Life Science News

Life Science News Japanese Edition Issue 2, 2000
Results, reports and refinements for life science researchers
CONTENTS
ミレニアム企画 『先端バイオの先を読む』
第2回 発生学の進歩がもたらすもの ........2
GeneChip HuSNP Mapping Assay と
GenFlex Tag Array を利用した SNP の解析 ........6
GFX Micro Plasmid Prep Kit を用いて精製した
DNAのオートシークエンス解析 ........8
Typhoon 8600によるゲル蛍光の検出と画像解析 ......10
プレキャストゲルと新しいゲルカセットを用いる
ハイスループット、ラージフォーマット二次元電気泳動 ......13
多様なニーズに対応したタンパク質精製
クロマトグラフィ−システム : ÄKTAFPLC ......15
GE imagination at work
Typhoon 8600による多重蛍光画像解析のイメージ図
取扱代理店
製品のご注文は左記の代理店まで
アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社
製品お問い合わせバイオダイレクトライン
71-1766-01
電話番号:(03)5331-9336
FAX番号:(03)5331-9370
A m e r s h a m
P h a r m a c i a
B i o t e c h
ミレニアム企画『先端バイオの先を読む』
第2回 発生学の進歩がもたらすもの
左:勝木先生 右:大石先生
核移植の技術とヒトのES細胞が確立されたことをきっかけとして、
新しい発生学の研究は急速に進歩しています。
この進歩は、生命の操作という両刃の剣をもたらしましたが、
新たな生物観を生み出す強い力を秘めています。
は転写因子だったわけですが、カスケードの単なる1段階で
はなく、位置情報という全く違う概念を担っているのです。
ですから、位置情報が初めにどうインプットされるのかと
いった問題は、これからの発生学のキーになると思います。
ニュスライン−ホルハルトたちがホメオティック遺伝子の仕
事でノーベル賞を受賞したのも当然だと思いますね。
大石 私が転写カスケードで理解できるといったのは、あく
まで分子レベルでの話でして、いまのご意見にはまったく同
感です。ところで、核移植については、1981年にイルメン
ゼーがクローンマウスの作成に成功したと報告し、報告の信
憑性が問題とされたという歴史がありますが、1997年には
英国のロスリン研究所がクローンヒツジの作成に成功し、こ
ちらは広く認められました。この報告は核移植が可能なこと
の最終的な証拠だと見てよいとお考えですか。
勝木 そうだと思います。
大石 核移植の問題で私が知りたいのは、どんな体細胞か
らでも個体が作れるのかということです。勝木さんが言われ
たように、免疫細胞では遺伝子の再配列が起こっています
し、ヒトの神経細胞も、ネットワークにかかわる分子を多様
な中から選択する仕組みをもっているらしい。そういう細胞
からも個体は作れるのでしょうか。
勝木 おそらく、それを確かめようとする試みがいくつも進
行していると思います。実際に、嗅細胞の核から個体を作
ろうとしている研究者を知っています。匂い物質のリセプ
タータンパク質は4000種ほどあると言われていますが、1
つの嗅細胞は1つのリセプターしか発現していません。その
細胞から作った個体は、単一の匂いリセプターだけをもつの
かどうか。そもそも、その細胞は個体になる能力があるのか
どうか。リセプターの選択機構自体が未解明ですから、こ
れらは非常におもしろい問題です。
大石 分化の進んだ細胞の中には、分化の機構がまだはっ
きりしていないものがあるし、その細胞が全能性を必ず取り
発生はなぜ後戻りしないか
大石 勝木さんは、トランスジェニックマウスやキメラマウ
スなどを使って精力的に研究を展開される一方、生命倫理
についていろいろな場で独自の意見を発表しておられます
ね。ですから、今日はいろいろなお話を聞けるものと楽しみ
にしています。まず、学問としての発生学の現状と将来に
ついて、ご意見をうかがいたいと思います。発生と分化のメ
カニズムについての理解は、ここ20∼30年で非常に進歩し
ましたね。もちろん、形態形成に関するホメオティック遺伝
子などの大切なコンセプトがいくつも出てきてはいますが、
私の理解では、DNAからの情報の流れのカスケード、つま
り転写制御が、発生や分化の基本になっていると考えてよ
いと思います。脳を別にすれば、高度な生物機能のほとん
どを決めているのが転写制御ではないでしょうか。そういう
捉え方が固まってくる中で、発生学のエポックメーキングな
成果としては、どういうことがあったと思われますか。
勝木 1つは、先生のおっしゃる意味とは違うと思うのです
が、やはりホメオティック遺伝子の発見だと思います。高次
機能の中でも、免疫系は遺伝子をリアレンジすることで限
られた要素から非常に多様な組み合わせを作り出す。その
中から単一の抗体だけを作る細胞ができてきます。遺伝子
の再配列によって多様な中から単一のものを作り出すという
コンセプトが確立されているわけです。一方、発生学におい
ては、全能性の受精卵から単一の細胞へと分化するとき、
発生過程を後戻りしないという不可逆性を説明するコンセ
プトが必要です。しかし、遺伝子構造を調べてもそういう仕
組みは見つからなかったし、実際に核移植によって、分化
した核が全能性を回復することも示されました。では、不可
逆性を決めているのは何か。その手がかりはポジションイン
フォメーションにあると思います。どこでどんな遺伝子が発
現するかを制御するホメオティック遺伝子の産物は、実際に
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戻せるかどうかについても答えが出ていない。つまり、発生
学におけるかなり根本的な問題の1つが、まだ解明されてい
ないということですね。
勝木 そうです。ですから、そのチャレンジがおもしろいの
です。
大石 私は動物の体細胞がもっと再配列を起こしていてもい
いような気がするのです。現に、ある種のトリパノソーマな
どではantigenic variationの原因になっている。それなのに、
もっと複雑な人間や動物が一部の細胞でしか再配列を起こさ
ないのはなぜでしょう。
勝木 おもしろい話になりましたね。答えになるかどうかわ
かりませんが、ちょっと観点を変えてお話ししてみます。発
生学では、いろいろなミュータントを分離して発生のどこが
異常になるかを見ます。筋肉、神経、免疫細胞などのそれ
ぞれに焦点を当て、ある遺伝子の作る分子が欠けたときに
発生がどこで止まるかということから、その分子の機能を調
べるのです。ただし、この手法が有効なのは、すべてを正常
な発生の時間軸上に戻した上で、その分子の機能が確かめ
られた場合に限られます。例えば、カエルの脇腹にFGF
(繊維芽細胞増殖因子)やBMP(骨形成因子)を塗ると、
新しい肢が生えます。形態ができるのでいかにも発生学のよ
うに見えますが、発生学とは関係のない話です。正常な発
生の時間軸上ではそんなことが起こるはずがなく、作り事に
すぎないからです。そういう観点から見ると、体細胞のスー
パーな変化も、作り事として起こすことはおそらく可能だろ
うと思います。しかし、それが正常な発生の時間軸上にビ
ルトインされているかどうかを研究することのほうが、ずっ
と重要です。その研究はまさにチャレンジだと思います。遺
伝学的な操作による肉体労働で、ある発生のコンセプトに
つながるようなヒントが99 %ぐらいまでは得られる。しか
し、最後に正常な発生で確かめない限り、その99 %は作り
事なのです。どうやったらほんとうの発生の過程に戻せるか
という最後の1 %が、生物学として最も重要なところだと思
います。したがって、細胞は多分化能を残しながら、変化
するシステムをもっているのでしょう。今の段階では再配列
の必然性は見えていません。
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ロセスです。極端に言えば、例えば血液系や神経系などは、
別の生物が我々の中に生きていると見ることができます。そ
れぞれが固有のゲノムの発現、つまり正常な発生過程に従っ
て動いており、その動きが完全に調和したときに初めて個体
が成り立つという見方ができる。そう見れば、血液幹細胞
や神経幹細胞の研究というのは、個々の生物のホメオスタ
シスをきちんと調べていることになります。全く個別に見え
るこれらの研究が、将来は発生という視点から集約されて
いくだろうと思います。その結果は、先ほどの位置情報と
か、転写因子のカスケードというコンセプトとは違ったもの
になると思いますね。
大石 確かに、1つ1つのコンポーネントを研究しようとす
れば、これから何百もの対象が出てくるでしょうね。それが
発生の研究に集約されていけばおもしろいですが、もう少し
個体寄りのレベルでは、若い人にどういう方向をめざしてほ
しいと思いますか。
勝木 個別の生き物に帰れということですね。岡田節人先
生から「昔の発生学というのは、材料の生物のことだった」
という話をうかがったことがあります。つまりイモリはイモ
リ、カエルはカエルで、個別におもしろいことがたくさんあっ
たということです。ところが、いまの生物学は違う。普遍原
理を追求していますね。
大石 極端なところでは、線虫とかショウジョウバエですべ
てを説明しようという動きがありますね。
勝木 もちろん、線虫やショウジョウバエの研究の威力は認
めますが、それですべてを説明しようというのはちょっとお
かしい。ほんとうにおもしろい生物現象というのは、やはり
個別のスモールサイエンスで見つかると思います。そこから
普遍へと広がる可能性があるのではないでしょうか。いまは
普遍的な目で見て個別を解釈しようとしすぎるから、落ち
こぼれていることがたくさんあると思います。
大石 確かに、個々の生物の現象は非常におもしろいし、
まだわからないこともたくさんあります。でも、そういうお
もしろさだけで満足するというのが、生物学者の陥りやすい
罠でもあったわけです。分子生物学は、生物を冷静に物質と
して眺めることで普遍的な原理を解き明かしてきたのですか
ら、その存在意義はやはり認める必要があると思いますが。
勝木 そんなつもりで「個別に帰れ」と言っているわけでは
ありません。少しご説明が必要ですね。動物の生殖行動と
か、発生のプログラムを見ると、個々のステップが進化の過
程で選ばれ、その結果として全体のストーリーができたとは
到底思えない場合があります。例えば、イトヨという魚は、
オスの赤い腹を見るとメスがダンスをして巣に誘い、オスが
メスの尾をたたくと産卵します。この一連の行動は分解でき
て、下半分が赤い板を見せてもメスはダンスで誘います。お
そらく、遺伝子レベルでも行動を分解して解釈できるでしょ
う。しかし、赤いものを見てダンスをするというステップ
や、他のステップが、それぞれ進化の過程で選ばれて残った
とは思えない。すべてがまとまって初めて、生殖という目的
が達せられるわけですからね。私の言う個別とは、そういう
ひと塊のストーリーとして生物が行動したり、発生したりす
ることを指しています。これはとても不思議なことで、我々
がまだ全く想像していないような何かが働いているのかもし
れません。
大石 なるほど、わかりました。いま生きている生物は、過
去の過酷な自然条件の下であらゆる手段を使って生き残っ
てきたと考えられている。勝木さんが言われるのは、おそら
くその大部分はダーウィンの自然選択説で説明できるが、
それ以外に我々が予想もしないような方法で生き残ってきた
個々の生物に秘められた物語
大石 私は、もう少し若ければ自分で取り組みたいぐらい、
発生学に魅力を感じていますが、勝木さんが若い人に解明
してもらいたいと思う、これからのテーマは何ですか。
勝木 やはり、いちばん大きいのは進化と発生との関係です
ね。例えば、遺伝子が300個の塩基からなるとすると、コー
ドできるタンパク質は20の100乗(10130)通りあるはずで
すが、実際には、ヒトでさえ約10万個の遺伝子しかもって
いません。進化の過程でそうなったわけですが、そんな少数
の遺伝子でゲノムという閉じた系は安定に存在している。そ
の仕組みを知ることが、発生学の根本だと思います。
別の言い方をすれば、2細胞生物が存在しないのはなぜかと
いうことです。細胞数が最も少ない多細胞生物は、中生動
物門の二胚虫など20∼40細胞生物です。この生物について、
ゲノムを調べると同時に、1細胞期から20∼40細胞に至る
までの発生過程をきちんと調べれば、なぜ安定に生存できる
のかがわかるだろうと思うのです。
大石 結局、個体が保っているホメオスタシスをどう切って
いくかということですね。発生は、それに至る正確なプロセ
スだと見ることができる。
勝木 おっしゃるとおりです。ゲノムの発現も同じ意味のプ
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生物がいるだろうということですね。確かに、カンブリアの
大進化やヒトの脳の急速な発達など、突然変異と自然選択
だけでは説明が難しいことはたくさんあります。そういう生
命の歴史が個々の生物を調べる中から見えてくるだろうし、
その歴史を背景とすることで、発生にかかわる大事な真理
も明らかになってくるだろうというご意見ですね。
勝木 はい、私はそう思っています。いまの研究は、普遍
的な原理がわかったので、それをどんどん広げていこうとい
う方向ですね。しかし、それでイトヨの行動まで説明できる
かというと、直感的にはどうも違うように見えるのです。い
まの普遍の枠に入らないようなものまでを含む、もっと大き
な普遍を追求していくことが大事だと思います。
大石 それは非常に重要な指摘ですね。若い人の中には、
「普遍的な原理がわかってしまったのでもう何もやることが
ない」と言っている人もいますから。
勝木 若い人たちが「なぜだろう」という好奇心をあまりも
っていないことを、私はとても心配しています。
大石 アマゾンや深海には、驚くような形態の生物、非常に過
酷な環境で生きている生物がいますからね。そういう生物の多
様性のすごさに目を向ければ、好奇心もわくことでしょう。
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きましたが、もっと新しい技術のほうはどう思われますか。
勝木 核移植が可能になったことや、ヒトのES細胞(胚性幹
細胞)ができたことなどが中心になって、研究はフィーバー
状態ですが、こうした技術についても、私は、正常な発生
とか、核や幹細胞のもつ潜在的能力を調べるための手段と
して使うべきだと思います。ある組織から取った細胞を別の
組織に入れるといった研究は、生物学的には何の意味もな
い。例えば、筋肉の単核細胞や神経幹細胞をマウスの尾か
ら血管に入れると、骨髄にとどまり、やがて血液細胞にな
るという報告があります。この成果は一見劇的ですが、実
は当たり前のことなのです。体細胞の核から個体が1匹でき
るわけですから、細胞を異所性に入れればその組織の細胞
になっても不思議はないのです。
大石 でも、そういう研究は細胞の可塑性を調べるのに実際
に役立っているので、そこまでは良いと思うのです。その先
の、例えば治療に使うといった応用についてはどうですか。
勝木 再生医療の問題ですね。これについては、是非とも
指摘しておきたいことがあります。筋肉細胞が血液細胞に
なるのなら、白血病の治療に使えるだろうというたぐいの議
論がありますが、異所性に移植するのですから、これは正常
な発生の時間軸上の話ではありません。そこから問題点が2
つ出てきます。1つは、できた血液細胞が自然な血液細胞と
ほんとうに同じものだという保証はないということです。見
かけと能力は血液細胞のように見えますが、実際に血液中
でどんな振る舞いをするかわかりません。2つめは、筋肉細
胞が必ず血液細胞に変わるという保証がないことです。血
液細胞になるのなら、同じ中胚葉の生殖細胞にならないと
も限らないし、あるいは全然違うものになるかもしれませ
ん。この2つの問題について、あらゆる場合をきちんと調査
した上でなければ、再生医療を始めるわけにはいきません。
もちろん、ES細胞を移植する場合も問題は同じです。
大石 核の可塑性を利用する医療は、一見、非常に有用そ
うだけれど、生物学的に見ればまだそんな段階には達してい
ないということですね。私も、この意見に賛成です。この分
野では技術の可能性が過大視されているように感じます。
一種の幻想だろうと思うのですが。
勝木 この流行は、3年経ったらきっとしぼみますよ。私は
虚の世界だと思っています。
大石 勝木さんが言われるとおり、再生医療に至る前の生
物学的な問題を我々は何もクリアできていませんね。人工
的に作った細胞と正常な細胞がほんとうに同じかどうかを検
証するには、我々の知識はまだ不十分だと思います。それ
なのに、核やES細胞から臓器を作れば臓器不足が解決する
といった話が先行している。そんな夢みたいな話には、私は
反対です。再生医療が実現するまでの道のりは、見かけよ
りずっと長いと思いますね。
勝木 再生医療は、生物学に新たなチャレンジを突きつけ
ているのです。それを克服すれば新しい学問ができると期待
しましょう。
大石 いわゆるクローン生物の将来についてはどう思います
か。
勝木 現在は畜産業からの要請でクローン生物が開発され
ているのですから、そのこと自体は、短期的には良いと思い
ます。乳の出がよいウシがたくさん作れれば、確かにインパ
クトがあります。ただし、長期的に見れば問題点がありま
す。それは、1日に30リットルの乳を出すウシをクローンで
たくさん作ったとき、次に、32リットルの乳を出すウシをど
うやって作るかということです。クローン技術は、多様性の
中から単一の性質をもつ個体を選んでたくさん作り出すもの
発生工学の光と影
大石 最近、発生学の応用面での動きが急ですね。遺伝子
工学と核移植や胚操作の手法が組み合わされて、技術革新
といった様相を呈しています。私は、発生工学自体から非
常に新しい生命現象がわかることはないと思っていますが、
検証の手段や新しい生き物をつくる手段になるという面では
非常に有効だと思うのです。勝木さんは、発生学の応用に
ついてどんなご意見をおもちですか。
勝木 大石先生の言われるとおり、いろいろな技術が進歩
したことは、検証の手段が得られたという点で意味があると
思います。ただし、それを使う際には、やはり正常な生物に
戻したときにどうなるかという視点がいつも必要です。例え
ば、あるDNA断片を取り出して培養細胞でその働きを調べ、
ある遺伝子機能がわかったとします。でも、生物は進化の過
程でたくさんの遺伝子の残骸をDNAに蓄積していますから、
それは古代の生物の遺伝子だったのかもしれない。現実の生
物では、何の働きもしていない可能性だってあるのです。
大石 だから、ノックアウトしても何も起こらない場合があ
るのですね。もちろん、同じ機能をもつ遺伝子が他にも存在
する可能性もありますが。
勝木 別な見方をすれば、そう
いう古い遺伝子を調べることで
進化がたどれるだろうという
おもしろさはあります。
大石 先ほどの進化の話と
も絡んで興味深いです
が、話を戻しましょう。
ノックアウトなど
は、いまでは単
純な技術の部
類に入って
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ですが、その均一化ということが最も弱点なのです。クロー
ン技術で均一なウシを作るなら、背景には多様性をもった
リソース(資源)をクローンウシの何十倍もの規模で用意
しておかなければなりません。そうしなければ、30リットル
のウシが揃って病気になってしまったときや、32リットルの
ウシを作りだそうというときに材料が枯渇してしまいます。
アメリカはそのことに気づいていて、野生種を交配したり、
世界各地からさまざまな生物を集めたりして、多様性を準
備しています。そういう準備があって初めて、クローン生物
の産業的な意味が出てくるのです。
大石 なるほど。私はブラジルによく行くのですが、アマゾ
ンには英、独、米などの国々が生物の採集に来ていました。
背景には、そういう事情もあったのですね。ブラジル政府も
それに気がついたのか、途中で生物採集を禁止しましたが、
日本は、初めから参加していないのです。
勝木 日本には、そういう発想がないのですよ。
大石 生物の多様性に対する政府の取組みを考えると、せっ
かくのクローン技術も、いずれは行き詰まる可能性が高そう
ですね。
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けではありません。
人間の本性にもとる
ようなことをやる商
業行為そのものが認
められないのです。私
には子供がいません
が、どうしてもできな
いのなら、
「あきらめな
さい」というのが医療
行為だと思います。
大石 だとすると、
勝木さんは臓器
移植にも反対で
すね。
勝木 はい。一
種のカニバリズ
ムだと思います
し、人体の改造
が医療行為だと
は思えません。もちろん私自身、臓器移植は拒否します。
大石 私は、臓器移植についても、それで助かる人がいる
ならやればいいと思っています。ただし、悩んでいる問題が
1つあります。それは、日本で臓器移植ができなかった時期
に、海外で移植を受けた人たちのことです。この人たちは、
本来なら移植を受けるはずだったその国の人を押しのけて、
移植を受けたわけです。それについてどう思うかとアメリカ人
に尋ねられて、私は答えられなかったのです。新聞や移植の
支援者も、この問題には口をつぐんでいます。いまさら取り戻
せませんが、国内でやらない以上、海外で移植を受けるのも
禁止すべきだという問題をつきつけられることになります。
勝木 そういう意味では、臓器移植が許されていながら、
まだ数例しか行われていないといういまの状況は救いになり
ますね。国内でできる可能性があれば、海外に行く必要は
ありませんから。それよりも問題なのは、マニュアルを変え
て移植をもっとやろうとする人たちがいることです。数例し
か行われないのは、みんながほんとうに賛成してはいないか
らでしょう。生殖医療の問題もそうですが、お医者さんが、
どのように考え、どこまでやろうとしているのかをくり返し
追体験と葛藤の中からきちんと我々に示す必要があると思
いますね。
大石 きょうは、歯切れのいい意見の数々をありがとうござ
いました。
先端医療がはらむ危うさ
大石 最後に、生命倫理についてお話ししたいと思います。
まず、勝木さんが日頃感じておられる問題点を整理してい
ただけますか。
勝木 一言で言えば、生命倫理が問題にされるのは、学者
やお医者さんが信頼されていないということだと思います。
本来、生命倫理というのは、医療行為によって免責される
ものなのです。そして、倫理の根本は価値判断ではなく信
頼です。つまり、お医者さんに「命を預けます」という気持
ちになれれば、それでいいのです。その医療倫理がなぜ揺ら
ぐかというと、医療の範囲が本来の枠を超えて広がりすぎて
いるからだと思います。例えば、不妊治療にしても、卵管
閉塞といった原因を突き止めて必要な処置をするのは当然
の医療行為です。しかし、本人のものではない卵子を使っ
て子供を産ませるというのは、医療行為ではありません。
大石 その点については、私は意見が違います。どうしても
子供がほしい人がいて、それを実現できる技術があるなら、
やってあげるべきだと思うのです。
勝木 私はそう思いません。なぜなら、いまはお医者さんの
ほうから「こういう技術がありますよ」と言って、子供がほ
しいという本能や欲望をかき立てているように見えるからで
す。これは、まるで商業行為であって、医療行為ではあり
ません。やや面倒くさいことを申しますが、人間の肥大する
欲望を満足させるということに対しては、生命倫理は非常
に厳しくあるべきだと思います。
大石 医療行為として許される範囲をもっと狭くするべきだ
というご意見ですか。
勝木 と言うより、人間の本性にもとるようなことはするべ
きではないという意見です。例えば、あるお医者さんは、子
供のできない夫婦に対して、妻の妹の卵子と夫の精子を使
って妻に子供を産ませました。こんな「治療」には、私は
反対です。なぜなら、子供は妹に似てくるに決まっている。
そして、夫はその子供をかわいがるうちに、子供を通して必
ず妹に愛情を抱くはずだからです。それは、動物としての人
間の戦えない本性なのです。
大石 わかりました。つまり、あなたの基本的な立場は、自
然な生殖行為による子供しか認めないということですね。
勝木 まあ、そうですね。ただ、私は潔癖症で言っているわ
(サイエンスライター:青山 聖子)
大石 道夫 先生
理学博士。東京大学化学系大学院博士課程を修了後、プリンストン大学
研究員、ニューヨーク公衆保健研究所 主任研究員、ニューヨーク大学
研究 専任教授、東京大学 教授、工業技術院生命工学工業技術研究所
所長等を歴任され、1997年9月から、かずさDNA研究所 所長(副理事長
兼務)に就任。主な研究分野は、分子生物学。
勝木 元也 先生
理学博士。東京大学理学部生物化学科卒業。九州大学大学院博士課程
(関口睦夫教授)を経て、慶應義塾大学医学部助手(渡辺格教授)。米国
ジャクソン研究所訪問研究員。東海大学医学部教授。九州大学生体防御
医学研究所教授。東京大学医科研究所教授。主な研究分野は分子生物学、
発生工学。
この企画は、日経BP社および共立出版株式会社との
共同で行い、シリーズ終了後に単行本として出版が
予定されています。
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SNP Genotyping using GeneChip® HuSNPTM Mapping
Assay and GenFlexTM Tag Array
―GeneChip HuSNP Mapping AssayとGenFlex Tag Arrayを利用したSNP解析―
G
E
N
E
C
H
I
P
A
はじめに
A
R
R
A
Y
Affymetrix社が開発した高密度DNAマイクロアレイ
GeneChipは、ガラス基板上で直接オリゴヌクレオチドを合
成することにより作製されています。GeneChip技術は、
一度に多くの遺伝子情報を解析する必要がある研究分野
に適し、高度に制御された製造工程によって同じ種類の
異なるアレイ間の実験でも高い再現性が確保されていま
す。ゲノム全体の遺伝子発現モニタリングに広く利用さ
れているほか、塩基配列や遺伝子多型解析、1塩基多型
(SNP)ジェノタイピングなど様々な遺伝子情報解析に応用
可能です。本稿では、GeneChip HuSNP Mapping Assayに
よるSNPジェノタイピングの原理と、汎用性の高いプロー
ブアレイであるGenFlex Tag ArrayのSNP解析への応用に
ついてご紹介します。
B
リファレンス
配列
プローブ配列
アリールA
アリールB
...
MMA
PMA
PMB
MMB
HuSNP Mapping AssayによるSNPの
ジェノタイピング
ヒトゲノム解析プロジェクトは、塩基配列決定のステー
ジから個人間の塩基配列の違いを同定する多型マーカー
の探索のステージへと展開しつつあります。ジェノタイ
ピング技術の開発は、病気に関係した遺伝子群の探索や
個人ごとの薬剤効果の違いといった体質とも言うべき表
現型の遺伝的基盤を研究するのに必須です。ある表現型
の変化に関連した遺伝的変化の位置をヒトゲノム上で物
理的にマップするためには、何らかの遺伝的マーカーが
必要となりますが、SNPはヒトゲノム中に最も高頻度で存
在する多型マーカーであるため、この目的に適していま
す。約30億塩基対のヒトゲノム中には300万以上ものSNP
が存在すると言われています。
Affymetrix社はDNAアレイを用いたSNP解析用の最初の
製品として、1枚のアレイ上に約1500のSNPマーカー解析
用のプローブを配置したHuSNP Mapping Assayを開発し
ま し た 。 こ の ア レ イ で 解 析 で き る SNPマ ー カ ー は 、
Affymetrix社とWhitehead Instituteとの共同研究において発
見されたものであり、22本全ての常染色体とX染色体上に
分布しています。ゲノム中の解析可能な SNPマーカー密
度から、HuSNP Mapping Assayは、遺伝的連鎖の解析や
遺伝子マッピングに利用することができます。
HuSNP Mapping Assayのサンプル調製では、SNPマー
カーを含むDNA断片の増幅に、1本の反応チューブで約
100種類のPCR産物を増幅させるmultiplex PCRを採用して
います。2段階目のPCRは、labelling PCRであり、各SNPマー
カーを含むPCR産物をさらに増幅させるとともに、ビオ
チン標識を行います。このステップでは、全てのPCR産
物に対して共通のビオチン標識プライマーペアを用いま
す。サンプル調製の効率を上げることにより、約120 ng
のゲノムDNAを出発材料として、1日半でSNPのジェノタ
イピングが完了します。GeneChipシステムによって、実験
C
図1. HuSNPプローブアレイによるジェノタイピングの原理
A. SNPジェノタイピングにおけるブロックタイリング法の概念図
目的とするSNP各々のアリール(AまたはB)に対して、SNP塩基の位置が
異なる、4∼5種類の20塩基の相補的プローブがデザインされています。さ
らに、これらの各プローブは、SNP部位近傍に1塩基のミスマッチを持つ以
外は同一配列のプローブとペアをなしています(例:SNP部位から -4の位
置にミスマッチ塩基を持つPMAとMMAのペアなど)
。これらのミスマッチ塩
基を持つプローブを利用することにより、データ解析においてクロスハイブ
リダイゼーションの影響を除くことが可能となります。
B. リファレンス配列中の多型塩基の存在を検出するためのプローブセットの例
この例では、ミスマッチ塩基の位置は、SNPの位置と一致しています。
C. 遺伝子型ABの個体から得られたDNAサンプルを解析したHuSNPアレイの
ハイブリダイゼーションシグナル
操作は極限まで自動化され、1台のスキャナーをフル稼働
させた場合、24時間で180検体の解析が可能となります。
HuSNPプローブアレイで用いられているプローブの配
置法は、ブロックタイリングと呼ばれる方法で、高い精
度でSNPのジェノタイピングを行うことができます(図1)
。
それぞれの遺伝子型に応じて、特徴的なハイブリダイゼー
ションパターンが得られ(図2)、解析ソフトウェアによ
り遺伝子型のレポートが自動的に行われます。HuSNP
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図2. HuSNPアレイにおける蛍光強度のパターン
あるSNPマーカーに対して、AAホモ接合、ABヘテロ
接合、およびBBホモ接合の遺伝子型を持つ3個体で
のハイブリダイゼーションの結果を示しています。上
半分のプローブブロックは Aアリールを、下半分は
Bアリールを検出するのに用いられています。
A
BB
B
Mapping Assayでは、アレイされた約1500のSNPマーカー
のうち、平均して約1200の遺伝子型を決定することが可
能です。決定された遺伝子型についての精度は98 %以上
であり、同一サンプルから複数の実験を行った場合の再
現性は99 %以上であることが示されています。
GenFlex Tag Arrayの使用例として、SNPのジェノタイ
ピングが挙げられます。Affymetrix社は、アリール特異的
な1塩基伸長反応を利用した独自のSNP解析技術を保有す
るOrchid BioSciences社と、GenFlex Tag Arrayを利用した
SNPジェノタイピング法を共同開発中です。この方法では、
1種類のアレイで、任意の2000SNPを同時に解析すること
が可能です(図3)
。
ほかに、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の突然変
異体の解析にTag Arrayを利用した例があります。出芽酵
母の全ゲノム塩基配列の解析結果から、同定されたORF
(open reading frame)の中には、多数の機能未知の遺伝子
が存在することが知られています。ORF欠失変異体の作
製と表現型解析は、生物学的機能を知る上で有効な手法
です。特定のORFの欠失変異体は、薬剤耐性遺伝子等の
マーカーを挿入することで作成でき、その時に、マーカー
の近傍に20塩基のタグ配列を入れておくと欠失変異を識
別できるようになります。多数の欠失変異体をプールし
て、様々な条件で培養し、増殖した菌体のDNAからタグ
配列周辺を増幅させ、各タグ配列に相補的なオリゴヌク
レオチドを配置したアレイとハイブリダイズさせること
により、数千のタグ付き欠失突然変異体の表現型を同時
に解析することができます。
GenFlex Tag Arrayを利用した
ジェノタイピングの可能性
GenFlex Tag Arrayは、応用範囲の広い製品であり、1種
類のアレイを用いて、複雑な反応生成物の混合物の中か
ら、2000種類におよぶ個々の生成物量をハイブリダイゼー
ションにもとづいて解析することができます。タグ配列を
反応生成物に取り込むことができる反応系は、全て
GenFlex Tag Arrayで解析することが可能であり、無限の可
能性を秘めたDNAプローブアレイであると言えます。
GenFlex Tag Arrayは、2000種のタグ配列に相補的な20
塩基のプローブで構成されています。通常は、タグ配列
を付加したDNAプライマーなどで反応を行い、この分子
に蛍光色素を取り込ませます。反応生成物をプールして
GenFlex Tag Arrayにハイブリダイズさせてスキャナーで
読み取ることで、各々のタグ配列に対応したプローブ上
のハイブリダイゼーションシグナルから、2000種類まで
の反応生成物を個別に検出することができます。
まとめ
HuSNP Mapping Assayによって、GeneChip技術を利用し
たSNP解析が可能であることが実証されました。さらに、
ある病気に関する患者集団の多型解析から、病気のかか
りやすさや薬剤効果と特定のSNPとの関連を研究する
association studyでは、より高密度でSNPマーカーを調べ
る必要があり、数十万から数百万SNPの同定が前提条件と
なります。SNP等の活動により、一般に利用できるSNPの
データベースは、今後充実していくものと思われます。
Affymetrix社では、これらの成果を取り入れると同時に、
SNP解析用プローブアレイをさらに高密度化し、一度に解
析できるマーカー数を増大させた製品の開発を行ってい
ます。
A/C
1. PCR
A
2. 1塩基伸長反応
プライマー
B i o t e c h
T
G
タグ
T
3. ハイブリダイゼーション
GenFlex Tag Array
参考文献
図3. 1塩基伸長反応とGenFlex Tag Arrayを用いたSNPジェノタイピング
1. 各SNP部位を含んだ領域のPCR増幅
2. タグ配列を付加したプライマーによる1塩基伸長反応
SNPには2つのアリールが存在するので、異なった蛍光色素(fluorsceinや
phycoerythrin等)で標識されたddNTPのどちらかが取り込まれます。
3. GenFlex Tag Arrayでのハイブリダイゼーション
1. Wang, D.G.et al., Science 280, 1077-1082 (1998)
2. Lipshutz, R.J. et al., Nature Genetics Microarray
Supplement 21, 20-24 (1999)
3. Shoemarker, D.D. et al., Nature Genetics 14, 450-456.
(1996)
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製品の開発は随時進んでおりますので、製品の種類、価格などの詳細については問合せください。
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B i o t e c h
Automated DNA sequencing of plasmid DNA purified
with GFX Micro Plasmid Prep Kit
─GFX Micro Plasmid Prep Kit を用いて精製したDNAのオートシークエンス解析─
M. Dar Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ USA
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P
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製しました。使用したプラスミドDNAを表1に示します。
精製したDNAを、エタノール沈殿することなく、
DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing KitによるDNA
オートシークエンス解析に用いました。プロトコールに
従い、シークエンシング反応にはテンプレートDNAを
275∼500 ng、プライマーにはM13 Universal (pGEM,
pCanine, pTetrahymena)、M13 Reverse (pLunatic) を5 pmol
使用し、サイクル反応には、GeneAmp® PCR System 9600
を用い、95 ℃ 20秒、 50 ℃ 15秒、 60 ℃ 1分の反応を25
サイクル行いました。
GCやATリッチなインサートをもつプラスミドDNAをGFX
Micro Plasmid Prep Kitで精製し、DYEnamic ET Terminator
Cycle Sequencing Kit を用いて塩基配列を解析しました。
GFX Micro Plasmid Prep Kitを用いると、エタノール沈殿
をせずに高純度(A260/A280比が約1.7)で、高収量( 培養
液1 mlから2.5∼5.6 µg)のテンプレートDNAを精製できる
ため、得られるシークエンスデータはピークが均一で、
長い配列を判読することができます。また、Thermo
Sequenase II DNAポリメラーゼは、合成反応におけるテ
ンプレートDNA鎖上の連続移動能が高いことから、コン
プレッションの生じやすいGCリッチ配列など難しいテン
プレートの解析も可能にしています。
表1. プラスミドテンプレート
プラスミド
はじめに
特徴
pGEM
コントロール
pCanine
60 % ATリッチのイヌDNAのインサートを含む
充填済みマイクロスピンカラムは、分子生物学のさまざ
pTetrahymena 65 % ATリッチのテトラヒメナDNAのインサートを含む
まな実験において、プラスミドDNAを素早く精製できる便
pLunatic
約65 % GCリッチのインサートを含む
利なツールです。特に、DNAのオートシークエンス解析で
は、テンプレートDNAの調製に広く一般に使われています。 精製
ここでご紹介するGFX マイクロスピンカラムには、あらか
GFX Micro Plasmid Prep Kitによる精製方法は簡単で、
じめガラス繊維マトリクスが充填されており、これを用い
精製されたプラスミドDNAはスーパーコイル状態を維持
ることでテンプレートDNAを安定に精製でき、実験時間
しています。アガロースゲル電気泳動を行うと、スーパー
の短縮化や、より多くのサンプル処理が可能になります。
コイルのDNAバンドが多く認められます(データ未記載)
。
GFX Micro Plasmid Prep Kitは、大腸菌からプラスミド
収量は培養液1 mlあたり2.5∼5.6 µgプラスミドDNAで、複
DNAを小スケールで短時間に精製できるように設計され
数回のシークエンシング反応に必要なテンプレートDNA
ています。改良アルカリ法(1)により大腸菌からプラスミ
が調製できます。GFX Micro Plasmid Prep Kitを用いて精
ドDNAを抽出した後に、ガラス繊維マトリクスに選択的
製したDNAは常に高純度(A260/A280の比が約1.7)です。
に結合させて精製を行います。カラムから溶出したプラ
また、ATリッチ(pCanine/Tetrahymena)やGCリッチ
スミドDNAは常に高純度(A260/A280比が約1.7)で、エタ
(pLunatic)のインサートを持つプラスミドでも、高収
ノール沈殿の操作なしに直接DNAオートシークエンス解
率・高純度な精製が可能です。
析に使用できます。
近年、DNAのシークエンス解析では、サイクルシーク
表2. GFX Micro Plasmid Prep Kitを用いて精製したプラスミドDNAの精製率
エンシング法に用いる酵素や、検出に用いる蛍光色素が
と収量 *
改良されています
(2)
。DYEnamic ET Terminator Cycle
プラスミドDNA
A260/A280
濃度(µg/ml)
収量(µg)
Sequencing Kitには、従来のThermo Sequenaseよりも高い
pGEM
1.63
24.6
2.46
連続移動性と高塩濃度下での反応性を有すThermo
1.74
25.7
2.57
Sequenase II DNAポリメラーゼが用いられており、Energy
pCanine
1.68
55.9
5.59
transfer技術を応用した蛍光ダイターミネーターとの組み
1.73
34.6
3.46
合わせにより、これまで以上の高いシグナル強度を得る
pTetrahymena
1.7
41.6
4.16
ことができます。これらの改良によって、あらゆる種類
1.7
46.6
4.66
のテンプレートDNAのオートシークエンス解析に対応し
pLunatic
1.71
54.2
5.42
ています。ここでは、数種類のプラスミドDNAをGFX
1.6
32
3.2
Micro Plasmid Prep Kitにより精製し、DYEnamic ET
* 1 ml培地中で増殖させたJM109形質転換株から精製したプラスミドDNAの純
Terminator Cycle Sequencing Kitを用いてシークエンス解析
度と収率。データは独立に行った2回の実験より得ています。
した例をご紹介します。
材料と方法
塩基配列解析
LB培地1 ml中で増殖させたJM109形質転換大腸菌から、
GFX Micro Plasmid Prep Kitを用いてプラスミドDNAを精
DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kitを用いて
解析したDNAの波形データには、2つの大きな特長があり
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ます。1つは、シグナルピークの高さが均一であること、
もう1つはシグナル強度が高いことです。これらの特長か
ら、ベースコールを行うのが簡単になり、結果として、
DNAの塩基配列を長く判読できるようになります。
pGEMプラスミドをコントロールとした場合、明瞭な
ベースコールで750 bp以上の塩基配列が判読できました
(図1)。データでは、塩基間の均一なピーク、より高いシ
グナルが示されています。
DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit には、高
いパフォーマンスを示すThermo Sequenase II DNAポリメ
ラーゼが使われています。この酵素により、ATやGCリッチ
配列を含むテンプレートDNAも判読することができます。
GCコンプレッションが生じやすい場合に使用されるdITP
も確実に取り込みます。pLunaticプラスミドには、GC含
量が約65 %のインサートがありますが、図2に示すように、
650 bpまでの塩基配列を99 %の精度で判読できました。
また、ATリッチのテンプレートでも同様な結果が得ら
れています(データ未記載)
。
B i o t e c h
まとめ
本記事では、GFX Micro Plasmid Prep Kitが、DNAオー
トシークエンス解析のためのテンプレートDNAを精製す
る上で、短時間処理を可能にし、かつ経済的な方法であ
ることを紹介しました。精製されたテンプレートDNAの
純度が高いため、シークエンスデータの精度は常に高く
なります。DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit
を用いて決定したDNA配列はピークの高さが均一で、判
読長が長く非常に正確です。Thermo Sequenase II DNAポ
リメラーゼの高いパフォーマンスにより、あらゆる生物
種で、これまで判読が難しかったゲノムのシークエンス
解析も可能になります。長いAT繰り返し配列と同様に、
GC配列によるコンプレッションも確実に判読可能です。
参考文献
1. Birnboim, H. C. et al., Nucl. Acids Res. 7, 1513-1523
(1979)
2. Reeve, M. A. et al., Nature 376, 796-797 (1995)
図1. GFX Micro Plasmid Prep Kitで精製したpGEMプラスミドのDNA配列
275 ngのpGEMプラスミドをDYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing
KitとM13 Universal プライマーでシークエンシングしました。シークエンシン
グにはABI PRISM377を用いました。
図2. pLunaticプラスミドのGCリッチ領域の配列データ
プラスミドはGFX Micro Plasmid Prep Kitで精製し、350 ngのDNAを
DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit(M13 Reverse Primer)で
シークエンシングしました。シークエンシングにはABI PRISM377を用いました。
ORDERING INFORMATION
製品名
GFX Micro Plasmid Prep Kit
GFX Micro Plasmid Prep Kit
DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit*
DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit*
DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kit*
M13 Reverse Sequence Primer
M13 Universal Sequence Primer
包装
コード番号
100回分
250回分
100回分
1000回分
5000回分
0.044A260 unit
0.044A260 unit
27-9601-01
27-9601-02
US81050
US81060
US81070
27-1532-02
27-1534-02
価格
¥18,000
¥35,000
¥85,000
¥690,000
¥2,900,000
¥17,500
¥17,500
* DYEnamic ET Terminator Cycle Sequencing Kitは、PEバイオシステムズジャパン株式会社製DNAシークエンサーABI model 373, ABI PRISM 377/310専用のシークエンシング
キットです。はじめて使用する場合は、Mobility fileとMatrix fileをインストールする必要があります。詳細はバイオダイレクトライン(TEL:03-5331-9336)まで問合せください。
MicroSpinはLida Manufacturing Corp.の登録商標です。
GeneAmpはRoche Molecular Systems Inc.の登録商標です。
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DYEnamic and Thermo Sequenase are trademarks of Amersham Pharmacia Biotech Limited or its subsidiaries.
ABI PRISM is a trademark of The Perkin-Elmer Corporation.
Amersham is a trademark of Nycomed Amersham plc.
NOTICE TO PURCHASER ; LIMITED LICENSE
These kits are sold pursuant to Authorization from PE Applied Biosystems under one or more of the following US Patents : 4,849,513; 5,015,733; 5,118,800; 5,118,802; 5,151,507; 5,171,534; 5,332,666; 5,242,796; 5,306,618; 5,366,860;
4,855,225 and corresponding foreign patents and patent applications. Further information on purchasing licenses to perform DNA sequence and fragment analysis may be obtained by contacting the Director of Licensing at PE Applied
Biosystems, 850 Lincoln Centre Drive, Foster City, California 94404 AMERSHAM IS LICENSED AS A VENDER FOR AUTHORIZED SEQUENCING AND FRAGMENT ANALYSIS INSTRUMENTS.
NOTICE TO PURCHASE ABOUT LIMITED LICENSE
The purchase of these kit (reagent)s include a limited non-exclusive sublicense under certain patents* to use the kit (reagent) to perform one or more patented DNA sequencing methods in those patents solely for use with Thermo Sequenase
DNA polymerase purchased from Amersham for research activities. No other license is granted expressly, impliedly or by estoppel. For information concerning availability of additional licenses to practice the patented methodologies,
contact Amersham Life Science, Inc., Director, Business Development, 2636 S.Clearbrook Dr., Arlington Heights, IL 60005.
*US Patent number 4,962,020; 5,173,411; 5,409,811; 5,498,523. Patent Pending.
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B i o t e c h
Fluorescent gel imaging with Typhoon 8600
─Typhoon 8600によるゲルの蛍光検出と画像解析─
P.McNamara, W.Lew, and L.Han
Amarsham Pharmacia Biotech, Sunnyvale, CA, USA
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M
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G
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N
G
バリアブルイメージアナライザーTyphoon 8600は、ゲル
およびメンブラン等あらゆるタイプのサンプルを検出す
るための革新的な設計により、高感度な蛍光検出、スト
レージフォスファによるRI検出、そして化学発光検出が
可能です。Vistra Greenを用いて、ポリアクリルアミドゲ
ルを染色した場合は、1バンド(1 kb)あたり10 pgのDNAが
検出できます。タンパク質の検出では、SYPRO Orange
またはRedによる染色において、BSAで1バンドあたり2 ng
の検出が可能です。本報では、Typhoon 8600の特徴であ
る多重蛍光検出の有用性について、DNAフラグメント解
析およびゲルシフトアッセイ、また発現解析例として蛍
光検出によるディファレンシャルディスプレイ解析をご
紹介します。
一般的なDNAゲル染色
エチジウムブロマイドやVistra GreenによるDNAのゲル
染色を、Typhoon 8600を用いて評価しました。DNA分子
量ラダーマーカーを連続等倍希釈し、アガロースおよび
ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離後、ゲルを
それぞれの色素で染色しました。Typhoon 8600で検出し
た結果、エチジウムブロマイドで染色したアガロースゲル
上での検出限界は、DNA 1バンドあたり60 pgでした
(表1)
。
Vistra Greenでは、ポリアクリルアミドゲルにおいて1バン
ドあたり約10 pgであり、より高感度な検出ができました。
表1. 1 %アガロースおよび10 %アクリルアミドゲルを用い1 kbの DNAバンド
を分離した際のTyphoon 8600による検出限界
Typhoonによる検出限界※
(1 kbバンド)
はじめに
分子生物学のあらゆる解析に広く用いられている蛍光
検出は、ゲルイメージ解析、核酸の定量分析、マイクロ
スコピーおよび発現解析などに用いることができます。
高感度な蛍光染色は核酸およびタンパク質の検出に使用
でき、他のアプリケーションでは、FITCやCy 5などの蛍光タ
グを用いて、抗体、ストレプトアビジン、核酸、タンパ
ク質を直接標識することで特異的に目的分子の検出を行
うことができます。
複合混合物内の目的分子を検出する場合、複数の蛍光
色素で標識したプライマーを使用すると、それぞれの蛍
光色素の励起波長の違いにより、複数の異なる目的分子
を区別することができます。このような多重蛍光解析を
行う場合、複数の蛍光シグナルを検出できる高感度な検
出システムが必要になります。Typhoonでは、それぞれの
蛍光色素の効率的な励起および蛍光の集光によって、より
定量的な信頼性の高い解析データを得ることができます。
Typhoon 8600は多方面に活用可能なバリアブルイメー
ジアナライザーで、ゲルおよびメンブラン等の蛍光検出、
ストレージフォスファおよび化学発光検出が可能です。
Green(532 nm)とRed(633 nm)の2つのレーザーと7枚
の蛍光フィルター(最大17枚)、2つのPMT(フォトマル
チチューブ)を選択的に使用することで、4種類の蛍光シ
グナルを高感度に検出することができます。また、焦点
深度を選択することにより、アガロースゲルやポリアク
リルアミドゲル(ガラスプレートにはさまれたサンドイ
ッチ状態でも検出可能)、メンブラン、マイクロタイター
プレートなどさまざまな形状のサンプルからイメージを
得ることができます。
ここではTyphoon 8600を用いた蛍光検出のアプリケー
ションをご紹介します。
DNAゲル染色
ポリアクリルアミドゲル(pg)
60
-
エチジウムブロマイド-post stain
50
30
Vistra Green -post stain
25
10
※
検出限界とは、ピークバンドシグナル(バックグラウンド補正後)がノイズ
より3.0以上上回る境界点を示します。すべての算出はImageQuantを用いて
行いました。
タンパク質のゲル染色
ウシ血清アルブミン(BSA)をTris-Glycineポリアクリル
アミドゲルで分離し、3種類の蛍光色素SYPRO Orange、
SYPRO RedおよびSYPRO Rubyで染色しました。SYPRO Red
の結果を図1および2に示しました。また、3種類のゲル蛍
光染色の検出限界を、表2に示しました。
表2. 3種類のSYPROゲル染色の検出限界
SYPROゲル染色
Orange
検出限界※(1バンドあたりのBSA量:ng)
2
Red
2
Ruby
4
※
検出限界とは、ピークバンドシグナル(バックグラウンド補正済み)がノイ
ズより3.0上回る境界点を示します。すべての算出はImageQuantを用いて行
いました。
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10
アガロースゲル(pg)
エチジウムブロマイド-cast with gel
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1630 ng
408 ng
816 ng
204 ng
P h a r m a c i a
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102 ng
25.6 ng
6.40 ng
1.60 ng
51.2 ng
12.8 ng
3.20 ng
A
1
2
3
4
5
図 1. Tris-Glycineポリアクリルアミドゲルにおけるウシ血清アルブミン(BSA)
のSYPRO Redによる検出結果
fluorescence (× 106)
4.0
R2 = 0.9982
2.0
1.0
0.5
0
0
500
1000
1500
[BSA] (ng/band)
B
図 2. 図 1から得られたBSAバンドの蛍光強度
ImageQuantを用いたバックグラウンド補正後、ボリューム解析を行い蛍光強
度をBSAそれぞれのバンドのボリューム値としてオブジェクトの平均を求めま
した。これらの値をMicrosoft® Excelに転送してブロット図を作成しました。
データにはきれいな直線性があり、R2値は0.99以上でした。
1400
500
1200
ROX
多重蛍光ゲル染色のアプリケーション
DNAフラグメント解析では、複数フラグメントのサイ
ズや量に基づいた質量同定が必要になります。同一ゲル
上で、フラグメントの異なるタイプを明確にする複数の
蛍光ラベルを用いることで、実験的正確性および効率を
改善することができます。例えば、未知フラグメントの
サイズ解析を行う場合、同じゲルにスタンダードを泳動
し、そのバンドの泳動位置から未知フラグメントのサイ
ズを推定することができます。
最新のDNAベースの解析では、少量のサンプルから1つ
またはより多くの目的 DNAを PCRにより特異的に増幅し
ます。PCRプライマーは目的領域により異なる蛍光色素
を使用することができるため、これらの解析には多重蛍
光染色を用いた実験系がより有効な方法といえます。
1000
FAM
800
fluorescence
fluorescence
400
300
600
400
200
0
5
10
15
20
25
distance (mm)
C
500
ROX
fluorescence
400
DNAフラグメント解析
Typhoon 8600の多重蛍光検出能を調べるために、複数の
蛍光色素で標識したDNAフラグメントを、同じゲルの同一
レーン内で分離しました。サイズマーカー混合物および
PCR産物を用いた結果を図3に示しました。Typhoon 8600
本体およびFluorSepソフトウェアを用いた際の、異なる蛍
光色素のスペクトル分離能を図3Bと3Cに示しました。
FluorSepソフトウェアは、4種類の蛍光色素を用いた場合
起こる可能性のある蛍光の重複を補正し、定量性のある
イメージを得ることができる専用ソフトウェアです。ま
た、図4は、3つの異なる蛍光物質を用いたバクテリアの
人工染色体(BAC)およびコスミドクローンから得られた
ゲノムDNAの解析を示しています。大きなサイズのDNAフ
ラグメントのため、アガロースゲルを用いて電気泳動を行
いました。ゲルはダイレクトにスキャニングしました。
Cy5
300
200
0
5
10
15
20
25
distance (mm)
図3.
(A)4-colour蛍光DNAゲルの検出結果です。Fluorescein Sizer 50-500(緑)
、
Cy3標 識 PCR産 物 ( 黄 )、 ROX GS500( 青 , Perkin Elmer) および
ALFexpress Cy5 Sizer 50-500(赤)を10%ポリアクリルアミドゲルでバンド
あたり2から5 fmolで分離しました。532 nmの励起には、526SP、580BP30
および610BP30の蛍光フィルターを用いました。633 nmの励起には、
670BP30の蛍光フィルターを用いました。FluorSepソフトウェアは、異なる4
つの蛍光色素間の蛍光重複を最小限に抑えることができることができます。
レーン1(B)およびレーン5(C)では、近接した2組のバンド(矢印)間における
分離を示します。蛍光(縦軸)はImageQuantを用いて算出した蛍光強度
(relative fluorescence units:rfu)を示します。距離はそれぞれ2つの蛍光色
素の距離を示します。
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B i o t e c h
遺伝子発現解析
ディファレンシャルディスプレイ解析(DDA)では、
複数のサンプルから得られる複合的発現パターンの比較
を行います。検出法は、蛍光色素標識のプライマーを用
いてDNAを標識する方法と、変性ポリアクリルアミドゲ
ルで分離後染色する方法が選択できます。また、ゲルか
らの目的バンドの切り出しも簡単に行うことができます。
この解析法は、比較的簡単で高感度であることから、遺
伝子発現解析のツールとして広く利用されています。
Cy5をベースとしたDDAを図6に示しました。2つの異
なる組織間で特異的な発現を示しているバンドについて、
切り出し後さらに解析のためPCRで増幅しました。
1
2 3 4 5 6
図6. Cy5を用いたディファレンシャルディスプレイ解析
サンプルは肺および肝臓組織からのmRNAを用いま
した。6つのレーンは肺および肝臓の発現様式から3
つのペアに分類されます(肺はそれぞれのペアで偶数
レーン)
。displayPROFILEキット(Display System
Biotech社)のCy5用を用いました。変性ポリアクリ
ルアミドのサンドイッチゲルを励起光633 nm、
670BP30蛍光フィルターを用いて直接検出しました。
矢印はシークエンシング解析のために切り出されたバ
ンドを示しています。
図4. 3-colour標識のBACおよびコスミドゲノムクローンサイジング
FAM(青)
、HEX(緑)およびROX(赤)を用いました。サンプルを1%アガ
ロースゲルで分解後、532 nmの励起光および526SP、580BP30および
610BP30蛍光フィルターを用いました。
(サンプル提供:Courtesy of Laurie Gordon, Lawrence Livermore National
Laboratory, Livermore, CA, USA.)
多重蛍光DNA-タンパク質 ゲルシフトアッセイ
蛍光ゲルシフトアッセイは、RIを用いた検出よりも迅
速で、しかも高感度な手法です。多重蛍光ゲルシフトの
実験結果を図5に示しました。Mntレセプタータンパク質
は、異なる蛍光で末端ラベルした様々なDNAオリゴヌク
レオチドに結合しました。Typhoon 8600の多重蛍光検出
機能を用いることで、同じ結合反応によって生産される
複数のDNA-タンパク質複合体との区別を明確にすること
ができます。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
まとめ
図5. 多重蛍光を用いたゲルシフトの実験結果
532 nmで励起し、526SP、555BP30、580BP30および610BP30蛍光フィル
ターを用いました。はじめの4レーン(左から右)は、ラベルの異なる0.4
pmol の180 bp DNAフラグメントです:FAM(green)
、HEX(red)
、
TAMRA(blue)
、ROX(yellow)
。レーン5から8は、DNA結合体がシフトバ
ンドと同様に移動するMntタンパク質と混合したDNAフラグメントを同ラベル
で4重標識したものです。レーン9から12は結合した標識フラグメントの混合
物です:レーン9(FAM+HEX)
、レーン10(FAM+TAMRA)レーン、11
(FAM+ROX)
、レーン12(FAM+HEX+TAMRA+ROX)
。
(サンプル提供:Chris Man, Washington University School of Medicine,
Department of Genetics, St. Louis, MO, USA.)
蛍光は、安全で高感度、定量性に優れており、様々な
標識法に適応できます。同じサンプル内における複数の蛍
光色素の検出および解析によって、実験における効率や
正確性を向上します。有用性が増大している蛍光ベースの
キットやTyphoon 8600のような高感度検出装置は、RIか
ら蛍光プロトコールへの移行を容易にします。
Typhoon 8600
ORDERING INFORMATION
製品名
コード番号
Typhoon 8600
問合せ
SYPRO Orange、Red、RubyはMolecular Probes社の商標製品です。
Microsoft Excelは米国マイクロソフト社の登録商標です。
Life Science News (Japan. Ed.) 2, 2000 Amersham Pharmacia Biotech
12
価格
¥15,000,000
A m e r s h a m
P h a r m a c i a
B i o t e c h
High-throughput, large format 2-D electrophoresis
with pre-cast gels and innovative hinged gel cassettes
─プレキャストゲルと新しいゲルカセットを用いるハイスループット、
ラージフォーマット二次元電気泳動─
M. McDowell, T. Berkelman, A. Montecino, T. Landers, I. Olsson and B. Bjellqvist
Amersham Pharmacia Biotech, San Francisco, CA, USA and Uppsala, Sweden
プロテオミクス研究に必須である高分解能二次元電気泳動を
容易にするために、二次元目用ラージフォーマット( 2 5 . 5
cm×20 cm)プレキャストゲルと、新しくデザインされたゲ
ルカセットが開発されました。プレキャストゲルはプラスチ
ックでサポートされており、ゲルカセットはEttan DALT II 電
気泳動システムの泳動ユニットに簡単にセットすることが
できます。Ettan DALT II 電気泳動システムは、一度に12枚
のゲルを泳動できるセパレーションユニットとプログラム
操作可能なパワーサプライ/コントロールユニットから構成さ
れています。また、24 cmまでのIPGストリップを使用でき
るため、大量のタンパク質を添加でき、高い分解能が求めら
れるプロテオミクス研究に最適のシステムです。
P
R
O
T
E
O
M
I
C
S
図2. Ettan DALT II電気泳動システム
泳動ユニットとパワーサプライ/コントロールユニット
はじめに
二次元電気泳動は、タンパク質やポリペプチドの解析
において、最も強力な手法であり、プロテオミクス研究
では中心的なツールとして多くの研究者に利用されてい
ます。プロテオミクス研究の1つの目標は、目的タンパク
質を迅速に同定することです。この目的が達成できるか
どうかは、二次元電気泳動において、数多くのスポット
を分離するとともに、同定に必要なタンパク質を十分量
回収できるかどうかによります。タンパク質の最大添加
量が大きく、しかも、高分解能と再現性をかねそなえる
システムが、目的タンパク質を迅速に同定するために不
可欠です。
より高い分解能と添加許容量は、一次元目の等電点電
気泳動において、狭いpHレンジの固定化pH勾配
(Immobilized pH Gradient: IPG)を持つストリップを使用
し、二次元目SDS電気泳動で、より大きなゲルを組み合わ
せることで達成できます。また、安定したバッファーシ
ステム、プレキャストゲル、電気泳動中の効率的な温度
制御により再現性を向上させることができます。
これまでのシステムでは18 cmのIPGストリップが最長で
あり、サンプル添加許容量や分離能には制限がありました。
また、ラージゲル用のガラスプレートの組み立てや操作は
煩雑であり、解析を遅らせる原因になっていました。
ここでご紹介するシステムは、操作性の改善だけでな
く高分解能の解析を可能にします。さらに弊社スポット
ピッカーの対応や、MALDI TOF質量分析装置との連携に
より、多検体、統計処理可能なプロテオーム解析システ
ムの構築が可能になります。
新開発ゲルカセットによるハイスループット化
ラージフォーマット & ハイスループット二次元電気泳動
システム開発の一部として、サポートフィルムつきのプレ
キャストゲル(25.5×20 cm)を使用するために新しいゲ
ルカセットを開発しました(図1)。このゲルカセットは、
一対のガラスプレートとプラスチックプレートがシリコン
ゴムによって蝶番(ちょうつがい)式に一端で閉じられて
おり、
プレートの両サイドはビニルスペーサー
(厚さ1.0 mm)
で固定して、周囲のバッファーチャンバーに液漏れや漏電
を防ぐためにしっかりとシールされています。このカセッ
トには新しいラージフォーマットプレキャストゲルを使用
します。プラスチックシートでサポートされた12.5 %の均
一ゲルは、長さ24 cmまでのIPGストリップゲルからの二
次元目電気泳動を行うことができ、自動スポット回収装
置にも対応しています。プレキャストゲルの泳動には、
高い再現性を得るために、専用のバッファーキット(少
なくとも6か月間安定)を使用します。このゲルカセット
の使用により、従来システムのようなセッティングの手
間が省け、操作性と多サンプルの処理能力が向上します。
ラージフォーマットセパレーションのための
システムの組み合わせ
新開発ラージフォーマットゲルカセットは、最高12枚
まで泳動ユニットに設置でき、プログラム操作可能なパ
ワーサプライ/コントロールユニット(200 W, 600 V, 1 A)
図1. Ettan DALT II電気泳動システムで使用する蝶番式ゲルカセット
(A)カセットを開き、
(B)カセットにゲルを置き、
(C)カセットを閉める
だけで、プレキャストゲルを簡単にセットすることができます。
A
B
C
Life Science News (Japan. Ed.) 2, 2000 Amersham Pharmacia Biotech
13
A m e r s h a m
P h a r m a c i a
から構成されるEttan DALT II電気泳動システム(図2)と
共に使用します。自作ゲル用のゲルカセットと14枚まで
のゲルを作成できるゲルキャスター(グラジエントメー
カー付)も用意されています。
Ettan DALT IIセパレーションユニットを用いると、12
枚までの25.5×20 cmゲルカセットを同じ条件で電気泳動
することができます。ゲルカセットをゴム製ガスケット
でシールした泳動ユニット内に挿入します。泳動ユニッ
トに加えるバッファー量はわずか10リットルで、ポンプ
によって循環されます。また、タンクの底にあるペルチ
エ冷却ユニットにより、15∼50 ℃の範囲で温度を正確に
制御することができます。こうした特長によって、6枚の
ゲルを泳動した場合には6時間、12枚のゲルなら10∼12時
間で分離することができます。
高分解能ラージフォーマット二次元電気泳動分離を行
うためのかぎとなるのは、24 cm一次元目等電点電気泳動
に使用するIPGストリップにあります。新しく開発された
10種類のpH範囲を持つImmobiline DryStrip 24 cm IPGゲル
(narrowレンジ: pH 3.5-4.5, 4.0-5.0, 4.5-5.5, 5.0-6.0, 5.5-6.7
とmediumレンジ: pH 3-7, 4-7, 6-9, 3-10, 3-10 NL)が利用
B i o t e c h
できます。これらのストリップは、高分解能と高いタンパ
ク質添加許容量をもたらし、24 cm IPGphorストリップホ
ルダーを設置したIPGphor等電点電気泳動システムにより
一次元目の泳動を行います。Multiphor II電気泳動システ
ムを用いても同様に泳動することができます。24 cm IPG
ストリップとEttan DALT II電気泳動システムを用いた二次
元電気泳動の結果を図3に示しました。
IPGphor Cup Loading Strip Holder
最 長 24 cmま で の
movable
sample cup
Immobiline DryStrip
ゲルを収納でき、可
IPG strip
holder
動式電極を特徴と
し た IPGphor Cup
movable
electrode
cathode
Loading Strip Holder
contact area
(図4)は、IPGphor
IPG strip
等電点電気泳動シス
テム用に最適化され
anode
ています。ゲル表面
contact area
を上にして電気泳動
図4. IPGphor Cup Loading Strip Holder
する新しいストリッ
両電極はIPGストリップの長さに合せて調整す
プホルダーシステム
ることができます。
では、最大100 µlま
でのサンプルを添加することができ、塩基性IPGゲル(pH
6-9, 6-11)でのタンパク質の分離に有効です(図4)
。
まとめ
図3. 24 cm IPGストリップとEttan DALT II電気泳動システムを用いたヒトメ
ラノーマ細胞株抽出液のラージフォーマット二次元電気泳動
約40 µgのヒトメラノーマ細胞株抽出液を用い、Immobiline DryStrip pH4-7,
24 cm をIPGphorストリップホルダーで再膨潤後、電気泳動を行いました。再
膨潤液には8 Mウレア、2 % CHAPS, 0.5 % Pharmalyte pH5-8, 60 mM DTT
を用いました。一次元目の等電点電気泳動はIPGphor を用いて行いました。
泳動条件は、500 Vで1時間、1000 Vで1時間、4000Vで1時間、8000Vで2.5
時間です。二次元目の泳動は、Ettan DALT II電気泳動システムのEttan DALT
12.5 %均一プレキャストゲルとゲルカセットを用いて行いました。泳動条件
は、5 Wで30分、30 Wで6時間です。
(サンプル提供:Dr. Diana Smith, San
Francisco State University)
一次元目の等電点電気泳動で24 cmのIPGストリップを
使用することによって、高い分解能とタンパク質添加許
容量を得ることができます。また、新たに開発されたゲ
ルカセットとラージフォーマット(25.2×20 cm)のプレ
キャストゲルは、二次元目の電気泳動の操作を簡便にし、
多サンプルの処理を可能にします。このように、Ettan
DALT II電気泳動システムはプロテオーム解析に必須な生
体サンプルの高解像度二次元電気泳動を提供する唯一の
システムとして、プロテオミクス研究をサポートします。
参考文献
1. Anderson, N.L. et al., Anal. Biochem. 85, 341-354
(1978)
ORDERING INFORMATION
製品名
包装
コード番号
Ettan DALT II 電気泳動システム
一式
80-6466-46
Ettan DALT II Gel Support Cassette(ゲルサイズ25.5×20 cm, 1 mm厚)
1組
80-6466-65
Ettan DALT II Gel , 12.5
6枚
17-6002-36
Ettan DALT II Buffer Kit
ゲル12枚分
17-6002-50
Immobiline DryStrip(24 cm)*
12 strips
(pH 3.5-4.5, pH 4.0-5.0, pH 4.5-5.5, pH 5.0-6.0, pH 5.5-6.7, pH 3-7, pH 4-7, pH 6-9, pH 3-10, pH 3-10 NL)
IPG Buffer *
1×1 ml
(pH 3.5-5.0, pH 4.5-5.5, pH 5.0-6.0, pH 5.5-6.7, pH 6-11)
Immobiline DryStip 24 cmストリップホルダー
6個
80-6469-88
1個
80-6470-07
Immobiline DryStip Reswelling Tray, 18-24 cm
一式
80-6465-32
IPGphor Cup Loading Strip Holder, complete
3個
80-6459-43
Sample Cup CL Strip Holder
50個
80-6459-81
IPGphor等電点電気泳動システム
一式
80-6412-02
*詳細はバイオダオイレクトライン(03-5331-9336)までお問い合わせください。
Life Science News (Japan. Ed.) 2, 2000 Amersham Pharmacia Biotech
14
価格
問合せ
問合せ
¥39,000
¥9,800
問合せ
各¥4,500
¥280,000
¥55,000
問合せ
¥218,000
¥11,000
¥1,350,000
A m e r s h a m
P h a r m a c i a
B i o t e c h
ÄKTAFPLC : a response to multifunctional protein
purification needs
―多様なニーズに対応したタンパク質精製クロマトグラフィーシステム:ÄKTAFPLC―
M. A. Blight
Institut de Génétique et Microbiologie, C.N.R.S.U.M.R. 8621, Bâtiment, Université Paris-Sud, 91405 Orsay cedex, France
表1. IGM で購入したÄKTAFPLCのシステム構成
はじめに
ブロック型のユニット
Pump 920:
ÄKTAFPLCは、タンパク質精製の操作システムとして世
界中で使用されてきたFPLCシステムの長所を残し、最新
技術を採用してコンピュータによる制御を可能にした新
しい世代のタンパク質精製システムです。多種にわたる
カラムのクロマトグラフィー操作、精製手法やクロマト
グラムのデータ処理、データの保存などもより確実かつ
簡便に処理することができます。
本報では、ある研究所でÄKTAFPLCシステムを購入する
に至った経緯と多様な利用方法、ÄKTAFPLCの使用により
成果をあげた研究プロジェクトについて簡単に紹介します。
高精度ツインシリンダーポンプユニットとコントロー
ラー; グラジエント形成装置
Monitor UPC-900:
UV、pH、電気伝導度、温度のオンライン検出器
追加したモジュール
Valve IV-908:(2個)
8方モーターバルブ、Pump 920のバッファー吸入ポー
トとして使用
Valve PV-908:(2個)
8方モーターバルブ、カラム接続用ポートとして使用
Mixer M-925:
バッファー混合用
Injection Port INV-907:
7方モーターバルブ、サンプル注入用
Frac900/901Fraction Collector:FV903バルブにより必要な部分だけを分画
検出器:
UV(280+254 nm)
、pH、電気伝導度、温度
表2. 常時設置しているカラム
Superdex 200 HR10/30
Mono Q HR 5/5
Mono S HR 5/5
RESOURCE ETH
RESOURCE ISO
RESOURCE PHE
XK16/20 Column
歴史的背景
ゲルろ過カラム
陰イオン交換カラム
陽イオン交換カラム
疎水性相互作用(weak)カラム
疎水性相互作用(medium)カラム
疎水性相互作用(strong)カラム
任意のゲルを充填して使用可能
Institut de Génétique et Microbiologie (IGM)は、他の
研究機関同様、研究所で使用する共同利用大型機器の購
入に際して、研究所内の研究者の要望を満たすために慎
重に機器の選定を行っています。現在、IGMのほとんど
の研究室では、研究中のプロジェクトで使用するための
ÄKTAFPLCは、ポンプAとBにそれぞれ最大8種類のバッ
タンパク質精製用設備を必要としています。精製の目的は、
ファーを接続でき
(オプション)
、カラム接続用に8方モー
抗血清の作製、酵素活性のin vitro解析、タンパク質構造
ターバルブを標準装備しています。検出にはU
V 吸収
解析などさまざまです。
(280または254
nm)や、電気伝導度、温度、pHを装備し
ここ数年間、IGMでは、タンパク質の精製を行う時に
オンラインでモニターすることができます。また、シス
それぞれの研究室で、モジュール型のユニットを追加し
テムのコントロールとデータ収集は、UNICORN ソフト
ていました。はじめは単純な自然落下カラムやバッチ法
ウェアで行います。このようなシステムは、精製条件の
で精製していましたが、ペリスタルティックポンプやUV
スカウティングに便利なだけでなく、カラムやバッファー
モニターやチャートレコーダーなどを追加するようにな
を取り付けたまま複数の利用者が共有使用できる使い勝
りました。
手のよいシステム構成といえます。
IGMではタンパク質精製の実験が増え続けており、一
般の研究室にある低圧型モジュールシステムではもはや
IGMで行っている主要な精製プロジェクトと操作手法、
タンパク質を効率的に再現性よく精製することはできな
その結果を表3と図1∼4にまとめました。
くなっていました。よって、コンパクトで専用設計、多
機能、かつ共同利用に適する精製ステーションが必要で
表3. IGMにおけるタンパク質精製プロジェクトの手法と分類
あるとIGMは判断し、ÄKTAFPLCを研究所内のタンパク質
タンパク質精製プロジェクト 出発材料
精製手法(メディア)
精製における中間精製(Intermediate purification)や最終
培養上清
バクテリア分泌
HIC(Octyl Sepharose)
タンパク質(図1)
IEX(Mono Q), IEX(Mono S)
精製(Polishing)を行うための共同利用システムとして購
耐熱酵素(図2)
耐熱バクテリア
AC( Heparin),
入することを決定しました。
細胞抽出液
GFC(Superdex 200)
システム構成
ÄKTAFPLCが他のシステムより優れている点の1つにモ
ジュール構成があげられます。利用者は、インジェクショ
ンバルブ、サンプルポンプ、バッファーとカラム用バルブ、
検出器、ミキサー、エアーセンサーなどのモジュールを
使いやすいように本体周辺に配置することができます。
また、高度なオートメーション化を行うためにコンポー
ネントの追加やシステム購入における予算の制限にも柔
軟に対応できます。
IGMでは表1に示すシステムを購入し、使用頻度の高い
カラムを常時接続しています(表2)
。
非変性"His-tag"組換え
タンパク質(図3)
可溶性バクテリア
封入体の調製
AC
(Chelating Sepharose, Ni2+)
変性"His-tag"
組換えタンパク質
変性バクテリア
細胞抽出液
AC
(Chelating Sepharose, Ni2+)
組換えGST
融合タンパク質
可溶性バクテリア
細胞抽出液
AC
(Glutathione Sepharose)
膜タンパク質
界面活性剤で可溶化したバク IEX(Mono Q)
テリアエンベロープタンパク質
細胞表面タンパク質
界面活性剤で可溶化したバク AC(CNBr-activated Sepharose
テリア外膜タンパク質
+ Fibronectin)
、IEX(Mono Q)
抗体(図4)
ウサギ血清(IgG)またはニワ IEX(Mono Q)
トリ卵黄の硫安沈殿分画
*いくつかの精製例では、手法を連続的に組み合わせて精製しています。
AC: アフィニティークロマトグラフィー、HIC: 疎水性相互作用クロマトグラフィー、
IEX: イオン交換クロマトグラフィー、GFC: ゲルろ過クロマトグラフィー
Life Science News (Japan. Ed.) 2, 2000 Amersham Pharmacia Biotech
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P
R
O
T
E
I
N
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R
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F
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C
A
T
I
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N
A
250
200
B i o t e c h
B
C
%B
mAU
100
Prote
ase
mAU
P h a r m a c i a
Lipas
e
Toxin
Com
plexe
s
A m e r s h a m
80
mS/cm
Protease
2000
80.0
80
protease
activity (ISO)
1500
60
150
mAU
100
protease
activity (ETH)
60.0
60
1000
ETH
40
100
20
50
40.0
40
ISO
PHE
500
20
20.0
0
0
0
0
0.0
10.0
20.0
30.0
0.0
40.0 ml
5.0
10.0
15.0
0.0
ml
5.0
10.0
15.0
20.0
図1.
(A)Superdex 200 HR 10/30を用いたゲルろ過クロマトグラフィーによるP. luminescens培養上清の分画。バッファーA:50 mM Tris-HCl, 155 mM NaCl(pH 8.0)
。
(B)
(A)のプロテアーゼ活性画分のHICスカウティング。棒グラフで示したプロテアーゼ活性からRESOURCE ETHかRESOURCE ISOのどちらが適当かを判断
、バッファーB:50 mM Tris-HCl(pH 8.0)
。吸光度: RESOURCE ETH(青);
します。バッファーA:50 mM Tris-HCl, 155 mM NaCl, 1 M (NH4)2SO4(pH 8.0)
RESOURCE ISO(茶); RESOURCE PHE(紫); プロテアーゼ活性: RESOURCE ETH(緑); RESOURCE ISO(黄); 電気伝導度(赤); バッファーB %(橙)
(C)Mono Q HR 5/5を用いた(B)のプロテアーゼ活性画分の最終精製(polishing)
。バッファーA:50 mM Tris-HCl(pH 8.0)
、バッファーB:50 mM Tris-HCl, 1 M
NaCl(pH 8.0)
。吸光度(青); 電気伝導度(赤); バッファーB %(橙)
mAU
Lo
120
rin se
ad Frac epa ucro
H S
14
mAU
2
%B
1.0
T. maritima Toposiomerase I
100
1500
100
0.8
80
Flowthrough
80
1000
0.6
60
HlyB ABC ATPase
60
4
0.4
40
40
500
0.2
5
20
1
3
6
0
20
Contaminating nuclease
9
10
78
0.0
0.0
10.0
20.0
30.0
0
mS/cm
1500
IgY
50
100
150
200 ml
図3. ATP結合Cassette(ABC)のヒスチジンタグ融合ATPase ドメインのワ
ンステップ精製
カラム: Chelating Sepharose Fast Flow(ニッケル固定化済み)をXK16/20
に充填。クロマトグラム内には溶出フラクション中のATPaseドメインの純度
を示しています。バッファーA: 50 mM リン酸ナトリウム, 10 mM イミダゾー
ル, 1 mM EDTA、 バッファーB: 50 mM リン酸ナトリウム, 1 M イミダゾール, 1
mM EDTA、吸光度(青): 試料添加(赤):バッファーB %(橙)
図2. Superdex 200 HR 10/30カラムによるT. maratima Topoisomeraseの精製
ヘパリンカラムやショ糖グラジエントで部分精製した画分(クロマトグラム内
の電気泳動の結果)に残存するヌクレアーゼ活性をSuperdex 200 HR 10/30
ゲルろ過クロマトグラフィーによって除去しました。添加したサンプルとピー
ク2(fraction 14)の電気泳動結果をクロマトグラム内に示しています。混在
するヌクレアーゼ活性は、ピーク9に存在します。
mAU
0
0
ml
80.0
まとめ
60.0
1000
IGMでÄKTAFPLCを設置して以来、進行中の精製プロ
ジェクトのほとんどの研究グループはこのシステムを使
用することで優れた成果を収めています。精製は簡単に
短時間で終了し、再現性のある結果が得られました。
40.0
500
20.0
0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0 25.0
ml
図4. Mono QカラムによるIgYの最終精製
IgYを含む卵黄の硫安沈殿画分をバッファー Aに透析してサンプルとしました。
精製したIgYは、ウェスタンブロットで使用する前に混在するリン脂質を取り
除く必要があります。バッファーA: 50 mM Tris-HCl, 120 mM NaCl(pH
8.0)
、バッファーB: 50 mM Tris-HCl, 1 M NaCl(pH 8.0)吸光度(青); 電
気伝導度(赤); バッファーB %(橙)
ORDERING INFORMATION
製品名
包装
コード番号
ÄKTAFPLC
Superdex 200 HR 10/30
Mono Q HR 5/5
Mono S HR 5/5
RESOURCE ETH
RESOURCE ISO
RESOURCE PHE
XK16/20 Column
1.0×30 cm
0.5×5 cm
0.5×5 cm
1 ml
1 ml
1 ml
1.6×20 cm
17-1088-01
17-0546-01
17-0547-01
17-1184-01
17-1185-01
17-1186-01
18-8773-01
価格
¥5,500,000
キャンペーン価格* ¥4,800,000
¥190,000
¥147,000
¥147,000
¥49,800
¥49,800
¥49,800
¥65,000
*キャンペーン価格にはスカウティング用カラムセット(RESOURCE Q、S 1 mlカラム各1本とHICテストキット)を含みます。
Life Science News (Japan. Ed.) 2, 2000 Amersham Pharmacia Biotech
16
ml