おおつ市民環境塾2014 講座9 美味しい野菜は土づくりから~生ごみ堆肥を活用して地球温暖化防止~ 日時:平成26年11月29日(土) 13:30-16:10 場所:明日都浜大津5階ふれあいプラザ大会議室 参加者:40名 Ⅰ.講演「地域資源の循環で豊かな土壌環境を創る―OFIX(土壌肥沃度指標)による土づくり―」 講師:久保幹氏(立命館大学生命科学部生物工学科教授) ●地球環境について 数字とデータで見る 20 世紀 変化と影響について注視、生物の生育環 境には負の影響変化 ・人口 ・平均寿命 ・交通の所用時 間 ・粗鋼生産量 ・エネルギー 消費量(石油換算) ・平均気温(東 京) ・CO2 大気中濃度 ・国連加盟 国 ・戦死者数(民間人含む) ●世界、日本の大学キャンパス 樹木が覆 い茂る良好学園環境映像報告。 ●BKC(立命館びわ湖キャンパス)の樹木 開校新しく、土地造成で表土の腐葉土撤去、土壌環境脆弱での樹木生育不良、一部で試験的 に客土の土壌改良、樹木生育状況比較検証。 :質疑で、当該地域の地質は粘土層で、土地造成で養分保有層の表土を剥ぎ取っているの で、低木はある程度生育するが、高木は地中への根が張れず生育困難ではとの意見あり。 改善には大幅な土壌の入れ替えが必要。 宅地造成される農地の表土は、宅地には不向きで廃棄が望ましく、そうした土を大量に譲 り受け、入れ替えることも方策の一つと思える。 ●同じ種類の植物でも 環境が変われば大きさが違う! 「イチョウの比較」葉の大きさに見る違い。映像報告。 ●我が国の農業・食料の課題 主要国の食料自給率 日本の貧弱性浮き彫り(40%) 。政策に問題? ●土壌の養分循環、植物の生育に必要な養分は、主に有機物を微生物が分解し熟 成させる働きが重要。生物が健全に生育する土壌醸成には、促成を除き化学 肥料は弊害が大きく好ましくない。 図解報告。 ●有機農業や環境保全型農業へ向けた客観的指標 *土壌肥沃度評価指数(SOFIX) *堆肥品質指標(MQI) *有機資材品質指標(OQI) ・19 世紀以前 経験に基づいた有機農業 ・20 世紀 化学に依存した農業 ・21 世紀以降 科学に基づき環境に配慮した物質循環型農業 ●土壌を肥沃にする! *有機物と無機物の物質循環について、図解紹介。 ・化学肥料 ―植物が利用しきれない量の無機物<低分子化合物>が一度に 供給となり弊害あり―。 ・有機物(動物の死骸、糞、落葉など)があり、微生物が少ない場合。 ―無機物に変換されないため、植物が利用できない―。 ・有機物があり、微生物が豊富な場合。 ―有機物が微生物の働きにより分解され、植物成長に必要な無機物が 継続的に供給される―。 ●「農地の微生物の増大・健全化」→「物質循環の活性化」→「安定な肥料供給」 *微生物が健全に活性するための、化学肥料や農薬など化学物質のない土 壌環境が必要。 ●SOFIX のコンテンツ ⇒ ●土壌中のバクテリア数の見える化! (図解) *微生物が有機物を、植物成長に必要な無機物にする過程が分かるようになった。 有機物 ⇒ 微生物 ⇒ 無機物 ・有機物生産量解析手法の確立 ・窒素循環解析法の確立 ・リン循環解析法の確立 ・環境 DNA 解析法の確立(バクテリア数の解析) ・無機物 公定法による化学量の分析 ●土壌中のバクテリア数の定量 ⇒ ●土壌中の窒素循環が見える化! ●土壌の健康状態が見える化! 土壌肥沃度指数(SOFIX) (図解) ●土壌肥沃度(SOFIX)による診断 ・堆肥診断 ・有機物診断 ・施肥設計 ・健全な土壌環境 ・豊かな生物 ・良質な農産物 ●農地土壌の全窒素量(TN)と全炭素(TC)の関係 (図解) (図解) ●日本農業新聞掲載紹介「土づくりを科学的に」<世界で初、数値基に“処方箋” ●圃場実証(守山市) ●表 土壌の三相分析 *土壌・SOFIX 有機・化学 *空気容積・ 固相容積 ・水分容積・土壌比重 ●琵琶湖環境の変遷 ⇒ ●琵琶湖環境の現状 (図解) ⇒ ●琵琶湖の水草 の分析、および地域資源循環型農業 ●オオバナミズキンバイの OQI 分析結果 *実測値表(添付説明) ●琵琶湖・守山モデル (もりやま食のまちづくりプロジェクトの一環として) ・地域資源(琵琶湖・水草)を用いた高品質有機肥料の製造 ・SOFIX(土壌肥沃度指標)による農地診断 ・琵琶湖水草堆肥を用いた施肥 ・守山産農産物の生産(環境保全型循環農業プロジェクト) ・土壌認証、有機肥料認証、地域農産物認証を掲げた販売 (食の安心=食の安全×信頼→納得) ●新聞報道記事の紹介(琵琶湖の邪魔者、畑に活力。外来水草で肥料 商品化狙う) (琵琶湖 迷惑の種 お宝に。 生態系 環境 コスト 「一石三鳥」 ) ●新農業ビジネスの創造 ⇒ ●スロー&ローカルイノベーション ⇒ ●SOFIX 次世代有機農業経済モデル《X2倍収入》 ⇒ ●企業主導産業化モデル ⇒ ●たねやグループ成功モデル ⇒ ●守山市行政成功モデル ⇒ ● スロー&ローカル成功モデル(小西酒造(白雪)グループ成功モデル) ⇒ ● 純米大吟醸《勝馬米》 :競走馬の堆肥で栽培した酒米で、立命館大で考案し、小西 酒造で醸造した酒 ●実装戦術 成功モデル ⇒ ●SOFIX 基盤技術(立命館大)と行政主導産業化モデ ル、企業主導産業化モデル、地域自立モデル、SOFIX 人材育成センターとの連携 《図解説明、成功事例紹介》 以上の内容で、パワーポイント映像、ペーパー資料で講義頂いた。 事前に久保講師の SOFIX 活動について、NHK が取り上げ報道したこともあり、 関心が高まっていた。 生ごみリサイクル PJ の取組み・理念と近く当方には理解し易かった。 ただし、大きな違いは、活動、考え方が科学的で有るか否かでした。 Ⅱ.事例発表 NPO 法人日本食品リサイクルネットワーク関西支部(事務系・生ごみ) 市民・生ごみリサイクルプロジェクト(家庭系・生ごみ) の方々 ごみの山を宝の山に!. . . .食品資源の循環をめざす! 生ごみ活かす. . . .リサイクル取組 ●「食品資源循環」活動の経過・実績関係報告 ●現状:リサイクル率の現状(実態)について *全国平均 20.5 *大津 14.4 ●現状:一般廃棄物の. . .約 1/3 が「生ごみ」 、殆んど焼却処理 ⇒ ●生ごみ資源化し、菜園・ 農業利用(大地の恵みは大地に返す!)の理念で活動し、実践している。地域行政、市民団体に 働き掛け、理解と協力者、賛同者の拡がりが有り、少しずつではあるが、実績が上がってきてい る、との報告。 ●活動内容を、映像とペーパー資料で紹介。 ●生ごみ堆肥使用圃場では、水田に豊年エビが発生。綺麗な水の実証。 ●食品リサイクルシステム概要、ループの紹介 ●生ごみリサイクル 醗酵分解(ダンボール箱使用) 、堆肥化実例紹介。 生ごみの堆肥化には、いろいろな方法があり、自分に適した方法ですればよい。 生ごみは燃やすのではなく優良な有機肥料になるから、有効に利用し活用しましょう。なお、食品 残渣には調味料が多く含まれ、特に塩分と油分が作物生育に影響しますので、営農者は使用を敬遠 されるきらいがある。 堆肥化資材によっては、塩分や油分の影響をなくすものもある。 残念ながらこの報告はなかった。 トータル感想は、成功と受け止める。 意図したところが受講者に十分伝わったものと思う。 実 践に向けて我々が組織的にどのように提案し、行動するか重要な岐路に立たされたものと思う。 アンケート結果 (一般参加者 32 名中 30 名:回収率 94%) *男女比 *メディア *年齢構成 *評価 *ご意見 ・ 「三方よし」の生ごみ処理 すぐにしてみたいと思います。 ・ SOFIX土壌肥沃度はどのようにして計るのか、誰もが計れるといいと思う。腐葉土はどうし て作るのかわかりません。 ・ 日本の農作物は安全だと信じていましたが、生産に対する肥料の使用量の多いのに驚きました。 一人ひとりがわずかでも環境に興味を持つことで自然に近づきたいと思います。 ・ SOFIXのことに興味を持ちました。生ごみ堆肥化を明日からでも実行したい。 ・ SOFIXの久保先生もリサイクルの吉田さん、森井さんも実際的で良かったです。 ・ いままでこういう講座がある事すら知りませんでした。これからは情報をキャッチしまして、ど んどんいろいろな講座に参加して勉強していきたいと思います。 ・ 現在家庭菜園を少ししており、家庭ごみを肥料にリサイクルできればと思い参加。私もダンボー ルでやってみようと楽しみが出来ました。ありがとうございました。 ・ 野菜づくりをしており大変参考になりました。土づくりの大切さを感じています。久保先生の化 学的な分析SOFIXを勉強します。 ・ SOFIXについてもっと知りたい ・ 久保先生の話は大変ユニークで多岐にわたる内容でよかった。ダンボールで生ごみ堆肥化できる とはよい話でした。 ・ 土のよさを数値化された久保先生のご研究は画期的なものであり、今後の農業に改革が起きるよ う願っています。若い人の農業志向が進むことも期待しています。 ・ 市民・生ごみPJの一員として 5 年目を迎えましたが、本日の講演により更に意識を高めました。 ・ 久保先生の話は具体的でよく理解できました。SOFIXによる土づくりを全国規模で展開出来 る日を期待しています。 ・ よい肥料を作って、若い人に農業をやりたいと思ってほしいものですね。日本のよさを若い人に 感じてほしい。 ・ SOFIXで農業収入が増えれば農業従事者が増え、休耕田、工作放棄地が減るのではないかと、 明るい光を見出したように感じました。生ごみは家庭菜園に利用しています。美味しい野菜が取 れています。 ・ 地味な努力で循環型社会の可能性を見た。 ・ 琵琶湖の水草が肥料になればいいですね!資源の循環が上手になされれば土壌も良くなり、土か ら生まれたものは土に返せばいいことなんですね。 ・ ゴミの処理を有効利用する方法を教えてもらって大変良かった。 ・ 土の環境を良くすることも地球の環境を良くすることも皆のほんの少しの心がけと努力で良くな ると思いました。土づくりを教えて欲しかったのに前置きの講演が長すぎました。 ・ 最近、兵庫、岡山、香川、淡路島をぐるっと廻る機会があったのですが、赤穂岬や瀬戸大橋、途 中の牛窓のオリーブ園からの瀬戸内海が大変良い天気の中ではあったがすっきりした所がなくボ ヤーっと景色になっていました。中国からのPM2.5 や黄砂などのせいで大変な悪影響がどんどん 日本列島を東へ進んでいることを実感しました。中国当局に一刻も早く対応させる動きをしてい かないと、中国も取り返しがつかなくなるだろう。土の改良が植物に大変大きな差異を与える事 を写真でよく分かりました。
© Copyright 2024 Paperzz