ラジオシティ チュートリアル

ラジオシティのチュートリアル
ラジオシティを使用した建築用レンダリング
このチュートリアルでは、ラジオシティによるリアルなライティ
ングの方法と、レンダリング出力を調整する露出コントロールにつ
いて紹介します。
このチュートリアルで学習する機能
• シーンのビューをレンダリングする。
• ラジオシティ ソリューションを生成する。
• レンダリング品質を調整し、ドラフト イメージのレンダリン
[シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスが表示され、[共
通設定]パネルが表示されます。
2. [共通パラメータ]ロールアウトで、[出力サイズ]領域の設定が
[320x240]になっていることを確認します。
レンダリングには時間がかかることもあるので、まず小さいサ
イズを使用します。満足のいくイメージを得ることができたら、
後で高解像度でレンダリングすることができます。
3. [レンダリング]ボタンをクリックします。
グ時間を短縮する。
•
•
•
ラジオシティ ソリューションの品質を調整する。
屋外シーンをレンダリングし、露出レベルを調整する。
標準ライトを使用するシーン内でラジオシティ ソリューショ
ンを生成する。
ラジオシティ ソリューションを作成する
このレッスンでは、レンダリングを作成してから、ラジオシティ
ソルーションを作成してレンダリングし、ライティングのレベルの
違いを表示します。最後に、レンダリングを少し洗練します。
シーンを設定する:
1.
library_rendering_intro.max を開きます。
cooper.ies も上記のファイルと同じフォルダにコピーしてお
きます。
Autodesk VIZ で、図書館の建物のデザインの屋内ビューが、
単一のビューポートに表示されます。
2. シーンの単位が Autodesk VIZ の既定値の単位と異なっている
という警告が表示されることがあります。[ファイルの単位ス
ケールを採用しますか?]を選択し、[OK]をクリックします。
3. ワイヤフレーム ビューでは多少わかりにくくなっています。
左上隅のビューポートのラベルを右クリックします。ポップア
ップ メニューから[スムーズ + ハイライト]を選択します。
これで部屋がわかりやすくなりました。
完成したレンダリングは非常に暗くなっています。これは、直接光
は表示されているものの、反射光は表示されていないからです。直
接光とは、シーン内のライトによって投射される光で、サーフェス
で反射しないものです。実際には、光はサーフェス(少なくともほと
んどの種類のサーフェス)に当たった後も継続して移動し、
反射光に
よって多量の周囲光が作成されます。図書館のモデルにあるような
埋め込まれたライトは、反射する間接照明に依存します。次の手順
で Autodesk VIZ のシーンに間接照明を生成します。
レンダリングしたフレームのクローンを作成する:
まず、レンダリングしたフレームの「クローン」を作成し、今作
成したレンダリングを次のレンダリングと比較することができます。
•
レンダリングしたフレーム ウィンドウのツールバーで、
[レンダリングしたフレーム ウィンドウをクローン]をクリッ
クします。
Autodesk VIZ に、クローンされたフレーム ウィンドウが表示
されます。ウィンドウのクローンは、一連のテストのレンダリ
ングを行う場合に便利です。
ラジオシティ ソリューションを生成する:
モデルをレンダリングする:
1.
メイン ツールバーから[シーンをレンダリング]をクリッ
クします。
シーンの反射光の効果をモデル化するには、
ラジオシティ ソリュ
ーションを生成します。ラジオシティによって、拡散光がサーフェ
ス間を反射する効果がモデル化されます。
1. [シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスの[アドバンス
ド ライティング]タブをクリックします。
[アドバンスド ライティング]パネルが表示されます。
2. [アドバンスド ライティングを選択]ロールアウトのドロップ
ダウン リストで、[ラジオシティ]を選択します。
ラジオシティのさまざまなロールアウトがこのパネルに表示
されます。
1
3.
4.
5.
6.
注: 最初、このシーンではラジオシティを選択しませんが、
Autodesk VIZ の既定の設定では選択されています。
[ラジオシティ メッシュ パラメータ]ロールアウトで、[グロ
ーバル サブディビジョン設定]の下の[有効]をオンにします。
これによって、オブジェクトに固有の設定がない限り、ソリュ
ーション生成時にすべてのオブジェクトが同様に扱われるこ
とが保証されます。
[レンダリング パラメータ]ロールアウトを開き、[ラジオシテ
ィ ソリューションの間接照明を再使用]を選択します。
このオプションによってレンダリング時間が短くなります。
[ラジオシティ処理パラメータ]ロールアウトで、[初期品質]を
60 パーセントに設定します。
これによってソリューションを生成する時間を制限すること
ができます。
また、[ラジオシティ処理パラメータ]ロールアウトで[開始]を
クリックします。
進行状況バーが表示されると、Autodesk VIZ によってラジオ
シティが複数の段階で処理され、各段階ごとにパーセント総数
が高くなっていきます。ラジオシティ ソリューションの生成
は通常数分間かかります。Autodesk VIZ が計算している間に
ひと休みするとよいでしょう。ラジオシティ ソリューション
の計算が終了したら、[停止]ボタンは使用不可となり、[すべ
てをリセット]、[リセット]、[開始]が使用可能になります。
ティ メッシュと呼びます。ライト レベルはこのメッシュに保存さ
れます。
ラジオシティ ソリューションの生成によってシーンがより
複雑になり、DRF ファイルのサイズも大きくなります。その代わり
に、ラジオシティによる利点もいくつかあります。
•
この練習でしたように[ラジオシティ ソリューションの間接
照明を再使用]をオンにする場合、レンダラーはライティング
情報をラジオシティ メッシュから得るのでレンダリングが非
常に速く進みます。
•
ラジオシティ メッシュは 3 次元です。カメラを移動したりビ
ューを変更することができ、[ラジオシティを使用]をオンにし
てレンダリングすると異なる視点からラジオシティが表示さ
れます。
実際に、シーン内のアニメーションが移動カメラのみの場合、
ラジオシティを計算する必要があるのは最初のフレームで一
度だけです。アニメーションに影付きの移動オブジェクトが含
まれている場合は、他のフレームのラジオシティを再計算する
必要があります。
注: ラジオシティとは異なり、反射と屈折は視点に依存します。異
なる角度から鏡を見ると異なる反射が見えます。反射するマテリア
ルまたは屈折するマテリアルがあるシーンをレンダリングすると、
Autodesk VIZ では、ラジオシティ ソリューションを補足するレイ
トレーシングを使用して反射と屈折が生成されます。
アンチエイリアスを使用してレンダリングの外観を改善する:
[停止]ボタンは、ラジオシティ ソリューションの生成の進行
中に使用可能です。
ラジオシティ ソリューションが生成された後、[すべてをリセ
ット]と[リセット]ボタンが使用可能になります。
7. [レンダリング]ボタンをクリックします。
[共通設定]パネルに戻ることなく、ダイアログ ボックスの下
部のボタンをクリックすることができます。
新しいレンダリングがすばやく表示され、部屋は間接照明で満
たされています。
特に外壁の中間の窓枠など、レンダリングされたシーン内にぎざ
ぎざがあることに気付いたかもしません。これは簡単に修正するこ
とができます。
1. [シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスで、[レンダラ
ー]タブをクリックして[レンダラー]パネルを開きます。
2. [レンダラー]パネルの[既定値のスキャンライン レンダリン
グ]ロールアウトで、[アンチエイリアス]領域の[アンチエイリ
アス]をオンにします。
3. もう一度[レンダリング]ボタンをクリックします。
シーンのレンダリング時間は多少長くなりますが、シーンはよ
り滑らかに表示されます。
一般に、レンダリング時には常にスピードと品質のトレードオフが
あります。「レンダリング時間を短縮する」のレッスンでは、レン
ダリング速度を管理するための他の方法について説明します。
ビューポートの表示モードをワイヤフレームに戻すと、前に見た
よりも混み合ったシーンが表示されます。
ラジオシティ ソリューションは、
シーンにジオメトリを追加しま
す。ワイヤフレーム ビューに表示される追加メッシュを、ラジオシ
作業を保存する:
• [ファイル]/[名前を付けて保存]を選択します。[ファイル]ダ
イアログ ボックスで、ファイルに my_library.max と名前を
付けて[保存]をクリックします。
2
バーの空白領域を右クリックして、ポップアップ メニューか
ら[レイヤ]を選択します。
レンダリング時間を短縮する
ドラフトのためのより速いレンダリングを得るには何種類もの方
法があります。このレッスンでいくつか紹介します。一般に、次の
方法を使用することができます。
•
ドラフト レンダリングには、320 x 240 などの小さいイメー
ジ サイズを使用する。
•
•
アンチエイリアスとマッピングをオフにする。
ラジオシティ ソリューションの間接照明を再使用しない場合
は、シャドウもオフにすると役に立ちます。
•
•
重要でないオブジェクトがあるレイヤをオフにする。
ドラフト レンダリング プリセットを使用する。
シーンを設定する:
• 前のレッスンで作成した my_library.max を開きます。
2.
Furniture レイヤの[表示]アイコンをクリックしてオフに
します。
眼球のアイコンでレイヤのオンまたはオフを確認
本棚、椅子、および脇テーブルはシーンで非表示になりました。
3.
[クイック レンダリング]をクリックします。
椅子、テーブル、および本棚のジオメトリがない状態でシーン
がレンダリングされます。
アンチエイリアスとマップをオフにする:
1. [レンダリング]/[レンダリング]を選択します。
[シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスが表示されま
す。
2. [レンダラー]パネルに移動します。[既定値のスキャンライン
レンダリング]ロールアウトの[アンチエイリアス]領域で、[ア
ンチエイリアス]をオフにします。[オプション]領域で、[マッ
ピング]をオフにします。
3. [レンダリング]ボタンをクリックします。
レンダリングはすばやく作成されますが、エッジはぎざぎざで、
テクスチャ マップによる細部はレンダリングに表示されませ
ん。
注: 家具、特に本棚の影はまだ表示されています。これは、ラジオ
シティ メッシュの間接照明の再使用による副産物です。
ドラフト プリセットを使用する:
注: このシーンのラジオシティは、[ラジオシティ ソリューション
の間接照明を再使用]オプションを使用して作成されました。
このた
め、
シーン内の影(シャドウ)はラジオシティ メッシュによってでき
ています。メッシュのシャドウは粒子が粗かったり不正確であるこ
とがあります。代わりに[直接光でレンダリング]オプションを使用
してラジオシティを生成した場合、[オプション]領域の[シャドウ]
をオフにするとレンダリング時間を短縮することができます。
レイヤを使用してオブジェクトを非表示にする:
特に、より複雑なオブジェクトが、全体の視覚化に重要でない場
合は、非表示にすることによってレンダリング時間を短縮すること
ができます。
1. [レイヤ]ツールバーで、レイヤのリストの右にある下向きの矢
印をクリックしてリストを表示します。
[レイヤ]ツールバーが表示されない場合、もう 1 つのツール
[シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスには、
異なるレベルの
レンダリングのためのプリセット パラメータがあります。
1. Furniture レイヤをオンに戻します。
2. [シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスの下部の[プリ
セット]ドロップダウン リストから
viz.scanline.radiosity.draft を選択します。
[プリセット カテゴリを選択]ダイアログ ボックスが表示さ
れます。
3. [プリセット カテゴリを選択]ダイアログ ボックスで、[Ctrl]
を押したままクリックして[環境]および[レイトレーサ]のハ
イライト表示を解除します。[既定値のスキャンライン レンダ
リング]と[アドバンスド ライティング]がハイライト表示さ
れていることを確認し、[ロード]をクリックします。
このプリセットがラジオシティ ソリューションを再計算する
ことを示す警告メッセージが表示されます。[はい]をクリック
します。
4. [アドバンスド ライティング]ロールアウトに移動して[開始]
をクリックし、プリセット値を使ってラジオシティを再計算し
ます。
ドラフト プリセットが初期品質を 10.0 パーセントに指定し
ているため、それほど長い時間はかかりません。
5. [レンダリング]ボタンをクリックします。
今度は、多少の遅延が生じます。ラジオシティのドラフト プ
3
リセットで、[直接光でレンダリング]が選択されます。それ
でも、レンダリングの洗練されたバージョンの全体的な外観
を得るのに長い時間はかかりません。
他のレンダリング プリセットを使いたい場合は試してみてくださ
い。プリセットのドロップダウン リストのオプションによって、独
自のプリセットを作成することもできます。
作業を保存する:
• [ファイル]/[名前を付けて保存]を選択します。[ファイル]ダ
イアログ ボックスで、ファイルに
my_radiosity_renderings.max と名前を付けて[保存]をクリ
ックします。
ラジオシティの品質を調整する
前のレッスンでは、レンダリングをより効率的に行う方法を説明
しました。このレッスンでは、ラジオシティ ソリューションをより
すばやく取得する方法について説明します。また、ラジオシティを
使用して、より洗練されたレンダリングを行う方法についても説明
します。
速いソリューション
ラジオシティ ソリューションの生成時間を短縮する方法は 2 つあ
ります。
•
初期品質のパーセンテージを低くする。
ラジオシティは、複数の手順を経て生成されます。品質が低い
ほど、ソリューションの生成は速くなります。
•
ラジオシティの計算からオブジェクトを除外する。
シーン内の大きなサーフェスは、光の反射に最も影響します。
反対に、オブジェクトが小さく、細かいほど光の反射が比較的
少ないものの、複雑さのために計算に時間がかかります。
初期品質を 30 から 40 パーセント程度の低い値に設定することは
簡単なため、ここでは手順を省略します。
う。
クアッド メニューが表示されます。
2. クアッド メニューの[変換]領域(右下)で、[プロパティ]を選
択します。
[オブジェクト プロパティ]ダイアログ ボックスが表示され
ます。
3. [アドバンスド ライティング]パネルに移動します。[ラジオシ
ティ専用プロパティ]領域で、[拡散反射光]をクリックしてオ
フにします。
4. [リギャザリングから除外]もオフにし、[OK]をクリックします。
本箱、椅子、照明器具、およびテーブルがラジオシティの計算
から除外されます。
ジオメトリをラジオシティの計算から除外した効果を確認する:
1. [レンダリング]/[アドバンスド ライティング]/[ラジオシテ
ィ]を選択します。
[シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスが表示され、[ア
ドバンスド ライティング]パネルがアクティブになり、[ラジ
オシティ処理パラメータ]ロールアウトが表示されます。
2. [初期品質]が 10 パーセント以下に設定されていることを確
認してください。
3. [レンダリング パラメータ]ロールアウトを開き、[ラジオシテ
ィ ソリューションの直接光を再使用]を選択します。
4. [ラジオシティ処理パラメータ]ロールアウトで[すべてをリセ
ット]をクリックし、警告に対して[はい]と入力します。
5. [開始]をクリックします。
ラジオシティの処理には多少時間がかかりますが、除外したジ
オメトリが計算に含まれる場合よりも速くなります。
シーンをレンダリングすると、前のレッスンで行ったラジオシティ
ソリューションと結果が多少異なることがわかります。
シーンを設定する:
• 前のレッスンで作成した my_renderings.max を開きます。
除外するオブジェクトを選択する:
このモデルでは、壁、窓、床、柱、および天井が最も反射光に影
響します。家具や照明器具などの「細かい」ジオメトリは、ソリュ
ーションに対して多くの間接光を追加しませんが、計算に時間がか
かるオブジェクトです。
1.
[名前による選択]をクリックします。
[オブジェクトを選択]ダイアログ ボックスが表示されます。
2. オブジェクトのリストで、[Ctrl]を押したまま books、chair
から chair12 まで、sconce1 から sconce3 まで、および table
から table03 までをクリックしてハイライト表示します。
3. [選択]をクリックします。
オブジェクトはビューポートでハイライト表示されます。
ラジオシティの計算からオブジェクトを除外する:
1. ビューポートで、選択したオブジェクトのいずれかを右クリッ
クします。
ヒント: 最前面に表示されている椅子が選択しやすいでしょ
差異は微妙です。直接光を当てない限り、家具および照明器具に近
いサーフェスは、
ラジオシティ ソリューションにシーン全体を利用
する場合と比べて少し暗くなりますが、ドラフトとしては十分です
し、ソリューションの生成が数分短くなります。
品質の高いソリューション
次第に、ラジオシティを使用して洗練されたレンダリングの作成
が必要になるでしょう。その場合、[レンダリング パラメータ]ロー
ルアウトを使用して[直接光でレンダリング]を選択します。ラジオ
シティ ソリューションにはまだ間接光が使用されますが、
直接光の
効果がレンダリング時に計算されます。影も計算されるため、より
細かく、正確な結果になります。
4
シーンを設定する:
• library_direct_render.max を開きます。
これは、これまで使用しているシーンと同じものですが、時間を節
約するため[直接光でレンダリング]オプションで生成したラジオシ
ティ ソリューションが含まれています。
ラジオシティ メッシュに、
シーンの間接照明が保存されます。レンダリングすると、レンダラ
ーにより直接光と影が「即時に」生成されます。
シーン、影、直接光をレンダリングする:
1. [レンダリング]/[レンダリング]を選択します。
2. [シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスが表示されます。
3. [レンダリング]ボタンをクリックします。
[直接光を再使用]オプションがアクティブであった場合よりもシー
ンのレンダリングに時間がかかります。ただし、より正確で微妙な
照明が生成されます。
グローバル イルミネーション下でオブジェクトの
動作を変更する
グローバル イルミネーション(ラジオシティ)では、
反射光のカラ
ーとエネルギーを計算する際、オブジェクト カラーを使用します。
ときとして、
グローバル イルミネーションの適用されたシーンでオ
ブジェクトの動作方法を変更したい場合があります。この例では、
いくつかのオブジェクトを設定してラジオシティに影響を与えるラ
イトを発生させます。
グローバル イルミネーション下でのマテリア
ルの動作を調整するには、
[アドバンスド ライティング]マテリアル
を指定します。
シーンを設定する:
• gallery_no_override.max を開きます。
シーンには、ネオン ライトに囲まれた 2 つの彫刻が設置され
た、ギャラリーの別の部分が表示されます。これらのネオン ラ
イトは、自己照明マテリアルを保持する円柱として単純にモデ
ル化されます。
シーンをレンダリングする:
•
Camera02 ビューポートがアクティブであることを確認し、
ツールバーの[クイック レンダリング]をクリックします。
レンダリングされたシーンには、グロー カラーを保持するネ
オン ライトが表示されます。ただし、グローが周囲のシーン
に影響を与えることはありません。オブジェクトの自己照明カ
ラーはグロー効果を与えますが、シーン内で実際にライトを発
生させるわけではありません。
特に、左の壁に埋め込まれているライトからの「ホタテ貝」の形を
した光は、前のレンダリングでは表示されませんでした。影と同様
に、
ラジオシティ メッシュは正確に詳細をキャプチャするには不十
分である場合があります。
作業を保存する:
• [ファイル]/[名前を付けて保存]を選択します。[ファイル]ダ
イアログ ボックスで、ファイルに my_finished_library.max
と名前を付けて[保存]をクリックします。
リギャザリング
ラジオシティ ソリューションの生成の最後の手順(任意)は、
リギ
ャザリングと呼ばれる作業です。リギャザリングは、ラジオシティ
およびレンダリングの計算が不自然でないか再度確認し、修正する
ことです。たとえば、床や壁のジオメトリがモデルで正確かつ堅く
接合されていない場合に起こり得る光や影の「漏れ」を除去する場
合にとても便利です。
[間接光をリギャザー]オプションは、[アドバンスド ライティン
グ]パネルの[レンダリング パラメータ]ロールアウトにあります。
このオプションは、[直接光でレンダリング]がアクティブな場合に
のみ使用できます。リギャザリングの計算方法をコントロールする
オプションは多数あります。それらは『ユーザ リファレンス』に説
明されています。
リギャザリングを行うと、
レンダリング時間が大幅に増加します。
1 つには時間的な理由のため、もう 1 つにはリギャザリングを行っ
てもライブラリ モデルのレンダリングが特別に改善されるわけで
はないため、ここでは手順を省略します。
自己照明ネオンを保持するが、実際にはライトを発生させないシーン
ネオン ライトからマテリアルを取得する:
1.
マテリアル エディタを開きます。未使用のサンプル スロ
ットが 2 つ表示されるまでスクロールします。未使用のサンプ
ル スロットは単純なグレーの球で示されます。角にアングル
ブラケットはありません。
2.
1 つのサンプル スロットをアクティブにします。[マテリ
アルをオブジェクトから選択](スポイト ボタン)をオンにし
てから、左側の積み重ねられた球を囲む円柱のいずれかをクリ
ックします。これらのネオン ライト オブジェクトが、
[Cylinder02]、[Cylinder03]、および[Cylinder04]になります。
5
マテリアル[Neon Red No Override]が、サンプル スロットに
ロードされます。
3.
他の空のサンプル スロットをアクティブにし、波打つ三
角形を囲む円柱のいずれかに対して同じ操作を時実行します。
これらのネオン ライト オブジェクトが、[Cylinder05]、
[Cylinder06]、および[Cylinder07]になります。
マテリアル[Neon Green No Override]が、もう一方のサンプル
スロットにロードされます。
マテリアルをアドバンスド ライティング マテリアルに変更する:
1. [Neon Red No Override]サンプル スロットをクリックして、
アクティブにします。次に、[マテリアル タイプ]ボタンをク
リックします。クリックすると、[標準]と表示されます。
[マテリアル/マップ ブラウザ]が表示されます。
2. [マテリアル/マップ ブラウザ]で[アドバンスド ライティン
グ]をハイライト表示し、[OK]をクリックします。表示された
[マテリアルを置換]ダイアログ ボックスで[古いマテリアル
をサブマテリアルとして保持しますか?]を選択して、[OK]をク
リックします。
これで、赤い自己照明マテリアルが[無効にする]マテリアル内
に含まれます。
3. [アドバンスド ライティング マテリアル]ロールアウトの[特
殊効果]領域で、[輝度のスケール]を 0.0 から 1000.0 に変更
します。
これで、マテリアルがシーン内でライトを発生させます。
[マテリアルの物理特性に付加]領域内のコントロールを使用
すると、マテリアルが反射および転送するライトの量を調整で
きます。
4. [Neon Green No Override]マテリアルに対して、手順 1 ~ 3 を
繰り返します。
ネオン オブジェクトは、ライト エネルギーを発生する際、シーン
にカラー付きライトの効果を付与する一助になります。
作業を保存する:
• my_neon_gallery.max という名前を付けてファイルを保存し
ます。
デイライト シーンのレンダリング
このレッスンでは、屋外のシーンにデイライトを追加し、露出コ
ントロールとあわせてラジオシティを使用してレンダリングします。
シーンを設定する:
•
desert_house.max を開きます。
家の既定値のビューを見る:
•
パースペクティブ ビューポートをアクティブにし、[クイ
ック レンダリング]をクリックします。
家の既定値の照明はやや平坦に表示されます。
ラジオシティ ソリューションを再計算する:
マテリアルは、オブジェクトから直接取得した「ホット」マテリ
アルであるため、
シーン内で適用し直す必要はありません。
ただし、
シーンをレンダリングし直しても、
変更は表示されません。
これは、
ラジオシティ ソリューションを再計算する必要があるためです。
1. [レンダリング]メニュー/[アドバンスド ライティング]/[ラ
ジオシティ]を選択します。
[シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスが開き、[アドバ
ンスド ライティング]パネルが表示されます。
2. [ラジオシティ処理パラメータ]ロールアウトで[すべてをリセ
ット]をクリックし、警告ダイアログ ボックスで[はい]をクリ
ックします。
3. [開始]をクリックします。
ラジオシティ ソリューションが再計算されます。再計算には
数分かかるため、休憩するよい機会になります。[開始]ボタン
の下の進行状況バーに、各パスの進行状況および達成した品質
パーセントが表示されます。
シーンをレンダリングする:
•
Camera02 ビューポートがアクティブであることを確認し、
[クイック レンダリング]を再度クリックします。
効果はわずかですか、ネオンが輝き、アルコーブおよびその内
部に配置された彫刻に陰影が付けられます。
シーンにデイライトを追加する:
デイライト システムを使用して、太陽をモデル化します。デイラ
イト システムにはいくつかのコンポーネントがあります。
•
•
•
シーンの方向を合わせるコンパス オブジェクト
太陽を作るためのサンライト
空気中の拡散光を作るためのスカイライト
空は[晴天]、[部分的に曇り]、または[曇り]に設定することが
できます。
6
•
1.
地理上位置と時刻を設定するモーション コントロール
太陽が地平線下の場合は、ビューをレンダリングしても意味が
ありません。
3. トップ ビューポートで、コンパスを Z 軸(トップ ビューから
垂直)を中心に約 35 度回転します。
[作成]パネルに移動し、[システム]をクリックして
オンにします。[オブジェクト タイプ]ロールアウトで、[デイ
ライト]をクリックしてオンにします。
注: もう 1 つ、サンライト システムというものもあります。
サンライト システムは標準の指向性ライトのみを使用するた
め、ラジオシティとの併用には適していません。
2. トップ ビューポートで、ドラッグしてコンパス マークを配置
します。マウス ボタンを離して、ドラッグし、クリックして
サン オブジェクトの高さを設定します。作成を終了するには、
右クリックします。
トップ ビューポートを使用してコンパスを回転します。
この方向では、
パースペクティブ ビューポートに表示されている家
のビューは、夕方までかなり陰が多くなっています。
デイライト システムをフォトメトリックに設定する:
1. [オブジェクトを選択]を再度オンにします。
2. サンライトをクリックして選択します。
3. IES サンおよびスカイのライトは、フォトメトリック版のサン
ライトおよびスカイライトです。
時刻を変更する:
1.
トップ ビューポートでドラッグしてコンパス マークを作成
レフト ビューポートで太陽の高さを見ることができます。サン オ
ブジェクトは、地面より上であればどの高さに配置してもかまいま
せん。太陽の位置はシーンに影響を与えますが、サンライトは非常
に遠くからとどいているような平行なレイとして扱われます。
サンライトが選択された状態で、[モーション]パネルに
移動します。
2. [コントロール パラメータ]ロールアウトを開きます。[時間]
領域で、[時間]の値を 17 に変更します。
[デイライト システム]には、0(真夜中)から 23(午後 11 時)
までの、24 時間時計を使用します。つまり[17 時間]は午後 5
時にあたります。
結果を見る:
• [クイック レンダリング]をクリックします。
サンライトの当たる家のイメージは、たくさんコントラストが
ありより現実的に見えます。
レフト ビューポートで太陽の高度を確認
コンパス マークの方向はシーンに影響を与えます。
[デイライト システム]の方向を合わせる:
1.
[オブジェクトを選択]をオンにします。
2. トップ ビューポートでクリックしてコンパスを選択します。
右クリックして、クアッド メニューの[変換](右下)から[回
転]を選択します。
7
ラジオシティ ソリューションを生成する:
1.
[シーンをレンダリング]をクリックし、[シーンをレンダ
リング]ダイアログ ボックスを開きます。
2. [アドバンスド ライティング]パネルに移動します。[アドバン
スド ライティングを選択]ロールアウトのドロップダウン リ
ストで、[ラジオシティ]を選択します。
ラジオシティのさまざまなロールアウトがこのパネルに表示
されます。
3. [ラジオシティ メッシュ パラメータ]ロールアウトで、[グロ
ーバル サブディビジョン設定]の下の[有効]をオンにします。
4. [レンダリング パラメータ]ロールアウトを開き、[ラジオシテ
ィ ソリューションの直接光を再使用]を選択します。
5. [ラジオシティ処理パラメータ]ロールアウトで、[初期品質]を
30 パーセントに設定します。
このシーンの全体的な効果を表示するためには、高品質ソリュ
ーションは必要ありません。
6. また、[ラジオシティ処理パラメータ]ロールアウトで[開始]を
クリックします。
ラジオシティ ソリューションが作成されるまで待ちます。[停
止]ボタンは使用できず、[リセット]ボタンが使用できるよう
になります。
7. [レンダリング]ボタンをクリックします。
反射光がひさしとリビング ルームの下の通路を照らします。
露出コントロールを調整する:
露出コントロールによって、シーンの輝度とコントラストを他の
設定とともに調整します。カメラのコントロールを操作するのと同
じようなものです。露出コントロールを使用する主な理由は、モニ
タにおよそ 2 等の光度の範囲があることです。
ディスプレイの最も
明るいカラーの明るさは、最も暗いカラーの約 100 倍です。比較す
ると、目はおよそ 16 等の光度の範囲を感知することができます。
わたしたちが見ることのできる最も明るいカラーは、最も暗いカラ
ーの約 1016 倍の明るさです。
露出コントロールを使用するもう 1 つの理由は、レンダリングの
外観をよりわかりやすく、またはより魅力的になるように簡単に調
整できることです。
1. [レンダリング]メニューで[環境]を選択します。
[環境と効果]ダイアログ ボックスが表示されます。露出コン
トロールは[環境]パネル/[露出制御]ロールアウトにあります。
もう 1 つのロールアウトには、選択した露出コントロール タ
イプに固有のコントロールがあります。
[露出制御]ロールアウトで[自動露出コントロール]が選択さ
れ、[アクティブ]切り替えがオンになっていることを確認しま
す。シーンにデイライト システムを追加したとき、Autodesk
VIZ がこれを自動的に設定しました。以下の手順でわかるよう
に、デイライトはほぼ常に露出コントロールを必要とします。
2. パースペクティブ ビューポートを右クリックしてアクティブ
にします。
3. [露出制御]ロールアウトで、[レンダリング プレビュー]をク
リックします。
一時停止の後、レンダリングしたシーンのプレビューがサムネ
イル イメージによって表示されます。
サムネイルのレベルは、レンダリングしたフレームのレベルと
同じようなものです。
4. [アクティブ]をクリックしてオフにします。
サムネイル イメージのほとんどが白く焼けています。
このロールアウトのサムネイルの利点は、インタラクティブで
あるということです。一度レンダリングした後は、露出コント
ロールを変更すると、再度レンダリングする必要なくプレビュ
ーが変更されます。
ラジオシティを使ったレンダリングには正しい物理スケール
が使用されます。露出コントロールなしでは、強烈なサンライ
トによって屋外シーンが焼けてしまいます。
5. ドロップダウン リストから、露出コントロールを[自動]から
[対数型]に変更します。
再び[アクティブ]切り替えがオンになります。サムネイルにも
う少しカラーが表示されるようになります。
非常に広い範囲の輝度レベルを、モニターの限られた範囲の中
に圧縮するのは、[自動]より[対数型露出コントロール]の方が
うまくできます。従って、屋外シーンにはこちらをお勧めしま
す。
6. [対数型露出コントロール パラメータ]ロールアウトで、[外部
デイライト]をクリックしてオンにします。
[自動露出コントロール]でのレンダリングと同じようなレベ
ルがサムネイルに表示されます。[外部デイライト]切り替えは
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直接のサンライトを補正します。
作業を保存する:
• [ファイル]/[名前を付けて保存]を選択します。[ファイル]ダ
イアログ ボックスで、ファイルに my_sunlight.max と名前を
付けて[保存]をクリックします。
標準ライトを使用する
外部デイライト露出コントロールでシーンをレンダリングする:
• パースペクティブ ビューポートがまだアクティブになってい
ることを確認してから、[レンダリング]をクリックします。
このレンダリングは前よりも暗くなっています。
現実感を正確に加えることができ、
ラジオシティ ソリューション
で簡単に使用できるため、新しいモデルの作成時にはフォトメトリ
ック ライトの使用をお勧めします。ただし、古いモデルを使用する
場合や、物理的な現実感をそれほど重要視しない簡易ライティング
を行う場合は、標準ライトを使用することもできます。この 2 つの
ライトの使用方法には、いくつか相違点があります。このレッスン
では、そのうち特に重要な相違点について学びます。
標準ライトの強度
フォトメトリック ライトでは、カンデラ、ルーメン、またはルク
ス単位で物理的なライトの強度を指定します。これに対して、標準
ライトでは、[強度]の値を指定します。ライトの最大強度は 1.0(既
定値)です。[強度]の値が既定値より小さい場合は、最大強度に対す
るパーセンテージを表します。
[強度]に 1.0 より大きい値を指定す
ることもできますが、お勧めできません。[強度]の値が大きいと、
焼けた領域ができることがあります。このような領域は、現実感に
欠け、ビデオへの変換もうまくいきません。
標準ライトとラジオシティ
この場合、[外部デイライト]設定で過剰補正されました。これは簡
単に修正することができます。
対数型露出コントロールを調整する:
1. [対数型露出コントロール パラメータ]ロールアウトで、[輝
度]値を 85.0 に変更します。
それに応じてサムネイルが更新されます。
イメージ編集アプリケーションで作業をしたことがあればわ
かるように、輝度を高くするとイメージが色落ちしてしまうの
で、コントラストも上げます。
2. [コントラスト]値を 60 に変更します。
サムネイルの変化はわずかですが、効果はレンダリングにはっ
きり現れます。
3. もう一度[レンダリング]ボタンをクリックします。
本物らしく照らされ、前ははっきり見えなかった詳細が表示さ
れます。
屋内のシーンでは、
フォトメトリック ライトと標準ライトのどち
らを使用した場合も、直接光しか使用しないと減光レンダリングに
なります。シーン内に十分に光を取り込むには、ラジオシティ ソリ
ューションを生成する必要があります。標準ライトでラジオシティ
を生成できます。露出コントロールで、追加設定として[物理スケー
ル]を使用して、標準ライトの誤差を補正できます。以下のデモを参
照してください。
シーンを設定する:
• interior_unfinished_std_lights.max を開きます。
これは、家の内部のモデルです。家具はまだ追加されていませ
ん。
シーンのライティングを表示する:
ライティングは、部屋の対角にある 2 つの固有のオムニ ライト
と、部屋の中央に吊り下げられた 4 つのスポットライトのインスタ
ンスで構成されています。これらは、いずれも標準ライトです。
•
[ツール]メニュー/[ライト リスト]を選択します。
[ライト リスト]ダイアログ ボックスが表示されます。
ライト リストには、
スポットライト Fspot01 だけが表示されます。
残りの 3 つはインスタンスなので、表示されません。[強度]フィー
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ルドを確認します。現時点では、ライトの強度は最高ではありませ
ん。
このシーンの場合、初期ソリューションは明るすぎます。次の手順
でこれを調整します。
シーンをレンダリングする:
露出を使用して物理スケールを調整する:
•
[レンダリング]ツールバーから[クイック レンダリング]
をクリックします。
通常どおり直接光だけがレンダリングされます。
シーンの大部分は、
陰の中に沈んでいます。
ラジオシティ ソリューションを生成する:
1. [レンダリング]/[アドバンスド ライティング]/[ラジオシテ
ィ]を選択します。
[シーンをレンダリング]ダイアログ ボックスが開き、[アドバ
ンスド ライティング]パネルが表示されます。
2. [レンダリング パラメータ]ロールアウトで、[直接光でレンダ
リング]が選択されていることを確認します。
警告: [直接光を再使用]が選択されていて、ラジオシティ ソ
リューションに直接光が焼き付けられている場合、露出コント
ロールを調整してもレンダリングに変化はありません。後の手
順で説明しますが、標準ライトを使用するときは露出コントロ
ールを調整する必要があります。
3. [ラジオシティ処理パラメータ]ロールアウトで[開始]をクリ
ックします。
[初期品質]は 85 パーセントに設定されていますが、このモデ
ルは比較的単純なので、ソリューションの生成に時間はかかり
ません。
4. [クイック レンダリング]をクリックします。
1. [レンダリング]/[アドバンスド ライティング]/[露出制御]を
選択します。
[環境と効果]ダイアログ ボックスが開き、[環境]パネルが表
示されます。対数型露出コントロールがアクティブになります。
2. [露出制御]ロールアウトで、[レンダリング プレビュー]をク
リックします。
Autodesk VIZ によりシーンのサムネイルがレンダリングされ
ます。
サムネイルのカラーの方が、レンダリングよりも現実味があり
ます。この場合、物理スケールが大きすぎるようです。
3. [対数型露出コントロール パラメータ]ロールアウトで、[物理
スケール]の値を 500.0 に変更します。
プレビュー サムネイルが自動的に更新され、変更が反映され
ます。
4. [クイック レンダリング]をクリックします。
レンダリング(特に床)が明るすぎるという問題はなくなりました
が、反射光で照らされた領域にはまだ細部が存在します。
[物理スケール]の値をいろいろ変更して試してみてください。わ
ずかな差異も、プレビューでは、実際のレンダリングよりも強調さ
れます。線形露出コントロールも使用できます。線形露出は、屋内
のシーンでも使用できますが、この例には適していません。直接照
らされている領域と陰の中にある領域のコントラストが大きいから
です。
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