電気事業法第19条の改正経緯について 平成24年6月 資源エネルギー

電気事業法第19条の改正経緯について
平成24年6月
資源エネルギー庁
電力・ガス事業部
電気事業法(昭和39年法律第170号)第19条は、同法の制定以来、4
回にわたり改正されている。その改正の概要は以下のとおりである。
Ⅰ.平成7年改正
平成7年の改正前までは、一般電気事業者の「供給約款」は、その変更を含
め、すべからく通商産業大臣の認可制であったところ、当時、ピーク需要の先
鋭化に伴う負荷率の悪化等が課題となっていたことから、負荷平準化に資する
と見込まれる場合には、認可を受けた「供給約款」とは別に「選択約款」を定
めることを可能とし、
「選択約款」については通商産業大臣への届出制を採用し
た。
Ⅱ.平成11年改正
「供給約款」の変更については、平成7年の改正後もすべからく通商産業大
臣の認可制であったところ、一般電気事業者の経営効率化の成果をより機動的
に需要家に還元するとともに、料金引下げの時期やその幅等の判断において、
一般電気事業者の経営の自主性を尊重する観点から、料金を引き下げる等の場
合には、届出という簡易な方法により「供給約款」の変更を行うことを可能と
した。
※平成11年には上記の改正のほか、中央省庁等改革関係法施行法により、電
気事業法第19条における「通商産業大臣」を「経済産業大臣」に改めるな
ど、省庁再編に伴う改正を行っている。
Ⅲ.平成23年改正
固定価格買取法に基づく再生可能エネルギー電気の買取費用や石油石炭税の
税率増加など、他の法律の規定に基づいて支払うべき費用は一般電気事業者の
経営努力では節減することが困難であることから、こうした費用の増加に伴い
料金を引き上げる場合には、
「供給約款」の変更について経済産業大臣の認可を
求めず、届出で足りることとした。
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【参考1】制定当時の電気事業法第19条
(供給規程)
第十九条
一般電気事業者は、電気の料金その他の供給条件について供給規程を定め、通
商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とす
る。
2
通商産業大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項
の認可をしなければならない。
一
料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。
二 料金が供給の種類により定率又は定額をもつて明確に定められていること。
三
一般電気事業者及び電気の使用者の責任に関する事項並びに電気計器その他の用品
及び配線工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められてい
ること。
四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
【参考2】現行の電気事業法第19条
(一般電気事業者の供給約款等)
第十九条 一般電気事業者は、一般の需要(特定規模需要を除く。)に応ずる電気の供給に
係る料金その他の供給条件について、経済産業省令で定めるところにより、供給約款を
定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、
同様とする。
2
経済産業大臣は、前項の認可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めると
きは、同項の認可をしなければならない。
一
料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。
二 料金が供給の種類により定率又は定額をもつて明確に定められていること。
三
一般電気事業者及び電気の使用者の責任に関する事項並びに電気計器その他の用品
及び配線工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められてい
ること。
四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
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一般電気事業者は、第一項後段の規定にかかわらず、料金を引き下げる場合その他の
電気の使用者の利益を阻害するおそれがないと見込まれる場合として経済産業省令で定
める場合には、経済産業省令で定めるところにより、同項の認可を受けた供給約款(次
項又は第七項の規定による変更の届出があつたときは、その変更後のもの。以下この条
において同じ。
)で設定した料金その他の供給条件を変更することができる。
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一般電気事業者は、前項の規定により料金その他の供給条件を変更したときは、経済
産業省令で定めるところにより、変更後の供給約款を経済産業大臣に届け出なければな
2
らない。
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経済産業大臣は、前項の規定による届出に係る供給約款が次の各号のいずれかに該当
しないと認めるときは、当該一般電気事業者に対し、相当の期限を定め、その供給約款
を変更すべきことを命ずることができる。
一 料金が供給の種類により定率又は定額をもつて明確に定められていること。
二
一般電気事業者及び電気の使用者の責任に関する事項並びに電気計器その他の用品
及び配線工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められてい
ること。
三 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
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一般電気事業者は、第一項後段の規定にかかわらず、他の法律の規定により支払うべ
き費用の額の増加に対応する場合(一般電気事業を行うに当たり当該費用を節減するこ
とが著しく困難な場合に限る。
)として経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で
定めるところにより、同項の認可を受けた供給約款で設定した料金その他の供給条件を
変更することができる。
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一般電気事業者は、前項の規定により料金その他の供給条件を変更しようとするとき
は、経済産業省令で定めるところにより、その旨及びその変更後の供給約款を経済産業
大臣に届け出なければならない。
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前項の規定による届出に係る供給約款は、その届出が受理された日から三十日を経過
した後でなければ、その効力を生じない。
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経済産業大臣は、第七項の規定による届出に係る供給約款が次の各号のいずれにも適
合していると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。
一 料金の変更の内容がその変更の目的に照らして必要かつ十分なものであること。
二 料金が供給の種類により定率又は定額をもつて明確に定められていること。
三
一般電気事業者及び電気の使用者の責任に関する事項並びに電気計器その他の用品
及び配線工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められてい
ること。
四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
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経済産業大臣は、第七項の規定による届出に係る供給約款が前項各号のいずれかに
適合していないと認めるときは、当該一般電気事業者に対し、その届出を受理した日か
ら三十日以内に限り、その供給約款を変更すべきことを命ずることができる。
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一般電気事業者は、その一般電気事業の用に供する設備の効率的な使用その他の効
率的な事業運営に資すると見込まれる場合には、料金及びその料金を適用するために必
要となるその他の供給条件について第一項の認可を受けた供給約款で設定したものと異
なる供給条件を設定した約款を、電気の使用者が供給約款に代えて選択し得るものとし
て、定めることができる。
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一般電気事業者は、前項の規定により約款を定めたときは、経済産業省令で定める
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ところにより、その約款(以下「選択約款」という。)を経済産業大臣に届け出なければ
ならない。これを変更したときも、同様とする。
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経済産業大臣は、前項の規定による届出に係る選択約款が次の各号のいずれかに該
当しないと認めるときは、当該一般電気事業者に対し、相当の期限を定め、その選択約
款を変更すべきことを命ずることができる。
一
当該一般電気事業者の一般電気事業の用に供する設備の効率的な使用その他の効率
的な事業運営に資すること。
二
第一項の認可を受けた供給約款により電気の供給を受ける者の利益を阻害するおそ
れがないこと。
三 料金が定率又は定額をもつて明確に定められていること。
四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。
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