社内向けクラウド構築のために活用できるソフトウェア

社内向けクラウド構築のために活用できる
ソフトウェアカタログの作成
調査報告書
平成23 年 6 月
更新履歴
発行日
更新内容
2010.10.27
初版
2011.06.13
改訂
i
目次
1.
2.
はじめに ............................................................................................................................................. 1
1.1.
調査の背景・目的 ..................................................................................................................... 1
1.2.
調査テーマの概要 .................................................................................................................... 2
調査作業の概要 ............................................................................................................................... 4
2.1.
調査フロー ................................................................................................................................. 4
2.2.
作業指針 ................................................................................................................................... 5
2.2.1.
仮想化機構に関する調査 ............................................................................................... 5
2.2.2.
システム監視・管理システムに関する調査.................................................................... 7
2.2.3.
利用者向け認証基盤に関する調査 ............................................................................... 8
2.2.4.
大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査.............................. 8
2.2.5.
クラウドコンピューティングシステム構築のガイドライン作成 ...................................... 9
2.3.
2.3.1.
仮想化機構に関する調査 .............................................................................................10
2.3.2.
システム監視・管理システムに関する調査..................................................................10
2.3.3.
利用者向け認証基盤に関する調査 .............................................................................12
2.3.4.
大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査............................13
2.3.5.
クラウドコンピューティングシステム構築のガイドライン作成 ....................................14
2.4.
3.
ソフトウェア調査の概要 .........................................................................................................15
調査内容と基準 ..............................................................................................................................16
3.1.
調査項目 .................................................................................................................................16
3.1.1.
非機能部分の調査.........................................................................................................16
3.1.2.
仮想化機構.....................................................................................................................20
3.1.3.
システム監視・管理システム .........................................................................................21
3.1.4.
利用者向け認証基盤.....................................................................................................25
3.1.5.
大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB.....................................................27
3.2.
4.
調査対象 .................................................................................................................................10
ソフトウェア評価基準 .............................................................................................................29
3.2.1.
基本情報 .........................................................................................................................30
3.2.2.
サポート ...........................................................................................................................32
3.2.3.
開発の安定性.................................................................................................................33
3.2.4.
成熟度 .............................................................................................................................35
3.2.5.
機能 .................................................................................................................................36
調査結果..........................................................................................................................................38
4.1.
調査結果の概要 .....................................................................................................................38
4.2.
調査結果 .................................................................................................................................39
ii
4.2.1.
仮想化機構.....................................................................................................................39
4.2.2.
システム監視・管理システム .........................................................................................41
4.2.3.
利用者向け認証基盤.....................................................................................................47
4.2.4.
大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB.....................................................51
4.3.
ソフトウェア評価結果 .............................................................................................................57
4.3.1.
仮想化機構に関するソフトウェア .................................................................................58
4.3.2.
システム監視・管理システムに関するソフトウェア......................................................92
a. 物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどに対する汎用的な管
理・監視ソフトウェア..................................................................................................................92
b. 特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトウェア..................................................... 152
c. クラウドの運用・管理ソフトウェア .................................................................................... 176
4.3.3.
利用者向け認証基盤に関するソフトウェア .............................................................. 231
a. シングルサインオンソフト ................................................................................................. 231
b. ディレクトリサービスソフトウェア ..................................................................................... 280
4.3.4.
大規模分散処理基盤・分散ファイルシステム・DB に関するソフトウェア ............. 304
a. 分散処理基盤 ................................................................................................................... 304
b. 分散ファイルシステム....................................................................................................... 326
c. 分散 DB............................................................................................................................. 339
【付録 1 カタログ掲載ソフトウェアリスト】
【付録 2 調査対象候補ソフトウェアリスト】
iii
1. はじめに
1.1.
調査の背景・目的
IT 投資効率の拡大への期待、IT システムの省エネルギー化への期待等からクラウドコンピュー
ティング技術に対する関心が高まりつつある。
「クラウドコンピューティング」には様々な定義と分類があるが、ここでは、数百台規模以上のサー
バハードウェアから構成され、仮想化技術によって個々のハードウェアが隠蔽された環境でアプリケ
ーションが動作し、そこから利用者にネットワークを介してサービスを提供する形式を想定する。利
用形態としては、一般公衆向けにサービスを提供するといったものよりも、むしろ、企業内で業務ア
プリを稼働させる環境としてクラウドコンピューティング技術を活用する場面を想定する(図 1-1 参
照)。
クラウドコンピューティングによるシステムを構築するにあたっては、ソフトウェアのカスタマイズが
可能であること、永続的なメインテナンスが可能であること、低コストであることなどから、特にミドル
ウェア以下のソフトウェア基本スタックに対する OSS 採用への期待は大きい。
Web サーバ分野においては「LAMP1」、「LAPP2」 等と呼ばれる OSS が多くの実績を持ってい
る。しかし、クラウドコンピューティングにおいて重要となる仮想化や運用管理、認証やシングルサイ
ンオン、さらには、Hadoop3 のような大規模分散処理基盤等の機能を実現するための OSS は、ま
だ活用実績が少なく、公開された評価結果情報等も極めて少ないのが現状である。これら OSS の
動向を調査するとともに、その機能や性能を評価し、OSS によるクラウドコンピューティング構築の
基礎資料とすることが必要である。
また、クラウドコンピューティングのシステム運用管理においては、管理用ソフトウェアと管理対象
との相互接続性、仮想マシンの可搬性、アプリケーションやデータの可搬性等を確保する観点から、
オープンな標準の活用が望まれる。そこで、このような分野における技術仕様の開発動向や、その
採用動向について明らかにする必要がある。
したがって本調査では、企業、政府・自治体などが、社内向けクラウドの構築を検討するにあたっ
て活用できる資料として、公開情報やソフトウェア開発者/配布者等へのヒアリングによる調査を
通じてとりまとめ、ソフトウェアカタログを作成することを目的とする。
1
2
3
Linux、Apache HTTP server、MySQL、PHP
Linux、Apache HTTP server、PostgreSQL、PHP
オープンソースによる分散処理プラットフォームソフトウェア
1
クラウドコンピューティング技術
を活用した社内システム
外部のクラウド
図 1-1 本調査で対象とするシステム形態4
1.2.
調査テーマの概要
本調査は、主に以下の(1)〜(5)に示す作業項目から構成されている。以下にそれぞれ概要を示
す。各作業項目とアウトプット・最終成果物との関係については、2.1「調査フロー」に示す。
(1) 仮想化機構に関する調査
クラウドコンピューティング構築に不可欠な仮想化機構について、OSS に限らず代表的なもの
を取り上げ、機能、アーキテクチャ、公開されている性能情報、いくつかの典型的構成をとった場
合の価格、サポートサービスの状況等を調査し、比較する。
OSS による仮想化機構については、コミュニティの状況、アップデートの状況、開発の経緯およ
びロードマップ、ライセンスの内容、著作権等知財権の状況、活用事例等を調査内容に含める。
(2) システム監視・管理システムに関する調査
クラウドコンピューティングのためのシステム監視・管理システムについて、OSS に限らず代表
的なものを取り上げ、機能、いくつかの典型的構成をとった場合の価格、サポートサービスの状
況等を調査し、比較する。
OSS によるシステム監視・管理システムについては、コミュニティの状況、アップデートの状況、
開発の経緯およびロードマップ、ライセンスの内容、著作権等知財権の状況、活用事例等を調査
内容に含める。
調査にあたっては、管理対象の違いにより、物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリ
ケーションなどに対する汎用的な監視ソフト(ZABBIX, Hinemos 等)、特定の仮想化機構に対
する管理・監視ソフト(virt-manager 等)、クラウドの管理機能(Eucalyptus 等)に分類し、利用
4
企業内システムを仮想化で統合し、企業内情報処理を効率化する「プライベートクラウド」を主に
想定
2
者視点での、相互の組み合わせや連携パターンについても考察をおこなう。
(3) 利用者向け認証基盤に関する調査
利用者向け認証基盤について、OSS に限らず代表的なものを取り上げ、機能、いくつかの典型
的構成をとった場合の価格、サポートサービスの状況等を調査し、比較する。
OSS による認証基盤についてはコミュニティの状況、アップデートの状況、開発の経緯および
ロードマップ、ライセンスの内容、著作権等知財権の状況、活用事例等を調査内容に含める。
(4) 大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査
大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB について、代表的な OSS を挙げ、機能、アー
キテクチャ、公開されている性能・信頼性情報、コミュニティの状況、アップデートの状況、開発の
経緯およびロードマップ、ライセンスの内容、著作権等知財権の状況、活用事例、社内向けクラウ
ドでの適用可能性等を調査し、比較する。
(5) クラウドコンピューティングシステム構築のガイドライン作成
OSS によって(社内向け)クラウドコンピューティングシステムを構築する場合の利点、問題点、
注意すべき点を取りまとめ、OSS によるクラウドコンピューティングシステム構築のガイドラインと
してまとめる。
3
2. 調査作業の概要
2.1.
調査フロー
本調査の実施フローを図 2-1、2009 月 11 月中旬の本調査開始以降の実施スケジュールを表
2-1 にそれぞれ示す。
実施スケジュールについては、1.2「調査テーマの概要」で述べた作業項目(1)〜(5)について、調
査が一定程度終了したものから随時ご報告できるよう考慮したものとした。具体的には、作業項目
(1)(2)については 2010 年 1 月中旬まで、作業項目(3)(4)については 2010 年 2 月下旬まで、作
業項目(5)については 2010 年 3 月下旬までを目処にそれぞれ終了させることとした。
作業項目(1)(2)と作業項目(3)(4)については、それぞれ同時期に並行して実施することになる
が、
• プロジェクトメンバを 2 グループに分けて各作業項目を分担する
• コミュニティの状況や製品調査等といった項目は、まとめて横断的に実施する
といった工夫を施すことにより、作業効率の向上を図った。
(1) 仮想化機構に関
する調査
(2) システム監視・管理
システムに関する調査
調査結果(1)
調査結果(1)
調査結果(3)
調査結果(3)
(4) 分散処理基盤、分散
FS・
FS・DBに関する調査
DBに関する調査
調査結果(4)
調査結果(4)
作業項目
ソフトウェア
カタログ
(5) クラウドコンピュー
ティングシステム構築の
ガイドライン作成
ガイドライン
調査報告書の
作成
調査報告書の作成
調査報告書
報告書概要資料・
プレゼン資料等作成
報告書概要資料
・プレゼン資料
調査結果(2)
調査結果(2)
(3) 利用者向け認証
基盤に関する調査
凡例
ソフトウェアカタログ
とりまとめ
アウトプット 最終成果物
図 2-1 本調査における実施フロー
4
表 2-1 実施スケジュール
2009/11
2009/12
2010/1
2010/2
2010/3
2010/4
2010/5
調査の設計
(1) 仮想化機構に関
する調査
(2) システム監視・管理シ
ステムに関する調査
(3) 利用者向け認証
基盤に関する調査
(4) 分散処理基盤、分散
FS・DBに関する調査
(5) ガイドライン作成
ソフトウェアカタログ
とりまとめ
調査報告書作成
報告書概要資料・プ
レゼン資料等作成
お打合せ
打合せ
キック
オフ
レビュー
レビュー
レビュー
打合せ
フィードバック
確認
打合せ
打合せ
レビュー フィードバック レビュー フィードバック
確認
確認
レビュー
打合せ
フィードバック
確認
作業指針
2.2.
1.2「調査テーマの概要」で示した(1)〜(5)の各作業項目について、作業を進めるにあたっての基
本指針を次のとおり定めた。
2.2.1. 仮想化機構に関する調査
(1) 想定する社内向けクラウドのシステム構成
仮想化という技術そのものが多種多様に進化しつつあることから、その分類法についても様々
なものが存在する。
本調査では、サーバの仮想化、OS の仮想化、ストレージの仮想化についてそれぞれ想定し、こ
れらのうちサーバの仮想化、OS の仮想化による分類を用いることとする。
【サーバの仮想化】
本調査において想定する社内向けクラウドのシステム構成のうち、サーバの仮想化について
は、図 2-2 に示す 3 タイプとする。
•
ホスト OS 型
ハードウェアに搭載した「通常の OS(ホスト OS)」の上に、さらに「利用する OS(ゲス
ト OS)」を載せて実行する。2 つの OS の間には仮想化マシン(Virtual Machine:
VM)があり、ゲスト OS からは VM が提供する仮想ハードウェアのみが見える状態とな
る。
5
•
ハイパーバイザ型(完全仮想化)
ホスト OS は存在せず、その代わりに VM がホスト OS を兼ねた専用カーネルとなる
ハイパーバイザ型のうち、ゲスト OS に対して仮想化のための修正を必要としないもの。
•
ハイパーバイザ型(準仮想化)
上述のハイパーバイザ型のうち、ゲスト OS のハードウェアに対する命令をハイパー
バイザコールに修正して実行するもの。ゲスト OS に対して専用のドライバ、あるいは仮
想化のための修正が必要となる。
ホストOS型
仮想サーバ
ハイパーバイザ型
ハイパーバイザ型
(完全仮想化)
(準仮想化)
仮想サーバ
仮想サーバ
アプリ
・・・
アプリ
・・・
管理機能
アプリ
・・・
ゲストOS
・・・
ゲストOS
・・・
管理OS
ゲストOS
・・・
VM
VM(管理機能含む)
VM
ホストOS
ハードウェア
ハードウェア
ハードウェア
図 2-2 本調査において想定するサーバ仮想化の形態
【OS の仮想化】
本調査では、図 2-3 に示すような OS の仮想化についても調査対象に含めることとする。
OS の仮想化では、メモリリソースを分割してパーティションを作成し、そこでアプリケーショ
ンを実行する。
仮想サーバ
アプリ
・・・
VM
・・・
OS
ハードウェア
図 2-3 本調査において想定する OS 仮想化の形態
6
【ストレージの仮想化】
ストレージの仮想化については、サーバ・スイッチ・ストレージの構成や、仮想化エンジンを
実装する場所(機器)の違いにより様々な形態が想定されるが、分類が複雑になってしまうこと、
また調査対象となる多くのソフトウェアが 2.2.4「大規模分散処理基盤、分散ファイルシステ
ム・DB に関する調査」との間で重複することから、ここでは想定しないこととする。
(2) システム構築にあたっての留意点
(1)で上述した仮想化のタイプ別に、システム構築にあたっての留意点を表 2-2 に示す。
表 2-2 システム構築にあたっての留意点・特徴
仮想化タイプ
ホスト OS 型
サーバ
の
仮想化
ハイパー
バイザー型
(完全仮想化)
ハイパー
バイザー型
(準仮想化)
OS の仮想化
システム構築にあたっての留意点
• 既存の OS を修正せずに仮想化できる。
•
各 VM 上の OS は独立しており、異なる OS の同時作動はで
きない。
•
OS が 2 つ介在するため、負荷は高くなる。
• ホスト OS 型と比較して負荷を抑えることができる。
• 既存の OS を修正せずに仮想化する。異なる OS を同時に利用でき
る。
• ゲスト OS からの命令を専用カーネルがインタラプトして実行するの
で、処理能力は若干遅くなる。
•
専用カーネルとの連動性向上と処理の簡素化を図ることができ
る。
•
ゲスト OS に専用ドライバ、あるいは仮想化のための修正が必
要となる。
•
ホスト OS そのものが使用されるので、ネイティブモードとほぼ
同様の稼働スピードを実現でき、オーバヘッドも少なくて済む。
•
各 VM 上の OS は独立しており、異なる OS の同時作動はで
きない
2.2.2. システム監視・管理システムに関する調査
システム監視・管理システムに関する調査では、管理対象の違いにより、調査対象のソフトウェア
を次に挙げる 3 つに分類した上で実施する。
•
物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどに対する汎用的な管
理・監視ソフト
一般に「統合監視ツール」等と呼ばれるような、汎用的な管理・監視ソフト
•
特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフト
7
2.2.1「仮想化機構に関する調査」において取り上げた調査対象のうち、特定の仮想
化ソフトのみを対象として動作する管理・監視ソフト
•
クラウドの運用・管理ソフト
動作環境や管理・監視の対象を、特にクラウドコンピューティングに関連した部分に
特化した管理・監視ソフト
2.2.3. 利用者向け認証基盤に関する調査
利用者向け認証基盤に関する調査では、調査対象のソフトウェアを次に挙げる 2 つに分類した
上で実施する。
•
シングルサインオンソフト
ユーザが一度の認証処理によって複数のコンピュータ上のリソースを利用できるよう
な機能を実現するためのソフト
•
ディレクトリサービスソフト
ネットワーク上にあるユーザ情報やリソースを記憶し、検索できるようまとめたもの(デ
ィレクトリサービス)を実現するためのソフト
2.2.4. 大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査
利用者向け認証基盤に関する調査では、調査対象のソフトウェアを次に挙げる 3 つに分類した
上で実施する。
•
分散処理基盤
複数のコンピュータやプロセッサにより、各種処理を分散して実施する「分散処理」を
実行するための基盤ソフト
•
分散ファイルシステム
実際には複数のサーバ上に分散して置かれているフォルダ群を、1 つのコンピュータ
から容易にアクセスすることを可能とするためのファイルシステム
•
分散 DB
実際には複数のサーバ上に分散して置かれているデータベースを、あたかも単一の
DB のように取り扱うことを可能とする
なお、仕様書における要求事項にしたがい、調査対象として取り上げるべき対象は OSS のみとす
る。
該当するソフトウェアとしては、Apache プロジェクトのものが多くなる可能性が高い。Apache プ
ロジェクトは、プロジェクト・サブプロジェクトといった括りとソフトウェアとの対応関係が複雑である
ことが予想されるので、調査を進めるにあたっては十分に配慮することとする。
8
2.2.5. クラウドコンピューティングシステム構築のガイドライン作成
2.2.1「仮想化機構に関する調査」から 2.2.4「大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB
に関する調査」の各調査結果をもとに、OSS によって(社内向け)クラウドコンピューティングシステ
ムを構築する場合の利点、注意点をとりまとめる。
なお、当該ガイドラインの作成にあたっては、大学等研究機関の有識者の方々や OSS をベースと
したサービスを提供している企業へのヒアリングを実施することにより、ご意見・ご指摘を頂戴し、さ
らなる精緻化を図ることとする。
9
2.3.
調査対象
2.2.1「仮想化機構に関する調査」から 2.2.4「大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB
に関する調査」の各調査における調査対象については、弊社より提出した調査候補対象案をもとに、
(独)情報処理推進機構 オープンソフトウェア・センターご担当者様、および同センター内に設置さ
れる技術ワーキンググループとご相談させていただき、最終的にそれぞれ次のとおりとした。
2.3.1. 仮想化機構に関する調査
「仮想化機構に関する調査」において調査対象としたソフトウェアは、表 2-3 に示すとおりであ
る。
表 2-3 「仮想化機構に関する調査」における調査対象ソフトウェア
開発企業/
コミュニティ名
ソフトウェア名
Sun xVM VirtualBox
Sun(→Oracle)
(→Oracle VM VirtualBox)
OSSか否か
○
KVM
Red Hat
○
Xen
Xenコミュニティ
○
VMware ESXi
VMware
×
VMware vSphere
VMware
×
Hyper-V
Microsoft
×
Citrix XenServer
Citrix
×
2.3.2. システム監視・管理システムに関する調査
(1) 物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどに対する汎用的な管理・監視
ソフト
「システム監視・管理システムに関する調査」のうち、「物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、
アプリケーションなどに対する汎用的な管理・監視ソフト」において調査対象としたソフトウェアは、
表 2-4 に示すとおりである。
10
表 2-4 「物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどに対する汎
用的な管理・監視ソフトの調査」における調査対象ソフトウェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
GroundWork Monitor
GroundWork Open
Source
○
ZABBIX
ZABBIX SIA
○
Hinemos
NTTデータ
○
Nagios
Ethan Galstad氏ら
○
Xymon
Henrik Stoerner氏ら
○
SystemWalker
富士通
×
JP1
日立製作所
×
Tivoli
IBM
×
(2) 特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフト
「システム監視・管理システムに関する調査」のうち、「特定の仮想化機構に対する管理・監視ソ
フト」において調査対象としたソフトウェアは、表 2-5 に示すとおりである。
表 2-5 「特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトの調査」における調査対象ソフトウ
ェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
virt-manager
Red Hat
○
oVirt
Red Hat
○
VMware vCenter
Server
VMware
×
Citrix Essential for
XenServer
Citrix
×
(3) クラウドの運用・管理ソフト
「システム監視・管理システムに関する調査」のうち、「クラウドの運用・管理ソフト」において調査
対象としたソフトウェアは、表 2-6 に示すとおりである。
11
表 2-6 「クラウドの運用・管理ソフトの調査」における調査対象ソフトウェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
Eucalyptus
Eucalyptus
Systems
○
Proxmox Virtual
Environment
Proxmox Server
Solution
○
ConVirt
Convirture
○
OpenNebula
マドリードコンプルテンセ
大学
○
Nimbus
シカゴ大学
○
Elastic Loadbalancer
/CloudWatch
/ Auto Scaling
Amazon
×
CloudBurst
IBM
×
2.3.3. 利用者向け認証基盤に関する調査
(1) シングルサインオンソフト
「利用者向け認証基盤に関する調査」のうち、「シングルサインオンソフト」において調査対象とし
たソフトウェアは、表 2-7 に示すとおりである。
表 2-7 「シングルサインオンソフトの調査」における調査対象ソフトウェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
OpenSSO(→OpenAM)
Sun(→ForgeRock)
○
Shibboleth
Internet2 MACE
○
Higgins
Higginsプロジェクト
○
SimpleSAMLphp
UNINETT
○
IceWall
HP
×
Windows CardSpace
Microsoft
×
(2) ディレクトリサービスソフト
「利用者向け認証基盤に関する調査」のうち、「ディレクトリサービスソフト」において調査対象と
したソフトウェアは、表 2-8 に示すとおりである。
12
表 2-8 「ディレクトリサービスソフトの調査」における調査対象ソフトウェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
OpenDS
Sun(→Oracle)
○
OpenLDAP
OpenLDAPプロジェクト
○
Active Directory
Microsoft
×
2.3.4. 大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査
(1) 分散処理基盤
「大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査」のうち、「分散処理基盤」にお
いて調査対象としたソフトウェアは、表 2-9 に示すとおりである。
Hadoop に関しては分散処理基盤と分散ファイルシステムの両機能を保有しているため、いず
れの項目にも記述する。
表 2-9 「分散処理基盤の調査」における調査対象ソフトウェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
Hadoop
Apache
○
Skynet
Adam Pisoni氏ら
○
(2) 分散ファイルシステム
「大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査」のうち、「分散ファイルシステ
ム」において調査対象としたソフトウェアは、表 2-10 に示すとおりである。
Hadoop に関しては分散処理基盤と分散ファイルシステムの両機能を保有しているため、いず
れの項目にも記述する。
表 2-10 「分散ファイルシステムの調査」における調査対象ソフトウェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
Hadoop
Apache
○
GFarm
筑波大学、
(独)産業技術総合研究所
○
13
(3) 分散 DB
「大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB に関する調査」のうち、「分散 DB」において
調査対象としたソフトウェアは、表 2-11 に示すとおりである。
表 2-11 「分散 DB の調査」における調査対象ソフトウェア
ソフトウェア名
開発企業/
コミュニティ名
OSSか否か
CouchDB
Apache
○
HBase
Apache
○
Hypertable
Hypertableプロジェクト
○
Voldmort
Project Voldmort
○
Cassandra
Apache
○
2.3.5. クラウドコンピューティングシステム構築のガイドライン作成
当該ガイドラインを作成するにあたって、OSS によって(社内向け)クラウドコンピューティングシス
テムを構築する場合の利点、注意点を中心としたご意見・ご指摘を頂戴することを目的として、大学
等研究機関の有識者や OSS をベースとしたサービスを提供している企業へのヒアリングを実施し
た。
お話を伺った方々は、表 2-12 に示すとおりである。
表 2-12 ヒアリングにご協力いただいた方々
大学名・企業名
筑波大学 大学院
ミラクル・リナックス株式会社
役職
氏名(敬称略)
システム情報工学研究科
コンピュータサイエンス専攻 教授
加藤
和彦
取締役会長
佐藤
武
児玉
崇
寺島
広大
代表取締役社長
最高経営責任者
サーバビジネス開発本部
ZABBIX 推進グループ マネージャー
日本仮想化技術株式会社
(株式会社びぎねっと)
代表取締役社長 兼 CEO
宮原
徹
株式会社イーシー・ワン
代表取締役社長
最首
英裕
オープンソース・ソリューション・テ
クノロジ株式会社
代表取締役
チーフアーキテクト
執行役員
クラウドコンサルティング担当
サイオステクノロジー株式会社
小田切 耕司
栗原
傑亨
(※ 大学名・企業名・役職は、ヒアリングにご協力いただいた時点のものである。)
14
2.4.
ソフトウェア調査の概要
各ソフトウェアの調査にあたっては、開発を担当している企業・プロジェクト・NPO 等の Web サイ
トを中心として、各種公開情報をもとに情報を収集しとりまとめた。
調査の詳細については、3 章「調査内容と基準」に示す。
なお、一部のソフトでは、開発が現在停止している等といった理由により、十分な情報が得られな
かったものもあるが、そういった場合には当該項目を「不明」としている。
15
3. 調査内容と基準
3.1.
調査項目
調査項目については、弊社より提出した調査項目案をもとに、(独)情報処理推進機構 オープン
ソフトウェア・センターご担当者様、および同センター内に設置される技術ワーキンググループとご
相談させていただき、最終的にそれぞれ次のとおりとした。
3.1.1. 非機能部分の調査
非機能部分に関する調査項目はすべての OSS に対して共通であり、基本情報、サポート、開発
の安定性、成熟度の 4 つの側面を調査した。以下、各調査項目を記す。
3.1.1.1. 基本情報
基本情報の調査では、コミュニティの有無、標準準拠状況、動作環境等の情報を収集した。表
3-1 に調査項目とその内容を示す。
表 3-1 基本情報に関する調査項目
調査項目
最新バージョン
プロジェクト Web サイト
日本語コミュニティ
機能概要
類似ソフトウェア
スクリーンショット
利用シーン
標準準拠状況
ライセンス
その他知財権に関する問題
主な開発言語
国際化対応
価格
動作環境
提供されているバイナリパッケ
ージ
説明
調査時の最新バージョン。
コミュニティ活動の中心となっている Web サイト。
日本語ユーザが中心となって活動しているコミュニティの
Web サイト。
調査対象 OSS の機能の概要。
調査対象 OSS と類似した役割を果たすソフトウェア。
(グラフィカルなユーザインタフェースが提供されている
場合、
)スクリーンショットが掲載されている Web ページ。
調査対象 OSS の典型的な活用方法。
調査対象 OSS の準拠している標準仕様。
調査対象 OSS のライセンス形態。
知財権(著作権や特許)に関する係争の有無。
ソフトウェアの開発に用いられている主要なプログラミン
グ言語。
国際化、多言語化への対応状況。
OSS は基本的に無償だが、有償版も提供されている場合に
は、その提供価格。
調査対象 OSS の動作に必要なソフトウェア・ハードウェア等
の環境
ソースコードだけでなくバイナリパッケージが提供されて
いる場合には、その種類(プラットフォーム)
。
16
3.1.1.2. サポート
サポートの調査では、ドキュメント整備状況、サポート企業、コミュニティサポートに関する情報を
収集した。表 3-2 に調査項目とその内容を示す。
表 3-2 サポートに関する調査項目
調査項目
ドキュメント整備状況
サポート企業
コミュニティサポート
説明
・日本語、英語のマニュアル(ユーザ向け、管理者向け、開
発者向け等)やよくある問い合わせ集(FAQ)の有無。
・販売されている書籍の有無(日本語、英語)
。
調査対象 OSS に関するサポートやコンサルティングを提供
している企業(海外・日本)の有無。
コミュニティの提供しているユーザ向けのメーリングリス
トや掲示板等の有無、および流量。流量は可能な限り月ごと
に集計し、バージョンアップのタイミングとともに時系列に
グラフ化した。
3.1.1.3. 開発体制の安定性
開発体制の安定性の調査では、開発チームの構成、開発方針の策定方法、開発コミュニティの
活動状況等の情報を収集した。表 3-3 に調査項目とその内容を示す。
17
表 3-3 開発体制の安定性に関する調査項目
調査項目
開発チーム
開発方針の策定方法
開発コミュニティ
説明
・調査対象 OSS の開発主体。特定の企業が主体的に開発して
いる場合には企業名と開発への参加形態を整理した。
・開発の中心となっている開発者(コア開発者数)やソース
コードレポジトリ5への反映権限を持つコミッタ数。
・開発に関与している開発者の人数。
・ユーザからの要望等を取り込み、開発計画を立てる手順(要
求仕様策定方法)が明確になっているかどうか。
・今後の開発計画(開発ロードマップ)が明確に示されてい
るかどうか。
・開発成果を普及させるためにおこなっている標準化活動の
有無。
・ソースコードレポジトリが公開されているかどうか。
・コミュニティの提供している開発者向けのメーリングリス
トや掲示板等の有無、および流量。流量は可能な限り月ごと
に集計し、バージョンアップのタイミングとともに時系列に
グラフ化した。
5
ソースコードやドキュメント等が格納されている場所のこと。ソースコードレポジトリを管理する代
表的なツールに、CVS、Subversion、Git がある。
18
3.1.1.4. 成熟度
成熟度の調査では、歴史、人気度、バグ対応等の情報を収集した。表 3-4 に調査項目とその内
容を示す。
表 3-4 成熟度に関する調査項目
調査項目
歴史
人気度
バグ対応
説明
・開発開始年。
・ソフトウェアを開発した経緯。
・現在のソフトウェアのバージョン。
・バージョンアップとマイナーリリースの頻度。
・脆弱性等が発見された時などのパッチ公開の頻度。
・直近数バージョンのうち、最もダウンロードされたバージョ
ンのダウンロード数(「最近のバージョンの最大ダウンロード
数」
)。
・初版公開から現在までののべダウンロード数。
・バグを管理するためのシステム(バグトラッキングシステム)
の有無。
・重大なバグ(クリティカルバグ)の数および修正までにかか
った日数。
・バグの総数、および、修正されたバグの割合(フィックス率)
。
・脆弱性情報がまとめられたページの有無と対応の状況。
・品質保証(QA)やテストに関する規程、リリースを判断する条
件に関する文書等の有無
19
3.1.2. 仮想化機構
仮想化機構における機能については、ライブマイグレーションなどの基本機能、および、物理マシ
ンからの仮想マシンへの移行機能などの付加機能に分けて調査をおこなった。表 3-5 に仮想化機
能および管理機能に関する調査項目とその内容を示す。なお、調査項目は、アットマーク・アイティ
記事「小中規模サーバ統合向け仮想化ソフトウェア」を参考にした。
表 3-5
仮想化機構に関する調査項目
調査項目
説明
ホスト間の仮想マシン再配置機
能
ライブマイグレーション機能
停止している仮想マシンを別のホストへ移動する機能の有
無。
実行中の仮想マシンを別のホストに無停止で移動する機能
の有無。
定型の管理作業を自動実行するスクリプトが作成・利用可能
であるかどうか。
ハイパーバイザへのパッチ適用手段がグラフィカルに適用
可能、コマンドのみ可能、の 2 段階で評価。
リモートからネットワーク経由でホストマシンや仮想マシ
ンを管理する機能の有無。グラフィカルに管理可能、コマン
ドによる管理のみ可能、管理不可、の 3 段階で評価。
既存の物理環境から仮想環境へのサーバ移行を実現する機
能の有無。
ホストに接続した USB デバイスのうち、仮想マシンから利用
可能なデバイスの種類。付加機能として評価。
既存の仮想マシンをベースに新たな仮想マシンを簡単に作
成できるように、仮想マシンをライブラリあるいはテンプレ
ートとして管理する機能の有無。付加機能として評価
仮想マシンストレージを無停止で移行する機能の有無。付加
機能として評価。
自動化可能なスクリプト
ハイパーバイザへのパッチ適用
手段
リモート管理機能
物理マシンから仮想マシンへの
移行 (Physical to Virtual)
USB デバイスのサポート
仮想マシンや仮想ハードディス
クのライブラリ管理機能
ストレージマイグレーション機
能
20
3.1.3. システム監視・管理システム
3.1.3.1. 物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどに対する汎用的な管
理・監視ソフト
汎用的な管理・監視ソフトの機能については、死活監視、リソース監視をおこなうための基本的な
機能について、情報収集機能、表示機能、異常検知・通知機能の 3 つに分けて調査をおこなった。ま
た、主要なハードウェアやソフトウェアの監視への対応やシステム全体の管理機能といった機能に
ついては、監視には必ずしも必要な機能ではないため、付加機能として調査をおこなった。
表 3-6 に基本機能に関する調査項目とその内容を、表 3-7 に付加機能に関する調査項目とそ
の内容を示す。
表 3-6 汎用的な管理・監視ソフトの基本機能に関する調査項目
調査項目
情報収集機能
リソース監視
仮想マシン監視
ネットワーク監視
SNMP 監視
設定方法
データ保存形式
表示機能
表示インタフェース
障害履歴機能
グラフ表示機能
マップ表示機能
異常検知・通知機能
異常検知・設定方法
通知方法・対処方法
説明
リソース監視、ネットワーク監視、設定方法等について細分
化して整理した。
CPU 負荷状況、メモリ使用状況、ディスク使用状況等の監視
機能の有無。
仮想マシン特有の監視項目を含めた仮想マシンの監視への
対応の有無。
ネットワーク使用状況、プロセス監視、ポート監視等の監視
機能の有無。
SNMP 監視機能の有無。
情報収集の項目の設定方法。
Web ブラウザ・専門クライアント、Web ブラウザ・専用クラ
イアントとテキストエディタ併用、テキストエディタの 3
形式により評価。
収集したデータの保存形式。
RRDtool や RDBMS 等のデータベース、テキストファイルの 2
形式により評価。
表示インタフェース、障害履歴機能、グラフ表示機能、マッ
プ表示機能の 4 項目に細分化して整理した。
表示インタフェースについて、専用クライアント・Web ブラ
ウザ、テキストエディタ・CUI の 2 形式で評価。
障害履歴を表示可能であるかどうか。
収集したデータに対してグラフ表示する機能の有無。
ネットワークマップの表示・作成機能の有無。
異常検知・通知の設定方法、通知・対象方法について整理し
た。
異常検知の閾値等の設定方法。
Web ブラウザ・専用クライアント、Web ブラウザ・専用クラ
イアントとテキストエディタ併用、テキストエディタの 3
形式により評価。
異常検知した場合の通知方法の有無。
21
表 3-7
汎用的な管理・監視ソフトの付加機能に関する調査項目
調査項目
説明
ハードウェア監視(機能、設定) 電源、ファン等のハードウェアレベルでの監視機能、および
主要ハードウェアへの設定オプションの有無。
主要アプリケーション監視(機 主要なアプリケーションの管理、およびアプリケーションプ
能、設定)
ロセスの監視機能の有無。
ジョブ管理
ジョブ管理機能の有無。
資産・配布管理
資産・配布管理機能の有無。
セキュリティ管理
ファイル暗号化機能、アクセス制御、ログ管理等のセキュリ
ティ管理機能の有無。
ストレージ管理(バックアップ機 ストレージ運用、バックアップ運用の管理機能の有無。
能)
IPv6 対応
IPv6 への対応の有無。
22
3.1.3.2. 特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフト
特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトの機能については、仮想マシンの作成機能などの
基本機能について調査をおこなった。また、主要なハードウェア監視機能などについては、監視には
必ずしも必要な機能ではないため、付加機能として調査をおこなった。表 3-8 に調査項目とその内
容を示す。
表 3-8
特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトに関する調査項目
調査項目
説明
仮想マシンの作成機能
仮想マシンの操作機能
リソース監視
仮想マシンを作成する機能の有無。
仮想マシンを操作する機能の有無。
CPU 負荷状況、メモリ使用状況、ディスク使用状況等の監視
機能の有無。
仮想マシン監視
仮想マシン特有の監視項目を含めた仮想マシンの監視への
対応の有無。
SNMP 監視
SNMP 監視機能の有無。
設定方法
情報収集の項目の設定方法。
Web ブラウザ・専用クライアント、Web ブラウザ・専用クラ
イアントとテキストエディタ併用、テキストエディタの 3
形式により評価。
表示機能
表示インタフェース、障害履歴機能、グラフ表示機能、マッ
プ表示機能の 4 項目に細分化して整理した。
表示インタフェース
表示インタフェースについて、専用クライアント・Web ブラ
ウザ、テキストエディタ・CUI の 2 形式で評価。
グラフ表示機能
収集したデータに対してグラフ表示する機能の有無。
マップ表示機能
ネットワークマップの表示・作成機能の有無。
ハードウェア監視(機能、設定) 電源、ファン等のハードウェアレベルでの監視機能、および
主要ハードウェアへの設定オプションの有無。付加機能とし
て評価。
セキュリティ管理
ファイル暗号化機能、アクセス制御、ログ管理等のセキュリ
ティ管理機能の有無。付加機能として評価。
ストレージ管理(バックアップ機 ストレージ運用、バックアップ運用の管理機能の有無。付加
能)
機能として評価。
IPv6 対応
IPv6 への対応の有無。付加機能として評価。
3.1.3.3. クラウドの運用・管理ソフト
クラウドの運用・管理ソフトの機能については、クラウドリソースの管理・監視機能、管理コンソー
ル、対応仮想化機構等について調査をおこなった。クラウドコンピューティング環境を管理するため
の基本的な機能であるクラウドリソースの管理・監視機能については細分化して調査をおこなった。
さらに、クラウドコンピューティング環境において、より高度な管理、処理をおこなう際に必要とされる
23
付加機能について調査をおこなった。表 3-9 にクラウドの運営・管理ソフトの機能に関する調査項
目とその内容を示す。
表 3-9
クラウドの運用・管理ソフトの機能に関する調査項目
調査項目
クラウドリソースの管理監視
ネットワークの設定
クラウド環境のリソース管理
VM インスタンスのリソース監視
仮想マシン管理(起動、停止、ジ
ョブ実行等)
バックアップ機能
管理コンソール
対応仮想化機構
ライブマイグレーション機能の
サポート
オートスケーリング機能、自動プ
ロビジョニング機能
トラフィック分散機能
説明
クラウドコンピューティング環境を構築し、管理・運用する
ための基本機能。
ネットワークの設定、クラウド環境のリソース管理、VM イ
ンスタンスのリソース監視、仮想マシン管理、バックアップ
機能の 5 項目に細分化して整理した。
仮想マシンのプライベートネットワークの設定、VLAN の設
定が可能かどうか。
クラウド環境全体のリソースを管理し、VM インスタンスへ
のリソース割り振りをおこなう機能の有無。
(プロビジョニ
ング機能)
起動した各 VM インスタンスの CPU 使用率、メモリ使用量等
を監視する機能。(モニタリング機能)
グラフィカルに表示可能、コマンドによる取得のみ可能、取
得不可、の 3 段階で評価。
VM インスタンスの起動・停止・ジョブ実行等をおこなう機
能の有無。
仮想マシンのバックアップ機能の有無。スナップショット機
能や独自のバックアップ機能等。
管理コンソールについて、Web ブラウザベースのインタフェ
ース、Web ブラウザ・CUI 併用、CUI の 3 形式で評価。
対応している仮想化機構。
KVM、Xen に対応しているかどうか、KVM、Xen に加えて VMware
にも対応しているかどうか、という観点で評価。
仮想化機構のライブマイグレーション機能を管理ソフトと
して実行可能となるようサポートしているかどうか。
付加機能として評価。
インスタンスの負荷状況等に応じて、自動で仮想マシンを増
減する機能、あるいは自動でリソース割り当てをおこなう機
能の有無。
付加機能として評価。
仮想マシンのトラフィックを分散させる機能。
付加機能として評価。
24
3.1.4. 利用者向け認証基盤
3.1.4.1. シングルサインオンソフト
シングルサインオンの機能については、利用者向け認証基盤を構築する際に必要となる認証機
能、シングルサインオン機能、アクセス制御・認可機能等について調査をおこなった。また、現在はあ
まり利用されていないが、今後クラウドコンピューティング環境の利用が進み、複数の異なる環境の
システムの運用が必要となる場合に、重要となってくる機能について、付加機能として調査をおこな
った。表 3-10 に基本機能に関する調査項目とその内容を、表 3-11 に付加機能に関する調査項
目とその内容を示す。
表 3-10
シングルサインオンソフトの基本機能に関する調査項目
調査項目
認証機能
シングルサインオン機能
シングルサインオンのタイプ
代理認証
フェデレーション対応プロトコ
ル
アクセス制御・認可機能
管理インタフェース
ログ管理
アカウント管理機能
ディレクトリサービス
説明
認証機能について、ID/パスワード認証以外の認証方式につ
いても対応しているかどうかを評価。
シングルサインオンのタイプと代理認証によるシングルサ
インオン機能に細分化して調査をおこなった。
シングルサインオンの方式として、リバースプロキシ型、エ
ージェント型が可能かどうか。
両方可能、一方のみ可能の 2 段階で評価。
独自の認証機構を持つアプリケーションに対して代理認証
によりシングルサインオンをする機能の有無。
フェデレーションでサポートしているプロトコル。
認証システムでデファクトスタンダードとなりつつある
SAML を含めた複数のプロトコルに対応しているか、いずれ
かのプロトコルに対応しているか、独自プロトコルか、とい
う観点で評価。
ファイルやフォルダ、アプリケーション等へのアクセスを制
御する機能の有無。
管理インタフェースについて、Web ブラウザ、CLI の 2 形式
により評価。
エラーログ、操作ログ等のログを出力する機能の有無。
ユーザやグループを管理する機能の有無。
対応しているディレクトリサービス。
RDB、LDAP 両方に対応、一方に対応、独自ディレクトリ、と
いう 3 段階で評価。
25
表 3-11
シングルサインオンソフトの付加機能に関する調査項目
調査項目
説明
多要素認証
マルチプロトコル間シングルサ
インオン機能
ID プロビジョニング機能
多要素認証に対応しているかどうか。
異なるプロトコルを利用するシステム間でのシングルサイ
ンオンが可能かどうか。
所有するユーザアカウント情報を他システムと同期・連携す
る機能の有無。
3.1.4.2. ディレクトリサービスソフト
ディレクトリサービスソフトの機能については、認証基盤のデータストアとして利用することを想定
し、アクセス制御、レプリケーション、バックアップ機能等の項目について調査をおこなった。ポリシー
管理や証明書管理といった LDAP の拡張機能については付加機能として調査をおこなった。表
3-12 に機能に関する調査項目とその内容を示す。
表 3-12
ディレクトリサービスソフトの機能に関する調査項目
調査項目
LDAPv3
アクセス制御
レプリケーション
通信経路の暗号化
管理インタフェース
バックアップ機能
ユーザ認証
証明書管理
ポリシー管理
IPv6 対応
説明
LDAPv3 に準拠しているかどうか。
ユーザの属性に基づいたアクセス制御をおこなう機能の有
無。
レプリケーションの方式。
シングルマスタレプリケーション、マルチマスタレプリケー
ション両方に対応しているか、一方のみか、という観点から
評価。
SSL による暗号化通信機能の有無。
管理インタフェースについて、Web ブラウザ、CLI の 2 形式
により評価。
バックアップ機能の有無。
認証機能について、ID/パスワード認証以外の認証方式につ
いても対応しているかどうかを評価。
電子証明書の配布や管理をおこなう機能の有無。
グループ単位で、コンピュータ等の設定を管理する機能の有
無。
IPv6 への対応の有無。
26
3.1.5. 大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB
分散処理基盤、分散ファイルシステム、分散 DB、の 3 項目に分けて記述する。Hadoop に関して
は分散処理基盤と分散ファイルシステムの両機能を保有しているため、いずれの項目にも記述す
る。
3.1.5.1. 分散処理基盤
分散して保存されたデータに対し、大規模な計算を実施するソフトにおいて、失敗したタスクの再
実行機能、単一障害点の有無等の基本機能について調査をおこなった。また、最適タスク割り当て
機能やデータの圧縮機能等の付加機能についても調査をおこなった。これらの調査項目を表
3-13 に示す。
表 3-13
分散処理基盤の機能に関する調査項目
調査項目
タスク分散機能
タスク指定方法
失敗したタスクの再実行機能
単一障害点の有無
サポートしているメッセージキ
ューシステム
メモリ管理機能
計算ノード数の指定機能
状況と診断情報のジョブクライ
アント通知機能
最適タスク割り当て機能
データの圧縮機能
説明
タスクを分散させて並列に計算させる機能の有無。
タスク指定を、グラフィカルに操作可能、コマンドによる操
作のみ可能、の 2 段階で評価。
タスクを割り当てられたノードが障害を起こした場合に、そ
のタスクを別ノードで再実行する機能の有無。
ただ 1 つのノードが障害を起こしただけで、全体のタスクを
継続できなくなる可能性の有無。
利用可能なメッセージキューの種類。
タスクをおこなうプロセスの仮想メモリの上限を指定する
機能の有無。
タスクをおこなうノードの数を指定する機能の有無。
タスクの実行状況をクライアントに通知する機能の有無。付
加機能として評価。
タスクをデータの近くに割り当てることにより、ネットワー
クのデータ転送量を抑え、効率的な計算をおこなう機能の有
無。付加機能として評価。
計算に利用するデータおよび計算結果のデータを圧縮する
機能の有無。付加機能として評価。
3.1.5.2. 分散ファイルシステム
ファイルの作成と削除やディレクトリ間でのファイルの移動等の基本機能について調査をおこな
った。また、複数存在する複製から適切な複製を選択する機能等の付加機能についても調査をおこ
なった。これらの調査項目を表 3-14 に示す。
27
表 3-14
分散ファイルシステムの機能に関する調査項目
調査項目
ファイルの操作
単一障害点の有無
破損データ検出および復元機能
複製選択機能
複製数の指定機能
アクセス制御機能
Hadoop MapReduce のサポート
ソフトリンク機能
説明
ファイルの作成や削除、ディレクトリ間でのファイルの移動
等を、グラフィカルに操作可能、コマンドによる操作のみ可
能、の 2 段階で評価。
ただ 1 つのノードが障害を起こしただけで、全体のタスクを
継続できなくなる可能性の有無。
複製されたデータの破損を検知し、別に保存してある完全な
複製を利用して復元する機能の有無。
データの複製が物理的に離れた複数個所に存在する場合、最
寄りのノードを選択してアクセスする機能の有無。
データの重要度に応じて複製数を指定できる機能の有無。
データにアクセスできるユーザを制限する機能の有無。付加
機能として評価。
Hadoop MapReduce をサポートしているかどうか。付加機能
として評価。
ソフトリンクを実現する機能の有無。付加機能として評価。
28
3.1.5.3. 分散 DB
単一障害点の有無や並行性制御の仕組み等の基本機能について調査をおこなった。また、マル
チ・データセンターのサポート等の付加機能について調査をおこなった。これらの調査項目を表
3-15 に示す。
表 3-15
分散 DB の機能に関する調査項目
調査項目
説明
ストレージシステム
データモデル
利用しているロックサービス
単一障害点の有無
前提とするストレージシステムの種類。
データの保存形式の種類。
分散ロックをおこなうサービスを利用している場合、その名称。
ただ 1 つのノードが障害を起こしただけで、全体のタスクを継
続できなくなる可能性の有無。
複数のユーザから同時に処理要求がおこわれた際の処理方法。
CAP の定理(整合性・可用性・ネットワーク分断への耐性の 3
つの要素のうち、2 つまでしか同時に実現できない)に基づき、
どれを重要視しているか。
実現する整合性の強さ。
分散 DB を操作するプロトコル。
複数のデータセンターが存在することを考慮した上で、最適な
複製保存方法を決定しているかどうか。
整合性と可用性の調整をおこなう機能の有無。付加機能として
評価。
Hadoop MapReduce をサポートしているかどうか。付加機能とし
て評価。
並行性制御
整合性・可用性・ネットワー
ク分断への耐性のどれを重要
視しているか
実現する整合性の性質
クライアントプロトコル
マルチ・データセンターのサ
ポート
整合性と可用性のトレードオ
フの調整機能
Hadoop MapReduce のサポート
3.2.
ソフトウェア評価基準
評価対象に選定された各 OSS は、以下の基準にしたがって 5 段階(★〜★★★★★)で評価し
た。本節では評価基準について詳細に述べる。
評価は調査項目同様、「基本情報」、「サポート」、「開発の安定性」、「成熟度」、「機能」の 5 つの
側面から実施した。各側面は 3〜10 個程度の評価項目から構成されている。各評価項目に対して
1 点〜3 点で評価(おおむね 2 点が合格点)し、評価項目の平均点が各側面の平均点となる。
★の数は、原則として「1〜1.4 点=★」、「1.4〜1.8 点=★★」、・・・、「2.6〜3 点=★★★★★」
とした。
なお、「機能」以外の項目はすべての OSS に共通の評価項目であり、「機能」はソフトウェアの種
別(作業項目(1)〜(4))によって異なる評価項目である。
評価基準の一覧を表 3-16 に示す。「機能」以外の評価基準は、OSS の成熟度を評価する手法
である QualiPSo Open Source Maturity Model (OMM)6 や Qualification and Selection
6
http://www.qualipso.org/
29
of Open Source Software (QSOS)7、Business Readines Rating for Open Source8 等を参
考にした。また、独立行政法人情報処理推進機構が実施した「OSS オフィスアプリケーションのカタ
ログ作成」における評価基準9も参考にした。以下、各側面および評価項目について述べる。
表 3-16 ソフトウェア評価基準
評価側面
評価項目
日本語コミュニティ
基本情報
(3.2.1.)
標準準拠状況
国際化対応
主要な開発言語
動作環境
サポート
(3.2.2.)
ドキュメント整備状況
サポート企業
コミュニティサポート
開発主体
開発の安定性
(3.2.3.)
開発者数
要求仕様策定方法
開発ロードマップ
開発コミュニティ
歴史
成熟度
(3.2.4.)
人気度
バグ対応
脆弱性対応
QA、テスト規定、リリース条件
機能
(3.2.5.)
(ソフトウェア分類によって異なる)
3.2.1. 基本情報
まず、動作環境や開発言語、標準準拠状況、国際化対応状況など、評価対象 OSS の導入を検
討する時、はじめに確認すべき項目を評価する。
7
8
9
http://www.qsos.org/
http://www.openbrr.org/
http://www.ipa.go.jp/software/open/ossc/2007seika.html
30
3.2.1.1. 日本語コミュニティ
日本語コミュニティは、導入前の情報収集や導入時の課題解決に役立つ可能性が高い。コミュ
ニティの質(活発に活動しているかどうか、等)は「サポート」等で評価するため、ここでは日本語コ
ミュニティの有無のみを評価する。
3 点:日本語コミュニティが存在する
1 点:日本語コミュニティが存在しない
3.2.1.2. 標準準拠状況
たとえ評価対象 OSS が優れていたとしても、その分野の標準仕様を無視した独自実装の場合に
は、他のシステムとの連携が複雑になったり、次のシステムへの移行が困難になってしまったりする
可能性が高い。そこで、当該分野の標準的な仕様に対応しているかどうかを評価する。なお、「標準
的な仕様」とは、原則として標準化団体や業界団体等が定めた仕様のことであるが、クラウドコンピ
ュ ー テ ィ ン グ 分 野 は 歴 史 が 浅 い こ と も あ り 、 Amazon の API (Application Programme
Interface)のようなデファクトスタンダードも認めることとする。
3 点:各ソフトウェア分野の標準的な仕様に対応している
1 点:独自の仕様を定めている
3.2.1.3. 国際化対応
本調査での評価対象 OSS は直接エンドユーザが触れるものではなく、開発者やシステム管理
者のみが利用するソフトウェアである。そのため、必ずしも日本語化がなされている必要はないが、
円滑に導入や設定を進めるためにも日本語版が用意されていることが望ましい。日本語版の提供
形態としては、本家のコミュニティが提供している以外に、日本語コミュニティ(日本ユーザ会)や日
本の個人開発者等が独自に提供している場合がある。後者の場合には日本語対応にタイムラグが
あったり対応が滞ったりする可能性があるため、やや点数は下がる。
なお、本来は日本語対応状況だけでなく国際化対応状況も評価すべきであるが、国際化してい
るかどうかは Web サイトの情報のみでは判別が困難な部分もあるため、評価対象外とした。
なお、国際化している場合には、日本語版の作成には日本語リソースを用意するだけでよい。一
方、国際化していない場合には、バイナリにパッチを当てたり、ソースコードを改変したりする必要が
あり、日本語版作成には相当の工数が必要となる。
3 点:日本語版が公式に用意されている
2 点:日本語コミュニティ等によって非公式に日本語版が用意されている
1 点:日本語版はない
3.2.1.4. 主要な開発言語
評価対象 OSS を単純に使うだけであれば、開発言語の種類は評価とは無関係である。しかし、
自社の要件に適合させるために拡張機能(プラグイン)を独自に開発することは十分ありうる。また、
31
ソースコードに手を加えるようなカスタマイズを実施したり、バグを発見・修正したりすることもあろう。
このような作業の実施にあたっては、開発者の確保を容易・安価にするために一般的な開発言語を
使って開発されていることが望ましい。
なお、特殊な開発言語を用いている場合であっても、カスタマイズ等をおこなわなければ特段問
題は発生しないため、2 点を与えるものとする。
3 点:PHP や Java、C 言語など一般的に利用されている言語を使って開発されている
2 点:特殊な開発言語を使っている
3.2.1.5. 動作環境
評価対象 OSS は多くの環境で動作することが望ましいが、一般的には多様な環境に対応させる
ためには移植の工数が必要である。したがって、主要なサーバ OS に対応している場合には 2 点、
より多くの環境にも対応している場合には 3 点とした。
なお、Java やスクリプト言語(PHP、Python 等)の場合には実行エンジンが多くのプラットフォー
ムに対応しているため、3 点とした。
3 点:主要なサーバ OS (Linux、Windows)だけでなく多様な OS に対応している
2 点:OS は主要なサーバ OS に限られている
1 点:OS は一部の主要なサーバ OS に限られている
3.2.2. サポート
OSS はソースコードが公開され自由に手に入れられるが、実際に導入する過程では問題点や疑
問点が発生することが通常であり、これらを支援してくれる仕組みがあることが望まれる。具体的に
は、関連ドキュメントやコミュニティベースのサポート、有償の企業サポートが挙げられる。
3.2.2.1. ドキュメント整備状況
ドキュメントは導入や開発の際に必要とされるが、特に開発開始間もない OSS の場合にはドキュ
メントの準備が後回しとなりがちである。また、英語版ドキュメントのみが提供され、日本語への翻訳
はおこなわれていないことも多い。したがって、ドキュメントが提供されているか、最新版に対応して
いるか、日本語版が提供されているか、という観点で評価する。さらに、利用者が多くなると市販書
籍が刊行されるようになる。書籍がある場合には最高点の 3 点を与える。
3 点:日本語・英語版ともドキュメントが提供され、日本語または英語の書籍も発刊されて
いる
2.5 点:日本語・英語版ともにドキュメントが提供されている
2 点:日本語・英語版ともにドキュメントが提供されているが、最新版には対応していな
い、または充実していない
1.5 点:英語版のドキュメントは提供されている
1 点:ドキュメントは提供されていない
32
3.2.2.2. サポート企業
OSS は無償で誰でも自由に利用することができるが、ユーザ企業にとっては技術的な面から導
入が難しいこともある。そのため、有償で技術的なサポートや導入コンサルティングといったサービ
スを提供する企業がある。特定の企業が中心となって調査対象 OSS が開発されている場合には、
その企業がサポートサービスを提供しているが、利用者数が多くなるにつれて市場が大きくなり、複
数の企業がサービスを提供するようになる。日本企業にとっては言語・商習慣等の面から日本企業
によるサポートが期待されるところであるため、日本企業がサポートを提供している場合には最高
点の 3 点を与える。
3 点:複数の企業がサポートを提供し、さらに日本企業向けに日本企業がサポートを提供
している
2 点:複数の企業がサポートを提供している
1.5 点:開発元の企業のみがサポートを提供している
1 点:企業によるサポートは提供されていない
3.2.2.3. コミュニティサポート
候補対象 OSS の検討や導入時に疑問や問題が発生した時、相談相手となるのがコミュニティで
ある。コミュニティはその OSS に興味を持つ人々の集まりであるため、企業サポートと異なり必ずし
も適切な返信が得られるとは限らないが、コミュニティが活発なほど有用な返信や過去のやり取り
が得られ、問題解決に役立つ。したがって、ユーザ向けの掲示板やメーリングリスト等の活発度を評
価する。
なお、活発であるかどうかを判断する閾値は曖昧であるが、一日数通以上(月間 100 通前後)の
投稿が一つの目安となる。また、採点にあたっては投稿数の傾向(増加傾向にあるか減少傾向にあ
るか)も加味する。
3 点:ユーザサポート用の掲示板またはメーリングリストが提供され、活発に利用されてい
る
2 点:ユーザサポート用の掲示板またはメーリングリストが提供されているが、あまり活発
ではない
1 点:ユーザサポート用の掲示板またはメーリングリストが提供されていない、または、提
供されているがほとんど利用されていない
3.2.3. 開発の安定性
ソフトウェアは導入後、短くとも数年間は利用し続ける。したがって、その間ソフトウェアの開発が
継続し、バグ修正や機能追加等がなされなくてはならない。数年後まで開発が継続するかどうかは
誰も予測できないため、現在の体制・状況から安定性を判断する。
33
3.2.3.1. 開発主体
開発の中心が数人以下の個人である場合には、体調や家庭の都合など何らかの個人の都合に
よって開発が停滞・休止されてしまうことがある。したがって、開発主体の規模は大きいほど望まし
い。また、一般的には中小企業よりも大企業が開発に関与している方が安定していると考えられる。
3 点:大企業または組織化されたコミュニティによって開発されている
2 点:中小企業またはある程度の規模のコミュニティによって開発されている
1 点:個人または数人のコミュニティによって開発されている
3.2.3.2. 開発者数
コアメンバー(主要開発者)が開発に時間を割けなくなった場合や、主要開発企業が開発から撤
退した場合、通常のソフトウェアでは開発が終了してしまうが、OSS の場合には別の開発者や企業
が開発を引き継ぐことができる。したがって、コアメンバー以外の多くの開発者が開発に関わってい
ることが望まれる。
3 点:コアメンバー以外に外部から多くの開発者が開発に参加している
2 点:閉じたコミュニティまたは企業による開発であり、外部からの開発参加は少ない
1 点:開発者は 1 人〜3 人程度
3.2.3.3. 要求仕様策定方法
機能追加要望やバグ修正要望など、ユーザからの声を取り入れ、また、その結果を開発に反映さ
れていくプロセスが明確になっているかどうかを評価する。これらが明確であれば、開発主体による
独善的な開発ではなくユーザの声を活かしたソフトウェアになっていくことが期待できる。
3 点:ユーザ等からの要望を集積する場所が用意され、また、要望を反映させる基準が明
確になっている
2 点:ユーザ等からの要望を集積する場所が用意されているが、要望を反映させる基準
は明確ではない
1 点:ユーザ等からの要望を集積する場所はない
3.2.3.4. 開発ロードマップ
企業において数年間にわたって利用していくことを考えていくと、そのソフトウェアの将来の姿を
把握しておくことは重要である。機能の追加を求めるソフトウェアもあれば、安定性の追求を求める
ソフトウェアもあろう。今後の開発方針(ロードマップ)が公開されているかどうかがこれらの情報を
得る基準の一つとなる。
3 点:詳細な開発ロードマップが示されている
2 点:おおまかな開発の方向性が示されている
1 点:開発ロードマップは示されていない
34
3.2.3.5. 開発コミュニティ
開発者用の掲示板やメーリングリストの活発度は、コアメンバーだけでなく多くの開発者が活動
し、意見を出し合っているかどうかを測る指標となる。活発であるほどオープンに開発が進められて
いるとみなせる。なお、活発とみなすかどうかの閾値は、「コミュニティサポート」と同様、一日数通以
上(月間 100 通前後)の投稿が一つの目安となる。
3 点:開発用の掲示板やメーリングリストが提供され、活発に活動している
2 点:開発用の掲示板やメーリングリストが提供されているが、あまり活発ではない
1 点:開発用の掲示板やメーリングリストが提供されていない、または、提供されているが
ほとんど利用されていない
3.2.4. 成熟度
企業で利用するソフトウェアは、機能の豊富さ以上に安定して動作することが求められる。バグ
が十分に少なく安心して利用できるかどうかの指標として、開発期間(歴史)、利用者数(人気度)、
バグ修正状況等を評価する。
3.2.4.1. 歴史
一般的に長期間開発が継続するほどバグが発見・修正され、ソフトウェアの安定性は増す。そこ
で、成熟度を評価する第 1 の指標として開発期間(歴史)を調査する。なお、以下において「継続的」
とは、メジャー/マイナーリリースが数カ月〜1 年に 1 回程度おこなわれ、メインテナンスされている
と考えられる状態のことを表す。
3 点:長期にわたって継続的に開発が進められている
2.5 点:最近 2〜3 年程度は継続的に開発が進められている
2 点:開発は始まったばかりである
1 点:最近 1 年以上、開発が停滞している
3.2.4.2. 人気度
利用者が多いソフトウェアは安心して利用できる証でもあり、また、バグが潰されていると考える
ことができる。そこで、人気度(ダウンロード数)を調査する。
3 点:ダウンロード数が多い(おおむね 1 バージョンあたり 10,000 以上)、または、主要な
ディストリビューションに含まれている
2 点:一定のダウンロード数がある(おおむね 1,000 以上)
1 点:ダウンロード数は少ない
3.2.4.3. バグ対応
OSS コミュニティでは、発見したバグを投稿し、バグの修正状況を公開していることが多く、利用
35
者がバグの状況を把握することができる。バグ情報は通常バグトラッキングシステム(BTS)と呼ば
れるシステムで管理されており、BTS が公開されているかどうか、また、積極的に活用されているか
どうかを評価する。「ある程度」と「積極的」の境界は曖昧であり、ソフトウェアの規模によっても異な
るが、月に数件程度を「ある程度」、毎日のように更新されている状況を「積極的」とした。
3 点:バグトラッキングシステムが公開され、積極的に活用されている
2 点:バグトラッキングシステムが公開され、ある程度活用されている
1 点:バグトラッキングシステムは公開されていない、または、公開されているがほとんど
利用されていない
3.2.4.4. 脆弱性対応
脆弱性・セキュリティの問題は企業ユースでは重要なポイントである。脆弱性が発見された場合、
マイナーリリースで対応することが多く、大多数のソフトウェアにおいては十分な対応である。さらに、
即座に対応する体制が整っている場合には 3 点とする。
3 点:脆弱性情報が公開され、適切に対応されている
2.5 点:脆弱性情報は公開されていないが、適宜マイナーリリースをおこない、バグ修正を
おこなっている。
1 点:脆弱性情報は公開されず、またマイナーリリースの頻度も少ない
3.2.4.5. QA、テスト規定、リリース条件
品質保証 (QA)、テスト規定、リリース条件のような基準類の明文化は、一般的に OSS コミュニ
ティの弱い部分である。ただし、企業が中心となって開発を進めている場合には、基準類が公開さ
れていなくとも社内で保持している可能性が高い。また、コミュニティに「品質保証チーム」がある場
合にも、同様にコミュニティ内で基準を議論し、定めていると考えられる。そこで、これらの場合には
2.5 点を与えることにした。
3 点:QA、テスト規定、リリース条件が文書で規定され、公開されている
2.5 点:QA、テスト規定、リリース条件は公開されていないが、当該 OSS が企業の製品の
一部としてもリリースされており、何らかの規定があることが推察される。もしくはコミュニ
ティに「品質保持チーム」のような組織が存在する。
1 点:QA、テスト規定、リリース条件は公開されていない
3.2.5. 機能
基本機能については、機能の有無により評価できる項目については、その機能の有無により 3 点
あるいは 1 点を与え、不完全ではあるが一部対応している場合には 2 点を与えた。3 段階で評価す
る項目についてはそれぞれ 3、2、1 点、2 段階で評価する項目についてはそれぞれ 3、1 点を与えた。
管理インタフェースについては、Web ブラウザ・専用クライアントを 3 点、テキストエディタ・CUI を 1
点、併用を 2 点とした。
36
付加機能については、必ずしも必要となる機能ではないという位置づけであるため、機能がある
場合には 3 点を与え、ない場合にも 2 点を与えた。また、不完全ではあるが一部対応している場合
には 2.5 点を与えた。
37
4. 調査結果
本章では、作業項目(1)〜(4)に関する各調査結果を示す。
なお、作業項目(5)の成果物である「クラウドコンピューティングシステム構築のガイドライン」につ
いては、本調査報告書の付録 1 を参照されたい。
4.1.
調査結果の概要
社内向けクラウドを構築する際には上位の評価を得た OSS から選択していくことが基本だが、環
境や特殊な機能等によっては下位の評価を得た OSS から選択することもありうる。
仮想化機構、汎用的な管理・監視システム、シングルサインオン、ディレクトリサービスに関しては、
既に十分な機能と成熟度を持った OSS が存在し、社内向けのシステムとしても各所で活用された
実績がある。一方、特定の仮想化機構に対する管理・監視システム、クラウド管理機能や大規模分
散処理基盤は比較的最近出現してきた技術・ソフトウェアであるが、大企業や大規模コミュニティ
によって活発に開発されているため、評価結果は比較的高い。ただし、これらのソフトウェアを利用
している企業は多くあるものの先進的な技術であるため、これらのソフトウェアを活用する際には、
十分な構築経験と技術力を持つ SI 企業に依頼するなど工夫することが望ましい。
38
4.2.
調査結果
4.2.1. 仮想化機構
(1) OSSの評価結果
仮想化機構に関する OSS の評価結果を表 4-1 および図 4-1 に示す。機能面ではほぼ横並び
の状態である。KVM は Linux カーネルに標準搭載され、より一層利用者が増加すると考えられる。
VirtualBox についても 600 万件以上のダウンロード実績があり、利用者は多い。
表 4-1 仮想化機能の評価結果
基本情報
VirtualBox
KVM
Xen
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★★★ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★☆
★★★☆☆ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★☆
★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★☆
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
1.0
VirtualBox
KVM
Xen
成熟度
開発の安定性
図 4-1
仮想化機構の評価結果
(2) 商用ソフトウェアとの機能比較
仮想化機構に関する OSS と商用ソフトウェアの機能面での比較結果を表 4-2 に示す。基本機能
については、OSS と商用ソフトウェアに大きな差はない。商用ソフトのみが持つ付加機能についても、
OSS が追随して実装する可能性も十分に考えられる。
39
表 4-2
仮想化機構の機能の比較
Oracle
Window
Xen
KVM
VM
VMware
Citrix
s Server
VMware
VirtualB
vSpher
XenSer
VirtualB
Hyper-V
2008
ESXi
ox
ox 有償
e
ver
Hyper-V
版
基本機能
ホスト間の仮
想マシン再配
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
△
△
○
○
○
○
△
○
○
△
△
×
○
○
○
○
○
○
物理マシンか
△
△
ら VM への移
外部ソフ
外部ソフ
○
×
×
○
行 (P2V)
トウェア
トウェア
○
○
×
○
×
×
×
×
○
×
×
×
○
×
○
×
○
×
×
×
×
×
×
○
×
×
×
置機能
ライブマイグレ
ーション機能
自動化可能な
スクリプト
ハイパーバイ
ザへのパッチ
適用手段
リモート管理
付加機能
△
○
○
外部ソフ
トウェア
USB デバイス
のサポート
仮想マシンや
仮想ハードデ
ィスクのライブ
ラリ管理機能
ストレージライ
ブマイグレー
ション
40
4.2.2. システム監視・管理システム
4.2.2.1. 物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどに対する汎用的な管
理・監視ソフト
(1) OSSの評価結果
汎用的な管理・監視に関する OSS の評価結果を表 4-3 および図 4-2 に示す。ZABBIX および
Nagios が高い評価となった。機能面ではいずれの OSS も大きな差異はないが、サポートおよび開
発の安定性の面で ZABBIX および Nagios は他の OSS よりも優れている。ただし、ZABBIX およ
び Nagios も開発の安定性に関する評価は他の項目よりも低く、今後の課題として挙げられる。
表 4-3 汎用的な監視・管理ソフトの評価結果
基本情報
ZABBIX
Nagios
GroundWork
Monitor
Hinemos
Xymon
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★★★ ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★
★★★★★ ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★☆
★★★★★ ★★★★★ ★★☆☆☆ ★★★★☆ ★★★★★
★★★★★ ★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆
★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★★★☆
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
1.0
成熟度
ZABBIX
Nagios
GroundWork Monitor
Hinemos
Xymon
開発の安定性
図 4-2 汎用的な監視・管理ソフトの評価結果
(2) 商用ソフトウェアとの比較結果
汎用的な管理・監視に関する OSS と商用ソフトウェアの機能面での比較結果を表 4-4 および表
4-5 に示す。死活監視・リソース監視といった基本的な監視のための機能に関しては、ZABBIX、
41
Nagios、GroundWork Monitor については商用ソフトと同等の機能を有しており、商用との差異
はほとんどない。ただし、クラウドコンピューティング環境で利用する場合の仮想マシンの監視への
対応に関しては、OSS では有償オプションであったり専門知識が必要とされる設定が必要であっ
たりする場合も多いため、注意が必要である。
一方、システムを管理するための機能を中心とした付加機能については、商用ソフトと OSS の差
異が出る部分となっている。クラウドコンピューティング環境ではクラウドの運営・管理ソフトで代用
できる機能も一部あることを考慮した上で、システムの規模・特性に応じて、管理機能が必要である
かどうか、検討する必要がある。
表 4-4
汎用的な監視ソフトの基本機能の比較
ZABBIX
Hinemos
Nagios
Xymon
GroundWork
Monitor
JP1
System
Walker
Tivoli
○
○
○
○
○
○
○
○
不明
不明
○
○
○
情報収集機能
リソース監視
仮想マシン
監視
△
△
△
商用テンプ 有償オプショ 外部ソフトウ
レート
ン
ェア
ネットワーク
監視
○
○
○
○
○
○
○
○
SNMP 監視
○
○
○
○
○
○
○
○
設定方法
データ
保存形式
専用クライア 専用クライア
Web ブラウ 専用クライア テキストエデ テキストエデ
専用クライア
ント
ント
Web ブラウザ
ザ
ント
ィタ
ィタ
ント
Web ブラウ Web ブラウ
ザ
ザ
RDB
RDB
テキストファ
イル
RRDtool
RRDtool
RDB
RDB
RDB
表示機能
表示
Web ブラウ 専用クライア Web ブラウ
ザ
ント
ザ
インタフェース
専用クライア 専用クライア
Web ブラウ
専用クライア
ント
ント
Web ブラウザ
ザ
ント
Web ブラウ Web ブラウ
ザ
ザ
障害履歴機能
○
×
○
×
○
○
○
○
グラフ表示機
能
○
○
○
○
○
○
○
○
42
マップ表示機
能
○
×
○
×
○
○
○
○
異常検知・通知機能
異常検知、設
定方法
専用クライア 専用クライア
Web ブラウ Web ブラウ
専用クライア
Web ブラウ 専用クライア
ント
ント
ザ
ザ
Web ブラウザ
ント
ザ
ント
Web ブラウ Web ブラウ
テキストエデ テキストエデ
ザ
ザ
ィタ
ィタ
メール、
メール、バッ
メール、
メール、
メール、
メール通知、
メール通知、
SMS、スクリ クアップ、リ
通知方法・対処
SMS、
メール、ジョ SMS、スクリ SMS、スクリ
リモート操
自動障害対
プト実行、サ スタート、外
Jabber、スク ブの実行 プト実行(マ プト実行(マ
作、自動障
方法
処等
ービスのリス 部コマンド自
リプト実行
ネージャ側) ネージャ側)
害対処等
タート
動実行
表 4-5
ハードウェア監
視(機能、設
定)
汎用的な監視ソフトの付加機能の比較
ZABBIX
Hinemos
Nagios
Xymon
GroundWork
Monitor
JP1
System
Walker
Tivoli
×
×
×
×
×
○
○
○
○
○
○
△
△
主要アプリケー
△
△
△
HTTP 監視、
HTTP 監視、
プロセス監
ション監視(機 プロセス監
プロセス監
プロセス監 プロセス監視
視
視
能、設定)
視
視
ジョブ管理
×
○
×
×
×
○
○
○
資産・配布管理
×
△
×
×
×
○
○
○
セキュリティ管
理
×
×
×
×
×
○
○
○
ストレージ管理
(バックアップ
管理)
×
×
×
×
×
○
○
○
IPv6 対応
○
○
○
不明
不明
○
○
○
4.2.2.2. 特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフト
(1) OSSの評価結果
特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトについての OSS の評価結果を表 4-6 および図
4-3 に示す。oVirt は主に KVM 向け、virt-manager は主に KVM、Xen、QEMU 向けの OSS で
ある。いずれのソフトも基本的な機能は有しており、グラフィカルなインタフェースによる操作が可能
である。しかし、ドキュメントにおける課題がある。日本語のドキュメントが少なく、英語のドキュメント
に関しても、最新版に対応していない可能性がある。
43
表 4-6 特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトの評価結果
基本情報
oVirt
virt-manager
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★☆☆ ★☆☆☆☆ ★★★★☆ ★★★☆☆ ★★★★★
★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★☆
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
oVirt
1.0
virt-manager
成熟度
図 4-3
開発の安定性
特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトの評価結果
(2) 商用ソフトウェアとの比較結果
特定の仮想化機構に対する運用・管理ソフトにおける OSS と商用ソフトウェアの機能面での比
較結果を表 4-7 に示す。OSS においても、仮想化機構に対する管理・監視ソフトとして基本的な機
能は十分有している。しかし、ハードウェア監視機能や、ストレージ機能などの付加機能については、
商用ソフトより一段劣る結果であった。
表 4-7
特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトの機能比較
oVirt
Citrix Essentials for
VMware vCenter
XenServer
Server
virt-manager
基本機能
仮想マシンの作成機能
○
○
○
○
仮想マシンの操作機能
○
○
○
○
リソース監視
○
○
○
○
仮想マシン監視
○
○
○
○
SNMP 監視
○
×
○
○
44
設定方法
○
○
○
○
表示インタフェース
○
○
○
○
グラフ表示機能
○
○
○
○
マップ表示機能
×
×
×
○
×
×
△
○
○
○
○
○
付加機能
ハードウェア監視(機能、
設定)
セキュリティ管理
×
ストレージ管理(バックアッ
×
×
○
(VMware vSphere
プ機能)
の機能に含まれる)
IPv6 対応
○
×
○
○
4.2.2.3. クラウドの運用・管理ソフトウェア
(3) OSSの評価結果
クラウドの運用・管理に関する OSS の評価結果を表 4-8 および図 4-4 に示す。Eucalyptus、
Proxmox Virtual Environment(以下、「Proxmox VE」)、OpenNebula の 3 つの OSS は全体
的にバランスが取れており、社内向けクラウド構築でも利用しやすいと考えられる。機能の充実度で
は、どの OSS も基本的な機能は備えているが、Eucalyptus は他の OSS に比べ、一段劣っている。
また、Proxmox VE と ConVirt が基本機能の面では優れており、グラフィカルなインタフェースも
備えているため、導入しやすい。
表 4-8 クラウドの運用・管理ソフトの評価結果
Eucalyptus
Proxmox VE
Convirt
OpenNebula
Nimbus
基本情報
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★★☆
★★★★☆
★★☆☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★★☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★☆☆☆
★★★★☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★★★
★★☆☆☆
★★★★☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★★☆
★★★★☆
★★★☆☆
★★★★☆
★★★★☆
★★★★☆
★★★★☆
45
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
1.0
成熟度
Eucalyptus
Proxmox Virtual Environment
Convirt
OpenNebula
Nimbus
開発の安定性
図 4-4 クラウドの運用・管理ソフトの評価結果
(4) 商用ソフトウェアとの比較結果
クラウドの運用・管理ソフトにおける OSS と商用ソフトウェアの機能面での比較結果を表 4-9 お
よび表 4-10 に示す。クラウドの運用・管理ソフトについては、基本機能、付加機能ともに機能面で
の大きな差異はなく、商用ソフトの機能面での優位性は小さい分野であるといえる。
基本機能に関しては、Proxmox VE や Convirt は商用ソフトである IBM CloudBurst と同等
以上の機能を備えており、他のソフトと比べ一段劣る Eucalyptus でも基本的な運営・管理機能は
備えている。ただし、Eucalyptus には VM インスタンスのリソース監視機能がないため、監視をおこ
なうには必ず ZABBIX、もしくは virt-manager のようなインスタンスを監視できるソフトと組み合わ
せる必要がある。クラウドコンピューティング環境での高度な処理をおこなうための付加機能につい
ては、まだすべてを備えているソフトはなく、今後の実装が望まれる。
表 4-9
クラウドの運用・管理ソフトの基本機能の比較
Proxmox
Virtual
Eucalyptus
Environment
クラウド ネットワークの設定
リソース (VLAN、プライベー
の管理 トネットワークの設
定)
監視
CloudWatch
ConVirt
OpenNebula
Nimbus
IBM
Auto Scaling
CloudBurst Elastic Load
Balancing
○
○
△
VLAN 設定
は商用のみ
○
○
○
×
クラウド環境の
リソース管理
○
○
○
○
○
○
×
VM インスタンスの
リソース監視
×
○
○
△
×
○
○
CloudWatch
46
仮想マシン管理(起
動、停止、ジョブ実
行等)
バックアップ機能
管理コンソール
対応仮想化機構
○
○
○
スケジューリ スケジューリ プロビジョニ
ング機能
ング機能
ング機能
×
○
○
○
○
○
○
スナップショ 定期バックア スナップショ スナップショ スナップショ スナップショ
ット機能
ップ機能
ット機能
ット機能
ット機能
ット機能
×
○
○
CLI、Web ブ Web ブラウ
ラウザ
ザ、(CLI)
Xen、KVM
表 4-10
KVM、
OpenVZ
○
Web ブラウ
ザ
CLI
Xen、KVM
Xen、KVM、
VMWare
CLI、Web ブ Web ブラウ
ラウザ
ザ
Xen、KVM
VMware、
KVM、Xen
Web ブラウ
ザ、CLI
-
クラウドの運用・管理ソフトの付加機能の比較
Proxmox
Virtual
Eucalyptus
Environment
ライブマイグレーション機能
のサポート
×
○
オートスケーリング機能
自動プロビジョニング機能
×
×
トラフィック分散機能
×
×
CloudWatch
ConVirt
OpenNebula
Nimbus
IBM
Auto Scaling
CloudBurst Elastic Load
Balancing
○
○
×
○
○
△
オンデマンド
自動プロビ
商用で対応 プロビジョニ
ジョニング
ング
×
×
○
PBS
○
×
○
○
自動プロビ
Auto Scaling
ジョニング
×
○
Elastic Load
Balancing
4.2.3. 利用者向け認証基盤
4.2.3.1. シングルサインオンソフト
(1) OSSの評価結果
シングルサインオンに関する OSS の評価結果を表 4-11 および図 4-5 に示す。シングルサイン
オンに関しては OpenSSO が突出しており、特段の理由がなければ OpenSSO を利用すべきとい
える。なお、今回の調査では評価対象としなかったが、CAS (Central Authentication Service)と
Shibboleth を用いると OpenSSO と同等の機能が実現でき、実際に大学等での導入事例がある。
ただし、Shibboleth にはサポート企業がないという問題点がある。
47
表 4-11 利用者向け認証基盤に関する調査結果(シングルサインオン)
OpenSSO
Shibboleth
Higgins
Simple
SAMLphp
基本情報
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★★★
★★★★☆
★★★☆☆
★★★★☆
★★★★☆
★★★★☆
★☆☆☆☆
★★★☆☆
★★★★★
★★★★★
★★★★☆
★★★★☆
★★★★★
★★★★★
★★★★☆
★★☆☆☆
★★★★★
★★★☆☆
★★☆☆☆
★★★☆☆
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
1.0
成熟度
OpenSSO
Shibboleth
Higgins
SimpleSAMLphp
開発の安定性
図 4-5 利用者向け認証基盤に関する調査結果(シングルサインオン)
(2) 商用ソフトウェアとの比較結果
シングルサインオンソフトにおける OSS と商用ソフトウェアの機能面での比較結果を表 4-12 お
よび表 4-13 に示す。OSS の中で機能面においても突出した評価であった OpenSSO が、商用ソ
フトと比較した場合にも同等の機能を有しているといえる。基本機能、付加機能ともに商用ソフト
IceWall とほぼ同等であり、OSS である価格メリットを考えると、OpenSSO の利用は有力な選択肢
であるといえる。
48
表 4-12
認証機能
シングルサインオンソフトの基本機能の比較
OpenSSO
Shibboleth
Higgins
simpleSAMLp
hp
IceWall
Windows
CardSpace
○
複数の認証方
式に対応
○
複数の認証方
式に対応
△
ID/パスワード
認証に対応
○
複数の認証方
式に対応
○
複数の認証方
式に対応
○
複数の認証方
式に対応
エージェント
エージェント
エージェント
エージェント
リバースプロキ
シ
-
×
×
×
○
-
エージェント
シングル
SSO のタイプ リバースプロキ
サインオ
シ
ン機能
○
代理認証
フェデレーション対応
プロトコル
○
○
○
△
IdP として
SAML2.0、
Liberty ID-FF
○
Information
WS-Trust、
OpenID、
1.1/1.2、SAML
△
SAML2.0、
Card に対応
SAML2.0、
Shibboleth1.3、
1.0/1.1/2.0、 SAML (1.1、2.0)
OpenID、
(カードとして
ID セレクタとし
A-Select、
WS-Federation
のみに対応
Shibboleth に対
SAML を扱うこと
ては OpenID、
CAS、
、OpenID に対
応
は可能)
Information
WS-Federation
応
Card に対応
に対応
○
アクセス制御・認可機
認証コンテキス
能
トでも制御可能
○
×
○
○
×
管理インタフェース
Web ブラウザ
CLI
CLI
CLI
Web ブラウザ
Web ブラウザ
ログ管理
○
○
○
○
○
○
アカウント管理可能
○
△
グループ管理 LDAP に直接作
が可能
成
○
△
グループ管理
モジュールによ
が可能、複数階
り追加・編集
層に対応
×
ディレクトリサービス
○
○
○
○
OpenLDAP,
Active
Active
△
LDAP、RDB
HP-UX
Directory、
Directory、 OpenLDAP を利
(MySQL)、
Directory
データベース、 LDAP、SQL に
用
RADIUS に対応 Server、MySQL
LDAP に対応
対応
等をサポート
-
表 4-13
多要素認証
マルチプロトコル間
SSO 機能
ID プロビジョニング機
能
シングルサインオンソフトの付加機能の比較
Higgins
simpleSAMLphp
IceWall
Windows
CardSpace
×
×
×
○
×
×
○
ID セレクタの機
能
○
×
×
×
△
Oracle Identity
Manager との連
携
×
OpenSSO
Shibboleth
○
○
×
×
×
×
49
4.2.3.2. ディレクトリサービスソフト
(1) OSSの評価結果
ディレクトリサービスに関する OSS の評価結果を表 4-14 および図 4-6 に示す。ディレクトリサー
ビスに関しては OpenLDAP がすべての面で充実しており、OpenLDAP を用いるべきといえる。
OpenDS もサポート以外の面では OpenLDAP とほぼ同等であるため、システム構築を依頼する
SI 企業が OpenDS をサポートしている場合には、OpenDS も選択しとなりうる。
表 4-14 利用者向け認証基盤に関する調査結果(ディレクトリサービス)
基本情報
OpenLDAP
OpenDS
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★☆
★★★★★ ★★☆☆☆ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
OpenLDAP
OpenDS
1.0
成熟度
開発の安定性
図 4-6 利用者向け認証基盤に関する調査結果(ディレクトリサービス)
(2) 商用ソフトウェアとの比較結果
ディレクトリサービスソフトにおける OSS と商用ソフトウェアの機能面での比較結果を表 4-15 お
よび表 4-16 に示す。基本機能については、3 ソフトすべてが LDAPv3 に準拠しており、OSS と商
用ソフトに大きな差異はなく、十分に OSS の利用を検討できる。証明書管理、ポリシー管理といった
付加機能では商用ソフトが優れているが、これらの機能は社内向けのプライベートクラウド環境に
おける認証基盤としては必ずしも必要な機能ではなく、商用ソフトの導入を考える際には機能の必
要性と価格の妥当性を検討する必要がある。
50
表 4-15
ディレクトリサービスソフトの基本機能の比較
OpenLDAP
OpenDS
Active Directory
LDAPv3
○
○
○
アクセス制御
○
○
○
○
○
○
シングルマスタレプリケーション、 シングルマスタレプリケーション、 シングルマスタレプリケーション、
マルチマスタレプリケーション
マルチマスタレプリケーション
マルチマスタレプリケーション
レプリケーション
通信経路の暗号化
○
○
○
管理インタフェース
CLI
GUI(専用クライアント)
GUI(専用クライアント)
バックアップ機能
△
コマンドによりサポート
○
スケジューリングバックアップ
○
スケジューリングバックアップ
ユーザ認証
○
SASL 対応
○
SASL 対応
○
ID/パスワード認証、Kerberos 認
証、NTLM 認証を利用可能
表 4-16
ディレクトリサービスソフトの付加機能の比較
OpenLDAP
OpenDS
Active Directory
証明書管理
×
×
○
証明書の配付機能に対応
ポリシー管理
×
×
○
グループポリシーによる管理
IPv6 対応
○
○
○
4.2.4. 大規模分散処理基盤、分散ファイルシステム・DB
4.2.4.1. 分散処理基盤
(1) OSSの評価結果
分散処理基盤の評価結果を表 4-17 および図 4-7 に示す。Hadoop と Skynet いずれも、
Google の MapReduce を参考にして開発されているソフトウェアである。分散して保存されている
データに対して、計算を並列に実行することができる。また、計算結果を集約して通知する機能を持
つ。Skynet は 2008 年 5 月から開発が止まっているため、ソフトウェアのバグの存在が明らかにな
っても対応されない可能性が高い。一方、Hadoop は活発な開発が続けられている。
51
表 4-17
基本情報
Hadoop
Skynet
分散処理基盤の評価結果
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★☆
★★★☆☆ ★☆☆☆☆ ★★☆☆☆ ★☆☆☆☆ ★★★☆☆
基本情報
3
2
機能
サポート
Hadoop
1
Skynet
成熟度
開発の安定性
図 4-7
分散処理基盤の評価結果
(2) 機能比較
分散処理基盤の機能比較の結果を表 4-18 に示す。機能についても、Hadoop のほうが
Skynet よりも充実している。実際に多くの企業に利用されているという点を見ても、計算速度やス
ケーラビリティの面でも Hadoop が優れていると考えられる。
表 4-18
分散処理基盤の機能比較
Hadoop
Skynet
タスク分散機能
○
○
タスク指定方法
コマンドライン
コマンドライン
失敗したタスクの再実行機能
○
○
単一障害点の有無
×
○
Capacity Scheduler
Tuple Space、
等
MySQL
○
×
サポートしているメッセージキューシステム
状況と診断情報のジョブクライアントへの通知機能
52
メモリ管理機能
○
×
計算ノード数の指定機能
○
○
最適タスク割り当て機能
○
×
データの圧縮機能
○
×
4.2.4.2. 分散ファイルシステム
(1) OSSの評価結果
分散ファイルシステムの評価結果を表 4-19 および図 4-8 に示す。開発の安定性や成熟度等と
いった点で Hadoop が GFarm よりも優れている。また、ソフトウェアのドキュメント類も Hadoop の
ほうが豊富である。ただし、GFarm ではユーザ用メーリングリストに日本語で投稿することができ、
開発者が日本語で答えてくれるという利点がある。機能に関しては大きな差はないが、各機能の性
能については利用状況に応じて大きな差が生じる可能性はある。
表 4-19
基本情報
Hadoop
GFarm
分散ファイルシステムの評価結果
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★☆
★★★★★ ★★★★☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★★★
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
Hadoop
1.0
GFarm
成熟度
図 4-8
開発の安定性
分散ファイルシステムの評価結果
53
(2) 機能比較
分散ファイルシステムの機能比較を表 4-20 に示す。ユーザとの対話を重視するのであれば
GUI が用意されている GFarm が良いと考えられるが、Hadoop 用の GUI を提供するソフトもいく
つか提供されている。
機能として大きな差はないが、スケーラビリティやソフトウェア自身の信頼性についてよく考慮し
た上で、利用するソフトウェアを選択すべきである。
表 4-20
分散ファイルシステムの機能比較
Hadoop
GFarm
ファイルの操作機能
コマンドライン
GUI またはコマンドライン
単一障害点の有無
×
×
破損データ検出および復元機能
○
○
複製選択機能
○
○
複製数の指定機能
○
○
アクセス制御機能
×
○
Hadoop MapReduce のサポート
○
○
ソフトリンク機能
×
△
外部コマンドにより可能
4.2.4.3. 分散 DB
(1) OSSの評価結果
分散 DB の評価結果を表 4-21 および図 4-9 に示す。5 つのソフトウェアについて調査をおこな
ったが、その中で Cassandra、HBase、CouchDB は Apache のトッププロジェクトで開発がおこ
なわれている。DB では、CAP の定理により、整合性・可用性・ネットワーク分断への耐性の 3 要素
のうち、2 要素しか同時に満たせない。分散 DB はネットワーク分断への耐性が必須要素であるた
め、整合性と可用性のどちらかは妥協する必要が生じる。社内クラウドで利用する場合には、どちら
を重視するかという点も、分散 DB ソフトウェアを選択する 1 つの基準となる。
54
表 4-21
CouchDB
HBase
Hypertable
Voldemort
Cassandra
分散 DB の評価結果
基本情報
サポート
開発の安定性
成熟度
機能
★★☆☆☆
★★★★☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆
★★★★★
★★★☆☆
★★☆☆☆
★★★★☆
★★★★★
★★★★★
★★★★☆
★★☆☆☆
★★★★★
★★★★★
★★★★★
★★★★☆
★★★★★
★★★★★
★★★★★
★★★★☆
★★★☆☆
★★★★★
★★★★★
基本情報
3.0
2.0
機能
サポート
CouchDB
HBase
Hypertable
1.0
Voldemort
Cassandra
成熟度
開発の安定性
図 4-9
分散 DB の評価結果
(2) 機能比較
分散 DB の機能比較の結果を表 4-22 に示す。ソフトウェアによっては、HDFS(Hadoop のコン
ポーネントの一つ)等の分散ファイルシステム上に構築されることを前提としているものもあること
に注意する必要がある。また、前述したように、整合性と可用性のどちらを重視しているかを考慮す
る必要がある。Cassandra や Voldemort のように、データの種類によって整合性と可用性のトレー
ドオフの調整を取ることが可能なソフトウェアも存在する。
また、検索速度等の性能については、利用状況によって大きく変動する可能性があるため、社内
クラウドを構築する際は注意が必要である。
表 4-22
Cassandra
分散 DB の機能比較
HBase
CouchDB
HDFS 等の分
ストレージシステム
ディスク
散ファイルシ
ステム
55
ディスク
Voldemort
RAM または
BerkeleyDB
Hypertable
HDFS、DFS
等の分散ファ
イルシステム
column
column
family
family
なし
単一障害点の有無
並行性制御
データモデル
利用しているロックサー
ビス
整合性、可用性、ネット
column
ドキュメント
Key/Value
ZooKeeper
なし
なし
Hyperspace
○
○
○
○
×
MVCC
OCC
MVCC
MVCC
MVCC
family
可用性および 整合性および 可用性および 可用性および 整合性および
ネットワーク
ネットワーク
ネットワーク
ネットワーク
ネットワーク
分断への耐
分断への耐
分断への耐
分断への耐
分断への耐
性
性
性
性
性
実現する整合性の性質 結果整合性
強い整合性
結果整合性
結果整合性
強い整合性
クライアントプロトコル
Thrift、REST
Thrift, JSON
Thrift
○
○
×
ワーク分断への耐性の
どれを重要視するか
Thrift
Thrift、
REST、JSON
×
マルチ・データセンター
のサポート
○
(バージョン
0.21 で対応
予定)
整合性と可用性のトレ
ードオフの調整
Hadoop MapReduce
のサポート
○
×
×
○
×
○
○
○
×
○
56
4.3.
ソフトウェア評価結果
次ページ以降に、各ソフトウェアの評価結果を示す。
※ なお、当該結果として記載した内容は、特に明記が無い限り 2010 年 5 月末現在のものである。
57
4.3.1 仮想化機構に関するソフトウェア
1) Oracle VM VirtualBox
2) KVM
3) Xen
4) 商用ソフトウェア(基本情報のみ)
5) 仮想化ソフトウェア機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
58
Oracle VM VirtualBox: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 仮想化ソフトウェアとして十分な機能を持ち、開発体制も安定している。成熟度やサポート
体制にも大きな問題はない。オープンソース版と商用版がある。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
基本的な情報については日本語の情報があるため導入の障壁は低い。
サポート
★★★★☆
ドキュメント整備、コミュニティサポートともに充実している。
開発体制の安定性
★★★★☆
企業によって開発され、また、開発のオープン性も高く、開発の安定性は高い。開発ロードマッ
プは明らかにされていない。
成熟度
★★★★★
ダウンロード数が多く、バグトラッキングシステムも積極的に活用されているため、成熟度は
高い。
機能
★★★★☆
基本機能はほぼ揃っている。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
59
Oracle VM VirtualBox: 基本情報
 基本情報
 基本的な情報については日本語の情報があるため導入の障壁は低い。
最新バージョン
3.2.0 (2010年5月26日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.virtualbox.org/
日本語コミュニティ
コミュニティは存在しない。
機能概要
Oracle VMプロダクトファミリーとして開発されている仮想化のプラットフォームである。既存のホスト・オ
ペレーティング・システム上にインストールし、このアプリケーションの中で、追加のオペレーティング・シス
テム(それぞれゲストOSとして知られる)を載せて実行させることが可能である。
類似ソフトウェア
VMware ESXi、VMware vSphere、KVM、Hyper-V、Xen
スクリーンショット
http://www.virtualbox.org/wiki/Screenshots
利用シーン
サーバを統合し、コストを削減する。
標準準拠状況
Open Virtualization Format (OVF)をサポート
ライセンス
GNU General Public License 2.0
クローズドソース版とオープンソース版が用意されている。クローズドソース版は個人利用については無料、
組織や企業向けのエンタープライズライセンスは 1ユーザあたり50ドルより。オープンソース版はGPLv2
で提供され、RDPサーバ機能やUSBサポート等、一部の機能が利用できない。
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C/C++
国際化対応
日本語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語等、12か国語に対応
60
Oracle VM VirtualBox: 基本情報
 基本情報
 多くのOS上で動作し、通常の社内システム環境には十分対応できると考えられる。
価格
動作環境
提供されているバ
イナリパッケージ
無料
ハードウェア
最低でも512MBのRAM、1GB以上を推奨
ホスト
FreeBSD、 Linux、Mac OS X、OS/2 Warp、Windows、Solaris
ゲストOSのサポート
FreeBSD、Linux、OpenBSD、OS/2 Warp、Windows、Solaris
Windows版 (32bit/64bit)、Solaris版 (32bit/64bit)、Mac OS X版、各種Linux 版 (32bit/64bit) が提供されている。
61
Oracle VM VirtualBox: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されている。ただし、日本語ドキュメントは最新版には対応していない。
英語
日本語
ドキュメント
ユーザマニュアル
http://www.virtualbox.org/wiki/Documentation
チュートリアル
http://www.virtualbox.org/wiki/User_HOWTOS
FAQ
http://www.virtualbox.org/wiki/User_FAQ
ユーザマニュアルが提供されている。ただし、バージョン
2.1.0のものである。
http://wikis.sun.com/download/attachments/38
211768/UserManual-ja.pdf
書籍
VirtualBoxの書籍 ("VirtualBox 3.1: Beginner's
Guide"等)がある。
VirtualBox専門の書籍はないが、"仮想化技術徹底活
用—サーバ管理者/システム開発者のための"等におい
て紹介されている。
 サポート企業
 Oracleによるサポートが提供されている。
英語
サポート企業
日本語
Oracle
Oracle
62
Oracle VM VirtualBox: サポート
 コミュニティサポート
 フォーラムやメーリングリストが提供されている。フォーラムでは毎月4,000件を超える投稿がある。
ただし、日本語版は提供されていない。
英語
メーリングリストお
よび掲示板
日本語
フォーラム: http://forums.virtualbox.org/
メーリングリスト:
http://sourceforge.net/mailarchive/foru
m.php?forum_name=vbox-userscommunity
なし
200
150
100
50
0
2010/3
2010/4
メーリングリスト(2010年3月開設)の投稿数の推移
フォーラムの投稿数の推移
63
Oracle VM VirtualBox: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発である。開発者を広く募集している。
開発主体
企業主体
開発主体の詳細
Oracle
参加企業と参加形態
開発者を広く募集している:
http://www.virtualbox.org/wiki/Contributor_information
コア開発者数・コミッタ数
不明
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 ユーザ等からの要望を集積する場所が用意されているが、反映基準やロードマップは公開されていない。
要求仕様策定方法
ユーザからの要求を取り入れるトピックがある:
http://forums.virtualbox.org/viewforum.php?f=9
開発ロードマップ
公開されていない。
標準化活動
不明
64
Oracle VM VirtualBox: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 オープンな開発がおこなわれており、開発者用メーリングリストも公開されている。投稿数
は増加傾向にある。
ソースコードレポジトリ
http://www.virtualbox.org/browser/trunk
開発関連のメーリングリスト
および掲示板
メーリングリストが提供されている。
http://vbox.innotek.de/pipermail/vbox-dev/
メーリングリストの投稿数の推移
65
Oracle VM VirtualBox: 成熟度
 歴史
 オープンソース版の提供から3年経っており、バージョンアップを重ねているため成熟度は高い。
開発開始年
不明
誕生と開発の経緯
ドイツのソフトウェア会社Innotekにより開発された。当初はプロプライエタリ・ソフ
トウェア・ライセンスで提供されていたが、2007年よりオープンソース版もリリース
されている。
現在のバージョン
3.2.0 (2010年5月26日現在)
バージョンアップの頻度
1年に1回程度。
マイナーリリースの頻度
1年に10回程度。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は1日2万件を超えており、人気度は高いと考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード数
不明(1日20,000件を超えるダウンロードがある)
のべダウンロード数
600万件以上のダウンロードがあった。
66
Oracle VM VirtualBox: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。バグトラッキングシステムでは、バグの
他に、機能改善要求も受け付けている。
バグトラッキングシステム
http://www.virtualbox.org/query?
クリティカルバグ数とフィック
スまでの期間
未対応:130件 (2010年4月21日現在)
総数:733件 (2007年2月からの累計)
フィックス率:82%
※Priorityが「critical」「blocker」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:2375件 (2010年4月21日現在)
総数:6555件 (2007年2月からの累計)
フィックス率:64%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件 不明
67
Oracle VM VirtualBox: 機能
 仮想化機能
 基本機能はほぼ揃っている。商用版ではリモート管理、USBデバイスサポート機能が
付加されている。
基本機能
ホスト間の仮想マシン再配置機能
対応
ライブマイグレーション機能
対応
自動化可能なスクリプト
対応
ハイパーバイザへのパッチ適用手段
GUIまたはコマンドライン
リモート管理
未対応
付加機能
物理マシンから仮想マシンへの移行 (Physical to Virtual)
対応
USBデバイスのサポート
未対応
仮想マシンや仮想ハードディスクのライブラリ管理機能
有償のVirtual Desktop
Infrastructure Softwareが必要
ストレージマイグレーション機能
未対応
68
KVM: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
Linuxカーネルに標準搭載され、多くの企業に利用されている。仮想化ソフトウェア
として基本機能は十分揃っている。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
日本語コミュニティがなく、最新情報を日本語で入手しにくいことが難点。
サポート
★★★★★
ドキュメント整備、コミュニティサポートともに充実している。Red Hat社が商用サポート
を提供している。
開発体制の安定性
★★★★★
企業によって開発されており、安定した開発がおこなわれている。
成熟度
★★★★★
Linuxの標準カーネルに含まれている。バグトラッキングシステムが公開され、積極的に
活用されている。
機能
★★★★☆
仮想化ソフトウェアとして基本機能は揃っている。
活用事例
開発元でもあるRed Hat社のWebページに導入事例がいくつか紹介されている。
(http://www.jp.redhat.com/rhel/virtualization)
69
KVM: 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティはないが、RedHat社HP上で日本語のドキュメントが公開されている。
最新バージョン
qemu-kvm 0.12.4 (2010年5月26日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.linux-kvm.org/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
Linuxカーネル仮想化基盤。Intel VTまたはAMD-Vを使ったネイティブ仮想化やQEMUをベー
スとする。またLinuxおよびWindowsをゲストOSとして、準仮想化を限定的にサポートしている。
類似ソフトウェア
VMware ESXi、VMware vSphere、VirtualBox、Hyper-V、Xen
スクリーンショット
http://www.linux-kvm.org/page/WindowsGuestDrivers/viostor/installation
利用シーン
サーバを統合し、コストを削減する。
標準準拠状況
Open Virtualization Format (OVF)をサポート
ライセンス
・KVM カーネルモジュール: GPL v2
・KVM ユーザモジュール: LGPL v2
・QEMU 仮想CPUコアライブラリ (libqemu.a) と QEMU PCシステムエミュレータ: LGPL
・Linux ユーザモードQEMUエミュレータ: GPL
・BIOSファイル (bios.bin, vgabios.bin, vgabios-cirrus.bin): LGPL v2 あるいはそれ以降
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C言語
国際化対応
英語
70
KVM: 基本情報
 基本情報
 Linuxの標準カーネルに含まれており、通常の社内システム環境には十分対応できると考えられる。
価格
無料。
ホスト
仮想化拡張(Intel VTまたはAMD-V)を含むX86ハードウェア上で動作するLinux。
ゲストOSの
サポート
Windows, Fedora, RHEL, Debian, Ubuntu, SUSE, OpenBSD, FreeBSD, NetBSD, Solaris, Darwin,等
(詳細は: http://www.linux-kvm.org/page/Guest_Support_Status)
動作環境
提供されているバイ
ナリパッケージ
RHEL 6に含まれている。
71
KVM: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語のドキュメントはよく整備されている。日本語で書かれたドキュメントもインターネット上に数多く見つけるこ
とができる。
英語
日本語
ドキュメント
インストールマニュアル、ユーザーズガイド、管理者ガイ
ド等が提供されている。
http://www.linux-kvm.org/page/Documents
http://www.redhat.com/docs/enUS/Red_Hat_Enterprise_Linux/5.4/html/Virtuali
zation_Guide/index.html
日本Red Hat社HPにおいて、KVMコミュニティのFAQ
の一部が日本語に翻訳されている。
http://www.jp.redhat.com/rhel/virtualization/kv
m_faq/
書籍
KVMを紹介している書籍("Professional Ubuntu Mobile
Development"等)が複数販売されている。
KVMを紹介している書籍("クラウドコンピューティング—技術
動向と企業戦略"等)が複数販売されている。
 サポート企業
 Red Hat社が、有償の導入支援サービスを提供している。
海外
サポート企業
日本
Red Hat社
Red Hat社
72
KVM: サポート
 コミュニティサポート
 開発者用メーリングリストに質問を投稿することができる。また、ユーザフォーラムが提供されている。日本語のも
のは提供されていない。
英語
メーリングリストお
よび掲示板
日本語
ユーザ専用のメーリングリストは提供されてい
ないが、開発者用メーリングリストへの質問投
稿は歓迎されている。
また、フォーラムが提供されているが、あまり活 公式なメーリングリストや掲示板は提供されて
発には利用されていない。投稿は月に数件程 いない。
度である。
http://forums.meulie.net/viewforum.ph
p?f=43
73
KVM: 開発体制の安定性
 開発チーム
 多くの開発者が携わっていると考えられる。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Red Hat社が開発を進めている。
参加企業と参加形態
さまざまな企業の開発者が開発をおこなっている。
コア開発者数・コミッタ数
ソースコード内のMAINTAINERSファイルには800名以上の名前が連ねられている。
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 ロードマップは公開されている。
要求仕様策定方法
機能の要求を記載するページが用意されている。
http://www.linux-kvm.org/page/KVM_Features
開発ロードマップ
http://www.linux-kvm.org/page/TODO
標準化活動
不明
74
KVM: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストの投稿は一月あたり平均1000件以上あり、活発な議論がおこなわれている。
ソースコードレポジトリ
Gitで管理している (http://git.kernel.org/?p=virt/kvm/kvm.git)。
開発関連のメーリングリストおよび
掲示板
http://kerneltrap.org/mailarchive/linux-kvmにおいてメーリングリストのアーカイブ
を参照できる。
75
KVM: 成熟度
 歴史
 頻繁にバージョンアップがおこなわれている。
開発開始年
不明
誕生と開発の経緯
イスラエルの仮想化ベンダ、Qumranetが独自に開発したものである。
2006年10月の発表後、2か月後の12月にLinuxカーネルにマージされた(バージョン2.6.20)。
現在のバージョン
qemu-kvm 0.12.4 (2010年5月26日現在)
バージョンアップの頻度
月に1回程度
マイナーリリースの頻度
月に1回程度
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。頻繁なバージョンアップで対応している。
 人気度
 ダウンロード数は多い。また、Linux標準カーネルである。
最近のバージョンの最大ダウンロード数
http://sourceforge.net/projects/kvm/files/kvm/
からダウンロードされた回数は2010年5月9日から27日までで約1500回である。
のべダウンロード数
上記からダウンロードされた回数は2009年5月から2010年5月までで約2万5千
回である。
76
KVM: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンな開発が進められている。
バグトラッキングシステム
SourceForgeで管理されている。
http://sourceforge.net/tracker/?atid=893831&group_id=180599
クリティカルバグ数とフィック
スまでの期間
未対応:9件 (2010年4月20日現在)
総数:19件 (2006年11月からの累計)
フィックス率:53%
※Priorityが8以上と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:193件 (2010年4月20日現在)
総数:549件 (2006年11月からの累計)
フィックス率:65%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
回帰テストが推奨されている。
http://www.linux-kvm.org/page/KVM-Autotest
※未対応バグ数は、ステータスが「Open」または「Pending」であるものを集計。
77
KVM: 機能
 仮想化機能
 基本機能は揃っている。KVM単体では、操作は主にコマンドラインからおこなう必要が
ある。
基本機能
ホスト間の仮想マシン再配置機能
対応
ライブマイグレーション機能
対応
自動化可能なスクリプト
対応
ハイパーバイザへのパッチ適用手段
コマンドライン
リモート管理
コマンドライン
付加機能
物理マシンから仮想マシンへの移行 (Physical to Virtual)
無償のvirt-p2v等が必要
USBデバイスのサポート
ハードディスク、USBメモリ
仮想マシンや仮想ハードディスクのライブラリ管理機能
未対応
ストレージマイグレーション機能
未対応
78
Xen: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 仮想化ソフトウェアとして十分な機能を持ち、開発体制も安定している。成熟度やサポート
体制にも大きな問題はない。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★☆
基本的な情報については日本語の情報があるため導入の障壁は低い。
サポート
★★★★★
ドキュメント整備、企業サポート、コミュニティサポートともに充実している。書籍も複数発
刊されている。
開発体制の安定性
★★★★★
企業によって開発され、また、開発のオープン性も高く、開発の安定性は高い。ロードマッ
プや機能追加方針等も明確である。
成熟度
★★★★★
ベンダ各社が開発に参加し、機能・品質強化が進んでいる。バグトラッキングシステム・
脆弱性情報は公開されている。
機能
★★★★☆
完全仮想化、準仮想化の両方に対応。仮想化のための基本的な機能は揃っている。
活用事例
国内外において、多数の豊富な稼働実績がある。
79
Xen: 基本情報
 基本情報
 基本的な情報については日本語の情報があるため導入の障壁は低い。また、日本語のメーリングリストが存在
する。
最新バージョン
4.0.0 (2010年5月26日現在)
プロジェクトWebサイト
http://xen.org/
日本語コミュニティ
コミュニティは存在しない。
機能概要
多数のゲスト・オペレーティング・システムの動作・サポートをおこなう x86
アーキテクチャ用に設計された仮想マシンモニタ。
類似ソフトウェア
VMware ESXi、VMware vSphere、VirtualBox、KVM、Hyper-V
スクリーンショット
http://linux.softpedia.com/progScreenshots/Xen-Screenshot2333.html
利用シーン
サーバを統合し、コストを削減する。
標準準拠状況
Open Virtualization Format (OVF)をサポート
ライセンス
GPL version 2
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C言語
国際化対応
英語
80
Xen: 基本情報
 基本情報
 多くのOS上で動作し、通常の社内システム環境には十分対応できると考えられる。
価格
無料
ホスト
動作環境
サーバシステム:64-bit x86 サーバクラスシステム
CPU:2GHz以上 (1.5GHz最低)、マルチコアを推奨
*Windowsゲストの稼働には、Intel VT または AMD-V が必須
物理メモリ:1GB-128GB
NIC:100Mbps以上
ディスク容量:ローカルまたはファイバチャネルで接続された、60GB以上のディスク領域(16GB最小)
Window
s
64-bit:Windows Server 2008, Windows Server 2003 Standard, Enterprise, Datacenter
Edition SP2,
32-bit:Windows Server 2008, Windows Server 2003 Web, Standard, Enterprise, Datacenter
SP0/ SP1/SP2/R2, Windows Small Business Server 2003 SP0/SP1/SP2/R2, Windows XP
SP2, SP3, Windows 2000 SP4, Windows Vista, SP1
Linux
64-bit:, RHEL 5.0, 5.1, 5.2, 5.3, CentOS 5.0, 5.1, 5.2, 5.3, Oracle Enterprise Linux 5.0, 5.1,
5.2, 5.3, Novell SUSE Enterprise Linux 10SP1, 10SP2, 11,
32-bit:, RHEL 3.5, 3.6, 3.7, 4.1, 4.2, 4.3, 4.4, 4.5, 4.6, 4.7, 5.0, 5.1, 5.2, 5.3, CentOS 4.1, 4.2,
4.3, 4.4, 4.5, 4.6, 4.7, 5.0, 5.1, 5.2, 5.3, Oracle Enterprise Linux 5.0, 5.1, 5.2, 5.3, Novell
SUSE Linux Enterprise Server 9SP2, 9SP3, 9SP4, 10SP1, 10SP2, 11, Debian sarge (3.1),
etch (4.0), Lenny (5.0)
ゲストOSの
サポート
提供されているバイ
ナリパッケージ
主要ディストリビューションに含まれる形で提供されている。
81
Xen: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されている。ただし、日本語ドキュメントは最新バージョンに対応していない。
英語
日本語
ドキュメント
有り
インストールマニュアル、設定マニュアル、リファ (http://pocketstudio.jp/linux/?Xen%2FD
ocs%2F%A5%E6%A1%BC%A5%B6%A1%
レンスマニュアルが提供されている。
BC%A5%BA%A5%DE%A5%CB%A5%E5%
http://tx.downloads.xensource.com/dow A5%A2%A5%EB%C6%FC%CB%DC%B8%
nloads/docs/user/
EC%C8%C72.0)。ただし、バージョン2.0まで
(2009年12月現在)。
書籍
Xen専門の書籍 ("The Book of Xen: A
Practical Guide for the System
Xen専門の書籍 ("Xen徹底入門 第2版", "仮想
Administrator", "Running Xen: A Hands化技術Xen-概念と内部構造"等) がある。
On Guide to the Art of Virtualization"等)が
ある。
 サポート企業
 必要に応じてこのようなサービスの利用も考えたい。
サポート企業
英語
日本語
多くのLinuxディストリビューションがデフォル
トでXenを含んでおり、サポート企業も多数存
在する。
2009年11月に、Xen.orgのアドバイザリーボー
ドメンバとして日本企業2社が初めて就任(VA
Linux, 富士通)。
82
Xen: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストによるサポートが充実している。ただし、日本語の投稿数は少ない。
英語
メーリングリストお
よび掲示板
日本語
http://lists.xensource.com/archives/ht
ml/xen-users/にて、メーリングリストのアー
カイブを閲覧可能
メーリングリストの投稿数 (英語)
http://lists.xensource.com/archives/html
/xen-japanese/にて、メーリングリストのアーカ
イブを閲覧可能
メーリングリストの投稿数 (日本語)
83
Xen: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発である。多くの企業が開発に参加している。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Citrixが中心となって開発を進めている。
参加企業と参加形態
Citrix, IBM, Intel, VA Linux, Novell, HP, 富士通, Bull, SGI, Red Hat,
AMD等の企業が開発に参加している。
コア開発者数・コミッタ数
不明
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 明確なロードマップが定められており、また、次期バージョンへ向けての機能要求リストも公開されている。
要求仕様策定方法
開発優先度はXenコミュニティマネージャのStephen Spector氏が判断し
ていると考えられる。
開発ロードマップ
http://wiki.xensource.com/xenwiki/XenRoadMap
標準化活動
不明
84
Xen: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストの投稿が一月あたり1000-1500件あり、活発な議論がおこなわれている。
ソースコードレポジトリ
Mercurialで管理している(http://lxr.xensource.com/lxr/source)。
開発関連のメーリングリスト
および掲示板
Wiki(http://wiki.xensource.com/xenwiki/XenDevHome)およびメー
リングリストがある。メーリングリストのアーカイブは
http://lists.xensource.com/archives/html/xen-devel/にて閲覧可能。
開発者用メーリングリストの投稿数
85
Xen: 成熟度
 歴史
 開発は8年目に入り、バージョンアップを重ねているため成熟度は高い。
開発開始年
2002年
誕生と開発の経緯
英国ケンブリッジ大学コンピュータ研究所の「Xenoserverプロジェクト」の一環と
して開発。2003年7月、SourceForgeにXenProject作成。その後ベンダ各社が
開発に参加して機能・品質強化が進む。
現在のバージョン
4.0.0 (2010年5月26日現在)
バージョンアップの頻度
メジャーバージョンアップは1.0から3.0までは1年に1回程度。2010年4月、約4
年半ぶりにメジャーバージョンアップし、4.0.0がリリースされた。
マイナーリリースの頻度
バージョン3.0.0から3.4.1まで、右一桁のみが変わったのは4年間で12回。2番
目の数字が変わったのは4年間で4回。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 複数のディストリビューションに含まれていることから十分な利用者がいると考えられる。(RHELではXenを採用
していたが、RHEL6にはXenは搭載されない予定である。)
最近のバージョンの最大ダウンロード数
不明
のべダウンロード数
不明
86
Xen: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。
バグトラッキングシステム
Bugzilla (http://bugzilla.xensource.com/bugzilla/)
クリティカルバグ数とフィック
スまでの期間
未対応:84件 (2010年4月7日現在)
総数:269件 (2005年7月からの累計)
フィックス率:69%
※重要度が「critical」「blocker」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:530件(2010年4月7日現在)
総数:1598件(2005年7月からの累計)
フィックス率:67%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件 不明
※未対応バグ数は、ステータスが「RESOLVED」「VERIFIED」
「CLOSED」以外のものを集計。
87
Xen: 機能
 仮想化機能
 基本機能は揃っている。操作は主にコマンドラインからおこなう必要がある。
基本機能
ホスト間の仮想マシン再配置機能
対応
ライブマイグレーション機能
対応
自動化可能なスクリプト
対応
ハイパーバイザへのパッチ適用手段
コマンドライン
リモート管理
コマンドライン
付加機能
物理マシンから仮想マシンへの移行 (Physical to Virtual)
無償のvirt-p2v等が必要
USBデバイスのサポート
ハードディスク、USBメモリ
仮想マシンや仮想ハードディスクのライブラリ管理機能
未対応
ストレージマイグレーション機能
未対応
88
商用ソフトウェア:基本情報 (1)
 商用ソフトウェアとして、Citrix XenServer (Citrix、現在は無償) 、VMware ESXi (VMware、現在は無
償)、VMware vSphere (VMware)、Hyper-V (Microsoft)、Windows Server 2008 Hyper-V
(Microsoft)、Oracle VM VirtualBox (Oracle、有償版) を調査した。
 いずれも仮想化機構を提供する代表的なソフトウェアである。
対象ソフトウェ
ア
Citrix XenServer、VMware ESXi、VMware vSphere、Hyper-V、Windows Server 2008 Hyper-V、
Oracle VM VirtualBox
機能概要
サーバの仮想化をおこなう。
利用シーン
サーバを統合し、管理コストを削減する。
名称
Citrix
XenServer
(現在は無償)
VMware ESXi
(現在は無償)
VMware
vSphere
Hyper-V
Windows
Server 2008
Hyper-V
Oracle VM
VirtualBox (有
償版)
開発企業
Citrix
VMware
VMware
Microsoft
Microsoft
Oracle
最新バージョン
5.5 Update 2
4.0
4.0
R2
R2
3.2
Webサイト
http://www.c
itrixxenserver
.com/
http://www.v
mware.com/
products/esx
i/
http://www.v
mware.com/
products/vsp
here/
http://www.
microsoft.co
m/hyper-vserver/en/us
/default.aspx
http://www.
microsoft.co
m/windowss
erver2008/e
n/us/hypervmain.aspx
http://www.o
racle.com/us
/technologie
s/virtualizatio
n/oraclevm/i
ndex.html
89
商用ソフトウェア:基本情報 (2)
名称
Citrix XenServer
(現在は無償)
VMware ESXi
(現在は無償)
VMware vSphere
Hyper-V
Windows
Server 2008
Hyper-V
Oracle VM
VirtualBox [有償
版]
価格
無料
無料
Enterprise Edition:
359,000円
(VMware ESXi、vCenter
Serverを含む。1ライセンス(1
CPU)あたりの価格。また、初
年度にサポートおよびサブス
クリプション契約が必須。)
無料
85,800円
Oracle社にコンタ
クトを取る必要が
ある(個人利用お
よび評価のための
利用は無料)
動作環境
XenServer host:
64-bit x86 server-class system
CPU: 1.5 GHz minimum, 2 GHz or
faster multi-core recommended
Intel® VT or AMD-V™ required for
support of Windows guests
Matching CPU family and stepping
required for XenMotion live
migration
1GB to 128GB physical memory
100Mb/s or faster NIC
Local or Fibre Channel boot disk
with 16 GB of space minimum, 60
GB or more recommended
・AMD
Opteron (Rev
E以降のプロ
セッサ)または
Intel VT対応
のIntel 64プロ
セッサ
・512MBのメ
モリ
・5GBのスト
レージ
ESXi:
・AMD Opteron (Rev E以降
のプロセッサ)またはIntel VT
対応のIntel 64プロセッサ
・512MBのメモリ
・5GBのストレージ
・1.4GHz以上
(2GHz推奨推奨)、
Intel VTやAMT-V
と、DEP (データ実
行防止) に対応し
たx64プロセッサ。
・1GB以上(2GB
以上推奨)のRAM
・8GB以上(20GB
以上推奨)のスト
レージ
・Intel VTや
AMT-Vと、DEP
(データ実行防
止) に対応した
x64プロセッサ。
・1GHz以上(x86
プロセッサ)また
は1.4GHz以上
(x64プロセッサ)
・ 512MB以上の
RAM
・10GB以上のス
トレージ
・Windows、
Linux、Mac OS X
(Intel)、Solaris、
FreeBSD、
eComStation
XenCenter client:
x86-based system
Microsoft® Windows® 2000,
Windows XP, Windows Server 2003,
Windows Server 2008 or Windows
Vista
.NET Framework 2.0 or above
CPU speed: 750 MHz minimum, 1
GHz or faster recommended
RAM: 512 MB minimum
Disk space: 100 MB minimum
Network interface card
vCenter Server:
・2.0GHz以上のx86プロセッ
サ(IntelまたはAMD)2CPU
・3GB以上のRAM
・2GB以上のストレージ
・Windows Server
2003/2008、XP
Professional SP2
vSphere Client:
・266MHz以上のx86プロ
セッサ(IntelまたはAMD)
・200MB以上のRAM
・1GB以上のストレージ
90
・x86プロセッサ
仮想化ソフトウェア機能比較
 機能
 OSSでも基本的な機能は十分に備えており、一部のソフトウェアではGUIによる管理をおこなうことができる。
Xen
KVM
VirtualBox
Citrix
XenServer
VMware ESXi
VMware
vSphere
Hyper-V
Windows
Server 2008
Hyper-V
Oracle VM
VirtualBox有
償版
ホスト間の仮想マシ
ン再配置機能
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ライブマイグレーショ
ン機能
○
○
○
○
×
○
○
○
○
自動化可能なスクリ
プト
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ハイパーバイザへの
パッチ適用手段
△
△
○
○
○
○
△
○
○
△
△
×
○
○
○
○
○
○
△
物理マシンからVM
△
外部ソフトウェ
への移行 (P2V) 外部ソフトウェア
ア
○
○
△
外部ソフトウェ
ア
○
×
×
○
USBデバイスのサ
ポート
○
○
×
○
×
×
×
×
○
仮想マシンや仮想
ハードディスクのライ
ブラリ管理機能
×
×
×
○
×
○
×
○
×
ストレージライブマイ
グレーション
×
×
×
×
×
○
×
×
×
基本機能
リモート管理
付加機能
91
4.3.2 システム監視・管理システムに関するソフトウェア
(a. 物理サーバ、仮想サーバ、ネットワーク機器、アプリケーションなどに対する汎用的な管理・監視ソフトウェア)
1) GroundWork Monitor
2) ZABBIX
3) Hinemos
4) Nagios
5) Xymon
6) 商用ソフトウェア(基本情報のみ)
7) 監視ソフトウェア機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
92
GroundWork Monitor : 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドの管理ツールとして十分な機能を持っている。日本語ドキュメントが最新版に対応していない
点やコミュニティが活発ではない点が課題である。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
日本語対応・日本語リソースがあり、また、主要な動作環境に対応している。
サポート
★★★★★
ドキュメント整備、企業サポート、コミュニティサポートともに充実している。
開発体制の安定性
★★☆☆☆
企業によって開発されているものの、コミュニティが活発ではない、ロードマップや機能追
加方針等が明確でない等の課題が多い。
成熟度
★★★★☆
3年以上開発が継続され、ダウンロード数も多い。クリティカルバグへの対応がやや遅い
点がマイナスポイントである。
機能
★★★★★
死活監視、リソース監視の機能において基本的な機能はすべて有しており、グラフ化機
能が充実している。Webインタフェースにより閲覧・設定が可能である。
活用事例
富士通のWebページに導入事例がいくつか紹介されている。
(http://www.ssl.fujitsu.com/products/sysope/groundwork/case.html)
93
GroundWork Monitor : 基本情報
 基本情報
 一つ前のバージョンではあるが、日本語パッチが日本語コミュニティから提供されている。
最新バージョン
6.1 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.groundworkopensource.com/
日本語コミュニティ
http://www.praesentia.co.jp/community/modules/tinyd3/
機能概要
ネットワーク監視および管理のための統合パッケージ。Nagios, Nmap, RRDtool等を一つの管理/監
視システムへ統合。
類似ソフトウェア
Hinemos、ZABBIX、Xymon、Nagios、JP1、SystemWalker、Tivoli
スクリーンショット
http://www.praesentia.co.jp/groundwork/groundwork_Japanese/products/screenshots.ht
ml
利用シーン
中小規模のシステム監視を低コストで自動化する。
標準準拠状況
不明
ライセンス
GPL version 2
GPLライセンスのもと無料で使用できるオープンソース版(Community Edition)と、サポートサービス
が保障された有償版(Professional/Enterprise)がある。
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
バージョン5.3に対しては日本語化パッチが提供されている。バージョン6.0には未対応
(http://www.praesentia.co.jp/community/modules/mydownloads/)。
94
GroundWork Monitor : 基本情報
 基本情報
 主要なサーバOS上で動作し、通常の社内システム環境には十分対応できると考えられる。
価格
Community Editionは無料
追加機能ならびにサポートサービス付のGroundWork Monitor Enterpriseは有料($40〜$95/台)ラ
イセンス費は無料。有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
【ハードウェア】
Intel x86 32-bit and 64-bit, AMD x86 32-bit and 64-bit
最小:* 4 GB RAM or more
* 2 CPU, 3 GHz P4 or better
* 160 GB disk
推奨:* Quad Core 2 class CPU
* 8 GB RAM or more
* 200GB disk for system
* 500GB disk for application
【ソフトウェア】
VMware ESX 3.x.
Linux、Unix、Windows
セントラルモニタリングサーバは下記のいずれか:
RHEL5 Server, 32 or 64-bit/RHEL 4, 32 or 64-bit/CentOS 5, 32 or 64-bit/CentOS 4, 32bit/Novell SuSE Linux Enterprise Server (SLES) 10 and 11
ブラウザFirefox 3.x/Internet Explorer 7 or 8
提供されているバイナリパッ
ケージ
32ビットバージョンと64ビットバージョンが提供されている。
95
GroundWork Monitor : サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されている。ただし、日本語ドキュメントはインストールマニュアルのみであり、また、最新
版には対応していない。
英語
日本語
ドキュメント
ビギナーガイドと製品ガイドが提供されている。
http://monitoringforge.org/projects/gwmos/docs
インストールマニュアルが公開されている。
http://www.praesentia.co.jp/community/modules/tinyd
2/
書籍
なし
なし
 サポート企業
 海外・日本ともに開発企業以外の複数の企業がサポートサービスを提供している。
英語
サポート企業
日本語
リセラーおよびインプリメンターとして、以下の企業がある。
富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、アイティークルー、プレセ
ンチア
GroundWork Open Source社
96
GroundWork Monitor : サポート
 コミュニティサポート
 ヘルプ掲示板、インストール掲示板とも月間30〜50トピック程度開始されているが、2009年後半は減少傾向
にある。
メーリングリストおよび
掲示板
4.5.11
50
5.0
英語
日本語
http://www.groundworkopensource.com/communi
ty/forums
http://www.praesentia.co.jp/community/modules/xh
newbb/
5.1
5.2
6.0
4.5.11
50
5.0
5.1
5.2
6.0
0
0
2006
2007
2008
2006
2009
2007
2008
2009
インストール掲示板の新規トピック数
ヘルプ(How do I …)掲示板の新規トピック数
97
GroundWork Monitor : 開発体制の安定性
 開発チーム
 コア開発者数は28名いるが、企業主体の開発である。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
GroundWork Open Source社が中心となって開発を進めている。
参加企業と参加形態
GroundWork Open Source社(米国)
コア開発者数・コミッタ数
28名
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 開発方針に関する情報は公開されておらず、将来の方向性が見えない。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
不明
標準化活動
不明
98
GroundWork Monitor : 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストや掲示板での開発に関する議論は活発ではない。バグトラッキングシステム(後述)が開発コ
ミュニティの役割も担っていると考えられるが、バグトラッキングシステムも活発とはいえない。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理(http://archive.groundworkopensource.com/groundwork-opensource/)
。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
掲示板(開発専門の掲示板はない)
http://www.groundworkopensource.com/community/forums/
GroundWork Wiki
http://www.groundworkopensource.com/wiki/index.php/Main_Page
99
GroundWork Monitor : 成熟度
 歴史
 開発は3年以上継続しており、メジャーバージョンアップを重ねているため成熟度は高い。また、通常、数回マイ
ナーリリースをおこなっておりしっかりとメンテナンスされている。
開発開始年
開発開始年は不明だが、初期バージョンは2006年6月に公開されている。
誕生と開発の経緯
不明
現在のバージョン
6.1 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
年に1回程度のメジャーバージョンアップをおこなっている。
マイナーリリースの頻度
メジャーバージョンアップの1〜数カ月後までに数回マイナーリリースをおこなうことが多い。
パッチ公開の頻度
不明
 人気度
 ダウンロード数が多いことから十分な利用者がいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
2009年9月に公開のバージョン6.0は約18,000ダウンロード(2009年1月現在)
のべダウンロード数
バージョン4.5.11 (2006年6月公開)から約150,000ダウンロード
100
GroundWork Monitor : 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。クリティカルバグの修正には平均して
80日かかっており、迅速とはいえない。
 QA等の規定は公開されていないが、企業による開発であるため、開発企業内では用意されている可能性もある。
バグトラッキングシステム
http://www.groundworkopensource.com:8080/secure/Dashboard.jspa で提供されて
いる。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:2(2009年12月16日現在)
総数:9(2007年5月からの累計)
フィックス期間:平均80日(6件)
バグ数とフィックス率
未対応:23(2009年12月16日現在)
総数:79(2007年5月からの累計)
フィックス率:71%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
101
GroundWork Monitor : 機能
 情報収集機能、表示機能
 情報収集機能は充実しており、RRDtoolを用いたグラフ化機能も充実している。
 Nagiosの設定を含め、設定や閲覧をWebブラウザを通しておこなうことができ、グラフやマップの表示機能
にも対応している。
情報収集機能
リソース監視
CPU負荷状況、ロードアベレージ、ディスク使用率等の監視に対応
仮想マシン監視
不明
ネットワーク監視
ping監視、ネットワークトラフィック監視に対応
SNMP監視
SNMP監視に対応
設定方法
Webブラウザ
データ保存形式
RRDtool
表示機能
表示インタフェース
Webブラウザ
障害履歴機能
表示可能
グラフ表示機能
RRDtool やCactiによるグラフ化が可能
マップ表示機能
ネットワークマップの作成、更新が可能
102
GroundWork Monitor : 機能
 異常検知・通知機能、付加機能
 運用・管理をおこなうための機能は実装されておらず、監視機能のみが実装されている。
(クラウド環境の運用・管理については、クラウド管理ソフトウェアで対応することが可能である。)
異常検知・通知機能
異常検知、設定方法
Webブラウザにより設定可能
通知方法・対処方法
メール、SMS、スクリプト実行、サービスのリスタート
付加機能
ハードウェア監視(機能、設
定)
未対応
主要アプリケーション監視
(機能、設定)
プロセス監視には対応
ジョブ管理
未対応
資産・配布管理
未対応
セキュリティ管理
未対応
ストレージ管理(バックアップ
管理)
未対応
IPv6対応
不明
103
ZABBIX: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドの管理ツールとして十分な機能を持ち、開発体制も安定している。成熟度やサポート体制にも
大きな問題はない。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
日本語対応・日本語リソースが充実し、また、多くの動作環境に対応している。
サポート
★★★★★
ドキュメント整備、企業サポート、コミュニティサポートともに充実している。
開発体制の安定性
★★★★☆
企業によって開発され、また、開発のオープン性も高く、開発の安定性は高い。ロードマッ
プや機能追加方針等が明確でない点は課題である。
成熟度
★★★★★
もともと企業向けに開発したソフトウェアである上に10年以上着実にバージョンアップを
重ねてきており、成熟度は高い。バグ対応もオープンで迅速である。
機能
★★★★★
死活監視、リソース監視の機能において基本的な機能はすべて有しており、仮想マシン
にも商用テンプレートを利用すれば対応可能。Webインタフェースによりすべての閲覧・
設定をおこなうことができる。
活用事例
カシオ計算機(カシオ情報システム)では、メールサーバをZABBIXで監視している。
ABCクッキングスタジオにも全面的に導入されている。
104
ZABBIX: 基本情報
 基本情報
 日本語対応がおこなわれ、日本語コミュニティもあるため導入の障壁は低い。
最新バージョン
1.8.2 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.zabbix.com/
日本語コミュニティ
http://www.zabbix.jp/
機能概要
サーバ、ネットワーク、アプリケーションの統合監視ツール。監視・障害検知・通知機能があり、これらの機能に
Web上のインタフェースからアクセスできるようになっている。
類似ソフトウェア
Hinemos、Nagios、Xymon、GroundWork Monitor、JP1、SystemWalker、Tivoli
スクリーンショット
http://www.zabbix.com/screenshots.php
利用シーン
中小規模のシステム監視を低コストで自動化する。
標準準拠状況
SNMP V1〜3、IPMI
ライセンス
GPL version 2
以前のバージョンでは、ZABBIX(GPL)はlibsnmp(修正BSD)とリンクしており、さらにlibsnmpはlibssl(宣伝条
項付きBSD)とリンクしていた。宣伝条項付きBSDは「宣伝を表示すること」という制約があるのでGPLとは相容れ
ない。
ZABBIX1.4.1以降では、libcurl4-openssl-devではなくlibcurl4-gnutls-devを使用している。
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C言語(サーバ)、PHP(フロントエンド)
国際化対応
日本語、英語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語、スペイン語、ラトビア語
※日本語を含め、多言語に対応している。
105
ZABBIX: 基本情報
 基本情報
 多くのOS上で動作し、通常の社内システム環境には十分対応できると考えられる。
価格
ライセンス費は無料。有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
■サーバ
【ハードウェア】
最小:10MBディスクスペース、64MB RAM、Pentium CPU
推奨:100MBディスクスペース、256MB RAM、Pentium 4以降のCPU
【ソフトウェア】
AIX、FreeBSD、HP-UX、Linux、Mac OS X、Open BSD、SCO Open Server、Solaris、Tru64/OSF。
■エージェント
【ソフトウェア】
上記に加え、Novell Netware、Windows 4.0/2000/2003/XP/Vistaでも動作。
※代表的な環境だけでなく、多様なプラットフォームに対応している。
提供されているバイナリパッ
ケージ
サーバはソースコードのみ。ただし、ALT Linux, Asianux Server (ミラクル・リナックス), CRUX Linux,
Debian GNU Linux, Fedora Core Linux, Gentoo Linux, Network Security Toolkit, Ubuntu
Linux, FreeBSDには同梱されている。
エージェントは以下のバイナリパッケージが提供されている。
AIX 5.3/6.1 (PowerPC), FreeBSD 4.2/6.2/7.0 (i386), HP-UX 11.31 (PA-RISC), Linux 2.4.x
(i386)/2.6.x (i386, x64), MacOS X (i386), OpenBSD 4.3 (i386), Solaris 5.10 (Sparc) /5.11
(i386), Windows (i386, x64)
106
ZABBIX: サポート
 ドキュメント整備状況
 日本語書籍も発刊されており、ドキュメントはよく整備されている。
英語
日本語
ドキュメント
インストールマニュアル、クイックスタートマニュアル、ユーザマ
ニュアル、リファレンスマニュアル)が提供されている。
http://www.zabbix.com/documentation/
有り(http://www.zabbix.com/documentation.php、
http://www.zabbix.jp/modules/bwiki/)。ただし、バージョン
1.6まで(2009年12月現在)。
また、ミラクル・リナックスがZabbix社の許可を得て日本語マニュ
アルを公開している。
書籍
ZABBIX専門の書籍("Zabbix 1.6 Network Monitoring")があ
る。また、
"Sarbanes-Oxley IT Compliance Using Open Source
Tools, Second Edition"等の書籍にて紹介されている。
「Zabbix統合監視[実践]入門」(寺島広大著)。
また、「オープンソースを使ったネットワーク監視術」、「Software
Dedign 2008年11月号」の特集等で紹介されている。
 サポート企業
 海外・日本ともに開発企業以外の複数の企業がサポートサービスを提供している。
英語
サポート企業
日本語
開発元のZABBIX SIA、パートナー(5社)、販売代理店(7社)。
ZABBIX SIA からはBronze, Silver, Gold, Platinumの4種類
のサポートサービスが提供されている(価格は非公開)。
107
NTTコムテクノロジーがパートナー、ミラクル・リナックスが販売
代理店。
NTTコムテクノロジーは保守サービスを1監視サーバあたり年間
320万円で提供。ミラクル・リナックスはOSとZABBIXの専用イン
ストーラを98,000円で提供。サポート費は30万円(監視対象
20台まで)。
ZABBIX: サポート
 コミュニティサポート
 掲示板でのサポートが充実している。利用方法に関する質問を受け付けるヘルプ掲示板でのやりとりは活発で
あり、増加傾向にある。また、トラブルシューティング掲示板はバージョンアップのタイミングで問題が増加してい
ることがわかる。1〜2ヶ月程度で収束しており、多くの問題はこの期間で解決していると考えられる。
英語
200
日本語
メーリングリストおよび
掲示板
http://www.zabbix.com/forum/ にて、インストールや
設定等の掲示板が提供されている。
1.0
1.1
1.4
1.6
1.8
200
150
150
100
100
50
50
0
http://www.zabbix.jp/modules/newbb/ (日本語)にて、
インストールや設定等の掲示板が提供されている。
1.0
1.1
1.4
1.6
1.8
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2004
2005
2006
2007
2008
2009
トラブルシューティング掲示板の新規トピック数
ヘルプ掲示板の新規トピック数
108
ZABBIX: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発であるが、外部からのパッチ投稿も多く、オープンな開発だといえる。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
ZABBIX SIAが中心となって開発を進めている。プロジェクトのオーナー兼プロダクトマネージャ
をCEOのAlexei Vladishev氏が務めている。
参加企業と参加形態
ZABBIX SIA(ラトビア)がプロジェクトを主導
コア開発者数・コミッタ数
17名(コミッタ数)
開発者数
192名(パッチ掲示板へのパッチ提供者数)
※パッチ提供にはZABBIXのソースコードをある程度理解している必要がある。技術のある開発
者が192名いるという状況は迅速なバグ修正・機能追加につながり、ひいては開発の安定化に
つながる。
 開発方針の策定方法
 明確なロードマップが定められていない点は課題だが、ユーザからの要望は整理されて公開されており、ユーザ
の要望が取り込まれやすい環境になっている。
要求仕様策定方法
バグトラッキングシステムで開発予定の機能のリストを管理している。開発優先度はAlexei
Vladishev氏が判断していると考えられる。
※機能リストが公開されている点は評価できる。開発優先度の設定基準が明確になるとなお良
い。
開発ロードマップ
ロードマップは公開されていない。
標準化活動
不明
109
ZABBIX: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 ベータ版に関する議論は活発におこなわれている。正式リリースとともに議論は終了している様子がわかる。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理している(svn://svn.zabbix.com)。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
掲示板(http://www.zabbix.com/forum/ )およびバグトラッキングシステムが
(https://support.zabbix.com/)ある。
※以前ほど活発ではないが、ベータ版開発に興味のあるユーザが一定数いることがうかがえる。
150
1.0
1.1
1.4
1.6
1.8
100
50
0
2004
2005
2006
2007
2008
ベータ掲示板の新規トピック数
110
2009
ZABBIX: 成熟度
 歴史
 開発は10年以上継続しており、メジャーバージョンアップを重ねているため成熟度は高い。また、もともと企業向
けに開発されたソフトウェアであることから信頼性は高いと考えられる。
開発開始年
1998年
誕生と開発の経緯
1998年に銀行の内部プロジェクトとして開始。2001年にOSSとして公開。
2005年にZABBIX SIAを設立。
現在のバージョン
1.8.2 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
メジャーバージョンアップは1年に1回程度おこなわれている。
マイナーリリースの頻度
バージョン1.1から1.6までは、6〜8回のマイナーバージョンアップがおこなわれた。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は多く、また、複数のディストリビューション(※「提供されているバイナリパッケージ」の項参
照)に含まれていることから十分な利用者がいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
2009年8月リリースの1.6.6は26,000ダウンロード。
2009年12月リリースの1.8は17,000ダウンロード。
のべダウンロード数
約450,000ダウンロード(SourceForge.netより)。
111
ZABBIX: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。クリティカルバグに関しては早ければ
10日以内で対応する等、対応は迅速である。
 QA等の規定は公開されていないが、企業による開発であるため、開発企業内では用意されている可能性もある。
バグトラッキングシステム
https://support.zabbix.com/で提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:8(2009年12月16日現在)
総数:106(2007年8月からの累計)
フィックス期間:平均174日(66件)。ただし、10日以内が20件、半年以上が36件。
※重要度が「Critical」と設定されたバグを集計。
※長期間修正されていないバグの中には、「解決」しているもののBTSで「クローズ」し忘れてい
たバグも多い。迅速な対応がなされていると考えてよいだろう。
バグ数とフィックス率
未対応:236(2009年12月16日現在)
総数:1129(2007年8月からの累計)
フィックス率:79%
※バグ数が多いようにも思えるが、おおむね修正されており、むしろバグトラッキングシステムを
積極的に利用している証と考えた方がよい。
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
112
ZABBIX: 機能
 情報収集機能、表示機能
 情報収集機能は充実しており、RDBMSを利用しているため、データの再利用が容易である。
 すべての設定や閲覧をWebブラウザを通しておこなうことができ、グラフやマップの表示機能にも対応してい
る。
情報収集機能
リソース監視
CPU負荷状況、メモリ使用状況、ディスク使用状況、 ファイル監視等に対応
仮想マシン監視
商用テンプレートによりVMware ESX等に対応可能。
ネットワーク監視
ネットワーク使用状況、プロセス監視、ポート監視等に対応
SNMP監視
SNMP v1/v2/v3に対応
設定方法
Webブラウザ
データ保存形式
RDBMS(MySQL、PostgreSQL、Oracle、 SQLite)
表示機能
表示インタフェース
Webブラウザ
障害履歴機能
表示可能
グラフ表示機能
折れ線グラフ、積算グラフ、1つのグラフに複数項目を重ねて表示にも対応。
マップ表示機能
ネットワークマップを作成可
113
ZABBIX: 機能
 異常検知・通知機能、付加機能
 運用・管理をおこなうための機能は実装されておらず、監視機能のみが実装されている。
(クラウド環境の運用・管理については、クラウド管理ソフトウェアで対応することが可能である。)
異常検知・通知機能
異常検知、設定方法
Webブラウザにより設定可能
通知方法・対処方法
メール、SMS、Jabber、スクリプト実行(マネージャ側)、スクリプト実行(エー
ジェント側)
付加機能
ハードウェア監視(機能、設
定)
未対応
主要アプリケーション監視
(機能、設定)
プロセス監視には対応。アプリケーション監視を設定可能
ジョブ管理
未対応
資産・配布管理
未対応
セキュリティ管理
未対応
ストレージ管理(バックアップ
管理)
未対応
IPv6対応
サポートしている
114
Hinemos: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性:
 社内向けクラウドの管理ツールとして十分な機能を持っている。大手企業による開発であるが、開発がクローズ
であり、コミュニティ活動が活発ではない等の課題がある。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
動作環境にやや制約があるものの、日本語リソースは充実している。
サポート
★★★☆☆
ドキュメント整備、企業サポートはともに充実している一方、コミュニティによるサポートが
ほとんど期待できない。
開発体制の安定性
★★☆☆☆
大手企業によって開発されているものの、要望集積場所やロードマップがない、開発コ
ミュニティがない等課題が多い。
成熟度
★★★★☆
6年以上開発が着実に開発が進められているものの、バグの状況が不透明という課題
がある。
機能
★★★★☆
監視のための機能だけでなく、付加機能である管理機能についても実装されており、仮
想マシンにも有償オプションを利用すれば対応可能。設定や閲覧は専用クライアントを
用いる。
活用事例
開発元でもあるNTTデータのWebページに導入事例がいくつか紹介されている。
(http://www.hinemos.info/case/)
115
Hinemos : 基本情報
 基本情報
 日本で開発されたソフトウェアであるため、日本語版や日本語コミュニティが中心となっている。
最新バージョン
3.1.4 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.hinemos.info/
日本語コミュニティ
http://www.hinemos.info/
機能概要
ユーザが運用目的ごとにコンピュータをグループ登録し、グループに対して監視管理、ジョブ管理、性能
管理、一括制御をおこなう機能を備えている。
類似ソフトウェア
ZABBIX, Nagios、Xymon、GroundWork Monitor、JP1、SystemWalker、Tivoli
スクリーンショット
http://www.hinemos.info/hinemos/catalog.php
利用シーン
ユーザが運用目的ごとにコンピュータをグループ登録することで、運用目的に応じた監視や操作をGUI
でおこなうことが可能である。
標準準拠状況
不明
ライセンス
GPL version 2
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
日本語のみ
116
Hinemos : 基本情報
 基本情報
 動作環境がWindowsとRHELに限定されている。
価格
無料
パートナー企業が有償サポートサービスを提供。
動作環境
■マネージャパッケージ
【ハードウェア】CPU: Xeon 2.4GHz、メモリ: 2GByte、HDD: 5GByte(※)
【ソフトウェア】RHEL 5
■クライアントパッケージ
【ハードウェア】 CPU: Pentium4 2.8GHz、メモリ: 1GByte、HDD: 1GByte(※)、ディスプレイ:
1280x1024
【ソフトウェア】 Windows XP SP2/Vista
■エージェントパッケージ
【ハードウェア】 CPU: Pentium III、メモリ: 256MByte、HDD: 1GByte(※)
【ソフトウェア】 RHEL 4 update 4/5 update 1, Windows/2000 Advanced Server, Server 2003
R2 Enterprise Edition, Server 2008 Service Pack 1
提供されているバイナリパッ
ケージ
Windows版、RHEL 4/5版
117
Hinemos : サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントは日本語で整備されている。
英語
日本語
ドキュメント
なし
エージェントfor Windowsセットアップガイド、インストールマニュ
アル、設定リファレンス、ユーザマニュアル
http://sourceforge.jp/projects/hinemos/releases/?pack
age_id=4738
書籍
なし
Software Design (ソフトウエア デザイン) 2008年 02月号
「Hinemosによるネットワーク統合管理のすべて」
 サポート企業
 日本で開発企業だけでなく複数の企業がサポートサービスを提供している。
英語
サポート企業
日本語
開発元のNTTデータ、ソリューションパートナー、テクニカルパー
トナー等
なし
118
Hinemos : サポート
 コミュニティサポート
 月間数件程度の投稿しかなく、ほとんど利用されていない。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
SourceForgeにフォーラムやメーリングリストがある。
http://sourceforge.jp/projects/hinemos/forums/
http://sourceforge.jp/projects/hinemos/lists/archive
/mailing-list/
なし。
119
Hinemos : 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発である。大手企業が主導しているため信頼性は高い。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
NTTデータが開発している。
参加企業と参加形態
NTTデータ
コア開発者数・コミッタ数
4名(SourceForge.jpに「開発者」として登録された人数)
開発者数
11名(SourceForge.jpに「プロジェクトメンバ」として登録された人数)。
 開発方針の策定方法
 ロードマップや要望の集積方法等が明確ではない。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
不明
標準化活動
不明
120
Hinemos : 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発コミュニティは事実上機能していないと言える。
ソースコードレポジトリ
SourceForge.jpにCVSはあるが、現在は利用されていない。
http://sourceforge.jp/projects/hinemos/cvs/
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
開発専用のメーリングリストや掲示板はない。
121
Hinemos : 成熟度
 歴史
 開発は6年以上継続しており、メジャーバージョンアップを重ねているため成熟度は高い。また、大手企業が開発
しているソフトウェアであることから信頼性は高いと考えられる。
開発開始年
2004年
誕生と開発の経緯
OSSとして公開することを前提とした開発(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が推進する
平成16年度オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業の一つである「分散ファシリティ統合
マネージャの開発」の委託)
2005年8月にHinemosの最初の公開バージョンであるバージョン1.0をリリースし、2006年3
月のバージョン2.0、2006年10月のバージョン2.1を経て、2007年1月にバージョン2.1.1をリ
リース。
現在のバージョン
3.1.4 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
2008年3月(2.4.0)、2008年10月(3.0.0)、2009年4月(3.1.0)と半年程度ごとに比較的大きな
バージョンアップをしている。
マイナーリリースの頻度
次バージョンのリリース前後まで、5回程度のマイナーリリースがおこなわれている。
パッチ公開の頻度
なし。
 人気度
 ダウンロード数は比較的多い。このほとんどが日本人であると考えられるため、日本での利用者は比較的多いと
考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
2009年8月リリースの3.1.3は2,600程度のダウンロード(マネージャーのダウンロード数)
のべダウンロード数
約3,500ダウンロード(SourceForge.jpより)
122
Hinemos : 成熟度
 バグ対応
 公開されているバグトラッキングシステムは事実上利用されていない。
 QA等の規定は公開されていないが、大手企業による開発であるため、開発企業内では用意されている可能性
もある。
バグトラッキングシステム
http://sourceforge.jp/ticket/newticket.php?group_id=2177&display_mode=simple
で提供されているが、ほとんど利用されていない。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
不明
バグ数とフィックス率
不明
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
123
Hinemos : 機能
 情報収集機能、表示機能
 基本的な情報収集機能は有しているが、マップ表示機能には未対応。
 ユーザインフェースとして専用クライアントを用いている。
情報収集機能
リソース監視
CPU・メモリ・ディスクのリソース情報を、グループまたは管理対象ごとに管理可能
仮想マシン監視
有償オプションであるVM管理オプションにより対応
ネットワーク監視
ping監視、プロセス監視、HTTP監視等に対応
SNMP監視
SNMP監視対応
設定方法
専用クライアント
データ保存形式
RDBMS
表示機能
表示インタフェース
専用クライアント
障害履歴機能
障害履歴のレポート機能には非対応
グラフ表示機能
リアルタイム性能グラフ表示機能
マップ表示機能
未対応
124
Hinemos : 機能
 異常検知・通知機能、付加機能
 ジョブ管理機能や、管理対象へのパッチ適用が可能な一括制御機能を有しており、監視だけでなく管理の
ための機能を持つ。
異常検知・通知機能
異常検知、設定方法
専用クライアントにより設定
通知方法・対処方法
メール、ジョブの実行
付加機能
ハードウェア監視(機能、設
定)
未対応
主要アプリケーション監視
(機能、設定)
HTTP監視、プロセス監視に対応
ジョブ管理
ジョブの定義、ジョブからの開始・停止・中断・再開等に対応
資産・配布管理
一括制御機能により管理対象へのパッチ適用等に対応
セキュリティ管理
未対応
ストレージ管理(バックアップ
管理)
未対応
IPv6対応
ジョブ管理エージェント以外は対応
125
Nagios: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性:
 社内向けクラウドの管理ツールとして十分な機能を持ち、成熟度やサポート体制にも大きな問題はない。開発体
制は安定しているが、閉鎖的な点が課題である。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
特殊な動作環境は要求しないがLinuxまたはUNIX環境が必要である。
サポート
★★★★★
ドキュメント整備、企業サポート、コミュニティサポートともに充実している。
開発体制の安定性
★★★★☆
企業によって開発されており、開発の安定性は高い。開発体制があまりオープンではな
い点、ロードマップや機能追加方針等が明確でない点は課題である。
成熟度
★★★★★
着実にバージョンアップを重ね、また、利用者数も多く成熟度は高い。
機能
★★★★☆
死活監視、リソース監視の基本的な機能は実装されている。表示はWebブラウザを利用
しているが、設定作業はテキストエディタを用いなければならない。
活用事例
オリンパスでは、HTTP・NTPサービスの動作監視に使用している。カシオ計算機では、
Nagiosを利用して仮想化によるサーバ統合を推進した。
126
Nagios: 基本情報
 基本情報
 日本語対応がおこなわれているが旧バージョンのため、英語版を利用する必要がある。
最新バージョン
3.2.1 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.nagios.org/
日本語コミュニティ
http://sourceforge.jp/projects/nagios-jp/
http://nagios.x-trans.jp/naija/
機能概要
システムおよびネットワークの監視ツール。指定されたホストやサービスを
監視し、障害や復旧時にアラートを管理者に送る機能がある。
類似ソフトウェア
Hinemos、ZABBIX、Xymon、GroundWork Monitor、JP1、
SystemWalker、Tivoli
スクリーンショット
http://www.nagios.org/about/screenshots
利用シーン
中小規模のシステム監視を低コストで自動化する。
標準準拠状況
SNMPにはプラグインで対応
国際化対応
バージョン2に対しては日本語化パッチが提供されているが、バージョン3に
は未対応(http://nagios.x-trans.jp/naija/)。
127
Nagios: 基本情報
 基本情報
 動作環境には特別な環境を要求しないため、導入の敷居は低い。
価格
無料
ただし、有償サポートサービスを提供(3インシデント$995、BASIC $2,495/年、
Standard $5,995/年)。
また、Nagiosを拡張したNagios XIもある(ホスト数無制限で$1,295)。
動作環境
【ハードウェア】
明記されていない(下記のソフトウェアが動作する環境)。
【ソフトウェア】
Linux(ならびにその他UNIX)、
TCP/IP、ウェブサーバ (推奨はApache)、GDライブラリ バージョン 1.6.3かそれ以降
ライセンス
GPL version 2
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C言語(サーバ)
提供されているバイナリパッケージ
コミュニティのウェブサイトからは提供されていないが、Ubuntu, SUSE Enterprise
Linux/openSUSE, Debian GNU Linux等のディストリビューションに含まれている
(CentOS用のパッケージはサードパーティが提供)。
128
Nagios: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備され、日本語書籍も販売されている。ただし、書籍は最新バージョンに対応していない。
英語
ドキュメント
日本語
マニュアル(インストールマニュアル、ユーザマ
ニュアル、設定マニュアル、開発者向けマニュ アスペクトシステム社が日本語版を提供してい
アル)、FAQが提供されている。
る。
http://nagios.sourceforge.net/docs
http://oss.aspect-sys.co.jp/nagios_jp/
http://support.nagios.com/knowledgebase/faq
s
"Nagios: System and Network
Monitoring" (W. Barth), "Learning Nagios
3.0" (W. Kocjan), "Nagios 3 Enterprise
Network Monitoring: Including Plug-Ins
and Hardware Devices" (M. Schubertら)
等
書籍
「Nagios 2.0オープンソースではじめるシステ
ム&ネットワーク監視」(佐藤 省吾)
 サポート企業
 日本でもサポートサービスを提供している企業があり、必要に応じてこれらのサービスを購入することができる。
英語
サポート企業
日本語
Nagios社以外にオーストラリア、南米、アジア、
公式のパートナーではないが、数社がNagiosを
アフリカ等にResellers、Technology
利用したシステム提供やパッケージ販売をおこ
Partners、Service Partnersの企業が15社
なっている。
ある。
129
Nagios: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストには月間数百件の投稿数があり、コミュニティサポートは充実している。2003年をピークに投稿
数はやや減少傾向にあるが、それでも活発なコミュニティであることに変わりはない。
英語
日本語
掲示板(
メーリングリストお
よび掲示板
http://wiki.nagios.org/index.php/Forums)や
メーリングリスト(
http://wiki.nagios.org/index.php/Mail_Lists)が
日本語の掲示板やメーリングリストはない。
提供されているが、掲示板よりもメーリングリ
ストが利用されている。
1600
1.0
1.1
1.2
1.32.0 2.5 2.6 2.9 2.10 3.0
3.1.0 3.2.0
2006
2009
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
2002
2003
2004
2005
2007
ユーザーズメーリングリストの投稿数
130
2008
Nagios: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発であり、コミッタはNagios社のメンバに限られる。ただし、開発用メーリングリストには多くの
ユーザから投稿があり、開発に興味を持っている人々は多い。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Nagios社を中心に開発が進められ、中でもEthan Galstad氏が主開発者である。プラ
グインはKarl DeBisschop, Subhendu Ghosh, Ton Voon, Stanley Hopcroftの4名
が中心となっている。
参加企業と参加形態
Nagios社がプロジェクトを主導
コア開発者数・コミッタ数
コアチーム:6名、プラグインチーム:8名。
メインレポジトリへのコミット者数11名。
開発者数
約850名(開発メーリングリストに投稿されたメールの差出人数)
 開発方針の策定方法
 明確なロードマップが定められていない点は課題だが、ユーザからの要望は整理されて公開されており、ユーザ
の要望が取り込まれやすい環境になっている。
 要望収集ポータルには「コア開発チームを拡大すべき」という要望が挙げられ、多くの賛同が得られている。
Nagios社以外の開発者をどのように取り込んでいくかが課題である。
要求仕様策定方法
要望を収集するためのポータルを用意している(http://ideas.nagios.org/)。
開発ロードマップ
ロードマップは公開されていない。
標準化活動
不明
131
Nagios: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発用メーリングリストはバージョンアップの前後に特に活発になっている。投稿数はわずかながらではあるが
増加傾向にあり、開発は着実に進められている。
ソースコードレポジトリ
開発関連のメーリングリスト
および掲示板
250
CVS (nagios.cvs.sourceforge.net)およびGit (
nagios.git.sourceforge.net/gitroot/nagios/nagios)で管理している。
掲示板(http://wiki.nagios.org/index.php/Forums)やML
(http://wiki.nagios.org/index.php/Mail_Lists)が提供されている。また、バグ
トラッキングシステムも提供されている。掲示板よりもメーリングリストが利
用されている。
1.0
1.1
1.2
1.32.0 2.5 2.6 2.9 2.10 3.0
3.1.0 3.2.0
2006
2009
200
150
100
50
0
2002
2003
2004
2005
2007
2008
開発者メーリングリストの投稿数
132
Nagios: 成熟度
 歴史
 開発は7年以上継続しており、メジャーバージョンアップを重ねているため成熟度は高い。また、頻繁にマイナーリ
リースをおこなっており、問題点には適宜対応していると考えられる。
開発開始年
2002年5月(バージョン1.0のベータ版がリリース)
誕生と開発の経緯
NetSaintというソフトウェアの開発を引き継いだ。
現在のバージョン
3.2.1 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
メジャーバージョンアップは1年に1回以下である。
マイナーリリースの頻度
1〜数カ月に1回程度マイナーリリースがおこなわれている。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は非常に多く、数多くのユーザに利用されている。
最近のバージョンの最大ダウ
ンロード数
2009年8月リリースのバージョン3.2.0は約100,000ダウンロード
のべダウンロード数
過去1年間で約670,000ダウンロード(SourceForge.netより)。
133
Nagios: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開されているが、報告されたバグへの対応は積極的ではない。また、主開発者に
よって登録された登録日と解決日が同じバグも多く、バグ管理というよりもバグ修正報告の場に近い位置づけと
なっている。
 QA等の規定は公開されていないが、企業による開発であるため、開発企業内では用意されている可能性もある。
バグトラッキングシステム
バグトラッキングシステム(http://tracker.nagios.org/)が提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:14(2009年12月16日現在)
総数:20(2009年5月からの累計)
フィックス期間:平均22日(6件)
※重要度が「major」以上のバグを集計。
※バグ報告によっては対応が早いが、ばらつきが大きい。
バグ数とフィックス率
未対応:80(2009年12月16日現在)
総数:108(2009年5月からの累計)
フィックス率:26%
※重要ではないバグに対しては反応が鈍い。スペルミスの指摘のような簡単なバグ報告であっ
ても放置されていることがある。
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
134
Nagios: 機能
 情報収集機能、表示機能
 基本的な情報収集機能はすべて備えているが、リソースデータのグラフ表示をおこなうには外部のソフト
ウェアと組み合わせる必要がある。
 表示はWebブラウザだが、設定はテキストエディタを用いる必要がある。
情報収集機能
リソース監視
CPU、ロードアベレージ、ディスク使用率等の監視に対応
仮想マシン監視
外部のソフトと組み合わせることで一部OS対応可
ネットワーク監視
基本機能はping監視のみだが、プラグインにより対応
SNMP監視
SNMP監視対応
設定方法
テキストエディタ
データ保存形式
テキストファイル
表示機能
表示インタフェース
Webブラウザ
障害履歴機能
表示可能
グラフ表示機能
障害履歴のデータのみグラフ化可能であり、リソースデータのグラフ化には
外部ソフトウェアの導入が必要
マップ表示機能
ネットワークマップを作成可能
135
Nagios: 機能
 異常検知・通知機能、付加機能
 運用・管理をおこなうための機能は実装されておらず、監視機能のみが実装されている。
(クラウド環境の運用・管理については、クラウド管理ソフトウェアで対応することが可能である。)
異常検知・通知機能
異常検知、設定方法
Webブラウザ、テキストエディタにより設定可能
通知方法・対処方法
メール、SMS、スクリプト実行(マネージャ側)
付加機能
ハードウェア監視(機能、設
定)
未対応
主要アプリケーション監視
(機能、設定)
プロセス監視に対応
ジョブ管理
未対応
資産・配布管理
未対応
セキュリティ管理
未対応
ストレージ管理(バックアップ
管理)
未対応
IPv6対応
それぞれのプラグインにより対応
136
Xymon : 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 コミュニティ活動は活発だが、開発が停滞している。また、機能面ではWebを利用した設定ができないといった
課題がある。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
多くの動作環境に対応しているが、日本語対応・日本語リソースがない。
サポート
★★★☆☆
ドキュメントは英語のみ整備されている。企業サポートはないが、コミュニティサポートは
充実している。
開発体制の安定性
★★☆☆☆
コミュニティ活動は活発だが、個人に依存した開発である。実際、最近は主開発者が多
忙であることを理由に、開発が停滞している。
成熟度
★★★☆☆
開発期間やダウンロード数は十分だが、バグへの対応状況がわからない等課題も多い。
機能
★★★★☆
基本的な情報収集機能は有しているが、障害履歴やマップの表示には未対応である。一
部の設定にはテキストエディタを用いる必要がある。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
137
Xymon : 基本情報
 基本情報
 日本語化バージョンや日本語コミュニティは存在しない。
最新バージョン
4.2.3 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.xymon.com/
http://hobbitmon.sourceforge.net/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
Big Brotherシステムに影響されたホストとネットワークの監視システム。リアルタイムモニタリング、
Webインタフェース、データの履歴、パフォーマンスグラフとレポート等の機能がある。
類似ソフトウェア
ZABBIX, Nagios、Hinemos、GroundWork Monitor、JP1、SystemWalker、Tivoli
スクリーンショット
不明
利用シーン
不明
標準準拠状況
不明
ライセンス
GPL version 2
その他知財権に関する問題
以前の名称は「Hobbit」であったが、 2008年11月、商標の問題を理由として、名称を変更している。
主な開発言語
C言語、UNIX Shell
国際化対応
不明
138
Xymon : 基本情報
 基本情報
 POSIX準拠のOS上で動作するため、多くの環境に対応している。
価格
無料
動作環境
【ソフトウェア】
オペレーティングシステム: POSIX (Linux,BSD,Solaris 等)
提供されているバイナリパッ
ケージ
ソースコードのみでの提供
139
Xymon : サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されているが、英語版のみである。
英語
日本語
ドキュメント
オンラインドキュメント
* About Hobbit
* Installing a standalone Hobbit server
* Configuring Hobbit
* Setting up alerts
* Known problems
* Tips and Tricks
* Hobbit man-pages
http://www.xymon.com/hobbit/help/manpages/
http://www.xymon.com/hobbit/help/install.html
なし
書籍
なし
SoftwareDesign 2009年5月号の添付CD-ROMに、2006年
12月号のHobbitについての記事が収録されている。
 サポート企業
 サポートサービス等を提供している企業はない。
英語
サポート企業
日本語
なし
なし
140
Xymon : サポート
 コミュニティサポート
 ユーザ用と開発用が区別されていないものの、メーリングリストでのやりとりが非常に活発である。ただし、2009
年からはやや減少傾向にある。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
メーリングリストがある。開発用とは区別されていない。
http://www.hswn.dk/hobbiton/
1,000
4.0
4.1
Hobbit日本語メーリングリスト「hobbit-j」
4.2.0
4.2.2 4.2.3
800
600
400
200
0
2005
2006
2007
2008
メーリングリストへの投稿数
141
2009
Xymon : 開発体制の安定性
 開発チーム
 個人によって開発が進められている。メーリングリストの情報によるとStorner氏が多忙であることにより開発が
停滞している。
開発主体
個人
開発主体の詳細
Henrik Storner氏
参加企業と参加形態
なし
コア開発者数・コミッタ数
Henrik Storner氏(レポジトリには他に5名のコミッタがいるが、Storner氏の貢献がほとんどで
ある。)
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 ロードマップや要求仕様の策定方法は定まっていない。メーリングリストを活用しているものと考えられる。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
不明
標準化活動
不明
142
Xymon : 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発専用のコミュニティはないが、メーリングリストにおいてテーマを絞らない活発な議論がおこなわれている。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理(http://hobbitmon.svn.sourceforge.net/viewvc/hobbitmon/)。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
メーリングリストがある。ユーザ用とは区別されていない。
http://www.hswn.dk/hobbiton/
143
Xymon : 成熟度
 歴史
 前身のbbgenを含めると8年以上開発が継続しており、成熟度は高い。ただし、2009年以降は開発が停滞して
いる。
開発開始年
bbgen version 1.x, 2.x and 3.x(2002-2004)
Hobbit(2005-November 2008)
Xymon(2008 Dec.-)
誕生と開発の経緯
個人による開発
現在のバージョン
4.3.0 beta2(2009年4月リリース)
安定版は4.2.3(2009年2月リリース、2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
メジャーバージョンアップは1年に1回以下。
2009年4月以降新バージョンがリリースされていない。
マイナーリリースの頻度
2005年頃は月に1回、2008年頃は3ヶ月に1回程度であったが、2009年2月以降バージョン
アップは止まっている。
パッチ公開の頻度
不明
 人気度
 1バージョンあたり5,000件程度のダウンロードがあり、一定数のユーザがいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
最新版は安定版、ベータ版ともに5,000ダウンロード程度。
のべダウンロード数
バージョン4 (2005年3月リリース)以降はのべ74,000ダウンロード。
144
Xymon : 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開されているがほとんど利用されていない。
 リリース条件等も明確ではなく、個人に依存した開発と推察される。
バグトラッキングシステム
バグトラッキングシステム(http://sourceforge.net/tracker/?group_id=128058)が提供され
ているが、ほとんど利用されていない。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
不明
バグ数とフィックス率
不明
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
145
Xymon : 機能
 情報収集機能、表示機能
 基本的な情報収集機能は有しているが、障害履歴やマップの表示には未対応である。
 表示インタフェースはWebブラウザであるが、一部の設定はテキストエディタでおこなう必要がある。
情報収集機能
リソース監視
プロセス、CPU使用率、ディスク使用率等に対応
仮想マシン監視
不明
ネットワーク監視
ping監視、HTTP監視等に対応
SNMP監視
デフォルトでは対応しておらず、スクリプト追加により対応
設定方法
テキストエディタ
データ保存形式
RRDtool
表示機能
表示インタフェース
Webブラウザ
障害履歴機能
未対応
グラフ表示機能
RRDtoolによりグラフ化
マップ表示機能
未対応
146
Xymon : 機能
 異常検知・通知機能、付加機能
 運用・管理をおこなうための機能は実装されておらず、監視機能のみが実装されている。
(クラウド環境の運用・管理については、クラウド管理ソフトウェアで対応することが可能である。)
異常検知・通知機能
異常検知、設定方法
Webブラウザ、テキストエディタにより設定
通知方法・対処方法
メール、SMS、スクリプト実行(マネージャ側)
付加機能
ハードウェア監視(機能、設
定)
未対応
主要アプリケーション監視
(機能、設定)
HTTP監視、プロセス監視に対応
ジョブ管理
未対応
資産・配布管理
未対応
セキュリティ管理
未対応
ストレージ管理(バックアップ
管理)
未対応
IPv6対応
不明
147
商用ソフトウェア:基本情報(1)
 商用ソフトウェアとして、JP1(日立製作所)、Systemwalker(富士通)、Tivoli(日本IBM)
について調査をおこなった
 統合運用管理ツールのメーカー別市場シェア(2007年)では日立製作所1位、富士通2位、日本IBM4位で
ある。(監視ツールに限ると富士通2位、日立製作所3位、日本IBM4位)(出典:富士キメラ総研「Business
Technology 監視系コンポーネント市場の現状と将来展望」 )
 いずれの製品も監視だけでなく統合運用管理をおこなうためのソフトウェアである。
対象ソフトウェ
ア
JP1、Systemwalker、Tivoli
機能概要
死活監視だけでなく、システム全体を一元的に管理・運用するツール。
利用シーン
大企業、中堅企業の大規模ITシステム全体の運用・管理をおこなう。
 基本情報
名称
開発企業
JP1
Systemwalker
Tivoli
日立製作所
富士通
日本IBM
最新バージョ
ン
9
13.4 (Systemwalker Centric
Manager)
7.2.1 (Tivoli
Netcool/OMNIbus)
6.1 (Tivoli Monitoring)
Webサイト
http://www.hitachi.co.jp/Prod
/comp/soft1/jp1/
http://systemwalker.fujitsu.co
m/jp/
http://www06.ibm.com/software/jp/tivoli
/
148
商用ソフトウェア:基本情報(2)
 価格・動作環境
名称
JP1
Systemwalker
Tivoli
サーバ監視(死活監視、リソース監
視等の基本機能) :基本構成
525,000円〜(税込)
価格
動作環境
(マネージャ1台、エージェント(監視対象)
1台、すべてWindows版:
JP1/Performance Management –
Manager、JP1/Performance
Management - Web Console、
JP1/Performance Management Base 、JP1/Performance
Management - Agent Option for
Platform)
※資産配布管理(付加機能):マネージャ:
178,500円(税込)クライアント:4,515円
(税込)
※ジョブ管理(付加機能):基本構成
504,000円〜(税込)
マネージャ : Windows Server
2008、Windows Server 2003、
Linux、Solaris、AIX、HP-UX
エージェント : Windows Server
2008、Windows Server 2003、
Windows 2000/XP、Linux、
Solaris、AIX、HP-UX
サーバ監視(死活監視、リソース監
視等の基本機能) :基本構成
546,000円〜(税込)
(マネージャ1台、エージェント(監視対象)
1台、すべてWindows版:Systemwalker
Service Quality Coordinator
Standard Edition プロセッサライセンス
(Manager用) V13 525,000円、
Systemwalker Centric Manager クライ
アントライセンス V13 21,000円)
Windows、Solaris、Linux、AIX、
HP-UX
149
サーバ監視(死活監視、リソース監
視等の基本機能):サーバ1台あた
り参考価格 123,270円(税込)
※構成管理(付加機能):サーバ1台あた
り参考価格 187,530円(税込)
Windows、AIX、Solaris、HP-UX、
Linux(Asianux、RHEL、SLES)
監視ソフトウェア機能比較(1)
 情報収集機能、表示機能
 OSSでも基本的な機能は十分に備えており、一部のソフトウェアではGUIによる管理をおこなうことができる。
 仮想マシンの監視機能については商用ソフトウェアでは対応、OSSではオプションあるいは未対応であるが、
クラウド管理ソフトウェアと組み合わせることで対応が可能である。
ZABBIX
Hinemos
Nagios
Xymon
GroundWork
Monitor
JP1
System Walker
Tivoli
○
○
○
○
○
○
○
○
不明
不明
○
○
○
情報収集機能
リソース監視
△
△
△
商用テンプレー
仮想マシン監視
有償オプション 外部ソフトウェア
トにより対応
ネットワーク監
視
○
○
○
○
○
○
○
○
SNMP監視
○
○
○
○
○
○
○
○
設定方法
データ保存形式
Webブラウザ
専用クライアント テキストエディタ テキストエディタ
Webブラウザ
専用クライアント 専用クライアント
専用クライアント
Webブラウザ
Webブラウザ
RDB
RDB
テキストファイル
RRDtool
RRDtool
RDB
RDB
RDB
Webブラウザ
専用クライアント
Webブラウザ
Webブラウザ
Webブラウザ
障害履歴機能
○
×
○
×
○
○
○
○
グラフ表示機能
○
○
○
○
○
○
○
○
マップ表示機能
○
×
○
×
○
○
○
○
表示機能
表示インタ
フェース
150
専用クライアント 専用クライアント
専用クライアント
Webブラウザ
Webブラウザ
監視ソフトウェア機能比較(2)
 異常検知・通知機能、付加機能
 ハードウェアや主要アプリ監視のための機能・設定オプションや運用管理に関わる付加機能はOSSでは備
わっていない。
ZABBIX
Hinemos
Nagios
Xymon
GroundWork
Monitor
JP1
System Walker
Tivoli
異常検知・通知機能
Webブラウザ
Webブラウザ
異常検知、設定方法 Webブラウザ 専用クライアント テキストエディタ テキストエディタ
Webブラウザ
メール、SMS、ス
メール、SMS、
メール、SMS、ス メール、SMS、ス
メール、ジョブの
クリプト実行、
クリプト実行(マ クリプト実行(マ
通知方法・対処方法 Jabber、スクリ
実行
サービスのリス
プト実行
ネージャ側)
ネージャ側)
タート
専用クライアント 専用クライアント
専用クライアント
Webブラウザ
Webブラウザ
メール、バック
メール通知、リ
アップ、リスター
モート操作、自
ト、外部コマンド
動障害対処等
自動実行
メール通知、自
動障害対処等
付加機能
ハードウェア監視
(機能、設定)
×
×
×
×
△
△
主要アプリケーショ
△
△
HTTP監視、プロ
HTTP監視、プロ
プロセス監視
ン監視(機能、設定) プロセス監視
セス監視
セス監視
×
○
○
○
△
プロセス監視
○
○
○
ジョブ管理
×
○
×
×
×
○
○
○
資産・配布管理
×
△
×
×
×
○
○
○
セキュリティ管理
×
×
×
×
×
○
○
○
ストレージ管理(バッ
クアップ管理)
×
×
×
×
×
○
○
○
IPv6対応
○
○
○
不明
不明
○
○
○
151
4.3.2. システム監視・管理システムに関するソフトウェア
(b. 特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトウェア)
1) virt-manager
2) oVirt
3) 商用ソフトウェア(基本情報のみ)
4) 特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフトウェア機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
152
virt-manager: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 開発の安定性や成熟度は高い。日本語の情報を入手することが難しいという課題がある。
Xen、KVM、QEMU等をサポートする。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
日本語コミュニティがなく、最新情報を日本語で入手しにくいことが難点。
サポート
★★★☆☆
ドキュメントの整備状況は悪く、日本語の情報はほとんど入手できない。
開発体制の安定性
★★★★☆
企業によって開発され、開発の安定性は高い。
成熟度
★★★★☆
RHEL 5やFedora等、主要なディストリビューションに含まれている。
機能
★★★★☆
仮想化機構の管理・監視ソフトとして基本的な機能を十分に有する。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明であるが、KVMにvirt-managerを組
み合わせることで、ほぼすべての管理作業がコマンドラインではなくGUIで操作できるよ
うになることから、相応数のユーザと活用事例が存在すると思われる。
153
virt-manager: 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティがなく、日本語のドキュメントを入手しにくいという課題がある。
最新バージョン
0.8.4 (2010年5月23日現在)
プロジェクトWebサイト
http://virt-manager.org/
日本語コミュニティ
コミュニティは存在しない。
機能概要
ゲストOSのCPUやメモリの使用状況についての詳細情報の表示をグラフ
でおこない、稼働中の仮想マシンの停止や再起動等の管理をおこなう。
類似ソフトウェア
VMware vCenter Server、Citrix Essential for XenServer、oVirt
スクリーンショット
http://virt-manager.org/screenshots.html
利用シーン
仮想機械の管理を容易に実現する。
標準準拠状況
仮想機械を制御するI/Fのデファクトスタンダードであるlibvirtに準拠
ライセンス
GNU General Public License 2.0、一部コンポーネントはBSD License
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Python
国際化対応
英語
154
virt-manager: 基本情報
 基本情報
 標準的な仮想環境をサポートしている。
価格
無料
動作環境
Linux環境
GTK-2 >= 2.6.10 (LGPL)
Python >= 2.4.1 (GPL)
PyGTK >= 2.6.2 (LGPL)
GNOME Python >= 2.10.0 (GConf bindings) (LGPL)
Matplotlib >= 0.86 (PSFL)
Python Imaging (PIL) >= 1.1.5 (BSD-like)
libVirt >= 0.1.1 (LGPL)
提供されているバ
イナリパッケージ
コミュニティのウェブサイトからは提供されていないが、Red Hat Enterprise Linux 5、SUSE Linux Enterprise Server
10 等といった各ディストリビューションに含まれている。
155
virt-manager: サポート
 ドキュメント整備状況
 いくつかのドキュメントは用意されているが、量はあまり多くはない。
英語
日本語
FAQ(http://virt-manager.org/faq.html)や、
いくつかの機能についてのドキュメント
(http://virt提供されていない。
manager.org/page/Main_Page)
は存在する。
ドキュメント
virt-managerに関する書籍はほとんど存在し
ない。
書籍
virt-managerに関する書籍はほとんど存在しな
い。
 サポート企業
 サポート状況は不明である。
英語
サポート企業
日本語
不明
不明
156
virt-manager: サポート
 コミュニティサポート
 コミュニティサポート専用のメーリングリストはないが、開発者用メーリングリストに質問を
投稿すると、開発者のコアメンバが回答することが多い。
英語
メーリングリストお
よび掲示板
日本語
開発者用メーリングリストが提供されており、
質問はこれを利用することができる。
http://virt-manager.org/mailinglist.html
メーリングリストや掲示板はない。
開発者用メーリングリストの投稿数
157
virt-manager: 開発体制の安定性
 開発チーム
 Red Hat社主体の開発である。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Red Hat社が中心となって開発を進めている。
参加企業と参加形態
Red Hat社のCole Robinson氏による開発がほとんどであるが、Fedoraプ
ロジェクトメンバや富士通メンバによるパッチの送付もおこなわれている。
コア開発者数・コミッタ数
不明
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 大まかなロードマップは示されている。ユーザは欲しい機能をBugzillaに登録することが可能である。
要求仕様策定方法
ユーザからの機能の要求は、Bugzillaに登録するよう求めている。
http://virt-manager.org/page/Roadmap#Wishlist
開発ロードマップ
http://virt-manager.org/page/Roadmap
標準化活動
不明
158
virt-manager: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストの投稿数は一月あたり数十件程度である。
ソースコードレポジトリ
Mercurialで管理している(http://hg.fedorahosted.org/hg/virtmanager)。
開発関連のメーリングリスト
および掲示板
メーリングリストのアーカイブは
https://www.redhat.com/archives/virt-tools-list/にて閲覧可能。
開発者用メーリングリストの投稿数 (再掲)
159
virt-manager: 成熟度
 歴史
 開発は4年目に入っている。頻繁にマイナーリリースがおこなわれている。
開発開始年
2006年
誕生と開発の経緯
当初はXenを対象にしていたが、現在はKVMやQEMUにも対応している。
現在のバージョン
0.8.4 (2010年5月23日現在)
バージョンアップの頻度
1年に2回程度のバージョンアップ
マイナーリリースの頻度
1年に5回程度のマイナーリリース
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 複数のディストリビューションに含まれていることから十分な利用者がいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード数
不明
のべダウンロード数
不明
160
virt-manager: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。バグフィックス率は高い。
バグトラッキングシステム
Bugzilla (https://bugzilla.redhat.com/buglist.cgi?component=virtmanager)
クリティカルバグ数とフィックスま
での期間
未対応:5件 (2010年4月7日現在)
総数:76件 (2006年9月からの累計)
フィックス率:93%
※severityが「urgent」「high」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:68件(2010年4月7日現在)
総数:794件(2006年9月からの累計)
フィックス率:91%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
※利用されているバグステータスは、NEW, ASSIGNED, MODIFIED, ON_DEV, ON_QA, POST, CLOSED。
※未対応バグ数は、ステータスがNEW, ASSIGNED, ON_DEV, POSTのものを集計。
161
virt-manager: 機能
 機能
 仮想化機構の管理・監視ソフトウェアとして基本的な機能を有している。
基本機能
仮想マシンの作成機能
対応
仮想マシンの操作機能
対応
リソース監視
CPU、メモリ、ディスクI/O、ネットワークI/Oの監視。
仮想マシン監視
仮想マシンの監視に対応。
SNMP監視
未対応
設定方法
専用クライアント
表示インタフェース
専用クライアント
グラフ表示機能
折れ線グラフ
マップ表示機能
未対応
付加機能
ハードウェア監視(機能、設定)
未対応
セキュリティ管理
セキュリティ (SElinux等)の選択が可能。
ストレージ管理(バックアップ機能)
未対応
IPv6対応
未対応
162
oVirt: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 ドキュメントが開発スピードに追い付いておらず、サポートが弱い。日本語の情報について
はほとんど入手できない。KVMをサポートする。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
日本語コミュニティがなく、最新情報を日本語で入手しにくいことが難点。
サポート
★☆☆☆☆
ドキュメントの整備状況は悪く、日本語の情報はほとんど入手できない。
開発体制の安定性
★★★★☆
企業によって開発され、また、開発のオープン性も高く、開発の安定性は高い。大まかな
ロードマップは示されている。
成熟度
★★★☆☆
開発は3年目であり、これからの成熟が期待される。バグトラッキングシステムは公開さ
れている。
機能
★★★★★
仮想化機構に対する監視・管理ソフトとして基本的な機能は揃っている。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明であるが、KVMと組み合わせて利用
されることも多い。
163
oVirt : 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティがなく、日本語のドキュメントを入手しにくいという課題がある。
最新バージョン
0.100-4 (2010年5月23日現在)
プロジェクトWebサイト
http://ovirt.org/
日本語コミュニティ
コミュニティは存在しない。
機能概要
Webベースの管理コンソール、認証、DNSやDHCP、共有ストレージの機能
を提供し、複数のハイパーバイザとその上で動く仮想マシンを管理。
類似ソフトウェア
VMware vCenter Server、Citrix Essential for XenServer、virtmanager
スクリーンショット
http://ovirt.org/screenshots.html
利用シーン
仮想機械の管理を容易に実現する。
標準準拠状況
仮想機械を制御するI/Fのデファクトスタンダードであるlibvirtに準拠
ライセンス
GNU General Public License 2.0
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Ruby
国際化対応
英語
164
oVirt : 基本情報
 基本情報
 管理サーバ (oVirt Server) はFedoraのみをサポートしている。
価格
無料
動作環境
ハードウェア: Intel VTまたはAMD -V
ソフトウェア: Fedora 11以降
提供されている
バイナリパッ
ケージ
管理サーバ (oVirt Server) はRPMで提供されている。
管理対象ノード (oVirt Managed Node)はISOで提供されている。
165
oVirt : サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはあまり整備されていない。英語のドキュメントも更新頻度が開発スピードより遅れている。
英語
日本語
ドキュメント
インストールマニュアル、設定マニュアル等が
存在するが、旧バージョン(0.95)用であり、最
新バージョンには対応していない。
(http://ovirt.org/documentation.html)
提供されていない。
書籍
oVirtに関する書籍はほとんど存在しない。
oVirtに関する書籍はほとんど存在しない。
 サポート企業
 サポートは提供されていない。
英語
サポート企業
日本語
提供されていない。
提供されていない。
166
oVirt : サポート
 コミュニティサポート
英語
メーリングリストお
よび掲示板
日本語
メーリングリストや掲示板はない。Wikiは提供
されている。
(http://ovirt.org/page/Main_Page)
167
メーリングリストや掲示板はない。
oVirt : 開発体制の安定性
 開発チーム
 Red Hat社主体の開発である。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Red Hat社が中心となって開発を進めている。
参加企業と参加形態
開発には自由に参加可能である。
コア開発者数・コミッタ数
不明
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 大まかなロードマップは示されている。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
http://ovirt.org/milestones.html
標準化活動
不明
168
oVirt : 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストの投稿が一月あたり100-500件あり、活発な議論がおこなわれている。
ソースコードレポジトリ
Gitで管理している(http://git.fedorahosted.org/git/)。
開発関連のメーリングリスト
および掲示板
メーリングリストのアーカイブは
https://www.redhat.com/archives/ovirt-devel/にて閲覧可能。
開発者用メーリングリストの投稿数
169
oVirt : 成熟度
 歴史
 開発は3年目であり、これからの成熟が期待される。
開発開始年
2008年
誕生と開発の経緯
2008年2月、Red Hat社はoVirtを開発中であると初めて明らかにした。2008年
6月にベータ版を提供開始。
現在のバージョン
0.100-4 (2010年5月23日現在)
バージョンアップの頻度
1年に1回程度のバージョンアップ
マイナーリリースの頻度
1年に5回程度のマイナーリリース
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 人気度は不明である。
最近のバージョンの最大ダウンロード数
不明
のべダウンロード数
不明
170
oVirt : 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。
バグトラッキングシステム
Bugzilla (https://bugzilla.redhat.com/buglist.cgi?component=ovirt-serversuite, https://bugzilla.redhat.com/buglist.cgi?component=ovirt-node)
クリティカルバグ数とフィックスま
での期間
未対応:2件 (2010年4月7日現在)
総数:5件 (2008年5月からの累計)
フィックス率:60%
※severityが「urgent」「high」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:65件(2010年4月7日現在)
総数:158件(2008年5月からの累計)
フィックス率:59%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
※利用されているバグステータスは、NEW, ASSIGNED, MODIFIED, ON_DEV, ON_QA, POST, CLOSED。
※未対応バグ数は、ステータスがNEW, ASSIGNED, ON_DEV, POSTのものを集計。
171
oVirt : 機能
 機能
 仮想化機構の管理・監視ソフトウェアとして基本的な機能を有している。
基本機能
仮想マシンの作成機能
対応
仮想マシンの操作機能
リソース監視
対応
CPU負荷状況、メモリ使用状況、ディスク使用状況等の監視に対応。
仮想マシン監視
割り当てられているCPU数やメモリ容量、および、それらの負荷状況の監視に
対応。
SNMP監視
SNMP監視対応
設定方法
Webブラウザ
表示インタフェース
Webブラウザ
グラフ表示機能
折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ
マップ表示機能
付加機能
未対応
ハードウェア監視(機能、設定)
未対応
セキュリティ管理
freeIPAコンポーネントを利用したセキュリティ管理が可能。
ストレージ管理(バックアップ機能)
未対応
IPv6対応
対応
172
商用ソフトウェア:基本情報 (1)
 商用ソフトウェアとして、Citrix Essentials for XenServer (XenServer5.6有償版に組み込まれる予定、
Citrix)、VMware vCenter Server (VMware) を調査した。
 いずれも仮想化機構を管理する代表的なソフトウェアである。
対象ソフトウェ
ア
Citrix Essentials for XenServer、VMware vCenter Server
機能概要
特定の仮想化ソフトウェアの管理をおこなう (Essentials for XenServerはXenServer、VMware vCenter Serverは
VMware ESX/ESXi)。
利用シーン
仮想化ソフトウェアの統合管理および簡素化をおこなう。
名称
Essentials for XenServer
(XenServer5.6有償版に組
み込まれる予定)
VMware vCenter Server
開発企業
Citrix
VMware
最新バージョン
5.5
4.0
Webサイト
http://www.citrixxenserve
r.com/
http://www.vmware.com/
jp/products/vi/vc/
173
商用ソフトウェア:基本情報 (2)
名称
Citrix Essentials for XenServer
VMware vCenter Server
価格
XenServer 5.6 Platinum (Essential for XenServer Platinum Edition) は、サーバあたり
5,000ドル。
vCenter Standard ライセンス 1 Server:
799,200円
動作環境
XenServer host:
・2.0GHz以上のx86プロセッサ(Intelまたは
AMD)2CPU
・3GB以上のRAM
・2GB以上のストレージ
・Windows Server 2003/2008、XP
Professional XP2
・64-bit x86 サーバクラスシステム
・CPU: 最小1.5 GHz, 2 GHz 以上でマルチコ
アを推奨
・Windowsゲストには、Intel VT または AMDVが必要
・1GB 〜256GBの物理メモリ
・100Mb/s 以上のNIC
Provisioning Services host:
・CPU: IntelまたはAMD x86/x64互換、
2GHz以上(3GHz以上推奨)
・最小2GB(4GB以上推奨)のRAM
・Windows Server 2003/2008 (32または
64ビット)
XenCenter:
・x86ベースシステム
・Windows 2000、XP、Server 2003、Server
2008、Vista、7
・.NET framework 2.0 SP1以降
・CPU: 最小750MHz、1GHz以上推奨
・512MB以上のRAM
その他サービスごとに動作環境は異なる。
詳細は、以下を参照。
http://www.citrix.com/English/ps2/prod
ucts/subfeature.asp?contentID=168113
9
174
特定の仮想化機構に対する管理・監視ソフト機能比較
 機能
 OSSでも基本的な機能は十分に備えている。ハードウェア監視等の付加機能はOSSには備わっていない。
oVirt
virt-manager
Citrix Essentials for
XenServer
VMware vCenter Server
仮想マシンの作成機能
○
○
○
○
仮想マシンの操作機能
○
○
○
○
リソース監視
仮想マシン監視
SNMP監視
設定方法
表示インタフェース
グラフ表示機能
マップ表示機能
付加機能
○
○
○
○
○
○
×
○
○
×
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
×
○
○
○
○
○
○
○
ハードウェア監視(機能、設
×
定)
×
△
○
セキュリティ管理
○
○
○
○
×
×
○
×
○
×
○
○
基本機能
ストレージ管理(バックアッ
プ機能)
IPv6対応
175
4.3.2 システム監視・管理システムに関するソフトウェア
(c. クラウドの運用・管理ソフトウェア)
1) Eucalyptus
2) Proxmox Virtual Environment
3) ConVirt
4) OpenNebula
5) Nimbus
6) 商用ソフトウェア(基本情報のみ)
7) クラウドの運用・管理ソフトウェア機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
176
Eucalyptus: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドの基盤ソフトウェアとして十分な機能を持つ。サポート、成熟度、開発体制に問題はないが、開
発の進め方がオープンではない点が課題である。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★☆
日本語対応がなされていないが、デファクト標準のインタフェースを利用し、一般的な動
作環境に対応している。
サポート
★★★★☆
ドキュメント整備、企業サポートともに充実している。 コミュニティがあまり活発ではない
こと、日本語ドキュメントが最新版に対応していないことが課題である。
開発体制の安定性
★★★★☆
企業によって開発され、開発の安定性は高い。ただし、開発コミュニティがない点、ロード
マップや機能追加方針等が明確でない点は課題である。
成熟度
★★★★☆
2007年に開発が始まった新しいソフトウェアであるが、すでにディストリビューションに取
り込まれる等、この分野では成熟度は高い。バグ対応もオープンで素早い。
機能
★★★☆☆
基本的なクラウドリソースの管理・監視機能は備えている。拡張機能によりWebブラウザ
を通して仮想マシンの管理が可能だが、基本的にはCUIにより設定・管理をおこなう。
活用事例
国内外において豊富な活用事例がある。
例えば、米国Morph LabsではEucalyptusをはじめとして全面的にOSSを採用した開
発をおこなっている。2010年2月には日本法人「モーフ・ラボ」も設立された。
177
Eucalyptus: 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティがあり、また、インタフェースは著名なサービスであるAmazon EC2互換であるため、導入に
対する敷居は低い。
最新バージョン
1.6.2 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://open.eucalyptus.com/
日本語コミュニティ
http://eucalyptus-users.jp/
機能概要
Amazon EC2と互換性を持つオープンソースのクラウド基盤ソフトウェア。
Amazon EC2で実装されている主要な機能を備えている。また、性能を考
慮した方式を採用している。
類似ソフトウェア
Amazon EC2
スクリーンショット
なし
利用シーン
社内等独自にクラウド環境を構築する際に利用する。
標準準拠状況
SOAP with WS-security
Amazon EC2, S3と互換性のあるインタフェース
国際化対応
英語のみ
178
Eucalyptus: 基本情報
 基本情報
 現在主流のオープンソース仮想環境であるXenとKVMの両方に対応している。
価格
無料
サポートサービスを追加した有償のEnterprise Editionもある。
動作環境
【ハードウェア】
明記されていない。
【ソフトウェア】
Xen (バージョン 3.*) またはKVMを使用している Linux システム
ライセンス
GPL version 3
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
JavaおよびC言語
179
Eucalyptus: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備され、書籍も刊行されている。ただし、日本語ドキュメントは最新バージョンに対応してい
ない。
英語
ドキュメント
日本語
管理者ガイド、ユーザガイド、イメージ作成者ガ
有り(http://eucalyptus.linux4u.jp/wiki/)。ただし、
イド、FAQ等が提供されている。
バージョン1.5.2用のマニュアルである。
http://open.eucalyptus.com/wiki
"Beginning Linux Cloud Administration:
Using Ubuntu & Eucalyptus" (2010年3
月刊行)
書籍
なし
 サポート企業
 海外・日本ともに開発企業以外の複数の企業がサポートサービスを提供している。
英語
サポート企業
日本語
開発元のEucalyptus Systemsの他、
Canonical社等10社がパートナー契約を結
んでいる。
180
公式パートナーではないが、クリエーションライ
ン株式会社、オリゾンシステムズ株式会社等が
サービスを提供している。
Eucalyptus: サポート
 コミュニティサポート
 掲示板でのサポートが用意され、比較的活発にやりとりがおこなわれている。Eucalyptus Systems設立(2009
年4月)と前後して投稿が活発になっている。
英語
メーリングリストお
よび掲示板
日本語
サポート等の掲示板が用意されている。
http://forum.eucalyptus.com/forum/
1.0
150
1.1, 1.3
1.2
1.4
メーリングリストと掲示板が用意されているが、
あまり活発ではない。
http://ml.eucalyptususers.jp/mailman/listinfo
http://eucalyptus-users.jp/bbs/
1.5
100
50
0
2008
2009
サポート掲示板の新規トピック数
181
1.6.1
Eucalyptus: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発である。外部からの貢献をどの程度取り込んでいるかは不明である。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Eucalyptus Systemsが中心となって開発を進めている。
参加企業と参加形態
Eucalyptus Systemsがプロジェクトを主導。
コア開発者数・コミッタ数
7名
開発者数
20名以上
※開発コミュニティ(launchpad)では貢献度の度合いを「カルマ」と呼ばれ
るポイントで表現しており、20位までの貢献者名が公開されている。
 開発方針の策定方法
 ロードマップや要望の受け入れ方法は明確ではない。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
2009年までの計画はあるが、その後アップデートされていない。
http://open.eucalyptus.com/wiki/FAQ_v1.5#loadmap
標準化活動
不明
182
Eucalyptus: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発用のコミュニティはないが、バグトラッキングシステムでは活発なやりとりがおこなわれており、開発コミュニ
ティの代わりとなっている。
ソースコードレポジトリ
Bazaarで管理(https://code.launchpad.net/eucalyptus)
開発関連のメーリングリスト
および掲示板
バグトラッキングシステム(https://bugs.launchpad.net/eucalyptus)は
あるが、開発者間のコミュニケーション用のメーリングリストや掲示板は用
意されていない。
183
Eucalyptus: 成熟度
 歴史
 2007年に開発が開始された新しいソフトウェアである。最近も活発にバージョンアップを続けており、成長段階
にあるソフトウェアといえる。ただし、本分野自体が新しい分野であることには留意すべきである。
開発開始年
2007年
誕生と開発の経緯
当初はカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)のコンピュータ・サイエ
ンス学部での研究プロジェクトであった。プロジェクトが終了し、また、ソフト
ウェアサポートは大学の役割ではないため起業した。
現在のバージョン
1.6.2 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
数カ月に1回程度バージョンアップしている。
マイナーリリースの頻度
バージョンアップの頻度が高いため、マイナーリリースはあまりおこなわれて
いない。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は多く、また、ディストリビューション(Ubuntu)に含まれていることから十分な利用者がいると
考えられる。
最近のバージョンの最大ダウ
ンロード数
バージョン1.6.1(2009年11月5日リリース)は約10,000ダウンロード
(2009年12月現在)
のべダウンロード数
バージョン1.0から約146,000ダウンロード(2009年12月現在)
184
Eucalyptus: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、バグへの対応は迅速である。
 QA等の規定は公開されていないが、企業による開発であるため、開発企業内では用意されている可能性もある。
バグトラッキングシステム
Launchpadを使ったバグトラッキングシステムが提供されている。
https://bugs.launchpad.net/eucalyptus
クリティカルバグ数とフィック
スまでの期間
未対応:0(2009年12月21日現在)
総数:35(2009年2月からの累計)
フィックス期間:平均15.5日(35件)。
バグ数とフィックス率
未対応:35(2009年12月21日現在)
総数:303(2009年2月からの累計)
フィックス率:88%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件 不明
185
Eucalyptus: 機能
 機能
 基本的なクラウド環境の管理・監視機能は備えている。
 大部分の設定はコマンドラインからおこなうが、ElasticFoxもしくはHybirdFoxを導入すればWebブラウザ
を通して仮想マシンの管理が可能になる。
ネットワークの設定
ネットワークブリッジの設定、VLANの構築。
クラウド環境の
リソース管理
CPU、メモリ、ストレージの容量等を管理可能。
クラウドリ
VMインスタンスの
未対応
ソースの
リソース監視
管理監視
仮想マシン管理(起動、停 ノードのインスタンスの起動、停止をおこなうことができ、起動可能
止、ジョブ実行等)
なインスタンス数を逐次算出。
バックアップ機能
EBSでボリュームのスナップショット機能提供。
管理コンソール
CUI、 Webブラウザ
大部分はコマンドで設定。拡張機能であるElasticFox、HybridFox
等を利用すればFirefoxから管理可能。
対応仮想化機構
Xen、KVM
※ディストリビューションごとに異なる。
ライブマイグレーション機能のサポート 未対応
オートスケーリング機能、
自動プロビジョニング機能
未対応
トラフィック分散機能
未対応
186
Proxmox Virtual Environment : 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドの管理ツールとして十分な機能を持つ。一方で、開発があまりオープンではなく、日本語ドキュ
メント、バグ情報がない点が課題である。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★☆
日本語に対応しており、また、OSごとインストールするため設定の手間がかからないが、
日本語コミュニティはない。
サポート
★★★☆☆
日本語ドキュメントはないものの、ドキュメント整備、企業サポート、コミュニティサポート
ともに充実している。
開発体制の安定性
★★★☆☆
企業によって開発され、開発はオープンとは言えないが、要望を上げる場所やロードマッ
プが示されている。
成熟度
★★★☆☆
開発期間は2年程度であるが、一定のユーザがいる。バグ情報等が公開されていない点
が課題である。
機能
★★★★☆
基本的なクラウド環境の管理・監視機能を備え、ほぼすべての設定をWebブラウザを通
しておこなうことができる。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
187
Proxmox Virtual Environment : 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティはないものの日本語に対応しており、比較的導入の障壁は低い。
最新バージョン
1.5 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
Proxmox Server Solutions
http://www.proxmox.com/
http://pve.proxmox.com/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
仮想化プラットフォーム用オープンソース管理ツール。KVMとOpenVZを同梱。管理用GUIを含む。
類似ソフトウェア
多数
スクリーンショット
http://www.fridu.org/download/video/flv/intro-openvz-en.html
利用シーン
仮想化プラットフォームにおける管理・監視
標準準拠状況
メッセージングにAMQPを採用。
ライセンス
GPL version 2
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Perl
国際化対応
国際化され、日本語のリソースファイルも用意されている。
188
Proxmox Virtual Environment : 基本情報
 基本情報
 OSも含めたパッケージとして提供されているため、OSを問わず動作する。Proxmox VE単独での導入は想定さ
れていない点には注意が必要である。
価格
無料
ただし、2,999〜3,999ユーロの年間サポートサービス等も提供されている。
動作環境
【ハードウェア】
最小
* CPU: 64bit (Intel EMT64 or AMD64), Intel VT/AMD-V capable CPU/Mainboard (for KVM
Full Virtualization support)
* 最低 1GB RAM
* Hard drive
* NIC
推奨
* CPU: 64bit (Intel EMT64 or AMD64), Multi core CPU recommended, Intel VT/AMD-V
capable CPU/Mainboard (for KVM Full Virtualization support)
* RAM 4GB以上
* Hardware RAID with batteries protected write cache (BBU)
* Fast hard drives, best results with 15k rpm SAS, Raid10
* 2 NIC
提供されているバイナリパッ
ケージ
ISOイメージのみ
189
Proxmox Virtual Environment : サポート
 ドキュメント整備状況
 英語版のドキュメントはよく整備されているが、日本語ドキュメントはない。
英語
日本語
ドキュメント
オンラインドキュメント
http://pve.proxmox.com/wiki/Documentation
なし
書籍
なし
なし
 サポート企業
 海外では開発企業がサポートサービスを提供している。
英語
サポート企業
日本語
Proxmox Server Solutions GmbH
なし
190
Proxmox Virtual Environment : サポート
 コミュニティサポート
 掲示板およびメーリングリストが提供されており、両者とも活発だが、掲示板の方がより活発に利用されている。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
メーリングリスト(開発用との区別なし):月間30〜120件
程度の投稿
http://pve.proxmox.com/cgibin/mailman/listinfo/pve-user
フォーラム:「インストールと設定」掲示板には半年間に約
1,200件の投稿
http://www.proxmox.com/forum/
191
なし
Proxmox Virtual Environment : 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発であり、開発者数等は不透明である。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Proxmox Server Solutions GmbHが開発している。
参加企業と参加形態
Proxmox Server Solutions GmbH(ドイツ)
コア開発者数・コミッタ数
不明
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 開発ロードマップが定められ、また、ユーザが要望を投稿する専用の場所も用意されている。
要求仕様策定方法
不明(要望投稿用の掲示板がある)
開発ロードマップ
http://pve.proxmox.com/wiki/Roadmap
標準化活動
不明
192
Proxmox Virtual Environment : 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発専用のメーリングリストや掲示板はないが、メーリングリストでは開発に関連した内容も議論されている。
ソースコードレポジトリ
公開レポジトリはないが、下記からソースコードをダウンロード可能である。
ftp://pve.proxmox.com/sources/
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
メーリングリスト(開発用との区別なし):月間30〜120件程度の投稿
http://pve.proxmox.com/cgi-bin/mailman/listinfo/pve-user
193
Proxmox Virtual Environment : 成熟度
 歴史
 開発期間は2年程度である。数カ月ごとにこまめにバージョンアップしていることから、まだ成長中のソフトウェア
だと考えられる。
開発開始年
2008年4月に公開(バージョン0.9)
誕生と開発の経緯
不明
現在のバージョン
1.5 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
1〜4ヶ月ごとにバージョンアップをしている。
マイナーリリースの頻度
現時点ではメジャーバージョンアップとマイナーバージョンアップを区別していない。
パッチ公開の頻度
不明
 人気度
 ダウンロード数や利用者数は不明だが、掲示板への投稿者数から判断すると一定数のユーザがいると考え
られる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
ただし、掲示板のメンバ数は2,687名(2010年3月24日現在)
194
Proxmox Virtual Environment : 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開されていないため、バグへの対応状況は不明である。
バグトラッキングシステム
公開されているバグトラッキングシステムはない。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
不明
バグ数とフィックス率
不明
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
195
Proxmox Virtual Environment : 機能
 機能
 クラウド環境の管理・監視機能は十分に備えている。
 大部分の設定をWebブラウザをとおしておこなうことが可能で、ライブマイグレーション機能もサポートして
いる。
クラウドリ
ソースの管
理監視
ネットワークの設定
ネットワークブリッジの設定、VLAMの構築に対応
クラウド環境の
リソース管理
CPU、メモリ、ディスクの容量等を管理可能
VMインスタンスの
リソース監視
各VMのCPU使用率、メモリ使用量等をグラフィカルに表示
仮想マシン管理(起動、
停止、ジョブ実行等)
ノードのインスタンスの起動、停止をおこなうことができ、ジョブを作
成可能
バックアップ機能
スナップショットによる定期バックアップ機能がある
管理コンソール
Webブラウザ、(CUI)
ほぼすべての設定をWebブラウザでおこなうことが可能
対応仮想化機構
KVM、OpenVZ
ライブマイグレーション機能のサポート
物理ホスト間でのライブマイグレーションに対応
オートスケーリング機能、
自動プロビジョニング機能
未対応
トラフィック分散機能
未対応
196
ConVirt : 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドの管理ツールとして十分な機能を持つ。開発がややクローズであり、また、サポート企業がない
点が課題である。
評価項目
評価結果
基本情報
★★☆☆☆
日本語版、日本語コミュニティが存在しない。動作環境はLinux全般である。
サポート
★★★☆☆
ドキュメントは英語版のみ整備されている。また、サポート企業は開発元1社のみである。
開発体制の安定性
★★★☆☆
企業によって開発されているが、開発は比較的クローズドであり、コミュニティもあまり活
発ではない。開発予定機能が明記されている点は評価できる。
成熟度
★★★☆☆
個人開発から企業開発となり、一定の信頼性が見込める。
機能
★★★★☆
クラウドリソースの管理・監視機能については基本的な機能に加え、付加機能も多い。
Webブラウザによる管理が可能である。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
197
ConVirt : 基本情報
 基本情報
 日本語版はなく、日本語情報も少ない。
最新バージョン
2.0 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.convirture.com/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
オープンソースのマルチホスト管理コンソール
* XenおよびKVMのサポート
* マルチホスト仮想インフラのサポート
* 仮想マシンのスナップショット、ライブマイグレーション、バックアップ、および運用停止のサポート
* VMテンプレートと仮想アプライアンスのサポート
* ストレージ利用率のサポート
類似ソフトウェア
多数
スクリーンショット
http://www.convirture.com/products_gallery8.html
利用シーン
仮想マシンのGUIによる管理
標準準拠状況
不明
ライセンス
GPL version 2
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Python
国際化対応
不明
198
ConVirt : 基本情報
 基本情報
 XenとKVMの両方に対応しており、LinuxをホストOSとして利用する場合には問題ない。
価格
無料
ただし、有償のサポートサービスが提供されている。
動作環境
【ソフトウェア】
動作確認済
CentOS 5.2, 5.3 Xen 3.1
RHEL 5.2, 5.3, 5.4 Xen 3.1
RHEL 5.4 KVM-83
SUSE Linux Enterprise Server 10 SP2 Xen 3.2
Debian 5.0 KVM-72
Ubuntu Server 8.10 KVM-72
Ubuntu Server 9.04 KVM-84
提供されているバイナリパッ
ケージ
Pythonで記述されているため、上記の動作環境すべてで同一のパッケージが利用できる。
199
ConVirt : サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されているが、日本語ドキュメントはない。
英語
日本語
ドキュメント
Getting started、インストールマニュアル、ユーザマニュアル、
How-to等が提供されている。
http://www.convirture.com/wiki/index.php?title=Main_P
age
なし
書籍
"Virtualization with Xen(tm): Including XenEnterprise,
XenServer, and XenExpress "にConVirtの項目がある。
なし
 サポート企業
 海外ではサポートサービスがあるが、開発元の提供サービスのみである。日本ではサポートサービスは見当たら
ない。
英語
サポート企業
日本語
Convirture Corporation
なし
200
ConVirt : サポート
 コミュニティサポート
 目的別に掲示板が提供され、コンスタントに投稿されている。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
フォーラム(Convirture社全体のFAQ)
http://www.convirture.com/forums/Wiki
http://www.convirture.com/wiki/index.php?title=M
ain_Page
2009年3月〜2010年2月までに、ConVirt 1.0の
"Installation & Configuration Help"掲示板に約370件
の投稿(月間約30件)。
201
なし
ConVirt : 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発であり、外部からの参加は少ない。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Convirtureが開発している。
参加企業と参加形態
Convirture
コア開発者数・コミッタ数
6名(レポジトリへのコミット者数)
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 今後の開発予定が分類された上で示されており、外部からも開発予定が分かるようになっている。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
いくつかのサブプロジェクトとそれらの目標が書かれたページが用意されている。
http://www.convirture.com/wiki/index.php?title=Projects
標準化活動
不明
202
ConVirt : 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 ベータ版用のフォーラムも活発に利用され、開発に関与・興味を持つユーザも多い。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理(https://xenman.svn.sourceforge.net/svnroot/xenman/trunk)。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
ベータ版に関するフォーラムhttp://www.convirture.com/forums/
2.0ベータのフォーラムには180件程度の投稿がある(2009年12月〜2010年3月)。
203
ConVirt : 成熟度
 歴史
 前身の「XenMan」時代を含めると約4年間継続している。また、当初の個人開発から企業開発へと移行してお
り、一定の成熟度はあると考えられる。
開発開始年
2006年(当時は「XenMan」と呼ばれていた)
誕生と開発の経緯
不明
現在のバージョン
2.0 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
2009年3月に1.0、12月7日に2.0Betaリリース
マイナーリリースの頻度
不明
パッチ公開の頻度
不明
 人気度
 最新版のダウンロード数は不明だが、過去のバージョンから推察すると数1,000〜10,000程度のダウン
ロードがあると考えられ、多くのユーザに利用されていると言える。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
SourceForgeからは約640件(バージョン1.1。2010年3月現在)。2008年11月公開の0.9.6
は4,823件。激減の理由はSourceForgeではなくプロジェクトページからダウンロードできるよう
になったためと推察される。
のべダウンロード数
不明
204
ConVirt : 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムは公開されていない。
バグトラッキングシステム
公開されているバグトラッキングシステムはない。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
不明
バグ数とフィックス率
不明
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
205
ConVirt : 機能
 機能
 クラウド環境の管理・監視機能は十分に備えており、付加機能も多い。
 Webブラウザにより管理が可能であり、グラフィカルな画面により仮想マシンの管理やリソースの監視がで
きる。
クラウドリ
ソースの管
理監視
ネットワークの設定
プライベートネットワークの設定が可能、VLAN設定は商用版のみ
可能
クラウド環境の
リソース管理
CPU、メモリ、ストレージの容量をリアルタイムに管理可能
VMインスタンスの
リソース監視
各VMのCPU使用率、メモリ使用量等をグラフィカルに表示
仮想マシン管理(起動、
停止、ジョブ実行等)
ノードのインスタンスの起動、停止、アクションの実行をおこなうこと
が可能
バックアップ機能
スナップショット機能に対応、商用版では自動バックアップにも対応
管理コンソール
Webブラウザ
対応仮想化機構
Xen、KVM
ライブマイグレーション機能のサポート
GUIを用いたドラッグアンドドロップによるライブマイグレーションが
可能
オートスケーリング機能、
自動プロビジョニング機能
商用版において対応
トラフィック分散機能
未対応
206
OpenNebula: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドの基盤ソフトウェアとして十分な機能を持つ。成熟度、開発体制に問題はないが、日本語情報
が少ないことと大学によるサポートしかないことが課題である。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
デファクト標準のインタフェースを利用し、一般的な動作環境に対応しているが、日本語
対応はおこなわれていない。
サポート
★★★☆☆
ドキュメント整備、コミュニティサポートともに充実しているが、大学によるサポートのレベ
ルが不明確なこと、日本語ドキュメントがないことが課題である。
開発体制の安定性
★★★★★
大学の研究プロジェクトであり、安定して開発が進められている。また、要望の取り込み
プロセスや開発ロードマップが明確になっている。
成熟度
★★★★☆
2005年に開発が始まり、ディストリビューションに取り込まれる等成熟度は高い。バグ対
応もオープンで迅速である。
機能
★★★★☆
クラウドリソースの管理・監視機能は充実しており、外部パブリッククラウドとの連携機能
等先進的な機能も多く備えている。ユーザインタフェースはCUIである。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
207
OpenNebula: 基本情報
 基本情報
 標準的なインタフェースに対応しているものの、日本語コミュニティはない。
最新バージョン
1.4 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.opennebula.org/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
パブリック、プライベート、ハイブリッドクラウドを構築するためのツール。仮想化技術としてはXen、KVM、
VMwareをサポートし、Amazon EC2、ElasticHostsへのアクセスが可能。インタフェースとしては
libvirt、EC2、OGC OCCIインタフェースをサポート。
類似ソフトウェア
Amazon EC2、Eucalyptus
スクリーンショット
なし
利用シーン
社内等独自にクラウド環境を構築する際に利用する。
標準準拠状況
Amazon EC2と互換性のあるインタフェース、libvirt、OGC OCCI。
ライセンス
Apache version 2.0
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C/C++、Ruby等
国際化対応
英語
208
OpenNebula: 基本情報
 基本情報
 標準的な仮想環境をサポートし、また、ディストリビューションにも含まれている。
価格
無料
有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
Linux、Mac OS X
仮想環境としてXen、KVM、VMwareをサポート
提供されているバイナリパッ
ケージ
Ubuntuのパッケージに含まれている。
209
OpenNebula: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語ドキュメントはよく整備されているが、日本語ドキュメントがない。
英語
日本語
ドキュメント
Private Cloud Computing、Hybrid Cloud Computing、
Cloud Interfaces向けにインストールや設定のドキュメントがあ
る。
http://www.opennebula.org/documentation:documentat
ion
なし
書籍
"Cloud Computing: Implementation, Management, and
Security"J. W. Rittinghouse, J. F. Ransome (著)
(2009/8/17)
等で紹介されている。
なし
 サポート企業
 大学がサポートサービスを提供しているが、サポートレベルは未知数である。
英語
サポート企業
日本語
マドリードコンプルテンセ大学の技術移転組織がサービスを提
供
210
なし
OpenNebula: サポート
 コミュニティサポート
 掲示板でのサポートが充実している。投稿件数は2009年に入って増加したが、2009年終盤には落ち着いてき
ている。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
メーリングリストがコミュニティ活動の中心になっている。
http://www.opennebula.org/community:mailinglists
1.0
200
なし
1.2
150
100
50
0
2008
2009
ユーザメーリングリストの投稿数
211
1.4
OpenNebula: 開発体制の安定性
 開発チーム
 大学中心の実装である。外部貢献者は数人であるが、Webサイトには貢献を歓迎する記述が見られる。
開発主体
大学中心
開発主体の詳細
マドリードコンプルテンセ大学 DSA(分散システムアーキテクチャ)研究グループが開発を進め
ている。
参加企業と参加形態
マドリードコンプルテンセ大学がプロジェクトを主導
コア開発者数・コミッタ数
9名
※プロジェクトリーダー(2名)、メジャーコントリビュータ(3名)、レギュラーコントリビュータ(4
名)の合計。レギュラーコントリビュータの1名(シカゴ大)を除き、マドリードコンプルテンセ大学
の研究者である。
開発者数
不明。
ただし、上記コア開発者以外に、2名の過去の開発者と8名の開発者の名前が挙げられている。
8名はいずれも大学外の開発者である。
 開発方針の策定方法
 要望の実装手順が明確になっており、また、短期・中期のロードマップが示されている。
要求仕様策定方法
開発者ポータル(http://dev.opennebula.org/ )へ投稿する。開発者間での議論によって実
装するかどうかと実装バージョンが決定される。
開発ロードマップ
次期マイナーリリースと次期バージョンのロードマップが示されている。
http://dev.opennebula.org/projects/opennebula/roadmap
標準化活動
不明
212
OpenNebula: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者ポータルを活用して開発が進められている。
ソースコードレポジトリ
Gitで管理している(git://opennebula.org/one.git)。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
専用のメーリングリストはないが、ユーザメーリングリストと開発者ポータル
(http://dev.opennebula.org/ )を活用していると考えられる。
213
OpenNebula: 成熟度
 歴史
 開発は5年間継続しており、この分野では比較的長いと言える。マイナーリリースもスケジュールされており、よく
管理されている。
開発開始年
2005年
誕生と開発の経緯
2005年に研究プロジェクトとして開始、2008年3月にOSSとして公開された。 EU等からの支援
を受けている。
現在のバージョン
1.4 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
2009年2月にバージョン1.2、12月に1.4を公開した。
マイナーリリースの頻度
0.2刻みのバージョンアップの間に1回程度マイナーリリースされている。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明だが、Ubuntu(※「提供されているバイナリパッケージ」の項参照)に含まれていること
からある程度の利用者がいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
214
OpenNebula: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。クリティカルバグの修正には1ヶ月程
度かかっているが、一般のバグフィックス率は89%と高く、着実にメンテナンスがおこなわれている。
 QA等の規定は公開されていない。大学中心の開発であるため、これらの基準は企業中心の開発ほどには整備
されていないと推測される。
バグトラッキングシステム
開発者ポータル(http://dev.opennebula.org/ )で管理されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
0(2010年3月20日現在)
6(2008年7月からの累計)
※ 5件は最長でも1ヶ月強(36日)で解決している。1件だけ175日かかっている。
※優先度が「High」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:13 (2010年3月20日現在)
総数:115 (2008年7月からの累計)
フィックス率:89%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
215
OpenNebula: 機能
 機能
 クラウド環境の管理・監視機能を十分に備え、オンデマンドプロビジョニング機能、スケジューリング機能、外
部クラウド環境との連携機能といった先進的な機能を多く備えている。
 コマンドインタフェースにより管理をおこなう。
クラウドリ
ソースの管
理監視
ネットワークの設定
プライベートネットワーク、VLANの設定が可能
クラウド環境のリソース
管理
CPU、メモリ、ストレージの容量等を管理可能
VMインスタンスのリソー
ス監視
各VMのCPU使用率、メモリ使用量等をコマンドにより取得可能
仮想マシン管理(起動、
停止、ジョブ実行等)
仮想マシンの起動、生成、ジョブ実行が可能であり、スケジューリン
グ機能も実装されている
バックアップ機能
仮想マシンイメージの複製が可能
管理コンソール
CUI
対応仮想化機構
Xen、 KVM 、VMware
ライブマイグレーション機能のサポート
コマンドによりマイグレーションが可能
オートスケーリング機能、
自動プロビジョニング機能
オンデマンドプロビジョニングに対応
トラフィック分散機能
未対応
216
Nimbus: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドの基盤ソフトウェアとして十分な機能を持つ。社内向けクラウドの活用にはサポート体制や開
発体制に課題が残る。コミュニティが活発ではない点も課題である。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
デファクト標準のインタフェースを利用し、一般的な動作環境に対応しているが、日本語
対応はおこなわれていない。
サポート
★★☆☆☆
ドキュメントは整備されているが、コミュニティが活発ではなく、また、企業によるサポート
サービスも提供されていない。
開発体制の安定性
★★☆☆☆
公的支援を受けた大学の研究プロジェクトであり、現在は安定して開発が進められてい
る。ただし、要望の取り込みプロセスや開発ロードマップが不明である。
成熟度
★★★★☆
比較的長期にわたって開発が進められ、バグトラッキングシステムをしっかりと活用して
いる。テスト規定等が不足している。
機能
★★★★☆
クラウドリソースの管理・監視機能については基本的な機能に加え、負荷分散機能やプ
ロビジョニング機能に優れている。プライベートクラウドとAmazon EC2のリソースを統
合管理することができる。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
217
Nimbus: 基本情報
 基本情報
 標準的なインタフェースに対応しているものの、日本語コミュニティはない。
最新バージョン
2.4 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.nimbusproject.org/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
クラスタシステムをクラウドとして利用するためのツール。仮想化技術としてはXen、KVM、VMwareを
サポート。インタフェースとしてはEC2、WSRFをサポート。
類似ソフトウェア
Amazon EC2、Eucalyptus
スクリーンショット
なし
利用シーン
社内等独自にクラウド環境を構築する際に利用する。
標準準拠状況
Amazon EC2と互換性のあるインタフェース、WSRF。
ライセンス
Apache License version 2.0
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Python, Java
国際化対応
英語
218
Nimbus: 基本情報
 基本情報
 標準的な仮想環境をサポートしている。
価格
無料
動作環境
Sun Java 1.5以降
Apache Ant
Python 2.4以降
仮想環境としてXen、KVMをサポート
提供されているバイナリパッ
ケージ
Pythonで開発されているため、バイナリパッケージは特に用意されていない。
219
Nimbus: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語ドキュメントはよく整備されているが、日本語ドキュメントがない。
英語
日本語
ドキュメント
概要、管理者ガイド、クライアントガイド、開発者ガイド、トラブル
シューティング等が用意されている。
http://www.nimbusproject.org/docs/2.4/
なし
書籍
なし
なし
 サポート企業
 サポートサービスを提供している企業はない。
英語
サポート企業
日本語
なし
なし
220
Nimbus: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストがサポートの中心だが、一時期を除き月間30投稿前後であり、あまり活発ではない。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
メーリングリストがコミュニティ活動の中心になっている。
http://www.nimbusproject.org/contact/
1.2
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
2006
1.3
2007
2008
なし
2.0 2.1
2.2
2009
ディスカッション&サポートメーリングリストの投稿数
221
Nimbus: 開発体制の安定性
 開発チーム
 大学中心の実装である。外部からの貢献者の名前も出しており、外部からの参加も歓迎している。
開発主体
大学中心
開発主体の詳細
シカゴ大学の研究グループが開発を進めている。
参加企業と参加形態
シカゴ大学がプロジェクトを主導
コア開発者数・コミッタ数
5名
※他に、アドバイザ3名、学生10名の名前が挙げられている。
http://www.nimbusproject.org/about/people/
開発者数
15名。
※「Valued Community Contributors」として紹介されている開発者の数である。
http://www.nimbusproject.org/about/people/
 開発方針の策定方法
 要望集積場所はなく、また、ロードマップも示されていない。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
不明
標準化活動
不明
222
Nimbus: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 ソースコードレポジトリは公開されているが、開発者メーリングリストは活発ではない。
ソースコードレポジトリ
Gitで管理している(git://github.com/nimbusproject/nimbus.git)。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
開発者用のメーリングリストはあるが、あまり利用されていない。
http://www.nimbusproject.org/contact/
1.2
35
1.3
2.0 2.1
2.2
30
25
20
15
10
5
0
2006
2007
2008
開発者メーリングリストの投稿数
223
2009
Nimbus: 成熟度
 歴史
 開発は4〜5年間継続している。マイナーリリースは定期的におこなわれている。
開発開始年
不明(2005年頃)
誕生と開発の経緯
シカゴ大学の研究プロジェクトとして進められている。全米科学財団(NSF)や海洋観測イニシア
チブ等からの支援を受けている。
現在のバージョン
2.4 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
2008年8月にバージョン2.0を公開した。
マイナーリリースの頻度
数ヶ月に1回程度マイナーリリースされている。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明である。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
224
Nimbus: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。クリティカルバグの修正には1ヶ月程
度かかっているが、一般のバグフィックス率は86%と高く、きちんとメンテナンスされている。
 QA等の規定は公開されていない。大学中心の開発であるため、これらの基準は企業中心の開発ほどには整備
されていないと推測される。
バグトラッキングシステム
開発者ポータル(http://dev.Nimbus.org/ )で管理されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:2 (2010年5月7日現在)
総数:9 (2005年12月からの累計)
※ おおむね1ヶ月程度で解決している。未解決の2件は2010年3月以降に登録されたバグであ
る。
※優先度が「Major」以上と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:22 (2010年5月7日現在)
総数:153 (2005年12月からの累計)
フィックス率:86%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
225
Nimbus: 機能
 機能
 基本的な機能はすべて備えており、Grid Computingが以前のテーマであったため、負荷分散機能やプロ
ビジョニング機能といった高度な機能が充実している。
 ハイブリッドクラウドを意識し、プライベートクラウドとAmazon EC2のリソースを統合して管理できる。
 NagiosやOpenNebulaとの連携が検討されている。
ネットワークの設定
プライベートネットワーク、VLANの設定が可能
クラウド環境のリソース管理 CPU、メモリ、ストレージの容量等を管理可能
クラウドリ VMインスンタンスの
未対応
ソースの リソース監視
管理監視
仮想マシン管理(起動、停止、 仮想マシンの起動、生成、ジョブ実行が可能であり、プロビジョニン
ジョブ実行等)
グ、スケジューリング機能も実装されている
バックアップ機能
仮想マシンイメージの複製、移動が可能
管理コンソール
CUI、Webブラウザ
対応仮想化機構
Xen、 KVM
ライブマイグレーション機能のサポート
未対応
オートスケーリング機能、
自動プロビジョニング機能
監視に基づいた高度な自動プロビジョニング機能に対応
トラフィック分散機能
PBS等を用いた負荷分散に対応
226
商用ソフトウェア:基本情報(1)
 商用ソフトウェアとして、CloudWatch、Auto Scaling、Elastic Load Balancing
(Amazon)、CloudBurst(日本IBM)を調査した
 CloudWatch、Auto Scaling、Elastic Load BalancingはAmazon EC2上でAmazonより提供されている
機能である。
 IBM CloudBurstは日本IBMから販売されているプライベートクラウドソリューションである。
対象ソフト
ウェア
CloudWatch、Auto Scaling、Elastic Load Balancing
IBM CloudBurst
機能概要
Amazon EC2上でクラウド環境を管理する機能を備えている
クラウド環境を構築・管理す
る機能を備えている
利用シーン
Amazon EC2上で利用する
社内等独自にクラウド環境を
構築する際に利用する
 基本情報
名称
開発企業
CloudWatch
Amazon
最新バージョ API Version
ン
2009-05-15
Webサイト
http://aws.amazon
.com/cloudwatch/
Elastic Load
Balancing
Auto Scaling
IBM CloudBurst
Amazon
Amazon
日本IBM
API Version
2009-05-15
API Version
2009-11-25
1.2
http://aws.amazon.
com/cloudwatch/
http://aws.amazon.co
m/elasticloadbalanci
ng/
http://www06.ibm.com/software/jp/tivoli
/products/cloudburst/index.h
tml
227
商用ソフトウェア:基本情報(2)
 価格・動作環境
 CloudBurstはクラウド環境構築のために必要なサーバ、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア等をすべて組
み合わせたパッケージ製品として販売されている。
 Tivoli Service Automation Managerによりリソースの割り振り等のクラウド環境の管理の中核を担う。
名称
価格
動作環境
CloudWatch
一つの仮想サーバあた
り1時間0.015ドル
Amazon EC2
Auto Scaling
Elastic Load
Balancing
IBM CloudBurst
不要
(CloudWatchの料金
のみ)
ロードバランサの起動時間
に加えて、データ転送量に
応じた従量課金制
ロードバランサ使用料:1時
間0.025ドル
データ転送量:0.008ドル
/GB
約3,000万円〜(エントリー
構成時、ハードウェア含む)
クラウド管理ソフトウェア
「IBM Tivoli Service
Automation Manager
V7.2」: 213,300円(税抜)
Amazon EC2
(Tivoli Service
Automation Manager
V7.2)
管理システム:
Windows XP Professional
SP2、Windows Server
2003 SP2、Windows
Vista SP1、SUSE Linux
(SLES) 10 Enterprise
Server SP2
管理サーバ:
Linux on System z、AIX、
Linux on System x
Amazon EC2
228
クラウドの運用・管理ソフトウェア機能比較(1)
 機能
 基本的な機能であるクラウドリソースの管理・監視機能については、商用・OSSすべてのソフトウェアで概ね
備わっている。
 CloudWatchはAmazonEC2上でリソース管理機能を担うツールである。
 OpenNebulaやNimbus、IBM CloudBurstはスケジューリング機能を備えている。
Proxmox
Virtual
Eucalyptus
Environme
nt
ConVirt
OpenNebul
a
Nimbus
○
○
○
×
○
○
○
×
ネットワークの設定
(VLAN、プライベート
ネットワークの設定)
○
○
△
VLAN設定
は商用のみ
クラウド環境の
リソース管理
○
○
○
VMインスタンスの
クラウドリ
ソースの管 リソース監視
理監視
仮想マシン管理(起動、
停止、ジョブ実行等)
バックアップ機能
×
○
△
×
○
○
CloudWat
ch
○
○
スケジュー
リング機能
○
スケジュー
リング機能
○
プロビジョ
ニング機能
×
○
○
○
○
スナップ
スナップ
スナップ
スナップ
ショット機能 ショット機能 ショット機能 ショット機能
×
○
○
○
○
スナップ
ショット機能
○
定期バック
アップ機能
CloudWatc
h、
Auto
IBM
Scaling、
CloudBurst
Elastic
Load
Balancing
229
クラウドの運用・管理ソフトウェア機能比較(2)
 機能
 Proxmox Virtual Environment、ConVirt、IBM CloudBurstはWebブラウザを通しての設定・管理が可能と
なっているが、他のソフトウェアはCLIを用いる必要がある。
 ライブマイグレーション機能のサポート、オートスケーリング機能等の高度な機能については、Eucalyptus、
Proxmox Virtual Environmentは未対応である。
 すべてのソフトウェアでKVMに対応しており、OpenNebula、IBM CloudBurstではVMwareにも対応している。
Proxmox
Virtual
Eucalyptus
Environmen
t
ConVirt
OpenNebul
a
Nimbus
CloudWatch、
Auto
IBM
Scaling、
CloudBurst Elastic Load
Balancing
管理コンソール
CLI、Webブ
ラウザ
Webブラウ
ザ、(CLI)
Webブラウ
ザ
CLI
CLI、Webブ
ラウザ
Webブラウ
ザ
Webブラウ
ザ、CLI
対応仮想化機構
Xen、KVM
KVM、
OpenVZ
Xen、KVM
Xen、KVM、
VMware
Xen、KVM
VMware、
KVM、Xen
-
○
○
○
×
○
×
○
オンデマンド
プロビジョニ
ング
○
自動プロビ
ジョニング
○
自動プロビ
ジョニング
○
Auto
Scaling
×
○
PBS
×
Elastic Load
Balancing
付加機能
ライブマイグレーション機能のサポー
ト
×
オートスケーリング機能、自動プロビ
ジョニング機能
×
×
△
商用で対応
トラフィック分散機能
×
×
×
230
○
4.3.3 利用者向け認証基盤に関するソフトウェア
(a. シングルサインオンソフト)
1) OpenSSO
2) Shibboleth
3) Higgins
4) SimpleSAMLphp
5) 商用ソフトウェア(基本情報のみ)
6) 認証基盤ソフトウェア機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
231
OpenSSO: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 商用ソフトウェアとしても提供されており、成熟度・サポート体制ともに問題はない。ただし、2010年に入ってか
らはOpenAMに開発が引き継がれている。OpenAMでの開発体制がどのようになるかを注視していく必要があ
る。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
日本語に対応し、標準的な技術を使っている。
サポート
★★★★☆
日本語コミュニティはないが、商用サービス・コミュニティサポートともに充実している。
開発体制の安定性
★★★★★
開発のオープン性も高く、開発の安定性は高い。ロードマップも示されている。
成熟度
★★★★★
商用ソフトウェアのオープンソース化であり、成熟度は高い。
機能
★★★★★
複数の認証方式やシングルサインオンのための多くのプロトコルをサポートしており、シ
ングルサインオン、認証・認可、アクセス管理のための機能が充実している。設定・管理を
Webブラウザを通しておこなうことができる。
活用事例
九州工業大学等をはじめ、各サポート企業を通じて、国内でも事例が豊富に存在する。
232
OpenSSO: 基本情報
 基本情報
 日本語に対応しているが、2月頃よりこれまで運営していたOracle(旧 Sun Microsystems)がOpenSSOをク
ローズドにしはじめ、ForgeRockがOpenAMという名称で引き継ごうとしている。
最新バージョン
OpenAM Release 9 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
https://opensso.dev.java.net/
※大部分の情報はOpenAM (http://forgerock.com/openam.html )に引き継がれている
日本語コミュニティ
なし(ただし、オープンソース・ソリューション・テクノロジが設立に向けて準備を進めている)
機能概要
シングルサインオンを実現するためのソフトウェア。
類似ソフトウェア
Shibboleth, Higgins, simpleSAMLphp
スクリーンショット
なし
利用シーン
複数のシステムから構成される社内システムにおいて、一つのシステムへのログインにより他のシステ
ムにもログインできるようにする。
標準準拠状況
SAML2.0、XACML、WS-Federation等に対応
ライセンス
CDDL (Common Development and Distribution License)
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)
233
OpenSSO: 基本情報
 基本情報
 主要なOS上で動作し、通常の社内システム環境には十分対応できると考えられる。
価格
ライセンス費は無料。有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
※商用版の動作環境
【ハードウェア】
RAM:4GB(本番環境)
ディスク容量:2GB(OpenSSO Enterprise サーバ)、1GB(クライアントSDK)
【ソフトウェア】
SPARC/x86/x64ベースのシステム上のSolaris 10 OS
SPARC/x86ベースのシステム上のSolaris 9 OS
RHEL 4 Server、5 Server (Base/Advanced Platform)
Ubuntu 8.0.4
Windows Server 2003 Standard Edition、Enterprise Edition、Datacenter Edition
IBM AIX 5.3
提供されているバイナリパッ
ケージ
Java版
234
OpenSSO: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語版のドキュメントはOpenAMのサイトで整理されている。
英語
日本語
ドキュメント
インストール、リファレンス、開発者用ドキュメント等があり、
OpenAMのサイトに移動している。これらはOpenSSO時代に整
備されたものである。
https://wikis.forgerock.org/confluence/display/openam/
Home
なし
書籍
"Architecting Secure Software Systems" A. K. Talukder, M.
Chaitanya (著)等の書籍にて紹介されている。
OpenSSO専門の書籍はない。
「入門 LDAP/OpenLDAP—ディレクトリサービス導入・運用ガイ
ド」デージーネット(出版:秀和システムズ)等で紹介されている。
 サポート企業
 海外・日本ともに開発企業以外の複数の企業がサポートサービスを提供している。
英語
サポート企業
日本語
野村総合研究所やオープンソース・ソリューション・テクノロジが
サポートサービスを提供している。野村総合研究所の場合、価格
は下記の通りである。
・導入コンサルティング:300万円〜
・年間保守サポート:120万円/年〜
OpenSSO Enterprise(商用版)のみOracle(旧Sun
Microsystems)がサポート。
235
OpenSSO: サポート
 コミュニティサポート
 掲示板でのサポートが充実している。ユーザーズメーリングリストには月間500以上の投稿が続いていた。
OpenAMへの移行に伴い、最近はやや減少傾向にある。
英語
日本語
https://opensso.dev.java.net/servlets/ProjectMailin
メーリングリストおよび
掲示板
gListList にて、ユーザ向けのメーリングリストが提供され
ている。
なし
8.0
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
2006
2007
2008
2009
ユーザーズメーリングリストの投稿数
236
OpenSSO: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発であるが、多くの開発者が参加していた。OpenAMになってからは不明である。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
旧 Sun Microsystems(現Oracle)が中心となって開発を進めてきた。2010年2月にOracleが
開発から撤退し、元Sun Microsystemsの人材が中心となって立ち上げたForgeRock社が開
発を引き継いでいる。
参加企業と参加形態
Oracle(旧 Sun Microsystems)からForgeRockへ移行
コア開発者数・コミッタ数
不明
開発者数
42名(コミュニティメンバとして公開されている人数)
※登録は自由であり、また、開発者でなくとも登録することができるため、目安と考えるのがよい。
http://wiki.java.net/bin/view/Projects/CommunityMembers
 開発方針の策定方法
 OpenAMでもOpenSSOのロードマップがそのまま引き継がれている。
要求仕様策定方法
Issue Trackerを活用すること等が記されている。
https://opensso.dev.java.net/servlets/ProjectDocumentList?folderID=6338&expand
Folder=6338&folderID=6338
開発ロードマップ
OpenAMのロードマップは
https://wikis.forgerock.org/confluence/display/openam/OpenAM+Roadmap で公開
されている。
これはOpenSSOのロードマップを引き継いだものである。
標準化活動
不明
237
OpenSSO: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 活発な開発が継続しておこなわれてきている。OpenAMにおいても同様の開発が続けられるかどうかは不透明
である。
ソースコードレポジトリ
CVSで管理してきた。現在はOpenAMに移行
(http://sources.forgerock.org/changelog/openam/trunk/opensso/products/amserver)。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
https://opensso.dev.java.net/servlets/ProjectMailingListList にて、ユーザ向けのメーリングリス
トが提供されている。2009年は2008年よりも投稿は減っているが、コミット数は同程度を維持しており、
開発は引き続き活発である。
8.0
120
8.0
800
700
100
600
80
500
60
400
300
40
200
20
100
0
0
2006
2007
2008
2009
2006
開発者メーリングリストの投稿数
2007
2008
2009
CVSメーリングリストの投稿数
(=CVSへのコミット数)
238
OpenSSO: 成熟度
 歴史
 公開されてからの期間は短いが、それ以前に商用ソフトウェアとして販売されており、成熟度は高いと考えられる。
開発開始年
2008年(初版公開年)
誕生と開発の経緯
Sun Microsystems(当時)の製品がオープンソース化された。オープンソース版と商用版の2
種類がある。
現在のバージョン
OpenAM Release 9 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
不明。商用版は年1回リリースされている。
マイナーリリースの頻度
商用版の場合、Expressビルドが3ヶ月に1度リリースされている。
パッチ公開の頻度
不明
 人気度
 ダウンロード数は不明だが、商用製品としても提供されており、十分な利用者がいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
239
OpenSSO: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。クリティカルバグに関しては早ければ
10日以内で対応する等、対応は迅速である。ただし、長期間修正されないバグも散見される。
 QA等の規定は公開されていないが、企業による開発であるため、開発企業内では用意されている可能性もある。
バグトラッキングシステム
https://opensso.dev.java.net/issues/で提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:6(2010年3月29日現在)
総数:13(2009年3月からの累計)
フィックス期間:平均60日(7件)。ただし、10日以内が5件、約100日と約300日が1件ずつ。
※ 5段階で示される優先度が、4または5とされたバグの数を集計した。
バグ数とフィックス率
未対応:325(2009年3月1日〜2010年2月に投稿されたバグ。2010年3月29日現在)
総数:1215(2009年3月1日〜2010年2月の累計)
フィックス率:73%
※バグ数が多いようにも思えるが、おおむね修正されており、むしろバグトラッキングシステムを
積極的に利用している証と考えた方がよい。
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
240
OpenSSO: 機能
 機能
 複数の認証方式、シングルサインオンのための多くのプロトコルをサポートしており、シングルサインオン機
能、フェデレーション機能ともに充実している。
 設定をWebブラウザを通しておこなうことができる。
基本機能
ID/パスワード認証、Windowsドメイン認証、ワンタイムパスワード、X.509に
よる認証に対応
認証機能
SSOのタイプ
エージェント型、リバースプロキシ型の両方に対応
代理認証
FORM認証およびBasic認証を備えたアプリケーションへの擬似シングル・サ
インオンに対応し、SDKによる独自の仕組みの実装も可能
シングルサインオ
ン機能
フェデレーション対応プロトコル
Liberty ID-FF 1.1/1.2、SAML 1.0/1.1/2.0、WS-Federation、OpenID
(拡張機能)によるシングルサインオンに対応
アクセス制御・認可機能
アクセス制御対象のドメインやフォルダ、ファイル単位での指定が可能。認証
コンテキストでも制御可能
管理インタフェース
Webブラウザ
241
OpenSSO: 機能
 機能
 Active Directory、LDAP、データベースといったデータストアに対応している。
 多要素認証、マルチプロトコル間シングルサインオン機能といった先進的な機能を備えている。
基本機能
ログ管理
認証/認可、管理者の操作履歴等を出力可能
アカウント管理機能
ユーザやグループ、プロフィール等を管理可能
ディレクトリサービス
OpenDSを内部的に保持、Active Directory、LDAP、データベースに対応
付加機能
多要素認証
マルチプロトコル間シングルサインオン機能
IDプロビジョニング機能
多要素認証に対応
Multiprotocol Federation Hub機能により異なるプロトコルの仲介が可能
未対応
242
Shibboleth: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 コミュニティの安定性・成熟度といった面では問題ない。機能面では、設定作業にコマンドやテキストエディタを
使わなくてはならず、やや難易度が高い。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★☆
動作環境や標準準拠状況は問題ないが、日本語情報が不足している。
サポート
★★★★☆
ドキュメント整備、企業サポート、コミュニティサポートともに充実している。日本語ドキュ
メントが最新版に対応していないのが課題である。
開発体制の安定性
★★★★★
企業・大学のコンソーシアムによって開発され、開発の安定性は高い。外部からの開発
がどの程度あるのかが見えない点が課題である。
成熟度
★★★★★
長期間バージョンアップを重ねてきており、成熟度は高い。脆弱性情報が管理されてい
る点が評価できる。
機能
★★★☆☆
SAMLによるシングルサインオンとアクセス制御が可能である。すべてコマンドもしくはテ
キストエディタでの設定であり、構築にはOSSや認証に関する知識が必要である。認証シ
ステムを管理・運用するための機能は実装されていない。
活用事例
国内では、いまのところ大学等をはじめとした研究機関、あるいはその付属図書館Web
サイトといったところでの活用事例がいくつか見られる。
243
Shibboleth: 基本情報
 基本情報
 標準的な技術に基づいたSSOソフトウェアである。日本語情報は少ない。
最新バージョン
2.1.5 (Identity Provider Softwareのバージョン、2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://shibboleth.internet2.edu/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
シングルサインオンを実現するためのソフトウェア。
類似ソフトウェア
Shibboleth, Higgins, simpleSAMLphp
スクリーンショット
デモンストレーションサイトが提供されている。
https://spaces.internet2.edu/display/SHIB2/DemonstrationSites
利用シーン
複数のシステムから構成される社内システムにおいて、一つのシステムへのログインにより他のシステ
ムにもログインできるようにする。
標準準拠状況
SAML 2.0、Identity Provider Discovery Service Protocol and Profile等に準拠
ライセンス
Apache 2.0 License
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
英語
244
Shibboleth: 基本情報
 基本情報
 多くのOS上で動作し、また、主要なOS、ディストリビューション用のバイナリパッケージも提供されている。
価格
ライセンス費は無料。有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
■Javaコンポーネント
* Java, Standard Edition 1.6
* Jetty 7, Apache Tomcat 6.0, JBoss 4.2
■C++コンポーネント
* Windows NT 4.0/2000/XP/2003/2008 (32/64ビット)
* RHEL 4 and 5 (i386 / x86_64)
* Novell SLES 9+, OpenSUSE 11.x (i386 / x86_64)
* Macintosh OS X
* Solaris 2.9+
提供されているバイナリパッ
ケージ
Identity Provider SoftwareとDiscovery Service SoftwareはJava WebAppで提供。
Service Provider SoftwareはLinuxバイナリRPM(CentOS 5、RHEL 4/5、SLES 9-11、OpenSUSE
11.0/11.1)、Windowsインストーラ(32/64ビット)で提供。
245
Shibboleth: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されているが、書籍や日本語情報はない。
英語
日本語
ドキュメント
インストールマニュアル、設定マニュアル、トラブルシューティング、
開発者向けドキュメント等が用意されている。
なし
https://spaces.internet2.edu/display/SHIB2/Home
書籍
なし
なし
 サポート企業
 海外、日本ともにサポート・コンサルティングサービスを提供している企業がある。
英語
サポート企業
日本語
9Star Research、DAASI International GbmH等8社がサポー
トサービスを提供している
(http://shibboleth.internet2.edu/support.html)。
246
ブルワークがサービスおよび技術情報を提供している。
Shibboleth: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストへの投稿は2008年半ばから月間500前後で推移しており、コミュニティサポートは非常に活発
である。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
http://shibboleth.internet2.edu/lists.htmlにて、ユー
ザ向けのメーリングリストが提供されている。
2.0
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
2.1.1 2.1.2
2008
なし
2.1.3
2009
ユーザーズメーリングリストの投稿数
247
2.1.4 2.1.5
Shibboleth: 開発体制の安定性
 開発チーム
 大学および企業から構成されるコンソーシアムが開発を進めている。
開発主体
大学および企業から構成されるコンソーシアム
開発主体の詳細
米国の大学と企業が中心となって運営されているInternet2コンソーシアムのミドルウェアイニ
シアティブが開発している。イニシアティブはMiddleware Architecture Committee for
Education (MACE) が主導している。
参加企業と参加形態
企業はInternet2コンソーシアムに参加。
コア開発者数・コミッタ数
16名(過去の開発者も含めると19名)
http://shibboleth.internet2.edu/credits.html
開発者数
不明だが、貢献を歓迎する姿勢は見受けられる。
http://shibboleth.internet2.edu/contribute.html
 開発方針の策定方法
 直近のバージョンに限られるがロードマップが定められており、また、ユーザからの要望は整理されて公開され
ており、ユーザの要望が取り込まれやすい環境になっている。
要求仕様策定方法
バグトラッキングシステムで開発予定の機能のリストを管理している。メールを問い合わせ担当
者に送ると、必要に応じてリストに追加されるようになっている。
https://bugs.internet2.edu/jira/
開発ロードマップ
バグトラッキングシステムでロードマップも管理されているが、直近のバージョンに限られている。
標準化活動
不明
248
Shibboleth: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者メーリングリストはあまり活発ではないが、バグトラッキングシステムでも議論が進められている。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理している(https://spaces.internet2.edu/display/SHIB2/SourceAccess )。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
http://shibboleth.internet2.edu/lists.htmlにて、開発者向けのメーリングリストが提供されている。
※それほど活発ではないが、バグトラッキングシステム等も活用しているためだと考えられる。
2.0
120
2.1.1 2.1.2
2.1.3
100
80
60
40
20
0
2008
2009
開発者メーリングリストの投稿数
249
2.1.4 2.1.5
Shibboleth: 成熟度
 歴史
 開発は7年以上継続しており、メジャーバージョンアップ・マイナーバージョンアップを重ねているため成熟度は高
い。
開発開始年
2003年(Version1.0リリース)
誕生と開発の経緯
米国の大学と企業が中心となって運営されているInternet2コンソーシアムのミドルウェアイニ
シアティブが開発している。イニシアティブはMiddleware Architecture Committee for
Education (MACE) が主導している。
現在のバージョン
2.1.5 (Identity Provider Softwareのバージョン、2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
メジャーバージョンアップ(バージョン2.0)は1.0リリースの5年後の2008年である。
マイナーリリースの頻度
バージョン2では年に数回のマイナーバージョンアップがおこなわれている。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明である。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
250
Shibboleth: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。バグ修正率も良好である。
 セキュリティ情報は専用のページが用意され、迅速に対応している。
バグトラッキングシステム
https://bugs.internet2.edu/jira/で提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
※ Service Provider Softwareに関するクリティカルバグは1件のみ。
バグ数とフィックス率
未対応:25(2010年4月12日現在)
総数:245(2010年4月12日現在)
フィックス率:90%
※ Service Provider Softwareに関するバグのみを集計。
脆弱性公開数と対応数
セキュリティ情報は専用のページで公開している。
http://shibboleth.internet2.edu/security-advisories.html
QA・テスト規定・リリース条件
不明
251
Shibboleth : 機能
 機能
 すべてコマンドもしくはテキストエディタでの設定であり、設定には専門的な知識が必要である。
 SAMLによるシングルサインオンに対応している。
基本機能
ID/パスワード認証、クライアント証明書、IPアドレス、セッションによる認証方
式に対応
認証機能
シングルサインオ
ン機能
SSOのタイプ
エージェントに対応可能(リバースプロキシ型にはmod_proxy等を利用し、カ
スタマイズが必要)
代理認証
未対応であり、機能の追加が必要
フェデレーション対応プロトコル
SAML (1.1、2.0)によるシングルサインオンに対応(現在Windows
CardSpace対応のための開発を実施中)
アクセス制御・認可機能
ユーザの属性情報を元にアクセス制御が可能
管理インタフェース
CLI
252
Shibboleth : 機能
 機能
 フェデレーション機能が中心のソフトであり、付加的な機能には対応していない。
基本機能
ログ管理
アクセス、送信データ、プロセスについてログが出力可能
アカウント管理機能
LDAPに直接作成をおこなう
ディレクトリサービス
Active Directory、LDAP、SQLに対応
付加機能
多要素認証
未対応
マルチプロトコル間シングルサインオン機能
未対応
IDプロビジョニング機能
未対応
253
Higgins: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 開発プロセスが明文化されているものの、コミュニティ活動が不活発である。機能面では、IDセレクタとして利用
するのであれば問題ない。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
標準に準拠しているが、動作環境の情報や日本語による情報が不足している。
サポート
★☆☆☆☆
提供されているドキュメントは簡易であり、また、コミュニティも活発ではなく、サポート企
業も存在しない。
開発体制の安定性
★★★★☆
Eclipseプロジェクトの一つであると同時に企業が開発に参加している。開発コミュニ
ティが活発ではない点が課題である。
成熟度
★★★★☆
長期間バージョンアップを重ねてきており、成熟度は高い。リリース条件が明記されてい
る点が評価できる。
機能
★★☆☆☆
IDセレクタとしての機能がメインであり、認証基盤ソフトウェアとして単独での利用には
機能が不足している。IDセレクタとして利用する場合には機能は充実している。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
254
Higgins: 基本情報
 基本情報
 標準的な技術に基づいたシングルサインオンソフトウェアである。日本語情報は少ない。
最新バージョン
1.1M7 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.eclipse.org/higgins/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
シングルサインオンを実現するためのソフトウェア。
類似ソフトウェア
OpenSSO, Shibboleth, simpleSAMLphp
スクリーンショット
なし
利用シーン
複数のシステムから構成される社内システムにおいて、一つのシステムへのログインにより他のシステ
ムにもログインできるようにする。
標準準拠状況
SAML 2.0, WS-Trust, OpenID, XDI, LDAP
ライセンス
Eclipse Public License
その他知財権に関する問題
IBMとNovellがWindows CardSpaceに相当するツールを作成するOSSプロジェクトとして立ち上げ
たが、2006年から2007年にかけてMicrosoftの特許関連の承認に時間を要し、一時期開発がストッ
プした。2007年9月にMicrosoftとNovellのWindowsおよびLinuxの相互運用を実現するための研究
所が創設され、開発が再開された。
主な開発言語
Java
国際化対応
英語
255
Higgins: 基本情報
 基本情報
 Java環境上で動作し、パッケージが提供されている。
価格
ライセンス費は無料。
動作環境
明記されていないが、Javaが必要と考えられる。
提供されているバイナリパッ
ケージ
Java用のパッケージ。SelectorはWindows用とMac用、iPhone用も提供されている。
256
Higgins: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されているが、書籍や日本語情報はない。
英語
日本語
ドキュメント
ダウンロードページからコンポーネントごとにユーザ向け、開発者
向けの簡単なマニュアルが提供されている。
なし
書籍
なし
なし
 サポート企業
 海外、日本ともにサポートサービス等を提供している企業はない。
英語
サポート企業
日本語
なし
なし
257
Higgins: サポート
 コミュニティサポート
 掲示板があるものの利用されておらず、コミュニティサポートは不十分である。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
http://www.eclipse.org/forums/index.php?t=threa
d&frm_id=55 にて、ユーザ向けの掲示板が提供されてい
るが、ほとんど利用されていない。
258
なし
Higgins: 開発体制の安定性
 開発チーム
 コミュニティベースの開発だが、Azigo社が開発の中心的な役割を果たしている。
開発主体
コミュニティ
開発主体の詳細
Eclipse Foundationのプロジェクトの一つとして開発が進められている。
参加企業と参加形態
コミュニティベースの開発だが、Azigo社の関与が大きい。
コア開発者数・コミッタ数
共同リーダー 2名、コミッタ 14名、過去のコミッタ 14名
http://www.eclipse.org/higgins/team-leaders.php
開発者数
不明だが、貢献を歓迎する姿勢は見受けられる。
http://www.eclipse.org/higgins/getting_started.php
 開発方針の策定方法
 開発プロセスやロードマップが明記されている。
要求仕様策定方法
APIやコンポーネントの変更手順等の開発プロセスが明記されている。
http://wiki.eclipse.org/Higgins_Development_Processes
開発ロードマップ
マイナーバージョンアップと次のメジャーバージョンアップの計画が明記されている。
http://www.eclipse.org/higgins/projectplan.php
標準化活動
不明
259
Higgins: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者メーリングリストはあまり活発ではない。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理している(http://dev.eclipse.org/svnroot/technology/org.eclipse.higgins)。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
400
http://www.eclipse.org/higgins/getting_started.phpにて、開発者向けのメーリングリストが提供
されている。
※2007年〜2008年前半は活発だったが、現在はあまり活発ではない。
0.1
0.2
0.3
0.40.50.6
0.7 0.8
0.9 1.0 1.0.1
350
300
250
200
150
100
50
0
2005
2006
2007
2008
開発者メーリングリストの投稿数
260
2009
Higgins: 成熟度
 歴史
 開発は6年以上継続しており、メジャーバージョンアップ・マイナーバージョンアップを重ねているため、成熟度は
高い。
開発開始年
2004年(Eclipseプロジェクトにコードが提供された年)
誕生と開発の経緯
現Azigo社のCTOであるPaul Trevithick氏が大部分のコードを記述し、Eclipseプロジェクトに
提供した。
現在のバージョン
1.1M7 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
これまではメジャーバージョンアップとマイナーリリースを区別せず、数ヶ月に1回程度バージョン
アップしている。
マイナーリリースの頻度
同上。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明である。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
261
Higgins: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。バグ修正は迅速とは言えないものの
着実に進められている。
 バグフィクスバージョンのリリース条件は開発者向けページに整理されている。
バグトラッキングシステム
https://bugs.eclipse.org/bugs/buglist.cgiで提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:0 (2010年4月12日現在)
総数:26 (2010年4月12日現在)
フィックス期間:平均78.5日
※1〜3日で修正されるバグもある。
バグ数とフィックス率
未対応:169 (2010年4月12日現在)
総数:477 (2010年4月12日現在)
フィックス率:74%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
開発者向けページにバグフィクスリリースのリリース条件が明記されている。
http://wiki.eclipse.org/Higgins_Committers_and_Contributors
262
Higgins: 機能
 機能
 ユーザ中心というコンセプトであるため、クライアント側でID情報の管理をおこなうIDセレクタの機能がメイ
ンであり、各認証システムと連携して機能する。
 IDセレクタであるHiggins Selector、IdP機能を提供するIdentity Serivices、複数のIDディレクトリを統合す
るためのIdentity Attribute Service(IdAS)の3ソフトにより構成される。
基本機能
認証機能
シングルサインオ
ン機能
ID/パスワード認証に対応
SSOのタイプ
エージェント型に対応
代理認証
未対応
フェデレーション対応プロトコル
IdPとしてWS-Trust、SAML2.0によるシングルサインオンに対応し、IDセレク
タとしてはOpenID、Information Cardにも対応
アクセス制御・認可機能
対象外
管理インタフェース
CLI
※ユーザとしてIDセレクタを利用する場合はWebブラウザ
263
Higgins: 機能
 機能
 IdP機能を提供するIdentity Serivicesはあるものの、認証、アカウント管理等の機能では備わっていないも
のも多い。
基本機能
ログ管理
IdPのログ出力は可能
アカウント管理機能
対象外
ディレクトリサービス
※IdASではLDAP(OpenLDAP、ActiveDirectory)、RDB、Online social networks等へ
のアクセスを可能にする機能を提供
OpenLDAPを利用
付加機能
多要素認証
未対応
マルチプロトコル間シングルサインオン機能
IDセレクタの機能により対応
IDプロビジョニング機能
対象外
264
simpleSAMLphp: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 公的な研究機関により開発されており安定性は高いが、プロジェクト終了後も開発が継続するかどうかが不透
明である。また、機能面ではシングルサインオンとアクセス制御の基本的な機能に留まる。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★☆
動作環境や標準準拠状況は問題ないが、日本語情報が不足している。
サポート
★★★☆☆
日本語ドキュメントがなく、また、コミュニティ活動もあまり活発ではない。一方、サポート
を提供する日本企業がある。
開発体制の安定性
★★★★☆
公的な研究機関により開発され、開発の安定性は高い。ただし、EUからの支援終了後
の体制が不透明な点には注意したい。
成熟度
★★☆☆☆
バージョンアップはこの3年ほど継続的におこなわれているが、ダウンロード数はあまり
多くない。また、脆弱性やリリース条件等に関する情報が公開されていない。
機能
★★★☆☆
フェデレーションとアクセス制御のための基本的な機能は実装されているが、認証やシ
ングルサインオン関係の機能については弱い。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
265
simpleSAMLphp: 基本情報
 基本情報
 標準的な技術に対応したシングルサインオンソフトウェアである。日本語情報は少ない。
最新バージョン
1.5.1 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://rnd.feide.no/simplesamlphp
日本語コミュニティ
なし
機能概要
シングルサインオンを実現するためのソフトウェア。
類似ソフトウェア
OpenSSO, Shibboleth, Higgins
スクリーンショット
なし
利用シーン
複数のシステムから構成される社内システムにおいて、一つのシステムへのログインにより他のシステ
ムにもログインできるようにする。
標準準拠状況
SAML 2.0、Shibboleth 1.3、OpenID等に準拠
ライセンス
GNU LGPL 2.1
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
PHP
国際化対応
英語、スペイン語、ポルトガル語、オランダ語等のヨーロッパ言語
266
simpleSAMLphp: 基本情報
 基本情報
 PHP環境上で動作するため、動作環境の制約は少ない。
価格
ライセンス費は無料。有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
PHP 5.2.0以上とこれが動作するWebサーバ。また、opensslやpcre等のPHP Extensionが動作するこ
と。
提供されているバイナリパッ
ケージ
PHPバージョンのみが提供されている。
267
simpleSAMLphp: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントはよく整備されているが、書籍や日本語情報はない。
英語
日本語
ドキュメント
インストールマニュアル、設定マニュアル、開発者向けドキュメント
等が用意されている。
http://simplesamlphp.org/docs/1.5/
なし
書籍
なし
なし
 サポート企業
 海外ではサポート・コンサルティングサービスを提供している企業がある。
英語
サポート企業
日本語
ForgeRock、Nyrup IT等がサービスを提供している。
http://rnd.feide.no/content/commercial-support
268
セシオスがソリューションを提供している。
simpleSAMLphp: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストは月間30〜40投稿前後で推移しており、絶対数としてはそれほど多くないものの、やや増加傾
向にある。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
http://rnd.feide.no/content/simplesamlphp-usersmailinglist にて、ユーザ向けのメーリングリストが提供さ
れている。
1.0
50
1.1
1.2
1.3
なし
1.4
1.5
40
30
20
10
0
2008
2009
ユーザーズメーリングリストのスレッド開始数
269
2010
simpleSAMLphp: 開発体制の安定性
 開発チーム
 公的研究機関が開発を進めている。コア開発者以外にもある程度の協力者がいる模様である。
開発主体
公的研究機関
開発主体の詳細
ノルウェーのUNINETT(教育研究省配下の研究機関)が主体となって開発を進めている。
参加企業と参加形態
UNINETTが開発を主導している。
コア開発者数・コミッタ数
5名
http://rnd.feide.no/content/simplesamlphp-developers
開発者数
総数は不明だが、開発者の一部として10名が挙げられている。
http://rnd.feide.no/content/simplesamlphp-developers
 開発方針の策定方法
 ロードマップと進捗状況が明確になっている。ユーザからの要望はメーリングリストに投稿し、バグトラッキングシ
ステムで管理されている。
要求仕様策定方法
要望はユーザーズメーリングリストに投稿するようになっている。
http://rnd.feide.no/content/simplesamlphp-users-mailinglist
開発予定の機能はバグトラッキングシステムで管理されている。
http://code.google.com/p/simplesamlphp/issues/list
開発ロードマップ
ふたつ先までのマイナーリリースと、次のメジャーリリースにおける開発項目と進捗状況が明記さ
れている。
http://rnd.feide.no/content/simplesamlphp-release-plan
標準化活動
不明
270
simpleSAMLphp: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者専用のメーリングリストはなく、開発コミュニティへの外部からの参加はしにくい。開発状況はバグトラッ
キングシステムで公開されており、オープンである。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理している(http://code.google.com/p/simplesamlphp/source/browse/ )。
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
開発者専用のメーリングリストはない。バグトラッキングシステムは公開されているが、コア開発者のみ
が利用している。
271
simpleSAMLphp: 成熟度
 歴史
 開発は7年以上継続しており、メジャーバージョンアップ・マイナーバージョンアップを重ねているため、成熟度は
高い。
開発開始年
2007年(Version 0.1リリース)
誕生と開発の経緯
GÉANT Identity Federationsの一部として実施されており、EUの支援を受けている。
現在のバージョン
1.5.1 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
2007年9月に0.1を公開後、2008年3月に1.0をリリース。その後はメジャーバージョンアップは
していない。
マイナーリリースの頻度
数ヶ月に1回程度、マイナーバージョンアップがおこなわれている。
パッチ公開の頻度
特に提供されていない。マイナーリリースで代用している。
 人気度
 一定のダウンロード数があり、十分な利用者がいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
1.5.1は2010年1月8日〜2010年4月20日に1,782ダウンロード
2009年3月公開の1.4が2,824ダウンロードと最も多い。
のべダウンロード数
12,489ダウンロード(2010年4月20日現在)
272
simpleSAMLphp: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。バグ修正率も良好である。
 セキュリティ情報やQAの情報は公開されていない。
バグトラッキングシステム
http://code.google.com/p/simplesamlphp/issues/listで提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:0 (2010年4月20日現在)
総数:5(2010年4月20日現在)
うち1件は修正までに250日かかっているが、他は5日〜53日で修正されている。
バグ数とフィックス率
未対応:11(2010年4月20日現在)
総数:62(2010年4月20日現在)
フィックス率:82%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
273
simpleSAMLphp: 機能
 機能
 SAML、OpenID等、複数のプロトコルによるシングルサインオンに対応しており、フェデレーション機能に優
れている。
 シングルサインオン機能や認証の機能については、基本的な機能以外備わっていない。
 すべてコマンドもしくはテキストエディタでの設定である。
基本機能
LDAP認証( ID/パスワード認証、Kerberos認証、CRAM-MD5、DIGESTMD5等)、RADIUS認証、CASリモート認証、MySQL認証に対応
認証機能
シングルサインオ
ン機能
SSOのタイプ
エージェントに対応可能
代理認証
未対応
フェデレーション対応プロトコル
SAML2.0、OpenID、Shibboleth1.3、A-Select、CAS、WS-Federation(、
InfoCard、PAPI)※によるシングルサインオンに対応
※安定版では含まれていない
アクセス制御・認可機能
属性によりアクセスの制御が可能
管理インタフェース
CLI
274
simpleSAMLphp: 機能
 機能
 LDAP、RDB等、複数のデータストアに対応している。
 マルチプロトコル間でのシングルサインオンが可能である。
基本機能
ログ管理
認証/認可、フェデレーション等のログを出力可能
アカウント管理機能
モジュールにより追加・編集等が可能
ディレクトリサービス
LDAP、RDB(MySQL)、Radiusに対応
付加機能
多要素認証
未対応
マルチプロトコル間シングルサインオン機能
Shibboleth 1.3・SAML 2.0間、OpenID・SAML2.0間の受け渡しが可能
IDプロビジョニング機能
未対応
275
商用ソフトウェア:基本情報(1)
 商用ソフトウェアとして、IceWall、Windows CardSpaceを調査した
 シングルサインオン製品シェアにおいて日本HPが1位(2007年)である。(出典:株式会社富士キメラ総研「2008 ネットワークセキュリ
ティビジネス調査総覧」)
 アイデンティティ管理製品シェアにおいて日本HPが1位(2007年)である。(出典:株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:アイデ
ンティティ管理/内部統制市場2008」)
 Windows CardSpaceはSAML、OpenIDと並べ主要なSSO仕様であるInformation Cardの代表的なソフトウェアである。
対象ソフトウェア
IceWall
Windows CardSpace
機能概要
企業システムにおける認証基盤を提供し、複数のシス IDセレクタとしてユーザによるさまざまなID情報の管
テム間のシングルサインオンを実現する。また、効率的 理機能を提供する。また、対応サイトにおけるフレーム
なユーザ管理を可能にする。
ワークを提供する。
利用シーン
大企業・中堅企業においてシステムの認証基盤や
ユーザ管理に利用。
オンラインサイトにおけるID情報の管理のためにデス
クトップで個人利用。
 基本情報
名称
IceWall
Windows CardSpace
開発企業
日本HP
Microsoft
最新バージョン
HP IceWall SSO Ver.8.0 R3
HP IceWall Identity Manager 4.0
Windows CardSpace 2.0 Beta 2
http://h50146.www5.hp.com/products/softw
are/security/icewall/family/index.html
http://www.microsoft.com/windows/products
/winfamily/cardspace/default.mspx
http://msdn.microsoft.com/jajp/netframework/aa663320.aspx
Webサイト
276
商用ソフトウェア:基本情報(2)
 価格・動作環境
 Windows CardSpaceは無料で提供されている。
 IceWallは日本HPが独自に国内開発した製品であり、国内でのみ販売されている。
名称
価格
動作環境
IceWall
Windows CardSpace
HP IceWall SSO Standard Edition 通常ライセン
ス参考価格(税抜き)(数百〜数千ユーザ程度の、
中小・中堅規模サイト用) :
100ユーザ 1,500,000円
500ユーザ 2,400,000円
1,000ユーザ 3,200,000円
HP IceWall Identity Manager Conbined
Product use ライセンス 参考価格(税抜き)(他の
製品とセットで購入時) :
5,000ユーザまで 2,400,000円
IceWallサーバ(フォワーダ):HP-UX、RHEL
(バックエンドWebアプリはWebブラウザからHTTP
通信が可能で認証がなければ可能。エージェント型
サーバ:HP-UX、RHEL、Windows Server、Solaris)
認証サーバ:HP-UX、RHEL
277
無料
(Microsoft .NET Framework 3.0、3.5
(無料)の一部として提供)
Windows Server 2003、Windows Vista、
Windows XP
認証基盤ソフトウェア機能比較(1)
 機能
 認証機能、シングルサインオン機能、対応プロトコル等、多くの機能においてOpenSSOが商用ソフトウェアを
含めた他のソフトウェアに比べ、機能が充実している。
 OpenSSOとIceWallはエージェント型、リバースプロキシ型両方に対応している。
OpenSSO
Shibboleth
Higgins
simpleSAMLph
p
IceWall
Windows
CardSpace
基本機能
認証機能
シングルサ SSOのタイプ
インオン機
能
代理認証
○
○
△
○
○
○
複数の認証方式に
対応
複数の認証方式に
対応
ID/パスワード認
証に対応
複数の認証方式に
対応
複数の認証方式に
対応
複数の認証方式に
対応
-
エージェント
リバースプロキ
シ
エージェント
エージェント
エージェント
エージェント
リバースプロキ
シ
○
×
×
×
○
○
○
フェデレーション対応プロトコ
ル
Liberty ID-FF
1.1/1.2、SAML
1.0/1.1/2.0、WSFederation、
OpenIDに対応
○
△
SAML (1.1、2.0)
のみに対応
IdPとして
WS-Trust、
SAML2.0、
IDセレクタとしては
OpenID、
Information
Cardに対応
SAML2.0、
OpenID、
Shibboleth1.3、
A-Select、CAS、
WS-Federationに
対応
SAML2.0、
OpenID、
Shibbolethに対
応
Information
Cardに対応
(カードとして
SAMLを扱うことは
可能)
○
×
○
○
×
△
○
○
アクセス制御・認可機能
認証コンテキスト
でも制御可能
278
認証基盤ソフトウェア機能比較(2)
 機能
 OpenSSOはWebブラウザで管理可能であり、その他のOSSはCLIで管理をおこなう。
 OpenSSOとIceWallでは先進的な付加機能も多い。
管理インタフェース
ログ管理
OpenSSO
Shibboleth
Higgins
simpleSAMLph
p
IceWall
Windows
CardSpace
Webブラウザ
CLI
CLI
CLI
Webブラウザ
Webブラウザ
○
○
○
○
○
○
○
△
△
○
×
モジュールにより
追加・編集
グループ管理が可能、
複数階層に対応
アカウント管理可能
グループ管理が可
能
○
△
ディレクトリサービス
Active Directory、
データベース、
LDAPに対応
Active Directory、
LDAP、SQLに対応
多要素認証
○
×
マルチプロトコル間SSO機能
○
×
IDプロビジョニング機能
×
×
○
LDAPに直接作成
×
○
○
OpenLDAPを利
用
LDAP、RDB
(MySQL)、
RADIUSに対応
OpenLDAP, HP-UX
Directory Server、
MySQL等をサポート
-
×
×
○
×
○
○
×
×
付加機能
IDセレクタの機能
△
×
279
×
Oracle Identity
Managerとの連携
×
4.3.3 利用者向け認証基盤に関するソフトウェア
(b. ディレクトリサービスソフトウェア)
1) OpenDS
2) OpenLDAP
3) 商用ソフトウェア(基本情報のみ)
4) ディレクトリサービスソフトウェア機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
280
OpenDS: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 大企業が開発を主導しており、安定性や成熟度は高いといえる。コミュニティサポート・商用サポートがあまり充
実していない。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
日本語に対応し、標準的な技術を使っている。
サポート
★★☆☆☆
日本語ドキュメントがなく、また、コミュニティもあまり活発ではない。商用サポートも開発
企業以外には提供されていない。
開発体制の安定性
★★★★★
大企業によって開発され、また、開発のオープン性も高く、開発の安定性は高い。ただし、
開発コミュニティがあまり活発ではない。
成熟度
★★★★★
大企業が開発を進めていたソフトウェアのオープンソース化であり、成熟度は高い。脆弱
性情報等は公開されていない。
機能
★★★★★
LDAPv3に準拠しており、基本的な機能はすべて備えている。GUIによる管理インタ
フェースを備え、複数のバックアップ方式にも対応しており、機能が充実している。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
281
OpenDS: 基本情報
 基本情報
 日本語に対応し、Javaで記述されたディレクトリサービスソフトウェアである。
最新バージョン
2.2.0 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
https://opends.dev.java.net/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
ディレクトリサービスを提供するソフトウェア。
類似ソフトウェア
OpenLDAP
スクリーンショット
なし
利用シーン
ネットワーク上の資源(ユーザ情報や機器情報等)を記憶・検索し、ユーザやネットワークを一元管理す
る。
標準準拠状況
LDAP、DSML
ライセンス
CDDL (Common Development and Distribution License)
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語(簡体字)。一部は韓国語と中国語(繁体字)に
も対応。
282
OpenDS: 基本情報
 基本情報
 Java上で動作し、Windows、Linux、Solarisといった主要なサーバOSに対応している。
価格
ライセンス費は無料。有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
【ハードウェア】
[RAM]
評価目的:最小256MbytesのDB用空きメモリ
実用機:最低2Gbytes
[ディスク]
評価目的:最小100Mbytes、推奨1Gbytes
実用機:最低4Gbytes(DB)、1Gbyte(ログ)、30-40Gbytes(変更ログDB)
【ソフトウェア】
[OS]
Solaris 10 SPARC(R) 64-bit/x86/x64
OpenSolaris 200805/200811 x86/x64
Microsoft Windows 2003 Server Standard and Enterprise Editions SP1/SP 2 for x86
Red Hat Linux Advanced Server 4.0U5/5.1 for x86/x64
SuSE Linux Enterprise Server 10 for x86/AMD x64
Ubuntu Linux 8.04 for x86/AMD x64
[JRE]
Sun JRE 1.5.0_08 (32-bit)/1.5.0_13 (64-bit)/1.6.0_03 (32-bit/64-bit)
非Sun JRE 1.5
https://www.opends.org/wiki/page/OpenDSSystemRequirements
提供されているバイナリパッ
ケージ
Java版
283
OpenDS: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語版のドキュメントは充実しているが、書籍は発刊されていない。
英語
日本語
ドキュメント
インストールマニュアル、設定マニュアル、リファレンスマニュアル、
How To、トラブルシューティングガイド等が用意されている。
なし
https://www.opends.org/wiki/page/OpenDSUserDocum
entation
書籍
なし
なし
 サポート企業
 OpenDSの開発を支援しているOracle(旧Sun Microsystems)がサポートを含めた商用版を提供している。
英語
サポート企業
日本語
Oracle(旧Sun Microsystems)が商用版を提供している。
284
同左
OpenDS: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストでのサポートが中心である。2009年前半の一時期は投稿数が急増したが、他の期間はおおむ
ね50〜150投稿/月程度で推移している。
メーリングリストおよび
掲示板
英語
日本語
https://opends.dev.java.net/servlets/ProjectMailin
gListList にて、ユーザ向けのメーリングリストが提供されて
いる。
https://opends.dev.java.net/servlets/ProjectMailingLi
stList にて、日本語版用メーリングリストが提供されているが、
ほとんど利用されていない。
1.0.0
300
1.2.0
250
200
150
100
50
0
2006
2007
2008
2009
ユーザーズメーリングリストの投稿数
285
2.0.0
2.2.0
OpenDS: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体の開発で多くの開発者が参加しており、しっかりとした開発体制が築かれている。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Oracle(旧 Sun Microsystems)が中心である。
参加企業と参加形態
Oracle(旧 Sun Microsystems)が中心となって開発を進めている。
コア開発者数・コミッタ数
ボードメンバ:3名
フルタイムコミッタ:18名(開発担当)、11名(品質担当)、7名(リリース&Web担当)
https://opends.dev.java.net/public/misc/bios.html
開発者数
他のコミッタ、貢献者、過去のメンバとして13名が挙げられている。
https://opends.dev.java.net/public/misc/bios.html
 開発方針の策定方法
 要望やバグフィクスの手順が書かれたページが用意されている。また、開発ロードマップも示されている。
要求仕様策定方法
Issue Trackerを活用すること等が記されている。
https://www.opends.org/wiki/page/ReportAnOpenDSBug
開発ロードマップ
https://www.opends.org/wiki/page/OpenDSRoadmap で公開されている。
次のマイナーバージョンアップとメジャーバージョンアップの内容が書かれている。
標準化活動
不明
286
OpenDS: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発が継続しておこなわれてきている。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理している。
(https://www.opends.org/wiki/page/SubversionAccessInformation)
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
https://opends.dev.java.net/servlets/ProjectMailingListList にて、ユーザ向けのメーリングリス
トが提供されている。月間80投稿前後で推移している。
1.0.0
160
1.2.0
140
120
100
80
60
40
20
0
2006
2007
2008
2009
開発者メーリングリストの投稿数
287
2.0.0
2.2.0
OpenDS: 成熟度
 歴史
 大企業で開発が進められ、また、正式リリース前にリリース候補版の公開を繰り返しており、成熟度は高いと考
えられる。
開発開始年
2005年2月(Sun Microsystems社内での開発開始)、2006年6月(オープンソース化)
誕生と開発の経緯
Sun Microsystems(当時)が開発を始めたプロジェクトがオープンソース化された。オープン
ソース版と商用版の2種類がある。
現在のバージョン
2.2.0 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
2008年の1.0リリース後、半年ごとにバージョンアップしている。
マイナーリリースの頻度
マイナーリリースの代わりに、正式公開前にリリース候補版や開発版を公開している。
パッチ公開の頻度
不明
 人気度
 ダウンロード数は不明だが、商用製品としても提供されており、十分な利用者がいると考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
288
OpenDS: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。クリティカルバグに関しては早ければ
10日以内で対応する等、対応は迅速である。ただし、長期間修正されないバグも散見される。
 QA等の規定が公開され、品質に配慮した開発を進めている。
バグトラッキングシステム
https://www.opends.org/wiki/page/ReportAnOpenDSBug で提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:40(2010年4月26日現在)
総数:636(2006年7月からの累計)
フィックス期間:平均164日。ただし、数日で解決されることもあれば1年程度かかることもある。
※ 5段階で示される優先度が、4または5とされたバグの数を集計した。
バグ数とフィックス率
未対応:285(2006年7月〜2010年4月に投稿されたバグ。2010年4月26日現在)
総数:2,622(2006年7月〜2010年4月の累計)
フィックス率:89%
※バグ数が多いようにも思えるが、おおむね修正されており、むしろバグトラッキングシステムを
積極的に利用していると考えられる。
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
品質保証やリリース条件に関するページが用意されている。
https://www.opends.org/wiki/page/MainQualityPage
289
OpenDS: 機能
 機能
 LDAPv3に準拠しており、基本的な機能はすべて備えている。
 GUIによる管理インタフェースを備えており、複数のバックアップ方式に対応している。
LDAPv3
LDAPv3に完全準拠
アクセス制御
エントリー、属性単位でアクセス制御が可能
レプリケーション
シングルマスタレプリケーション、最大4台までのマルチマスタレプリケーション
に対応
通信経路の暗号化
SSL/TSLによる暗号化通信に対応
管理インタフェース
GUI(専用クライアント)
バックアップ機能
差分バックアップ、圧縮バックアップ、スケジューリングバックアップに対応
ユーザ認証
SASL(Simple Authentication and Security Layer) により、ID/パスワード認
証、Kerberos認証、CRAM-MD5、DIGEST-MD5等をサポート
証明書管理
証明書配布は未対応
ポリシー管理
未対応
IPv6対応
IPv6サポート済み
290
OpenLDAP: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 LDAPv3に準拠し、十分な機能を持っている。要望の取込み方や脆弱性情報等、一部に課題はあるが利用にあ
たって大きな障壁はない。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
LDAPに準拠し、また、さまざまな動作環境に対応している。
サポート
★★★★★
日本語の書籍も複数発刊され、サポート企業もある。また、コミュニティ活動も活発であ
る。
開発体制の安定性
★★★★★
組織化された活発なコミュニティによって開発が進められており、開発ロードマップも用
意されている。
成熟度
★★★★★
リファレンス実装をもとに10年以上開発がおこなわれ、また、主要なディストリビューショ
ンに含まれており、成熟度は高い。
機能
★★★★☆
LDAPv3に準拠しており、基本的な機能はすべて備えている。管理インタフェースはCLI
である。
活用事例
ITコア、湘南工科大学、嘉悦大学等をはじめ、各サポート企業を通じて、国内でも事例が
豊富に存在する。
291
OpenLDAP: 基本情報
 基本情報
 LDAPに準拠したディレクトリサービスソフトウェアである。日本語バージョンはない。
最新バージョン
2.4.22 (2010年5月13日現在)
プロジェクトWebサイト
http://www.openldap.org/
日本語コミュニティ
日本LDAPユーザ会(http://www.ldap.jp/ : OpenLDAPを中心に扱っている)
機能概要
ディレクトリサービスを提供するソフトウェア。
類似ソフトウェア
OpenDS
スクリーンショット
なし
利用シーン
ネットワーク上の資源(ユーザ情報や機器情報等)を記憶・検索し、ユーザやネットワークを一元管理す
る。
標準準拠状況
LDAP
ライセンス
OpenLDAP Public License (BSD系)
以前はGPLとの相違点をもったライセンスとなっていたが、 OpenLDAP Public Licenseバージョン
2.7以降はGPLと同様の内容となっている。
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C言語
国際化対応
英語
292
OpenLDAP: 基本情報
 基本情報
 公式なバイナリパッケージは提供していないが各Linuxディストリビューションは独自にバイナリパッケージを提
供している。また、Linux以外にも、BSD、UNIX、Windows、Mac OS X上等で動作する。
価格
ライセンス費は無料。有料サービスは「サポート企業」の項を参照のこと。
動作環境
【基本システム】
・Cコンパイラ
・再入可能なPOSIX準拠正規表現ソフトウェア
・Cyrus SASL 2.1.21以上(推奨)
・OpenSSL 0.9.7+(推奨)
提供されているバイナリパッ
ケージ
バイナリパッケージは提供していない。
ただし、CentOS、Ubuntu、openSUSE等のディストリビューションでは独自にバイナリパッケージを提供
している。
293
OpenLDAP: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語ではオンラインドキュメント、書籍ともに充実している。日本語のオンラインドキュメントは少ないが、書籍が
発刊されている。
英語
ドキュメント
書籍
日本語
管理者向けマニュアルやFAQ等が公開されている。
http://www.openldap.org/doc/admin24/
OpenLDAP関連の発表資料やコマンドの使い方(man)は日本
LDAPユーザ会が提供している。
"OpenLDAP 2.4"O. Liebel, J. M. Ungar (著)、
"Deploying OpenLDAP" T. Jackiewicz (著)等の書籍がある。
http://www.openldap.org/faq/data/cache/75.html
「入門 LDAP/OpenLDAP—ディレクトリサービス導入・運用ガイ
ド」 デージーネット (著)、
「システム管理者のためのLDAP徹底理解」太田 俊哉, 中満 英
生, 堀田 倫英, 菊池 研自 (著)、
「OpenLDAP入門—オープンソースではじめるディレクトリサービ
ス」稲地 稔(著) 、等の書籍がある。
 サポート企業
 海外・日本ともに多くの企業がサポートサービスを提供している。
英語
サポート企業
日本語
野村総合研究所、オープンソース・ソリューション・テクノロジ、
NEC等がサポートサービスを提供している。
価格はオープンソース・ソリューション・テクノロジの場合、下記の
通りである。
・パッケージ製品:105,000円/ノード
・サポート:252,000円(1年契約、1システム・1問い合わせ窓
口)
約30社がウェブサイトにリストアップされている。
http://www.openldap.org/support/
294
OpenLDAP: サポート
 コミュニティサポート
 掲示板でのサポートが充実している。ユーザ向けのメーリングリストには、以前よりは少ないものの月間300〜
400の投稿があり、活発である。
メーリングリストおよび
掲示板
英語
日本語
http://www.openldap.org/lists/ にて、メーリングリスト
が提供されている。OpenLDAPのみの話題である
Softwareメーリングリストと、より幅の広い技術的話題を
扱うTechnicalメーリングリストがある。
日本LDAPユーザ会が提供するメーリングリストがあるが、利
用は少ない(月に数件程度)。
http://www.ldap.jp/ml
なお、オープンソース カンファレンス等で年に数回セミナーを
開催している。
1200
2.2.5
2.3.4
2.4.6
1000
800
600
400
200
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
ユーザ向けメーリングリストの投稿数(青線:Software、橙線:Software+Technical)
295
OpenLDAP: 開発体制の安定性
 開発チーム
 非営利のコミュニティ(Foundation)が開発を先導し、企業はFoundationを支援するという形態を採っている。
また、開発者の役割は分担されている。
開発主体
コミュニティ中心
開発主体の詳細
非営利組織のOpenLDAP Foundationがコミュニティを運営。
参加企業と参加形態
FoundationのスポンサーとしてNet Boolean Inc. Internet Systems Consortium等が協力
している。
コア開発者数・コミッタ数
コアチームは3名。
開発者数
エンジニアリングチーム:13名
過去の開発参加者:27名
http://www.openldap.org/project/
 開発方針の策定方法
 ロードマップは示されているが、要望の収集と整理がどのようにおこなわれているかは明確ではない。
要求仕様策定方法
バグトラッキングシステムを使うことになっているが、2003年以降70項目しか挙げられておらず、
あまり利用されていない。(http://www.openldap.org/support/ )
開発ロードマップ
次のマイナーリリースとメジャーリリースに関するロードマップが
http://www.openldap.org/software/roadmap.htmlで公開されている。
標準化活動
不明
296
OpenLDAP: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者メーリングリスト、バグ報告メーリングリストへは継続的に月間50〜200の投稿がある。CVSへのコミット
も月間100以上継続的におこなわれており、活発に開発が進められている。
ソースコードレポジトリ
CVSで管理している。(http://www.openldap.org/software/repo.html )
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
http://www.openldap.org/lists/ にて、メーリングリストが提供されている。開発関連では、バグ報告
をするためのBugメーリングリスト、開発者向けのDevelメーリングリスト、CVSの更新を通知する
Commitメーリングリストがある。
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
2.2.5
2004
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
2.2.5
2.3.4
2.3.4
2005
2.4.6
2006
2007
2008
バグ報告メーリングリストの
投稿数
2.4.6
2009
800
2.2.5
2.3.4
2.4.6
700
600
500
400
300
200
100
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2004
2005
2006
2007
2008
2009
Commitメーリングリストの投稿数(=CVSへのコミット数)
開発者メーリングリストの投稿数
297
OpenLDAP: 成熟度
 歴史
 リファレンス実装をもとにして10年以上の歴史を持ち、また、長期にわたって継続的にバージョンアップが続けら
れているため成熟度は高い。
開発開始年
1998年
誕生と開発の経緯
ミシガン大学のLDAPリファレンス実装をもとにして開発が始まった。
現在のバージョン
2.4.22 (2010年5月13日現在)
バージョンアップの頻度
メジャーバージョンアップは数年に1回程度である。
マイナーリリースの頻度
ほぼ毎月マイナーリリースがおこなわれている。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明だが、CentOS、Ubuntu、openSUSE等多くのディストリビューションにも同梱されてい
る。またLPIC-3(※)の試験にも取り込まれており、利用者は十分多いと考えられる。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
(※)
298
LPI (Linux Professional Institute) Japan の主催するLinux技術者認定試験
OpenLDAP: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。バグは着実に修正されている。
 QA等の規定は公開されていないものの、パッチ投稿基準やコーディングガイドラインが提供されており、品質を
意識していることは見てとれる。
バグトラッキングシステム
http://www.openldap.org/its/で提供されている。
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
バグの重要度では分類されていないため、集計不能。
バグ数とフィックス率
未対応:54(2006年6月〜2010年3月に投稿されたバグ。2010年3月現在)
総数:449(2006年6月〜2010年3月の累計)
フィックス率:88%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明。ただし、パッチ投稿基準やコーディングガイドラインは提供されている。
http://www.openldap.org/devel/
50
40
30
20
10
0
2008
2009
月間バグ登録数の推移
299
2010
OpenLDAP: 機能
 機能
 LDAP v3に準拠しており、基本的な機能はすべて備えている。
 管理インタフェースはCLIである。
LDAPv3
LDAP v3に準拠
アクセス制御
エントリー、属性単位でアクセス制御が可能
レプリケーション
シングルマスタレプリケーション、マルチマスタレプリケーションによるレプリケー
ション機能に対応
※マルチマスタレプリケーションはversion 2.4から対応、version2.3まではシ
ングルマスタレプリケーション+referral機能により分散管理に対応
通信経路の暗号化
SSL/TLSによる暗号化通信に対応
管理インタフェース
CLI
バックアップ機能
コマンドによるバックアップ、リストア
ユーザ認証
SASL (Simple Authentication and Security Layer) により、ID/パスワード
認証、Kerberos認証、CRAM-MD5、DIGEST-MD5等をサポート
証明書管理
証明書配布は未対応
ポリシー管理
未対応
IPv6対応
IPv6サポート済み
300
商用ソフトウェア:基本情報(1)
 商用ソフトウェアとして、Active Directoryを調査した
 Microsoftより提供されているディレクトリサービスActive Directoryは、多くの企業で導入されており(※)、
サポート企業や書籍も多い。
※全体の78.1%(2009年)の企業がActive Directoryを利用している。(出典:Microsoft、「Active Directoryのさらなる活
用&ライセンスをわかりやすく解説」、2010年
Active Directory
対象ソフトウェア
機能概要
ディレクトリサービスを提供するソフトウェア
利用シーン
ネットワーク上の資源(ユーザ情報や機器情報等)を記憶・検索し、ユーザやネットワークを一元管理する。
 基本情報
Active Directory
名称
開発企業
Microsoft
最新バージョ
ン
Windows Server 2008 R2
Webサイト
http://technet.microsoft.com/ja-jp/activedirectory/default.aspx
http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2008/r2/technologies/ad-main.mspx
301
商用ソフトウェア:基本情報(2)
価格・動作環境
名称
Active Directory
価格
ボリュームライセンス(参考価格)
Windows Server 2008 R2 Standard :14万円
Windows Server 2008 R2 Enterprise :45万4000円
動作環境
Windows Server 2003/R2 、Windows Server 2008/R2
302
ディレクトリサービスソフトウェア機能比較
 機能
 3つのソフトウェアともLDAPv3に準拠しており、基本的な機能は一通り備えている。
 OpenDS、Active DirectoryはGUIの管理インタフェースを備えており、商用ソフトであるActive Directory
ではポリシー管理が可能となっている。
OpenLDAP
OpenDS
Active Directory
LDAPv3
○
○
○
アクセス制御
○
○
○
○
シングルマスタレプリケーション、マ
ルチマスタレプリケーション
○
シングルマスタレプリケーション、マ
ルチマスタレプリケーション
○
シングルマスタレプリケーション、マ
ルチマスタレプリケーション
通信経路の暗号化
○
○
○
管理インタフェース
CLI
GUI(専用クライアント)
GUI(専用クライアント)
△
コマンドによりサポート
○
スケジューリングバックアップ
○
スケジューリングバックアップ
ユーザ認証
○
SASL対応
○
SASL対応
○
ID/パスワード認証、Kerberos認証、
NTLM認証を利用可能
証明書管理
×
×
○
証明書の配付機能に対応
ポリシー管理
×
×
○
グループポリシーによる管理
IPv6対応
○
○
○
レプリケーション
バックアップ機能
303
4.3.4 大規模分散処理基盤・分散ファイルシステム・DBに関するソフトウェア
(a. 分散処理基盤)
1) Hadoop
2) SkyNet
3) 分散処理基盤機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
304
Hadoop: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 Apacheのトッププロジェクトであり、様々な企業で実際に利用されている。日本語の情報
も充実している。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★☆
日本語コミュニティが存在し、また多くの動作環境に対応している。
サポート
★★★★★
日本語の情報も充実し、商用サポートも複数提供されている。
開発体制の安定性
★★★★★
Apacheのトッププロジェクトである。詳細な開発ロードマップが示され、開発用メーリン
グリストも活発に利用されている。
成熟度
★★★★★
バグトラッキングは公開されており、オープンな開発がおこなわれている。
機能
★★★★☆
分散処理基盤として十分な機能を持つ。
活用事例
米国のYahoo!やFacebookが数千台から数万台の規模のノードで使用している。
Googleが提供している大学生向け高度分散環境プログラミング講座や、Amazon
Elastic MapReduceでもHadoopが使用されている。
国内でもYahoo!や楽天、サイバーエージェントがユーザの行動解析に使用する等、活用
事例は多数存在する。
305
Hadoop: 基本情報
 基本情報
 サブプロジェクトごとに開発されている。Hadoop-Coreとして同梱されているプロジェクト
は、Hadoop-Common、HDFS、Map/Reduceの各サブプロジェクトである。
最新バージョン
0.20.2 (Hadoop-Core: 2010年5月23日現在)
プロジェクトWebサイト
http://hadoop.apache.org/
日本語コミュニティ
Hadoopユーザー会: http://hugjp.org/
機能概要
分散ファイルシステム、大規模分散処理基盤、データ収集システム等の機能を持つ。
類似ソフトウェア
GFarm、Skynet
スクリーンショット
なし
利用シーン
大規模な分散アプリケーションをサポートする。
標準準拠状況
不明
ライセンス
Apache License Version 2.0
その他知財権に関する問題
2010年1月にGoogleが MapReduceの特許を取得したことで、一時特許侵害に該当するのではないかと危ぶま
れた。
これに対しApache Foundationの弁護士は、2010年4月にGoogleの弁護団より「別途CLA (Contributor
Licensing Agreement) に明記された条件の下で、Hadoopへのライセンスを許諾する」旨の回答があったことが
明らかにした。
主な開発言語
Java
国際化対応
英語
306
Hadoop: 基本情報
 基本情報
 Javaで開発されているため、多くのプラットフォーム上で動作する。
価格
無料
プラットフォーム:
・GNU/Linux は、開発プラットフォームおよび実用プラットフォームとしてサポート
・Win32 は開発プラットフォームとしてサポート
動作環境
提供されているバイナリパッ
ケージ
必要なソフトウェア:
・Java 1.6.x (Sun が配布しているものが望ましい)
・リモート Hadoop デーモンを管理する Hadoop スクリプトを使えるようにするために、ssh をインストー
ルし、sshd が実行されている必要がある
・Windowsでは上記の他にCygwinが必要
Java版
307
Hadoop: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントは良く整備されている。また、日本語にも翻訳されている。
英語
日本語
ドキュメント
クイックスタートや、クラスタのセットアップ方法、Map/Reduceの
使い方等のドキュメントが整備されている
http://hadoop.apache.org/common/docs/current/
英語版が翻訳されている
http://oss.infoscience.co.jp/hadoop/common/docs/curr
ent/
書籍
"Hadoop: The Definitive Guide" Doug Cutting Tom White
Oreilly & Associates Inc; Original版 (2009/6/16)、
"Hadoop in Action"
Chuck Lam (著)、" Pro Hadoop"Jason Venner (著) Apress;
1版 (2009/6/22)
「Hadoop」Tom White (著), 玉川 竜司 (翻訳), 兼田 聖士 (翻
訳) オライリージャパン (2010/1/25)、「クラウドを実現する技
術」米持 幸寿 (著) インプレスジャパン (2009/8/24)
 サポート企業
 複数企業により商用サポートが提供されている。
英語
サポート企業
日本語
ぷらっとホーム&プリファードインフラストラクチャー(協業)、株
式会社リッテル等
Cloudera(米国)
308
Hadoop: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストは活発に利用され、増加傾向にある。
英語
メーリングリストおよ
び掲示板
日本語
サブプロジェクトごとにメーリングリストが用意されている。
例:HDFS
http://oss.infoscience.co.jp/hadoop/hdfs/mailing_lis
ts.html
メーリングリストの投稿数 (本家)
2009年11月に発足したHadoopユーザー会により、メーリ
ングリストが用意されている。
http://groups.google.co.jp/group/hadoop-jp
メーリングリストの投稿数 (日本語)
[Hadoopのサブプロジェクトである
Hadoop Common (旧名称はHadoop Core)、Chukwa、HDFS、Hive、
MapReduce、Pig、ZooKeeperの合計]
309
Hadoop: 開発体制の安定性
 開発チーム
 Apacheのトッププロジェクトであり、多くの開発者が携わっている。
開発主体
Apacheソフトウェア財団
開発主体の詳細
Apacheのトッププロジェクトである。
参加企業と参加形態
多くはYahoo社員により開発がおこなわれている。
また、開発者を募集している。
http://wiki.apache.org/hadoop/HowToContribute
コア開発者数・コミッタ数
2009年7月から2010年5月までに約4500のコミッタ数がある。
開発者数
上記期間で約50人がコミットしている。
 開発方針の策定方法
 ユーザがJIRAに新機能の提案やバグの登録をおこなうことが可能である。
要求仕様策定方法
各サブプロジェクトごとに、JIRAで開発予定のリストを管理しているが、要求仕様策定基準は不明である。
開発ロードマップ
各サブプロジェクトごとに定められている。
Hadoop Common:
http://issues.apache.org/jira/browse/HADOOP?report=com.atlassian.jira.plugin.system.project:roadmappanel
HDFS:
https://issues.apache.org/jira/browse/HDFS?report=com.atlassian.jira.plugin.system.project:roadmap-panel
Map/Reduce:
https://issues.apache.org/jira/browse/MAPREDUCE?report=com.atlassian.jira.plugin.system.project:roadma
p-panel
標準化活動
不明
310
Hadoop: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストで活発な議論がおこなわれている。
ソースコードレポジトリ
http://svn.apache.org/viewvc/hadoop/
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
サブプロジェクトごとにメーリングリストが用意されている。
メーリングリストの投稿数 (JIRAへの登録時に自動的に流れるメールも含む)
[Hadoopのサブプロジェクトである
Hadoop Common (旧名称はHadoop Core)、Chukwa、HDFS、Hive、MapReduce、Pig、ZooKeeperの合計]
311
Hadoop: 成熟度
 歴史
 5年以上継続して開発がおこなわれており、また、リリースの頻度も高い。
開発開始年
2004年
誕生と開発の経緯
2004年12月にGoogleからMapReduceに関する論文が発表されたのを受け、Doug Cutting
氏が開発を開始した。
現在のバージョン
0.20.2 (2010年5月24日現在)
バージョンアップの頻度
0.15.0のリリースから0.20.0のリリースまで約1年半である。
マイナーリリースの頻度
毎月1回程度である。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 数多くの企業で利用されているが、ダウンロード数は不明である。
(http://wiki.apache.org/hadoop/PoweredBy)
最近のバージョンの最大ダウンロード数
不明
のべダウンロード数
不明
312
Hadoop: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。クリティカルバ
グのフィックス率は93%と高く、着実にメンテナンスがおこなわれている。
バグトラッキングシステム
http://issues.apache.org/jira/browse/HADOOP
クリティカルバグ数とフィックスまで
の期間
未対応:84件 (2010年5月24日現在)
総数:1260件 (2005年7月からの累計)
フィックス率:93%
※重要度が「critical」「blocker」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:1652件(2010年5月24日現在)
総数:6792件(2005年7月からの累計)
フィックス率:76%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
Hudsonを利用したシステムテストが推奨されている。
※未対応バグ数は、Statusが「Open」、「In Progress」、「Reopened」であるものを集計。
313
Hadoop: 機能
 機能
 GoogleのMapReduce機能を再現している。単一障害点となるJobTracker Nodeへの対応を考慮する必要が
ある。
基本機能
タスク分散機能
タスク指定方法
失敗したタスクの再実行機能
単一障害点の有無
有り
コマンドライン
有り
有り
サポートしているメッセージキューシステム
計算ノード数の指定機能
Capacity Scheduler等
有り (サブプロセスの仮想メ
モリの上限を指定可能)
有り
付加機能
状況と診断情報のジョブクライアントへの通知機能
最適タスク割り当て機能
有り
有り
メモリ管理機能
有り (zlib圧縮アルゴリズム
の CompressionCodecや、
gzipに対応)
データの圧縮機能
314
SkyNet: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 2008年5月に0.9.3がリリースされて以降、動きがない。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
日本語版や日本語コミュニティは存在しない。
サポート
★☆☆☆☆
日本語のドキュメントはほとんど見当たらず、ユーザ用メーリングリストの投稿数も少な
い。
開発体制の安定性
★★☆☆☆
小規模な開発チームであり、開発用メーリングリストはほとんど活用されていない。
成熟度
★☆☆☆☆
開発が2年程度滞っている。
機能
★★★☆☆
分散データベースとしての十分な機能を有していない。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
315
SkyNet: 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティはなく、日本語の情報はほとんど存在しない。
最新バージョン
0.9.3 (2010年5月23日現在)
プロジェクトWebサイト
http://skynet.rubyforge.org/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
Rubyで実装されたGoogle MapReduceフレームワークのクローンである。
類似ソフトウェア
Hadoop MapReduce
スクリーンショット
なし
利用シーン
巨大なデータに対して、分散並列処理をおこなう。
標準準拠状況
不明
ライセンス
MIT/X Consortium License
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Ruby
国際化対応
英語
316
SkyNet: 基本情報
 基本情報
 Rubyで記述されているため、比較的多くのプラットフォーム上で動作すると考えられる。
価格
無料
動作環境
Rubyが動作する環境。
提供されているバイナリパッ
ケージ
gemパッケージが提供されている。
317
SkyNet: サポート
 ドキュメント整備状況
 簡単な英語ドキュメントのみ用意されている。
英語
日本語
ドキュメント
http://skynet.rubyforge.org/doc/index.html
なし
書籍
なし
なし
 サポート企業
 サポート企業は見当たらない。
英語
サポート企業
日本語
不明
不明
318
SkyNet: サポート
 コミュニティサポート
 フォーラムの投稿は約1年間滞っている。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
フォーラム
http://rubyforge.org/forum/?group_id=5069
フォーラムの投稿数
319
なし
SkyNet: 開発体制の安定性
 開発チーム
 開発チームの規模は小さい。
開発主体
企業主体
開発主体の詳細
Geni社が開発をおこなっている。
参加企業と参加形態
Geni社のAdam Pisoniが主に開発をおこなっている。
コア開発者数・コミッタ数
プロジェクト管理2名
開発者数
7名
 開発方針の策定方法
 機能のリクエストを受け付ける場所は用意されているが、対応されていない。
要求仕様策定方法
機能のリクエストが可能である。
http://rubyforge.org/tracker/?group_id=5069
開発ロードマップ
タスクが2件のみ登録されている。
http://rubyforge.org/pm/task.php?group_project_id=8544&group_id=5069&func=
browse
標準化活動
不明
320
SkyNet: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者用メーリングリストは、2009年1月に1通投稿されたのみである。
ソースコードレポジトリ
http://rubyforge.org/scm/?group_id=5069
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
開発者用ML
http://rubyforge.org/mail/?group_id=5069
321
SkyNet: 成熟度
 歴史
 2008年1月にリリースが開始されたが、同年5月以降動きが見られない。
開発開始年
不明
誕生と開発の経緯
GoogleのMapReduceフレームワークを参考にして、Geniによって開発が開始された。
2008年1月に0.9.1と0.9.2、2008年5月に0.9.3がリリースされた。
現在のバージョン
0.9.3 (2010年5月23日現在)
バージョンアップの頻度
2008年5月の0.9.3リリース以来動きがない。
マイナーリリースの頻度
2008年1月に2度、5月に1度リリースされたのみ。
パッチ公開の頻度
不明
 人気度
 ダウンロード数はそれほど多くない。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
http://rubyforge.org/frs/?group_id=5069からのダウンロードは661回 (2010年5月25日
現在)
のべダウンロード数
http://rubyforge.org/frs/?group_id=5069からのダウンロードは1002回 (2010年5月25
日現在)
322
SkyNet: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムはあまり活用されていない。
バグトラッキングシステム
バグの他にサポートリクエスト等も含めたtracker
http://rubyforge.org/tracker/?group_id=5069
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
クリティカルバグなし
バグ数とフィックス率
3 open /5 total
フィックス率 40%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
323
SkyNet: 機能
 機能
 単一障害点が存在しないことは評価できるが、より高速に計算を実行可能にするための機能が不足してい
る。
基本機能
タスク分散機能
有り
タスク指定方法
コマンドライン
失敗したタスクの再実行機能
有り
単一障害点の有無
なし
サポートしているメッセージキューシステム
Tuple Space,
MySQL
メモリ管理機能
なし
計算ノード数の指定機能
有り
付加機能
状況と診断情報のジョブクライアントへの通知機能
なし
最適タスク割り当て機能
なし
データの圧縮機能
なし
324
分散処理基盤機能比較
 機能
 いずれのソフトもGoogleのMapReduceのクローンである。
 機能についてはHadoopのほうが優れていると考えられる。
Hadoop
Skynet
タスク分散機能
○
○
タスク指定方法
コマンドライン
コマンドライン
失敗したタスクの再実行機能
○
○
単一障害点の有無
×
○
サポートしているメッセージキューシステム
Capacity Scheduler等 Tuple Space、MySQL
状況と診断情報のジョブクライアントへの通知機能
○
×
メモリ管理機能
○
×
計算ノード数の指定機能
○
○
最適タスク割り当て機能
○
×
データの圧縮機能
○
×
325
4.3.4 大規模分散処理基盤・分散ファイルシステム・DBに関するソフトウェア
(b. 分散ファイルシステム)
1) Hadoop (a. にも記載しているため、機能のみ記す)
2) GFarm
3) 分散ファイルシステム機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
326
Hadoop: 機能
 機能
 分散ファイルシステムとしての機能は一通り持っているが、単一障害点となるName Nodeへの対応を考慮する
必要がある。
基本機能
ファイルの操作
コマンドライン
単一障害点の有無
有り
破損データ検出および復元機能
有り
複製選択機能
有り
複製数の指定機能
有り
付加機能
アクセス制御機能
なし(ただし、この実装
が妨げられることはな
い)
Hadoop MapReduceのサポート
有り
ソフトリンク機能
なし
327
GFarm: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 日本の独立行政法人が開発主体であるため、日本語のドキュメントを入手しやすい。開発の歴史が長いが、開
発のオープン性はやや低い。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★★
日本語コミュニティおよび日本語版がデフォルトで用意される。
サポート
★★★★☆
日本語ドキュメントが容易に入手可能であり、メーリングリストも用意されている。
開発体制の安定性
★★★☆☆
ユーザの要望を集積する場所は用意されているが、一方で今後のロードマップや標準化
活動については不明である。
成熟度
★★★☆☆
開発の歴史は長い。バグトラッキングシステムはSourceForge.netのtracで管理されて
いる。120以上のチケットが登録されている。
機能
★★★★★
分散ファイルシステムとして十分な機能を有する。
活用事例
NTTネオメイトにて、データスクランブル機能を追加し、コールセンターで扱われる個人
情報や会話内容等を情報漏えいから守るセキュリティシステムとして活用した事例があ
る。また、大学等をはじめとした研究機関での利用も多い。
328
GFarm: 基本情報
 基本情報
 プロジェクトは日本語で進められている。
最新バージョン
2.4.0 (2010年7月22日現在)
プロジェクトWebサイト
http://datafarm.apgrid.org/index.en.html
日本語コミュニティ
http://datafarm.apgrid.org/
機能概要
大規模なデータ処理およびデータ共有をおこなうための広域ネットワークファイル分散システムである。
類似ソフトウェア
Hadoop、NFS、AFS
スクリーンショット
なし
利用シーン
広域ネットワーク環境で性能と安定性を確保する。
標準準拠状況
POSIX準拠、NFSおよびCIFSクライアント対応
ライセンス
BSD License
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C
国際化対応
英語
329
GFarm: 基本情報
 基本情報
 複数のバイナリパッケージが提供されている。
価格
無料
動作環境
オペレーティングシステム:
CentOS、Fedora Core、Debian、Solaris、FreeBSD、NetBSD
提供されているバイナリパッ
ケージ
RPM、Debian、Solaris 9、BSD
330
GFarm: サポート
 ドキュメント整備状況
 ドキュメントは正式に日本語で用意されている。
英語
ドキュメント
書籍
日本語
日本語版が英語に翻訳されている。
http://datafarm.apgrid.org/document/index.html
http://datafarm.apgrid.org/document/
なし
「最新図解 データベースのすべて」小野 哲、技術評論社
(2009/3/27)において紹介されている。
また、開発を主導している建部修見准教授による記事が
ThinkITに掲載されている。
http://thinkit.jp/article/756/1/
http://thinkit.jp/article/772/1/
http://thinkit.jp/article/791/1/
http://thinkit.jp/article/817/1/
 サポート企業
 日本では商用サポートを提供する企業がある。
英語
サポート企業
日本語
不明
ベストシステムズ、創夢、SRA 等
331
GFarm: サポート
 コミュニティサポート
 日本語および英語のそれぞれについてメーリングリストが提供されている(ユーザ、開発者との議論の場として
用意されている)。メーリングリストで質問を投げると、開発者がすぐに回答するケースが多い。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
http://datafarm.apgrid.org/ml/
http://datafarm.apgrid.org/ml/
メーリングリストの投稿数 (日本語)
メーリングリストの投稿数 (英語)
332
GFarm: 開発体制の安定性
 開発チーム
 筑波大学主体の開発である。
開発主体
以前は独立行政法人産業技術総合研究所、現在は国立大学法人筑波大学が主体。
開発主体の詳細
国立大学法人筑波大学 計算科学研究センターが開発を進めている。
参加企業と参加形態
筑波大学が主体となり、SourceForge(http://sourceforge.net/projects/gfarm/)にてオー
プンな体制で開発が進められている。
コア開発者数・コミッタ数
2001年1月から2010年5月までの間に約4700件のコミットがある。
開発者数
不明
 開発方針の策定方法
 開発ロードマップや標準化活動については不明である。
要求仕様策定方法
国立大学法人筑波大学 計算科学研究センター の建部修見准教授により行われている。
要求項目自体は、MLで募集している。
開発ロードマップ
不明
標準化活動
不明
333
GFarm: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストを用いた議論はあまり活発ではない。
ソースコードレポジトリ
http://gfarm.svn.sourceforge.net/viewvc/gfarm/
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
ユーザ向けと兼用である。
334
GFarm: 成熟度
 歴史
 リリース頻度は高くないが、開発の歴史は長く、受賞歴もいくつか有している。
開発開始年
不明
誕生と開発の経緯
2003年のHigh Performance Bandwidth Challengeでは、GFarm上で1.8TBの大規模デー
タを解析する実証実験を実施。”Distributed Infrastructure”賞受賞。また、同年にオープン
ソースとして1.0b1を公開。
現在のバージョン
2.4.0 (2010年7月22日現在)
バージョンアップの頻度
2.0.0リリースから2.3.0リリースまで約2年である。
マイナーリリースの頻度
半年に1回程度である。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 一定のダウンロード数がある。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
バージョン2.3.0が約700件ダウンロードされている(2010年5月25日現在)
のべダウンロード数
約3,000件ダウンロードされている(2010年5月25日現在)
335
GFarm: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開されている。
バグトラッキングシステム
https://sourceforge.net/apps/trac/gfarm/report
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
クリティカルバグなし
バグ数とフィックス率
オープン: 23
総数: 84
※Typeが「defect」となっているチケット件数を集計。
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
336
GFarm: 機能
 機能
 分散ファイルシステムとしての機能は一通り持っているが、単一障害点となるメタデータサーバへの対応を
考慮する必要がある。
基本機能
ファイルの操作機能
GUIまたはコマンドライン
単一障害点の有無
有り (バックエンドのデータベースを冗長にすること、およびメタデータサーバの切
り替えにより対応可能)
破損データ検出および復元機能
有り
複製選択機能
有り
複製数の指定機能
有り
付加機能
アクセス制御機能
所有者、グループ、それ以外でread/write/executeの権限が指定可能である。ユーザ、
グループは各機関のローカルなものではなくGFarmが管理しているグローバルなユー
ザ、グループを利用する。
グローバルユーザ名へのマッピングは、共有鍵認証の場合は各拠点の管理者がマッピ
ングを記述するが、GSIの場合はユーザのグローバルユーザ名に対しSubject DNを登
録し、Subject DNからグローバルユーザ名へ決定する。
Hadoop MapReduceのサポート
有り (Hadoop-GFarm plug-in(
https://gfarm.svn.sourceforge.net/svnroot/gfarm/gfarm_hadoop/trunk
gfarm_hadoop)の利用)
ソフトリンク機能
なし (ただし、gfarm2fs コマンド経由で利用可能)
337
分散ファイルシステム機能比較
 機能
 機能としては、両者に大きな差はない。
 ユーザとの対話を重視するのであればGUIが用意されているGFarmが良いと考えられるが、Hadoop用の
GUIを提供するソフトもいくつか提供されている。
 スケーラビリティやソフトウェア自身の信頼性については、別途よく考慮する必要がある。
Hadoop
GFarm
ファイルの操作機能
コマンドライン
GUIまたはコマンドライン
単一障害点の有無
×
×
破損データ検出および復元機能
○
○
複製選択機能
○
○
複製数の指定機能
○
○
アクセス制御機能
×
○
Hadoop MapReduceのサポート
○
○
ソフトリンク機能
×
△
外部コマンドにより可能
338
4.3.4 大規模分散処理基盤・分散ファイルシステム・DBに関するソフトウェア
(c. 分散DB)
1)
2)
3)
4)
5)
6)
CouchDB
HBase
Hypertable
Voldemort
Cassandra
分散DB機能比較
※なお、本カタログに記載した内容は、特に明記が無い限り2010年5月末現在のものである。
339
CouchDB: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 Apacheのトッププロジェクトである。安定性や成熟度は比較的高いと思われるが、日本語で最新情報を得るこ
とは難しい。
評価項目
評価結果
基本情報
★★☆☆☆
日本語版や日本語コミュニティはない。主にErlang言語で記述されている。
サポート
★★★☆☆
日本語のドキュメントは最新版に対応していない可能性がある。また、日本企業によるサ
ポートは見当たらない。
開発体制の安定性
★★★★★
Apacheのトッププロジェクトである。詳細な開発ロードマップが示され、開発用メーリン
グリストも活発に利用されている。
成熟度
★★★★★
バグトラッキングは公開されており、オープンな開発がおこなわれている。
機能
★★★★★
分散データベースとして十分な機能を持つ。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
340
CouchDB: 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティがなく、最新情報を日本語で入手しにくいことが難点。Erlang言語で開発されていることが
特徴的である。
最新バージョン
0.11.0 (2010年5月23日現在)
プロジェクトWebサイト
http://couchdb.apache.org/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
ドキュメント指向の分散データベースである。RESTful json APIを提供する。
類似ソフトウェア
HBase、Voldemort、Hypertable、Cassandra
スクリーンショット
http://couchdb.apache.org/screenshots.html
利用シーン
大規模なドキュメント格納に利用する。
標準準拠状況
Thrift, REST, JSON
ライセンス
Apache License Version 2.0
その他知財権に関する問題
2010年1月にGoogleが MapReduceの特許を取得したことで、一時特許侵害に該当するのではないかと危ぶ
まれた。CouchDBではビューエンジンがMapReduceフレームワークに対応したプログラムとして登録されて動
作する仕組みとなっているが、CouchDBの開発者の一人であるAlex Popescu氏は、Twitterで「問題ない」と発
言している。
主な開発言語
Erlang
国際化対応
英語
341
CouchDB: 基本情報
 基本情報
 多くのOS上で動作可能である。
価格
動作環境
無料
【ソフトウェア】
オペレーティングシステム: Mac OSX、
FreeBSD、NetBSD、OpenBSD、
RHEL4、RHEL5、Fedora7、Fedora10、Gentoo、Ubuntu、Open Solaris、Slackware
Windows
(AndroidおよびWebOSへは現在対応中)
Spidermonkey1.7以上、Erlang5.6.5以上、ICU3.0以上、Curl7.18.0以上
提供されているバイナリパッ
ケージ
Mac版、Windows版が提供されている。
342
CouchDB: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語でのドキュメントは充実している。基本的な情報は日本語での入手も可能である。
英語
日本語
ドキュメント
CouchDBの概要やWiki等の情報が記載されている。
http://couchdb.apache.org/docs/index.html
Wikiには、インストール方法やCouchDBに関するプレゼンテー
ション資料等が記載されている。
http://wiki.apache.org/couchdb/FrontPage
「あしたのオープンソース研究所」により、HPが日本語に翻訳さ
れている。ただし、最新版には対応していない。
http://oss.infoscience.co.jp/couchdb/main/index.html
書籍
CouchDBコミュニティページに書籍が紹介されている。
(http://couchdb.apache.org/docs/books.html)
"CouchDB: The Definitive Guide, O’Reilly Media, by J
Chris Anderson, Jan Lehnardt & Noah Slater",
"CouchDB in Action, Manning, by Chris Chandler",
"Beginning CouchDB, Apress, by Joe Lennon"
なし
 サポート企業
 日本でサポートを提供する企業は見当たらない。
英語
サポート企業
日本語
Couchio、Relaxed
不明
343
CouchDB: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストおよびWikiが提供されており、活発に利用されている。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
メーリングリスト:
http://couchdb.apache.org/community/lists.html
Wiki:
http://wiki.apache.org/couchdb/FrontPage
なし
メーリングリストの投稿数
344
CouchDB: 開発体制の安定性
 開発チーム
 Apacheのトッププロジェクトであり、主に10人の開発者によって整備されている。
開発主体
Apacheソフトウェア財団
開発主体の詳細
Apacheのトッププロジェクトである。
参加企業と参加形態
開発者を募集している。
http://wiki.apache.org/couchdb/How_to_contribute_(for_Non-Committers)
コア開発者数・コミッタ数
2008年12月から2010年5月までに約1500件のコミットがあった。
コア開発者は10名である(http://couchdb.apache.org/community/committers.html)
開発者数
上記期間中に約13名がコミットした。
 開発方針の策定方法
 ユーザがJIRAに新機能の提案やバグの登録をおこなうことが可能である。
要求仕様策定方法
JIRAで開発予定のリストを管理しているが、要求仕様策定基準は不明である。
開発ロードマップ
各バージョンで何を実装するかについてJIRAに登録されている。
https://issues.apache.org/jira/secure/BrowseProject.jspa?id=12310780&subset=-1
標準化活動
不明
345
CouchDB: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者用メーリングリストで活発な議論がおこなわれている。
ソースコードレポジトリ
http://couchdb.apache.org/community/code.html
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
メーリングリストが提供されている。
http://couchdb.apache.org/community/lists.html
メーリングリストの投稿数
346
CouchDB: 成熟度
 歴史
 Apacheトッププロジェクトに昇格して3年目に入り、引き続き開発がおこなわれている。
開発開始年
2005年
誕生と開発の経緯
Damien Katz氏により開発が始められた。2008年にApache Incubator プロジェクトになり、
同年Apacheトッププロジェクトに昇格。
現在のバージョン
0.11.0 (2010年5月23日現在)
バージョンアップの頻度
0.8リリースから0.11リリースまでは約2年である。
マイナーリリースの頻度
3ヶ月に1回程度である。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明である。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
347
CouchDB: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。
バグトラッキングシステム
JIRA
https://issues.apache.org/jira/secure/IssueNavigator.jspa?reset=true&&type=1&pid
=12310780
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:12件 (2010年5月23日現在)
総数:61件 (2008年5月からの累計)
フィックス率:80%
※重要度が「critical」「blocker」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:144件(2010年5月23日現在)
総数:435件(2008年5月からの累計)
フィックス率:67%
脆弱性公開数と対応数
脆弱性情報は公開されている。
http://couchdb.apache.org/security.html
QA・テスト規定・リリース条件
テスト規定が記載されている。
http://wiki.apache.org/couchdb/How_to_create_tests?action=show
※未対応バグ数は、ステータスが「RESOLVED」「VERIFIED」「CLOSED」以外のものを集
計。
348
CouchDB: 機能
 機能
 単一障害点はない。可用性を重視し、整合性については結果整合性を保証している。
基本機能
ストレージシステム
データモデル
利用しているロックサービス
単一障害点の有無
並行性制御
ディスク
ドキュメント
なし
なし
MVCC
整合性、可用性、ネットワーク分断への耐性のどれを重要視するか
実現する整合性の性質
クライアントプロトコル
マルチ・データセンターのサポート
付加機能
整合性と可用性のトレードオフの調整
Hadoop MapReduceのサポート
可用性およびネットワーク分断
への耐性
結果整合性
Thrift
対応
未対応
対応
349
HBase: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 分散データベースとして十分な機能を持つ。2010年5月にApacheのHadoopプロジェクトのサブプロジェクト
からトッププロジェクトに昇格し、注目を集めている。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★★☆
日本語コミュニティが存在する(Hadoopユーザー会)。また、Javaで開発されているた
め幅広いプラットフォームで動作する。
サポート
★★★★★
公式には日本語ドキュメントは用意されていないが、インターネット上で複数見つけるこ
とができる。
開発体制の安定性
★★★★★
Apacheのトッププロジェクトである。詳細な開発ロードマップが示され、開発用メーリン
グリストも活発に利用されている。
成熟度
★★★★★
バグトラッキングは公開されており、オープンな開発がおこなわれている。
機能
★★★★☆
分散データベースとして十分な機能を持つ。
活用事例
楽天のECサイトである楽天市場で利用されている。今後も、Hadoopユーザー会参加企
業を中心に増加していくと思われる。
350
HBase: 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティがあり、日本語のドキュメントも比較的多く見つけることができる。
最新バージョン
0.20.4 (2010年5月24日現在)
プロジェクトWebサイト
http://hadoop.apache.org/hbase/
日本語コミュニティ
Hadoopユーザー会(HBase専用ではない): http://hugjp.org/
機能概要
主にApache Haoopプロジェクトで開発されているHDFS上で動作する分散データベースである。
類似ソフトウェア
Cassandra、Voldemort、CouchDB
スクリーンショット
-
利用シーン
大規模なデータ格納に利用する
標準準拠状況
Thrift, REST
ライセンス
Apache License 2.0
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
英語
351
HBase: 基本情報
 基本情報
 主にApache Hadoop上で動作する。
価格
無料
動作環境
ソフトウェア: Java 1.6.x、Hadoop 0.20.x、ZooKeeper 0.20.0を推奨。
また、クラスタメンバは同期させる必要があるため、NTPを導入していることが望ましい。
提供されているバイナリパッ
ケージ
Java版
352
HBase: サポート
 ドキュメント整備状況
 WikiやFAQが充実している。日本語ドキュメントもインターネット上に複数見つけることができる。ただし、最新版
に対応していない可能性もある。
英語
日本語
ドキュメント
http://hadoop.apache.org/hbase/docs/current/
HPが日本語に翻訳されている
(http://oss.infoscience.co.jp/hadoop/hbase/index.html)。
ただし、トップページのみであり、詳細な情報はまだない。
書籍
"Hadoop: The Definitive Guide" Doug Cutting Tom White
Oreilly & Associates Inc; Original版 (2009/6/16)、" Pro
Hadoop"Jason Venner (著) Apress; 1版 (2009/6/22)に記
述あり。
「Hadoop」Tom White (著), 玉川 竜司 (翻訳), 兼田 聖士 (翻
訳) オライリージャパン (2010/1/25)に記述あり。
 サポート企業
 複数企業により商用サポートが提供されている。
英語
サポート企業
日本語
ぷらっとホーム&プリファードインフラストラクチャー(協業)、株
式会社リッテル等
Cloudera(米国)
353
HBase: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストが活発に利用されている。日本語については、Hadoopユーザー会が用意しているメーリングリ
ストを利用可能である(Hadoop用であり、HBase専用ではない)。
メーリングリストおよび
掲示板
英語
日本語
メーリングリストが用意されている。
http://hadoop.apache.org/hbase/mailing_lists.html
Hadoopユーザー会により、メーリングリストが用意されてい
る。
http://groups.google.co.jp/group/hadoop-jp
メーリングリストの投稿数 (英語)
354
HBase: 開発体制の安定性
 開発チーム
 Apacheのトッププロジェクトであり、多くの開発者が携わっている。
開発主体
Apacheソフトウェア財団
開発主体の詳細
Apacheのトッププロジェクトである。
参加企業と参加形態
開発者を募集している。
http://wiki.apache.org/hadoop/HowToContribute
コア開発者数・コミッタ数
2008年2月から2010年5月までに約3000のコミッタ数がある。
開発者数
上記期間で約13人がコミットしている。
 開発方針の策定方法
 ユーザがJIRAに新機能やバグの登録をおこなうことが可能である。
要求仕様策定方法
JIRAで開発予定のリストを管理している。
開発ロードマップ
各バージョンで何を実装するかについてJIRAに登録されている。
http://issues.apache.org/jira/browse/HBASE?report=com.atlassian.jira.plugin.syste
m.project:roadmap-panel
標準化活動
不明
355
HBase: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストで活発な議論がおこなわれている。
ソースコードレポジトリ
http://svn.apache.org/viewvc/hadoop/hdfs/
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
メーリングリストが用意されている。
http://hadoop.apache.org/hbase/mailing_lists.html
メーリングリストの投稿数
356
HBase: 成熟度
 歴史
 比較的頻繁にリリースがおこなわれている。
開発開始年
2006年
誕生と開発の経緯
Powerset社において、大規模な自然言語処理をおこなうためにGoogleのBigtableを参考に開
発された。Apache Hadoopプロジェクトのサブプロジェクトを経て、現在はApacheのトッププロ
ジェクトとなっている。
現在のバージョン
0.20.4 (2010年5月24日現在)
バージョンアップの頻度
0.18.0のリリースから0.20.0のリリースまで約1年である。
マイナーリリースの頻度
2か月に1回程度である。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 数多くの企業で利用されているが、ダウンロード数は不明である。
(http://wiki.apache.org/hadoop/Hbase/PoweredBy)。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
357
HBase: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。また、バグフィッ
クス率は高い。
バグトラッキングシステム
JIRA
https://issues.apache.org/jira/secure/IssueNavigator.jspa?reset=true&&type=1&pid
=12310753
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:197件 (2010年5月23日現在)
総数:1550件 (2008年8月からの累計)
フィックス率:87%
※重要度が「critical」「blocker」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:26件(2010年5月23日現在)
総数:297件(2008年8月からの累計)
フィックス率:91%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
下記にテスト規定が示されている。
Hbase Testing Tutorial
http://wiki.apache.org/hadoop/Hbase/HowToTest
How to Release
http://wiki.apache.org/hadoop/Hbase/HowToRelease
※未対応バグ数は、Statusが「Open」、「In Progress」、「Reopened」であるものを集計
358
HBase: 機能
 機能
 従来からの課題であった単一障害点は、バージョン0.20(2009年9月)で解消された。可
用性よりも整合性を重視しているのが特徴である。
基本機能
ストレージシステム
データモデル
利用しているロックサービス
単一障害点の有無
並行性制御
HDFS等の分散ファイルシステム
column family
ZooKeeper
なし
OCC
整合性、可用性、ネットワーク分断への耐性のどれを重要視 整合性およびネットワーク分断への耐
するか
性
実現する整合性の性質
クライアントプロトコル
マルチ・データセンターのサポート
付加機能
整合性と可用性のトレードオフの調整
Hadoop MapReduceのサポート
強い整合性
カスタムAPI
未対応 (バージョン0.21で対応予定)
未対応
対応
359
Hypertable: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 日本語での情報は入手しにくいが、オープンな開発がおこなわれており、海外企業での導入事例も多い。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
日本語版や日本語コミュニティは用意されていない。
サポート
★★★☆☆
日本語ドキュメントがなく、最新情報を日本語で入手しにくいのが難点。ユーザ用メーリ
ングリスト(英語)は積極的に活用されている。
開発体制の安定性
★★★★☆
規模はそれほど大きくはないが、詳細なロードマップが示されている。
成熟度
★★★★☆
バグトラッキングは公開されており、オープンな開発がおこなわれている。
機能
★★★☆☆
単一障害点が存在することが課題である。
活用事例
百度、Rediff.com、Zvents、Endgame Systems、Inepex等が利用している。
360
Hypertable: 基本情報
 基本情報
 日本語コミュニティが存在しないため、最新情報を日本語で取得できないのが難点である。
最新バージョン
0.9.3.1α (2010年5月23日現在)
プロジェクトWebサイト
http://hypertable.org/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
Google Bigtableプロジェクトを参考にして開発されたC++ベースの分散データストレージシステムで
ある。
類似ソフトウェア
Cassandra、HBase、Voldemort、CouchDB
スクリーンショット
-
利用シーン
大規模なデータ格納に利用する
標準準拠状況
Thrift
ライセンス
GNU General Public License Version 2
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
C++
国際化対応
英語
361
Hypertable: 基本情報
 基本情報
 glibc 2.4+ でビルドされている環境であれば動作する。
価格
無料
動作環境
システムがglibc 2.4+ でビルドされていることが条件である。
提供されているバイナリパッ
ケージ
Linux 32-bit版、Linux 64-bit版、Mac OS X版が提供されている。
362
Hypertable: サポート
 ドキュメント整備状況
 英語のドキュメントは整備されているが、日本語で書かれた情報は現状見当たらない。
英語
日本語
ドキュメント
http://hypertable.org/documentation.html
なし
書籍
なし
なし
 サポート企業
 Hypertable Inc.が商用サポートを提供している。日本における商用サポートは見当たらない。
英語
サポート企業
日本語
Hypertable Inc.
なし
363
Hypertable: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストが提供されており、月に数十件の投稿がある。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
メーリングリストが提供されている。
http://hypertable.org/mailing-list.html
なし
メーリングリストの投稿数
364
Hypertable: 開発体制の安定性
 開発チーム
 企業主体で開発がおこなわれている。
開発主体
企業中心
開発主体の詳細
Hypertable Inc.が中心となってプロジェクトを進めている。
参加企業と参加形態
Zvents、百度、Hypertable Inc.等がスポンサーになっている。
コア開発者数・コミッタ数
2007年6月から2010年5月までに約1500のコミッタ数がある。
開発者数
上記期間で約20名がコミットしている。
 開発方針の策定方法
 バグの報告や新機能の提案を受け付ける仕組みは整えられている。
要求仕様策定方法
フィードバックをメーリングリストやHTMLフォーム(http://hypertable.org/feedback.html)で
受け付けているが、仕様策定基準は不明である。
開発ロードマップ
大まかなロードマップ
http://code.google.com/p/hypertable/wiki/Roadmap
および、各バージョンで実装する機能リスト
http://code.google.com/p/hypertable/issues/list
が示されている。
標準化活動
不明
365
Hypertable: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストが提供されているが、投稿数はそれほど多くはない。
ソースコードレポジトリ
http://code.google.com/p/hypertable/wiki/SourceCode?tm=4
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
メーリングリストが提供されている。
http://hypertable.org/mailing-list.html
メーリングリストの投稿数
366
Hypertable: 成熟度
 歴史
 開発は4年目に入っている。また、リリースの頻度も高い。
開発開始年
2007年2月
誕生と開発の経緯
Zvents社において社内ソフトウェアとして開発された。Google社のBig Tableをモデルとしてい
る。
現在のバージョン
0.9.3.1α (2010年5月23日現在)
バージョンアップの頻度
0.9.0リリースから0.9.3リリースまでは約2年である。
マイナーリリースの頻度
約1か月に1回程度である。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 のべダウンロード数は不明であるが、
百度、Rediff.com、Zvents、Endgame Systems、Inepex等が利用している。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
367
Hypertable: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。
バグトラッキングシステム
http://code.google.com/p/hypertable/issues/list
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:2件 (2010年5月23日現在)
総数:11件 (2007年12月からの累計)
フィックス率:82%
※重要度が「High」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:172件(2010年5月23日現在)
総数:468件(2007年12月からの累計)
フィックス率:63%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
不明
※未対応バグ数は、「Open issues」に分類されているものを集計。
368
Hypertable: 機能
 機能
 単一障害点が存在する。可用性よりも整合性を重視しているのが特徴である。
基本機能
データモデル
利用しているロックサービス
単一障害点の有無
並行性制御
HDFS、KFS等の分散ファイルシス
テム
column familiy
Hyperspace
有り
MVCC
整合性、可用性、ネットワーク分断への耐性のどれを重要視する
か
整合性およびネットワーク分断へ
の耐性
実現する整合性の性質
強い整合性
クライアントプロトコル
マルチ・データセンターのサポート
付加機能
整合性と可用性のトレードオフの調整
Hadoop MapReduceのサポート
Thrift
未対応
ストレージシステム
未対応
対応
369
Voldemort: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性
 分散データベースとしての基本的な機能を有する。最新情報をドキュメントという形で入手しにくいことが難点で
ある。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
日本語版や日本語コミュニティはない。
サポート
★★☆☆☆
日本語ドキュメントの入手は困難である。
開発体制の安定性
★★☆☆☆
開発ロードマップは示されておらず、ユーザからの要望を集積する場所も用意されてい
ない。
成熟度
★★★★★
バグトラッキングは公開されており、オープンな開発がおこなわれている。
機能
★★★★★
分散データベースとして十分な機能を持つ。
活用事例
現時点では、国内における主要な活用事例は不明である。
370
Voldemort: 基本情報
 基本情報
 日本語版や日本語コミュニティは用意されていない。
最新バージョン
0.80.2 (2010年5月24日現在)
プロジェクトWebサイト
http://project-voldemort.com/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
分散Key-Valueストア型のストレージシステムである。
類似ソフトウェア
HBase、Cassandra、CouchDB、Hypertable
スクリーンショット
-
利用シーン
大規模なデータ格納に利用する
標準準拠状況
Thrift, JSON
ライセンス
Apache License Version 2.0
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
英語
371
Voldemort: 基本情報
 基本情報
 Javaで記述されているため、多くのプラットフォーム上で動作可能である。
価格
無料
動作環境
Java JDK with Server HotSpot VM
Apache Ant
提供されているバイナリパッ
ケージ
Java版。
また、Windowsへのインストールには(http://www.gonosql.com/how-to-install-voldemort-onwindows/)が詳しい。
372
Voldemort: サポート
 ドキュメント整備状況
 丁寧に解説されたドキュメントは用意されていない。Javadocにもコメントが書かれているものは少ない。
英語
日本語
ドキュメント
プロジェクトWebサイトに、クイックスタートや設定、Javadoc等の
記載がある。
なし
書籍
なし
なし
 サポート企業
 商用サポートは提供されていない。
英語
サポート企業
日本語
なし
なし
373
Voldemort: サポート
 コミュニティサポート
 メーリングリストでは、一か月あたり200件程度の投稿がある(開発者用と兼用)。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
メーリングリストが提供されている(開発者用と兼用)。
http://groups.google.com/group/projectvoldemort?pli=1
メーリングリストの投稿数
374
なし
Voldemort: 開発体制の安定性
 開発チーム
 主にLinkedln社が開発をおこなっている。
開発主体
企業主体
開発主体の詳細
Linkedln社が開発を主導している。
参加企業と参加形態
Linkedln社の開発者が多い。
コア開発者数・コミッタ数
2009年1月から2010年5月までに約1500件のコミットがあった。
開発者数
上記期間で約35名がコミットした。
 開発方針の策定方法
 要求仕様策定方法や開発ロードマップは不明である。
要求仕様策定方法
不明
開発ロードマップ
不明
標準化活動
不明
375
Voldemort: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 メーリングリストでは、一か月あたり200件程度の投稿がある(ユーザ用と兼用)。
ソースコードレポジトリ
http://github.com/voldemort/voldemort
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
メーリングリストはユーザ用と兼用である。
http://groups.google.com/group/project-voldemort?pli=1
376
Voldemort: 成熟度
 歴史
 リリースの頻度は高い。
開発開始年
不明
誕生と開発の経緯
Linkedlnが開発を開始した。
現在のバージョン
0.80.2 (2010年5月24日現在)
バージョンアップの頻度
0.60リリースから0.80リリースまで約3か月である
マイナーリリースの頻度
約1か月に1回程度である。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明である。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
377
Voldemort: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。
バグトラッキングシステム
http://code.google.com/p/hypertable/issues/list
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:1件 (2010年5月23日現在)
総数:10件 (2009年1月からの累計)
フィックス率:90%
※重要度が「High」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:70件(2010年5月23日現在)
総数:244件(2009年1月からの累計)
フィックス率:71%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
Hudsonを利用した継続的インテグレーションがおこなわれている。
※未対応バグ数は、「Open issues」に分類されているものを集計。
378
Voldemort: 機能
 機能
 単一障害点はない。可用性を重視し、整合性については結果整合性を保証している。
基本機能
ストレージシステム
データモデル
利用しているロックサービス
単一障害点の有無
並行性制御
RAMまたはBerkeley DB
Key/Value
なし
なし
MVCC
整合性、可用性、ネットワーク分断への耐性のどれを重要視するか
実現する整合性の性質
可用性およびネットワーク分断
への耐性
結果整合性
JSON, Java Serialization,
string, protobuff, Thrift
対応
クライアントプロトコル
マルチ・データセンターのサポート
付加機能
整合性と可用性のトレードオフの調整
Hadoop MapReduceのサポート
対応
未対応
379
Cassandra: 社内向けクラウドでの適用可能性
 社内向けクラウドでの適用可能性:★ ★ ★ ★ ☆
 2010年2月にApacheのトッププロジェクトに昇格。FacebookやTwitter等、幅広く利用されてい
る。150台のマシンで100TBのデータを扱っている例もある。
評価項目
評価結果
基本情報
★★★☆☆
日本語コミュニティは存在しない。また、多くの動作環境をサポートする。
サポート
★★★★☆
ドキュメント整備は充実しており、公式に日本語にも翻訳されている。
開発体制の安定性
★★★★★
Apacheのトッププロジェクトである。詳細な開発ロードマップが示され、開発用メーリン
グリストも活発に利用されている。
成熟度
★★★★★
バグトラッキングは公開されており、オープンな開発がおこなわれている。
機能
★★★★★
分散データベースとして十分な機能を持つ。
活用事例
米Facebook、米Digg、米Twitter、米Rackspace Hostingなど、大量のデータを扱って
いる多くの企業で使われています。他にも、ブックマーク共有サービスのDigg等、活用事
例は国内外で着実に増加している。
380
Cassandra: 基本情報
 基本情報
 日本語バージョンや日本語コミュニティは存在しない。
最新バージョン
0.6.1(2010年5月21日現在)
プロジェクトWebサイト
http://cassandra.apache.org/
日本語コミュニティ
なし
機能概要
Amazon Dynamoの完全分散設計とGoogle BigtableのColumn Family型データモデルを参考にし
て開発されている分散データベースである。
類似ソフトウェア
HBase, Voldemort, CouchDB
スクリーンショット
-
利用シーン
大規模なデータ格納に利用する
標準準拠状況
Thrift
ライセンス
Apache License Version 2.0
その他知財権に関する問題
なし
主な開発言語
Java
国際化対応
英語、ドイツ語
381
Cassandra: 基本情報
 基本情報
 基本的にはJavaが動作する環境があれば良い。
価格
無料
動作環境
メモリ: 1GB以上を推奨
CPU: ハイエンドのクラスタ構成では、クアッドもしくは8コアを推奨
Java 1.6以上
提供されているバイナリパッ
ケージ
Javaで記述されているため、上記の動作環境すべてで同一のパッケージが利用できる。
382
Cassandra: サポート
 ドキュメント整備状況
 FAQは月に5-10回程度更新されており、更新頻度は高いと言える。日本語ドキュメントの
整備も期待される。
英語
日本語
ドキュメント
FAQ等ユーザ向けドキュメントが用意されている。
http://wiki.apache.org/cassandra/FrontPage
公式Wikiページにおいて、FAQ等が日本語に翻訳されている。い
ずれも最終更新日は2010年4月以降に作成されている。
フロントページ:
http://wiki.apache.org/cassandra/FrontPage_JP
書籍
Cassandraについての記述がある書籍はほとんどない。
「Beautiful Data: The Stories Behind Elegant Data
Solutions」にごく簡単に紹介されている。
Cassandra専門の書籍はないが、「クラウド大全 第2版 サービス
詳細から基盤技術まで」等で紹介されている。
 サポート企業
 2010年4月、新興企業のRiptanoがCassandraの商用サポートを開始した。
英語
サポート企業
日本語
http://wiki.apache.org/cassandra/ThirdPartySupportに
商用サポート企業が掲載されており、現在はRiptano
(http://riptano.com/services.php)のみ挙げられている。
383
不明
Cassandra: サポート
 コミュニティサポート
 2010年2月にApacheトッププロジェクトに昇格して以降、投稿数が増加している。
英語
メーリングリストおよび
掲示板
日本語
ページ最下部にユーザ用、開発者用とも掲載
http://cassandra.apache.org/
なし
メーリングリストの投稿数
384
Cassandra: 開発体制の安定性
 開発チーム
 Apacheのトッププロジェクトであり、コア開発者は5名程度である。
開発主体
Apacheソフトウェア財団
開発主体の詳細
Apacheのトッププロジェクトである。
参加企業と参加形態
開発者を募集している。
http://wiki.apache.org/cassandra/HowToContribute
コア開発者数・コミッタ数
コミットを通知するメーリングリスト (http://www.mailarchive.com/[email protected]/)によると、2か月で約400のコミットがあっ
た。
開発者数
Jonathan Ellisら12名 (http://incubator.apache.org/projects/cassandra.html)
 開発方針の策定方法
 ユーザがJIRAに新機能の提案やバグの登録をおこなうことが可能である。
要求仕様策定方法
JIRAで開発予定のリストを管理しているが、要求仕様策定基準は不明である。
開発ロードマップ
各バージョンで何を実装するかについてJIRAに登録されている。
https://issues.apache.org/jira/browse/CASSANDRA?report=com.atlassian.jira.plugi
n.system.project:roadmap-panel
標準化活動
不明
385
Cassandra: 開発体制の安定性
 開発コミュニティ
 開発者用メーリングリストの投稿数は緩やかな増加傾向にある。
ソースコードレポジトリ
Subversionで管理(https://svn.apache.org/repos/asf/cassandra/)
開発関連のメーリングリストお
よび掲示板
http://cassandra.apache.org/
メーリングリストの投稿数
386
Cassandra: 成熟度
 歴史
 歴史は長くはないが、リリースの頻度は高い。
開発開始年
不明
誕生と開発の経緯
Facebook社において開発された。
2008年7月にオープンソースソフトウェアとして公開、2009年3月からApache Incubatorプロ
ジェクトとなり、2010年2月にはトップレベルプロジェクトに昇格。
現在のバージョン
0.6.1 (2010年5月23日現在)
バージョンアップの頻度
1-3か月に1回程度バージョンアップしている。
マイナーリリースの頻度
1か月に1回程度マイナーリリースがおこなわれている。
パッチ公開の頻度
マイナーリリースで代用している。
 人気度
 ダウンロード数は不明である。FacebookやTwitter等での利用実績がある。
最近のバージョンの最大ダウンロード
数
不明
のべダウンロード数
不明
387
Cassandra: 成熟度
 バグ対応
 バグトラッキングシステムが公開され、オープンに開発が進められている。また、バグフィッ
クス率は高い。
バグトラッキングシステム
JIRA
https://issues.apache.org/jira/secure/IssueNavigator.jspa?reset=true&&type=1&pid
=12310865
クリティカルバグ数とフィックスまでの
期間
未対応:0件 (2010年5月23日現在)
総数:26件 (2009年8月からの累計)
フィックス率:100%
※重要度が「critical」「blocker」と設定されたバグを集計。
バグ数とフィックス率
未対応:26件(2010年5月23日現在)
総数:494件(2009年8月からの累計)
フィックス率:94%
脆弱性公開数と対応数
不明
QA・テスト規定・リリース条件
Python用テストフレームワークnoseを利用してシステムテストを実施する。
http://wiki.apache.org/cassandra/HowToContribute
※未対応バグ数は、Statusが「Open」、「In Progress」、「Reopened」であるものを集
計。
388
Cassandra: 機能
 機能
 単一障害点はない。可用性を重視し、整合性については結果整合性を保証している。
基本機能
ストレージシステム
データモデル
利用しているロックサービス
単一障害点の有無
並行性制御
ディスク
column familiy
なし
なし
MVCC
整合性、可用性、ネットワーク分断への耐性のどれを重要視するか
実現する整合性の性質
クライアントプロトコル
マルチ・データセンターのサポート
付加機能
整合性と可用性のトレードオフの調整
Hadoop MapReduceのサポート
可用性およびネットワーク分断
への耐性
結果整合性
Thrift
対応
対応
対応
389
分散DB機能比較
 機能
 整合性と可用性のどちらを重視しているかを考慮する必要がある。
 検索速度等の性能については、利用状況によって大きく変動する可能性があるため、社内クラウドを構築す
る際は注意が必要である。
Cassandra
HBase
CouchDB
Voldemort
Hypertable
ストレージシステム
ディスク
HDFS等の分散ファ
イルシステム
ディスク
RAMまたは
BerkeleyDB
HDFS、DFS等の分
散ファイルシステム
データモデル
column family
column family
ドキュメント
Key/Value
column family
利用しているロックサービス
なし
ZooKeeper
なし
なし
Hyperspace
単一障害点の有無
○
○
○
○
×
並行性制御
MVCC
OCC
MVCC
MVCC
MVCC
整合性、可用性、ネットワーク分断へ 可用性およびネット 整合性およびネット 可用性およびネット 可用性およびネット 整合性およびネット
の耐性のどれを重要視するか
ワーク分断への耐性 ワーク分断への耐性 ワーク分断への耐性 ワーク分断への耐性 ワーク分断への耐性
実現する整合性の性質
結果整合性
強い整合性
結果整合性
結果整合性
強い整合性
クライアントプロトコル
Thrift
Thrift、REST
Thrift、REST、JSON
Thrift, JSON
Thrift
マルチ・データセンターのサポート
○
×
(バージョン0.21で対
応予定)
○
○
×
整合性と可用性のトレードオフの調
整
○
×
×
○
×
Hadoop MapReduceのサポート
○
○
○
×
○
390
【付録 1
カタログ掲載ソフトウェアリスト】
次ページ以降、本調査の調査対象ソフトウェア(ソフトウェアカタログに掲載したもの)のリストを
示す。
ソフトウェア名
(アルファベット
→五十音順)
ID
開発企業
/コミュニティ名
分類(作業項目)
OSS か否か
(1)
42
ActiveDirectory
Microsoft
×
17
Auto Scaling
Amazon
×
57
Cassandra
Apache
○
Citrix
×
18
Citrix Essentials for
XenServer
(2)
○
○
○
Citrix XenServer
Citrix
×
77
CloudBurst
IBM
×
○
19
CloudWatch
Amazon
×
○
30
ConVirt
Convirture
○
○
59
CouchDB
Apache
○
Amazon
×
○
Eucalyptus Systems
○
○
Elastic
Load
Balancing
(4)
○
11
20
(3)
○
○
31
Eucalyptus
60
GFarm
29
GroundWork Monitor
62
HBase
Apache
○
○
63
Hadoop
Apache
○
○
46
Higgins
Higgins プロジェクト
○
32
Hinemos
NTT データ
○
09
Hyper-V
Microsoft
×
64
Hypertable
Hypertable プロジェクト
○
43
IceWall
HP
×
21
JP1
日立製作所
×
13
KVM
Red Hat
○
33
Nagios
Ethan Galstad 氏ら
○
○
34
Nimbus
シカゴ大学
○
○
筑波大学、(独)産業技術
総合研究所
GroundWork
Open
Source
1
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
ソフトウェア名
(アルファベット
→五十音順)
ID
49
OpenDS
51
OpenLDAP
35
OpenNebula
52
40
36
開発企業
/コミュニティ名
Sun(→ Oracle)
OpenLDAP プロジェク
ト
マドリードコンプルテンセ
大学
OpenSSO
Sun
(→ OpenAM)
(→ ForgeRock)
oVirt
Red Hat
Proxmox
Virtual
Proxmox
Server
分類(作業項目)
OSS か否か
(1)
(2)
(3)
○
○
○
○
○
(4)
○
○
○
○
○
○
○
Environment
Solution
53
Shibboleth
Internet2 MACE
○
○
55
simpleSAMLphp
UNINETT
○
○
67
Skynet
Adam Pisoni 氏ら
○
Sun(→ Oracle)
○
○
Sun xVM VirtualBox
10
( →
Oracle
VM
○
VirtualBox)
24
Systemwalker
富士通
×
○
25
Tivoli
IBM
×
○
41
virt-manager
Red Hat
○
○
15
VMware ESXi
VMware
×
VMware
×
26
VMware
vCenter
Server
○
○
05
VMware vSphere
VMware
×
68
Voldemort
Project Voldemort
○
44
Windows CardSpace
Microsoft
×
16
Xen
Xen コミュニティ
○
38
Xymon
Henrik Stoerner 氏ら
○
○
39
ZABBIX
ZABBIX SIA
○
○
2
○
○
○
○
【付録 2
調査対象候補ソフトウェアリスト】
次ページ以降、調査対象候補として検討したが、調査の過程で対象から外したソフトウェアのリ
ストを示す。
ソフトウェア名
(アルファベット
→五十音順)
ID
開発企業
/コミュニティ名
分類(作業項目)
(1)
(2)
(3)
(4)
米国カリフォルニア大学
サンタバーバラ校
56
Appscale
(UCSB)、Google、
○
National Science
Foundation(NSF)
73
CAS
JA-SIG
58
Cloud Crowd
Document Cloud
75
DigitalMe
Bandit Project
○
Google
○
45
Enterprise Java
XACML
○
○
69
eyeOS
eyeOS コミュニティ
○
70
fairy
楽天技術研究所
○
12
FVM
Rether Networks
61
Globus Toolkit
Globus Alliance
08
iCore
Virtual
Accounts
iCore Software
○
○
○
47
JBoss XACML
74
JOSSO
65
MySpace Qizmt
48
OAuth
50
OpenID
OpenID Foundation
14
OpenVZ
OpenVZ プロジェクト
○
Parallels
○
01
Parallels Virtuozzo
Container
JBoss Community
○
The Java Open Single
○
Sign-On Project
MySpace
○
OAUTH ワーキンググル
○
ープ
66
ROMA
楽天技術研究所
71
RightScale
RightScale
1
○
○
○
ソフトウェア名
(アルファベット
→五十音順)
ID
開発企業
/コミュニティ名
Ping
分類(作業項目)
(1)
(2)
Identity
76
SourceID
02
Sun Solaris Container
Sun
22
Sun xVM Ops Center
Sun
○
Microsoft
○
23
72
System Center Virtual
Machine Manager
Tivoli
Federated
Identity Manager
(3)
○
Corporation
○
日本 IBM
○
03
VMware Server
VMware
○
04
VMware Workstation
VMware
○
06
Venus OS
ビーナス・テクノロジィズ
○
37
Wakame
あくしゅ
○
27
WebSAM
NEC
○
07
Windows Virtual PC
Microsoft
54
XACMLight
Oleg Gryb 氏ら
28
千手
野村総合研究所
2
○
○
○
(4)