、決勝戦での先取点を演出した。
スウェーデン⑪V.SVENSSONは、ゴール前の一
番厳しくマークされるエリアでも、前を向きシュ
ートまでもっていった。
31
WOMEN
FIFA WOMEN'S WORLD CUP
正面からプレッシャーをかけて
⑨ゴールキーパー:前回までの
くる相手の逆をとるようなギャ
大会から比較すると、技術が飛
ップに出るファーストタッチが
躍的に向上し、GKの単純なミ
必要である。そのためには、ボ
スで失点するシーンが減少し
ールを受ける前に状況を見てお
た。選手の大型化もその要因で
くこと、そして、ボールをコン
あるが、守備範囲が広がり、ダ
トロールする直前の確認(観る)
イナミックなプレーが随所に見
の習慣化と質の高い技術の習得
られた。日本のGKは体格でこ
が不可欠である。
そ見劣りするものの、技術は世
界と比較してもしっかりしたも
③突破の技術・しかけ:ブラジ
のを持っている。ただ、中・長
ル、スウェーデンの選手のドリ
期的な課題になるが、世界で戦
ブル・フェイントの技術の高さ
う上では、体格に恵まれた選手
は目を見張るものがあった。ま
の発掘・育成が必要である。
た、日本の選手(川上直子、山
本絵美、荒川恵理子等)のドリ
ブル・フェイントからの突破も
世界で十分通用することが証明
された。今後はゴール前の一番
厳しいエリアでも、突破をしか
ける意識と技術をより磨いてい
© Jリーグフォト
(株)
© Jリーグフォト
(株)
FIFA女子ワールドカップUSA2003(⑩澤/日本vsカナダ)
以上、報告したFIFA女子ワールドカッ
プUSA2003のテクニカルレポートは、
2003年度、47都道府県女子指導者研修会
(ウィメンズ・カレッジ)にて映像を交え
て報告しています。またテクニカルレポ
ートは47都道府県女子委員会に配布して
おります。
FIFA女子ワールドカップUSA2003(⑪大谷/日本vsアルゼンチン)
くことが課題である。
⑤ヘディング:身長差に劣る選手が多い日
の経験を積ませることが必要である。
④オフ・ザ・ボールの動き:世界のトップ
本にとって、ヘディングはウィークポイン
レベルの選手たちは、常に良い視野を確保
トとも言える。特に空中での相手との競り
⑦スライディング:リカバリー(立ち上が
し、相手との駆け引きで自分にとって優位
合いや、守備時の下がりながらクリアする
り)の速さを含めたスライディングタック
な状況を作り出し、有効な攻撃を演出、そ
ヘディングに難がある。身長の高い相手に
ルの習得が重要である。トッププレーヤー
して得点をたたき出していた。守備の面で
アテネオリンピック、アジア予選から本大会へ
上田栄治・日本女子代表監督
競り勝つためには、予測を伴う良いポジシ
たちは、状況に応じて相手のボールを奪う
も、常に首を振って全体をケアし、良い準
ョン取りや、競り合うときの身体の使い方
のか、もしくは蹴り出すのかという使い分
備で最善のポジションをとる選手がいた。
などを含めたヘディング技術を高めなけれ
けができ、また、両足で目的に応じたスラ
2003年FIFA女子ワールドカップ後、約半年でアテネオリ
クロスの守備に関しては、ほとんどの国が
ばならない。将来を見据えると、長身の選
イディングの技術も発揮していた。今大会
ンピックのアジア予選(右下表参照)があります。ここで北
ボールウォッチャーになってしまうという
手の発掘・育成は、今後の日本の大きな課
でもアジアのライバルである北朝鮮等は、
朝鮮、中国に勝つということに焦点を当てれば、やはりチー
課題を持っているが、体格差で不利になっ
題である。
ボールへの執着心が強く、最後の最後とい
ムとしての守備の部分をさらにコンパクトにできるように組
うときには、身体を張り、スライディング
織していかなくてはなりません。また、個々が連動してボー
てしまう日本選手にとって、視野を確保し、
より良いポジションをとる必要性は高い。
⑥コンタクトスキル:世界レベルの大会に
を駆使し、相手に仕事をさせていなかった。
ルを奪い、最終ラインが下がっても上がることができるよう
また、日本選手もゴール前では良い動きを
なると、ルーズボールを確実に自分のもの
日本の選手もかなりこの技術が向上してい
に、常にボールにプレッシャーをかけ続けることができるよ
していたが、DFラインからのビルドアッ
とすること、またはキープしているボール
るが、ゴールを守るために、ボールを奪う
うに組織していく必要があります。
プ時にはまだまだ意識が不足していた。
を奪われないことがより重要となる。日本
ために、闘う姿勢を含めたスライディング
国内ではボールキープができるような場面
の技術のさらなる向上が望まれる。
限られた中でより良い判断、正確な技術が発揮でき、かつ相
日本女子代表、アテネオリンピック・アジア予選
開催日程
⑧1対1の対応:今大会ベスト4に勝ち残っ
闘える、勝てるように持っていくことは可能だと考えていま
4月18日
Cグループ
vs ベトナム
東京
た。ガーナやナイジェリアの選手の中には、
たチーム(ドイツ、スウェーデン、アメリ
す。そのために、選手たちには所属チームでも、常に相手か
4月22日
Cグループ
vs タイ
東京
日本の選手との体格差があまり見られない
カ、カナダ)は、一人ひとりの守備に対す
らのハイプレッシャーの中でのプレーということを意識し
選手もいたが、ボディバランスに優れ、身
る意識が高く、1対1に強かった。特に優
て、良い準備、良い判断の習慣化を目指してトレーニングに
体を上手く使いボールをキープしていた。
勝したドイツの選手はボールの取りどころ
取り組んでほしいと思います。また、全体をコンパクトに保
日本選手の中でも澤穂希の身体の使い方、
が整理され、ボールを奪うチャンスを逃さ
ち、相手にプレッシャーをかけ続ける体力をつけるため、パ
自ら相手に当たりにいくタイミングや、下
ない厳しい守備ができていた。1対1の対
ワー系のトレーニングや持久力アップのトレーニングにも継
半身のバランスが良く、相手に当たられて
応には、速さ、強さといったフィジカルの
続して取り組んでいく必要があります。
も軸がぶれない強さ等は、各国の選手と比
要素だけでなく、構えやステップワーク、
較しても見劣りしていなかった。これは澤
さでボールを奪われてしまう場面が見られ
© Jリーグフォト
(株)
© Jリーグフォト
(株)
大会で得たいくつかの課題を改善して、時間とスペースが
手に対してプレッシャーをかけられるようになれば、十分に
であっても、世界の選手たちのリーチの長
Road to Athene
準決勝は各グループ1位の3チーム、および各グループの2位チ
ームの中から最上位1チームが進出。
4月24日
準決勝
A1位 vs C1位
東京
準決勝
B1位 vs A/B/C2位の最上位
チーム
広島
3位決定戦
準決勝・敗者同士
広島
これからは、これまでのチームコンセプトをベースに、も
決勝
準決勝・勝者同士
広島
コンタクトスキル、相手との駆け引き等、
う一度整理し直して攻守の質を上げて、チーム全体のレベル
※時刻、場所は未定
穂希が厳しいアメリカのプロリーグの中
技術と経験が必要である。また、正しいポ
アップと若くてスケールの大きい選手も含めて新戦力の発掘
で、体格の勝る相手に揉まれて身に付けた
ジションをとれることと、その中で優先順
に取り組んでいきたいと考えています。
ものである。また、ウエイトトレーニング
位を意識した1対1の対応が必要である。
などで身体を鍛えていることも大きな要因
日本の選手たちには、育成年代からさまざ
であると考えられる。日本国内においても
まな形で1対1のバトルを繰り広げさせ、
トレーニングを工夫したり、試合の対戦相
ボールを奪える選手の育成をしていかなけ
手を工夫することで、体格の大きい相手と
ればならない。
4月26日
上位2チームがアテネオリンピック出場権獲得
FIFA女子ワールドカップUSA2003(⑦川上/日本vsドイツ)
32
33
REGIONAL NEWS
REGIONAL
NEWS
国内各地域の取り組み
「サッカーカンファレンス NAGANO2004」
JFA技術部
の指導者の皆さんが熱心に集まって来られ
です。そしてまた、学校
た姿が非常に印象的でした。
の制度等による間のブラ
カンファレンスのサブタイトルとして
ンクを極力小さなものと
「長野県サッカーの強化・サッカーのさら
し、選手たちを最も良い
なる普及のために(全国に肩をならべるた
形で育成するためには、
め・Jリーガー、日本代表輩出のために何
非常に重要なことです。
をすべきか)」を掲げ、プログラムが構成
されていました。
2004年1月17日・18日に、長野県松本市
目的は、左記の通りですが、これほど多
はうまくいきません。種
に お い て 、「 サ ッ カ ー カ ン フ ァ レ ン ス
くの受講者が集まり長野のサッカーについ
別毎では集まったり話し
NAGANO2004」が開催されました。この
て真剣に考え討論をしたことで、その目的
合ったりする場があって
カンファレンスは、2003年1月に横浜で開
はまさに達成されたと思われます。講演で
も、種別を越えた話し合
催された「第3回フットボールカンファレ
出てきた「思いの共有」という言葉が非常
いという場は作りにくい
ンス」に出席された飽田長野県サッカー協
に印象的でした。主題は「長野ビジョン」
、
現実があります。そうい
会技術委員長と中沢同技術委員が、帰り道
長野県サッカーの今後を考える、というこ
った意味でもカンファレンスは、非常に有
り組んでいっていただければと強く感じま
に「ぜひ、長野でもやってみよう!」と話
とで、長野県の現状分析から将来へ具体的
効な機会となると再確認しました。多くの
した。
し合ったことがきっかけとなり、1年間の
につなげていこうという姿勢が見られまし
人に一度に同じことが伝えられること、多
参加された指導者の皆さん、講師の皆さ
準備の末に実現したものだそうです。
た。とくに、種別を超えよう、地域で育て
くの人が一堂に会することでお互いの思い
ん、そして何よりもこの会を発想、企画し、
よう、という提言のもと、2日目の分科会
や情熱を再確認できることという点でも、
準備の末に実現にこぎつけ、当日も運営に
他の講習会にはない利点があります。
奔走していらした長野県サッカー協会技術
県内・県外から指導者資格を問わず271
名もの受講者が一堂に会し、1日半かけて
では、地区毎に、1種、2種、3種、4種、
「長野ビジョン」について、講演と分科会
女子の指導者がそれぞれ一堂に会しての議
カンファレンス自体はスケジュールの関
委員会の皆様方、役員の皆様方のパワーと
を取り組みました。県内からこれほど多く
論が行われました。これは、全国でもなか
係で流れていきますが、それぞれのディス
努力に敬意を表したいと思います。このよ
なかありそうでない貴重な機会であり、非
カッションの結果等を含め、報告書が作成
うな企画が全国で実施されること、取り組
常に有意義だったのではないかと思われま
され、今後の取り組みに確実につながって
みへの出発点、そして今後継続して、取り
す。「種別を越えて」というのは、日本サ
いくことを期待します。カンファレンスを
組みの再確認・再検討・再スタート地点と
ッカーが掲げ目指し続けている「長期的視
単なるイベントとして終わらせるのではな
なることを期待したいと思います。
野に立った選手の育成」には不可欠なこと
く、今後へ向けたスタート地点として、取
○写真提供:長野県サッカー協会
開催概要
名称
目 的
サッカーカンファレンス NAGANO2004
長野県サッカーの強化・サッカーのさらなる普及のために
(全国に肩をならべるため・Jリーガー、日本代表輩出のために何をすべきか)
①長野県サッカー協会として将来の長野県サッカーがどうあるべきか、そのために何をすべきかを提言する。
②長野県内のサッカー指導者およびサッカー関係者が一堂に会し、互いの考えを伝え合って、長野県サッカーの今後の進む方
向についてベクトルを合わせる。
③サッカーを通して人を育て、地域に貢献するための情報交換をする。
会 場
松本市浅間温泉文化センター
参加者
271人
日 程
1月17日(土)
サッカーカンファレンス NAGANO2004を終えて
飽田敏(第1回長野県サッカーカンファレンス実行委員長/長野県サッカー協会技術委員会委員長)
今回のカンファレンス開催にあたっては、準備段階でも
開会行事
①講演1
カンファレンスガイダンス「長野県のサッカーの未来に向けて」
長野県サッカー協会技術委員会委員長 飽田 敏
②講演2
「少年サッカーへの提言」
クーバーコーチング 矢作典史
昼食∼女子プロジェクト 女子プロモーションビデオ上映
③講演3
「育成と強化 長野ビジョン」
長野県サッカー協会技術委員 勝沢 勝
④講演4
「野外活動とサッカーの指導」
信州大学大学院 福富信也
分科会1:テーマ別ディスカッション
(1)少年サッカーのあり方(2)普及とキッズ・女子サッカー∼サッカー愛好者をどう増やすか
(3)社会人強化の方向性(4)トレセン活動と強化長野ビジョン(5)指導者養成スキルアップ
らためて私たちにとって大きな刺激であり、今後の指導・
さまざまな論議をしてきました。大事にしたいのは、長野
活動の大きなヒントとなりました。2日目の分科会後には、
県の課題をしっかり踏まえ、指導者のベクトル合わせと長
地区の中での指導者の連携を図る具体的な方策を語り合う
野県サッカーへの思いをどう共有するか。また、自分のセ
姿も見られ、カンファレンスを実施したことの意義を再確
クション、種別だけしか見ることができなくなってしまう
認しました。
視野をどう広げるか、ということでした。その中で、協会
今後は参加者のアセスメント(評価)を分析してカンファ
としての方向性を強く出したほうが良い、という意見もあ
レンスの評価をし、次回のカンファレンスへの準備をするこ
りましたが、最終的には「参加してもらって、いろいろな
とと、長野県サッカーの課題をより明確にし、どのような計
意見を言ってもらうことそのものに意味がある。そこで結
画と実践で克服していくかのプランを具体化することが長野
論など出なくてもよい」ということに落ち着き、参加者と
県サッカー協会技術委員会の責務だと考えています。
の双方向の会議のスタンスを確認して開催に至りました。
「まず始めよう、そうすれば何かがわかるし、何かを変
えられる」
今回のカンファレンスで一人ひとりの指導者の思いをつ
なげること、共有することを通して長野県が指導者から変
わっていく確かな流れが見えてきたように思います。2年後
それが本当に実感できた2日間でした。集まった方たちの
に開催する予定のカンファレンスに向けて、確かなものを
意識の高さは主催者側からしてもとても新鮮な驚きでした。
日々の中で培っていかなければいけないということを指導
正直なところ、
「公認指導者研修会」になるから2日間出てい
者の方々の真摯な参加姿勢からも感じました。より多くの
ればいい、という消極的な指導者が結構いるのではないか、
人にサッカーのすばらしさを伝え、サッカーを認知しても
という危惧もあったのですが、まったく違いました。また
らうとともに、長野県サッカーの目指すものを明確にし、
分科会2:長野県サッカーをどうするか∼地区での課題(ディスカッション)/東信・北信・中信・南信
田嶋幸三JFA技術委員長をはじめ、講師としてお呼びし
成果として目に見えるものにしていかなければという思い
昼食
た矢作典史氏(クーバーコーチング)
、福富信也氏(信州大
を強くした2日間でした。
懇親会
1月18日(日)
しかし残念ながら、な
かなかその連携というの
①講演5 「清水ユースサッカー育成の目安作成にあたって」
清水サッカー協会 大石弘道
②講演6
「将来の日本サッカーのためにわれわれのすべきこと」
学大学院)
、大石弘道氏(清水サッカー協会)の講演は、あ
(財)日本サッカー協会技術委員会委員長 田嶋幸三
閉会行事
34
各地域で開催される研修会、カンファレンス、様々な取り組み等の情報をお待ちしています(JFA技術部)
35
GK
JFA GOALKEEPER PROJECT
JFA GOALKEEPER PROJECT
NATIONAL TRAINING CENTER
2003ナショナルトレセン
加藤好男(GKプロジェクトリーダー)
© AGC/JFA news編集部
2003年度よりナショナルトレセンの実施スタイルが変更と
なった。
U-12トレセンは地域開催となり、より多くの選手が招集され
トレーニングを行うこととなった。U-14トレセンは3月にJヴ
ィレッジにおいて、地域を2分割した形で行う予定である。こ
のことによりU-12トレセン同様、今までより多くの選手が参加
できることとなった。U-16トレセンは今までのU-17トレセン
より年代が一つ若返って開催された。この年代は、各大会や試
合の出場機会が少なくなっている年代で、ナショナルトレセン
開催によりスポットライトが当たることとなった。
それぞれのカテゴリーにおけるトレセンでは、フィールドプ
レーヤー同様のテーマとともに、ゴールキーパー(以下GK)
全体のテーマも打ち出して実施されている。
© AGC/JFA news編集部
ナショナルトレセンのテーマ
● アグレッシブ・ゴールキーピング
Aggressive Goalkeeping
積極的かつ攻撃的なゴールキーピング、試合勝利への積極的貢献、守備範囲拡大、GKの存在感、リーダーシップ
● グッド・ポジション
Good Position(良い位置と姿勢、良い準備)
シュートストップ、ブレイクアウェイ、クロス、攻撃への参加といった各状況下でGood Positionをとり続けること
● DFとのコミュニケーションとコンビネーション
DF Communication & Combination
DFとの連携を的確に行う。「声」短く、はっきり、タイミング良く
U-12
トレセン
© AGC/JFA news編集部
GK専門のトレーニングでは、ボール感覚を養うことに主眼を置き、両手が自由に使えるよう、ボールを使っ
た様々な動作を行う。またキャッチングやローリングダウンなど、GKプレーの導入期として基本動作を習得
する。
© AGC/JFA news編集部
ゴールキーパー強化育成
JFA GKプロジェクト活動報告
フィールドプレーヤー(以下FP)もGKも同様にみんなが交代しながら行う。「良いGKは、良いサッカー選
手から生まれる」を実践する。さらにGKが楽しくて、おもしろく、やりがいがある等と思える選手を育てる。
試合においては、声を出して積極的に試合に参加すること。指導者はGKの積極的なプレーや良いプレーに対
して誉めることを推奨する。
⇒ 54ページ参照
U-14
トレセン
GKプレーの基本スキル徹底を目指してトレーニングを行う。シュートストップ、ブレイクアウェイ、クロス、
攻撃への参加といった状況下におけるGKプレーを抜き出して、その基本スキルを徹底してトレーニングする。
一つ一つの技術の正確性を試合における状況下の中で判断し、発揮することが求められる。そして良い習慣を
身に付けることがU-14トレセンでの最大の課題となる。
1998年8月にJFA技術委員会内に発足した
「GKプロジェクト」は、ゴールキーパーの
強化育成策を企画立案、各年代の日本代表
チーム、トレセン制度、指導者養成の各分
野でゴールキーパーの育成に携わってきた。
そして、
「ユース改革・元年」ともいえる
2003年も、秋の「GKキャンプ」等を行い、
国内はもとより代表チーム遠征等を通じて
国外においても活動を活発に行った。
U-16
トレセン
GKプレーの基本スキルを習得した選手が、より高いレベルの試合、もしくは試合の状況下において、安定し
たスキルの発揮が課題となる。正確かつ高いスピードの中で、一つ一つのプレーを適切に判断し、発揮するこ
とが求められる。
ゴール前の攻防がトレセン全体のテーマであるが、こうした中、GKが主導権を持ってDFと連携し、ゴール
を守るか。また同様に攻撃へ参加していくか。より高いGKプレーの質が問われる。
⇒ 46ページ参照
上記がそれぞれのカテゴリーにおけるトレセンの実技テーマで
ある。その他、GKミーティングの中で、FIFA U-17世界選手
権 フィンランド2003の映像を使い、世界基準のGKプレーを
JFA GKプロジェクト
鑑賞して自身のプレーに置き換えて考察したり、コーチングスタ
ッフとディスカッションすることによって、GKプレーの良し悪
しや方向性を合わせ、共通理解を図ること等を行っている。
© AGC/JFA news編集部
36
37
JFA GOALKEEPER PROJECT
GK
GK TRAINING CAMP
2003年U-18/U-15 GKキャンプ
2003年10月24日∼26日/Jヴィレッジ
1.U-15 GK
佐々木理(GKプロジェクト/柏レイソル)
今回のGKキャンプにおいて、全体(U-18、U-15)のテー
マとしては、①Aggressive Goalkeeping、②Good Position、
③DF Communication & Combination(詳細は前ページ参
照)の3つを挙げた。
U-15としては「基本要素の徹底とその質の向上」を最大の目
標とし、トレーニングを計画、実施していった。トレーニング
のテーマとしては、試合の状況別に「シュートストップ」「ブレ
イクアウェイ」「クロス(2回)」を挙げ、計4回のトレーニング
を行った。
クロスのトレーニングを2回にしたのは、この年代でクロス
の状況下での適切な対応を身に付けておきたいということ、そ
して、クロスへの対応が日本のゴールキーパーの課題であると
考えられるという理由からである。また、キャンプ全体を通し
て、「リーダーシップの発
揮」ということを意図し、
「自分の意見をはっきりと
言う」「考えながらトレー
ニングを行う」ということ
を選手に要求した。
それぞれのトレーニング
セッションでの詳細な目的
© AGC/JFA news編集部
について、以下に記す。
【シュートストップ】
・ シュートに対する構えの徹底(姿勢とタイミング)
・ 基本技術(キャッチング、ローリングダウンなど)の質の向上
・ ディフレクティングの導入
・ シュートに対するポジショニングの徹底
【ブレイクアウェイ】
・ プレーの優先順位の徹底
・ 1対1の対応
・ 守備範囲拡大のためのスターティングポジション(高いポジ
ションをとる)
【クロス】
・ 技術の質の改善(ジャンピング等)
・ パンチングの導入
・ クロスへの対応(状況把握、指示等)
・守備範囲拡大のためのスターティングポジション(高いポジ
ションをとる)
2.U-18 GK
武田亘弘(GKプロジェクト/セレッソ大阪)
U-18では、「基本要素の再確認」と「個々のレベルアップ」
を目的にトレーニングを行っていった。
加えて、U-18ということを踏まえ、プレーのスピードの向上、
プレーの質の向上を目指した。また、選手には、オン・ザ・ピ
ッチ、オフ・ザ・ピッチを通じて、あらゆる面で自立を促し、
リーダーシップの発揮を求めていった。この年代では、自分で
プレーを分析し、改善を図っていくことや自分の意見を相手に
明確に伝えること等を身に付けておいて欲しいと考えている。
トレーニングテーマとしては、今までのGKキャンプやナシ
ョナルトレセンと同様に、試合の状況別に「シュートストップ」
「ブレイクアウェイ」「クロス」「フィールドプレー」を掲げた。
トレーニングでは、全体のテーマ(前項参照)を踏まえ、特に、
状況を把握した上でのポジショニングを強調した。
今回のGKキャンプは、「2003年U-16ストライカーキャン
プ」との合同開催であったため、ゴールキーパー(U-18)は、
20分程度のウォーミングアップを行った後、ストライカーとの
トレーニングに合流し、ゴール前でのトレーニングやゲームを
行っていった。ストライカーと一緒にトレーニングを行えたこ
とにより、より試合に近いシュートを受けることができ、その
中で何が本当に重要なのかを実感できたと言える。
一方、シュートを連続的に受けることが多くなり、基本要素
の再確認やその質の向上という面では、難しい状況であったの
も事実である。その面をカバーするため、ゲーム等のときに、
ストライカーとのトレーニングに入っていない選手に対して、
基本要素に焦点を当てたトレーニングを実施した。
NATIONAL TEAM
ウェイ」「クロス」をテーマとして、その中でも、基本技術のレ
ベルアップ、コンタクトの中での確実なプレーに重点を置いて
トレーニングを行った。
各年代代表チーム∼各国際大会に参加して
1.FIFA女子ワールドカップ USA2003
川島透(日本女子代表GKコーチ)
今回のFIFA女子ワールドカップにあたって、ゴールキーパー
に3つのテーマ(課題、下記)を挙げた。そして、それぞれのテ
ーマからできたこと、できなかったことを以下に述べる。
この大会に参加した日本女子代表チームのGKは、山郷のぞみ
(さいたまレイナスFC)
、小野寺志保(日テレ・ベレーザ)
、福元
美穂(岡山湯郷Belle)の3名(福元はバックアップメンバー)
。
①クロスへの対応
大会前、大会中を通じてクロスに対する守備範囲は拡がりつ
つあった。しかしながら、ドイツ、カナダといった大型選手と
の競り合いにおいては安定感を欠く場面があった。
また、質の高いクロスがゴール前へ送られてくる場面でのパ
ンチングにおいては、さらにレベルを向上しなければならない
と強く感じた。
②攻撃への参加
GKからのビルドアップに関しては、DFとのコミュニケー
ションを取り、状況を良く観た上でのプレーの判断が改善され
てきた。
しかしながら、相手のプレッシャーが速く、強くなってきた
際に判断に迷いが生じ、対応に戸惑うといった課題も新たに生
まれた。
③ブレイクアウェイの対応
DFラインの背後に対する対応に関しては、クロス同様、大
会前、大会中を通じて守備の範囲が拡がってきた。
しかしながら、ドイツ戦での3失点目やカナダ戦の1失点目の
ように積極的にチャレンジするものの、相手のスルーパスの質
や相手選手の能力の高さに戸惑い、相手に先に触られて得点を
許すといった場面があった。今後は、こうした高いレベルの相
手や選手との対戦が不可欠で経験知を高めていくことが重要で
ある。
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日本女子サッカーの現状としては、選手(GK)は常に向上
心を持ち、積極的にトレーニングや試合に取り組んでいる。し
かし、残念ながら選手に対して、専属のGKコーチによる指導
を受けられる環境が整っていない。女子代表の選手であっても
そのことは同様で、ここ最近になって週2、3度の割合でGKコ
ーチによる指導を受ける機会が得られるようになった。したが
って、代表GKもあらゆる面でレベルが向上してきた。
今後、アテネオリンピックに向けて、今回挙げた課題の改善
と新たなテーマにも取り組んで出場権獲得に向け、選手ともど
もがんばりたいと思っている。
※本誌30ページ参照
2.U-19日本代表チーム
武田亘弘(U-19日本代表GKコーチ/セレッソ大阪)
AFC U-20サッカー選手権大会マレーシア2004・1次ラウン
ドに向けて、2003年は国内トレーニングキャンプ3回、国内
大会3回(SBSカップ、新潟国際ユース、仙台カップ)、オラン
ダ遠征を行った。それぞれのキャンプ、試合、遠征で掲げられ
たチームのテーマを踏まえた上で、GKには「Aggressive
Goalkeeping」、「Good Position」、「DF Communication
& Combination」をテーマとして取り組んだ。
特に、コミュニケーションの質の向上を言い続け、自分のパ
フォーマンスを発揮することはもちろんだが、その前に適切な
準備ができたのか、(自分、DFも含めて)そのためにどんな指
示を出せたのか、より質の高いコーチングとは何なのか、それ
を選手に考えさせ、実践させた。
また、1次ラウンドではチャイニーズ・タイペイとマカオの2
チームと国内で対戦するのだが、アジア予選(このカテゴリー
初の公式戦)というプレッシャーの中で、しっかり自分のパフ
ォーマンスを発揮するために、「観る(状況の把握・判断)」を
もう一つのテーマとして取り組んだ。その中で、相手との力関
係、ホームで戦うことを考えた上で、攻め込むことが多くなる
中で、安全確実で堅実なプレー、指示の声、リーダーシップの
発揮が大事であることを、選手に伝え、実践させた。
実際のプレーとしては、「シュート・ストップ」「ブレイクア
りと溶け込んでいた。苦しい時も、辛い時も、勝つことにより
大きな喜びに変えていくことができるチームに成長していった。
その大きな喜びと自信が、選手、スタッフを1つに包み込み、
闘う集団は、優勝を勝ち取った。
3.ユニバーシアード日本代表
柳楽雅幸(GKプロジェクト/横浜F・マリノス)
4.ユニバーシアード日本女子代表
東海林秀明(ザスパ草津)
前回の北京ユニバーシアード大会優勝といった輝かしい成績の
後、韓国テグ・ユニバーシアード大会(2003年8月20日∼31
日)に向け、不安と、プレッシャーの中でのスタートとなった。
このチームを立ち上げるにあたり、約1年8か月の時間が掛か
っており、その間、海外遠征、国内合宿に15名のGK=塩田仁
史(流通経済大学)・橋田聡司(同志社大学)・杉山哲(福岡
大学)・高木雅史(明治大学)・鈴木由奏(福山大学)・中島
久志(亜細亜大学)・松浦健二郎(奈良産業大学)・植草裕樹
(早稲田大学)・為田聡史(法政大学)・阿部謙作(筑波大学、
現ヴァンフォーレ甲府)・植村慶(中央大学)・吉武和治(大
阪学院大学)・山口夏希(阪南大学)・堤 喬也(第一経済大
学)・真子秀徳(福岡教育大学)=がリストアップされた。
大人のようで、大人になりきっていない学生の甘さが目につ
き、生温いサッカーが現状。そんな中で、世界を相手に闘うこ
とができるのだろうか?こんなことを思うのは、自分だけだろ
うか?少なからず、現場を担当していたスタッフには同様の気
持ちがよぎったのではないだろうか・・・。
さらに、実戦経験が少ない学生選抜に、追い討ちをかけるよ
うに、2回の海外遠征が国際情勢悪化のため中止になったこと
が、我々スタッフにも誤算であった。大会間近の1か月を切っ
た時期にオランダ遠征が実施され、それは1つの賭けのような、
望みを繋ぐ海外遠征であった。この遠征でチームの課題の抽出、
そして修正改善を繰り返すことにより、チームは自信と勇気を
つけ、本大会入りすることができた。
本大会に入り、チームは1ゲームごとに成長していった。オ
ランダでの経験が、そのまま良い方向で継続されているように
も思えた。本来の大学生の良さである理解力の高さ、それがイ
ンテリジェンス・サッカー、またテクニカル分析班による的確
なチーム分析と相手分析を繰り返すことにより、闘い方が明確
になり、チームとしての共通理解がはっきりすることにより、
チームに自信を与えることとなった。
この時には、メンタルトレーニングも充実し、選手にしっか
日本の選手は海外の選手と比較すると、とくに体格や体力面
で劣る部分がある。しかし、それを補うべくシュートストップ
の技術、ポジショニング等のレベルは、非常に高く優れている
と思われる。海外の選手は個人の運動能力によってゴールキー
ピングをしているが、日本の選手は守備の戦術をもってゴール
を守ることを実践しようとすることができる。
ただし、やはりパワー不足の部分は否めない。GKに必要な
高さ、スピードはやはり海外の選手に比べると劣る部分が多い。
具体的なプレーに置き換えると、キックのスピードと距離・ス
ローイングのスピードと距離・クロスボールの処理の高さセー
ビングスピードと範囲等である。
個人の運動能力については、民族的な事情や生活習慣等の影
響が大きいことが挙げられるが、今後、世界で闘うことのでき
るGKを排出していくためには、女子選手のための育成プログ
ラムの確立・選手の発掘・GKトレーニングの普及活動等を行
っていく必要があると思われる。
最後に、世界と比較して、日本のGKについて簡単にまとめ
てみる。
○実践できている部分
・守備の戦術の理解と実践
・ポジショニング
・リスクマネージメント
○ウィークポイント
・スピード、パワー、高さ
・決断力(勇気)
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