労働法セミナー

JCC・JETRO・BURENセミナー
Wet Werk en Zekerheid
労働法の一部を改正する法律
主な改正点とその対策について
弁護士 岡野 謙次
弁護士 Suzan van de Kam
弁護士 Gudrun Fietsma
目次
I.
法改正の背景
II.
2015年1月1日施行予定の主な改正点と対策
無期雇用契約以外の雇用契約に関する規則の改正(4項目)
III. 2015年7月1日施行予定の主な改正点と対策
解雇に関する規則の改正(6項目)
IV. まとめ
V. Q&A
注意:WW(失業給付)の改正については扱いません。
I.法改正の背景
何が問題となっているのか?
● 無期雇用契約とそれ以外の間で格差拡大。
● UWVルートとKantonrechter(簡裁裁判官、以下「簡裁」)ルートとで
は所要時間と難易度に大きな差。
● 使用者において解雇ルートをある程度選択可。中小企業はUWV経由
(補償少ない)、大企業は簡裁経由(補償多い)。同じ理由で解雇され
ても補償額において不公平が生じる。
● UWVの解雇許可を司法手続きで争うことは不可。簡裁の解約判決に
対して控訴、上告することも不可。
● 簡裁の補償計算式(以下「簡裁計算式」)で計算される補償は高額
かつ理解し難い。
II.2015年1月1日施行予定の主な改正点と対策
無期雇用契約以外の雇用契約に関する規則の改正
1.
競業避止義務条項
2.
試用期間
3.
有期雇用契約延長可否に関する通知義務
4.
給与支払継続義務に関する規則
II-1.競業避止義務条項(1)
現在
•
書面によること、労働者により署名されることを要する(7:653 lid 1)。
•
有期・無期とを問わず締結可能。
2015年1月1日以降
•
有期雇用契約において規定された競業避止義務条項は原則無効。
•
但し、当該条項中に記載された使用者側の理由から、重要な企業経営又
は業務上の理由から当該条項が必要であることが明らかな場合はこの限
りでない(7:653 lid 1)。
どのような対策が必要か?
II-1.競業避止義務条項(2)
対策
•
労働者ごとに、その職務に鑑み本当に競業避止義務を課す必要性が
あるかを検討する
•
競業避止条項の文言を職務に応じて個別、具体的且つ詳細に規定す
ること。
•
2015年1月1日までに雇用契約を締結する(効力発生日は2015年
1月1日以降でよい)。
•
2015年1月1日以前に締結された雇用契約が黙示に延長されてしま
った場合には、再度競業避止義務条項について別途契約を締結する
こと。
•
有期雇用契約を延長する際には、競業避止義務条項の内容を都度確
認して新たに締結し直すこと。
注意
•
勧誘禁止条項≒競業避止義務条項
II-2.試用期間 (1)
現在
● 無期雇用契約の場合⇒最長2ヶ月間まで(7:652 lid 3 sub a) 。
● 有期雇用契約の場合⇒
a)2年未満の場合最長1ヶ月まで(7:652 lid 5 sub a)
b)2年以上の場合最長2ヶ月まで(7:652 lid 5 sub b)
2015年1月以降
•
上記規則に加え、雇用契約で期間が6ヶ月又はそれ以下である場合に
は、試用期間不可(7:652 lid 4)。
•
同一使用者のもとで継続する雇用契約において合意された試用期間は
無効(例外あり)(7:652 lid 8)。
II-2.試用期間 (2)
対策
•
2015年1月1日より前に雇用契約を締結すること(⇒現行法適用)。
•
2015年1月1日以降:契約期間を6ヶ月+αとすること(7ヶ月がお勧め)。
•
雇用契約雛形を見直すこと。
注意
•
試用期間中の解雇には、合理的な理由が存する必要はない(7:669)。
II-3.有期雇用契約延長可否に関する通知義務(1)
現在
•
通知義務は特段なし。
2015年1月1日以降
•
遅くとも契約終了1ヶ月前までに書面によって雇用契約延長可否を通
知する義務(7:668 lid 1 sub a)。
•
延長する場合は雇用条件も通知する(7:668 lid 1 sub b)。
•
通知義務を怠った場合、通知義務を怠った期間について補償を支払う
義務を負う(1ヶ月につき月給に等しい額の補償で、怠った期間に比例
する)(7:668 lid 3)。
•
契約終了から3ヶ月が経過すると請求権が時効消滅(7:686a lid 4)。
II-3.有期雇用契約延長可否に関する通知義務(2)
2015年1月1日以降(続き)
•
通知義務が生じない場合(7:668 lid 2):
 ある特定の暦日に契約が終了する旨規定されていない雇用契
約(=プロジェクトベースの雇用契約)の場合。
 及び6ヶ月より短い期間において締結された有期雇用契約が
締結された場合。
•
2015年2月1日以降に終了する有期雇用契約について適用される。
どのような対策が必要か。
II-3.有期雇用契約延長可否に関する通知義務(3)
対策
•
いつ雇用契約が終了するか、いつまでに通知が必要か確認しておくこと。
•
通知は配送日付が残る書留郵便又は電子メール等で行うこと。
•
有期雇用契約の締結時点で契約書中に既に延長しない旨記載しておくこ
と。国会答弁資料によると可能(MvA EK p34)。
注意
•
早すぎる通知は病欠に関するリスクを惹起する恐れ(特に契約時点で既
に通知しておく方法)。
II-3.有期雇用契約延長可否に関する通知義務(4)
例①
終了
終了1ヶ月前
通知
通知
通知
II-3.有期雇用契約延長可否に関する通知義務(5)
例②
黙示に更新
•
黙示に更新
使用者への制裁:補償を一度ならず、二度三度と支払う必要がある
か?(関連する個別の有期雇用契約が終了してから3ヶ月が経過する
とこれを請求する権利が時効消滅する(7:686a lid 4)。
II-4.給与支払継続義務に関する規則の変更
現在
• 労働者は、使用者側の負担とすべき原因により労働できなかった場合
には、給与を受け取る権利を有する(7:628 lid 1)。
• 最初の6ヶ月間は給与を得る権利はないと合意・規定することは可能
(7:628 lid 5)。
• CAO(労働協約)にて逸脱可能(6ヶ月より長い期間)
2015年1月1日より
• 原則(ニュアンスの変更):使用者は、・・・給与を支払う義務を負う
(7:628 lid 1)。
• 最初の6ヶ月間は給与を得る権利はないと合意・規定することは可能
(7:628 lid 5)。
• CAOによる逸脱の制限(6ヶ月より長い期間、但し、問題となる職務に
関係する仕事が突発的な性質を有することを条件とする) (7:628 lid
7)。
III.2015年7月1日施行予定の主な改正点と対策
解雇に関する規則の改正
1. 有期雇用契約締結回数及び期間の制限に関する規則(以下「Chain Rule」)の
改正
2. 年金受給年齢到達時に解約可能とする規則の明文化
3. 教育訓練義務の明文化
4. 解雇に関する規則の改正
a) 解雇理由による解雇ルートの限定
b) 解雇理由毎の注意点
c) Billijke Vergoeding(以下「Fair Compensation」)の導入
5. Transitievergoeding(以下「Transitional Compensation」)の導入
6. クーリングオフ制度の導入(解雇同意関連)
7. その他
III-1.Chain Ruleの改正(1)
現在
•
3-3-3ルール(7:668a lid 1)
改正法
•
3-2-6ルール(7:668a lid 1)
•
移行期間に関する規定
i)
2015年7月1日以降に締結される全ての雇用契約に適用され
る;
ii)
2015年7月1日より前に締結された雇用契約も、2015年7月1
日以降に新たな雇用契約締結される場合、新Chain Ruleによ
る計算の対象となる。
では実際どうやって数えるのか?
III-1.Chain Ruleの改正(2)
事例
2015年7月1日
12ヶ月
12ヶ月
12ヶ月
12ヶ月
12ヶ月
12ヶ月
中断
3ヶ月+α
12ヶ月
12ヶ月
9ヶ月
12ヶ月
12ヶ月
中断
3ヶ月+α
12ヶ月
12ヶ月
12ヶ月
12ヶ月
III-1.Chain Ruleの改正(3)
対策
•
合計3つ、1回目7ヶ月、2回目8ヶ月、3回目8ヶ月とする方法:
メリット
 合計期間が計23ヶ月となり、24ヶ月未満となるため、Transitional
Compensation(後述)の支払い義務が生じない(7:673 lid 1
sub a)。
 1回目の有期雇用契約において試用期間を設けることが可能
(7:652 lid 4)。
•
可能であれば、2015年7月1日より前に終了する有期雇用契約をオ
ファーする。
•
可能であれば、2015年7月1日より前の日付でもって既存の雇用契
約を終了させ、再度有期雇用契約を締結する。
III-2.年金受給年齢到達時に解約可能とする規則の明文化
現在
•
雇用契約の中にて、AOW受給年齢に達したときに契約終了と規定す
ることが可能(これがない場合は?)
2015年7月1日より
•
労働者がAOW受給年齢に達する日付でもって又は当該日付以降に
雇用契約を(解約通知を行うことで)解約することができる旨明文化
(7:669 lid 4)。
対策
•
もはや雇用契約書に当該条項を盛り込む必要性はなく、雛形から削除
すること。
•
これを雛形に残し、実際に行使しないと、もはや権利行使することがで
きなくなるリスクや、Transitional Compensation(後述)の支払い
義務が生じるリスクあり。
III-3.教育訓練義務の明文化
現在
•
特段そのような義務は明記されていない。
2015年7月1日より
•
使用者は労働者を教育訓練に参加させること(7:661a)。
- その職務遂行に必要なもので;且つ
- その職務が消滅した場合又は労働者においてその職務が遂行
できなくなった場合でも、なお雇用契約の延長を可能とする
ようなもの。
対策
•
各従業員につき、教育計画を立案し、幾ら費用がかかるかを計算
し、当該費用が退職金から差し引かれる旨規定し、同意を得てお
くこと。
注意:もし教育訓練に十分な努力を行わなかった場合、解雇が認め
られない可能性あり。
III-4.解雇に関する規則の改正
a)解雇理由による解約ルートの限定(1)
現在
•
案件の難易度に応じてUWVルートか簡裁ルートかのいずれかを選択
することが可能。
•
UWVの解雇予告許可手続きは時間がかかり且つ厳格である一方、
簡裁における雇用解約請求手続きは原則“いつでも”可能(7:685 lid
1)で且つ迅速。
2015年7月1日以降
•
企業経済上の理由に基づく解雇(7:669 lid 3 sub a)及び長期就労
不能の理由に基づく解雇(7:669 lid 3 sub b)は必ず最初にUWV
ルート(7:671 a lid 1)。
⇒UWVが請求棄却して初めて簡裁へ(7:671b lid 1 sub b)
•
その他の理由に基づく解雇の場合は簡裁ルート(7:671b lid 1)。
•
いずれのルートでもTransitional Compensation(7:673 lid 1)
III-4.解雇に関する規則の改正
a)解雇理由による解約ルートの限定(2)
現在
2015年7月1日以降
解雇
解雇
理由
経済的
個人的
経済的
(&長期就労不能)
個人的
機関
UWV
簡易裁判所
UWV
簡易裁判所
補償
ソーシャルプラン
簡易裁判所方程式
Transitional
Compensation
出典:MvT P.46
III-4.解雇に関する規則の改正
a)解雇理由による解約ルートの限定(3)
2015年7月1日以降(続き)
•
(簡裁ルート)これまでは裁判官は解約事由を包括的に審理すること
ができたが、以降は個別且つ厳密に解約事由を審理。
•
合理的根拠が存在しない場合には解雇を認めることができない(MvA
EK,p.87)。
•
全ての理由に配置転換義務が適用される(e-grondを除く)(7:669
lid 1)。
•
UWV/簡裁の決定に対して控訴・上告可能(7:683 lid 1)。
•
新解雇規則は2015年7月1日以降に申請/請求される全ての解雇
予告許可申請/解約請求に適用される。
ではどのような対策が必要か?
III-4.解雇に関する規則の変更
a)解雇理由による解約ルートの限定(4)
対策
•
解約を認める要件は以降より厳格になる。難しい案件(特に事業再編時
の病欠従業員の解雇)は2015年7月1日より前に解雇通知許可申請
/解約請求を行うことがお勧めされる。
•
被雇用者毎に署名済み雇用契約書、明確に規定された職務範囲の記
述、教育訓練計画及びその記録、年次勤務評価面談の記録、従業員と
の交信記録(電子メール、警告書等)、能力改善に関する取り組みの記
録等がファイルに保管されているか確認すること。
III-4.解雇に関する規則の改正
b)解雇理由毎の注意点
企業経済上の理由による解雇(7:669 lid 3 sub a)
•
事業再編時の病欠労働者の解雇は今後困難になる。
長期就労不能を理由とする解雇(7:669 lid 3 sub b)
•
病欠2年後、解雇するとTransitional Compensationの支払い義務。
能力不足・成績不振を理由とする解雇(7:669 lid 3 sub d)
•
警告義務及び改善の機会を提供する義務あり。配置転換義務も。
III-4.解雇に関する規則の改正
c)Fair Compensation
現在
•
簡裁が解雇を認める際に補償の支払いを命じる規定(7:685)
2015年7月1日以降
•
Transitional Compensationとはまた別の補償。
•
著しく責められるべき使用者の作為・無作為があった場合の補償。
•
差別、脅迫、虚偽の事実に基づく非難等の結果により雇用関係が著しく損な
われた場合 (MvT,p34)。
•
確たる計算式は存在せず、補償額は-その性質に応じ-著しく責められるべ
き使用者の行為又は不作為の関係で決せられる(MvT,p32-33)。
•
給与の額又は勤続年数は関係しない(これはTransitional Compensation
で考慮されるから)(MvT)。
III-5.Transitional Compensationの導入(1)
現在
•
簡裁計算式(7:685 lid 8)
2015年7月1日より
•
支払い義務が発生する要件(7:673 lid 1)
少なくとも契約が24ヶ月継続した場合で:且つ
 雇用契約が:
 使用者の解雇予告で解約された(UWVルート)か;
 使用者の請求で解約された(簡裁ルート)か;又は
 使用者の主導で延長されなかったか;又は
 雇用契約が使用者側の著しく責められるべき作為/不作為の結
果:
 労働者の解雇予告で解約されたか;
 労働者の請求で解約されたか(簡裁ルート);又は
 労働者の主導で延長されなかった場合。
•
2015年7月1日以降に終了する全ての契約に適用される。
III-5.Transitional Compensationの導入(2)
2015年7月1日より(続き)
•
勤続年数1/2年につき月額給与(定義注意)の1/6、10年が
経過した後は、勤続年数1年につき月額給与の1/2(7:673 lid
2);
•
最高75,000ユーロ、又はそれを上回る場合は最高で一年分の給
与に等しい額を上限とする(7:673 lid 2)。
•
新計算式においては、以下の要件を満たす場合、教育訓練費用を差
し引くことができる(ontwerpbesluit transitievergoedingen):
(i) 教育訓練が労働市場における職業獲得に役立つこと;及び
(ii)労働者がこれに同意すること。
III-5.Transitional Compensationの導入(3)
2015年7月1日より(続き)
● 2015年7月1日以降に終了する全ての雇用契約に適用される。
● 例外:
 従業員25名未満の使用者:勤続年数の開始日は2013年5
月1日に擬制される(2020年1月1日までの移行措置)
 50歳以上の労働者(2020年まで:勤続期間が10年より
長い場合、50歳に到達した暦年からの勤続年数については、
各勤続年につき月額給与認められる)
 若年労働者(18歳未満、但し週平均の労働時間が12時間未
満であること)
では実際どのくらいの額になるのか?
簡裁計算式との違いは?
III-5.Transitional Compensationの導入(4)
事例①
従業員25名以上の会社、勤続年数10年未満の労働者
生年月日:
01-05-1969 (退職時年齢:46歳)
入社年月日:01-07-2010
退社年月日:01-07-2015 (退職時勤続年数:5年)
グロス月給:EUR 3,000
簡裁計算式
*
勤続年数(A) x グロス月給(B) x 調整係数 1 (C)= 5.5 x
3,000 x 1 = EUR 16,500
Transitional Compensation
2010-2015= 5 x 1/3 x 3,000 = EUR 5,000
* 年齢により勤続年数が加重されます
III-5.Transitional Compensationの導入(5)
事例②
従業員25名以上の会社、勤続10年以上の従業員
生年月日:
01-05-1969 (退職時年齢:46歳)
入社年月日: 01-07-2003
退社年月日: 01-07-2015 (退職時勤続年数:12年)
グロス月給: EUR 3,000
簡裁計算式
(A) X (B) x (C=1)= 12 x 3,000 x 1 =
EUR 36,000
Transitional Compensation
2003-2013: 10 x 1/3 x 3,000 = EUR 10,000
2013-2015: 2 x 1/2 3,000 = EUR 3,000
合計: EUR 13,000
III-5.Transitional Compensationの導入(6)
事例③ 従業員25名未満の会社で財務状況が悪化している会社、
同じく勤続10年以上の従業員
生年月日:
01-05-1969 (退職時年齢:46歳)
入社年月日: 01-07-2003
退社年月日: 01-07-2015 (退職時勤続年数:12年)
グロス月給: EUR 3,000
Transitional Compensation
2013-2015= 2 x 1/3 x 3,000 = EUR 2,000
2020年までは使用者が企業経済上の理由で従業員を解雇しなく
てはならない場合、補償額はより低額となる。この場合、勤続年数
は2013年5月1日から開始しているものと擬制される。
III-5.Transitional Compensationの導入(7)
事例④
従業員が50歳以上である場合
生年月日:
01-06-1969 (退職時年齢:56歳)
入社年月日: 01-07-1994
退社年月日: 01-07-2015 (退職時勤続年数:21年)
グロス月給: EUR 4,000
簡裁計算式
*
(A) X (B) x (C=1)= 27 x 4,000 x 1 = EUR 108,000
Transitional Compensation
1994-2004 (勤続10年まで): 10 x 1/3 x 4,000 = EUR 13,333
2004-2009 (勤続10年から50歳に到達するまで): 5 x 1/2 x 4,000 = EUR
10,000
2009-2015 (50歳到達後): 6 x 1 x 4,000 = EUR 24,000
合計 = EUR 47,333
* 年齢により勤続年数が加重されます
III-5.Transitional Compensationの導入(8)
事例⑤
る場合
④と同じ事例、但し従業員25人未満で、財務状況が悪化してい
生年月日:
01-06-1969 (退職時年齢:56歳)
入社年月日: 01-07-1994
退社年月日: 01-07-2015 (退職時勤続年数:21年)
グロス月給: EUR 4,000
Transitional Compensation
Totaal: 2013-2015: 2 x 1/3 x 4,000 = EUR 2,667 (簡裁計算式でC=1
の場合EUR 108,000!)
III-5.Transitional Compensationの導入(9)
対策
•
教育訓練費用を差し引くことができるようにしておくこと
(7:673 lid 6)。
•
教育訓練費用に関する条項/規定を修正しておくこと。
•
その他、新たな職業への移行に関して使用者が負担した費用も差
し引き可能(教育費用、アウトプレイスメントに要した費用、長
期の解約通知期間等)。
III-6.クーリングオフ制度の導入(解約同意関連)
現在
•
特になし。
2015年7月1日より
•
労働者は2週間以内であれば解約同意を撤回可能。
•
但し、労働者が一回同意を取り消し後、6ヶ月以内に再度解約に同意
するならば、再度撤回をすることは不可。
•
使用者に通知義務あり(7:671 lid 2)。
•
もし怠った場合、3週間(7:671 lid 2)。
•
今後和解手続が複雑化する恐れあり。
対策
•
代替手段:2週間以内に権利行使させ、再度同じ合意を締結する。
III-7.その他(税務関連)
2015年1月1日より
•
Werkkostenregeling(業務関連費用スキーム “WKR”)の改正。
•
全ての経費払戻し及び手当ての非課税限度額は総グロス収入の1.2
%まで(“General Exemption”)。
•
General Exemptionを超える部分は80%が課税。
•
労使において経費払い戻し及び手当てが“通常の”課税賃金であると
合意可能⇒(30%ルーリング適用者には有利)。
対策
•
WKRにより使用者側の雇用関連費用が上昇しないか確認。
•
もしそうであるならば雇用契約書等を変更する。
•
改正法の施行に伴う雇用契約書の見直し・改正作業とあわせて実施す
ること。
IV.まとめ
•
競業避止義務条項が本当に必要か検討すること。
•
当面有期雇用契約の回数・期間の検討を慎重に行うこと。
•
有期雇用契約延長可否を適時に検討し、交渉し、通知すること。
•
教育訓練計画を策定し、実施し、記録に残すこと。
•
証拠の蓄積をより確実に行うこと。
•
解雇は難しくなるが、認められる場合の補償額は下がる。
•
裁判が長期化する恐れがある。
•
和解してもクーリングオフで最初からやり直しというケースも起こりうる。
•
公平性・合理性を大切に(適時に意見を述べ、意見を聞く機会を与えること)。
V.Q&A
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