アジアにおける祭礼(祝祭)文化の総合的研究

神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要「 芸 術 工 学 2 0 1 1 」 ( 共 同 研 究 )
アジアにおける祭礼(祝祭)文化の総合的研究
GENERAL STUDY ON FESTIVE CULTURES IN ASIA
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今村 文彦 デザイン学部ビジュアルデザイン学科 教授
杉浦 康平 アジアンデザイン研究所 名誉教授
齊木 崇人 大学院芸術工学研究科 教授
大田 尚作 デザイン学部プロダクトデザイン学科 教授
Fumihiko IMAMURA
Department of Visual Design, School of Design, Professor
Kohei SUGIURA
Research Institute of Asian Design, Honorary Professor
Takahito SAIKI
Graduate School of Arts and Design, Professor
Syosaku OTA
Department of Product Design, School of Design, Professor
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Summary
要旨
本報告は、アジア各地の祭礼に曳きだされる山車の造形と
This report deals with various festival cultures and variety
その背後にある祭礼文化をアジア全体の歴史的、文化的流れ
of forms of floats called “dashi” in Japanese which means
のなかにとらえようとするものである。2010 年 4 月に開設さ
mountain-like float carried and shouldered on festival, in
れた神戸芸術工科大学アジアンデザイン研究所は、アジアの
Asian historical and cultural context. Research Institute of
山車文化を大きな研究テーマとして取りあげている。
Asian Design (RIAD) established by Kobe Design
6 月には国際シンポジウム「動く山―この世とあの世を結ぶ
University at April 2010, took up the cultures of float in
もの」を開催した。日本、中国、シンガポール、タイ、イン
Asia as main research theme.
ド、イランから研究者を招き、アジアにおける山車の造形性、
International symposium “Mountain Floats: to Connect
精神性、コスモロジーとの関係性などについて発表した。ア
This World and Another” was held on June 2010, inviting
ジア各地の山車の多様な造形を再確認するとともに、その背
researchers and designers from Japan, China (Taiwan),
後にある文化的な共通性、関連性についてのいくつかの重要
Singapore, Thai, India, and Iran. We discussed on cultural
な知見を得ることができた。
meaning of forms of mountain floats, mentalities and
また、インドネシアでの調査を 6 月から 9 月まで実施した。
cosmology associated with mountain floats in Asia.
バリ島を中心に、寺院祭礼、火葬儀礼等について、その祭礼
In addition, we made researches on temple festivals and
構造、儀礼の過程について記録した。さらに 2011 年 2 月には、
cremation ceremonies in Bali, Indonesia and New Year
中国寧波市前童鎮で元宵節を調査した。鼓亭などの種類、大
Festival in Ninhai, China.
きさ、運行経路、町の社会組織との関係などについて、情報
We continue to research other type of floats in Asia and
を収集し、次年度以降の調査につなげた。
Japan, make clear not only their symbolic meanings and
これらの成果をもとに、さらに継続的な調査を続け、社会構造、
design languages, but also the relationship of social
空間構造とも関連づけて、総体的に祭礼と山車を把握していく予
structure and structure of settlement with ceremonial
定である。
process.
アジアにおける祭礼(祝祭)文化の総合的研究
神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要「 芸 術 工 学 2 0 1 1 」 ( 共 同 研 究 )
演じる子どもたちを長い竿の上に乗せ、それを担いで
アジア ンデ ザ イ ン 研 究所 の 開 設
2010 年 4 月 、 ア ジア ン デ ザ イ ン研 究 所 が 開設され
練り歩く。
「鼓亭」は、太鼓を収めた楼閣式の山車であ
た。設 立の 趣 旨 に つ いて 、 所 長 に 就任 し た 杉 浦康平名
る。清代の「天津天后行会図」に描かれている数多く
誉教授 は以 下 の よ う に記 し て い る 。
の抬閣、鼓亭、輦車と同じものが、現代中国の寧波市
中 国 、 イン ド 、 韓 国 、シ ン ガ ポ ー ル、 ベ ト ナム、タ
前童鎮の元宵節でも曳きだされる。
イ 、 イ ンド ネ シ ア な どの ア ジ ア の 地域 は 、 大きく変
鼓 亭 は 、 軒 層 ご と に 噴 水 紋 、 魚 紋 、 葫 蘆 (瓢 箪 )文 な
貌 し よ うと し て い る 。… … よ り 調 和あ る 未 来の建設
どで装飾されている。これらの文様は、漢代か ら伝わ
に 役 立 つか も し れ な いア ジ ア 古 来 の智 慧 や 、精神性
る崑崙山思想に深く関係していると思われる。 崑崙山
を 忘 れ 去 っ て よ い の だ ろ う か 。 … … と り わ け 、「 名
は、中国人のさまざまな幻想が託された想像上 の宇宙
もなき人びとが日々の生活のなかで造りあげた大
山で、不老不死の神仙世界、死後の霊魂が行き つく場
自 然 と 共存 す る 豊 か なデ ザ イ ン」、「神 と 人 、 人と人
所であった。また、黄河の源流に崑崙山があるとされ、
を 結 び つけ る 祭 礼 の ダイ ナ ミ ズ ム 」な ど に 代 表され
葫蘆形の湖の口から黄河が流れ出ているように描かれ
る 、 ぬ くも り あ る カ タチ を ど の よ うに 継 承 し 、生命
た地図もある。
力 に み ちた 造 形 語 法 をど の よ う に 発展 さ せ 、 未来に
前童鎮の人びとは、鼓亭、抬閣という山車を担ぎ曳
つ な げ てゆ く べ き か 。
きだすことで、此岸と彼岸を結びつけて祖霊と出会い、
こ の 方針 に 基 づ き 、研 究 所 は 、 アジ ア 各 地 の 祭礼の
崑崙山の不老不死の力が常に村の人々を活気づけ、村
中に 登 場す る 多 様 な 山車 の 造 形 と 祭礼 文 化 の 探 求を基
の繁栄や豊作をもたらすことを願っているのである。
幹的 な テー マ に 設 定 し、調 査 研 究 を進 め る こ と にした。
◎ナンシー・タケヤマ[シンガポール・南洋理工大学
研究 所 のメ ン バ ー と して 、 杉 浦 康 平、 齊 木 崇 人 、今村
芸術・デザイン・メディア学部教授]
文彦 、 松本 美 保 子 、 大田 尚 作 、 山 之内 誠 、 黄 國 賓、佐
「バリ島の神輿。山と水の象徴性」
久間 華 、曽 和 英 子 の 9 名 が 参 加 し た。
インドネシア・バリ島のアグン山の麓にあるブサキ
寺院は、バリ島で最も神聖な場所で、母なる寺院とい
国際 シ ンポ ジ ウ ム 「 動く 山 ― こ の 世と あ の 世 を 結ぶも
われる。ブサキ寺院のムラスティ儀礼は、サカ暦に基
の」 の 開催
づく新年を迎えるための祭りで、村をあげて再生、平
ア ジ アン デ ザ イ ン 研究 所 の 開 設 記念 第 1 回 国際シン
穏、繁栄を願う祭りをおこなう。神々は天界から下り
ポジ ウ ムが 、6 月 12 日 に 吉 武 記 念ホ ー ル を 会 場として
てくるように求められ、ブサキ寺院を構成する寺院の
開催 さ れた 。 ア ジ ア 各地 で 今 な お 盛ん に 曳 き だ される
数を表わす、22 台の御輿に鎮座して、みそぎのために
山車 は「 聖 な る 山 」を 模 し 、
「 動 く山 」と し て 祭りの場
近くの川や海に運ばれる。
に神 の 力を 招 き よ せ 、と き に 死 者 の霊 を 天 界 に 向けて
これらの御輿のデザインは、バリ島の宇宙観、秩序
送り だ す。 活 気 あ ふ れる ア ジ ア の 山車 文 化 に 多 彩な視
(方 位 、 色 彩 な ど )と 密 接 に 関 連 し 、 造 形 さ れ る 。 台 座
点か ら 迫り 、 山 車 が もつ 今 日 的 意 義を 追 求 し た 。以下
に彫られた、 1 匹の亀と、亀に絡まる 2 匹の龍(蛇)の
に、 そ の概 略 を 記 す 。
モチーフは、龍と亀の授けを得て大海を撹拌し、生命
(1)午前 の 部
の 水 (ア ム リ タ )が 生 じ た と い う 、 バ リ ・ ヒ ン ド ゥ ー の
◎黄 国 賓[ 神 戸 芸 術 工科 大 学 大 学 院助 手 ]
神 話 (乳 海 撹 拌 神 話 )に む す び つ く 。 ム ラ ス テ ィ 儀 礼 の
「中 国 ・祭 礼 の 鼓 亭 、抬 閣 。 竜 が 運ぶ 山 車 」
御輿は、善と悪とのバランスの上で成り立つ、バリの
中 国 各地 の 祭 り で は、
「 抬 閣」、
「 鼓 亭 」と 呼 ば れる山
車が 曳 きだ さ れ る。
「 抬閣 」は、古 い 戯 曲 の 登 場人物を
宗教的世界を表現している。
◎モジュガン・ジャハナラ[イラン・テヘラン芸術大
アジアにおける祭礼(祝祭)文化の総合的研究
神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要「 芸 術 工 学 2 0 1 1 」 ( 共 同 研 究 )
学テキ スタ イ ル デ ザ イン 学 科 主 任 ]
伸 び た つ 、 垂 直 の 木 (真 柱 )を 担 ぎ だ し 、 街 中 を 巡 行 し
「イラ ン殉 教 者 を 称 える 生 命 樹 の 山車 」
た。その木は神を招く依り代となり、神輿や山車の原
イラ ンで は 、
「 ナ フ ル 」と 呼 ば れ る独 特 の 形 をもつ山
車が、 聖者 の 殉 死 を 追悼 す る 祭 り に担 ぎ だ さ れる。イ
形となる。山車の中心に聳えたつ真柱は、
「宇宙樹・生
命樹」に見立てられる。
ラン東 部に 、 ゾ ロ ア スタ ー が 植 え たと さ れ る イトスギ
日本の山車をはじめ、インド・中国などのアジアに
の木が あっ た 。 ア ッ バー ス 朝 の 頃 、王 の 命 令 でこのイ
は、遥か古代へと遡る豊かな山車文化がひろがってい
トスギ が伐 採 さ れ た こと を き っ か けに 、 当 時 の人びと
る。アジアの山車文化の比較研究は、単に「カタチ」
の間に 聖な る 木 へ の 追悼 の 念 が 高 まり 、 深 い 嘆きに包
の相関に光をあてるだけではない。山車にまつわる「文
まれた 、聖 な る イ ト スギ の 儀 式 が 始ま っ た 。 この儀式
化的・神話的・象徴的な意味」が浮かびあがる 。さら
は、殉 教し た こ と で 永遠 の 生 命 を もっ た 英 雄 の勇武と
に、アジアの「人間観・自然観・宇宙観のひろ がり」
偉力を 称え る た め に もお こ な わ れ る。 シ ー ア 派初代指
をも解き明かすことになる。
導者の 息子 ホ セ イ ン は戦 い で 殉 死 した が 、 亡 くなった
◎キルティ・トリヴェディ[インド・ムンバイ工科大
記念日 には 、 彼 を 象 徴し た ナ フ ル が現 わ れ 、 敬意をも
学工業デザインセンター教授]
って担 がれ る 。
「インド寺院の山車。巡行儀礼が示す宇宙性」
ナフ ルは 、2 枚 の 直 立し た 平 ら な大 ア ー チ を水平の
インドでは、重要な祭礼をおこなうときに、 寺院の
長い 横 木で つ な い で いる 。 ア ー チ は木 製 で 、 いくつか
まわりを回る行道が重んじられる。その折に、 特別に
の大 き さの 網 目 が あ り、 上 部 で 一 体化 し て い る。ナフ
建 造 さ れ た 馬 車 (山 車 )に 神 像 を 納 め 、 町 中 を 巡 行 し て
ルの 形 は、 イ ト ス ギ に似 て い る 。 ナフ ル は 、 永遠の生
担ぎ出すという伝統があり、「馬車祭り」と呼ばれる。
命や そ れに 関 わ る 人 々を 表 現 す る ため に 美 し くデザイ
その起源は非常に古く、 3000 年以上前にさかのぼる。
ンさ れ てい る 。
馬車は寺院と同じくらい重要で、時間的にも構 造的に
も「宇宙的現象の動的秩序」を表わしている。
(2)午後 の 部
インドの寺院は「宇宙の写像」として建造さ れる。
◎杉浦 康平 [ 神 戸 芸 術工 科 大 学 ア ジア ン デ ザ イン研究
それは、インド哲学における神性、崇高な秩序 の表現
所所長 、神 戸 芸 術 工 科大 学 名 誉 教 授]
である。静的な形をもつ寺院が石のなかに固定 された
「山は 動く 。 聖 な る もの の ダ イ ナ ミズ ム 」
宇宙の「静的な秩序」を表わすのに対して、馬 車は宇
「山 車」 は 、 神 を 招き 、 も て な す「 巨 大 な 山」の造
りもの。人 々 の 背 に 担わ れ 、車 で 曳 か れ る「 動 く 山 だ」。
宙の「動的な秩序」を表わし、馬車の下半分は 宇宙を
移動するための車輪にあたる。
一瞬に して 出 現 し 、 一瞬 に し て 消 滅す る 巨 大 な山の不
馬車祭りでは、馬車の台座のうえに、動かない寺院
思議は 、見 る も の に 、神 威 の 顕 れ を強 く 実 感 させる。
に相当する仮設の天蓋を組み立てることで、宇宙の全
アジ アで は 古 代 か ら、 神 々 が 降 り立 つ 聖 地 、仙人が
体像が完成される。寺院と馬車の形はよく似ており、
住む桃 源郷 や 祖 先 霊 が集 う 冥 府 と して「 山 を 敬い」
「山
寺院が馬車としてデザインされた多くの例がある。馬
を拝む」。多 量 の 浄水を 産 み 出 す 山は 、豊 穣 の 母体とし
車と寺院は、同じ秩序、同じ現象の異なった表現に過
て「 崇 め 」ら れ た 。山 中 に 出 沒 す る妖 怪 変 化 に「畏れ」
ぎない。
を抱く。天 と 地 を 結 び聳 え た つ 山 は、
「 宇 宙 山」の存在
◎ソーン・シマトラン[タイ・シルパコーン大学准教
を感じ させ る 。
授、同大学アートセンター所長]
アジ アの 山 車 の 造 形、 そ の 出 現 と消 滅 に は 、山にま
つわる 豊か な 意 味 が 託さ れ て い る 。人 び と は 、山頂に
「タイ王室の葬儀車。霊魂を天界に運ぶ」
葬儀車とは、タイ国王の遺骸を王棺に納めて運ぶ、
アジアにおける祭礼(祝祭)文化の総合的研究
神 戸 芸 術 工 科 大 学 紀 要「 芸 術 工 学 2 0 1 1 」 ( 共 同 研 究 )
王室専 用の 輿 車 で 、 御大 葬 の 行 列 に曳 き だ さ れる。ラ
を閉じて心を静めたときのフローティングの感覚、
ーマ 1 世 が 、18 世 紀 末 に 4 台 の 葬 儀車 を 建 造 するよう
この世界のユニークさ、重要さに目覚めた造 形があ
命じ た こと に 始 ま る とい わ れ 、 王 家の 古 い 伝 統として
りうる。
今日 ま で継 承 さ れ て きた 。
葬 儀 車に は 、2 層 か 3 層 の 方 形 の祭 壇 が あ り、台座
海外調査の実施
の正面 はナ ー ガ の 頭 、後 部 は 尾 の 形を 模 す 。 葬儀車の
(1) イ ン ド ネ シ ア の バ リ 島 の 祭 礼 の 調 査 を 実 施 し た
最下部 はナ ー ガ を 捕 える ガ ル ー ダ の姿 が デ ザ インされ
(2010 年 6 月~ 9 月)。東南アジア諸国の祝祭文 化につ
る。台 座に は 合 掌 す る神 々 の 座 像 が数 多 く 刻 まれる。
いて、その実態を把握し、比較検討をおこなう ことに
葬儀車 の台 座 は 、 宇 宙の 中 心 で あ るメ ル マ ー(須弥山)
より、アジア全体の祝祭文化についての視野を 得るこ
を象徴 する 。 そ の 上 の玉 座 は 、 メ ルマ ー の 頂 上にある
とを目的とした。バリ島では、火葬儀礼、寺院祭礼 (オ
神の住 処(天 界)を 意 味 し て い る 。
ダラン)などを参与観察し、ビデオ撮影した。その結果、
ヒン ドゥ ー 教 の 教 義で は 、 タ イ 国王 は 天 界 から降下
概略的ではあるが、以下のような知見を得た。
したヴ ィシ ュ ヌ 神 の 化身 と さ れ 、 国王 は 不 滅 の生命を
・バリ島の宗教的世界は、ヒンドゥー教を中心として
もつ神 とし て 、 崩 御 の後 に 神 の 住 処へ と 回 帰 すること
土着の信仰や仏教などが複雑に混交しているが、祭
になる 。葬 儀 車 は 、メ ル マ ー(須 弥 山)お よ び 天 界(神の
礼や儀礼などの宗教的実践としての側面が強調さ
住処)へ の 信 仰 に 基 づい て 建 造 さ れ、神 と し て の国王を
れ、祭礼に用いられる造形物、おびただしい供物、
天界 に 送り 届 け る と いう 象 徴 的 意 味が 込 め ら れ ている。
舞踊、ドラマなどのなかに表現される。
・祭礼や儀礼の構成要素として行列が多用される。寺
(3)ディ ス カ ッ シ ョ ン
院祭礼でも寺院のなかを旋回したり、周辺地域を巡
「ア ジア の か た ち 、デ ザ イ ン の 可能 性 」
行したりする。火葬儀礼でも同様である。
最 後 にお こ な われ たデ ィ ス カ ッ ショ ン で は 、アジア
・祝祭がつくりだす集団的高揚感、沸騰的状況 はそれ
の山 車 の造 形 が もつ 神話 性 、 文 化 性や 自 然 観 、精神性
ほど顕著ではなく、儀礼の場では多くの人た ちが集
など が 検討 さ れ た。 以下 に 、 そ の 要点 を 記 す 。
団的にトランスに陥る。
・山 車 の造 形 は 多様 であ る が 、 共 通性 が 見 ら れる。そ
(2)中 国 浙 江 省 寧 波 市 前 童 鎮 の 元 宵 節 に つ い て も 予 備
こ に は アジ ア の世 界 を包 み 込 む 、 共通 し た 精神的な
的な現地調査を実施した (2011 年 2 月 )。現地で 実際の
基 盤 が ある よ うだ 。
元宵節を参与観察、資料収集をおこなった。前童鎮の
・新 た な表 現 に 向か うた め に は 、 イン ス ピ レ ーション
が 必 要 で、 そ の背 後 には 神 話 的 な 力が 横 た わってい
る 。 ア ジア の 神話 か ら学 ぶ こ と は 多い 。
・自 然 観、 精 神 的基 盤、 宇 宙 観 な どは 、 地 域 ごとの違
い が あ るが 、1 つ の 体 系 と し て と らえ ら れ る 。
地域構成、鼓亭の種類、大きさ等の基本情報、巡行経
路等を確認した。
これらの成果をもとに、さらに継続的な調査を続け、
社会構造、空間構造とも関連づけて、総体的に祭礼と
山車を把握していく。
・イ ン ドや タ イ の 山 車の 造 形 は 、 まる で 一 粒 の種が空
中 に 浮 いて い る か の よう に 見 え る 。そ の 形 は、私た
その他の共同執筆者
ち を 縛 りつ け て い る 物理 的 な 、 外 に広 が る 目に見え
松本
る 世 界 での 造 形 で は なく 、 私 た ち の心 の 中 に広がる
環境・建築デザイン学科
目 に 見 えな い 世 界 の 造形 物 の よ う に見 え る 。
術工学研究科
美保子
名 誉 教 授 /山 之 内
助手
・目 を 開い て み る 外 の世 界 だ け で はな く 、 人 間には目
アジアにおける祭礼(祝祭)文化の総合的研究
誠
准教授/黄
デザイン学部
國賓
大学院芸