経営改善の事例

経営改善の事例
当行が日頃取り組んでまいりました経営支援のうち、業況の改善効果が見られた事例や
地域の皆さまにとって有用と考えられる事例について公表します。
事例 1.事業再生ファンドの利用
A社:温泉旅館業
A社グループは、旅館2館、リゾートホテル1館を経営していたが、消費者嗜好の変化、
団体客の減少等により売上が減少しており、それぞれのコンセプトの見直しなど立て直しが
必要であった。
当行では、温泉街の再活性化及び雇用維持等の観点から、三館同時に再建する計画を立案
し、準メイン行である政府系金融機関、石川県中小企業再生支援協議会および事業再生専門
会社と協働で事業再生計画を策定した。
旅館については、1館は新会社を設立のうえ営業譲渡した。新会社設立にあたっては、運
営を外部の専門家に委託し、社長には旅館経営に精通した人物を招聘したほか、当行他から
役員を派遣し経営体制の確立を図った。
また新会社への出資は事業再生ファンド等が行い、事業再生ファンドに対しては、当行、
政府系金融機関およびファンド運営会社が出資した。
新旅館は、昭和40年代に作られた建物を活用しながらレトロな雰囲気を醸し出させ、皇
族などが宿泊した数奇屋造りの部屋を食事処に改装し、吟味された食材を使った作りたての
料理を一品ずつ温かく提供するなど、真のサービスにこだわった旅館として再生した。
もう1館については、地元有力業者への営業譲渡を行った。客室の多くを、従来は備えて
いなかった露天風呂付客室に改装し、これまでとは違った個人向け旅館としてリニューアル
し営業を継続していく。
リゾートホテルについては、東京の事業再生専門会社へ営業譲渡し再生を図った。譲渡を
受けた会社では、大手ホテルのベテランホテルマンを支配人に迎え入れ、リゾートを全面に
打ち出し、積極的な営業施策等でホテルの新生を進めている。
ポイント:
① 事業存続を前提とした事業再生スキームの策定
② 事業再生ファンドを活用した事業再生支援
③ 外部人材を登用した経営体制及び運営体制の構築
(経営支援の取組み)
1
事例 2.販売戦略・経営資源の集中による業績改善
B社:(小売業)
B社は地域一般顧客、官公庁・企業向けに家具小売業を営んでいたが、個人向け家具販
売は大型店・ディスカウント店の相次ぐ進出の影響、オフィス家具販売は価格競争により
減収減益が続き、借入金の一部が整理回収機構(RCC)に譲渡されていた。
当行では中小企業再生支援協議会と協議のうえ、販売戦略の立案および営業方法の指導
を行い、RCC債務の調整を含む再生計画を策定した。
現状分析の結果、同社では良質かつオリジナリティの高い商品を幅広く取扱いしており、
これらの商品を婚礼家具として訴求する戦略をとった。
新規顧客獲得およびオリジナル商品の認知のため、従来の会員向けDMに加え、若い女
性向けの結婚雑誌・テレビ・新聞への広告戦略、ホームページの開設により、地域周辺は
もとより、県外からの新規顧客の増加に繋がった。
ポイント:
① 消費者ニーズ・動向を分析し、販売チャネルを構築し戦略化
② 経営資源を収益力のあるものに集中
事例 3.既存借入金の資本的劣後ローン(DDS)への転換
C社:製造業
C社では主力製品である婦人服が安価な中国製品に押され、売上および売上利益率の低
下を招いていた。グループ全社が保有する過剰資産・過剰人員ならびに過剰債務が経営を
圧迫し、円滑な事業継続には有望事業領域への経営資源の集中・特化ならびに過剰債務の
解消が必要不可欠であった。
不採算事業や不要資産を抜本的に見直し、業績の向上を図るため、メイン行(商工中金)
と連携し、石川県中小企業再生支援協議会の指導のもと経営再生計画を策定した。
事業面での再生は、主要取引先からの受注を確保するとともに、採算事業を一社に集中
し、不採算部門は特別清算し事業再編を行った。財務面での再生は、事業再編による不要
資産の売却で有利子負債を圧縮するとともに、既存借入金を資本的劣後ローン(DDS)へ
転換することにより、借入金のリスケジュールを実施した。
ポイント:
① グループ再編による経営の効率化
② 有望事業領域への経営資源の集中・特化
③ 不採算事業からの撤退ならびに不要資産の売却
④ 資本的劣後ローン(DDS)への転換を活用した借入金のリスケジュール
<本件に関するお問い合わせ>
審査部経営支援チーム
担当:蔦、松本
TEL
076-263-1111(大代表)
2