335号 - 結核予防会

総裁秋篠宮妃殿下
ご動静
結核研究所国際研修生との御懇談での御様子
平成22年7月14日/秋篠宮邸
妃殿下は,平成22年度「ストップ結核アクション研修―効果的な結核対策実施
に向けたオペレーショナルリサーチ強化コース―」の11カ国12名の研修生との御
懇談で,一人一人にお言葉をかけられ,握手を交わされました。
それぞれの国の結核対策への使命も新たに,大きな励みとなることでしょう。
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Message 結核予防週間に当たって
厚生労働省健康局結核感染症課長
亀井 美登里(かめい みどり)
厚生労働省においては,毎年9月24日から30日まで
を「結核予防週間」として,地方自治体や公益財団法
人結核予防会を始めとする関係団体の御協力を得て,
結核予防に関する普及啓発等を行っております。
本年は「そのせき,結核ではありませんか?」を標
語に掲げ,結核に関する正しい知識を深めていただく
とともに,早期発見・治療によるまん延防止につなげ
ていくため,官民一体となって結核対策へ取り組むこ
ととしております。
我が国では,これまでの官民一体となって取り組ん
できた結核対策が功を奏し,結核患者数は順調に減少
しています。しかし,その一方で,平成20年結核の統
計によると,発病から診断までの期間が2週間未満の
方は,14,400人中1,935人しかおらず,国民の方々の結
核に対する関心の低下による受診の遅れや医師の診断
の遅れによる感染の再拡大が懸念されます。結核を発
症した方が早期に適切な医療を受けることができれ
ば,それだけ結核のまん延防止が図られることとなり
ます。そこで,こうした趣旨を国民の皆様にご理解い
ただきたいという意味を込めて,標語を「そのせき,
結核ではありませんか?」としたところです。
世界的にみましても,我が国の結核罹患率は未だ先
進国中で最下位の結核「中まん延国」であり,引き続
き,「低まん延国」を目指した取組みが重要となって
います。近年,国境を越えた人の往来が激しくなって
おり,結核の高まん延国からの入国者における発病リ
スクが大きくなってきております。また,治療が困難
な多剤耐性菌の発生や住所不定者等のハイリスクグ
ループにおける感染拡大の問題等,国内でも新たな課
題に取り組まなければならない状況にあります。
このような中,現在,厚生労働省では近年の状況を
踏まえ,結核に関する特定感染症予防指針の改訂作業
を行っているところです。改正の内容については,現
在,厚生科学審議会感染症分科会結核部会で精力的に
議論をしている最中であり,結核の克服という大きな
目標に向け,年内を目途に改正の方向性をまとめる予
定でおります。
今後,結核対策に取り組む
にあたり,公益財団法人結核
予防会の方々を始めとする関
係者の皆様の御理解と御協力
は極めて重要となります。引
き続き,皆様におかれまして
は,格別の御支援,御協力を
賜りますよう,改めてお願い
申し上げます。
Contents
■メッセージ
結核予防週間㺛当㺏っ㺖
亀井美登里……1
■結核予防週間特集
結核予防週間に寄せて2010
しぶとい結核に地道な長期の対策を
石川 信克……2
平成22年度結核予防週間実施要領
……3
「結核の統計2010」をどう読むか
―サーベイランス情報を地域の結核対策に生かすために―
下内 昭……4
平成22年度結核予防週間実施予定行事
……6
平成22年度都道府県知事表敬訪問報告
……9
■ストップ結核パートナーシップ日本だより№13
関西地域の結核対策とパートナーシップ
宮本 彩子……13
■心のこもった言葉と花と音楽に包まれた
「青木正和先生を偲ぶお別れの会」
竹下 隆夫……14
■特報 故青木正和会長,旭日中綬章を叙勲
竹下 隆夫……16
■シリーズ 結核研究所紹介
電子顕微鏡による可視化で編纂する「結核菌の歩き方」
山田 博之……17
■シリーズ 結核対策活動紹介
渋谷区における結核対策の取り組みについて
∼治療中に音信途絶した結核患者の早期保護をめざして∼
○西塚 至,安田さお里,佐藤 総,
三枝 愛,吉良 千尋,千葉 幸子……18
■教育の頁
●接触者健診の手引き「改訂第4版」の解説
阿彦 忠之……20
●結核菌感染とN-95マスク
―バイオハザード実験室での考え方― 土井 教生……22
■世界の結核対策の動向について
ストップ結核パートナーシップ理事会
(2010年5月,ベトナム)より
加藤 誠也……23
■2009年の胸部画像精度管理研究会報告と今後の提案
尾形 英雄……24
■平成22年度「世界エイズデー」キャンペーンテーマについて
堀内 由紀……26
■FCTC(たばこ規制枠組み条約)事務局長
ニコゴシアン先生来会
……27
■シールだより
●平成21年度高額寄附を頂いた方からのメッセージ ……28
●複十字チャリティーサイクルの輪を日本全国へ広げよう!
……29
■結核予防会支部紹介のページ
●高知県支部 健康づくりのお手伝い。
より良い健診を目指して‼
……………………30
▽予防会だより
○複十字バッジが取り持った,善意の恩返し
○新結核関連切手紹介シリーズ(2)
〔表紙〕2010結核予防週間ポスターより
〔カット〕佐藤奈津江
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結核予防週間に寄せて2010
しぶとい結核に地道な長期の対策を
結核研究所
石川 信克
所長 日本の結核の現状
在り方,質の良い結核医療の確保,結核病床の確保な
新しい結核の統計によれば,今なお2万4千人以上
ど大きな方針の決定も迫られています。
の結核新患者が発生しており,前年からわずか2%の
減少に留まっています。慢性の感染症である結核は,
指標を用いた対策評価を
しぶとく社会に流行し続ける現代の病気です。我が国
そのためにも,各自治体は結核の実態を把握し評価
の結核の実態はいくつかの特色があります。まず⑴高
をしっかりせねばなりません。結核の統計を用い,全
齢者の割合が圧倒的に多い(70歳以上が1万2千人),
国や他地区と比較しながら,高齢者,外国人,生活保
⑵若い層でも都会を中心に新しい感染・発病が起こっ
護者の割合,また結核菌の薬剤感受性検査の把握状況
ている(39歳以下でも4千人以上発症)
,⑶外国人の
や入力率など,概括的評価が自分たちでできます。さ
割合は増えている(他の先進諸国が7∼8割であるの
らに,外部者を入れた「対策レビュー」も非常に有効
に比べて4%程度と少ないが,20歳代では25%),⑷
です。これには結核研究所がWHO方式を取り入れ,
生活困窮者の割合が増えている(9%),⑸その他の
いくつかの自治体をモデルに対策評価とワークショッ
ハイリスク群(医療関係者,HIVや免疫低下をきたす
プの方式を開発しています。近くネット上で公開しま
病気,抗リュウマチ剤使用,糖尿病など)。
すので,ご覧ください。また結核研究所では,近く国
内各地からの指導者研修修了者によるワークショップ
結核緊急事故宣言
︵1999︶
結核は低まん延に近づくほど問題複雑化:日米比較
1000
新発生率/人口10万
533
100
から専門家を招いて,日本の結核対策に関する外部評
価・提言を得たいと企画しています。これらの提言も,
今後の予防計画策定に役立てていただけると期待して
日本
米国
鈍化・転上昇
10
います。
10
10,000人
結核のことを政府
も人々も軽視
を行い,対策改善への提言や,一方低まん延先進諸国
低まん延化に向けて
日本が結核の低まん延(罹患率が人口10万対10以下)
低まん延国
1
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030
になるのは,2020年と推定されますが,それでも西欧
先進諸国より30年以上の遅れがあります。その後公衆
衛生上の問題でなくなる(100万対1以下)には,さ
効果的対策を
らに半世紀以上の努力が必要です。近代国家で結核を
上記のような低まん延化の流れ,患者の特定地域や
制圧した国はまだ無く,結核は自然には無くなりませ
リスク集団への集中,さらに専門家や医療施設の減少
ん。予算を削減し対策を怠ると,結核の逆襲が起こる
や質の低下などの危惧に対して,効果的な対策が求め
ことが多くの国で観察されています。評価を重ねつつ,
られています。特に今年は,国の予防指針に基づき,
地道な長期の取り組みこそが制圧に向けた近道と言え
各自治体はそれぞれの地域の特徴も考慮に入れた結核
ましょう。
の予防計画策定の課題があります。効果的患者発見の
2
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平成22年度結核予防週間実施要領
●9月24日(金)∼9月30日(木)
○標語「そのせき,結核ではありませんか?」
1 趣 旨
我が国の結核の現状は,年間約2万5千人の新規患者が発生し,約2千人が亡くなっており,世界的にも結核の中まん延国
として位置付けられていること等から,引き続き十分な注意が必要であり,結核の克服のためには,関係団体,地方公共団体
及び関係省庁との十分な協力の下で結核対策を推進することが必要となっている。
また,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律では,国及び地方公共団体の責務として,教育活動,広報活
動等を通じた感染症に関する正しい知識の普及等,
必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨,
規定されているところである。
こうしたことから,厚生労働省では,結核予防週間を契機として,結核に関する正しい知識を国民に深めていただくとともに,
官民一体となった結核対策への取り組みの意識を高めることとするものである。
2 主 催
等により国民一般に対して結核予防週間の周知を図る。
厚生労働省,都道府県,政令市,特別区,社団法人日本医
⑵ 資料の配布(各主催団体)
師会,公益財団法人結核予防会,社団法人全国結核予防婦人
結核に対する関心を高めるため,関係各機関等に結核
団体連絡協議会及び財団法人健康・体力づくり事業財団
予防のためのパンフレット,リーフレット等を配布する。
⑶ 講演会,講習会等の開催(各主催団体)
3 後 援
文部科学省,日本放送協会,社団法人日本新聞協会,社団法
人日本民間放送連盟,財団法人日本学校保健会,社団法人国民
結核予防活動を推進するため,関係団体を中心とし
た地区組織の拡充強化を図るとともに,各地において
講演会,講習会,パネル展等を開催する。
健康保険中央会,健康保険組合連合会,社団法人生命保険協会,
⑷ 児童・生徒への結核の知識の普及(各主催団体)
全国地域婦人団体連絡協議会,社団法人全国地区衛生組織連
結核の正しい知識を児童・生徒に普及するため,全
合会,社団法人日本放射線技師会及び社団法人日本看護協会
国の小中高等学校において学級活動,学校行事等を通
じて指導するよう,
文部科学省の後援により呼びかける。
4 実施期間
⑸ 街頭啓発活動の実施(各主催団体)
平成22年9月24日(金)から9月30日(木)まで
結核予防週間の周知と国民一般の結核に対する関心
を喚起するため,結核予防を周知する語句の入った風
5 重点目標
船,広報ポケットティッシュ等を手渡すなどして結核
国民の結核に対する正しい理解を得るため,地域の団
予防思想の普及を図る。
体組織等を通じて,より一層の普及啓発を図る。
⑹ 報道機関等との連携(各主催団体)
全国の主要な報道機関にリーフレット等の広報資料を
6 結核予防週間中の標語
「そのせき,結核ではありませんか?」
その他実施機関によって適宜作成するものとする。
配付し,結核予防週間の周知,行事の取材等を依頼する。
広報誌,関係機関誌等に結核予防に関する記事が掲
載されるよう積極的に依頼する。
⑺ その他
7 実施行事等(例)
⑴ 結核予防週間の周知(各主催団体)
結核予防週間のポスターを作成し,関係各機関へ配布
上記のほか,各地域で適宜結核予防週間の趣旨に沿っ
た行事を行う。
・各種集会の開催等
するほか,電車・バス内での広告,懸垂幕,電光掲示板
★トピックス★
厚生労働大臣表敬訪問
22年度複十字シール運動の最中,8月23日(月)厚生労働大臣(外山健康局長
対応)表敬訪問を婦人会と協同で実施した。冒頭,長田理事長が挨拶を行い,後
に,藤木事業部長が複十字シール運動の重要性・日本と世界の結核の現状などを
説明した。全国結核予防婦人団体連絡協議会の中畔会長が婦人会の活動について
説明し協力を要請した。結核予防会は,長田理事長・山下事業部顧問・藤木事業
部長,婦人会は,中畔会長が猛暑の中,京都から参加,有意義な一日となった。
外山局長に複十字シールを手渡す中畔会長
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「結核の統計2010」をどう読むか
サーベイランス情報を地域の結核対策に生かすために
結核研究所
ご注文・お問い合わせ先:出版調査課 ℡ 03-3292-9289
はじめに
「結核の統計2010」が近く発行されます。統計は公
衆衛生に関わるものとして,日常業務を評価し,今後
の事業の方向を決める情報として欠かせないもので
す。従って,全国の動向を知るだけでなく,各地方自
治体でも独自の指標の解析と考察をしていただきたい
と思います。そのために,「結核の統計」では,はじ
めに全国レベルの話題を図にしており,次に詳しい資
料があり,最後にまとめとして一覧表「都道府県別に
みた結核管理図の指標値と偏差値」に,地方自治体ご
とに詳しい指標と数字が掲載され,全国および他の自
治体と比較するのに便利です。
罹患率の推移
まず,全国の罹患率(図1,グラビア3 結核罹患率
の推移)の推移を説明します。2009年の全結核患者数
は24,170人で,人口10万対罹患率は19.0で約2%減少し
ただけです。国の2005∼2010年の基本指針には,2010
年までに罹患率を18以下にするとありますので,計画当
初よりは減少速度が
図1 結核罹患率の推移
鈍化しています。鈍
化の理由のひとつ
は,人口の高齢化で
す。高齢になるほど
既に感染している割
合が高くなるため,
発病率も高くなり,
患者全体に占める割
合が,65歳以上が約
6割,70歳以上が半
数,80歳以上が4分
の1に達しています
(グラビア7 高齢
者結核-増加する超
高齢者結核患者)
。
罹患率の地域差
次に都道府県別(政令指定都市(以降,政令市)のデー
タを含む)にみると(図2,グラビア4)
,罹患率(人口
10万対)は高い方から,大阪(31.5)
,東京(25.0)
,愛知
(22.4)
,和歌山(22.3)
,長崎(22.1)の順で,低い方か
らは群馬(10.2)
,山梨(11.0)
,長野(11.3)
,岩手(11.3)
,
秋田(11.4)の順でした。高罹患率地域の3番目までは
4
下内 昭
副所長 図2 都道府県別全結核罹患率
大都市を抱えるため
2009年
であり,また,地理
0
20
40
的に西高東低が続い 大阪
東京
愛知
ているのは,罹患率 和歌山
の統計がとられるよ 長崎
兵庫
大分
うになった1950年代 京都
岐阜
奈良
香川
から既に若年者の罹 鹿児島
患率が高かったため 徳島
福岡
高知
に現在も高齢者の既 熊本
島根
神奈川
感染率が高いためと 千葉
山口
青森
考えられます。
岡山
沖縄
前年と比べた罹患 広島
佐賀
埼玉
率の変化を見ると, 三重
静岡
64都道府県市(政令 愛媛
宮崎
滋賀
市データを別にした 福井
鳥取
茨城
場合)のうち,減少 石川
富山
し た の は41自 治 体 栃木
山形
北海道
で,増加したのは3 新潟
福島
宮城
分の1で,23自治体 秋田
岩手
でした。特に増加し 長野
山梨
群馬
た自治体では,どの
ような要因で増加したのか,年齢など種々の要因別に
分析する必要があるでしょう。高齢者か,若年者か,
医療従事者か,外国人かなど。例えば,ある県におい
ては一つの集団感染事例が起きたことが何年間かある
年齢層の罹患率に影響を及ぼすこともありました。
また,
自治体によっては,患者実数が少ないために変動幅が
大きくなる場合があります。そのような場合には,前後
数年間の平均の推移で判断する必要があるでしょう。
高齢者結核
高齢者結核に関して,65歳以上患者割合(%)が,最
も高かったのは,都道府県市別(都道府県のデータに政
令市分を含む)では,静岡市(78.3)
,鳥取県(78.0)
,
石川県(75.7)
,富山県(75.6)
,高知県(74.1)でした。
高齢の結核患者は,必ずしも呼吸器症状がないため,
診断が何カ月も遅れて,高齢者施設で集団感染を起こ
した事例が報告されています(グラビア8)
。従って,
高齢者施設や病院では胸部X線検査や喀痰検査などで
結核の診断が遅れないように注意しておく必要がありま
す。また,2009年の国立病院の結核死亡調査(グラビア
14)では,結核治療中の死亡は75歳以上が84%で,結核
死と非結核死の割合は半々でしたが,診断後2カ月以内
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の死亡が半数を占めました。死亡要因を分析すると⑴入
院時すでに重症であること,⑵重大な合併症があること,
および⑶高齢でした。このように,高齢者結核では,い
かに早期発見・早期治療が重要であるかがわかります。
都市部の結核
最近は人口が都市部に偏在しているため,結核患者
の発生も都市部へ偏在するようになっています。2009
年は東京都および政令市で発生した結核患者は全国の
患者の38%をしめ,特に20∼49歳では45%に達してい
ます(グラビア9)。都市部の高罹患率の要因の一つ
に貧困があ
図3 政令指定都市における結核患者の生活
り,結核患者
保護割合と結核罹患率の相関
(r=0.789)
の生活保護割
合が高い市で
は罹患率も高
い傾向があり
ます(図3:
付3都道府県
別にみた結核
管理図の指標
値29より)。
小児結核
一方,小児結核(14歳以下)は年々,漸次減少して
おり,2009年は小児結核患者発生がゼロの自治体は47
都道府県中33府県,18政令市中11市と3分の2に達し
ました。ただし,小中学生(6∼15歳)の患者数は,
最近7年間は既に数が少ない(年間40∼55人)ことも
あり,明らかな減少はありません(グラビア16)。小
児結核の感染源は大半が同居している家族などです。
従って,患者の接触者健診を確実に実施して子どもも
含めて結核の早期発見早期治療が求められます。
結核対策の評価
国の基本指針には,2010年までに治療失敗・脱落率
を5%以下にすることを目指すとあります。付3「都道
府県別にみた結核管理図の指標値と偏差値」の資料で,
自治体ごとの治療失敗・脱落率をグラフに(図4)す
ると全国平均は4.9%であり,国全体では目標を達して
いますが,64都道府県政令市のうち,28自治体,約4
割では5%以上であり,目標を達していません。患者
支援は各地域で強化されているはずですが,もう一度,
保健所ごとに
失敗・脱落事
図4 2008年登録喀痰塗抹陽性肺結核初回
例を検討し
治療患者の失敗脱落割合(%)
て,なぜ5%
以下を達成で
きなかったの
かを吟味する
必要がありま
す。
多剤耐性結核(表7 新登録肺結核菌培養陽性患者数登録時薬剤感受性結果)
最近,世界的に問題とされているのが,多剤耐性結核
です。結核サーベイランスでも耐性菌について詳しく報
告するようになっています。2009年は感受性検査が実施
されたのは,結核菌培養陽性患者9,758人(表6 新登
録肺結核菌培養陽性患者-登録時同時結果,性,都道府
県(政令市・中核市含む)
,指定都市別より全国総数−
非結核性抗酸菌−同定未実施−不明)中,6,920人(表7
より全国総数−INH,
PFP未実施−その他・不明)
(70.9%)
であり,2008年の51.1%(4,332/8,473)より感受性検査把
握率が向上しました。初回治療と再治療患者を合わせた
データでは,多剤耐性:少なくともヒドラジド(INH)と
リファンピシン(RFP)の両剤耐性の率は0.8%(56/6,920)
であり,単独およびすべての組み合わせのINH耐性率は
5.0%(346/6,920)でした。2002年の結核療法研究協議
会が実施した感受性検査の結果,すなわち,初回・再治
療を合わせた多剤耐性率1.9%(60/3,122)で,すべての
INH耐性率(5%)に比べて,多剤耐性率は減少しまし
たが,INH耐性率は減少していません。データは70%し
か把握できていないので,結論は出せませんが,少なく
とも6,920人の検査結果であり,参考になるでしょう。し
かし,もっと大事なことは,自らの自治体に何人の多剤
耐性結核患者がいるかについて把握されているかという
ことです。少なくとも,発表されている数字だけを見れば,
どの自治体でも多剤耐性患者は10人未満であり,個別に
把握することも可能です。さらに,多剤耐性患者の治療
支援を強化
すれば,再 図5 2009年各都道府県市の新登録肺結核培
養検査結果入力割合と薬剤感受性結果
発,感染が
入力割合の相関(r=0.606)
減少し,発
生患者数が
徐々に減少
していくこ
ともサーベ
イランスで
観察可能に
なるのでは
ないでしょ
うか。
まとめ
我が国の結核対策も今や,低まん延時代を迎えつつ
あり,従来の全般的アプローチからリスク集団の特定
さらに個別症例に合わせた柔軟な対策を実施すること
が必要になってきます。そのためには,全体の単純な
傾向を知るだけでなく,より分析的に統計を読んでい
くことが求められています。それぞれの自治体や保健
所は,自分の地区の統計,指標,数字にも注目してい
ただき,今後の対策のあり方を検討したり,予防計画
の作成に役立てていただきたいと思います。
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平成22年度結核予防週間実施予定行事
(複十字シール運動キャンペーン)
※日程・場所・行事内容で掲載しております
北海道
①9/24(金)∼10/2(土) 札幌市北区 「札幌市北区健康をまもる
つどい」による街頭募金の実施。 ②9/24(金)∼30
(木) 札幌エ
ルプラザ公共4施設内(札幌市北区) 支部主催による,パネル
展並びに各種啓発用媒体物を配布する。 ③9/24(金)
(予定) す
すきの交番付近(札幌市中央区) 夜間無料結核検診を札幌市保
健所と共催で行うと共に,北海道健康をまもる地域団体連合会に
よる複十字シール街頭募金を通じ,結核予防思想の普及啓発を図
る。
青 森
①9/23(木) 青森市内4カ所の大型ショッピングセンターの協力
を得て,青森県結核予防婦人会と合同で結核予防のリーフレット・
風船・ティッシュ等を配布し,街頭募金を実施する。 ②9/1(水)
∼30(木) 青森県支部正面に結核予防週間,標語入り看板,のぼ
りを掲示する。 ③9/6(月)∼30(木) 青森県庁,庁舎に結核予防
週間・がん征圧月間の懸垂幕を掲示する。
岩 手
①10/2(土) 盛岡市保健所 結核予防街頭キャンペーン(盛岡市
保健所フェスタ2010) 複十字シール募金,普及啓発グッズの配
布,②結核予防週間中 岩手日報朝刊 新聞広告の掲載・結核予
防週間告知,前年度募金額報告,③市町村,保健所,病院,老健
施設,事業所,学校など 結核予防週間ポスター,パンフレット
の配布。
宮 城
①9/25(土)13:00∼15:00 JR仙台駅西口2階 ペデストリア
ンデッキ 全国一斉複十字シール運動街頭キャンペーン(支部・
宮婦連健康を守る母の会共催) 街頭募金。広報資材:複十字シー
ル・リーフレット,カットバン,風船。着ぐるみによるPR。健
康相談,肺年齢測定・血管年齢測定・血圧検査・体脂肪検査を無
料で実施。 ②9/24(金)∼30
(木) 仙台ロフト(JR仙台駅西口向
い正面) 電光掲示板で「結核予防週間」のPR ③9/24
(金)∼30
(木) 仙台市各区保健福祉センター 結核予防パネルの展示,結
核の常識・カットバン配布 ④8月∼11月 角田市,名取市,塩
釜市,亘理町の市民まつり等 宮婦連健康を守る母の会による街
頭募金 ⑤9月∼11月 仙台市区民まつり,市町村の健康まつり
への参加。 肺年齢測定・血管年齢測定,カットバン,風船の配
布 ⑥10/30(土)9:00∼14:00 複十字健診センター 健康まつ
りの開催 健康講話,肺年齢測定,血管年齢測定,骨密度測定,
血圧測定他 複十字シール募金,カットバン・風船の配布,各種
イベント
秋 田
①8/28(土) 秋田市民交流プラザ(アルヴェ)1Fきらめき広場
「健康“チェック&ケア”フェスタ」の開催 医師や看護職に
よる無料健康相談,各種の無料検診や運動機能測定などを行い,
合わせてパネルやポスター等の展示とリーフレットやティッシュ
等の配布を行い,県民に対し広く結核制圧を訴えるとともに,そ
の啓発に努める。 ②9/25(土) 秋田駅東西連絡通路 秋田駅西
側「ぽぽろ∼ど」・アゴラ広場 全国一斉複十字シール運動キャ
ンペーンの開催 支部職員の他,結核予防婦人会秋田県連合会正
副会長及び各地区連合会の正副会長と秋田市の会員に協力をいた
だいて,街頭募金を行う。リーフレットなどの配布を行い,結核
予防の呼びかけを行う。また,募金者には,着ぐるみと一緒に撮っ
たポラロイド写真を差し上げる。 ③9/24(金)∼30
(木) 秋田駅
前,秋田駅東西連絡通路及び総合保健センター前 1)乗合バス
の車内ステッカーと後部ステッカーを利用したPR 2)結核予
防週間ポスター,複十字シール運動ポスターの掲示 3)総合保
健センター前に野立て看板 4)新聞広告
山 形
①9/25(土) 全国一斉複十字シール運動キャンペーン 霞城セン
トラル・七日町ほっとなる広場(山形市)等 結核予防啓発パン
フレット・複十字シール運動リーフレット等の配布,セミナー会
場での複十字シール募金 他 ※9月はがん征圧月間でもあり,
「がん征圧・結核撲滅街頭キャンペーン」として実施。その中で
複十字シール募金運動も実施。 ②9/24(金)∼30
(木) 以下によ
6
り受診勧奨及び予防週間の周知 1)当支部事務局及び5ヶ所の
検診センターに横断幕を掲示,2)市町村,事業所,学校等に結
核予防ポスター及びパンフレットを配布,3)職員名札に周知プ
レート添付,4)テレビ広報,5)ラジオ広報,6)新聞広報
福 島
①9/25(土) 福島市保健福祉センター 福島市主催の「健康フェ
スタ2010」に参加し,来場者へ結核予防パンフレットや啓発グッ
ズを配布し,結核予防週間の周知と複十字シール募金運動に努め
る。
茨 城
①9月中旬,県内各地(3カ所を予定)において,街頭キャンペー
ン実施。県および県健康をまもる女性団体連絡会とともに,催事
等にて結核予防パンフレット等の配布を行う。 ②9/24(金)∼30
(木) 県内全域において,新聞,ラジオ等により結核予防のメッ
セージを発信する。
栃 木
①9/23(木)10:00∼17:00 FKDインターパーク店 結核予防
婦人連絡協議会と共同でキャンペーングッズの配布やパネル展示
を行い,結核予防思想の普及を図り,併せて街頭募金を実施する。
②9/24(金)∼30(木) ラジオにより結核予防週間の広報活動を
行う(1日1回,20秒)。
群 馬
①結核予防週間中のいずれか1日 新聞広告で結核予防週間のス
ローガン及び結核に関する啓発内容を掲載する。 ②10/16(土) 群馬県庁,県民ホール 「女性連協フェスティバル」において結
核予防婦人会と共同でキャンペーンを実施する。
埼 玉
①9/23(木) JR浦和駅・JR川越駅 支部職員,地域婦人会,官
公庁職員と合同で街頭募金を行う。子供たちに人気の埼玉県のマ
スコット『コバトン(着ぐるみ)』もシール募金を呼びかける。 ②9月中 埼玉県庁 県庁舎に,結核予防を謳った懸垂幕を掲げ,
広く県民にアピールするとともに,庁舎内でも結核予防のパネル
を展示する。 ③埼玉県広報誌『彩の国だより(9月1日発行)』
に「結核予防週間に向けて」と題し,結核予防の記事を掲載予定。
千 葉
①9/25(土) JR千葉駅東口駅前広場 千葉県連合婦人会,千葉
県と共同で,1)結核予防パンフレット・啓発用マスク・支部作
成シールぼうやティッシュ等の配布,着ぐるみ等による募金活動,
2)i-Brass
(ママさんブラス)による「小さなシールに大きな愛
を」他の演奏。②9月(予防週間内)
JR千葉駅・蘇我駅・千葉
みなと駅構内 啓発用ポスターを掲示する。③9月中 千葉県支
部総合健診センター入口 結核予防週間の懸垂幕を掲示する。
東 京
①9/24(金)14:00∼16:00 JR両国駅西口より両国国技館まで
の通路 結核予防の普及を図るため,国技館に行かれる方を中心
に,のぼりを立て,キャンペーングッズ(パンフレット・シール
ぼうやボールペン・風船等)を通行人へ配布して,結核予防週間
の周知と普及・啓発に努める。
神奈川
①9/18(土) 小田原駅東西自由通路 複十字シール募金活動を婦
人会と合同(30人)で実施予定。②9/25(土) 藤沢駅コンコース
藤沢市保健所職員と合同で複十字シール募金活動を実施予定。
③10月 相模原保健所 健康フェスタ 婦人会と合同で複十字
シール募金活動を実施予定。④11/3(水) 寒川町 新しく婦人会
協力のもと,複十字シール募金活動実施予定。⑤11/3(水) 秦野
市 新しく婦人会協力のもと,複十字シール募金活動実施予定。
⑥11/6(土) 厚木市保健センター 厚木市健康フェスタ 婦人会
と合同で複十字シール募金活動実施予定。
山 梨
①9/24(金)7:30∼9:00 JR甲府駅前 県及び婦人会(山梨県
愛育連合会・山梨県連合婦人会)と共同で街頭キャンペーンを行
う。広告入り花の種,オーキューバンの配布並びに募金を呼びか
ける。
報道による,キャンペーン実施のPR ②9/24
(金)
∼30
(木)
結核予防会山梨県支部 建物に健診を呼びかける懸垂幕の掲示
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長 野
①9/22(水)11:00∼12:00 松本駅周辺 支部職員,結核予防婦
人会,長野よろこびの会(がん克服者の会)と共に,パンフレッ
ト等の配布や街頭募金を実施する。パネル展示。②9/23(木)11:
00∼12:00 長野駅周辺 支部職員,結核予防婦人会,長野よろ
こびの会(がん克服者の会)と共に,パンフレット等の配布や街
頭募金を実施する。パネル展示。 ③9/24(金)∼29(水) 県下全
域(ラジオ放送)
結核についての予防,啓発のためのスポット
放送,9/24ラジオカー取材(生放送)
。 ④9/24(金)∼30(木) 県
内路線(電車) 中吊り広告(ポスター使用)の掲示。 ⑤9/23(木)
他 地方新聞(信濃毎日新聞等) 結核についての予防,啓発並
びに複十字シール運動についての広告掲載。⑥9/24(金)∼30(木)
胸部並びに循環器検診車 結核予防週間周知のための垂幕をつ
けPRする。
新 潟
①10/10(日) 小千谷総合体育館 「小千谷市健康まつり」リーフ
レット,オーキューバン 等配布し,募金活動を行う。超音波に
よる骨密度測定を無料で行う予定。 ②10/24(日) 10:30∼15:
00 新潟市万代シティパーク 「新潟市民健康福祉まつり」で,
リーフレット,オーキューバン,風船等を配布し,募金活動を行
う。無料肺年齢測定を予定。
富 山
①9/23(木) 富山市総曲輪通り付近 富山県結核予防婦人会とと
もに,結核予防普及啓発用パンフレット,オーキューバン等の配
布及び複十字シール募金活動を行う。また,大道芸人のバルーン
パフォーマンスによりキャンペーンをアピールする。 ②9/1(水)
∼30(木) 富山市役所広告塔 懸垂幕に今年度の標語「そのせき,
結核ではありませんか?」を掲揚し,普及啓発を図る。 ③9/1(水)
∼30(木) とやま健康パーク がん予防展の開催に併せて,結核
予防パネル展示を行う。 ④9/1(水)∼30
(木) JR富山駅前,高
岡駅前において街頭放送を流す。
石 川
9/26(日)13:00∼14:00 金沢市 しいのき迎賓館広場 石川県
婦人団体協議会,がん体験者の会,石川県支部職員にて,リーフ
レット,オーキューバン,ポケットティッシュ等を配布し,結核
予防の普及啓発を図る。
福 井
①9/24(金) JR福井駅東口・西口広場 県民に,結核の常識,
複十字シール運動リーフレット,広報用オーキューバンを配布し,
啓発活動を実施する。 ②9∼11月 健康を守る女性の会加入団
体所在地5か所で,会員の協力を得て,啓発活動を実施する。 ③9月 本部作成の結核予防週間用ポスター,パンフレットを配
布する。 ④10月 県内2会場 感染症(結核)予防対策研修会
を実施する。
静 岡
①9/25(土) アピタ静岡店セントラルコート 静岡県支部と静岡
県・静岡市・静岡県結核予防婦人会静岡市支部により,予防週間
に向けて複十字シール運動街頭キャンペーンを行う。 ②8∼12
月 静岡県結核予防婦人会各支部が中心となり,各種行事で普及
啓発活動・街頭募金など実施。 ③8月下旬∼10/1(金)
しずて
つジャストラインバス・静岡鉄道電車 バス窓上ポスター広告,
電車内中吊,窓上ポスター広告等(450枚) ④8月∼静岡県庁・
県内健康福祉センター,静岡県総合社会福祉会館,静岡県男女共
同参画センター,御殿場市秩父宮記念公園において,複十字シー
ル運動ポスター及び結核予防週間ポスター掲示 ⑤9月 静岡市
の広報誌に,結核予防週間に向けて結核の知識及び複十字シール
運動の紹介を掲載し,各世帯等に配布。 ⑥9∼11月(予定) 静
岡県・富士市・焼津市・小山町・裾野市の健康まつり等にて,啓
発資料配布及び広報活動,結核・肺がん予防に関するパネル展示。
愛 知
①9/18(土)∼19
(日)
あいち健康プラザ 結核予防週間に先立
ち,あいち県民健康祭の会場において,結核予防会愛知県支部と
して,来館者に対して複十字シールリーフレット,風船,オー
キューバン等の配布,パネル展示を行い,結核予防思想の普及と
募金を呼びかける。 ②9/19(日) あいち健康プラザ 結核予防
週間に先立ち,あいち県民健康祭の会場において,県民に検診に
よる早期発見の重要性を広めるため,結核・肺がんの無料検診を
実施する。 ③9/24(金)∼30
(木) 総合健診センター昭和区永金
町事務所 結核予防週間中に「結核予防週間 9月24日∼30日」,
「結
核はあなたの自信にかくれんぼう」の懸垂幕を掲げて,結核予防
思想の普及に努める。
岐 阜
①9月中(予定)
毎日新聞朝刊,紙上に結核予防を呼びかける
内容記事を掲載 ②9月中(予定)
岐阜市内ショッピングセン
ター周辺(予定)
パンフレット,啓発グッズの配布及び複十字
シール募金活動を行う。 ③県・市町村各医師会,県内小中学校
及び養護学校,結核病床所有病院等 結核予防週間・複十字シー
ル運動ポスター,リーフレットの配布,掲示依頼
三 重
①10/17(日) グローバルフェスタ・あいあい祭り2010(亀山市)
②10/24(日) 三雲嬉野ふれあい健康まつり(松阪市) 市町が
開催する健康まつりに参加し,結核予防婦人会と共に結核予防啓
発資材を来場者に配布しつつ募金依頼を行う(シールぼうやT
シャツを着用)
。 ②9/24(金)∼30
(木) 県下全県民局 各県民
局の庁舎壁面に結核予防標語の懸垂幕を掲揚し予防思想の普及啓
発を図る。
滋 賀
①9/24(金)16:00∼17:00(予定) 西武大津ショッピングセン
ター,大津PARCO周辺 支部職員と結核予防婦人団体がリーフ
レットを街頭にて配布し,募金を呼びかける。募金していただい
た方には,小型シールもしくは封筒組合せ等をお渡しする。②
9/24(金),9/27(月)10:00∼17:00 びわこ競艇 支部職員が普
及啓発を呼びかけ,街頭募金を行う。募金していただいた方には,
小型シールもしくは封筒組合せ等をお渡しする。
京 都
①9/1(水) 京都アスニー(京都市生涯学習総合センター)4階
ホール 講演会の実施 講演「結核の予防とがんを考えるつど
い」 講演Ⅰ「都市における結核問題にどう対処すべきか∼大阪
とマニラでの経験から∼」講演Ⅱ「胃がんの疫学とその治療」
②9/28(火) 京都駅前とその周辺 街頭募金・無料結核検診・啓
発資料の配布,保健師による結核相談窓口の開設,結核に関する
ポスター・パネルの掲示 ③結核予防週間中 府内各地域におい
て,府内の保健所と地域の婦人会と共同で啓発・募金活動を行う。
④結核予防週間中 京都府支部(京都予防医学センター)・京都
市内地下鉄,バス沿線 懸垂幕による啓発活動・ポスターによる
啓発活動
大 阪
①9/24(金) 『結核予防推進大会』 ぷくぷくドーム「ぷくホー
ル」(南河内郡河南町) (社)大阪エイフボランタリーネットワー
クとの共催,大阪府・大阪市・堺市・東大阪市・高槻市・河南町
の後援により結核予防関係婦人団体中央講習会の研修報告や大阪
府内の結核の現況についてのミニ講話,「結核と肺の生活習慣病」
についてのレクチャー&クイズを行い結核予防の普及啓発を行
う。 ②9/24(金) 『肺年齢測定体験会』
ぷくぷくドーム「ぷ
くホール」入口周辺(南河内郡河南町) 肺年齢測定をスパイロ
メーターを使用して,パネル,のぼりを設置し,実施する。 ③
9/28(火) 『街頭無料健診の実施(堺市実施)』 「美原区役所」
前(堺市美原区) 胸部健診車を設置し,うちわ・ポケットティッ
シュ・エコバッグを配布し,広報及び普及啓発を行う。 ④9/28
(火) 『全国一斉複十字シール運動キャンペーン』 「大丸心斎橋
店」周辺(大阪市中央区) 大阪市地域女性団体協議会(参加人
員12人)とシールぼうや(着ぐるみ)とともに街頭広報にて運動
を展開し,募金箱,のぼりを設置してうちわ,ポケットティッシュ,
エコバッグ等を配布。 ⑤8/2(月)・8/20(金)・9/7(火) 『複十字
シール運動・結核予防週間キャンペーン』 大阪府支部正面(大
阪市中央区) のぼりを設置し,うちわ・ポケットティッシュ・
エコバッグを配布し,広報及び普及啓発を行う。 ⑥8/18(水)∼
大阪府支部内 施設内においてシールぼうやタオル(オリジナル)
を健診受診者・患者様に配布し,複十字シール運動と結核予防週
間の普及啓発を展開する。 ⑦8/21(土)∼9/30(木) 大阪府支部
ホームページ 本年度の配布グッズ,各行事の写真等を掲載し,
結核予防週間の周知をする
兵 庫
①9月中 兵庫県庁,三宮センタープラザ,兵庫県健康財団 結
核予防の啓発懸垂幕を掲示する。 ②9/24(金)∼30
(木) 神戸市
営地下鉄 駅構内 結核予防週間ポスターにより,結核予防の普
及啓発を行う。 ③(日程調整中) 兵庫県内3カ所 職員,婦人
会,地方公共団体職員とともに,資材を配布し,結核予防の普及
啓発を行う。併せて募金活動を行う。
奈 良
①9月末日予定 近鉄奈良駅 行基菩薩一帯 街頭募金他キャン
ペーン(奈良県健康を守る婦人の会理事による実施)
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和歌山
①9/28(火) JR和歌山駅・南海和歌山市駅 結核予防週間の周
知と結核に対する関心を深めつつ,複十字シール運動リーフレッ
ト等を配布し,結核予防の普及啓発と募金活動を実施する。 ②
9/24(金)∼30(木) 和歌山放送 結核予防啓発ラジオスポット放
送予定。
鳥 取
①9/19(日) ジャスコ日吉津店,②9/20(月) ジャスコ鳥取北店,
倉吉パープルタウンの県内3ヶ所, ①②の両日,鳥取県健康を
守る婦人の会と共催で,複十字シール運動リーフレット,結核予
防週間パンフレット,鳥取県の結核状況チラシを配布し募金への
協力を呼びかける。平井伸治鳥取県知事に参加を要請中。
島 根
①県,市町村,医師会等に対してポスター掲示を依頼,パンフレッ
トの送付。婦人会,他各種団体に募金協力の依頼を行う。
岡 山
①9/25(土) 倉敷市「イズミゆめタウン倉敷」 街頭活動:啓発
資材,標語入りゴム風船等の配布,パネル,X線写真展示並びに
募金活動。 街頭無料検診:骨密度,身長,体重,血圧,体脂肪
率の測定,スモーカーライザーによる測定,健康相談。 ②9/24
(金)∼30(木) 財団法人岡山県健康づくり財団附属病院にて,結
核無料検診(胸部間接撮影)実施
広 島
①9/26(日) ゆめタウン広島(広島市南区) 1)複十字シール
運動,結核予防週間ののぼりを掲げ,複十字シール運動リーフレッ
ト,結核予防週間パンフレット(結核の常識2010)及びキャンペー
ン用資材を配布する。 2)結核,肺がんの無料検診を実施する。
②9/1(水)∼30(木) 広島県健康福祉センター1階エントランス
ホール(広島市南区)
1)結核予防パネルを展示し,結核予防
週間ポスター,禁煙ポスターを掲示する。 2)複十字シール募
金箱を設置し,複十字シール運動リーフレット,結核予防週間パ
ンフレット(結核の常識2010)を配布する。 ③7/30(金)∼12/17
(金) 広島県庁正面玄関ロビー(広島市中区) 複十字シール募
金箱の設置 ④9/24(金)∼30(木) 広島市中区八丁堀 大画面文
字広告「C-Vision」を活用した結核予防週間の広報
山 口
①11/3(水) 山口市阿東町 道の駅「長門峡」イベント広場 「長
門峡もみじ祭」においての街頭募金,キャンペーン
徳 島
①9/25(土)
(予定) JR徳島駅前 街頭募金,無料結核検診を実
施するほか,パンフレット等を配布する。 ②8/1(日)∼12/31(金)
徳島県全域 徳島県所有の公用車1台に,複十字シール運動の
普及啓発用シートを貼り付け広報する。
香 川
①10/24
(日) 多度津町民健康センター 健康まつりにおいて,
香川県婦人団体連絡協議会の協力のもと,結核予防の思想普及と
複十字シール募金を行う。 ②(日程調整中) 香川県内において,
香川県婦人団体連絡協議会と共催で,街頭募金を行う。結核の常
識等の配布をし,結核についての正しい知識と結核予防を呼びか
ける。
愛 媛
①9/23(木)13:00∼14:30 いよてつ高島屋前の北側歩道(松山
市駅北口)付近 結核パネルの展示及びのぼりを設置するほか,
結核予防パンフレット,風船,ポケットティッシュ等を配布して,
結核予防の普及啓発と募金を呼びかける。また,募金者にはクジ
引きにて複十字シール運動グッズをプレゼントする。
高 知
①9/26(日) 高知市中央公園を本部として,ひろめ市場→帯屋町
→高知大丸周辺 (支部,婦人会の共催)県の応援も得て,全国
一斉複十字シール運動キャンペーン実施(約30名)。無料健康相談,
血圧測定,パネル展示,募金活動(シール募金充当検診車披露,
風船,啓発用資料配付) ②9/17(金)∼10/1(金) 結核予防会高
知県支部 懸垂幕にてアピール ③9/25(土) 高知県総合保健協
会 中央健診センターにおいて無料検診,40歳以上の方を対象と
し,希望者全員の胸部検診を実施。啓発用資材配布(新聞折込み
チラシ30,000枚配布し広報する)。
福 岡
①9/23日(木) エルガーラ・パサージュ広場 全国一斉複十字
シール運動キャンペーン(支部・福岡県結核予防婦人会主催) 胸部レントゲン健診,健康相談,血圧測定,体脂肪測定,呼気一
酸化炭素濃度測定を無料で実施。パンフレットや風船等の配布。
会場ステージにて結核予防ミニ講演やジャグリングを行う。結核
8
予防に関するパネル展示。複十字シール募金。 ②9月 福岡
Yahoo!JAPAN ドーム 大型ビジョンに『結核予防週間』につい
て放映予定 ③9/24(金)∼30
(木) 福岡結核予防センター 『結
核予防週間』の懸垂幕の掲示 ④西日本シティ銀行本店及び支店
『結核予防週間』
『複十字シール運動』ポスターの掲示,パンフ
レット配布予定 ⑤10月 福岡市各保健所の健康フェアー 『結
核の常識』
『複十字シール運動』パンフレット配布,結核予防に
関するパネル展示予定
佐 賀
①9/23(木) 大和ジャスコ・ゆめタウン佐賀(ショッピングセン
ター) 健康を守る佐賀県婦人の会とともに,街頭募金活動及び
パンフレット等の啓発グッズを配布する。 ②9/24(金)∼30(木)
佐賀県支部建物に結核予防週間PRの懸垂幕を掲示
長 崎
9/25(土)午後 夢彩都(ゆめさいと 大型ショッピングセンター・
長崎市)
長崎市保健所,長崎県地域婦人団体連絡協議会,長崎
県支部と合同で,街頭キャンペーンを実施,シール募金,広報資
材の配布(ボールペン・風船等)を行う(予定)。
熊 本
①9/19(日) 熊本市「動植物園」 ヘルシーデーの1ブースにて
複十字シール運動のキャンペーン。街頭募金・リーフレット・風
船等の啓発資材配布,パネル・ポスター・たばこと肺モデルの展
示等。②9/25(土) 水俣市「M's City」 街頭募金・リーフレット・
風船等の啓発資材配布,パネル・ポスター・たばこと肺モデルの
展示等。無料結核検診。
大 分
①9/24(金) トキハデパート大分店前 結核予防婦人会,大分県,
大分市保健所と合同で街頭キャンペーンを行い,通行者に普及啓
発用ティッシュ,リーフレット等を配布する。
宮 崎
①9/1(水)∼30(木)のいずれか1日 宮崎日日,朝日,毎日,読売,
西日本の各新聞に広告を掲載。 ②9/24(金)∼30
(木) 宮崎山形
屋 デ パ ー ト 懸 垂 幕 の 掲 示 ③9/1
(水)∼ 30
(木) 橘 通 り デ
パート前交差点スーパービジョンに電飾看板広告を掲示(1日
100回,1回15秒) ④9/3(金)宮崎市,9/22(水)日南市,9/30(木)
延岡市,以上の3カ所で街頭キャンペーンを予定
鹿児島
①9/22(水)15:00∼16:30 JR鹿児島中央駅内コンコース 鹿
児島県結核成人病予防婦人会と合同で小型シール・リーフレット
及びオーキューバン等を配布すると共に,街頭募金活動を行う。
また,ポスター・パネルを展示して,正しい知識の普及を図り,
健診受診を呼びかける。 ②9/24(金)∼30
(木)
県内の公共交通
機関(JR駅構内・フェリー船内及びターミナル)・公共施設・医
療機関等に啓発ポスターを配布する。
沖 縄
①9/24(金) 県庁前県民広場 資料配付,街頭募金,放送車によ
る街頭PR。パネル展示(県庁内1階 県民ホール及び支部1階
ロビー)②各保健所管内での啓発運動,③大手スーパー前 資料
配付 ポスター掲示
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平成22年度 都道府県知事表敬訪問報告
8月1日の複十字シール運動開始日に各都道府県では,各県知事を各県支部役員並びに結核予防婦人会長等が
訪問し,複十字シール運動への協力をお願いした。今回は,28支部からの報告を掲載する(南から8月15日現在)。
●沖縄県支部
●大分県支部
8/2,上原副知事を比嘉支部長,大城会長(県結
核予防婦人連絡協議会)らが訪問。複十字シール運動
の協力要請を行った。新聞への掲載も行われ,結核制
圧の普及啓発に力強いスタートとなった。
8/6,広瀬知事を後藤県婦人会会長らが訪問。県
の結核の現状並びに「複十字シール運動」へのご理解
をいただき,本運動推進への一層の協力をお願いした。
●熊本県支部
●鹿児島県支部
7/30,岡積副知事を瀬戸山副支部長,伊佐会長(県
結核成人病予防婦人会)らが訪問。結核の現状につい
ては,高齢の患者が増えていることが話題になり,複
十字シール運動については,募金額の減少傾向を止め
るために更なるご協力をお願いした。
8/4,森枝健康福祉部長を尾方副支部長,東家会
長(熊本県健康を守る婦人の会)らが訪問。結核の現
状及び複十字シール運動の趣旨報告をし、協力を依頼
した。また啓発グッズを贈呈した。
●長崎県支部
●宮崎県支部
8/2,河野副知事を永友副支部長,谷口会長(県健
康増進婦人の会)らが訪問。日ごろの募金活動を通じて
感じたことなどを副知事と意見交換し、結核は過去の病
気でなく、現代の病気であることを広く知ってもらうこ
とが、予防には大切であると意見が出された。
8/2,池松福祉保健部長を牟田県婦人会会長らが
訪問。ポスターやキャンペーングッズを渡し,今回の
訪問の趣旨を説明,今後の活動のご協力をお願いした。
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●佐賀県支部
●徳島県支部
7/29,平子健康福祉本部長を佐賀県婦人会会長ら
が訪問。婦人会長から陳情書を手渡し、複十字シール
運動の協力を呼びかけた。
8/2,飯泉知事を川島理事長,横関会長(県婦人
団体連合会)らが訪問。知事からは,結核制圧のため
複十字シール運動に県職員はもとより市町村にも協力
を働きかけたいとお返事をいただいた。
●福岡県支部
●岡山県支部
8/2,山 副知事を松田支部長,木下会長(福岡
県結核予防婦人会)らが訪問。結核予防及び普及啓発
対策の重要性並びに「複十字シール運動」へのご理解
をいただき,本運動推進への一層の協力をお願いした。
●愛媛県支部
7/29,石井知事を井戸理事長、藤本会長(岡山県
愛育委員連合会)とシールぼうやが訪問。シールぼう
やを贈呈し,普及啓発活動への協力と,複十字シール
運動へのさらなる支援をお願いした。知事からも、結
核制圧に向けさらに取り組んでまいりましょうとのお
言葉をいただいた。
●奈良県支部
8/3,高浜副知事を久野支部長と川本会長らが訪問。
結核の状況及び21年度の複十字シール運動の状況につ
いて報告を行い、理解と協力お願いした。なお,翌日の
地元紙(愛媛新聞)に掲載された。
●香川県支部
8/2,県医療政策部長を中島会長(奈良県健康を
守る婦人の会)と副会長2名が訪問。結核予防だけで
はアピールが難しい現実と,今後の新しい普及啓発の
仕方について真摯に話し合われた。
●大阪府支部
8/2,真鍋知事を森下支部長と野田会長(結核予
防婦人会)らが訪問。知事より他の先進国に比べ日本
に結核が多い理由や,いつから結核予防の活動が行わ
れたのかなどを質問された。翌日には地元紙(四国新
聞)に掲載された。
10
8/6,綛山副知事を小倉支部長と上ノ山会長㈳大
阪エイフボランタリーネットワーク)らが訪問。複十
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字シール運動の説明および協力を依頼。綛山副知事よ
り「大阪府は厳しい財政状態が続いているが,府庁内
各部課に声がけして協力させていただく。大阪の結核
を減らすには,現在の大阪の状況を理解し,行政・婦
人会等みんなで協力しあっていかなければいけない」
とお言葉をいただいた。
●岐阜県支部
●滋賀県支部
8/3,西藤副知事を和泉支部長,竹中会長(県結
核予防婦人部連合会)らがシールぼうやと一緒に訪問。
複十字シール運動の県内状況及び他県の募金状況を伝
え,互いに協力し,岐阜県の結核制圧のため力を合わ
せていくことを確認し合った。
●福井県支部
7/30,嘉田知事を太田支部長,中野婦人会会長ら
が訪問。結核の現状報告と複十字シール運動の協力依
頼を行ったところ、滋賀県では外国人の患者がふえて
いるので、観光交流局 多文化共生チームへこの事を
伝えてほしいとコメントされた。
●三重県支部
8/6,西川知事を松田支部長と宇野会長(県健康
を守る女性の会)が訪問。事業の趣旨,複十字シール
運動の意義,目的,現状を説明し,県知事にご理解い
ただいたうえで,関係機関に対しての働きかけについ
て一層の協力を依頼した。
●石川県支部
8/2,安田副知事を中井診療所長と濱千代副会長
(結核予防婦人会)らが訪問。わが国および三重県に
おける結核の現状を説明し,複十字シール運動への理
解と協力をお願いした。当日は地元テレビ局および新
聞社の取材を受け,テレビ放映と紙面にも掲載された。
●愛知県支部
8/3木下健康福祉部長を村田専務理事と高田会長
(県婦人団体協議会)らが訪問。結核の現状の説明と,
複十字シール募金の依頼を行った。シールぼうやの携
帯ストラップ(テディベアー型)や,今年度の複十字
シールをお渡しした。
●新潟県支部
7/30,高尾副知事を伊藤支部長と武田副会長(県
地域婦人団体連絡協議会)らが訪問。結核の現状,愛
知県支部における募金の状況,結核予防会本部の公益
財団法人認定などを説明し,複十字シール運動の協力
を依頼した。
8/2神保副知事を栗田副支部長,外山会長らが訪
問。結核は現在は高齢者だけでなく,免疫がない若者
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や発展途上国等の高蔓延国からの入国者も注意が必要
であることを説明。また,当県の複十字シール募金の
状況をお伝えし,理解と協力をお願いした。
●栃木県支部
婦連健康を守る母の会)らが訪問。副知事から,県内
の結核病棟を有する病院が仙台市内から遠く離れた宮
城県循環器・呼吸器病センター1ヵ所になったが,県
として結核治療に全力を挙げて取り組む,という心強
いお言葉をいただいた。
●岩手県支部
8/4,麻生副知事を小林支部長と婦人会の小野会長
らが訪問。複十字シール運動の趣旨や結核の現状,普
及啓発活動の重要性を説明し,配布する予定のキャン
ペーングッズをお渡しして運動への協力を依頼。地元新
聞社とラジオ局の取材を受け,翌日の新聞に掲載された。
8/2,達増知事を高橋支部長と及川会長(県地域
婦人団体協議会)らが訪問。知事は真剣に耳を傾け,
結核の現状に対するご質問を積極的になさると同時
に,結核予防普及啓発活動に対する励ましのお言葉を
述べられた。
●茨城県支部
●青森県支部
7/28,山口副知事を根本専務理事,中島副会長(県
健康をまもる女性団体連絡会)らが訪問。複十字シー
ル運動の趣旨及び募金状況,結核の現状等を報告し,
本運動への協力を依頼するとともに,大会決議・宣言
文を手渡し,結核対策の推進をお願いした。
7/29,三村知事を向井県婦人会会長らが訪問。複
十字シールをアルバムにして贈り,複十字シール運動
の普及と募金活動について協力を依頼した。知事から
心強い支援のお言葉をいただき,この様子は地元新聞
3社に掲載された。
●秋田県支部
●北海道支部
8/2,佐竹知事を鎌田専務理事と小玉会長(婦人
会秋田県連合会)らが訪問。佐竹知事は,婦人会員の
結核予防に対する意識の高さ,熱心さに大変感心して
くださり,激励の言葉をいただいた。
●宮城県支部
8/2,高橋保健福祉部長を上村支部長,斎藤県婦
人会会長らが訪問。高橋部長から,斎藤会長が会長を
務める札幌市北区健康をまもるつどいの募金実績を例
に,他の地区でもさらに運動を盛り上げる工夫をして
いただければ,とアドバイスをいただいた。
猛暑日が続く暑い最中,県のご
担当者との調整を含め,無事,知
事表敬訪問が行えましたことを,
全国支部及び婦人会の皆様に,御
礼申し上げます。
7/30,三浦副知事を堀村常務理事と三浦会長(宮
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関西地域の結核対策と
パートナーシップ
ストップ結核パートナーシップ日本
7月21日,大阪大学医学部銀杏
会館ホールにて,
「関西地域のこ
れからの結核対策のあり方を考え
るセミナー・意見交換会」が開催
されました。このセミナーは,大
阪大学大学院医科学修士課程プロ
グラムの一環で,関西大学社会安
全学部の高鳥毛敏雄教授の主催に
よるものです。
関西地区はご存じの通り,結核
罹患率が全国で最も高く,最後まで結核問題が残ると考えられており,また結核高蔓延地
域であるアジア諸国との交流が益々活発化すると予想される地域です。そして,関西地域
は様々な官,民,専門組織,ボランティア組織などが現実に対応したアプローチをもって
独自の活動を展開しています。
その様な中にあって,今回のセミナーの目的は,関西地域の行政,医療機関,民間団体,
研究者が一同に会して話しあう機会をまずもうけること。パートナーシップの理念にのっ
とり,既存の組織の壁を超えた,結核(健康)問題解決を目指すこと。STBJの事業とし
ては,
関西での官民を超えたパートナーシップ強化に向けた第一歩とすることにありました。
年内には,再び関西で,シンポジウムを高鳥毛教授主導のもと開催予定です。STBJと
しても,パートナーシップの理念のもと,関西地域のこれからの結核対策の後押しができ
ればと考えております。そして,関西が,国際を視野に入れたアジアの結核対策の拠点と
して機能することを期待しています。
タイトル:俳人尾崎放哉の「咳をしても一人(Coughing even;alone)から。咳をしても1人じゃないぞ!
ストップ結核パートナーシップ日本だより №
Ⅰ部のセミナー「ストップ結核パートナーシップ―関西地域の結核対策―」には,80名
もの,これからの結核対策を担う学生や医師,研究者,そして保健所等の直接現場で結核
対策に関わる方々,NGO,企業の方々等がそれぞれの地域や所属を超え参加されました。
まず高鳥毛教授より,セミナーの趣旨,関西地域の人々の結びつきかた,関西の結核の
現状と将来の結核対策の方向性について説明があり,今後パートナーシップの理念に基づ
く活動が必要となるとのお話がありました。
続いて,田中慶司STBJ代表理事・事務局長による,ストップ結核パートナーシップ日本
の設立の経緯と将来の展望について,そしてSTBP(WHOと連携した,STBJの親団体)
の行動指針というべきACSM
(アドボカシー,コミュニケーション,ソシアルモビライゼイ
ション)
(
『複十字』No.334 p.9を参照されたい)
,患者の権利と同時に患者の義務などから
なる「結核患者憲章」の紹介がなされました。
「結核患者憲章」の考え方や「ACSM」の手
法は関西地域のこれからの結核対策を考える時に有効なのではとの投げかけがありました。
最後に,公益財団法人結核予防会結核研究所副所長の下内昭先生より,かつて大阪市の
結核対策の担当をしておられた立場から,大阪市の「ストップ結核」作戦(2001-2010年
で結核罹患率を半減)の成功事例,あいりん・ホームレスの問題および対策,外国人結核
の発生の状況,治療の実態,必要な対策など,関西地域における結核対策の現状の課題と
将来展望についてお話がありました。
Ⅱ部の意見交換会では40名が出席され,参加者全員が,関西地域の結核対策について熱
心に意見を述べられました。それぞれがおかれている環境の違いの上に立っての発言は,
関西という地域の特殊性を強く意識したのと同時に,このセミナーの目的の一つである「結
核関係者が一同に会して話しあう」ことの意義を感じました。
Coughing even; not alone
宮本 彩子
事務局次長 13
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心のこもった言葉と花と音楽に包まれた
「青木正和先生を偲ぶお別れの会」
公益財団法人結核予防会
竹下 隆夫
総務部長 公益財団法人結核予防会は,本年7月13日(火)リー
は母親の文さんゆずり,でさらには露伴先生の影響が
ガロイヤルホテル東京において,故「青木正和先生を
色濃くあるものでした。また,娘さんの奈緒さんも,
偲ぶお別れの会」を開催した。ご親族,友人をはじめ,
ドイツ文学者から随筆家としてすぐれた文章家になら
行政関係,支部,婦人会,関連団体など400名近い関
れたわけで,君は幸田家を支える文化的にも素晴らし
係者のご参列を得て,総裁秋篠宮妃殿下臨席のもと,
い仕事をなさったと私は思います。
会は午後2時から5時まで2部構成で行われた。
(略)君に突然にいかれてしまい,私は非常にさび
写真にあるように,第1部の「青木正和先生を偲ぶ
しく,悲しく思います。君は,いつだったかの会話で,
お別れの会」の会場正面の祭壇には,白を基調としつ
「ぼくは生きている限り結核との闘争をしていきたい。
つも青木先生が好まれた沢山の花に囲まれて,大きな
そのために長生きしたい」と言っていましたね。でも
遺影とご逝去後に授与された「旭日中綬章」の勲記・
君はいってしまった。これからは,天におられて,日
勲章が中央に飾られた。
本の,いや全世界の結核患者さんのために,その治療
会は,結核予防会長田功理事長の「開会の言葉」に
と治癒のために,あとに残る人々を助けてあげてくだ
始まり,参列者全員による黙祷のあと,下記の3人の
さい。(略)」
方から心のこもった滋味掬すべき「故人に贈る言葉」
が遺影に向かって語りかけられた。
〈支部関係者の代表として:岡山県支部の守谷欣明理事〉
(略)最
「(略)先生には,多くの著書があります。
〈友人代表として:
小説家で精神科医の加賀乙彦(本名:小木貞孝)氏〉
近出版された,医師,看護職のための結核病学全6巻
は,国内外の文献を引用して,結核病学の進歩を解説
「(略)1949年に同級生として東京大学医学部医学科
し,我が国の結核対策の今後の方向を示すものでした。
に入ってから,もっとも長く深くつきあったのは東大
先生の著書は,わかりやすい解説で,多くの関係者に
セツルメントでの活動でした。亀有の大谷田の引揚者
読まれ,そこには,全国どこに住んでいても,等しく,
寮の近くに診療所や保育所があり,貧しい人々が,結
最新の結核医療が受けられるようにとの先生のお心が
核や赤痢や疫痢にかかって苦しんでいました。井戸の
ありました。
水質検査,集団検診などを大学の医師の手伝いとして
小石川の先生のご自宅をおたずねしたことがありま
おこないました。雨の日のぬかるみ道を,二人で歌を
す。庭には美しい花が咲き,書斎にCDプレーヤーが
唄い泥んこになりながら,駅から歩いてきたり,診療
あって,奥様にお茶の接待をいただきました。先生は,
所に薩摩芋だけの夕食で泊まりこんだりしましたね。
ここで,ご多用の中を,お好きなモーツアルトを聞い
青木君は,大勢のセツラーの中心人物で,計画を練り,
て,お疲れを癒しながら,あの様に精力的な執筆活動
この貧しい人々の街の衛生面での改善に努力してい
を続けられたと感じました。
た。とくに結核の多いことが集団検診で明らかになっ
昭和62年から,老人保健法で,結核検診のレントゲ
たことは,君が卒業後結核予防会に入り,その病気と
ン写真を用いた肺癌検診が始まりました。これに先立
戦う基礎が,セツルメントでできたと私は思っていま
ち,10年余り,国立がんセンターで,肺癌検診の方式
す。
の確立と普及のための研究があり,先生は,私達とこ
医学科を卒業後,君は予防会に,私は精神医学教室
の研究班に参加されました。我が国で,精度の高い結
へと道が別れたけれども,(略)同じ文京区のすぐ近
核検診が行われていたから,肺癌を早期に発見するこ
くにいて,交際が続いていきました。幸田露伴の娘,
とが可能になった訳です。先生は,精度の高い健康診
幸田文さんと言えば,大変な文豪ですが,君は文さん
断こそが,受診者の幸せにつながると,いつもおっ
の娘,玉さんと結婚したのでした。(略)その後,幸
しゃっていました。(略)」
田文さんが病気になられたときに,君は玉夫人ととも
に献身的な看護をしたのでした。また,その後,玉さ
んは随筆家として有名になられ,その短い正確な描写
14
〈師弟の代表として:結核研究所の石川信克所長〉
「(略)先生は,昭和28年東京大学医学部を卒業され,
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翌年に結核研究所に入職,隈部所長,岩崎研
究部長のもとで,結核医としてのスタートを
されました。以来56年の長きにわたり,結核
研究所および結核予防会の中心的な推進者と
して活躍され,我が国ばかりでなく,世界の
結核病学,結核対策の進展に多大な貢献をさ
れました。(略)83歳のお誕生日を目前に,
突然生涯を閉じられました。今,先生とお別
れせねばならないことは,私たちにとって耐
え難い悲しみであります。
(略)私と前任の所長の森亨君は,青木先生の中堅
献花を終えた参列者は第1部の会場と隣室の第2部
時代の昭和43年に結核研究所に就職しましたが,この
の会場との間で,ご令室の青木玉様,ご令息の幸田尚
40年間,私共にとって,先生はいつも寄りかかれる大
様,ご令嬢の堀内奈緒様ご夫妻及び結核予防会長田功
木のような存在でした。その木は,決して成長を止め
理事長,橋本寿専務理事,島尾忠男顧問の立礼を受け,
ず,私たちにチャレンジをされ,そして励ましを与え
第2部の会場に移動した。
てくださいました。指導力に富む一方,柔軟性や思い
第2部は「故人を偲ぶ会」として執り行われたが,
やりもあり,時に伝統やしがらみにとらわれない革新
会場には青木先生の学生時代から近影までの写真の展
的な変革のための英断をされました。
示コーナーもあり,モーツァルトのレクイエムなど弦
先生からもっと多くを学びたいと思っている私ども
楽四重奏の生演奏が会場全体を柔らかく包むBGMと
を残して先生は逝かれました。しかし大木の先生が世
して雰囲気を醸し出していた。
界中に放った種が各地で芽を出し,若木となっている
最初に,結核予防会における青木先生の先輩である
ことを見ます。日本はもとより,世界の各地から,先
島尾忠男顧問の挨拶と献杯があり,その後,次の11人
生の教え子や友人たちが電報やメールで,その死を悼
の方から順次「故人に贈る言葉」として,青木先生を
み,感謝を込め,ご家族への哀悼のメッセージを送っ
偲ぶ思い出話や感謝の言葉などが参加者に披露された。
てきています。WHOからは,先生の追悼講義を企画
① 厚生労働省を代表して:上田博三健康局長
したいと提案してきました。
② 日本呼吸器学会を代表して:相澤久道会長
我々は,倒れた大木の太い幹の傷口から小さな声を
③ 日本結核病学会を代表して:鈴木公典常務理事
聞きとります,
『結核との戦いは,終わっていない。しっ
④ 同級生
(浦和高校,東大医学部)
で友人:遠藤昌一氏
かり研究を続けよ,倦まずたゆまず,戦うのだ,前に
⑤ 結核予防会支部を代表して:田中元直宮城県支部長
向かえ』(略)」
⑥ 結核予防婦人団体連絡協議会を代表して:中畔都
また,このお別れ会に出席できない方等から多くの
⑦ 師弟の一人として:森亨結核研究所名誉所長
弔電やお礼の言葉が寄せられ,WHO(世界保健機関)
⑧ 師弟の一人として:国立病院機構東京病院・中島
舍子会長
西太平洋事務局・シンヤンスー事務局長,大韓結核協
由槻院長
会・ムンヨンムック会長,日本結核病学会・渡辺彰理
⑨ 師弟の一人で,青木先生が創設した結核対策指導
事長,沖縄県の仲井眞弘多知事,神戸市の矢田立郎市
者養成コースの第1期卒業生の代表として:山形県
長(阪神淡路大震災時のお礼)のものなどが読み上げ
衛生研究所・阿彦忠之所長
られ,日本医師会・原中勝征会長,WHO神戸センター・
クマレサン所長,近畿中央胸部疾患センター・坂谷光
則名誉院長,福島県・佐藤雄平知事など全部で30数通
に及んでいる。
⑩ 都道府県の福祉衛生部の代表として:沖縄県福祉
保健部・宮里達也保健衛生統括監
⑪ 保健師長期研修卒業生の代表として:椙山女学園
大学・石井英子教授
続いて,ご令室の青木玉様からご遺族を代表しての
ご鄭重な謝辞があり,その後ご遺族,総裁,主催者代
「故人を偲ぶ会」は最後に,橋本専務理事の閉会の
表,ご親族,参列者の順で献花がしめやかに行われて
挨拶で締めくくられ終了した。
第1部は終了した。
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特報
故青木正和会長、旭日中綬章を叙勲
公益財団法人結核予防会
竹下 隆夫
総務部長 16
本年5月29日にご逝去された故青木正和会長に「旭
日本結核病学会でも,多くの原著を投稿される一方,
日中綬章」が授与された。叙勲は命日のひと月後に閣
理事や理事長,会長などの重任を歴任され,基礎から
議決定され,写真のように勲記・勲章は7月13日の「青
疫学・対策に及ぶ幅広い見識で学会の発展に大きく貢
木先生を偲ぶお別れ会」の会場でも披露された。
献されました。総会で特別講演を6回以上もされた方
叙勲には「瑞宝章」と「旭日章」があるが,前者が
は,他に例が見られないと思われます。
公共的業務に長年従事してきた人を対象とした叙勲で
一方,結核検診を利用した肺がん検診のあり方につ
あることに対し,「旭日章」は社会に対する功労者の
いて研究し,その成果である名著『肺癌検診提要』は
なかでも顕著な功績を上げた人に授与される栄典とさ
対策従事者に貴重な参考書として利用されました。先
れている。
生は文章の才に恵まれ,さらに努力を加えて200編以
故青木会長の功績については,結核研究所の石川信
上の論文や40冊に及ぶ著書を著されました。
克所長の「故人に贈る言葉」の中に要約されているの
行政的には,厚生省公衆衛生審議会の委員や部会長
で,引用させていただく。
として,国の結核対策の様々な改善に積極的に関わら
「先生の業績は,(略)大きく四つの柱に分けられま
れ,新しい政策変換に貢献されました。また,保健医
す。結核を中心とした研究業績,行政的功績,国際協
療従事者への研修では,各地での出張指導や研究所内
力での功績,そして結核予防会の舵取りとしての功績
での研修に尽力をされました。見識と人間性に富んだ
です。
先生の名講義は,日本国中から来た多くの人材に深い
結核研究の業績では,まず初期に,動物実験による
感銘とインスピレーションを与えました。
結核の発病と進展に関する感染病理の研究に取り組ま
国際協力での功績では,特にJICAのネパールプロ
れ,その後,結核の集団感染,定期外検診,サーベイ
ジェクトで,現地に何度も赴き,DOTSの導入や拡大
ランスと研究内容の中心が疫学に転じていかれ,それ
など近代的国家結核対策づくりに多大の貢献をされま
に加えて,非結核性抗酸菌症や肺がんの疫学まで研究
した。国際結核・肺疾患予防連合(IUATLD),国際
の幅を広められました。
結核サーベイランス研究会(TSRU)等の国際研究ネッ
勉強家で,深く広い学識に加え,時代の流れをキャッ
トワーク活動でも活躍され,対策や研究の推進をされ
チし,それを逃がさない洞察力と,ユニークな発想も
ました。国際研修でも長年講義を担当され,諸国から
先生の特徴です。集団感染がまだ大きな社会問題に
の研修生たちに大きな影響を与えました。
なっていなかった頃に,先進国での先例に着目して文
最後に結核予防会では,理事長,会長として,見識
献レビューを行い,その成果を著書『結核集団感染が
と決断を持って,荒波を航海する大船の舵取りをされ
疑われたとき』として出版され,その後の対策に大き
ました。先生無くしては,現在の結核予防会はなかっ
な貢献をされました。
たといっても過言ではありません」
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結核研究所紹介
電子顕微鏡による可視化で編纂する
「結核菌の歩き方」
結核研究所 抗酸菌レファレンス部
山田 博之
細菌検査科科長代理 結核菌は液体培地では濁りとして,固形培地上では
め急速凍結法という固定法が1950年代から開発されて
コロニーとして肉眼で観察できます。しかし肉眼の分
きました。生物学的な標本を10,000K/秒以上の急速な
解能は約0.2mmであり,個々の菌を観察するためには
温度変化を伴って凍結すると標本中の水分が氷晶を形
抗酸菌に特異的な染色と光学顕微鏡を使う必要があり
成することなくガラス状になりきれいな標本を観察で
ます。光学顕微鏡で観察すると結核菌は集塊状や分散
きます。
した菌として確認することができます。但し光学顕微
今回,結核研究所菌バンク施設にあるP3バイオハ
鏡もその分解能は約0.2µmであり,幅が0.2∼0.4µm,
ザード領域の安全キャビネット内で,液体培地で培養
長さが1∼5µmの結核菌の内部を詳細に見ることは
した結核菌を液体窒素で冷却した液体プロパンに急速
到底できません。例えてみれば肉眼観察は宇宙ステー
に漬け込む浸漬法を用いて急速凍結し電子顕微鏡で観
ションから地球を眺めているのに相当し,光学顕微鏡
察しました。その結果,化学固定では観察されなかっ
観察は低空飛行の飛行機から地上の生き物を見ている
た 主 に リ ボ ソ ー ム か ら な る 均 一 な 菌 体 内 構 造,
のに過ぎません。
DNA,更に細胞壁外膜の観察が可能になりました。
結核菌の内部を観察するには電子顕微鏡が必要で
今回の方法は,将来開発が期待される,光学顕微鏡の
す。電子顕微鏡は1931年ドイツで開発され,現在に至
GFPに相当する電子顕微鏡用分子標識技術と組み合わ
るまで様々な改良がなされて,生物学的な材料を用い
せれば,結核菌の内部で起こる様々な酵素反応,抗生
た場合,数nm(100万分の1mm)の分解能があるので,
物質と標的分子の相互作用が起こる場の詳細な検討が
結核菌の内部も十分観察できます。装置の進化と平行
可能になると考えられます。それは結核対策を有利に
して,動植物,微生物などの材料を電子顕微鏡で観察
進める上で極めて重要なことです。
する方法も多く試みられ,現在では主にアルデヒド系
旅行ガイドブック「地球の歩き方」シリーズをご存
(フォルマリンの仲間)の薬品で「固定」という処理
じの方は多いでしょう。世界中の有名都市に関して詳
を行い(化学固定)観察することが一般的です。しか
細な情報を提供しています。重要なことは,実際に訪
し,化学固定は化学反応と長時間の処理を伴うため最
れた人の情報が使われていることです。
終的な観察像が生きた状態の構造をそのまま反映して
急 速 凍 結 法 や 最 近 開 発 さ れ たCEMOVIS(cryo-
いるかどうかは不確実です。特に,細菌は構造が単純
electron microscopy with vitreous section)法は生き
で高等生物とは異なり細胞内小器官や細胞骨格といっ
た状態に極めて近い標本を電子顕微鏡で観察し可視化
た膜構造や骨組みが乏しいため,生きた菌の内部構造
する優れた方法ですから,これまで誰も訪れたことが
がそのまま保たれている保証はありません。
なく,化学固定による不確かな想像図でしかなかった
他方,できるだけ生きた状態に近い電顕像を得るた
バクテリア内部の真実の姿を撮影できるようになるで
しょう。将来,詳細な観察により結核菌の「リボソー
ムレストラン」,「細胞壁遊園地」,「DNA博物館」を
詳しく記した「結核菌の歩き方」が完成すれば結核撲
滅のために果たす役割は極めて大きいと期待されます。
【参考文献】
Yamada H, Mitarai S, Chikamatsu K, Mizuno K, Yamaguchi
M., Novel freeze-substitution electron microscopy provides
new aspects of virulent Mycobacterium tuberculosis with
visualization of the outer membrane and satisfying biosafety
A,C:化学固定,B,D:急速凍結法
バーの長さ A,B:0.5µm,C,D:0.2µm
requirements. J Microbiol Methods. 2010 Jan; 80(1): 14-8.
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結核対策
活動紹介
渋谷区における結核対策の
取り組みについて
∼治療中に音信途絶した結核患者の早期保護をめざして∼
渋谷区保健所 感染症対策係
○西塚 至 安田 さお里 佐藤 総
三枝 愛 吉良 千尋 千葉 幸子
1 渋谷区の結核概要
渋谷区は東京23区の中心部に位置する人口約20万人の
特別区で,罹患率は近年20人台(人口10万対)で推移し
ていたが,2009年は33.1人と増加した(図1)
。同年は管
内の施設で 公設派遣村(正式名称「失業者など生活困
窮者の年末年始を支援する東京都の生活相談,宿泊提供
の事業」
)が開設されるなど注目されたほか,管内にある
生活保護法に基づく保護施設や簡易宿泊所で結核患者
が複数発生するなど,長引く経済不況により住所不定者
などで結核が拡大する「都市型結核」が顕在化している。
治療成績についても,渋谷区は全ての新登録患者に
保健師が治療中断リスクを評価し,患者に合わせた服
薬支援に努めることで,これまで中途脱落はほとんど
いなかった(表1)。しかし住所不定の新登録患者が
近年増加し,入院中に病院を抜け出すなど治療脱落が
2010年にはいり相次いだ。
【図1】 罹患率の年次推移
2 治療中に音信途絶した結核患者につい
て東京都感染症健康危機管理情報ネッ
トワークシステムを活用した広域連携
によって早期保護を図る取り組み
⑴ はじめに
東京都感染症健康危機管理情報ネットワークシステ
ム(以下,「K-net」という)は,東京都福祉保健局
が構築したもので,東京都内及びアジア大都市の感染
症対策に携わる関係機関(地方感染症情報センター,
保健所,医療機関等)において,感染症に係る情報収
集・分析機能を強化するとともに,連携を促進し,感
染症発生時における迅速で的確な対応を確保すること
を目的に2006年4月運用開始された(図2)。
東京都における結核の罹患率は都道府県で大阪に続
き第2位であるばかりか,先進県との地域格差も拡大
している1)。
都内では全国一律な対策に加え,
「現代型・
都市型結核」を克服するため,住所不定者,外国人,若
年者など「重点対象者」への対策が急務となっている2)。
渋谷区は2010年1月から,所在が不明の登録患者に
関する情報(以下,「所在不明情報」
)をK-netにより
都内保健所へ提供し,その消息について都内全域で調
査を行っている。また他の保健所にも呼びかけ,各所
の所在不明情報を一元的に管理し,自治体を移動する
患者に全都一体で対応できる新たな連携を構築した。
【図2】 東京都感染症健康危機管理情報ネットワークシステム(K-net)
結核研究所疫学情報センターの公表資料をもとに作成。
2009年の全国、東京都の罹患率は年末時点の暫定値。
東京都福祉保健局が構築した広域ネットワーク。感染症に係る情報収集・分析機能
を強化するとともに,連携を促進し,感染症発生時における迅速で的確な対応を確保
することを目的に平成18年4月運用開始された。渋谷区は平成22年1月から,治療中
に音信が途絶した患者の発見・治療再開を迅速に行う目的で,K-netを活用した広域
にわたる調査を積極的に行う取り組みを始めた。
【表1】 渋谷区 前年登録喀痰塗抹陽性肺結核初回治療コホート観察
渋谷区の治療成績の推移を示す。渋谷区では担当保健師が全ての新登録患者に治療
中断リスクを評価し,患者に合わせた服薬支援に努めることで,これまで失敗脱落割
合は少なかった(表中の脱落5名はいずれも副作用等により医師の指示により服薬を
中止したもので自己中断ではない)
。表に示していないが,2010年は新登録患者,と
りわけ住所不定者の治療中断が相次いでいる。
前年塗抹陽性
肺結核登録数
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
22
17
20
32
17
15
13
13
13
治癒
4
2
2
12
2
4
0
2
3
完了
2
4
11
5
11
3
4
5
6
【再掲】治療成績
死亡
失敗
脱落
0
0
0
0
3
0
0
1
0
0
4
2
0
2
1
0
0
0
3
0
1
4
0
0
0
0
1
失敗脱落
その他※ 割 合
16
0.00%
8
17.65%
6
5.00%
9
18.75%
1
17.65%
8
0.00%
5
7.69%
2
0.00%
3
7.69%
※ 「その他」は,2006年までは管理指標のうち「その他」,「不明」を合わせたもの。
2007年以降は「転出」,「12か月を超える」,「判定不能」を合わせたものとした。
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⑵ 目 的
広域にわたる積極的な情報収集により,行方不明の患
者を早期発見し,治療を再開する。それにより当該患者
の健康を保持し,
地域への感染拡大を防止することである。
⑶ 方 法
ア)対 象
調査対象は,治療中に所在不明となり早期に治療
を再開しなければ患者の生命にかかわり,又は地域
住民へ結核を拡大させる恐れがある登録患者とした。
イ)調 査
本調査はインターネット調査法を用いた。端末
はK-netを利用し,都内保健所が閲覧できる掲示
板「診療情報迅速把握システム」に所在不明情報
を掲載した。回答はインターネット又は電話で受
け付けた。
ウ)倫理的配慮
本調査は感染症の予防及び感染症の患者に対す
る医療に関する法律(平成10年法律第114号)第
15条第1項に基づき都道府県知事等が行う積極的
疫学調査である。個人情報の保護については個人
情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号),
渋谷区個人情報保護条例(平成元年渋谷区条例第
40号)を遵守した。K-netの利用には「東京都感
染症健康危機管理情報ネットワークシステム実施
要綱」(平成18年1月31日付17福保健感第511号東
京都福祉保健局長)を遵守するとともに,本目的
での利用について平成22年1月6日システム管理
者である東京都福祉保健局から了承を得た。
⑷ 結 果
平成22年1月6日から8月末までに渋谷区が掲載し
た行方不明情報は3件あった。(表2)。いずれも住所
不定の無職で,症例1と2は治療中に病院を無断で出
たもので,症例3は退院後解雇され寮を退去し所在不
明となった。この3件について延べ15件の情報が寄せ
られた(8月末現在)。うち「症例2が調査開始6日
【表2】 渋谷区がK-netで広域調査を行った所在不明者
患
者
年
齢
性
別
職
業
病
名
病
型
喀痰塗抹
同
定
経
過
K-net掲 載
転
機
中断リスク
症例1
症例2
症例3
30代
30代
50代
男性
男性
男性
無職
元日雇労働者
飲食店従業員(退院後解雇)
肺結核
肺結核
肺結核
bⅢ2
bⅡ2
bⅠ3
G0号
G2号
G4号
PCR(+)
PCR(+)
PCR(+)
H14年2月 勧告入院(A区)
H21年1月 勧告入院(A区)
H22年2月 勧告入院(渋谷区)
〃 9月 退院。生活保護(B市)
4日後離院
〃 4月 退院。解雇され寮退去
H18年8月 行方不明
〃 2月 勧告入院(C区)
〃 6月 受診時現れず行方不明
H21年12月 勧告入院(渋谷区)
直後、離院
〃 12月 無断離院
〃 9月 勧告入院(D区)
8日後離院
〃 9月 勧告入院(E市)
〃 10月 3日後離院
〃 12月 勧告入院(渋谷区)
H22年1月 24日後離院
平成22年1月6日
平成22年1月14日
平成22年7月21日
K-net掲載6日後、発見、保護(F区)
発見に至らず
発見に至らず
・アルコール(禁酒困難) ・金銭管理困難。保護費受給 ・病気で解雇されたため、
・病識の欠如
し、無断離院を繰り返す
①職を喪失、将来への強い不安
②住居を喪失、路上生活、通信手段なし
・健康への無関心
・集団生活が不得手
③社会的孤立、相談相手なし
・病識の欠如
・知的に問題がみられ、病識欠如
注)表中のAからFは各々自治体の名称。病型及び検査成績は登録時のもの。転機は平成22年8月末
現在のもの。
後に某区の福祉事務所を訪れ胸痛と咳を訴えた」とい
う情報提供があり,症例2の早期発見につながった。
この症例は過去に複数の自治体から入院勧告されなが
ら,何度も病院を離れ都内を移動し,症状が増悪する
と病歴を申告しないまま新たに生活保護を受け病院へ
の短期入院を繰り返していた。この他,本調査を通じ
て「実名を教えてほしい」,「管内の福祉事務所から情
報があった」などの照会・情報提供が多く寄せられた。
3 まとめと展望
結核治療の完遂は最大の結核予防策とされているもの
の,近年は治療を規則的に継続することが困難な患者が
増加しており,全般的に治療成績が悪化しつつあると憂
慮されている2)。とりわけ生活が困窮する住所不定者で
は,不規則な生活,結核に関する知識の不足などにより
治療の拒否を招く可能性が高いことが指摘されている3)。
東京都は「東京都結核予防計画」を平成17年12月策
定し,住所不定者,外国人及び若年者を「重点対象者」
に位置付け,
「現代型・都市型結核の克服」に向けた対
策を打ち出した。都は計画で「治療完了のため,複数の
区市町村を移動する住所不定者等の結核患者を完治まで
支援するための広域ネットワークの構築」を検討すると
し,
区市町村を超えた一体的な取組の重要性を強調した2)。
渋谷区はこれまで治療脱落はほとんどなかったが,
平成21年12月症例1が所在不明となった。早期に当該
患者を発見し,治療再開が必要な一方,従前の対応で
は実現困難なため,渋谷区は平成22年1月6日から都
内全ての保健所に協力を求め,全域で所在について調
査を行うことにした。渋谷区はこれまで3件の調査で
1件の早期発見に成功した。当該事例はこれまで4回
の治療脱落歴があり,今回再入院まで結びついたこと
は意味のあることと思われた。
また渋谷区が都に提唱し,各保健所の所在不明情報
を一元的に管理し,都内保健所がその情報に基づき相
互に協力する広域連携を構築した。自験例を含め10保
健所が14件の所在不明者に関する調査を行い,少なく
とも6件の発見に成功した(平成22年8月末現在)
。
このように自治体を移動する住所不定の治療継続困難
例に,保健所を設置する自治体が都道府県単位で一体
となり,調査ができる取組は過去に報告がなく国内初
である。今後も引き続き事例を重ね,自治体を超えた
連携を一層強化するとともに効果も検証したい。治療
中断を繰り返しながら複数の自治体を移動する結核患
者への支援が全国に拡がり,困難例を含め一人でも多
くの患者が,確実な治癒に結びつくことを期待する。
【文献】
1)結核予防会「結核の統計2009」.p17. 2009年10月
2)東京都福祉保健局「東京都結核予防計画」.第3章.
p31. 2005年12月
3)日本結核病学会「結核の入院と退院の基準に関す
る見解」.結核.Vol.80. p389-390. 2005
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教育の頁
接触者健診の手引き
「改訂第4版」の解説
山形県衛生研究所長(兼)山形県健康福祉部医療政策監
阿彦 忠之
「結核の接触者健康診断(接触者健診)の手引き」は,
反)を優先,②小学生ではツ反を優先するが,必要に応
改正感染症法(結核対策も同法に包括)の施行に合わ
じてQFTを併用,③中学生∼高校生の年齢ではQFTを
せ,その「初版」が平成19年4月に公表された。新し
優先(必要に応じてツ反を併用)することを基本としつつ,
い結核感染診断法(QFT検査)の普及や分子疫学研
乳幼児や小学生においても結核の「発病」が疑われるケー
究などの科学技術の進歩を踏まえて改訂を重ね,平成
スでは,QFT検査を実施する意義があることを追加記載
20年6月以降は「第3版」が活用されてきた。その後
した。たとえば,結核患者との接触歴や画像所見からみ
も全国の保健所等から様々な意見が寄せられていたの
て結核発病の可能性が高いと評価されるにもかかわらず
で,平成21年度厚生労働科学研究費補助金による新型
菌の証明が困難な症例で「QFT陽性」と判明した場合の
インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業「罹患構
診断的意義は大きいことなどを説明した。
造の変化に対応した結核対策の構築に関する研究(研
⑷ QFT検査の実施時期に関する説明を追加
究代表者:石川信克)」の分担研究において,再改訂
QFT検査の標準的な実施時期については,従来と同
に向けた検討を行った。その成果として「改訂第4版」
様にwindow period
(結核の感染を受けてから,検査でそ
が平成22年6月末に完成し,全国保健所長会及び結核
の感染を確認できるまでの期間。8∼12週間と推定)を
研究所のホームページを通じて公開されているが,本
考慮し,感染性結核患者との最終接触から8週間以上経
稿では,今回の主な修正・追加事項について解説する。
過後に実施することとした。ただし,検査のタイミング
が早すぎた場合は「感染の見逃し(偽の陰性)
」が問題
1.QFT検査について
となる一方,遅すぎた場合は「検査時に既に発病」とい
改訂第4版で最も変更点が多かったのは,QFT検
う事態が懸念されるので,特に留意すべき事例を紹介し
査の適用方法等に関する事項である。その概要を以下
ながら対応方法を解説した。
に紹介する。
たとえば,結核患者の登録時点で既に接触期間(感染
⑴ QFT検査の適用年齢の「上限」を撤廃
曝露期間)の長い接触者に対しては(最終接触から8週
第3版では,
「中高齢者(50歳以上)には限定的な
以降の検査では遅すぎる可能性があるので)
,
「登録直後」
適用が望ましい」と記載していた。しかし,①わが国
にQFT検査を行い,これが「陰性」の場合は最終接触
の高齢者では,結核既感染であってもQFT陰性を示す
から2∼3ヶ月
(8∼12週)
経過後に再度QFT検査を行う。
例が多く,過去の古い感染歴のみでは陽性反応を示さ
また,スクリーニング検査の宿命として,検査対象と
ない可能性を示唆する研究報告があること,②現時点
なる疾患や病態の「有病率」が高い集団を対象とした場
においては,QFT検査の適用年齢の上限を具体的に設
合は,
「感度」の高い検査を適用しても,
「陰性的中度」
定するための根拠となる研究データがないこと,③潜
は低くなる。したがって,健診対象集団の結核感染率が
在性結核感染症の治療の適用年齢については,既に上
高い場合は,QFT検査の実施時期が早過ぎたための「偽
限が撤廃されていること,などを踏まえてQFT検査の
の陰性」が特に問題となりやすいので,最終接触から2ヶ
適用年齢の「上限」を撤廃することとした。ただし,
月後の接触者健診でQFT陽性者が多発している場合な
高齢者に実施した場合の事後対応の留意点を併記した。
どには,2ヶ月後のQFT検査が「陰性」の接触者に対し
⑵ 第3世代QFT検査(QFT-3G)に関する説明を追加
て,さらに1ヶ月後(最終接触から3ヶ月経過後)の再
わが国でもQFT-3Gが今後の主流になることを想定
検査を実施するという方法を提案した。
した説明を追加した。これに関連して,日本結核病学
成18年5月)」の改訂を検討中であり,同学会から新
2.航空機内及び海外等での接触者への対
応について
たな指針が示された場合は,それに即して本手引きの
航空機内や海外で感染性結核患者との接触歴があ
内容を修正活用することを求めた。
り,接触者健診が必要と判断されるケースについては,
⑶ 小児へのQFT検査の適用例及び留意点等の解説
航空会社や厚生労働省(健康局結核感染症課)などと
会の予防委員会がQFT検査に関する「使用指針(平
を追加
従来と同様に,①乳幼児ではツベルクリン反応検査(ツ
20
の連携が重要となるので,その具体的な対応方法につ
いて追加記載した。
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3.結核発病の有無の検査(胸部X線検査)
について
しておくことが望ましい,
などの留意点を補足説明した。
過去に明らかな結核感染歴や治療歴があるなどの理由
⑵ 調査結果に関する情報提供方法に関する説明を追加
により,QFT検査を実施しなかった場合,あるいは健診
結核菌分子疫学調査では,個別患者のみの検査結果
等の観点から,本調査の実施について患者本人に説明
対象集団のQFT陽性率が高いためにQFT
「陰性」でも発
は大きな意味を持たないが,検体提供者(患者)から
病リスクが高いと判断される場合などは,胸部X線検査
検査結果の開示を求められた場合は情報提供が必要で
を基本とした健診による経過観察が必要である。今回の
あり,その方法について説明した。
改訂版の検討に先立ち,全国の保健所等に意見募集を
集団としての調査結果の情報公開については,感染事
行ったところ,
「胸部X線検査のスケジュール表の例示」
例の関係者が保持している情報と照合することによって,
に関する要望・意見が最も多かった。そこで今回は,4
他の患者の個人情報が明らかとなったり,感染源・感染
つの想定事例とそれぞれの標準スケジュールを例示した
経路の特定が可能となる場合があるので,個人の中傷に
(別表)
。ただし,例示した想定を超える事例(例:多剤
つながらないような配慮をするなど慎重な対応を求めた。
(要治療)と診断され治療
耐性結核患者の接触者でLTBI
結核の専門知識や対策の基本を学んで「応用力」を高
めよう!
を実施しない場合など)については,発病リスクや対象
者の不安等も考慮して,経過観察の間隔を短縮するなど
臨機応変な対応が必要なことを補足した。
最後に,
「結核の接触者健診の手引き」の活用方法に
4.結核菌分子疫学調査について
にも記載のとおり,より質の高い接触者健診を実施する
⑴ 調査の法的根拠と留意点に関する説明を追加
ための基本指針を提示したものであり,
いわゆる「マニュ
結核菌分子疫学調査は,結核の感染源・感染経路等
アル」ではない。科学的根拠に基づいて接触者健診の
の究明に寄与する重要な調査であり,感染症法第15条
方法等を網羅的にマニュアル化することは困難である。
関する留意点を述べたい。本手引きは,その「序章」
に基づく調査(感染症の発生の状況,動向及び原因に
実際の健診では,個々の事例の特徴に応じて柔軟な対
関する調査)の基本項目の一つであることを明記した。
応が求められるので,細かな例示に頼るよりも基本の理
分子疫学調査では,
「疫学研究に関する倫理指針」
解が重要である。前述の「胸部X線検査のスケジュール
に基づき対象者からインフォームド・コンセントを受
表(別表)
」も基本を理解してもらうための例示であり,
けることなどが原則とされているが,結核菌分子疫学
実際に起こりうる事例を網羅したものではない。個々の
調査を法律(感染症法第15条)に基づく調査として明
事例における「応用力」を高めるためには,本手引きの
確に位置づけて実施する場合,同指針の適用対象とは
第2章(基本用語等の解説)の内容を理解するとともに,
ならないので,患者の同意を得ることが検査を行うた
結核の感染・発病論などの基本的な専門知識をよく学ん
めの必須条件とはならない。しかしながら,情報公開
だうえで本手引きを活用していただきたい。
別表 QFT(ツ反)検査を実施しない場合,またはQFT(ツ反)検査の結果を踏まえた標準的な対応ができない場合の「胸部X線検査」
による健診スケジュール(例)
登録直後
健診時期(※注1)→
3ヶ月後
(∼2ヶ月)
6ヶ月後
9ヵ月後
1年後
QFT
(ツ反)検査を実施せず,胸部X線主体の健診で経過観察を行う場合
◎
◎
◎
小児(BCG歴有)にツ反を実施し「陽性」であるが,LTBI(要治療)
とは判断されず,胸部X線による経過観察を行う場合
◎
◎
◎
QFT(ツ反)検査の結果,「結核感染あり」でLTBI(要治療)と判断さ
れたが,治療を実施しない場合
◎
高感染性患者の接触者健診におけるQFT検査で「感染あり」とはいえ
ないが,経過観察を要する場合(※注4)
◎
○
(※注3)
◎
◎
○
(※注3)
18ヶ月後
2年後
○
○
(※注2)
(※注2)
○
○
(※注2)
(※注2)
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎: 胸部X線検査を標準的に実施 ○: 発病リスク等に応じて胸部X線検査を実施
注1)健診時期の月数は,初発患者(感染性結核患者)との最終接触後の期間の目安
注2)高感染性患者の同居家族等の場合は,できるだけ実施。 健診対象集団の人数が多い場合は,1年後の健診までに新たな発病者が1人でも確認され
たら2年後まで実施。 (人数の多い集団で,1年後までに新たな発病者が1人も発見されない場合は,経過観察を終了としてもよい)
注3)LTBIとして要治療だが服薬せず,特に発病リスクが高いと判断される者(または,発病した場合の影響が大きい職種等に該当する者)に対しては,
3ヵ月後及び9ヵ月後の健診も考慮する。
注4)
「結核未感染」ではないが明らかな「結核感染あり」とも判断できずに経過観察となった接触者,あるいは健診対象集団のQFT陽性率が高いためQFT
「陰性」でも発病リスクが高いと判断される場合など
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教育の頁
結核菌感染とN-95マスク
−バイオハザード実験室での考え方−
結核研究所 抗酸菌レファレンス部
土井 教生
主任研究員 感染には経口感染,飛沫感染,空気感染等がありま
すが,結核菌は「空気感染」により感染します;結核
のような空気感染による感染症の予防や対策は非常に
困難です。飛沫に含まれていた水分を失い飛沫核の状
態になった結核菌はとても軽く,落下速度がたいへん
遅く,長時間空気中を漂うことになります。飛沫核を
含んだ空気はヒトの呼吸に伴って気管内に運ばれ,肺
内に侵入して結核の感染が成立し,発病に至る可能性
があります。直接接触しても,ふつうは感染するわけ
ではないので,手洗いやうがいをしても結核の感染予
防にはなりません。仮に誤って手指で結核菌を含むも
のに接触しても,消毒薬で洗い流してしまえば別段問
題はありません。最も避けなくてはならない危険なこ
とは,空気とともに結核菌(飛沫核)を鼻腔や口腔か
ら吸い込むことです。つまり,結核菌の感染から個人
の身を守る感染防護の装備のなかで,とりわけN-95
マスクの果たす役割が重要ということになります。
N-95マスクに求められる実用上の要件は以下に要
約した3点です。
⑴ N-95規格に合格した高品質な製品であること。
⑵ マ ス ク と 顔 の 間 に 隙 間 が で き ず, 自 然 に 顔 に
フィットすること。同時に,
⑶ 息苦しさや装着によるストレスが少ないこと。
〈バイオハザードP3実験室〉
私の研究室(新抗結核薬・化学療法プロジェクト)
は,新しい抗酸菌治療薬の開発・次世代の結核化学療
法に関するテーマを中心に研究を行っています。バイ
オハザード*実験室では,抗結核薬剤に対して耐性を
獲得していて特に危険性の高い(超)多剤耐性結核菌,
各種の非結核性抗酸菌をはじめ,病原性の強い結核菌
株を試験管内で取り扱っています。同時に,結核菌を
感染させた実験動物を,新薬の治療効果を研究する目
的で多数飼育しており,結核研究所の中では最も感染
危険度の高い実験室と言えます。
こうした研究目的に沿って,結核研究所の実験室では
病原細菌を物理的に封じ込めることのできる機能と構造
が完備された設備になっています。結核菌の場合,厳密
な物理的封じ込めが必要なバイオハザードP3レベルが要
求されます。感染動物もバイオハザード実験室内でP3レ
ベル専用の感染動物飼育エリアが設けられ,そこで飼育
されています。バイオハザードP3レベルの実験室は,病
原菌で汚染された可能性がある実験室内の空気が外部に
拡散しないよう,各実験室を段階的・系統的な陰圧条件
下で保持する空調システムで厳密に管理されており,病
原細菌および感染動物を扱う危険を伴う実験作業は安全
キャビネトの中でのみ行うのが原則です。実験室内の空
気は常時HEPAフィルターで濾過して排気され,外気に
22
放出されます。バイオハザードP3実験室は,予め登録を
済ませ,特別なセキュリティーカードを発行された職員
のみ入退室が可能な管理システムを採用しています。
このようなバイオハザードP3レベルの実験室内では,
研究者自身が(空気)感染から身を守らなくてはならず,
そのため質の高い感染防止のための装備がたいへん重
要な日常の作業上の要件となります。防護服は原則と
して静電気防止タイプの「無塵衣」と呼ばれる特別な
化学繊維で縫製された露出部分の無い「つなぎ」の防
護服が基本となります。両足は履物の上から膝まであ
るブーツカバーを履き,両手は作業内容に合わせ,適
した厚さとサイズのラテックスフリーの手術用手袋を
はめ,鼻・口には高性能N-95マスクを装着します。
私達の研究業務の特性上,バイオハザードP3実験
室内の作業はかなり長時間におよぶことが多いため,
上記⑶は必須の要件です。
〈N-95マスク〉
私達は仕事柄いろいろなN-95マスクを試着してきまし
たが,現在は以下のものが業務上必要とする厳格な要件
を良く満たしていると考えます。そのN-95マスクは「カッ
プ型の形状」で,内側に顔にフィットさせる「立体形状
の縁(メーカーでは“3次元立体接顔クッション”と呼
んでいる)
」さらに「締め紐の長さが調整できる構造」
を備えています。マスク内側の縁の部分がマスクと鼻・
口の周囲を自然に,しかもしっかりと密着させてくれま
す。この縁のお陰でフィルター部分に直接鼻や口が当た
らず,かつ締め紐の長さをより最適な長さに調整できる
ことで,息苦しさや圧迫感,装着によるストレスが大幅
に軽減されています。マスク・フィッティング・テスター
と呼ばれる測定器で漏れ率を測定すると,このN-95マス
クは1%以下を記録し,十分な安全性を確認できました。
結核の特性から,結核菌の感染者全員が発病するわ
けではありませんが,結核患者を入院させる病院などで
は,実験室のように空気を完全にコントロールできない
ので,医師,看護師,ケースワーカーの方達には高品質
のN-95マスクの着用が原則です。手軽に使用されるこ
とが多かったサージカルマスクは,ほとんどの飛沫核が
マスクと顔との隙間から空気とともに漏れ込んでくるた
め,
実質的な感染防護の役割を果たすことができません。
医療スタッフ一人一人が自分に適したN-95マスクを選
んで,正しく装着し,結核菌の空気感染の危険から自分
の身を守る日常の防護措置がたいへん重要となります。
バイオハザード:病原体等を扱う実験施設での感染災害を指
し,その防止対策のために危険度に応じた4段階の実験室基
準がある。P3はP4に次いで危険な病原体の感染災害と取扱い
に対応する設備の基準で,結核菌,炭疽菌,HIV,鳥インフル
エンザウイルス等が対象となる。
*
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世界の結核対策の動向について
ストップ結核パートナーシップ理事会
(2010年5月,ベトナム)より
結核研究所 加藤 誠也
副所長 ストップ結核パートナーシップ理事会はWHOス
ということで,あまり議論にならなかった。中国は昨
トップ結核部と協同しながら,結核対策に関わる各界
年の北京での多剤耐性に関する会議にも関わらず,政
の代表が方向性を議論する機会であり,年2回開催さ
府予算が確保されていない。一方,二次抗結核薬を生
れている。第18回は2010年5月4∼5日ベトナムのハ
産する製薬企業が1社または非常に少ないため,市場
ノイで開催された。多くの議題について議論されたが,
価格が跳ね上がっている。また,薬剤の質の問題,ま
今後の世界の対策に特に影響が大きいと思われる事項
た在庫不足もあるなど,抗結核薬の問題が大きくなっ
について報告する。
ていることが報告された。本理事会として多剤耐性結
世界基金の問題
核に関して以下の6項目を勧告することとなった。
現在進行中のプロジェクトのために最低85億米ドル
1)Global Laboratory Initiativeなどある程度進展して
が必要であり,新しい提案に対応するためには追加拠
いる部分と,薬剤の在庫不足など新たに問題となって
出が必要であるが,未だ確保されていない。このため,
いる部分があること,2)緊急に政治的関与の評価を
第11次募集においては,応募資格と優先順位は大きく
すること,3)対策の隘路になっている事項を評価する
見直される見込みとなっている。第10次募集について
こと,4)暫定の活動計画が必要なこと,5)薬剤の供
は応募資格と優先順位はその間の妥協となるが,それ
給の中断の問題があること,6)人材育成を図ること
を巡ってHIV,マラリアと競走になっている。
Global Planの改訂
アメリカの結核対策予算とアドボカシー
2011∼2015年の予算は当初に比較して薬剤9.65%,
オバマ政権になって結核に対する予算が削減となっ
ワクチン41.57%,診断薬411.80%の増加になる見込み
た。このため,ストップ結核パートナーシップは,ア
である。2011∼2015年のglobal Planの骨格として,目
ドボカシー計画を立てること,理事会のメンバーを議
標達成のため対策を急加速させる必要であることを強
会 に 対 するスポークスマンとして送り込むこと,
く打ち出すこと,次の5年間のアドボカシーの記録と
WHOとストップ結核パートナーシップのメンバーと
なること,過去5年間の全ての進歩を記すこと,連携
米国の政策関係者の定期会議を継続することとなっ
の強化,意欲的かつ現実的であることとされた。
た。また,アメリカに対するアドボカシーを意図して,
TB REACH
次々回(2011年4月頃)の理事会はワシントンで開催
カナダ国際開発庁の資金で患者発見強化に対するプ
されることになった。
ロジェクトの募集を行ったところ192の応募があった。
薬剤の不足と世界薬剤基金(Global Drug Facility)
このように多数の応募があることは予想外であった。
の問題
事前審査の段階で応募資格や書類の不備のために90が
一部の地域で,薬剤の在庫管理や購入プロセスの問
不適格とされ,102が審査委員会の対象になった。審
題などによって一次薬が不足になっていることが
査の結果,Bまでの30を修正も含めて可として,B-以
Union(IUATLD)から報告された。世界薬剤基金は
下は次回に再応募とすることにした。
設置から10年以上が経過して,その役割等も含めて見
まとめ
直しが必要になっている。コンサルティング会社によ
世界的な経済後退の中で,資金の問題は深刻な状況
る調査結果を踏まえて議論を行ったが,結論を出すた
になりつつある。多剤耐性結核対策の進展の必要性が
めの十分な資料がそろっていないとの理由で結論は先
提唱されているが必ずしも方向性は見えていない。一
送りになった。
方,検査関係における技術的進歩や研修のニーズは大
多剤耐性・超多剤耐性結核対策
きく,日本の貢献をアピールできるチャンスは大きい
多剤耐性,超多剤耐性結核は進展があまり見えず,
ものと思われる。日本の財政も大変厳しい状況ではあ
方向性も混沌としている。検査の問題が大きいことは
るが,大局的な視点からインパクトのある国際貢献を
織り込み済みで,今後再検討をすることになっている
考えたいものである。
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2009年の胸部画像精度管理研究会
報告と今後の提案
複十字病院
尾形 英雄
副院長 はじめに
2009年度は24年の歴史のあるフィルム評価会の名称を,胸
部画像精度管理研究会と改めて再出発した転機の年だった。
名称変更の経緯については,2008年度のフィルム評価会報告
でも述べたが,
簡単に云えば全国の医療機関で進んでいるフィ
ルムレス化(PACS)の波が,結核予防会の支部にも押し寄
せ3∼4年前からモニター診断する支部が徐々に増加してそ
の胸部画像の精度管理を取り上げる必要性を痛感するように
なったからである。しかし,シャーカステンがあれば同じ土
俵で評価できるフィルムと違い,周辺機器の準備だけでも大
変で名称変更を決定した胸部検診対策委員会精度管理部会の
場では本会そのものを解消する案まで議論された。何故それ
ほどモニター画像の精度管理が大変かについては後述すると
して,支部で撮影された画像データを初めてモニター画面で
みた2009年度の胸部画像精度管理研究会について報告する。
講演会と画像評価の成績
例年通り全国から70名の医師・放射線技師が参集して,12
月10・11日の両日結核研究所講堂で開催された。冒頭にモニ
ター画像の精度管理をこの会の目的に加えることを宣言した
上で,東京特殊電線と東陽テクニカの2つのモニターメー
カーからそれぞれ「液晶モニターの原理」と「液晶モニター
の精度管理」の講演を受けた。液晶モニターの表示能力は経
年的に劣化するため,開始時は表示能力をわざと80%程度に
落としているが,毎年表示能力を上げていくことによって5
年間は同じレベルで使えるよう自動設定されているという。
精度管理のために5年ごとにモニターを更新する必要性は
理解できたが,1台100万円以上する医用モニターを複数台
直接撮影フィルム評価結果の年次推移
間接撮影フィルム評価結果の年次推移
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持っている支部ではつらい出費となる。講演終了後6班に分
かれて各支部から提出されたフィルムを,
直接撮影フィルム・
デジタル画像フィルム・間接撮影フィルムの順に評価した。
直接撮影フィルム93枚の評価は,A14.0%,B39.8%,C上
43.0%,C中3.2%であった。例年との比較ではA・B評価と
もに増加し,C上やC中は減少する良好な結果であった。デ
ジ タ ル 画 像 フ ィ ル ム は85枚 で, A14.0 %, B34.0 %, C 上
42.%,C中9%であった。例年との比較ではA評価がやや増
加した反面,C上,C中が多く決して良い傾向ではなかった。
この問題点については次の項で言及する。間接撮影フィルム
は101本で,A7.9%,B28.7%,C上59.8%,C中4.0%であった。
例年に比べA評価の割合はやや少ないものの,B評価が多く
読影に不適なC中評価はわずかである。胸部画像精度管理
研究会になって初めての試みは,デジタル画像フィルムを提
出する支部にお願いして,その画像データを同時に提出して
もらい,各班にシャーカステンと同様1台ずつ高性能モニ
ターとパソコンを準備して,同じ被写体のフィルムとモニ
ター画像を見比べたことである。しかし用意したDICOMソ
フトが合わず,表示できない画像データが30%程度あった。
総評とデジタル画像フィルムの問題点
アナログ画像である間接撮影フィルム・直接撮影フィルム評
価結果の年次推移をみると,精度管理上問題となるC中・C
下評価のフィルムは一貫して減少し,最近では5%以下に定着
した。これはフィルム・増感紙の進歩や撮像機器・現像器の
改善・放射線技師の努力など様々な要素が絡み合っているが,
フィルム評価会も触媒的な役割を通して精度管理向上に貢献
した結果と自負する。これに対してデジタル画像フィルムは,
1998年の評価開始時には,A・B評価だけという高い評価を受
けたにもかかわらず,その後は毎年評価を下げ,2004年から
はC中やC下などの精度管理上問題となるフィルムまで現れ,
アナログ画像より劣る評価が定着してしまった。調査の結果,
C中やC下のフィルムを提出しているのは,主にアナログ撮影
から一気にPACS
(フィルムレス)を導入した支部だった。こ
うした支部は,日常的にはモニター診断していてフィルム出力
は想定していなかったので,プリンターに付けるべき出力調整
用のソフトがないまま質の悪いフィルムを提出している実態が
判った。今後はこうしたモニター診断だけをしている支部につ
いてはフィルム評価を中止して,デジタル画像フィルムで診断
をしている支部だけの評価に代えることにする。
委員会の最終目標
1985年に始まったフィルム評価会は,撮影条件の設定から
現像までの多くの行程で,放射線技師の技量や努力がものを
いうアナログ画像フィルムの優劣を競うコンテストであっ
た。A評価のチャンピオンフィルムをだした支部は参加者か
ら大いに賞賛されて励みにして,C中∼D評価をだした支部
はこれをテコにして技術向上に努力することができた。しか
しデジタル画像フィルムが登場すると,放射線技師の画質向
上に果たす役割が急速に低下して,代わってメーカーの技術
力ばかりがものをいうようになってしまった。画質向上に放
射線技師が関与できない問題は,モニター診断になると更に
深刻である。PACSメーカーは,画像処理すればクライアン
トが望む画像イメージはいくらでも作成できると豪語し,
撮った画像イメージに不満があればモニター画像の照度や
コントラストの調整で適正化できると説明する。つまり現在
の乱立するモニター機器・DICOMソフトが統一されたとし
ても,現場と全く同じ画像は再現できないし,モニター画像
の画質向上には繋がらないのである。それでも胸部画像精度
管理研究会と名称変更してモニター画像の検討を宣言した
のは,PACSメーカーに精度管理を任せられないからである。
アナログ胸部写真を知らずに医用デジタル画像業界に参入
したPACSメーカーは元より,フィルムメーカーから移行し
たPACSメーカーでも部署の異なるデジタル画像担当者は,
モニター画像の良し悪しを判断できないと公言している。彼
らにできることは,画像処理方法を変えたいくつかのモニ
ター画像をクライアントに見せて,希望する画像を提供する
ことである。鵺(ぬえ)のように捕らえどころのないモニター
画像の良し悪しを判断するのは,クライアントとなる我々で
ある。このときに道標になるのは,フィルム評価会の時代か
ら連綿と続いてアナログ画像評価で培った“目利き力”であ
る。このためにも間接・直接画像フィルムの評価は従来通り
続け,最終的には胸部画像精度管理研究会として推奨できる
PACSシステムを選定したい。
デジタルフィルム評価結果の年次推移
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平成22年度「世界エイズデー」
キャンペーンテーマについて
(財)エイズ予防財団
堀内 由紀
業務課主任 12月1日は「世界エイズデー」です。世界保健機関
は国際的には世界エイズキャンペーン(WAC)と国
(WHO)は1988年,エイズの流行の拡大防止,およ
連合同エイズ計画(UNAIDS)
,そして日本では厚生
びエイズの原因となるHIV
(ヒト免疫不全ウイルス)
労働省,エイズ予防財団が「世界エイズデー」に向け
に感染した人や感染の高いリスクにさらされている人
てキャンペーンテーマを主唱し,様々なキャンペーン
に対する差別・偏見の解消を図ることを目的として,
活動を展開しています。今年度の国内のテーマは,以
12月1日を“World AIDS Day”と定めました。現在
下に決定されました。
続けよう ∼Keep the promise,Keep your life∼
エイズの原因となるHIVというウイルスに感染しても仕事をやめることはないし,生活も続けられます。
治療の進歩は,安心して検査を受けられる条件を整え,予防対策にも貢献しています。エイズに取り
組み続けたたくさんの人がいてここまできました。社会の理解が広がり,関心を持つ人が増える。治療
も予防も,そのことに支えられています。
今回はテーマ選定のプロセスを重視し,前段階の作
た場合の病状の進行を抑えることが可能になります。
業として公開のフォーラムを2回,開催しました。フォー
HIVというウイルスが体内で増えることを妨げる抗レ
ラムには様々な立場の人が参加し,そこで得られた貴
トロウイルス薬(ARV)を複数組み合わせて使う抗
重な意見を集約したうえで,更に少人数のワーキンググ
レトロウイルス治療(ART)を開始したら,途中で止
ループによる検討を重ねた結果,本テーマが生まれたの
めずに治療を続けることが大切です。
です。下記の①から⑥は,どうして今年のテーマが「続
けよう」なのかを示すコンセプトシートです。これまで
③ エイズの流行と闘う人達を支え続けよう
のキャンペーンの反省点として,テーマがあいまいで誤
厚生労働省エイズ動向委員会の報告(2009年)では,
解を招くメッセージになる恐れがある,という危惧が指
男性同性間の性感染がHIV新規感染者報告のほぼ7
摘されました。このため,今回はテーマを発信する側,
割,エイズ患者報告のほぼ5割を占めています。大都
受け取る側の双方にテーマの真意が伝わるよう,コンセ
市圏のゲイコミュニティで予防や検査を呼びかけてき
プトの明確化に力が注がれました。
た成果の反映ではありますが,同時に国内のHIV感染
「続けよう」のメッセージは,HIV/エイズだけで
が少なくともこの10年,ゲイコミュニティを中心に広
なく結核にも通じる部分があるはずです。継続するこ
がってきたことを示唆するデータでもあります。感染
との大切さをあらためて心に留めながら,エイズ対策
の現状に対応し,予防対策は男性同性間の性感染に焦
に携われればと思います。
点を当てる必要があります。ただし,その努力はゲイ
コミュニティだけで完結するものではありません。エ
① 仕事も生活も続けよう
イズの流行に大きな影響を受けているコミュニティを
HIVに感染している人が初めて感染を知ったときに,
取り巻く人と社会が広くその努力の必要性を理解し,
ショックと混乱で今までの生活が続けられないと思って
支援することがエイズとの困難な闘いを継続する大き
しまう。思いあまって会社を辞めてしまう。そんな話を
な力になります。
しばしば聞きます。でも,辞める必要は全くありません。
仕事を含めKeep your life,今の生活を維持し,その基
④ 予防と支援のメッセージを送り続けよう
盤の上に治療を考えていくことが大切です。
エイズの流行が世界に広がり始めてから既に約30年
が経過しています。何度も同じメッセージを繰り返さ
26
② 抗レトロウイルス治療を続けよう
れたのでは,さすがに心には届きません。送り手も疲
HIV感染が分かったら,生活を維持しつつ,適切な
れてきます。HIVはそうした厭戦ムードを糧に広がる
時期に治療を開始することで,エイズの発症や発症し
ウイルスでもあります。縁あってエイズ対策に関心を
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持った人達が疲れ切ってしまわないよう,予防,治療
⑥ 関心を持ち続けよう
や支援のメッセ−ジを楽しく送り続けられる工夫と励
以上のすべてのことは,エイズ対策への社会的な理
解が広がり,関心を持つ人が増えることで初めて可能に
ましも大切です。
なります。感染症に対する関心はその時々の社会の出来
⑤ ユニバーサルアクセスを目指し続けよう
事や雰囲気によって変化しますが,HIVは社会の雰囲気
HIV/エイズに関する予防,治療,ケアや支援を必
や一時的な対策の盛り上がりで流行が拡大したり,終息
要とする人が,誰でもその必要なサービスを利用でき
したりするタイプのウイルスではありません。対策もま
る。それがユニバーサルアクセスです。日本を含む世
た息長く続ける必要があります。HIV陽性者は既に会社,
界中の国が2010年12月末までにユニバーサルアクセス
学校,病院,近所の商店街や同じ団地や…といった様々
を達成することを約束しています。その約束は期限ま
な場所で生活しています。もう既に社会の中で一緒に生
でに果たせそうにありませんが,公約を守るための努
きている。そのことを理解できる機会が増えれば,HIV
力 を 一 層 続 け る 必 要 が あ り ま す。 そ れ がKeep the
/エイズは他人事ではないといったメッセージも,異な
promise,約束を守ることです。
る意味を持って伝わってくるかもしれません。
FCTC(たばこ規制枠組み条約)事務局長
ニコゴシアン先生来会
平成22年6月23日(水),結核予防会顧問島尾忠男
「第十回アジア・太平洋たばこ対策会議(APACT10)
」
先生(たばこと健康問題NGO協議会会長)を訪ねて,
の大会長への挨拶ということで,お話がありました。
WHOのたばこ対策の専門家で,FCTC事務局長のニ
さらに,気候変動枠組条約(COP)の次々回の開
コゴシアン先生が,厚生労働省健康局生活習慣病対策
催国(2009年はデンマーク・コペンハーゲン,2010年
室森淳一郎たばこ対策専門官と国立がんセンター研究
はメキシコ・カンクンで開催予定)として,日本への
所たばこ政策プロジェクトリーダー望月友美子先生と
働きかけにも来られたようです。
一緒にお見えになりました。
日本のたばこ対策の動向が世界に与える影響は大き
今回は,FCTCに対して,たばこと健康問題NGO協
く,なかなか評価されていなかった日本も,少しずつ
議会としての協力要請と,2013年に開催が決定している
世界にアピールする時期が近づいてきているようです。
(文責:編集部)
当日いただいた資
料には島尾先生へ
のメッセージが添
えられていました
拡大写真
左から島尾先生とニコゴシアン先生,後列左から厚生労働省森
専門官,国立がんセンター研究所望月先生
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シール
だより
平成21年度
高額寄附を頂いた方からのメッセージ
平成21年度も「複十字シール募金」に多くの方々からご賛同をいただき,誠にありが
とうございました。複十字シール募金と本会事業資金へのご寄附を頂いた方々の中から
メッセージをいただきましので,ご紹介いたします。
結核予防会総務部総務課・事業部資金課
事業資金をいただいた方々
いの気持ちとして寄附させていただきました。
上田 裕子 様
ます。
世界中から,結核が少しでも減ることを念じており
亡き母,上田美枝が徳川正子様主催の目白のお屋敷で
のチャリティーバザー)にご協力させて頂いたのがご縁
アボットジャパン株式会社
ルノー・ギャベイ 様
となり,
秩父宮妃殿下ともお近づきになる事が出来ました。
近年,結核とならび本邦において「重要な呼吸器感
母亡き後,私が母の意志を受け継ぎ,現在に至って
染症」として注目される非結核性抗酸菌症に対して,
おります。
結核予防会は,それの新たな診断法や治療法の開発に
のチャリティーバザー(後の,明治記念館こどもの町で
世界の中心的役割を果たしていることを知り,その
奥津 孝一 様
益々の発展に少しでも寄与したいと考えました。
私の妻は3歳の時,母親を結
核で亡くしました。幸い3人の
姉がおりましたので,母親代わ
りに育てられましたが,母の面
28
複十字シール募金にご協力いただいた方
中島 達晃 様
影は,
写真で知るしかありません。
今回で5回目の招待状を頂き
その妻も,私達の長男が3歳
ました。有り難うございました。
の時に結核と診断され,入院を
金融危機の後の不況からは,少
余儀なくされました。幸い半年
し回復してきたように思われま
と短い期間の入院ですみましたが,子供を親に預けて
すが,まだ生活がきついという
見舞に行ったことを思い出します。
人のほうが多いようです。
おかげ様で,その妻も定期診断は今でも続けていま
日本人は,寄附ということに
すが,元気で主婦業と趣味の人生を送らせてもらって
関しては,アメリカ人の1/30く
おります。
らいしか寄附をしないと言われております。私は,祖父
結核に対する特別な思いがある私にとりまして,結核
がアメリカで事業をし,父がアメリカで生まれたという
予防会の複十字病院の設計に関わることが出来ました
影響からか,子供のころから「寄附」は習慣となってい
ことは,非常に感慨深いものがあります。RI室とPET/
ました。
CTの導入,健康管理センターと附属の保育園・看護師
若いころはわずかな寄附しか出来ませんでしたが,
寮の新築工事,そしてインフルエンザ等の感染症対応
40歳を過ぎてから少し多めの寄附をすることが出来る
病室の改修工事が終わりました。この様に,複十字病
ようになり,
一生この習慣は続けたいと思っております。
院と関われましたことを,深く感謝しております。設計
昨年,背骨に病が見つかり,自分の寿命が他の人より
活動のお礼と,結核撲滅の為に日夜努力しておられる,
短いことを知りました。寿命は天から与えられたものと思
結核予防会と各病院のスタッフの方々,そしてサポート
いますが,
出来る限りの善徳を積みたいと思っております。
する大勢の皆様方に対しまして,細かですが,お手伝
結核予防会様の末長い発展をお祈りします。
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複十字チャリティーサイクルの輪を
日本全国へ広げよう!
8月1日から複十字チャリティーサイクル運動がスタートしました。
本運動は,ご家庭で要らなくなった本・DVD・CD・ゲームソフト等を公益財団法人結核予防会に寄贈を受け,
これを回収して買取業者(ブックオフオンライン株式会社)で換金を行い,複十字シール運動募金に寄附す
ることを目的とします。
対象は,結核予防会並びに結核予防会グループの役職員と全国結核予防婦人団体連絡協議会会員をはじめ
一般の方々となります。
申込方法は,使わなくなった本・DVD・CD・ゲームソフト原則30点をダンボール箱に入れて梱包するだけ,
結核予防会資金課へFAX(ちらし兼申込書)または,電話(フリーダイヤル)で申し込みすればOKです。次に,
資金課からブックオフオンライン㈱に連絡をするとお宅までクロネコヤマトが集荷に行くことになります。集
荷のための伝票は,不要です。送料・手数料も,一切かかりません。
今,世界では,年間940万人が結核を発病し,180万人が亡くなっています。結核予防会は,東南アジアの
インドネシア・ミャンマー・カンボジア,アフリカのザンビアにおいて結核に関する国際協力を実施しています。
途上国の人々を結核から救うためには,皆様の温かい支援が是非とも必要です。複十字チャリティーサイク
ル運動にご協力をお願いいたします。
※ラモス氏のちらしを無料で配布しております。(送料のみ負担)お申込は,資金課まで
シ ー ル 貼 ろう よ
問い合わせ:公益財団法人結核予防会資金課フリーダイヤル(0120−4168 6 4)
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結核予防会支部紹介のページ
高 知 県 支 部
健康づくりのお手伝い。
より良い健診を目指して‼
等媒体の利用,各種研修会等での啓発物配布等により,
1.はじめに(沿革)
広く県民のために健康づくりの推進をよびかけています。
高知県支部は,昭和15年6月に設立しました。その
また,当支部には健康づくり婦人会並びにいぶき会(乳
後市町村等から健診受付窓口の一本化などの要望があ
がん術後者の会)の事務局があり,相互協力のもと健診
り,県の主導で(財)高知県予防医学協会・(財)高
受診勧奨や複十字シール運動を全県下的に行い,中でも,
知県対がん協会の3団体が統合し,財団法人高知県総
平成17年度から始まった全国一斉知事表敬訪問について
合保健協会として,昭和54年1月に設立,同年4月か
は,支部と婦人会有志により,昭和51年度から“県庁募金”
ら事業を開始しました。
と銘打ち,タスキをかけ先ず知事を訪問し趣旨を伝え,そ
昭和61年4月に統合以来待望の新舎屋を現在の高知
の後庁内を巡回し職員に募金の協力を呼びかけ成果を上
市桟橋通に新築移転し,平成11年4月には県西南地域
げており,
この事は全国に先駆けた活動と自負しています。
の宿毛市に幡多健診センターとして,規模拡大し従来
全国一斉キャンペーンも,婦人会と共催,県職員の
の巡回健診に加え施設健診も実施できる施設として,
協力により高知市中心街で無料健康相談,募金活動,
地域格差のない保健サービスの提供に努めています。
啓発活動とお互い役割分担を持ち賑々しく実施,報道
機関のご協力も力強い普及啓発となっています。
なお,9月の結核予防週間及びがん征圧月間に実施
している無料検診に加え,ピンクリボン運動やリレー・
フォー・ライフin高知へ毎年マンモグラフィ検診車を
派遣し,それぞれ30名の無料検診を行い,「がん検診」
の普及啓発も積極的に行っています。
支部全景&検診車
2.事業概要
当支部の健診事業は住民・職域・学校の各健診・そ
して日帰り人間ドックを中心とする施設健診などを実
尾
施する県内唯一の総合健診機関です。
知事を表敬訪問
市町村の実施する住民健診については,県下34市町
村全てから健診を受託,また,高知県職員の健診デー
4.おわりに
タ,高知市住民の子宮・乳がん検診のデータ,更には
一向に明るさが見えない経済環境のなかで,昨年度
女性特有のがん検診推進事業のデータ処理など積極的
から国による女性特有のがん検診推進事業など具体的
に受託しています。
な施策が展開されました。また,本年度からは高知県
特に,平成16年1月から月1回(第三金曜日)実施
による「日本一の健康長寿県構想」でも,特に40∼50
しているレディースデーは受診者から大変に好評を得
歳代の人を対象とした各種の施策が打ち出され,私ど
ております。
もも健診機関としてその一翼を担っていかねばならな
いと考えています。
30
3.普及啓発
また,公益法人制度改革を受けて,当支部は役職員
機関誌「ボディトーク」を年2回発行し,当支部の
一丸となって県民の健康保持増進のため,各種事業を
事業,健康に関する情報を提供,テレビスポット,新聞
積極的に展開して参ります。
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予防会だより
複十字バッジが取り持った,善意の恩返し
5月29日付けの産経新聞に,こんな記事が掲載され
ました。
『
「命救われ恩返し」∼38年前手術の男性2万ドル寄託∼
38年前の昭和47年,心臓病の子供を救う明美ちゃん
基金(産経新聞社提唱)で手術を受けたインドネシア
人,クルニアワン・イマサタ・スリスティオさん(45)
が,28日,東京・大手町の産経新聞社を訪れ,基金へ
現金2万ドル(約180万円)を寄託した。外国人とし
て初めて基金の適用を受けた7歳の少年は,いまや世
界を飛び回るビジネスマンに。「命を救ってくれた恩
返しをしたい」と話している。(油原聡子記者)』
昭和44年,当時結核研究所の研修部長であった今村
昌耕先生が,公務でインドネシアに行かれた際,スラ
ウェシ島マカッサルのホテルでスリスティオさんの父
親に,貴方は日本の医師ですねと話しかけられたそう
です。当時7歳だったスリスティオさんは,肺動脈へ
十分な血流がいかない「肺動脈狭窄症」と診断され,
手術が必要な状態でした。今村先生は帰国後,何年か
前にジャカルタでその子供の診断をされた,東京女子
医大の小児循環器疾患の権威者,故高尾篤良教授を訪
ね,状況を確認,父親に質問書の中で経済的問題を伝
えました。一方,高尾教授は国内の対策の法整備状況
を見ながら2年後,産経新聞の「明美ちゃん基金」の
担当であった武井功記者にこの事例を伝え,初めての
海外の子供の援助を考え,昭和47年,東京女子医大で
心臓外科の権威,故榊原仟(しげる)教授により手術
を受けて全快,帰国しました。
スリスティオさんは,今では総合開発会社の管理職
や投資家として活躍されているそうです。術後,父親
は尽力された「今村」「榊原」「高尾」各氏の姓の一部
を取って子供のセカンドネームを『イマサタ』とし,
感謝の意を表しました。
この始まりとなり,父親が今村先生に医師ですねと
話しかけるきっかけとなったのが,先生がいつも背広
につけていた国際的な
『複十字』
バッジであったのです。
〔今村昌耕先生からのコメント〕
40年間の劇です。一幕の役者は,経費を作りながら
時を待った父親と私で,場所はマカッサル。複十字バッ
ジと父親の質問書が小道具でした。3年後の二幕の舞
台は東京,上述の役者がそれぞれ連携し,役割を果し
ました。もし全ての役者の一人でも欠けていたら,今
回の第三幕は無かった。今回は,当人の謝恩という立
派な出番があったが,皆の善意と誠実で作られたドラ
マです。父親へのプレゼントに,40年前彼が目にした
私のバッジを託しました。
(明美ちゃん基金へ現金2万ドルを寄託する,スリスティオさん(中央)
と妻のリリーさん,今村昌耕先生)※平成22年5月29日 産経新聞掲載より
(文責:編集部)
多額のご寄付をくださった方々
〈指定寄付者〉(敬称略)
常磐会(本部),高橋公子,保谷憲
次(複十字病院)
〈複十字シール募金〉(敬称略)
岡山県―トマト銀行西市支店
本部―平嶋登志夫,本橋仁,本田憲
業,本橋達朗,松田守,山本恒,吉
井参也,渡辺栄衡,小林抱牛,五味
正子,志立託爾,高桐あや子,徳田
均,青木修三,井出正敏,伊藤淑子,
石井敏彦,今野恒雄,今給黎義之,
今泉季正,梅崎都志夫,小川智也,
阿部仁之助,今村眞彦,古山佳文,
日根野妙子,平岡啓佑,儘田直久,
万代恭嗣,渡辺昌,斎藤慶一,桜井
勇,三輪敏彦,柴田玲子,多賀須幸
男,高橋紀久雄,竹下寿子,塚越正
夫,手塚敏夫,冨士村ハツエ,中村
豊,永野允,西三郎,橋本愛,相川
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睦子,浅川起愛,足立嘉子,有馬愼
二,犬山幸子,河合健,木野村幸彦,
加藤玉枝,加藤光子,亀井栄子,楠
田史子,小尾いね子,小池隆雄,大
場昇,益井輝也,前田知克,宮本克
巳,山本秀夫,篠宮克彦,鈴木三彌,
枝村利一,榎本喜好,木南富吉,風
間孝晴,平山茂博,須藤永一郎,関
口正之,高橋厚夫,高津一正,武田
康,寺田光子,鳥居義彦,倉本昌昭,
末永邦雄,森山誠哉,松本貞子,山
口喜久子,山之内美佐子,高沢栄,
竹内美智子,仲尾次政剛,仲村英一,
永田皖,相坂正夫,ウエスレアン・
ホーリネス淀橋教会,東洋英和女学
院小学部,津久井菱子,米山隆昭,
福地敬子,福井憲彦,藤原大輔,米
山忠興,有働亨,石川民平,大森寿
明,竹井昭雄,安田裕子,東福寺,
丸山光政,五十子和恵,柴田富子,
渋谷和明,島村元治,島謙造,鈴木
崇二,坪沼黎子,粕淵寛也,片岡孝
夫,小寺輝彦,大平明,高橋伸介,
日本大学本部総務課,手柴良一,都
築久一,濱田博,平野孝雄,堀内恵
美子,本田稔,本多友彦,水野文雄,
山崎正雄,坂東玉三郎,田中和子,
田中京子,武居敦,及川芳美,岸那
智子,鎌田昭次,丸山敏子,高野伸
尋,中嶋善仁,井上元治,赤木泰昌,
鵜飼保宏,大石真澄,岡本経雄,落
合晋,可児長英,河野幸正,川崎逸
也,小塚正巳,幸田辰雄,三浦弘,
齋藤榮,鈴木豊,高畠二郎,竹下亘,
塚本久雄,西山廣一,藤村宏幸,藤
原岩造,溝口文雄,米澤ますみ,渡
辺勝美,徳川恒孝,篠田千代子,阿
部材木店,藤木武義,窪田商事,荒
巻孚,五十嵐康,市原秀夫,稲木次
之,今井榮一,内村茂,大島輝之助,
平成22年9月15日 発行
複十字 2010年335号
編集兼発行人 藤木 武義
発行所 公益財団法人結核予防会
〒101-0061 東京都千代田区三崎町1-3-12
電話 03(3292)9211(代)
印刷所 勝美印刷株式会社
東京都文京区小石川1-3-7
電話 03(3812)5203
結核予防会ホームページ
URL http://www.jatahq.org
太田実,笠原克美,笠原紀夫,白百
合女子大学,亀山潔,菊岡平八郎,
日本オーチス・エレベータ総務部,
木暮英彦,高村正彦,齋藤英子,坂
口昇,篠塚昭次,渋谷修,島林樹,
白石章夫,須田清,菅野谷信宏,鈴
木史郎,鈴木武志,田中斉治,高島
倫子,豊嶋庸輔,戸田満弘,奈良昌
治,中村敬止,長尾立子,二宮忠,
新谷義和,西谷格,長谷川恭子,牧
野アツ,増井潔,町田英一,宮村智,
山田健二,山田芳和,横尾与蔵,大
場永子,金子昇平,蓮見平司,牛山
節子,羽入直方,水津唯男,小林典
子,武立啓子,越田晃,森澤忠和,
石川晴夫,山口徹,垣添忠生,田上
惠,武藤良知,町田武久,河上牧夫,
高山直秀,吉良枝郎,所敬,杉本恒
明,中西尭朗,馬場元毅,馬越文男,
土器屋卓志,高柳正夫,小沢英輔,
中島雅之輔,司馬正邦,島田妙子,
青木幹,山本博章,山口晋,長谷川
和夫,山縣博,萩原和子,高田滋,
小原俊也,小幡徳子,小林洋子,小
林義郎,滝沢宣子,鳥羽信也,古川
宣一,師田志津恵,田中久子,折茂
伸満,秋山正代,及川幸子,長谷川
由利子,石田伎美子,山田正直,鈴
木博之,遠藤邦彦,酒井圭一,藤本
真治,野村恵美子,中上克彦,綱島
康夫,細金英男,石井秋芳,三和三
郎,石渡清司,鎌田勝己,福沢偉行,
野口明輝,内田弘子,佐藤保子,荻
原隆二,戴正道,住田栄三,雨宮育
子,増田一男,小林春雄,古市典雄,
斎藤武雄,加平町会会長山野正雄,
大和田良子,中島博,大鳥嘉信,山
内由利子,中川貞子,神田辰男,山
本宗夫,板橋重光,山口峯生,田中
喜八郎,菊池敏夫,平井時夫,井原
正彦,吉村成弘,小原直弘,並木山
青,近藤健文,吉田福子,宮本信夫,
石川信克,長田功,山下武子,浅岡
貞雄,石井明,泉潔,岩本愛吉,梅
田健一,小沢利男,大谷和子,加藤
宏,小林健,小林貞夫,小林康子,
神前和郎,佐藤尚人,齋藤安俊,庄
司義雄,早田頼子,髙岡浩一郎,塚
本信一,中村精悟,沼田茂,野田健,
樋口光雄,平岩阿佐夫,松井啓子,
松下満雄,村井温,山口真司,山西
貞,吉里彰二,渡辺英昭,渡辺雄司,
榎本義男,横山宏子,土橋弘道,石
原文之,田中佐喜子,栃原啓子,中
根晃,笠原督,芳賀敏夫,船木依子,
望月紘一,丸山徹雄,山本千枝,越
川宏一,中西祥子,外山攻,野本震
作,後久靜子,井田君子,飯田豊子,
塚本華子,花田功,橋本壽,川嶋み
どり,温井みさ,妹尾昭一,湯口益
敬,瀧島輝雄,吉田豊,藤原豪,長
澤紘一,岸信行,平野正男,田中雅
史,三和直子,有馬・近藤記念医学
財団,笹野武則,立川市医師会,東
京実華道場,東京中小建築業協会,
東京都遺族連合会,日本産業廃棄物
処理振興センター,東村山市医師会,
労働衛生協会,国際協力医学研究振
興財団
本誌は皆様からお寄せいただいた複十字シール募金の益金により作られています。
複十字シール運動
―みんなの力で目指す、結核・肺がんのない社会
平成22年度複十字シール
複十字シール運動は,結核や肺がんなど,胸の病
気をなくすため100年近く続いている世界共通の募
金活動です。複十字シールを通じて集められた益
金は,研究,健診,普及活動,国際協力事業など
の推進に大きく役立っています。皆様の暖かいご
協力を,心よりお願いいたします。
運動の輪を広げてください。シールは,はがきや,手紙や包装の封印,何にでも使えます。
問い合せ:資金課 TEL03-3292-9287(直)
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新結核関連切手紹介シリーズ(2)
小林佑吉先生からの貴重な切手のご紹介は2回目となり,今回は第1期(1897-1925年)からオーストリア,スイスの慈善切
手をご紹介いたします。
①
②
③
④
⑤
オーストリア 1924年
①,②,③,④,⑤:これらの切手は,はじめて附加金が課せられていることが明記されています。附加金は結核対策と子供の福祉に使わ
れました。
⑥
⑦
⑧
⑥:フランス語,⑦:イタリア語,⑧:ドイツ語
スイス1912年
⑥,⑦,⑧:⑥はフランス語,⑦はイタリア語、
⑧はドイツ語で発行されました。これらの言語
は国の公用語であり,スイスという国の特徴が
うかがえます。図柄は陽の光を浴びている母と
子で,
「新しい年に多くの陽の光を」というス
ローガンが示されています。
⑨
3×5シートのブックレット(小冊子)
⑨:スイス青少年基金によるクリスマス慈善切手発行(半官半民)
3×5シートのブックレット(小冊子)になっており,この収益は子供の結核対策に使われると書かれてあります。
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ご使用のN95マスク(レスピレーター)は
フィットしていますか?
N95マスク(レスピレーター)は検定により性能は保証されていますが、これはフィルターのみの
性能であり、顔とのフィット(密着性)は考慮されていません。
顔にフィットしていないと十分な効果を発揮できません。結核等の空気感染予防のためには顔に
フィットしやすいN95マスク(レスピレーター)の選択が必要です。
感染対策用N95マスク(レスピレーター)
サカヰ式ハイラック350型
性 能
社内基準値
粒子捕集効率
平均値
95.0%以上
97.52%
吸気抵抗
50Pa以下
35Pa
排気抵抗
50Pa以下
35Pa
※捕集効率はNIOSHの規格に準じて粒子径0.075±0.02μmの
塩化ナトリウムを毎分85リットルの流量で測定した値です。
また吸気抵抗、排気抵抗は毎分40リットルの流量で測定した
値です。
ハイラックのフィット(密着性)を良好に保つ2つの特長
●3次元立体接顔クッション
顔のカーブに合わせた3次元立体接顔
クッションにより高いフィット性(密
着性)が得られ、顔とマスク(レスピ
レーター)の間からの漏れこみを抑え
ます。
●しめひもの長さ調節が可能
マスク(レスピレーター)を
つけたまま、 しめひもの調
節が可能なため最適フィット
が得られます。
フィッティング測定サービス
マスク(レスピレーター)と顔とのフィットの状態を確認できます。装着指導などにお役立てください。
測定時間は約30秒
ガイドを顔とマスク(レスピレーター)の間へ
差し込むだけの簡単なテストです
問い合わせ先
ライフセーフティディビジョン
CW3_A8062A04.indd 1
漏れ率はパーセントで表示します
〒102-8459 東京都千代田区四番町7
Tel:03-5276-1917(ダイヤルイン) Fax:03-3265-1976
E-mail:[email protected]
URL:http://www.koken-ltd.co.jp/
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