IASB、金融保証契約に関する規定を修正

以下の文章は、国際会計基準審議会(IASB)が公表したプレスリリースを日本語に訳した
ものであり、原文の入手等につきましては、文中に記載された IASB のホームページを直接ご
利用いただきますようお願い申し上げます。
財団法人
財務会計基準機構
常務理事・事務局長
IASB プレスリリース
遠藤
博志
2005 年 8 月 18 日
IASB、金融保証契約に関する規定を修正
国際会計基準審議会(IASB)は、本日、IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」及び
IFRS 第 4 号「保険契約」の限定的修正の形で、金融保証契約に関する規定の修正を公表し
た。
本修正は、金融保証契約の発行者は、貸借対照表上、結果として生じる負債を含むこと
を確実にすることを意図されている。本修正は、金融保証契約を、「特定の債務者が支払期
限到来時に債権の当初又は変更後の契約条件に従った支払いができなくなった場合に債権
者が被る損失を填補するために、保証発行者が所定の支払いを行うことを要求する契約で
ある。」と定義している。これらの契約は、保証、ある種の信用状、又は信用保険契約を含
む、さまざまな法的形態を取りうる。
発行者は、本修正を 2006 年 1 月 1 日以後開始する事業年度から適用しなければならない。
早期適用は奨励される。
本修正の紹介として、IASB 議長である David Tweedie 卿は、次のようにコメントした。
「これらの修正を行うことによる、我々の目的は、金融保証契約に関する負債が、財務
諸表から省略されないことを確実にすることである。この目的を妥協せずに、我々は、受
け取ったコメントに応えて、当初の提案を修正した。それにより、信用保険者は、彼らの
現在の会計のほとんどの局面を維持することができる。我々は、保険契約についてのプロ
ジェクトの第2フェーズにて、信用保険契約及び他の形式の金融保証契約をより詳細に再
検討する予定である。
これらの修正の開発にあたり、公開草案に対するコメント、また同様に、公開教育セッ
ションでの国際信用保証協会(ICISA)及び金融保証保険会社協会(AFGI)の代表者の説
明は、我々のためになるものであった。」
提案されている基準書及び基準書の修正の公表の主たる媒体は、IASB の購読者用ウェ
ブサイトでの電子フォーマットによるものである。購読者は「オンライン・サービス」を通
じて、本日公表された基準書を入手できる。購読希望者は下記に問い合わせていただきた
い。
IASCF Publication Department,
30 Cannon Street, London EC4M 6XH, United Kingdom.
Tel: +44 (0)20 7332 2730, Fax: +44 (0)20 7332 2749,
e-mail: [email protected] Web: www.iasb.org
IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」及び IFRS 第 4 号「保険契約」の修正-「金融
保証契約」の印刷版(ISBN 1-904230-92-X)は、IASCF 出版部から、送料込み£10 で、
購入可能である。(IASCF の店舗:www.iasb.org を通じてオンラインにより発注のこと)
以
上
問合せ先:
Sir David Tweedie, Chairman, IASB,
Telephone: +44 (0) 20 7246 6410, e-mail: [email protected]
Wayne Upton, Director of Research, IASB,
Telephone: +44 (0) 20 7246 6449, e-mail: [email protected]
Peter Clark, Senior Project Manager, IASB,
Telephone: +44 (0) 20 7246 6451, e-mail: [email protected]
編集担当者への注釈
本修正について
1. 本修正は、金融保証契約の発行者に対し、その契約を以下のように測定することを求め
ている:
(a) 当初は公正価値による。金融保証契約が、関連当事者以外との独立第三者取引で発
行されたものである場合には、その開始時の公正価値は、反証がない限り、受け取
ったプレミアムと同額である可能性が高い。
(b) 以後は、(ⅰ)IAS 第 37 号「引当金、偶発債務および偶発資産」に従って算定される
額、と(ⅱ)当初に認識した額から、該当がある場合には、IAS 第 18 号「収益」に従
って認識された償却累計額を差し引いた額、のいずれか高い方による。 (特定の規
準に該当する場合、発行者は IAS 第 39 号の公正価値オプションを利用することが
できる。2005 年6月 16 日の IASB プレスリリースを参照。さらに、「失敗した」
認識の中止取引の特殊な状況下では、異なる規定が継続して適用される。)
2.
発行者が、このような契約を保険契約とみなすと以前から明確に主張し、及び保険契
約に適用される会計を利用していた場合には、発行者は、このような契約に IFRS 第4
号又は上記第1項で記述された会計のいずれも適用することを選択することができる。
IASB は、公開草案に対するコメントに応えてこの選択肢を導入した。回答者は、公開
草案が、解約及び更新請求権及び利益分配特性といった、ある信用保険契約の特性につ
いての十分なガイダンスを与えていないことに懸念を表明していた。IASB は、保険契
約についてのプロジェクトの第2フェーズにて、このような特性を取扱い、短期にこれ
らを取り扱うことは不可能であると結論付けた。
3. 既に述べたとおり、本修正は、金融保証契約を、発行者が保険契約とみなしているか否
かを基礎に区分している。IASB は、これを強固で長期的な解決と考えてはいない。し
かしながら、それは、発行者の貸借対照表から、金融保証契約を全く消去してしまうリ
スクを減少させる当面の実務上の解決を提供する。信用保険者が、信用保険契約を発行
した場合、通常彼らは、受け取ったプレミアムまたは予想損失の見積のいずれかにより
当初に測定し、負債を認識する。さらに、IFRS 第4号は保険者に対して、負債充分性
テストを求めている。しかしながら、IASB は、他の金融保証契約の発行者が、開始時
に存在する認識可能な負債がないと議論するのではないかと懸念していた。
4. IASB の保険契約についてのプロジェクトの第2フェーズは、信用保険契約及び他の形
式の金融保証契約を含む、保険契約の会計の包括的な再検討を含んでいる。
5. これらの修正以前は、金融保証契約は IFRS 第4号の適用範囲に含まれていた。
6. ある信用関連の保証は、支払の前提条件として、期限が来た時に、保証された資産につ
いての支払いを債務者が不履行とすることに、保有者がさらされ、及び損失を被ること
を求めない。そのような保証の例は、特定の信用格付又は信用インデックスの変化に応
じて支払いを求めるようなクレジット・デリバティブである。それらはデリバティブで
あり、本修正に影響されない。それらは、IAS 第 39 号に従い、公正価値によって測定
されなければならない。
7. 本修正は、発行者による金融保証契約の処理について取り扱っている。保有者による処
理については、取り扱っていない。保有者による会計は、(契約が再保険契約でない限
り)IAS 第 39 号及び IFRS 第4号の適用範囲から除外されている。したがって、IAS
第8号「会計方針、会計上の見積の変更と誤謬」の第 10-12 項が適用される。それらの
項は、項目に対して明確に適用される IFRS がない場合に、開発した会計方針を使用す
る規準を明記している。
IASB について
8. 国際会計基準審議会(IASB)は、ロンドンに本拠を置き、2001 年に活動を開始した。
同審議会は、IASC 財団の評議員会によって集められる拠出金で運営されている。この
拠出金は、世界中の主要会計事務所、民間金融機関及び事業会社、中央銀行及び開発銀
行、ならびにその他の国際的専門団体からのものである。現在の 14 人の審議会メンバ
ー(うち 12 人は常勤)は、9 か国から選ばれ、幅広い職務上の経歴を有している。IASB
は、公共の利益のため、一般目的の財務諸表において透明で比較可能な情報を要求する、
高品質かつ世界的な会計基準の単一のセットを開発することを公約している。この目的
を追求するため、IASB は、全世界の会計基準の収斂を達成するために各国の会計基準
設定主体と協力している。
9. Deloitte & Touche の調査によると、94 カ国において、2005 年より公開企業は IFRS
の使用を要求または容認されることが指摘されている。このほか、オーストラリア、ニ
ュージーランド、フィリピン、シンガポールを含めた他の国々は、国際基準を国内の会
計実務の基礎としている。2002 年 9 月に、IASB と米国の会計基準設定主体である財務
会計基準審議会(FASB)は、既存の米国の実務と国際的な実務との収斂及び将来の基準
の共同開発に向けて作業するという合意に達した。2004 年 10 月に、IASB と日本の企
業会計基準委員会(ASBJ)が、IFRS と日本基準との収斂を最終目標に両基準間の差異を
縮小するための共同プロジェクトに関して議論を開始することに合意した。2005 年1
月に両審議会は IFRS と日本基準の差異を削減するための共同プロジェクトを立ち上げ
るための合意を公表し、3月に両審議会はプロジェクトの最初の作業計画を決定するた
めに会合した。