3 - BMW Motorrad

BMW Motorrad
駆けぬける歓び
Rider's Manual
HP Race Calibration Kit 2
BMW の世界へようこそ
BMW モ ー タ ー サ イ ク
ルHP Race Calibration ソフト
ウェアは、 エンジンマネジメン
トシステムおよびトラクション
コントロールの各種機能の調整
を可能にします。 これにより、
車両 (エキゾーストシステムや
タイヤなど) の変更や、 チュー
ニングにおけるライダーの要
望などを考慮することができる
ようになります。
ソフトウェアをより良く使い
こなせるように、 この取扱説
明書をご活用ください。, ご質
問は、 解決策と作業を熟知し
たBMW Motorrad ディーラーに
いつでもお問い合わせくださ
い。
本書をお読みになり、 安全で快
適なライディングをお楽しみく
ださい
BMW Motorrad。
77 01 8 544 506
*77018544506*
*77018544506*
*77018544506*
目次
特定の項目についてお探しの際に
は、 巻末の索引もご利用くださ
い。
1 一般的な情報 . . . . . . . . . . . . . . 3
はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
記号と意味 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
アプリケーションに関する注
意事項 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
本書の記述について . . . . . . . . . 6
2 取扱方法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7
HP Race Calibration に関する
作業 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
モーターサイクルへの
接続 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10
モーターサイクルカップ
リング . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
モーターサイクル管理モー
ターサイクル管理 . . . . . . . . . . . 12
データをロード、 保存、 印
刷する . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14
データ転送データテン
ソウ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18
初期設定に戻す . . . . . . . . . . . . . 20
3 機能説明 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
データを編集する . . . . . . . . . . .
オプション . . . . . . . . . . . . . . . . . .
特性値 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
特性マップ . . . . . . . . . . . . . . . . . .
特性曲線 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
DTC のライン生産後の取
付けに関する注意 . . . . . . . . . . .
インジェクション . . . . . . . . . . .
イグニッション . . . . . . . . . . . . .
DTC . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
シフトアシスト . . . . . . . . . . . . .
ピットレーンリミッター . . . .
アダプション . . . . . . . . . . . . . . .
DDC . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ABS . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
21
22
22
22
23
26
26
27
30
32
47
47
48
50
57
4 接続 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 59
モーターサイクルへの接続
を確立する . . . . . . . . . . . . . . . . . . 60
モーターサイクルへの接続
を外す . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 60
5 インストール . . . . . . . . . . . . .
システム条件 . . . . . . . . . . . . . . .
インターフェースドライバー
のインストール(FTDI) . . .
ドライバー調整 . . . . . . . . . . . . .
61
62
62
62
6 索引 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 63
一般的な情報
はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
記号と意味 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
1
3
アプリケーションに関する注意
事項 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
本書の記述について . . . . . . . . . . . . . . . . . 6
一
般
的
な
情
報
1
4
一
般
的
な
情
報
はじめに
以下の機能を最適化することが
できます :
インジェクション
イグニッション
DTC
L-CON
DDC
ABS
シフトアシスト
ピットレーン回転数リミット
ディフェクトメモリー
アダプション
以下のコンポーネントが必要で
す:
HP Race Calibration ソフト
ウェア DVD
USB アダプターケーブル
HP Race Calibration リリース
コード
最初にHP Race Calibration ソフ
トウェアの機能をコントロールユ
ニット内で作動させなければなり
ません。 これは、BMW Motorrad
ディーラーでロック解除コー
ドを使用して行う必要がありま
す。
HP Race Calibration Kit ソ
フトウェアを有効化する
ことにより、 モーターサイクル
の運転許可の認証が無効になり
ます。 当該車両を公道での走行
に使用することはできなくなり
ます。
このソフトウェアを有効化した
後は、 当該車両を公道で使用し
ないでください。
コントロールユニット
内でHP Race Calibration
Kit ソフトウェアを有効化する
と、当該車両は高出力のレース用
車両となり、耐用年数は短くなり
ます。 使用の性質上、 公道使用
が許可されているモーターサイ
クルの耐用年数には適合しませ
ん。 従って保証は、 原材料の不
具合、および工場出荷状態のモー
ターサイクルまたは部品に限定さ
れます。
これらの BMW 製品を装
備することにより、 モー
ターサイクルの電装系システムに
著しい影響がもたらされます。
パラメーターの変化により、
BMW Motorrad による保護が不
可能な、 限界状況的な走行状態
に陥るおそれがあります。
モーターサイクルを再び公
道走行に使用する場合に
は、このコントロールユニット用
のHP Race Calibration 機能の有
効化を、 BMW Motorrad 故障診
断装置を使用して解除すること
ができます。
取扱説明書に記載されて
いるサービスインターバ
ルは標準車両に該当するもので
す。 駆動系コンポーネント用の
メインテナンスインターバルにつ
いては、 HP Race Calibration ソ
フトウェアの有効化に伴い、
高負荷用に合わせる必要があり
ます。
BMW Motorrad は 、 メ イ
ンテナンスインターバル
5000 km(3100 mls) を推奨しま
す。
記号と意味
ライダーとその周囲の人々
の安全のため、 また、 製品
を損傷から守るために、 必ず注
意するべき警告を示します。
モーターサイクルの制御、
点検、 調整などの手順に
関する個々の情報と、 お手入れ
についての一般的な情報を示し
ます。
注意事項の末尾を示しま
す。
作業内容の指示を示しま
す。
作業の結果を示します。
説明のある参照ページを
示します。
アクセサリーや装備に
関する情報の末尾を示し
ます。
締付けトルク
テクニカルデータ
DTC ダイナミックトラクショ
ンコントロール。
アプリケーションに関す
る注意事項
トラクションコントロール
の変更および調整は、 全体
的にHP Race Power Kit を使用し
てのみ可能です。 標準コント
ロールユニットによる使用時の機
能は、 HP Race Power Kit の場
合とは以下の点において異なり
ます :
- タイヤ半径の修正用標準コント
ロールユニットアダプション機
能は、 HP Race Calibration Kit 内
で行われる修正を無効にするこ
とができます。
- バンク角 (LeanAngleDTCon)
によるトラクションコントロー
ルの停止は、 標準コントロー
ルユニットの場合には制限付き
で、 SLICK モードでのみ可能で
す。
前述の制限により、標
準コントロールユニット装
備のHP Race Calibration Kit の使
用時には、 トラクションコント
ロールに予期しない不具合が発
生したり、 それに伴って走行安
定性が損なわれる場合がありま
す。
以下の、 ソフトウェアの取扱い
に関する一般的なヒントにより、
簡単で確実に設定することがで
きます。
1
5
一
般
的
な
情
報
1
6
一
般
的
な
情
報
連続パラメーター
特性マップと特性曲線により常に
バランスのよい変化が保たれま
す。 較正 (パラメータ化) 中の
ジャンプやゆがみにより、 モー
ターサイクルが予期しない危険な
動きをするおそれがあります。
3D ビューまたは 2D ビューで
は、 パラメーターが連続的でな
ければなりません。
段階的なプロセス手順
最適値が一気に決定できない場合
は、段階的に近づけます。 たとえ
がタイヤ大きさは直接測ることが
できます。 修正特性マップDTC
の最適な較正は、 小さな変更と
そのつどのテスト走行によって
のみ特定することができます。
ホイールスリップの少ない安全
で安定したサイドから最適値に段
階的に近づけることをお勧めし
ます。
途中の状態の保存と記録
データセットを定期的に保存し、
それぞれの結果に関してメモを作
成することをお勧めします。
これにより、 いつでも既知の状
態に戻ることができ、 比較検討
を行うことができます。
本書の記述について
BMW Motorrad の高い安全性お
よび品質は、 デザイン、 装備、
アクセサリーに関する絶え間な
い開発によって支えられてい
ます。 そのため、 本書の記述
が実際のモーターサイクルと
は異なる場合があります。 ま
た、 BMW Motorrad はそのよう
な誤りを完全に排除することはで
きません。 したがって、 全体と
して記載内容や図、 説明につい
て責任を負いかねる場合があり
ますことをご理解くださいます
ようお願い申し上げます。
取扱方法
HP Race Calibration に 関 す る
作業 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
2
7
モーターサイクルへの接続 . . . . . . . . . 10
モーターサイクルカップリング . . . . 11
モーターサイクル管理モーターサイ
クル管理 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12
データをロード、保存、印刷する . . . 14
データ転送データテンソウ . . . . . . . . . 18
初期設定に戻す . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 20
取
扱
方
法
2
8
取
扱
方
法
HP Race Calibration に
関する作業
1
2
HP Race Calibration ソフト
ウェアの画面は、 各種のエ
リアに分かれています。
メニューバー
メニューバーから、 全て
の機能、 ヘルプ、 設定に
アクセスすることができま
す。 キーボードのショート
カットがある場合には、
ここに説明されます。
ツールバー
ツールバーにより、 頻繁
に必要となる機能にア
クセスすることができま
す。 このツールバーは、メ
ニュー「オプション」下の
ツール(アイコン)バーで
OFF にすることができま
す。
3
4
5
6
HP Race Calibration バー
このバーは、メニュー「オ
プション」下のツール(ア
イコン) バーで OFF にす
ることができます。 この
バーは、 現在接続している
モーターサイクルを表示し
ます。
インデックスバー
インデックスバーからさま
ざまなカテゴリーを選択す
ることができます。
作業エリア
作業エリアは選択されてい
るテーマカテゴリーにより
変わります。 これは作業エ
リアのタブから選択するこ
とができます。
ステータスエリア
ステータスエリア内にモー
ターサイクルとの通信のた
めの情報が表示されます。
2
9
取
扱
方
法
2
モーターサイクルへの接続
10
取
扱
方
法
データセットはモーターサイクル
への接続なしで適合することが
できます。 コンピューターから
モーターサイクルへのデータ転
送 (またはその逆) を行う場
合、 またはモーターサイクルか
らデータを読み込む場合は、 接
続が確立されていなければなり
ません。
接 続 ス テ ー タ ス 1、 エン
ジンマネジメントシステ
ム内の有効化のステータ
ス 2(HP Race Calibration ソフト
ウェア用)、 モーターサイクルの
バッテリー電圧 3 は、 ステータ
スエリアに表示されます。
略語
RCK1:BMW Motorrad HP Race
Calibration Software (Version 1)
の機能は原則としてアクチベー
ションされています。
RCK2:BMW Motorrad HP Race
Calibration Software (Version 2)
の機能は原則として作動状態に
なっています。
DTC::Dynamic Traction Control
が作動状態にされます。
DDC::Dynamic Damping Control
が取り付けられています。
RPKIT:HP Race Power Kit が
取り付けられています。
SASS: シフトアシストが作動
状態になっています。
コミュニケーションメニュー「オ
プション」から、接続を設定し、
例えばCOM ポートを選択するこ
とができます。 モーターサイク
ルが接続されると、 車両識別番
号によって一義的に識別され、
ソフトウェアのデータバンクにメ
モリーされます。 初回接続時、
モーターサイクルに名前を付け
る必要があります。 モーターサ
イクルにさらに説明や画像など
の追加の情報を付け加えること
ができます。
モーターサイクルカップ
リング
2
この手順はカップリングと呼ば
れ、間違ったデータセットがモー
ターサイクルにロードされ、これ
によってモーターサイクル意図せ
ず危険な挙動になることを防ぎ
ます。
モーターサイクルの名前を
付け1、 コメントを入力し 2、
図を選択するか3 または標準
図 4を使用します。
必要に応じてDDC 検知5 を作
動解除します。
11
取
扱
方
法
2
モーターサイクル管理モー
ターサイクル管理
12
取
扱
方
法
メニューオプションのモーター
サイクル管理 1 から、 カップリ
ングの設定を管理することがで
きます。
既知のモーターサイクルの設定
は、 編集1 から加工するかまた
は削除 2 でデータバンクから再
び消去することができます。
例えばシフトアシストの
ような後付けされた装備
は、変更された環境設定
がBMW HP Race Calibration Kit
に自動的に検知され、表示されま
す。 付け加えられた要素 1 は、
作動領域で対応するタブをアク
ティブにし、 これを編集するこ
とができます。
廃止された要素2は作動領域で対
応するタブで非アクティブにし
ます。 これは、 さらに編集する
ことはできません。
新しく環境設定した後に
古いデータセットがロード
されると、 変更された要素が継
承されず、 初期設定にリセット
されます。
2
13
取
扱
方
法
2
データをロード、保存、印
刷する
14
データセットはファイルに保存し
たり、ファイルからロードしたり
することができます。 さまざま
なデータセットを管理し、 他の
ユーザーと交換することも可能で
す。 アクセスは、 メニューま
たはツールバーから行います。
そのたびごとにいつでも、 デー
タセット全体がロードまたは保
存されます。
ロード 1
保存場所 2
印刷 3
取
扱
方
法
データセットが保存されると、
追加情報 矢印(著者、 簡単な説
明) が補足可能になります。
2
15
取
扱
方
法
2
16
取
扱
方
法
操作エレメントデータ情報から、
現在のデータセットに関する詳
細が表示されます。
データは、「すべて」 3 または
「マーク」 4(現在の特性曲線また
は現在の特性マップ)の選択によ
り、 印刷することができます。
印刷ウィンドウがオペレー
ションシステム(OS)に設
定されている言語で表示されま
す。
2
17
取
扱
方
法
2
18
取
扱
方
法
データ転送データテンソウ
データをコントロールユニット
に書き込みます1
データセットがコントロールユ
ニットに伝送されるとすぐに、
コントロールユニット内でデー
タセットがアクティブになりま
す。 データセットは、 上書き
されるまでコントロールユニッ
ト内でアクティブに保持されま
す。 コントロールユニット内に
すでにデータセットがある場合に
は、 上書きされます。 データ
セットをコントロールユニット
に書き込めるようにするため、こ
の機能を相応にディーラーで有
効化しておかなければなりませ
ん。 HP Race Calibration ソフト
ウェア内で実行された変更は、
コントロールユニット内に書き
込まれて初めてまずモーターサ
イクル内でアクティブになりま
す。 常にデータセット全体が伝
送されます。
コントロールユニットからのデー
タを読み取る2
データセットは同様の方法で
モーターサイクルから読み
出すことができます。 その
際、 HP Race Calibration ソフト
ウェア内のデータセットは、モー
ターサイクルからのデータセット
により上書きされます。 その際、
常にデータセット全体が伝送され
ます。 データセットの読み取り
および書き込みは、メニューまた
はツールバーから行われます。
これは、 車両が USB アダプター
ケーブルを使用してコンピュー
ターに接続されている場合にの
み可能です (イグニッションは
ON、 エンジンは停止している状
態であること)。 条件が満たされ
ていない場合には、該当するボタ
ンがアクティブになりません。
2
19
進捗バー1 は、伝送の現在の状況
を示します。 これには数秒間か
かります。 DDC が取り付けら
れている場合には、 さらにエン
ジンコントロールユニットのた
めにDDC 用データが伝送されま
す。 追加の進捗バー2が表示され
ます。
データの伝送が成功すると、ダイ
アログウィンドウに 「OK」 が表
示されます。
データ伝送に失敗すると、 表
示 「エラー」 が示されます。 例
えばDDC 用のデータがそろって
いない場合、 データはDDC の
ために古い状態のままになり
ます。 エンジンコントロール用
データが伝送され、アクティブに
なります。 データ伝送の失敗理
由はたいてい接続の喪失です。
このような場合は、 ケーブルが
正しくモーターサイクルと PC
に接続されているかを確認し、
再度伝送を開始します。
取
扱
方
法
2
20
取
扱
方
法
初期設定に戻す
初期設定に戻す1
メ ニ ュ ー か
ら、 HP Race Calibration ソフト
ウェア内で変更されたパラメー
ターを初期設定に戻すことができ
ます。 データセット全体のすべ
ての変更がリセットされます。
この初期設定がモーターサイク
ル内でも再びアクティブになる
ように、 記載されているとおり
にデータをコントロールユニッ
トに書き込む必要があります。
機能説明
データを編集する . . . . . . . . . . . . . . . . . . 22
オプション . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 22
3
21
特性値 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 22
特性マップ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 23
特性曲線 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26
DTC のライン生産後の取付けに
関する注意 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26
インジェクション . . . . . . . . . . . . . . . . . . 27
イグニッション . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 30
DTC . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 32
シフトアシスト . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 47
ピットレーンリミッター . . . . . . . . . . . 47
アダプション . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 48
DDC . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 50
ABS . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 57
機
能
説
明
3
22
機
能
説
明
データを編集する
データセットは、一定数の調整可
能なパラメーターで構成されてい
ます。 これらは、 車両内の全エ
ンジンマネジメントシステム機
能およびシャシー制御機能の部
品に対応しています。 データ
の変更はHP Race Calibration ソ
フトウェア内ですぐに確認でき
ます。 モーターサイクルでは、
変更は、データがコントロールユ
ニットに書き込まれて初めて有
効になります。
オプション
オプションの選択は各タブで行う
ことができます。
選択フィールド 1 がアクティ
ブにされる - ラムダコントロー
ル (スイッチオフ)
選択フィールド 2 がアクティ
ブにされない - フューエルカッ
トオフ (スイッチオン)
特性値
選択フィールドをアクティブに
することにより、 特性値がアク
ティブになり、 数字フィールド
から調整することができるよう
になります。
徐々に調整する 1
選択フィールド 2 がアクティ
ブにされる - 登録されている値
(使用される)
選択フィールド 3 がアクティ
ブにされない - 初期設定 (使
用される)
その際、 小数点の入力に間違い
のないように、 ドット (.) はコ
ンマ (,) に自動的に置き換え
られます。 全体の入力は、 許容
範囲および許容ステップレンジ
に限定されています。
特性値がアクティブにならない場
合は、 モーターサイクルは初期
設定で機能します。
特性マップ
特性マップは、 真理値表、 3D 表
示、 各種のコマンドボタンで構
成されています。
特性マップはアクティブになっ
ていなければなりません。 赤い
x印を緑のチェックマーク1 に切
り替えることにより、特性マップ
がアクティブになり、数字フィー
ルドを編集できるようになりま
す。 特性マップがアクティブに
ならない場合は、 モーターサイ
クルは初期設定で機能します。
特性マップは、 2 本の軸 7 と真
理値表 8 で構成されています。
それぞれの軸に 1 つのインプッ
ト値があり、 これはモーターサ
イクル内で変わる数値に対応し
ています。 両方のインプット値
の現在の値をもとにして、 現在
の作動ポイントが特性マップの
どのポイントにあるのか特定さ
れ、真理値表から使用されるべき
値が特定されます。 1 つのイン
プット値が該当する軸の値に対
応していない場合には、 線で補
3
23
機
能
説
明
3
24
機
能
説
明
間されます。 軸のインプット値
は、 3D 表示 10 で見て取るこ
とができます。 例えば、 エンジ
ン回転数のような値が、 それか
もしれません。
軸 7 の変更のため、 サポート位
置編集 2 を開くことができま
す。 真理値表 8 を直接変更する
ことができます。
真理値表はボタン 3 でリセット
することができます。
3D 表示 10 では、 特性マップが
グラフィックで表示されます。
すべての軸に軸名称 11 があり
ます。 仕切り線 9(真理値表 8
との) は、 サイズ調整のために
ずらすことができます。 表示は
左マウスボタンでドラッグする
ことができます。 右マウスボタ
ンまたはボタン 4 を押すこと
により、 標準表示に戻ります。
3D 表示 10 の最適化のため、
ボタン 「軸リミット」 5 を押す
ことにより、 Z 軸の最小/最大
値を変更することができます。
これが適用されるのは 3D 表示の
みで、 データセットには影響し
ません。 ボタン 「軸リミットを
リセットする」 6 により、 軸リ
ミットは解除されます。
特性マップ
マウスまたはキーボードにより、
1 つまたは複数のセルをマークし
たり変更することができます。
数字はキーボードで直接入力する
ことができます。 その際、 小数
点の入力に間違いのないように、
ドット (.) はコンマ (,) に自
動的に置き換えられます。 さら
にコンテキストメニューから実
行可能な、 調整方法のシリーズ
があります。 対応するショート
カットキーは同様にそこに示さ
れます。
入力された数字は、 増やす 1 ま
たは減らす 2 により徐々に変
化させることができます。
さらにマークされているセル
に値 3を入れたり、 複数化した
り 4 追加する 5 ことができま
す。
さらに、 マーク 6、 コピー 7、
挿入 8 により、 クリップボード
から変更を実行することができ
ます。
3
25
機
能
説
明
3
26
機
能
説
明
この方法では、 データの編集を
他のプログラムで行うことがで
きます。
入力されている値は、取り消す 9
ことができます。
このリセットは、データセットの
残りの部分には影響しません。
全体の入力は、許容範囲および許
容ステップレンジに限定されて
います。
特性曲線
特性曲線は特性マップに似た特
性があります。 ただし、 イン
プット値は 1 つ、 軸は 1 本で
す。 2 D グラフィック表示が対
応しています。 統一された特性
曲線では、軸を変更することはで
きません。 インプット値には、
すべて標準軸内に含まれている
(DTC モードなど) 一定の値の
み適用されるからです。
DTC のライン生産後の取
付けに関する注意
HP Race Calibration ソフトウェ
アがDTC 非装備のモーターサ
イクルに接続されている場合に
は、 DTC パラメーターはグ
レー表示です。 伝送時には、
パラメーターの伝送はされます
が、アクティブにはなりません。
これにより、 後付けでにDTC を
取り付ける場合に、 DTC の初期
設定をアクティブにすることが確
実になります。
インジェクション
ラムダコントロール OFF
ラムダコントロールは、エキゾー
ストシステム内の標準装備ラム
ダセンサーの信号を評価し、燃料
噴射時間を修正し、 フューエル
/エア比が燃焼のための理論混合
比に達するようにします。 出荷
状態でチェックマーク1 が付いて
いないということは、 出荷状態
が変更されていないということ
を意味しているだけです (ラム
ダセンサーコントロールは必ず
しもアクティブではない)。 ラム
ダコントロールがアクティブか
どうかは、 取り付けられている
エキゾーストシステムに対応し
ています。 標準装備ラムダセン
サーを装備している場合には、
ラムダコントロールは初期設定レ
ベルでアクティブです。 この場
合にのみ、非アクティブにするこ
とができます。 これは、 混合比
を理論混合比からずらしたい場
合にのみ意味があります。 こう
してラムダコントロールが変更
を再調整することなく、 噴射時
間を変更することができます。
混合気修正要素
混合気修正係数の特性マップを
介して、エンジンマネジメントシ
ステムにより算出された噴射時間
を調整することができます。 エ
ンジンマネジメントシステムは、
そのモーターサイクルの工場設
定レベルで最適な燃焼をもたら
す噴射時間を算出します。 その
際、作動ポイントに対応して、燃
焼のためのさまざまなフューエ
ル/エア比(ラムダ値)に達しま
す。 モーターサイクルで吸気量
を変える(エキゾーストシステム
など) 変更を行った場合、 また
は最適な混合比と相違させる場
合には、 算出された噴射時間を
この特性マップに基づいて、 あ
る係数を使用して拡大すること
ができます。 1 超の値は噴射時
間を延長させ、 噴射される吐出
量を増やし、 それにより 「リッ
チな」 フューエル/エア比にし
ます。 1 未満の値の場合には、
その逆になります。 1 ちょうど
の場合には、エンジンマネジメン
トシステムにより算出された噴
射時間は変更されません。 修正
係数は、 エンジン回転数および
スロットルバタフライ開度に対
応して特性マップに保存するこ
とができます。 混合比は、 エン
ジン作動特性 (ミスファイア)
やさまざまなコンポーネント温
度(ピストン、エキゾーストバル
ブなど) に著しい影響を与える
ことに注意してください。 特に
エンジンが高回転域にあり、 ス
ロットルバタフライ開度が大き
3
27
機
能
説
明
3
28
機
能
説
明
い場合には、 吸気量の変更を調
整するのみにすることをお勧め
します。 最適な混合比を達成す
るためには、適切なラムダ測定技
術が必要です。 修正係数は、 同
様に全てのインジェクターで計
算に含まれます。
フューエルカットオフ OFF
フューエルカットオフは、チェッ
クマーク 2 を付けることにより
OFF にすることができます。
フューエルカットオフにより、
スロットルグリップが閉じた状
態でエンジン回転数が高い場合
に、 エンジンへの燃料供給を完
全に止めることができます。 こ
の状態では燃焼が行われなくなる
ため、モーターサイクルは駆動系
全体の摩擦損失により減速しま
す。 フューエルカットオフの解
除は、スロットルグリップを閉じ
た状態でモーターサイクルの減
速を抑えなければならないとき
に意味があります。 フューエル
カットオフが解除されている状
態では、 フューエルは吸気量に
応じて噴射され続けます。 混合
気およびイグニッションタイミ
ングの制御に基づいて、 燃焼へ
の影響やそれによるモーターサイ
クルの減速の可能性について考
慮する必要があります。
いくつかのモデル
ではSLICK モードで原則と
してフューエルカットオフがソ
フトウェアの設定に無関係に非
作動になります。
エンジンブレーキトルク
エンジンブレーキでは、 モー
ターサイクルの減速は惰走 (ス
ロットルグリップは閉) で影響
を受けます。 走行モードで、 変
速に左右される 4 つの惰走エア
バリエーションで走行すること
ができます。 惰走効果またはバ
リエーションの減速はツールの
中の一覧にあります。 MIN は減
速が最も小さく、 MAX は減速が
最も大きいことを意味します。
走行モード 1、 ギア2、 選択され
た設定3および選択一覧4。
フューエルカットオフ解除
が作動された場合にのみエ
ンジンブレーキが作動します。
3
29
機
能
説
明
3
30
イグニッション
アンチノックコントロール
OFF
ある場合にのみ介入するので、
OFF にすることはお勧めしませ
ん。 イグニッション出力への介
入を行うため、 アンチノックコ
ントロールの作動解除は必要あ
りません。
イグニッション修正Offset
機
能
説
明
アンチノックコントロールは
チェックマーク 1 を付けること
により OFF にすることができま
す。 アンチノックコントロール
はノックセンサーの信号を評価
し、 エンジン作動のノッキング
を回避するようにイグニッション
タイミングを調整します。 イグ
ニッションタイミング出力への介
入を抑えたい場合にのみ、非アク
ティブにすることができます。
アンチノックコントロールはノッ
キングを発生させる燃焼異常が
特性マップ 「イグニッション
修正Offset」 で、 エンジンマネジ
メントシステムによって算出され
たイグニッションタイミングを調
整することができます。 フュー
エル/エア混合気は、スパークプ
ラグによって点火されて、 燃焼
が始まります。 このとき、 点火
時期の選択は、フューエルエネル
ギーをできるかぎり最適にトル
クに置き換えることができるよ
うに行われます。 イグニッショ
ンタイミングは、圧縮上死点前の
クランク角度になります。 最適
な状態から外れると最適な燃焼に
ならず、 トルクが減少します。
これにより重大なエンジン損傷
が引き起こされるおそれがあり、
エンジン寿命が縮まります。
この特性マップにより、すでに最
適な点火タイミングに変える(エ
キゾーストシステムなど) モー
ターサイクルの変更を行った場合
や、最適なトルクを抑えなければ
ならない場合に、算出されたイグ
ニッションタイミングが、 Offset
を使用してエンジン回転数およ
びスロットルバタフライ開度に
合わせて調整されます。 イグ
ニッションタイミングはイグニッ
ション角度と同様、 度で示され
ます。 修正offset は、 全シリン
ダーのイグニッションタイミング
について均等に計算に入れられ
ます。 0 を超える値はイグニッ
ションタイミングを進角方向に
シフトさせ、 それによりエンジ
ン作動のノッキングのリスクが
高まります。 0 未満の値はイグ
ニッションタイミングを遅角方
向にシフトさせ、最適なトルクの
抑えるよう作用します。 0 ちょ
うどの場合には、 エンジンマネ
ジメントシステムにより算出さ
れたイグニッションタイミング
は変更されません。
イグニッションタイミングが早す
ぎると、 多くの作動ポイントで
ノッキングを発生させる燃焼異
常が発生することがあります。
この場合、燃焼室内で混合気の自
己着火に至り、 通常の、 スパー
クプラグによって引火される燃
焼になりません。 非常に圧力が
高くなり、 過熱および高圧力に
より、 エンジンコンポーネント
が早く損傷します。 イグニッ
ションタイミングが遅すぎると、
エキゾーストシステムのエキゾー
ストバルブや他のコンポーネン
トが過熱する危険性が高まりま
す。 これも同様に重大なエンジ
ン損傷をもたらします。 特にエ
ンジン高回転域で、 スロットル
バタフライ開度が大きい場合に
は、変更は極めて慎重に行うこと
をお勧めします。 アンチノッキ
ングコントロールが介入するの
は、 何としても回避しなければ
ならないノッキングを発生させ
る燃焼異常の場合のみであり、
これはアクティブのままでなけ
ればなりません。
イグニッション修正により、 ス
ロットルバタフライ開度が小さ
い場合に応答特性およびエンジ
ン作動に影響します。
3
31
機
能
説
明
3
DTC
32
DTC 機能用に、 ABS コントロー
ルユニットからのホイール速度信
号およびバンク角算出用センサー
ボックス信号が援用されます。
このとき、 ヨーレートセンサー
が正しい位置にあること、ホイー
ル回転数センサーリングが正し
い間隔で損傷なく取り付けられて
いることが重要です。 センサー
リングが損傷していたり、 ラジ
アル方向および軸方向の動きが
スムーズでない場合、 信号障害
が発生するおそれがあります。
フロントおよびリヤセンサーリ
ングには、マグネティック素材製
の均等に 48 分割されているエッ
ジ部/歯と多くの切り欠きがあ
ります。 ヨーレートセンサーは
まっすぐに下方向を指しているコ
ネクターで取り付けられていま
す。 ブラックカラーのベースプ
レートは、 進行方向と反対に後
方を示します。 間違いがある場
機
能
説
明
DTC センサー
合、 測定エラーが出たり、 許容
範囲を超えるバンク角に至るお
それがあります。
アプリケーション手順
最初に、フロントまたはリヤの正
確なタイヤ半径を特定しなけれ
ばなりません。 引き続き、 グ
リップの限界を確認する必要が
あります (GripLevel)。 後のプ
ロセスの中で、 トラクション
コントロールの影響を分類し、
積極的に調整することができ
ます。 ホイール速度進行から
も、 Wheelie やホイールのスリッ
プに制御介入するかどうかが決
定されます。 この情報を使用し
て、 DTC 機能のアクティブ化角
度(LeanAngleDTCon)が高めら
れることが可能になり、 Wheelie
を阻まずにエンジン出力を抑え
ます。 地域によるサーキット
コースの違いによる調整は、ファ
インチューニング (バンク角情
報およびコースセグメントでの速
度のSlipCor Mod 特性マップ内で
の調整) により可能です。
タイヤ半径
ホイール回転数算出の修正のた
め、フロントおよびリヤホイール
のタイヤ半径が直進走行用に入
力されています (フロントタイ
ヤ半径 1 またはリヤタイヤ半
径 2)。
スリップ評価の際には、現在のタ
イヤ圧を考慮しなければなりま
せん。 これはタイヤ剛性に影響
し、 現在の回転半径にも影響し
ます。 タイヤ半径は、 クラッチ
をつなぎ、 ブレーキなし、 バン
ク角なしでまっすぐに回転して
いる状態で、 点検または修正す
ることができます。 半径が正
常な場合には、 フロントおよび
リヤホイールで同じ速度になり
ます (測定範囲V_FRONT およ
びV_REAR)。 速度に依存する相
違は、特性マップSlipCor Mod 14 内で考慮され、調整されます。
入力されているリヤホイールタ
イヤ半径が 1 %小さいと、 すべ
ての走行モードで 1 %大きなス
リップが発生します。
説明された適合の場合、
HP Race Power Kit が取り
付けられていることが必要条件で
す。 HP Race Calibration Kit を標
準コントロールユニット装備車
両に組み込む場合には、タイヤ半
径を変更しないでください。 標
準データ内でタイヤ半径アダプ
ションが適用されているため、
特定の走行状況で事前設定がリ
セットされ、 それにより予測不
能な車両反応が引き起こされる
おそれがあります。
GripLevel
グリップの限界
摩擦係数は各モード別に特性曲
線GripLevel にインプットするこ
とができます。 これらの 4 つ
のデータは、 以下の特性マッ
プReductionPreControl 用に使
用されます。
グリップ限界を検知するため、
最初にリヤホイール半径の大き
い方を入力し(より大きなホイー
ルスリップが算出されるため、
制御は早期に開始)、 安全で安
定している側からグリップの限
界を確認することをお勧めしま
す。 さらに、 モーターサイクル
がスリップするまで、現在のモー
ド用の特性曲線GripLevel の値を
徐々に下げます。 同様に特性曲
線LeanAngleDTCon のバンク角
の値をわずかに下げます。
説明された適合の場合、
HP Race Power Kit が取り
付けられていることが必要条
件です。 HP Race Calibration Kit
を標準コントロールユニッ
ト装備車両に組み込んだ場合に
は、表LeanAngleDTCon にある変
化はSLICK モードでのみ表れま
す。 必要に応じて、 バンク角を
大きくとった状態でウィーリー走
行を行うこともできます。
3
33
機
能
説
明
3
34
機
能
説
明
ReductionPreControl
トルクのサーボ制御
トルクのサーボ制御では、 モー
ターサイクルが回路のリミッ
トにどれくらい近づいている
かが算出されます。 特性マッ
プReductionPreControl 1 では、
エンジン回転数および適用されて
いる摩擦係数に対応して、トルク
リダクションが較正されます。
適用されている値は、 1 速での
み完全に効果を発揮します。 2
速~ 6 速では、 値が既存の相対
的総減速比だけ低減されます。
2 速では真理値表のリダクション
値に係数 1.27 が掛けられます。
3 速では 1.53、 4 速では 1.76、
5 速では 1.95、 および 6 速で
は 2.10 が掛けられます。 100
を超える値は、 システムにより
100 % (最大) として解釈され
ます。
工場での設定の適用は、 ス
ポーツマフラー装着時の
フルロード曲線の加速特性
が、 HP Race Power Kit から約
4000 rpm 以上で 1 速および最大
摩擦係数で一定して推移するよう
になっています。 サーボ制御に
は、 スリップコントロールによ
り駆動ノイズが発生しないとい
う利点があります。
サーボ制御により以下の較
正を解除することができま
す :特性曲線GripLevel 2 内の
全 て の 値 ( 1.95( 最 大 値 )
を含む) および全特性マッ
プReductionPreControl 1(100 を
含む)
3
35
機
能
説
明
3
36
機
能
説
明
調整のための測
定LeanAngleDTCon
このグラフィックはHP Race
データロガーのデータ評価を示
す一例です。
測定の中で以下の数値が表示さ
れています。
スイッチオフリミット到達時点
(バンク角約 20°) 1
フロントホイール速度 2
リヤホイール速度 3
フロントホイール用基準速度 4
バンク角 5
スロットルバタフライ開度 6
スロットルグリップ角度 7
エンジン回転数 8
スリップからのリダクション 9
スリップおよびサーボ制御から
のリダクション 10
LeanAngleDTCon
スイッチオフに至るバンク角
トラクションコントロールは、
レースサーキット上で大きな
バンク角をとる場合にのみ必
要となります。 モーターサイ
クルがまっすぐに立てられてい
る場合には、 フロントホイー
ルを浮き上がらせるだけです
(Wheelie)。 ここから誤って、
駆動力を阻害するような広範
囲にわたるスリップが予測され
ます。 バンク角はモードに対
応して特性曲線LeanAngleDTCon
内で適用され、 トラクション
コントロールは解除されます。
実際のフロントホイール速度
(測定範囲V_Front) から決定さ
れた、 新しい基準速度 (測定
範囲Speed) が形成されます。
測定範囲 Speed は最大でリヤホ
イール速度 (測定範囲 V_Rear)
と同じ大きさになります。
測定の最初に、 カーブ頂点でス
リップ制御とパイロット制御が一
緒にアクティブになります。
カーブ頂点を超えると、 ライ
ダーが再びアクセルを踏み込み
ます。 カーソル位置の直後で、
バンク角はトラクション制御のス
イッチオフリミットを下回りま
す。 リヤホイール回転数のため
のプリセットされた加速で走る基
準速度が形成されます。 スリッ
プを計算することはもうできませ
ん。 その直後にフロントホイー
ルが加速されない段階が検知され
ます (短時間持ち上がる)。 フロ
ントホイールが持ち上がると、
すでにモーターサイクルは再び、
トラクション制御がもう必要ない
ほどグリップを備えています。
3
37
機
能
説
明
3
38
機
能
説
明
SlipCor Mod 1-4
スリップコントロール
ホイールスリップは以下のよ
うに算出されます :まずフ
ロントホイール速度 (測定範
囲Speed) とリヤホイール速
度 (測定範囲V_Rear) の差を測
定します。 引き続き、 バンク角
(測定範囲Bank_dtc) からタイ
ヤ回転半径の差を考慮した修正
を行います。 それぞれのモード
(RAIN = 1、 SPORT = 2、 RACE
= 3、SLICK = 4)用に、専用の特
性マップ (SlipCor Mod 1-4)
があります。 これらの特性マッ
プは、バンク角および速度による
タイヤ形状を考慮しています。
現在の特性マップSlipCor Mod か
ら特定された値は、 ホイール
の速度差から差し引かれます。
修正された差をフロントホイー
ルスピードで割ると、システム内
で使用されるホイールスリップに
なります。 システムは、 算出さ
れたホイールスリップが約 10 %
に達すると、 イグニッションタ
イミング制御を開始します。 基
本アプリケーションは、 Metzler
Racetec K3 または Pirelli Super
Corsa、 寸法 120/70-17 および
190/55-17 のタイヤをベースに
しています。
バンク角が大きくなると共に、
フロント/リヤホイールのタイ
ヤ半径が小さくなることが、
ダイアグラムで確認できます。
参考値として、 フロントホイー
ルのタイヤ半径はバンク角 45°
で約 5 %、 リヤホイールでは約
10 %小さくなります。 これによ
り、 フロントホイールとリヤホ
イール間で約 5 % (1700 N、
50 km/h および 100 km/h 時、
Metzeler Racetec K3 190/5517 での半径の変化) の速度差が
生じます。
これは、フロントホイール速度に
ついて 100 km/h 時で 5 km/h、
50 km/h 時で 2.5 km/h を特性
マップに登録しなければならな
いことを意味します。
バンク角によるフロントタイヤ半
径とリヤタイヤ半径の差は、 対
象となっているスリップから差
し引かれなければなりません。
これは、フロントホイール速度と
バンク角に依存して適用が可能と
3
39
機
能
説
明
3
40
機
能
説
明
なる特性マップSlipCor Mod 1-4
を使用して行われます。
それ以外のSlipCor Mod 特性マッ
プを使用して、各種の車両モード
でさまざまな設定を行うことが
できます。 これにより、 さまざ
まなスリップを設定したり、 摩
耗の進行による走行中のタイヤ
の変化に反応できるようになり
ます。 これらの設定は、 走行中
に切り替えることができます(モ
デルS 1000 RR およびHP4 の取
扱説明書を参照)。
特性マップでは、 速度 1 が km/h
で、 バンク角が2度で表示されま
す。
例えば、SlipCor Mod 特性マップ
により以前より 1 %多くスリッ
プが発生する場合、 ラインの各
値 (全てのバンク角用) につ
いて、 速度サポート位置の値の
1 %が初期値に加えられます。
ダイアグラムには、 タイヤ半径
の変化に関連して、異なるモード
やSlipCor Mod 特性マップの場合
の Metzeler Racetec K3 タイヤ用
の例があります。 特性マップ 3
は、 特性マップ 4 より 1 %多い
スリップを発生させます。
3
41
機
能
説
明
3
42
機
能
説
明
TrqControl
トルクリダクション
算出されたホイールスリップが
約 10 % になると、 DTC 制御が
行われます。 各種の車両モード
用のスリップ水準を上げ下げす
る場合には、 タイヤ半径に基づ
いて行われます。
ダイアグラム 1
測定範囲Re_dtc_spn は、 リダ
クション特性曲線TrqControl か
らのもので、エンジントルクリ
ダクションをパーセントで表
示します。 値 1.0 はリダクショ
ンなし、 値 0.0 は 100 %リダ
クション(エンジン停止)に対
応しています。 リダクショ
ン特性曲線により、トルクリダ
クションはレースサーキットや
タイヤに対応して影響を受け
ることがあります。 基本較正
はTrqControl リニアです。
ダイアグラム 2
特性曲線が厳密に一直線に下
降していなければなりませ
ん。 著しく摩耗しているタイ
ヤは、わずかなリダクションレ
ベルで大きなトルクリダクショ
ン(デグレッシブな下降)を必
要とします。
ダイアグラム 3
ソフトなタイヤ/限界領域に
幅のあるタイヤの場合には、
わずかなリダクションレベルで
少ないトルクリダクションが必
要とされます(プログレッシブ
な下降)。
3
43
機
能
説
明
3
44
機
能
説
明
TrqIncrease
戻りトルク制御
リヤホイールのスリップ
がSlipCor Mod 特性マップに適
用されている値の下で抑制され
ると、 トルクは再び戻り制御さ
れます。 プリセットされている
値は、 特性曲線TrqIncrease に
より回転数に対応して変化しま
す。 1.0 超の値は戻りトルクを加
速させ、 1.0 未満の値は戻りトル
クを減速させます。
スプリング設定およびショックア
ブソーバー設定に対応して、戻り
トルクがモーターサイクルを振
動させることがあります。 振動
を、スリップコントロール、シャ
シーシステムおよびタイヤシス
テムから切り離すため、戻りトル
クを小さくすることをお勧めし
ます (1.0 未満の値)。 戻りトル
クの値を極端に小さくすると、
車両は動きが鈍くなり、 加速し
ようとしなくなります。
説明された適合の場合、
HP Race Power Kit が取り
付けられていることが必要条
件です。 HP Race Calibration Kit
を標準コントロールユニット装
備車両に組み込んだ場合には、
8000 rpm 以上での戻りトルク
が、 標準データレベルによっ
て著しく弱まっていることに留
意してください。 これにより数
値 1.0 はニュートラルではなく
なります。
DTC シフト特性曲線
モデルHP4 では、 左コンビネー
ションスイッチにDTC 操作用の
シーソーボタンがあり、 これを
使って許可された走行モードがリ
ヤホイールの目標スリップを修
正します。 + 方向に 7 つのス
テップ、 – 方向に 7 つのステッ
プがあります。 同様に特性曲
線SlipOffset には、 個々のステッ
プでスリップ修正値が保存されて
います。 ステップ - 7~ + 7 は、
メーターパネルの表示と対応し
ており、 システム内に固定して
プリセットされています。 より
小さい値が重力されると、トラク
ションコントロールがスリップ
をより許容します。 制御介入が
少ないということは、 物理的限
界に達するまで駆動力が増え、
タイヤのコーナリングスタビリ
ティーが小さくなるということ
を意味します。 より大きな値で
は、 スリップを増大させ、 駆動
力が小さく制御介入が大きい場
合にタイヤのコーナリングスタ
ビリティー高まります。
ローンチコントロール
Launch-Control は、 一方で安
定したスタート回転数を保つ役
目を果たします。 他方で、
リヤホイールトルクが伝達可
能な最大値に低減されます。
そのために、 アプリケーショ
ン値engine rpm limitation 1(最
大調整可能なエンジン回転数)
とそれに付属する、 車速範囲
(Speed threshold) 2 があり、
それに至るまで回転数制限が有
効になります。 リダクション特
性曲線TRQLAUNCHCON では、
回転数によって異なるエンジント
ルクリダクション3 が入力され、
それによってリヤホイールトルク
が 1 速で希望の最大値に達しま
す。 エンジントルクはギヤが 1
速から 2 速にジャンプするとき
に、2 速のために自動的に上昇し
ます。 これによってリヤホイー
ルには 1 速と同じ最大トルクが
生じます。 Launch-Control は、3
速に達するかまたは 30° のバン
3
45
機
能
説
明
3
46
機
能
説
明
ク角を超えると自動的に作動解
除されます。
シフトアシスト
うどの場合には、トルク生成は初
期設定に合わせて行われます。
シフト動作後のトルク生成の速
度により、駆動系の荷重移動によ
る反応にも影響が及び、 予期し
ない車両反応が引き起こされる
ことがあります。
ピットレーンリミッター
ギヤシフトアシストにより、 ク
ラッチ操作なしでのギヤのシフト
アップが可能になります。 エン
ジントルクのリダクションが、
ギヤシフトアシストによる基本
的なシフトプロセスの導入のた
めに行われている間、 係数 「ギ
ヤシフトアシスト制御速度」 1
により、 シフト動作後のエンジ
ントルクの生成に影響を与える
ことができます。 1 を超える値
は迅速なトルク生成をもたらし、
1 未満の値はゆっくりとしたトル
ク生成をもたらします。 1 ちょ
この機能により、1 速のときにの
み、 スタータースイッチが押さ
れている状態で作動状態になる
スピードリミッターの使用が可
能になります。 回転数リミッ
ト 1 は、 例えばピットレーンで
1 速のときに許容速度を上回らな
いように、設定することができま
す。 スピードリミッターの設定
が同じでギヤレシオが変更され
たりタイヤが異なる場合、速度制
限が異なってしまう場合があり
ます。 ここで変更を行う場合に
は、 設定の変更を行ってくださ
い。 この設定では、 工場設定
の最大回転数リミットを上回る
ことはできません。
3
47
機
能
説
明
3
48
機
能
説
明
アダプション
エンジンコントロールはさまざま
な設定を保存しています。 これ
はエンジンコントロールにメモ
リーされており、バッテリーと接
続していない状態でも保たれて
います。
該当するのは以下のコンポーネ
ントです:
スロットルバタフライ
エキゾーストシステム
エアボックス、エアフィルター
エンジン本体 (負荷移動関連
の変更)
ギヤポテンショメーター、シフ
トレバーセンサー
これらのコンポーネントに関連す
る変更が行われると、アダプショ
ン値が消去されなければなりま
せん。 そのようにしてエンジン
マネジメントシステムは、変更さ
れた値や新しいコンポーネント
を保存することができます。
ギヤシフトアシストの機能が作
動するのは、 全ギヤで十分に走
行され、 アイドリングが十分に
行われていた場合に限られてい
ます。 この場合、 アダプション
値を消去する方法は 2 つありま
す。 ギヤポテンショメーターや
シフトレバーセンサー関連の変
更ではない場合には、機能「アダ
プションデータをギヤボックス
アダプションなしで消去する」 1
をお勧めします。 ギヤシフトア
シストの機能をすぐに使用でき
るようになります。 ギヤポテン
ショメーターやシフトレバーセ
ンサー関連の変更の場合には、
機能「全アダプションデータを消
去する」 2 をお勧めします。
3
49
機
能
説
明
3
DDC
50
最終的に作用する減衰は、DDC コ
ントロールユニット内で%で設
定される。 RCK2 内での較正さ
れるたびに、 工場設定に相対
的に作用します。 係数 0%~
200%で設定されます。 これに
よって最大で工場設定の倍の減
衰係数が達成されます。 RCK2
を使用する場合、 メーターパネ
ルでは減衰設定を行うことがで
きません。 RCK2 機能が使用さ
れると、 メーターパネル内でこ
のメニューオプションが選択で
きなくなります。 その代わりに
RCK2 内で設定されたカスタマイ
ズが有効になります。
スプリングストラットでは一般に
リバウンドおよびコンプレッショ
ンステージダンピングは区別さ
れます。 フォークには工場出荷
時取り付けではないスプリング
ウェイセンサーは 1 つしか取り
付けられていません。 工場では
機
能
説
明
一般事項
フロントに減衰一式(リバウンド
およびコンプレッションステー
ジダンピングの区別なし。 モー
ターサイクル取扱説明書も参照)
を設定することができます。 走
行モードとDDC-Setting は区別さ
れます。
目的にかなった手順
(Laptrigger tolerance) がシス
テムのために計算され、調整さ
れます。
セクションに左右される減衰の
ための有意義なサポート位置
が作成され、ラップ距離の把握
が確実に機能することが確保さ
れます。
走 行 モ ー ド Sections に お
けるHP 赤外線トランスミッ
ターの設置のための注意事項を
守ってください。
好ましいDDC-Setting は、与え
られたコースでベースSetting
(例えばTRACK)として選択し
ます。
フロントフォーク用スプリン
ベ ー ス Setting は 、 Tuning
グウェイセンサー
Factors からカスタマイズし
(4 つの異なった調整が走行
ワイアハーネスにコネクター
モードの切り替えにより可
があり (モーターサイクル取
能。
扱 説 明 書 参 照 )、 こ れ に 適
HP 赤外線トランスミッター
切なセンサーを接続すること
(HP Laptimer 用) はボックス ができます。 このアクセサ
壁(好ましくは進行方向ボック リーはBMW Motorrad からは提
ス壁の開始部分に) 位置決め
供されていません。 詳細につ
され、 HP Race Datenlogger
いてはBMW HP Race Support
を使用してこれから走るコー ( E メ ー ル :hp-raceス 長 ( DDC Tracklenght)
[email protected])
および許容ウィンドウ幅
でお問い合わせください。 別の
センサーを取り付けたり、 セン
個別のモード割り当て
サーを異なった方法で接続した
りすると、 正常にスプリング
ウェイが測定されなくなる場
合があります。 これによってシ
ステムの機能に影響が及ぶ可能
性があります。 センサーを取り
付ける場合は、 フォークのスプ
リングウェイが制限されないよ
うに、 およびステアリング動作
に影響したりブロックしたりし
どの走行モード(車両のモードボ
ないように注意しなければなり
タンで選択可能) でも、 さらな
ません (フォークが自由に動け
る設定として有効なDDC-Setting
ることを確保する)。 測定され
を割り当てることができます。
たスプリングウェイ (スプリン
レーシングコースで使用する場
グストラットのところ、 および
合、 各走行モードにDDC-Setting
取り付けられたセンサーでも
フォークのところ) は、 CAN バ Track 1を割り当てることが考え
られます。
ス経由で出力され、 HP Race
データロガーに記録されま
チューニング係数
す ( DDC_displacement_fr /
DDC_displacement_rr)。 場合に
各走行モードで、 ベースSettings
より、 ゼロポイント調整が必
(必要に応じてタブ「Mode」 か
要になります。
ら選択)の個別の設定を行うこと
ができます。 カスタマイズされ
たモード割り当て(タブ「Mode」)
では、 設定のベースが変わりま
す。 初期設定では、 走行モー
ド 4(SLICK) はDDC-Setting
TRACK のベースです。 それで
もモード割り当てで走行モード
4 のために他のDDC-Setting が選
択された場合は、 ここで設定さ
れたTuning Factors はこの相違
するSetting に作用します。 スプ
リングストラットではリバウンド
ステージとコンプレッションス
テージは区別できます。 フロン
トフォークではこの違いは、スプ
リングウェイセンサーが取り付け
られて接続されている場合にの
み可能です。 値は 0%~ 200%ま
で入力することができます。 機
能Tuning Factors が作動される
と、 自動的に機能Sections(セク
ションに応じた減衰) が作動解
除されます。
3
51
機
能
説
明
3
52
機
能
説
明
使用例 :
タイヤ
ライダー交替のあるレースでは、
各ドライバーがあらかじめ 2 つ
のチューニングで走り出し、 そ
の際可能ならそのうちの 1 つ
が降雨チューニングにします。
この例では、(乾いた条件で)
2 番目のライダーが彼の希望する
チューニングで走るために、走行
モードRAIN からRACE に切替え
ます。 以下のライダーチュー
ニングを設定することができま
す (走行モード + 割り当てら
れたDDC-Setting):
RAIN (Set TRACK) = ライダー
1 のために調整、 乾いている
SPORT (Set DYNAMIC) = ライ
ダー 1 のために調整、 濡れて
いる
RACE (Set TRACK) = ライダー
2 のために調整、 乾いている
SLICK (Set DYNAMIC) = ライ
ダー 2 のために調整、 濡れて
いる
周回路ではラップ距離にわ
たって減衰が変更され、 それ
によって例えば各コーナー
で個別の設定が可能になりま
す (機能Sections)。 ラップ距
離はDDC コントロールユニット
内でホィール回転数から計算され
ます。 この計算が可能な限り正
確に機能するよう、タイヤの輪郭
を二次方程式で保存することがで
きます。 これによって車速がバ
ンク角に関して修正され、その結
果ラップ距離がより正確に計算さ
れます。 この修正は、 標準タイ
ヤで走行しない場合重要です。
較正は強制的に必要ではありま
せん。 なぜならラップ距離把握
の精度は通常の場合達成される
からです。
機能Tire の較正は、DDC コ
ントロールユニットの
ラップ距離計算に影響が出ま
す。 RCK2 機能のダイナミッ
クトラクションコントロール
(DTC) はこれには該当しませ
ん。 この場合別途較正を保存す
る必要があります。
セクション
周回路の距離全体に分散できる最
大で 30 箇所のサポート位置が使
用できます。 新しいサポート位
置はどれも、 前よりもより大き
な値を (m で) 持っていなけれ
ばなりません。 測定されたラッ
プ距離と例えばコーススペック
から読み取れる公称距離との間
に相違があることが考えられま
す。 そのため、 この機能の試運
転後に較正を実施することが
求められます。 Tuning Operation
が 「 Use sections 」 を 作
動させた後、 パラメーター
「DDC track length」 が意図的
に大幅に高く選択された場合
コースを数周、個人的な進路で走
行することをお勧めします。
すでに走行した距離がコース長
を超えるとこの機能は距離の把
握を停止するため、このことは必
要です。 続いてHP Race データ
ロガーによってモニターされま
す。 信号 「DDC_lap_distance」
には、 DDC コントロールユニッ
3
53
機
能
説
明
3
54
機
能
説
明
トによって把握されたラップ距
離が含まれています。 この信号
は妥当性を点検されなければ
なりません。 場合によってタ
イヤ半径の修正がバンク角に
関してタブ 「Tire」 で適合さ
れなければなりません。 さら
に、 信号 「Laptrigger」 も役に
立ちます。 この信号が変化する
と、
「Laptrigger」がHP Laptimer か
ら 受 信 さ れ ま す 。 DDC 機
能 は Sections に 関 し て
「 Laptrigger」 を 、 こ れ が 定
義された許容値ウィンドウ
(Laptrigger Tolerance) に入っ
た場合にのみ有効と見なしま
す。 レーシングコースはこれ
で希望のセクションに分ける
ことができます。 付属して
いるラップ距離サポート位
置はHP Race データロガーの図
面で見ることができます。 セク
ションは係数 0%~ 200%を
備えた固有のイメージに対
応していることに注意してく
ださい。 これは相対的にそれ
ぞれ有効なベースSetting に作
ます。 メーターパネルのDDC 警
用します。 個別のモード割り
告灯は、 故障モードを表示しま
当てが使用される場合、 選択さ
す。 詳しい情報は、 故障モード
れたSetting は各走行モードで設 「Sections」 を参照してくださ
定のベースとして使用されま
い。
す。 HP Laptimer により、システ パラメーターMaximum Sections
ムは新しい周回の開始を検知し
Errors 4 では、 故障の後に再ス
ます。 ラップ距離はこれによっ
タートするためにはシステムが何
てリセットされます。 ボタン操
回試行を行えばよいのかを設定す
作でラップ時間がわかるメーター ることができます。
パネルの機能は、 DDC-ラップ距
離をリセットしません。 パラ
メーターLaptrigger Tolerance 1
には、「Laptrigger 信号」 用許
容値ウィンドウが含まれます。
ここに 20 m が入力されると、
ラップ距離 20 m 以降、 入力さ
れたDDC track length 2から 20
m 後までLaptrigger 信号が承認さ
れます。
ラップ検知に故障があると、
Tuning Factors 3 の設定が切
替えられます。 なぜなら、 その
ような故障は排除できないた
め、Tuning Factors 3 の適切な較
正がバックグラウンドで定義され
DDC コンポーネント
Damper Setup ではフォークおよ
び/またはスプリングストラット
が非作動にされることが可能で
す。 量産車コンフィギュレー
ション (RCK は非作動) では、
2 つのDDC コンポーネントの
うちの 1 つでしか走行すること
ができません。 なぜならこの場
合まだ取り付けられているコン
ポーネントが安全上の理由から制
御されなくなるからです。 例え
ば転倒事故後にフォークが標準
型の部品と交換された場合、 こ
れがDDC コンポーネントとし
て非作動にされ、 引き続きスプ
リングストラットがRCK2 でカス
タマイズされます。
リヤのスプリングウェイセンサー
は、 万一スプリングストラット
が取り外された場合でも、 たと
えスプリングストラットが非作
動にされていても、引き続き正し
く接続されて取り付けられてい
なければなりません。
Sensor Setup 1では、 スプリ
ングウェイセンサーがフォー
クのところに取り付けられ
ているかどうかが示されます
(Front Sensor available)。 加え
てリヤのセンサーを調整するこ
とが可能になります。 これは、
前もってスライダーを介した接
続で変更されていると合理的で
す。 正しく校正するために、
リヤホイールはスプリングスト
ラットのリバウンドストッパーま
で引かれなければなりません。
間違ったキャリブレーショ
ンによって走行特性に悪影
響が及ぶことがあります。
RCK2 によるキャリブレーショ
ンが失敗すると、 測定された
スプリングウェイは適切な図
面でDatenlogger によって点検さ
れなければなりません。
コンポーネントを作動解
除することにより、 故障診
断もオフになります。 コンポー
ネントが作動解除されると、それ
がまだ取付けられている状態で
あっても、 正しい制御が確保さ
れなくなります。
HP Race データロガーの関
連信号
Laptrigger: 信号値の変化は
いずれも、 メーターパネ
ルがLaptrigger を検知したこと
を意味します。 機能Sections
は、 Laptrigger を必ず許容範囲
で確認します。
3
55
機
能
説
明
3
56
機
能
説
明
DDC_lap_distance:DDC ラッ
プ距離 (Funktion Sections)の較
正のための基本
DDC_sensor_fr_status: フロ
ントのスプリングウェイセン
サーは使用可能です (0:セン
サーは検知されません、 1:セ
ンサーは検知されます)
DDC_error_status: 故障表
示DDC(0:故障なし、 1:故
障モード (警告灯点灯))
DDC_rck_status: 表示RCK2DDC は作動 (0:非作動、 1:
作動(メーターパネル調整は使
用できない))
DDC_displacement_fr: フロ
ントのスプリングウェイは(後
付けでセンサーが取り付けられ
た場合のみ使用可能)機械的ゼ
ロポイント校正が必要な場合が
あります。
DDC_displacement_rr: リヤ
のスプリングウェイ
ABS
ABS
ABS の章では、 さまざまな走
行モードが、 異なったあらか
じめ固定的に設定されたABSSetting に割り当て可能です。 使
用できるSetting は、 車両タイプ
と使用されているABS-Software
バージョンによって異なりま
す。 Setting は例えばリヤホイー
ルでABS が非作動の状態でフッ
トブレーキを操作し、 リヤホ
イールリフトアシスタントのバー
ジョンが異なることで識別できま
す。 Setting「ABS Serie Sport」1
は、 最大のブレーキ安定性
に合わせて設定されていま
す。 リヤホイールリフト検
知と遅延制限が作動していま
す。 Setting「ABS Serie Race」2
は、高められた遅延に合わせて設
定されています。 リヤホイー
ルリフト検知は非作動になり、
遅延制限は作動状態を保ってい
ます。 設定「ABS Serie Slick」3
Race は、 高められた遅延に合わ
せて設定されています。 リヤ
ホイールリフト検知は非作動に
なり、 遅延制限は作動状態を
保っています。 ABS 機能は、
フットブレーキを踏み込むと非
作動になります。 リヤホイー
ルがロックする場合がありま
す。「ABS Slick IDM」 4 は、
レース条件下の最大遅延に合わ
せて設定されています。 リヤホ
イールリフト検知と遅延制限がは
もう作動していません。 ABS 機
能は、フットブレーキを踏み込む
と非作動になります。 リヤホ
イールがロックする場合があり
ます。
3
57
機
能
説
明
3
58
機
能
説
明
接続
モーターサイクルへの接続を確立
する . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 60
4
59
モーターサイクルへの接続を
外す . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 60
接
続
4
モーターサイクルへの接
続を確立する
モーターサイクルへの接
続を外す
60
接
続
USB アダプターケーブルを使
用して、 コンピューターを車
両の診断インターフェース 1
に接続します。 保護キャップ 2
は事前に外しておきます。
イグニッション ON の後、 コ
ミュニケーションが確立されま
す。
データをHP Race Calibration ソ
フトウェア 2 を使用して変
更します。
イグニッションを OFF にしま
す。
アダプターケーブルを診断イン
ターフェース 1 から外し、 保
護キャップ 2 を再び取り付け
ます。
インストール
システム条件 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 62
インターフェースドライバーのイン
ストール(FTDI) . . . . . . . . . . . . . . . . . . 62
5
61
ドライバー調整 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 62
ー
イ
ン
ス
ト
ル
5
62
ー
イ
ン
ス
ト
ル
システム条件
RAM:1 GB
ドライバー調整
ドライバーのコンフィギュレー
ションを点検または変更するた
め、 以下のパスに従ってくださ
グラフィックボード :Open
い。
GL のサポート
「 シ ス テ ム 制 御 」「 シ ス テ
ム」「デバイスマネジャー」
接続 :1 x USB 2.0
「 ポ ー ト ( COM & LPT )」、
BMW HPRC USB Serial Port を
インターフェースドラ
ダブルクリックして、 ウィンド
イバーのインストール
ウ 「特性」 を開いてください。
(FTDI)
タブ 「接続設定」 を選択し、「拡
張されている」 をクリックして
HP Race Calibration ソフトウェ
ください。
ア 2 のインストール後、 イン
必ず以下の値を設定してくださ
ターフェースドライバーをイン
い:
ストールする必要があります。
USB パッケージサイズ :
そのため同梱のインターフェー
受信 :64
スケーブルを PC の USB ポート
送信 :64
に接続し、
ファイルftdiport.infを使
CPU:Pentium または互換性が
用してドライバーをインストー
あるもの
BM 設定 :
ルしてください。
待機時間 :1
クロック周波数 :2 GHz また フ ァ イ ル は イ ン ス ト ー
はそれ以上
ル DVD の デ ィ レ ク ト リ
「FTDI_Driver_20600」 にありま
す。
• ツールがモーターサイクル
と接続されるか (オンライ
ン) または既存のデータセッ
トがロードされて (オフライ
ン) 初めて、 BMW Motorrad
HP Race Calibration ソフトウェ
ア 2 を使用して加工することが
できます。
• BMW Motorrad HP Race
Calibration ソ フ ト ウ ェ
ア 2 は BMW Motorrad
HP Race Calibration ソフトウェ
アに代わって使用されます。
オペレーティングシス
テ ム MS Windows XP 、
MS Windows Vista 、
MS Windows 7
ハードディスク :100 MB のメ
モリーの空き容量
A
ABS
ABS 設定を調整する, 57
D
DDC コンポーネントをアクティ
ブにする
制御を OFF / ON にする, 55
DDC サポート位置
DDC Sections 検出および調整
する, 53
H
HP レースキャリブレーションソ
フトウェア
必要なコンポーネント, 4
い
イグニッション
アン チ ノ ッ ク コ ン ト ロ ー ル
OFF / ON, 30
イグニッションタイミングを修
正する, 30
え
エンジンブレーキ
エンジンブレーキトルクに影響
を与える, 29
き
記号と意味, 5
く
グリップの限界
摩擦係数を入力する, 33
こ
工場での調整
初期設定に戻す, 20
コントロールユニット
コントロールユニットによる制
限, 5
し
シフトアシスト
シフトアシストを調整する, 47
す
スリップコントロール
ホイールスリップを算出す
る, 38
た
タイヤ半径
タイヤ半径を特定する, 32
タイヤ半径を入力する, 22
て
データセット
適用, 10
ロード/保存/印刷, 14
データをコントロールユニット
に伝送する
データ転送, 18
と
特性マップを加工する
特性マップをアクティブにし、
パラメーターを加工し、真理値
表を加工する, 23
トルクのサーボ制御
トルクリダクションを設定す
る, 34
は
バンク角
タイヤ周囲スリップ, 37
ひ
ピットレーンリミッター
ピットレーンリミッターを調整
する, 47
6
63
索
引
64
ふ
フューエルカットオフ
フューエルカットオフを
OFF にする/ ON にする, 28
噴射時間
燃料量に影響を与える、燃料混
合を調整する, 27
索
引
ほ
本書の記述について, 6
6
も
モーターサイクル -カップリング
Pairing, 11
モーターサイクル管理, 12
ら
ラムダコントロール
ラムダコントロールをオフ/オ
ンにする, 27
ろ
ローンチコントロール
モーターサイクル限界回転数
を編集する, 45
ご購入いただきました
BMW Motorrad の製品の装備、
アクセサリー、 仕様は、 国別仕
様により、 本書の説明や図と
異なる場合があります。 これら
についてのクレームはご容赦く
ださい。
本書に記載されている寸法、 重
量、 燃費、 性能などのデータに
は、 一般に認められている許容
誤差が含まれています。
デザイン、装備、アクセサリーな
どは、 製品を改良するために予
告なく変更することがあります。
印刷の誤りや誤字、脱字に起因す
るクレームはご容赦ください。
©2013 BMW Motorrad
本書はその全部について、
たとえ一部であっても、 BMW
Motorrad, After Sales から書式に
よる承諾を得た場合を除き、 転
載や複製することは禁じられて
います。
Printed in Germany.
P/No.: 77 01 8 544 506
12.2012, 1st edition
*77018544506*
*77018544506*
*77018544506*