地域総合振興事業 (PDF 約42KB)

平成 14 年度国際協力関係民間公益団体補助事業完了報告書
1. 補助事業の名称:
地域総合振興事業
2. 事業対象国・地域:
ボリビア共和国サンタクルス市、スクレ市、コチャバンバ市
3. 補助事業の実施期間:
平成 14 年 4 月 1 日〜平成 15 年 3 月 31 日
4. 補助事業の成果:
救急救命医養成のための ATLS (Advanced Trauma Life Support) コース及
び対象を医療職以外にも広げた救急救命関係者のトレーニングである
PHTLS (Pre-Hospital Trauma Life Support) コースをボリビア国内の各地で
実施し、救急救命処置及び医療の質向上を図った。
ATLS Student コース:
4回
ATLS Instructor コース: 2 回
PHTLS コース:
2回
5. 事業の背景:
他の途上国の多くと同様、ボリビア共和国における生産年齢の死亡原因のトップは外傷である。急激な
都市化に道路や法の整備が追いつかないまま人口と車両が増えた結果、交通事故による重傷者も増加し
た。一方、救急救命医の不足も大きな問題であった。ボリビアでは地方のヘルスポストに新卒の医師が単
身で赴任する慣例があるため、地元住民は経験の浅い医師を嫌い第 2 次、第 3 次病院で受診したがると
いう傾向にあり、大病院の医師以外は外傷に対して臨床経験が不足しがちである。医師のトレーニング不
足により、外傷、熱傷、下痢など比較的軽症で適切な処置が取られれば本来助かるはずの患者が命を落
とすケースもある。社会的、経済的生産年齢の死亡は、貧困家庭にとっては一層の困窮を意味し、適切な
処置を受けられないことによる後遺症も深刻な問題であった。
そこで AMDA は、1997 年に一般医の救急救命技術の向上を目指す ATLS コースをサンタクルス市で
開始した。当初はサンタクルス市のみで行っていた同コースに、ボリビア各地からも医師が参加するように
なり、同市以外でもコースを実施する下地ができていた。昨
年度にはサンタクルス市以外で初めてのコースをコチャバ
ンバ市で実施し、その後開催都市を増やしてきた。
ATLS コースの評価に伴い、病院に搬送するまでの処
置の重要性が改めて認識され、救急車のドライバーや警察
官など救急救命処置にかかわる可能性の高い職種を中心
に、救急救命処置技術の向上を図る PHTLS コースの導入
を決定し、2001 年 3 月にボリビア国内で初めてとなる同コ
ースをサンタクルス市で実施した。
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6. 活動内容および成果:
z ATLS コース
本年度はサンタクルス市に加え、コチャバンバ市とスクレ市での ATLS-Student コースの実施により、ボ
リビア各地の医師に救急救命医療技術向上の機会を提供した。また 2 回の Instructor コースの実施により
ボリビア各地から参加した医師 12 名が合格し、サンタクルス市の合格者 4 名と合わせて計 16 名のインスト
ラクターの資格を取得することができた。今後ボリビア各地での ATLS コース実施が容易になり、これまで
移動・滞在の費用を賄えなかった医師も地元での研修に参加できるようになった。
ボリビアの首都ラパス市、そして憲法上の首都であるスクレ市の人口は、ボリビア第 1 位、第 2 位である。
コチャバンバ市、ポトシ市は地方の中核都市であり、近隣の地方の医師が今後これらの都市で行われる研
修に参加することが容易になった。各地方の救急救命医療のレベル向上により、特に設備の整った私立
病院にかかる余裕のない貧困層への裨益は大きい。
z PHTLS コース
サンタクルス市以外では初めてとなる PHTLS コース
をスクレ市で実施し、31 名の参加者に救急救命法を指
導した。前述のように、スクレは憲法上の首都であり、ボ
リビアでは人口第 2 の都市であるため、今後も継続して
救急救命関係者の技術向上を図る必要がある。
7. 会計報告
経費区分
資機材設備費
総事業費
補助金確定額
自己資金使用実績
262,019
80,000
182,019
86,320
40,000
46,320
861,430
400,000
461,430
36,000
30,000
6,000
専門家等派遣旅費
175,414
165,000
10,414
外部監査費
297,600
150,000
147,600
現地補助員費
1,738,638
850,500
888,138
指導者養成費
1,344,916
900,000
444,916
事業管理費
1,044,186
400,000
644,186
教材輸送費
151,078
-
151,078
宿泊滞在費
33,480
-
33,480
計
6,031,081
3,015,500
3,015,581
会場設営費
教材費
専門家等人件費
(単位:円)
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