平成 27 年度 事業報告書 はじめに 平成 27 年度の当協会の事業は、中核である端末機器の技術基準適合認定等 事業において、件数が 3 年度連続して減少して過去最悪の平成 22 年度に匹敵 する水準に下がり、海外認証を含めたシェアに至っては 30%まで落ちました。 収入は、認定手数料収入は平成 26 年度から開始した施策の効果が表れ若干増 加したものの、全体としては若干の減少となりました。この状況を踏まえ、長 期低落傾向にある業績の隘路を打開するため、業務の改革の検討に着手しまし た。 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価事業について は、件数は概ね前年度と同程度、収入は若干の減少でした。IPv6 認証事業に ついては、やむを得ない事情により下半期において主要な業務を休止せざるを 得ませんでした。 事業全体としては、減収の一方、人件費、減価償却費等の費用の減少により、 赤字額は前年とほぼ同額に収まり、管理部門を含めた全活動においては、世界 的な経済の減速に伴う資産運用収入の減少により管理部門の黒字額が減少し たことから、事業部門の赤字を補てんしきれず、若干の赤字となりました。 1. 技術基準適合認定等事業 (1)認定件数等 技術基準適合性の認定等事業については、前年度に引き続き、認定件 数が 439 件(前年度 475 件)、電気通信端末機器認証件数全体*における シェアが 30.0%(前年度 33.7%)と大幅に減少しました。 (付図1、2) *海外認証・自己確認を含み、一部変更等を除く。 種類別の件数では、インターネットプロトコル電話用設備、同移動電 話用設備に接続される端末機器がそれぞれ 43 件(前年度 26 件)、28 件 (同 13 件)と増加した一方、 「電話機」が 48 件(前年度 64 件)[うち移 動電話機が 43 件(前年度 54 件)]、WiFi、Bluetooth 等により構内で使 用する小電力通信機器が 107 件(前年度 157 件)等、ほとんどの端末機 器において減少しました。その中で、平成 26 年度から開始した携帯電話 測定器により当協会が測定を実施して行う認定(以下、 「携帯等測定付認 定」という。)については、17 件(前年度 8 件)と倍増しました。 1 総認定件数中、申込代行による申込について、当協会と業務提携関係 にある台湾及び韓国の認証機関からの申込はそれぞれ 52 件(前年度 50 件)、27 件(前年度 29 件)と前年の水準を維持しました。一方、他の大 口の申込代行団体において、自前の測定・審査の強化により申込が 11 件 (前年度 49 件)と大幅に減少しました。 審査の申込者数は、件数の減少に伴い、100 社(前年度 124 社)と大 幅に減少しました。 (2)収入等 認定手数料収入は、総認定件数の減少にもかかわらず、携帯等測定付認 定 17 件の手数料収入が 2,044 万円(前年度 877 万円)と大幅に増加した ことから、全体として 9,550 万円(前年度 9,153 万円)と若干増加しまし た。 携帯等測定付認定の平均単価は、それ以外の認定の平均単価 17.8 万円 に対し、120.2 万円と大幅に上回っており、収入の確保に大きく貢献して います。 (3)業務改革の検討 長期低落傾向にある業績の隘路を打開するため、顧客の利便の向上の 観点から次の業務の改革について、可能な限り速やかな実施を目指し検 討を始めました。 ① 海外からの認定申込に関し、申込者の希望により書面での審査に加えて 機器の試験も当協会で行うことができるようにすること ② 端末機器における無線の使用が今後ますます一般化することに鑑み、同 機器に関連する無線設備の認証に関する業務知識を深めるとともに、無 線設備に関する認証事業の一部について自らその認証機関となること 2. 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価事業 (1)新規登録及び維持・更新等審査 新規に 1 組織を登録し、平成 27 年度末の累計登録件数は 76 組織とな りました。登録現在数は既存顧客の解約及び認証の統合があり、29 組織 (前年度末 38 組織)となりました。さらに、維持審査を 23 組織(前年 度 18 組織)に、更新審査を 6 組織(前年度 15 組織)に、拡大等の審査 を 10 組織(前年度 3 組織)に実施しました。 2 (2)事業収入 新規登録及び維持・更新等審査による事業収入は、維持審査手数料の 増加があったものの更新審査手数料の減少により、計 2,463 万円(前年 度 2,718 万円)と減少しました。 (3)審査員研修会等 審査員のレベルアップのための審査員研修会を 3 回実施しました。 3. IPv6 認証事業 (1)IPv6 Ready Logo 認証の審査及び IPv6 テスティングラボ IPv6 の普及政策に協力して実施している IPv6 Ready Logo 認証の審査 は、平成 27 年 11 月以降、審査能力を持った技術職員(出向者)の予期せ ぬ帰任及びその後補充の難航により、やむなく業務を休止し、他国の認証 機関への紹介及びサポート業務を行いました。また、同審査に関連して実 施している IPv6 テスティングラボも業務を休止しました。 これにより、平成 27 年度は、Ready Logo 認証の審査件数が 3 件(前年 度 6 件)、収入が 20 万円(前年度 37 万円)、テスティングラボの件数が 1 件(前年度 1 件)、収入が 9 万円(前年度 31 万円)と減少しました。 (2)I IPv6 の普及に向けた調査研究 IPv6 の普及に向け、 「サイバーセキュリティ対策技術に関する調査」を受 託し、実施しました(受託収入 270 万円。前年度 2 件 756 万円)。 (3)事業の在り方の検討 IPv6 が普及した状態と評価される「モバイル分野の IPv6 デフォルト化 (IPv6 Mobile Launch)」が平成 29 年度には実現が想定される状況となっ たことから、その際には当協会における IPv6 普及支援の一定の役割が終了 すること及び事業財政の厳しい現状等を踏まえ、IPv6 認証事業の在り方に ついて検討を始めました。 4. 調査研究・普及啓発活動 (1)市場調査 当協会が平成 26 年 10 月~27 年 6 月に認証し、一般の利用者が主に使 用する電気通信端末機器のうち、機器種別及び取扱会社が偏らないように 選定した 12 台(前年度 18 台。対象期間:平成 25 年 10 月~26 年 9 月) について、技術基準への適合性やマークの表示などの適正さの実態調査を 行いました。調査の結果、問題となるものはありませんでした。 3 (2)セミナー活動 普及啓発活動として平成 27 年 11 月 26 日に JATE セミナーを開催し、 「訪日外国人の ICT 利用環境整備に向けたアクションプランの推進~国 内発行 SIM への差替え等によるスマートフォン等の利用円滑化~」及び 「IoT(Internet of Things)の動向~通信の視点から」について講演会を実 施し、賛助会員を中心に 45 名の参加がありました。 5. 周知広報活動 技術基準、ISMS、IPv6 等の最新情報をタイムリーに提供するなど、 賛助会員を始めとする関係者のニーズにあった情報提供をホームページ により行いました。 [追記]付属明細書について 事業報告の内容を補足する重要な事項がないため、付属明細書は作成しませ ん。 4 付図 1 JATE 機器認証件数推移 (平成 28 年 3 月末現在) 付図 2 機器認証シェア(海外認証を含む) (平成 28 年 3 月末現在) 総件数 1,012 1,044 1,124 963 943 1,003 955 1,167 1.060 1,026 [総件数:総務省への報告件数。一部変更等の件数を含まない。 ] 5
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