日本語ダイジェスト No 38 - May 2009 2009 年 7 月 6 日発行 バイオエネルギー · インターナショナル (BI) 日本語ダイジェストは、記事の中から特に興味深いいく つかのトピックスを選んで日本語で要約します。Bioenergi Förlag 社の合意のもとにペレットクラブが 作る刊行物です。 今号には林業に関する記事が多く載っています。毎年この時期は各地で林業に関する催しが多く開か れるので、毎年の第 3 号で林業を取り上げることが恒例になっているようです。随所に盛りだくさんの林 業技術、プロジェクト、さらには作業機械の紹介などが載っています。もちろん、林業事情はヨーロッパ と日本とは大きく違いますが、それでも伐採、搬出、運搬、チップ化まで興味深い内容です。 ペレットに関する記事では、ヨーロッパおよび北米の会社と大学が共同で行った研究記事がおもしろ かったと思います。研究室に設置されたペレット生成装置を使って、ペレット押し出しに必要な力(ペレッ ト製造の際に必要になるエネルギーに相当する)が、原料によってどのように違うかを測定したものです。 日本でもどこかの研究室にこのような装置があって、基礎研究が行われているのでしょうか?あったらぜ ひ見学したいと思います。今回は、スエーデンとカナダでのバイオマス収穫についての記事とペレット産 業の最近の動向に関する記事を取り上げます。 バイオマスの収穫 (p8-9) 化石燃料の豊富なカナダでも再生可 能エネルギーが重要視されてきてい る。少なく見積もっても二次エネル ギーで、一般家庭の 5%、産業(主に 林業関係)の 17%をまかなっている。 主に、パルプ工場や製紙工場の加工 用熱源と木材乾燥に使われる。カナ ダの全エネルギーの実に 35%がこの 分野の産業で消費されるので、これ は重要なことだ。 スエーデンはさらに進んでいる。製 材副産物としての熱を他に使うだ けでなく、以前は伐採現場に置き去 りにされていた枝などの残材の市場 化を実現させた。スエーデンエネル ギー庁によると、2007 年時点でバイ オマスはスエーデン全体の 1 次エネ ルギーの 27% をまかない、年々増え ている。バイオマスが木材産業の副 産物であることに変わりはないが、 最近はそっちの方の利益が大きいと いう業者も出てきた。 一方、カナダでは 1,100 万トン以上の 残材が燃やされるか、そのままにさ れている。カナダではその利用コス トが高く、スエーデンのように林業 の一部となっていない。しかし、エ ネルギーコストの上昇、機材の改良、 政府の援助が状況を変えつつある。 (次ページに続く) 1 (前ページから続く) なぜカナダで廃材利用が進んでいないのかは興 味深い問題だ。森林の中で木材にするやり方だと木 材とバイオマスを別に搬出する必要があるが、北米 で通常行われている、道端まで搬出した後に木材に する手法ではバイオマスを別に搬出する手間が省け るので、好都合のはずだ。それでも、プリンスエド ワード島など一部の例外を除いて、これまでだれも 副産物の活用を考えてこなかった。 スエーデン南部の Eskilstuna の Skogsentreprenader 社を所有する Gustavsson 氏は Tigercat1055 搬 出機を使って針葉樹の丸太とバイオマスの搬出をし ている。バイオマスの場合はこの 14 トンの機械が 平均で 1 日に 20 回、伐採現場から道端まで枝類を運 ぶ。1回に運ぶ量は 6 トンで、19m3 のチップに相当 する。丸太を運ぶ場合の1回 14 ー 15 トンに比べて、 効率はかなり低い。この会社の場合、1回の操業で 1,000m3 の木材と 500m3 のバイオマスチップを生産 する。通常、1055 搬出機の運転手は、最初にバイオ マスを搬出する方を選ぶ。枝がまだ新鮮なうちの方 が作業がしやすいからだ。それらは道端に積み上げ られ、水分を下げて、氷や雪が入り込まないように 防水シートで被われる。ほとんどのノルディック地方 の業者は作業代金を熱量換算で支払われるので、水 分には気を使う。 スエーデン南部の 2008 年夏は大変雨が多かった。 通常の木材収穫にバイオマス収穫を加えると市場に 出せるだけでなく、作業の柔軟性を増やせる。バイ オマスは丸太に比べて軽いので、搬出機の地面に対 する負荷が小さく、地面が非常に湿っていてもうま く作動できる。必要なら地面が氷結して重いチップ 機械を持ち込めるようになるまで、バイオマスを現 場に放置しておいてもよい。 Gustavsson 氏はチップを電力や地域暖房を供給 する会社に直接売っている。スエーデンではバイオ エネルギーの取り組みは地域経済、特に林業への貢 献が大きな動機になっている。 どうして森林の中でチップ化することによって、 工程をひとつ省こうとしないのか?Gustavsson 氏に よれば、チップ装置は林の中、特に湿っている場合、 を運転するには大きく重すぎて動作が鈍い。以前ト ライしたことがあるが、効率はよくない。安価な搬 出機を使って、ずっと高価なチップ装置を道端に設置 したまま、フル可動させた方がよい。森林の中でチッ プ化する場合は機材を材料のパイルからパイルに移 動させなければならないので時間の無駄になるし、 チップをトラックまで運搬するにも時間がかかる。 Kastegårds Åkeri 社を所有する Kastegård 氏の場 合は Tigercat1014 搬出機(18-ton) に Bruks 社製移動 式チップ化装置を付けたものを使っている。1 日 6 時 間の可動で、平均 200m3 のチップを製造する。バイ オマスのパイルが林道に沿ってあちこちにできるの で、チッパーは頻繁に移動する。一杯になると主要 道路でトラックに積まれ、顧客先に運ばれる。氏に よると丸太に比べてバイオマスの方が収益が大きい。 しかし、投資も大きくなる。搬出機とチッパーの組 み合わせで 100 万米ドルの投資が必要だ。さらにチッ パーは頻繁に保守が必要で、8 時間シフトのうち、多 い時で 2 時間程度になる場合もある。 ペレット市場の変化 (p18 グリーンカラム) 世界資源クオーターリーによれば、2008 年のペ レット生産は世界で 1,000 万トンちかくだった。こ れが 4-5 年で倍増するだろうと予想される。これか ら 10 年の間、業界の成長率は年 25-30%になるだろ うと予想する専門家もいる。 アメリカの新政権は、代替エネルギー利用によい インパクトを与えている。カナダからアメリカへの ペレット輸入を増やし、結果的に北米からヨーロッ パへのバイオマスの流れを減少させるだろう。その 結果、ヨーロッパのペレット消費者は供給先をアジ アや中南米、さらにはアフリカやロシアに求めなけ ればならなくなるだろう。 おが屑やかんな屑の供給が枯渇しつつある中で、 繊維質の代替を探す気運が高まっている。ヨーロッ パのペレット生産者は、今後もっと森林残材や都市 部の森林廃棄物や成長の早い種類の木材を使う方向 に向かうだろう。さらに、もっと強力にパルプ業者 やパネル業者とチップとパルプ材の取り合いをする だろうし、業者によっては外国からの木質チップ輸 入も選択肢のひとつだろう。 この刊行物は Bioenergi Förlag 社 (www.bioenergyinternational.com) の合意のもとに作られています。購読に関するお問い合 わせは、ペレットクラブ事務局まで([email protected] または Tel: 026-252-7506)、内容に関するお問い合わせは、ペレット クラブ BI 誌担当阿部まで([email protected] または Tel: 029-852-7476)。 2
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