カワウの全国一斉対策の取組みについて(お知らせ)

平成28年4月28日
合計5枚
関係各位
東京都港区赤坂 1-9-13 三会堂ビル3階
全国内水面漁業協同組合連合会
電話:03-3586-4821 FAX:03-3586-4898
カワウの全国一斉対策の取組みについて(お知らせ)
日頃より内水面漁業の振興にご協力をいただき、心より感謝を申し上げます。
標記のことにつきまして、カワウによる食害を防止するため、全国の内水面漁業者
が連携して、次のとおりカワウの全国一斉対策を実施しますので、お知らせします。
記
1
2
目 的
近年、カワウの増加により、河川等でのアユやウナギ等の食害や糞による樹木
の枯死等、カワウによる被害は深刻な状況となっています。
内水面漁業関係者は、これまでカワウの追払いや駆除等の取り組みを行ってき
ましたが、カワウは広域に移動するため、全国の内水面漁連が連携して 広域的か
つ総合的な対策の一環として、全国一斉 対策を次のとおり行います。
日
程:平成28年4月30日(土)
全国統一行動日
( 地域 によ り飛 来時 期が 異な るた め、 前後 1か 月程 度の 期間 を設 けて 広域 的な 対策 をし ます 。)
3
参加者:全国の内水面漁業協同組合及びその関係者
354 組合 約 8000 人
(平成 28 年4月 22 日現在)
4
内
容 :河川や湖沼周辺の 生 息・飛来状況調 査、魚類放流場所での テグス張 り
等の防除、銃器による駆除、ドライアイスによる繁殖抑制等を行います。
(参考)
(1)参加予定状況
全国41都府県が参加予定(詳細は別紙1を参照してください。)
(2)カ ワウは、アユ、 ウナギ 、ウグイ等の魚 を捕食する魚食性 が著 しい鳥で 、
採食量は 500g/日とも言われています。日本中に分布し、1日に 90km 移動
した例もあり、移動範囲の広い鳥です。平成 19 年には狩猟鳥獣の対象とさ
れました(詳細は別紙2を参照してください。) 。
(3)取材をご希望される際は、全内漁連 (担当:三栖) か、お近くの内水面漁 連
へご連絡ください。 (漁連連絡先 全内漁連 HP→お問い合わせ→会員名簿)
(別紙1)
平成28年3月8日依頼 4月7日締めきり
平成28年4月21日現在
カワウの全国一斉対策の対応状況について
ブロック
東北
北海道
6
賛1
県
名
東海
4
近畿北陸
8
准1
賛1
四国九州
8
参加人数
実施
箇所数
森
○
8
38
31
岩
手
○
16
1152
231
宮
城
○
秋
田
○
30
1
山
形
○
17
64
85
福
島
○
8
75
137
賛
城
○
8
338
132
木
○
18
610
327
群
馬
○
11
460
88
埼
玉
○
4
137
52
千
葉
○
3
42
11
東
京
○
3
330
31
神奈川
○
6
18
18
新
潟
○
3
15
8
山
梨
○
12
478
87
長
野
○
6
138
35
岐
阜
○
9
306
9
静
岡
○
7
82
71
愛
知
○
14
98
78
三
重
○
18
1035
73
富
山
○
3
24
13
石
川
○
12
未定
12
福 井
滋 賀
(河川漁連)
京 都
○
7
31
9
○
18
83
18
○
2
45
5
兵
庫
○
12
199
149
奈
良
○
5
27
16
和歌山
○
9
110
10
賀(漁連)
准
×
大阪(内水面)
賛
○
5
未定
5
1
30
11
鳥
取
○
島
根
○
7
214
88
岡
山
○
11
478
179
広
島
○
13
730
318
山
口
○
13
40
13
徳
島
×
愛
媛
○
5
40
21
高
知
○
10
64
30
福
岡
○
5
94
41
熊
本
○
1
45
17
大
分
○
4
51
44
宮
崎
○
38
152
114
43都道府県44団体
考
漁連で参加
×
栃
鹿児島
備
5月中~下旬にカワウ対策会議(研修会)を開催する
茨
滋
中国
5
参加
漁協数
青
北海道
中央
10
実施
○
2
14
6
41
354
7917
2624
相模川の6単協が参加
漁連も参加(事務)
実施箇所は各漁協の管理区域全域(一部は上流域)
4月30日は飛来調査のみ全漁協にお願い
(別紙2)
平成28年4月
全国内水面漁業協同組合連合会
http://www.naisuimen.or.jp
カワウ被害状況について
1 全国のカワウによる推定被害額のデータ
全内漁連ホームページに掲載しているグラフが最新データです。
http://www.naisuimen.or.jp/jigyou/kawau/kawau18.pdf
平成5年に9億円、平成9年に 16 億円、平成 14 年に 26 億円、平成 16 年に 45 億円、
平成 18 年に 73 億円、平成 20 年に 103 億円との試算をしているところです。
平成 20 年度の 103 億という被害額の算定方法については、カワウが食べる魚の量及び魚
種の構成をもとに積算したもので、食害額として試算しています。
2 魚の年間被害量について
魚の被害量については、農産物と違って正確な数字を算出できず、計算方法が確立され
ていませんでした。
当会では、現時点で全国のカワウ推定生息羽数を 15 万羽とし、1羽のカワウが1日に食
べる魚の量(約 500 グラム)から計算をしています。
0.5(kg)×150,000(羽)×365(日)×0.66(3 日中 2 日食事する)
=18,067,500kg(18,067 トン)と積算されました。
3 被害額の算定
15 万羽で約 18,000 トンの魚を食べている。仮にその魚が全て放流アユとして、キロ 3,000
円で計算すると 540 億円となります(10 万羽では 12,000 トンで金額は 360 億円)
。
実際には天然魚や養殖魚の区別等、様々な魚種が食べられているので、キロ単価を定める
ことは難しく、各県ごとの被害額を積み上げて計算する方法が望ましく、現在各県で被害
額について協議がなされているところです。
また、カワウの被害が多発して漁獲量が減ると、風評被害も重なって釣り人も減少する
ことから、遊漁料収入及びそれに伴う地域観光収入の減や、漁業者が行っている被害対策
費用の捻出にも影響し、被害額が単純な計算では積算されないのが現状となっています。
この点について水産庁では、平成 25 年 5 月に長官から各県知事あてに被害額の算定方法
(下記の2方法)について通知文書を発出しています(以下太字部分は抜粋)
。
(1)河川におけるカワウの飛来数情報を活用する方法
漁業協同組合等がその漁場におけるカワウの飛来数や飛来日数の情報を把握している場
合、以下の計算式により、当該漁業協同組合の漁業被害金額を算定することが可能である。
(計算式)
カワウの飛来数×飛来日数×1羽あたり1日の捕食量(500g)×捕食される魚種別
重量比×魚種別単価
(2)ねぐら・コロニーでの個体数情報を活用する方法
カワウの個体数については、関東や中部近畿の広域協議会において、ねぐら・コロニー
での継続的な調査が行われている。ねぐら・コロニーでの個体全てが単一の漁業協同組合
に被害を及ぼすわけではないため、カワウの行動範囲(地域差はあるが、一般にねぐら・
コロニーから半径 15km 程度)内にある全ての漁場が等分に被害を受けると仮定し、当該漁
場を管理する漁業協同組合の規模に応じて按分することで、漁業協同組合毎の漁業被害金
額を算定することが可能である。
(計算式)
ねぐら・コロニーでのカワウの個体数×飛来日数×1羽あたり1日の捕食量(500g)
×捕食される魚種別重量比×魚種別単価×漁協規模按分係数
※漁協規模按分係数:放流量、遊漁料収入等をもとに算出
いずれの場合においても、カワウの飛来数や個体数、捕食される魚種別重量比、ねぐら・
コロニーからの行動範囲等については、水産試験場や大学等の協力を得て行う定期的な調
査により得られたデータをもととすることが望ましい。これが困難な場合であっても、都
道府県水産試験場、大学、カワウ広域協議会等が有する知見を活用するなど、科学的なデ
ータをもって算定を行うようされたい。
なお、このほか養殖場におけるカワウによる被害がある場合には、養殖業者へのアンケ
ート調査等で実態把握を行うことによって、被害金額を算定することが可能である。
4 対策経費について
平成 26 年6月に、
「内水面漁業の振興に関する法律」が成立し、基本方針の中で、
「被害
を与えるカワウの個体数を、平成 35 年度までに半減させる目標の早期達成を図る。
」と記
載され、平成 27 年度から新たに、調査と駆除・繁殖抑制の活動に対して定額補助(予算1
億2千万円)の仕組みができました。このことにより、生息調査と駆除に取組む県が増え
ています。
これまで、漁業者が無償で行っている作業労力を金額に換算した経費が、
平成 22 年度
合計約 4 億 9 千万円
平成 23 年度
合計約 5 億 3 千万円
となっていましたが、負担軽減に繋がる措置として期待されています。
5 その他
(1)カワウは、古くから日本に生息していた鳥であり、一時全国で約 3,000 羽まで減少
したことから、保護されて数が増え、漁業被害を及ぼすようになったことから、適切な羽
数管理が求められるところです。
環境省では、関東、中部近畿地域及び中国・四国地域でカワウ広域協議会を発足させて
対策を行っているほか、東北・北海道や九州地域では勉強会を開催しており、広域協議会
の発足も視野に入れ、対策に取り組んでいます。
当会としては、全国のカワウ生息数について早急に正確な数字を把握し、広域的な羽数
管理を推進していくことを考えています。
(2)カワウの魚食被害については、漁業者だけが被害者のように考えられがちですが、
増え過ぎたカワウによって川に魚がいなくなるということは、国民にとっても大きな損失
であると考えています。
また、漁業者がこの被害の原因となっているわけではなく、川の改修等によって魚の棲
みかや隠れ処がなくなり、魚がカワウから逃げられないような河川環境となってしまった
ことが大きな要因と言えます。
こういった視点から考えても、国が主導して適切な対応を推進していただくことを願っ
ています。
(3)平成 28 年度の新たな取組みとして、ドローンを活用したカワウ対策を予定していま
す。今回の一斉対策では、まだ導入しておりませんが、今後、段階的に全国で 20 ほどの都
道府県でドローンを導入する予定です。
活用方法としては、これまで人が直接見に行くことが困難であった場所での生息状況調
査や、繁殖抑制として開発されている、生分解性のビニールテープひもを繁殖地の樹木に
かけることや、ドライアイスによる卵の孵化抑制といった活動において、人的労力の軽減
に繋がるものとして期待されています。全内漁連では6月9日に埼玉県でカワウ対策に係
るドローン講習会を予定しており、その後も全国3ヵ所で同様の講習会を予定しています。
講習会を経て活動してもらうことで、安全管理に気を配りながら活動を推進していく予定
です。