ビジネスインテリジェンス(BI): 中堅企業向け活用ガイド

SAP Thought Leadership
Business Intelligence
ビジネスインテリジェンス
(BI)
:
中堅企業向け活用ガイド
規模とニーズに合わせた BI 戦略による
パフォーマンスの改善
目次
5
エグゼクティブサマリー
13
ビジネスインテリジェンス
(BI)の
賢い導入方法
6
ビジネスインテリジェンス
(BI)
ソリューションの必要性の兆候
ビジネスユーザーを
自律的な BI ユーザーに育てる
7
ビジネスインテリジェンス
(BI)
とは何か
データウェアハウスを使って
分析の円滑化を図る
中堅企業にとって
8
12
BI がどのように役立つのか
14
BI 製品に何を求めるか
BI を構成するコンポーネントについて
15
BI ベンダーに何を求めるか
単純なクエリーとは次元の異なる
多彩なツールと機能
17
結論
ビジネスインテリジェンス
(BI)のメリット
Michael A. Schiff
MAS Strategies 社の創立者、主席アナリスト。情報テクノロジー業界での 30 年以上にわた
る経験に基づき、
データウェアハウス、
データベーステクノロジー、高度な意思決定のサポート
などの領域で、戦術的な市場インテリジェンスと分析を提供中。マサチューセッツ工科大学
(MIT)のスローン経営学大学院で、科学の学士号と修士号を取得。学部ではオペレーションズ
リサーチを、大学院では情報システムを専攻。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
3
ビジネスユーザーは、
ビジネスインテリジェンス
(BI)
を
使って分析を行うことで、組織の計画と結果を
正しく把握できるようになります。BI は、物事が正しく
行われているかを監視しながら、潜在的な問題が
あればそれを早期に特定して是正するための
インサイト
(洞察)
をもたらします。この文書では、
中堅企業が常に競合他社の先を行くために
BI が大きな力となることを説明し、
適切なベンダーから適切な BI 製品を
選択するにはどうすればよいかを示します。
全社規模で十分な情報に基づいた意思決定を行う
エグゼクティブサマリー
多くの企業は、業務の合理化、顧客の獲得、売上
中堅企業の経営者の方々は、ご自分の会社に
と収益性の向上、そして競合他社よりも一歩先を
Fortune 500 企業と同等のリソースがないこと
失敗を速やかに糧に変えながら業務効率の向上
とりを見れば、どんな会社にも負けないくらい各
苦労し、問題を解決しようと駆け回るような日常
寧に応対していると確信しているのではないで
行くことに注力しています。そして、時には過去の
に努めるうちに、やがて、従業員が事態の収拾に
と決別するためにも、現状の分析や将来の予測
は認識されているでしょう。しかし、従業員 1 人ひ
自の仕事に大きな情熱を抱いており、顧客に丁
しょうか。あるいは、今は小さめの会社であっても、
と計画にもっと多くの時間をかけるべきだと確信
すでに計画された成長軌道に乗っているのかも
するようになります。
しれません。いずれにしろ、さらなるステップアッ
さらに重要なのは、努力をどこに集中させるべ
プを模索しているのなら、
「ビジネスインテリジェ
数の経営陣が細部をすべてチェックすることはで
う。大企業は、BI を駆使して競争優位性を獲得し
した場合には、自分がどこにいても察知したいと
活用しています。こうした時代の中、貴社の使う
きかを判断する能力を培うことです。実際には少
きませんが、業務を監視し、潜在的な問題が発生
お考えのはずです。そのためには潜在的な問題
の早期発見と解決に集中しながら、現在の不確
実な世界経済の中で新しいチャンスを見出し、最
ンス
(BI)
」という言葉は耳にしたことがあるでしょ
ており、おそらく、貴社の直接の競争相手も BI を
主要な分析ツールがまだスプレッドシートだった
としたら、
このガイドがお役に立つでしょう。
大限に活用できる必要があります。そして、従業
員や各部門の判断基準や行動基準が、会社の戦
略目標に沿っているかどうかが重要な意味を持
ちます。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
5
BI から得られる数々のメリット
ビジネスインテリジェンス
(BI)
ソリューションの
必要性の兆候
以下に示すのは、企業がビジネスインテリジェン
ス
(BI)
ソリューションからメリットを得られる典
型的な状況です。
• 統合されていない複数の情報ソースの混在
異なる部門間で会議を行うと、誰のスプレッド
• 分析にはモバイルデバイスでなく
デスクトップ PC/ノート PC が必要となる制約
ある重要顧客に競合他社が積極的にアプロー
チしており、
アカウント担当者は、どのような対
抗策を打ち出せば利益を確保しながら顧客を
シートの数値が正しいか、あるいは最新かに
維持できるか判断するため、販売担当副社長
まうことがある
は休暇中で、
スマートフォンしか携行していない
ついて論争するうちに、激しい討論になってし
• 詳細な分析を行う能力の欠如
売上量が最も多い店舗は分かるが、季節ごと
にどの製品が最も多く売れたかは分からない
• 過去のデータを大切にする方針や習慣の欠如
販売部門が取引先アカウントの見直しを行っ
ており、顧客別に、当年当日までの売上を、前
年同日までの売上と比較したいと考える。しか
し、今年の売上結果のスプレッドシートはある
が、前年のスプレッドシートを管理していた社
員が会社を辞めてしまっており、それが今どう
なっているかを把握している者がいない
• BI テクノロジーが
不十分または存在しないことに起因する
業務の柔軟性の限界
会社が成長し、顧客ベースが数百に達するま
でになった。個々の顧客を大切にする一方で、
月間売上高の上位 10 社を調べ、
その顧客に特
に分析してもらう必要が生じた。しかし副社長
• 機敏な対応能力の欠如
• 大量のデータを迅速に分析する能力の欠如
会社の意思決定では大量データの迅速な分
析が必要となるケースも多いが、現在の BI 製
品では、1 回の実行でごく一部のデータしか分
析できず、どんなに早くても完了までに数時間
はかかる
• ビジネスユーザーが技術専門家並みの
知識 / 能力を求められる使い勝手の悪さ
給与管理部門の技術力に定評があるビジネス
明らかなサービス上の問題が原因で、不満に
ユーザーは、SQL(Structured Query Lan-
している。しかし、会社はソーシャルネットワー
クエリーを実行して販売価格が「5ドル未満か
感じた顧客が自社への非難を Twitter に投稿
クをたまにチェックするだけなので、それに気
付いたときには、顧客のコメントが口コミで広
がってしまった後だった
• 非構造化データを分析する能力の欠如
会社のデータは大半が構造化形式で保存され
ている。しかし、
電子メール、
ブログ、
顧客サポー
トログ、Twitter のメッセージ、Facebook、そ
guage)をマスターしたと考えている。しかし、
つ 1,000ドル超」の製品をすべて検索しようと
して、
この基準を満たす製品が 1 つもない理由
を理解できない
• BI 製品の拡張性が限られていることによる制約
会社は昨年ついにスプレッドシートを卒業し、
機能限定版の BI 製品に移行した。その後も成
長が続き、分析ニーズも広がってきた。しかし、
の他の非構造化データをソースとするテキス
導入した BI 製品では、新たな需要に対応する
ト形式のデータ量が急増しているにもかかわ
ための拡張が不可能
らず、
これを分析する手段がない
• 分析範囲に関する制約
会社の唯一の BI 機能はトランザクション処理
システムの一部であり、このシステムで作成・
に配慮して特別なインセンティブを提供したい。
保存したデータしか分析できない。コールセ
しかし、
それを効率的に行う手段がない
ンターのデータをクラウドベースの顧客関係
管理(CRM)システムが持つ顧客データと統
合して分析する手段がないため、顧客情報を
包括的に把握することが不可能
中堅企業に BI が役立つ理由
ビジネスインテリジェンス
(BI)
とは何か
中堅企業にとって
BI がどのように役立つのか
ビジネスインテリジェンス
(BI)
を活用すると、企
業はビジネス環境全体(社外および社内)の状況
を正確に理解、分析、予測できるようになります。
BI は、組織内のデータを有用で意味のある情報
に変換した上で、
その情報を必要としている人に、
必要なときに、必要な場所へ、各自が選択したデバ
中堅企業での一般的な BI ソリューションの使い
• マーケティングキャンペーンをリアルタイムで
• 最も売れている製品を特定し、
どの販売チャネ
らに強化するか、中止して他のキャンペーンに
方は、以下のとおりです。
ルにも共通した傾向であるかどうかを調べる
資金を振り向けるかを判断する。また、全体的
をつなぎとめるための特別案を用意する
の特定セグメントで効果が見られないかどう
• 購入を控えようとしている顧客を特定し、彼ら
• ソーシャルメディアサイトを監視し、自社に対
サービスの潜在的な問題に関する洞察を得る
• 現在と過去のレポートや分析をカタログ化し
の確立に貢献します。これにより、
すべての関係者
て保存し、すぐに引き出して分析に利用できる
に基づく意思決定を行えるようになります。また BI
では、多種多様なソースから集めたデータを効
果的に結合することもできるため、企業は統合さ
れた最新情報に基づく360 度評価を実現します。
ようにすることで、
コラボラティブな意思決定プ
ロセスに役立てる
• シミュレーション分析(what-if 分析)を実施し、
売上が何パーセント増減したら利益にどう影
響するかを判断する
この点は、中堅企業にとって特に重要です。膨
• 経営陣や管理職が業務上の例外や、許容範囲
来的に、ビジネスの意思決定を業界大手の企業
識できるように、ダッシュボードとスコアカード
大なリソースを保有していない中堅企業は、本
を逸脱した主要業績指標(KPI)
を速やかに認
よりも迅速に行える立場にあるからです。BI は、
を導入し、リアルタイムなアラートの発生時に
トのあるソリューションです。IT 部門にとっては、
措置を取れるようにする
IT 部門とビジネスユーザーの双方にとってメリッ
はモバイルデバイスで受け取って即座に是正
特別な要望を寄せるビジネスユーザーとの共同
• 総売上高の減少といった概略レベルの傾向を
ザーを自律的な BI ユーザーに導くことも可能で
的な現象なのか、特定の製品の不振が原因な
係にありますが、BI によって、IT 部門はその両面
ち込みの結果なのかを判断する
作業の生産性が向上し、さらにはビジネスユー
す。業務の遂行と分析はビジネスの表と裏の関
における貴重な社内パートナーとしての立場を
確立できます。
には失敗と思われるキャンペーンでも、見込客
かを確認する
する感想を分析することで、製品発売、評判、 • 顧客の注文と希望発送日をトラッキングして完
イスに対して、いつでも配信できる情報活用基盤
(経営陣、従業員)がタイムリーかつ十分な情報
監視し、その成否を早期に確認することで、さ
成品の在庫と照合し、生産サイクルとサプライ
チェーンの物流を調整して在庫維持コストを
削減する
• 業務データ、スプレッドシートデータ、過去の
データを統合し、分析に利用できる形に整える
ことで異なるデータ形態を整理し、組織全体に
一貫性と「唯一の正確な情報源」を提供する
• 貴重な IT 部門のリソースを巻き込まずに、自
力でアドホック
(非定期 / 非定形)分析を行え
る能力をビジネスユーザーに提供する
• 日常業務を戦略的目標に整合させ、ギャップが
生じた場合は即座に把握できるようにする
• 直感ではなくデータ主導型の分析に基づく意
思決定を常態化する
特定し、詳細をドリルダウンして確認し、全社
のか、あるいは、大型店舗の売上の大幅な落
• 本年と前年の年初から現在までの売上合計を
比較して、年度末までの売上を予測する
BI は、組織内のデータを有用で意味のある情報に
変換した上で、
その情報を必要としている人に、
必要なときに、必要な場所へ、各自が選択した
デバイスに対して、いつでも配信できる
情報活用基盤の確立に貢献します。これにより、
すべての関係者
(経営陣、従業員)
がタイムリーかつ
十分な情報に基づく意思決定を行えるようになります。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
7
幅広いツールと機能を用途に合わせて活用可能
BI を構成するコンポーネントについて
単純なクエリーとは次元の異なる
多彩なツールと機能
全社規模のレポート作成機能
単純なクエリーでは、会社のデータにアクセスし
使いやすい高度な分析機能
高度な分析機能を使うと、複数の分類または次元
て問い合わせを行います。たとえば、
「得意先の (製品、顧客、場所、期間、販売員など)に基づいて
ABC 社に対する 12 月の売上総額はどれだけだっ
データを表示したり、さまざまな側面と観点から
リー、レポート作成、分析という伝統的な基本機
くらか」
、あるいは「部品番号 123 の部品の在庫
ことができます。たとえば、地域別の 12 月の売上
のがデータ品質とデータ統合の機能であり、複数
くのクエリーツールは簡単なレポート機能も提
かります。高度な分析機能は、組織の階層構造に
BI の対象範囲は非常に広範で、ツールと機能に
はさまざまなものがあります。核となるのは、
クエ
能です。そして、核となる機能の周囲を補強する
のソースから抽出したデータを正確性と一貫性
たか」
、
「社員番号 157 の社員の現在の給料はい
はいくつ残っているか」などと問い合わせます。多
供しており、たとえば、全従業員の有給休暇一覧
データを分析して多様な組み合わせで検討する
や、前年に個々の顧客が購入した製品などが分
即した分析にも有用です。たとえば、
ビジネスユー
とする各種の「見える化」
(可視化)の技術は、
ユー
レポートを、部門別にソート・集計して生成するこ
ザーは最初に地域別の売上を表示し、
そこからド
とができます。
リルダウンして地域内の各国の売上を表示する
ウンするために役立ちます。
「見える化」は、BI の
詳細なレポートを大量に作成する作業が必要に
です。
る販売員別および顧客別にソートされた月間売
別の売上を調べることもできるでしょう。このよう
ほかにも以下のツールがあります。
庫別の在庫状況レポートが挙げられます。レポー
期間と比較するのも容易です。つまり、月
(または
を維持して統合します。ダッシュボードをはじめ
ザーが分析結果を素早く理解し、詳細をドリルダ
多様なソリューションの中でも重要な構成要素
• 検索機能:情報やレポートの場所を特定できる
• 将来分析機能:隠れた傾向を検出し、シミュ
レーションを可能にする
• スコアカードと業績管理機能:顧客満足度、収
益性、従業員 1 人あたりの売上などのビジネス
評価基準や主要業績指標(KPI)
を監視し、個
人および部門の評価基準を組織の戦略的目標
と連携させるために役立つ
企業レポートや生産レポートでは、定期的に
なります。例としては、販売マネジャーが使用す
上と販売手数料のレポートや、製品別または倉
トの配信内容は、通常、販売マネジャーや生産マ
ネジャーがそれぞれ必要とする項目
(販売員、製
品、倉庫など)だけを閲覧できるように制御され
国内の各店舗での売上も表示できます。また、各
店舗における製品別の売上や、各製品の販売員
に高度な分析機能では、ある期間の業績を別の
別の特定の期間)の製品売上総額を前年同月と
比較できるのはもちろん、さらにドリルダウンして
店舗、顧客、または販売員といったレベルで年次
ます。配信形態としては電子メールでの送信、 比較を行うこともできます。
Web ブラウザーによる閲覧に加え、最近ではモ
バイルデバイスや場合によっては PC 上のモバイ
ル対応アプリケーションによる閲覧もあるでしょう。
また企業レポートは、顧客向けの説明書や納品
書、従業員別の待遇概要書を生成するためにも
使われます。
IT 担当者の多くが証言するように、静的なレポート機能の
ユーザーは、
もっと詳細な情報や高度な機能を望む傾向にあります。
クエリー/ 分析ツールを使うと、ビジネスユーザーは自力で
高度なクエリーを実行し、元になった詳細データを即座に入手して
調べることができます。
ことができます。さらにドリルダウンすることで、
その他の高度な分析機能、たとえばフィルタ機能
を使うと、特定の条件に合致する店舗、地域、製
効果的な BI は、インタラクティブなプロセスでな
Consarc 社は、構成部品メーカーが航空機をはじ
ければなりません。クエリー / 分析ツール(および
めとする精密機械向けの合金部品を製造するため
除外するかをコントロールできるため、上位 25
スユーザーは手持ちのデータに基づいて動的な
制御炉を製造しているメーカーです。同社はビジネ
を調べたり、最も利益の出た、あるいは最も利益
言するように、静的なレポート機能のユーザーは、
できます。このように複数の次元にまたがってデー
ります。クエリー / 分析ツールを使うと、ビジネス
品、販売員、期間などを分析に含めるか分析から
組み込まれた OLAP 機能)
を使用すれば、ビジネ
または下位 25(この数字は何でもかまいません) 分析を行うことができます。IT 担当者の多くが証
の出なかった製品、店舗、販売員を割り出したり
タを調べる機能に、詳細のドリルダウン、さまざま
な側面と観点からの分析、
フィルタなどの機能を
組み合わせることで、より強力で使いやすい分析
機能が実現します。
もっと詳細な情報や高度な機能を望む傾向にあ
ユーザーは自力で高度なクエリーを実行し、元に
なった詳細データを即座に入手して調べること
ができます。
クエリー、レポート作成、インタラクティブな分
簡単なレポート機能は、受動的な閲覧だけを
析といった核となる BI の技術が現在や過去の
リューションはインタラクティブな操作に対応し
データマイニングや将来分析などの機能では、将
行うように設計されているのが普通ですが、BI ソ
た高度な分析機能を提供します。こうした高度
状況を表示・分析するために役立つのに対し、
来的に何が起こるかを予測することができます。
な機能の多くは、かつては特別な OLAP(online
これは、今日のような不確実な経済の下では非
製品だけで利用できるものであり、独自仕様の
統計テクニックを使って、隠れた関係、つまり直
analytical processing:オンライン分析処理) 常に重要な機能といえます。BI では洗練された
データベースや高度なスキルを持つ専門技術者
を必要としました。現在では、OLAP のほとんど
の機能がクエリー / 分析ツールに組み込まれて
観では把握できない関係性をあぶりだします。BI
を使うと、どの要因が顧客の流動性や自然減少
に使用する、特注の高性能な真空雰囲気炉・雰囲気
スインテリジェンス
(BI)
を改善して業務を合理化す
るため、SAP のパートナーである CNE 社の協力を得
て、SAP® BusinessObjects™ Edge BI および SAP
Crystal Reports® ソフトウェアを導入しました。
「SAP と CNE のおかげで、当社は大きな一歩を踏
み出すことができました。今日では、はるかに円滑な
事業運営が実現しています」
(IT マネジャー、Mark
Mahon 氏)
OraSure Technologies 社は、あらゆるレベルの医
療従事者が自力でデータ分析やレポート作成を行
えるようにするための、革新的な医療診断製品を供
給しています。すでに SAP ERP アプリケーションの
ユーザーであった同社が、再び SAP を選び、SAP
BusinessObjects ソリューションを導入したところ、
従業員は短期間で使い方をマスターしました。
「IT 部門の助けを借りる必要がなくなったため、今で
は社員が各自で成果をレポート化しています。所要
時間は短くなり、精度に対する信頼性も高まりました」
(SAP システム担当マネジャー、Scott Baker 氏)
に深く関係しているのか、あるいは、
マーケティン
おり、ビジネスユーザーが自力でインタラクティ
グキャンペーンで良い反応を得る上で、
どの要因
えば、レポート内の数値をクリックしてドリルダウ
購入額など)が最も深く関係するのかを特定する
ブな分析を実行できるようになっています。たと (たとえば、見込み客の所得、教育、年齢、前回の
ンし、元になった詳細データを分析することによ
り、多くの問題の原因を解明することができます。
ことができます。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
9
配信とコントロール
データウェアハウスと業務システムでの
それと同様に、ダッシュボードのような高度な可
ありません。BI は情報の配信とコントロールにも
データウェアハウス環境では、複数のシステムか
強力に補完します。自動車のダッシュボードを思
レポートを
(最新版だけでなく過去のバージョン
析用に保管します。そのため、
この環境に BI を組
わせるグラフィカルな計器表示や信号機のような
も含めて)Web に公開したり、ユーザーが希望す
み合わせると、さらに高度で大掛かりな分析も可
「見える化」
(可視化)の技術
というわけでは
1 枚の絵が千個の数字に値することがあります。 ツールとその有効活用だけが BI、
視化テクニックは、BI に含まれるその他の機能を
状態表示(赤は警告、黄色は注意など)
を利用し
BI の使用
関与します。たとえば、現在のビジネス環境では、 らデータのスナップショットを抽出して統合し、分
る携帯端末 / モバイルデバイスに配信できる機
能も重要です。しかし、すべての従業員がすべて
能になります。しかし、BI はデータウェアハウス
て、ユーザーは想定外の事態の発生を即座に知
ることができます。
のレポートや分析にアクセスできるようなセキュ
務システムでも使用できます。
管理もできません」
。スコアカードをはじめとする
リティー、
コントロールも、BI 環境の一部です。
る場合、BI の主な用途は、現在の在庫レベル、顧
価基準を確立し、結果を更新および監視できる
ドシートの排除を意味することにはなりません。 の状況を示すデータ値を把握することになります。
よく言われることですが、
「測定できなければ、 リティーの甘さも許されません。管理、
監視、
セキュ
各種の業績管理ツールを使うと、ビジネスの評
商用の BI 製品を使うことは、必ずしもスプレッ
だけでなく、必要に応じて周知することができます。 むしろ BI は、スプレッドシートと最新のデータの
環境に限定されるものではありません。BI は、業
日常業務を支える業務システムに BI を導入す
客の未収金の状態、給料、学生の出欠など、現在
一方、データ値を定期的に格納するデータウェア
これにより、問題が小さいうちに早期に特定し、 つながりを管理しながら、適切な配信とコント
ハウスと一緒に BI を導入する場合、BI の主な用
ダッシュボードは主に、業績指標を表示するため
較することでしょう。データウェアハウスには、
デー
速やかに是正措置をとることが可能になります。 ロールを強化する存在です。これにより、
「形態の
異なるデータの混在」の問題が解消され、どのス
途は、特定の時期の業績を別の時期の業績と比
に使われます。ユーザーはダッシュボードのビジュ
プレッドシートが「より正確」かという議論にも終
タ統合 / データ品質管理の技術を利用して定期
を複数の階層(地域、国、都市、店舗など)
で表示
ポートを検索して特定する機能も BI 環境の一部
ステムを情報源とするケースも少なくありません。
アルな表示からドリルダウンし、元になった詳細
することができます。その他の可視化の技術とし
ては、シミュレーションを使用した分析を行うた
めのスライダーバーがあります。たとえば、保守
サービスの売上が増えた場合や、販売経費を削
止符が打たれます。また、各種の業務に即したレ
的にデータ値が格納され、複数の異なる業務シ
です。存在が誰にも知られていないレポートや、 典型的な使用例は、当四半期の売上を、過去 3
誰も見つけることができないようなレポートは、 年間の同四半期の売上と比較する、
といったもの
ほとんど価値がありません。
減した場合などを想定し、利益幅がどのように増
加するかをシミュレーションできます。
現在も多くの中堅・中小企業が主要な BI ツールとして
スプレッドシートを使っています。しかし、
それらの企業の
ほとんどが、
それが一時しのぎのソリューションでしかなく、
「形態の異なるデータの混在」
と一貫性のない分析結果に
陥りやすいものであることを認識するようになりました。
です。データ統合ベンダーによっては、商用エン
タープライズアプリケーションソフトウェアへのア
クセスをサポートするコネクターや統合キットを
提供しています。
BI は、企業の Web サイトなどのリアルタイム環
境にも展開できます。そこではユーザーの閲覧行
動を追跡して追加の製品やサービスを推奨する
レコメンデーションや、見込客を顧客に転換する
業務システムとデータウェアハウスの両方で BI
を活用すると、企業は日常業務を改善できるだけ
でなく、現在の業績を過去の値と比較して傾向を
つかみ、問題が深刻になる前に阻止することも
ための個別割引を提供することができます。また、 期待できます。
(=センチメン
BI を活用して人々の感想を分析し
ト分析)
、自社の評判を監視したり、開発中の製品
やサービスに関する問題を特定することも可能
です。
データ品質は、業務システムとデータウェアハ
ウスのどちらにおいても最重要事項です。業務環
境では、間違った注文を間違った住所に発送し
た、50 ポンドの注文なのに商品を 50kg 送った、
病人に間違った薬を処方した、間違った銀行口
座に送金した、などという失態は許されません。
データウェアハウス環境でも、十分な情報に基づ
く的確な意思決定のためのデータが実際には不
完全で、不正確で、一貫性に欠けているという状
況は許されません。こうした事態は、データ品質
業務システムとデータウェアハウスの
両方で BI を活用すると、企業は
日常業務を改善できるだけでなく、
現在の業績を過去の値と比較して
傾向をつかみ、問題が深刻になる
前に阻止することも期待できます。
ツールの導入によって回避できます。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
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組織全体にわたる効率と効果の改善
ビジネスインテリジェンス
(BI)
のメリット
マネジャーにとっての重要な仕事は、意思決定を
行うことです。組織の意思決定プロセスの質を全
術者だけが BI ツールを使っていましたが、現在
の BI ツールはビジネスに関わる大多数の人に
体的に向上できれば、組織全体の実行力が改善
とって使いやすいものになり、
「組織における BI
されるだけでなく、ビジネス全体の効率性も高ま
ツールの民主化」が大きく進展しました。そして
意思決定を強化し、ビジネスをより効率的、効果
守し、レポートを更新するという段階から、適切
ビジネスユーザーは、BI を使って分析を行うこ
分析力をもたらすという戦略的な活動へと大きく
ります。ビジネスインテリジェンス
(BI)は、組織の
的に管理できるよう支援します。
IT 部門の役割も、ユーザー名とパスワードを保
なテクノロジーを提供してビジネスユーザーに
とで、組織の計画と結果を正しく把握できるよう
進化を遂げました。そして、ビジネスユーザーに
を監視しながら、潜在的な問題があればそれを
クティブな分析機能などがもたらされる一方、IT
をもたらします。BI は、チャンスや問題を認識す
ための余力が生まれるという、双方にとっての利
になります。BI は、物事が正しく行われているか
は応答時間の短縮、ドリルダウン機能、インタラ
早期に特定して是正するためのインサイト
(洞察) 部門には、
より効果的、効率的に組織に貢献する
る手段としても有効です。たとえば、
「売上が予測
より20% 少なかった」
、
「在庫が基準値を下回っ
た」などの例外状態が発生した場合に、関係者
に対して潜在的な問題についての警告を発する
ように設定することができます。
BI 製品スイートにはさまざまな機能のオプショ
ンが含まれているため、目的とする作業や個々の
従業員の熟練度に最適なものを選び、現時点で
最も必要な機能をすぐに実装できます。また、ほ
益が実現しています。
経営者やマネジャーを務める人には自らの直
観力を誇りしている方が少なくありませんが、BI
はそうした直観的なインサイトの裏付けや、新し
い発見を得るために役立つ各種のツールを提供
します。ビジネスユーザーにとっての BI は、簡単
な操作で概要を確認し、必要に応じて詳細デー
タの分析やシミュレーション分析もすぐに行える、
効率的な情報活用ツールです。そして、今日の企
かの機能が将来必要になった場合は、いつでも
業にとって BI は、効果的な意思決定を行うため
それらを追加導入できます。かつては主に専門技
に欠かせない重要な
の 1 つだと言えます。
BI 構想への第一歩を踏み出すために多額の費用をかける必要は
ありません。最初は初期のニーズに応じて簡単な BI から開始し、
ビジネスが成長、拡大するにつれて新たに必要となったツールを
実装することができます。ポイントは、
そうした拡張に対応した
製品群を提供しているベンダーを選ぶことです。
小さく始める。しかし将来の拡張の備えは万全に
ビジネスインテリジェンス
(BI)
の
賢い導入方法
BI 構想への第一歩を踏み出すために多額の費
用をかける必要はありません。最初は初期のニー
どうすれば最もうまく行くかの判断は、
それぞれの
会社によります。一般に、
組織の誰かが BI のメリッ
ズに応じて簡単な BI から開始し、ビジネスが成
トを実感すると、BI の活用は短期間で組織全体
を実装することができます。ポイントは、そうした
ツールを使うからといってスプレッドシートを放
を選ぶことです。
適切な配信とコントロールのための手順を確立
長、拡大するにつれて新たに必要となったツール
拡張に対応した製品群を提供しているベンダー
ビジネスユーザーを
自律的な BI ユーザーに育てる
統一性のないスプレッドシート環境からの移行
を試みる際は、まず小さな規模で始めるのが理
に適っています。たとえば、
クエリー/レポートツー
に広まります。繰り返しになりますが、商用の BI
棄する必要はありません。ポイントは、IT 部門が
データウェアハウスを使って
分析の円滑化を図る
心者から熟練者までの幅があります。IT 部門は、
ポートを作成できるかについてのポリシーを設
始点に適した場所の一例は、処理待ちのレポー
定し、その遵守を徹底することができます。商用
ビジネスへの影響を認識し、さらには顧客ロイヤル
ティーにマイナスの影響を与える製品や多くの顧客
を呼び戻す力のある製品を特定することも可能にな
りました。また、このような洞察によって武装した経
営陣は、問題のある現場(選別業務や組立ラインな
ど)のプロセスを調査し、積極的に問題を是正できる
ようになりました。こうした取り組みの結果、同社の
製品と出荷の品質は改善され、梱包や配達の不具
合を補償するための値引きの負担を大幅に軽減す
ることに成功しました。
場合は、一般的な BI ツールがバンドルされてい
ることも多いので、すでにこれらのツールを使用
した経験があるかもしれません。
あくまでもビジネスユーザーを自律的な BI ユー
もっと深い分析にも利用したくなるケースは少な
ザーに育てること、つまり、IT 部門を頼らずに自力
報の宝庫に変わりました。このレポートの情報をも
のビジネスソフトウェアパッケージをご使用中の
門は BI ツールを使って、効率的に処理待ち分を
減らすことができます。ただし、最終的な目標は
がビジネスに及ぼす影響の評価に役立ちました。
SAP BusinessObjects Edge ソリューションによっ
いということです。
ケーションを増やし、BI の機能も追加しながら
トが最も多いアプリケーションです。これで IT 部
在する主要な問題の特定、顧客の傾向の把握、問題
とに顧客データを製品別に掘り下げ、傾向を把握し、
誰がどのレポートにアクセスでき、誰が独自にレ
つけば、普及プロセスは急展開するものです。開
られたインサイト
(洞察)は、バリューチェーン内に存
て、同社の顧客フィードバックレポートは有益な情
使える BI ツールを選定・導入しなければならな
ノロジーが浸透していくのに応じて、対象アプリ
BI の範囲を拡張していきます。いったん弾みが
Objects™ Edge ソリューションを使って顧客の苦情
とフィードバックの情報を分析しました。分析から得
し、スプレッドシートとのインターフェースとして
ルを備えたビジネスアプリケーション 1 つに対し、 どの時点においても、BI を使うユーザーには初
BI を導入するとよいでしょう。組織内にそのテク
FreshDirect 社は食料雑貨配達のオンラインサービ
スを提供する会社です。同社はまず、SAP® Business-
業務目的で組織に BI を導入した後で、BI を
くありません。たとえば、特定の時期の業績を別
で分析を実行できるようになってもらうことです。 の時期の業績と比較するような場合です。このよ
レポート配信 / カタログ化機能を用いてレポート
うなニーズに対応するのがデータウェアハウスで
を公開し、ほかのユーザーも適切なアクセス権限
す。データ値を定期的に格納できるデータウェア
に従って、その存在を知り、活用できるようにする
ことを検討します。
IT 部門は、一部の BI ツールが持つ「ガイド付
ハウスであれば、過去にさかのぼって特定の期間
を比較することも簡単です。通常、
データウェアハ
ウスには複数のソースからのデータが格納され
きの分析」機能を使ってパラメーター方式のレ
ますが、
これは 2 種類のソフトウェアによって支え
ポートを作成することにより、ビジネスユーザー
られています。データ統合ソフトウェアはウェアハ
の BI 活用を支援できます。このタイプのレポート
事態を防止できます。IT の世界で最も古い格言
の 1 つに、
「ゴミのようなデータを使っていくら解
析しても、出てくる結果はゴミばかりだ」というも
のがあります。これはデータウェアハウスと業務
システムの両方に当てはまります。
ウスにデータをロードするためのテクノロジーを
では、ビジネスユーザー自身がフィルタ条件を選
提供し、データ品質ソフトウェアは集約したデー
ます。経験を積むに従って、独自のレポートを生
て多くの組織が高度な汎用性を求めて構築しよ
択し、ある程度まで独自の分析を行うことができ
データ品質ソフトウェアを使用すれば、そうした
タの正確性と一貫性の保持に貢献します。かつ
成し、会社のレポートライブラリ構築に貢献する
うと努めてきたデータウェアハウスは、事実上、単
ユーザーが現れてくるでしょう。
なるデータの集積所と化していました。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
13
製品の機能面だけでなく、ビジネスユーザーへの配慮も重要
BI 製品に何を求めるか
BI 製品を選ぶときは、製品にどのような機能があ
るか以外にも考慮すべき重要な要素があります。
たとえば、使いやすさ、導入と管理のしやすさ、拡
• さまざまなデータソースにアクセスし、
それらを統合するための機能を備えているか
多くの企業が、当初は個々のシステムに対して
• 権限のあるビジネスユーザーが
(定期的あるいは要求時に)分析結果を
受け取ることのできるような、堅牢な
して、会社の既存(または将来)のプラットフォー
アやクラウドも含め、複数の異なるデータソー
分析を実行しますが、
やがてはソーシャルメディ
レポートカタログ化 / 配信機能を備えているか
ム環境と統合する際の相性などです。
スを総合して全体像を把握する必要が出てき
い値に達した場合にユーザーに警告を自動送
張性、ユーザーインターフェースのオプション、
そ
以下は、特に考慮すべき重要な事項です。
• 幅広い機能を必要に応じて導入できる
統合型製品群か
会社が成長したとき、その成長に BI ベンダー
のソフトウェアが追いつけないようでは困りま
す。また、個々のユーザーが別の機能を要望す
る可能性もあります。統合型製品群は、導入面
において最大の柔軟性を提供します。
• 個別のコンポーネントすべてで
ユーザーインターフェースの
ルック & フィールが一貫している BI 製品群か
ます。データ統合テクノロジーと、データを単
一ソースとしてまとめて提供する能力を備えた
製品群を使えば、
そうしたニーズにも簡単に対
応できます。
• オフィス生産性向上ソフトウェア、
特に Microsoft Office および
上を指でなぞるだけでサマリー結果を取得で
ニングを行う必要性が低減します。
き、
さらに詳細をドリルダウンすることも可能と
• インメモリーテクノロジーを活用して
大量のリアルタイムデータを高速に
これにより、サマリーデータではなく詳細デー
組織が BI の経験を積み、BI の有用性が明確
が予想されます。
• 正確で一貫性のある、完全なデータを
分析するために欠かせない、
信頼性の高いデータ基盤を確保できる
データ品質保持機能を備えているか
質の高いデータは質の高い意思決定のため
の必須要件です。このようなデータは、
「統合
されていない複数の情報ソースの混在」に起
因した問題を避ける上で役立ちます。
配信できるか
BI を補完することができれば、組織内でトレー
の定着と総合的な生産性向上を促進する効果
になると、使用範囲は急速に広がっていくこと
適切な形式のレポートとダッシュボードを
められます。たとえば、ユーザーがディスプレイ
サポートしているか
拡張性があるか
タブレット端末を含む)に対し、
それぞれに
ユーザーが使い慣れているオフィスツールで
ば、
トレーニングの必要性が減り、ユーザーへ
増大したユーザーベースに対応できる
モバイルデバイス
(スマートフォンや
こうしたレポートにはインタラクティブ性が求
分析できる 64 ビットアーキテクチャーを
• 会社が成長して使用量が増えたとき、
信できる機能も重要です。
• さまざまなデスクトップデバイスと
SharePoint と統合可能か
ユーザーエクスペリエンスが統一されていれ
があります。
特定の事態が発生したり、特定の指標がしき
タ、あるいは代表的(と期待する)
サンプルのみ
ではなく、完全なデータセットに基づいて分析
を実行できるようになります。
• 初期の導入と実装が簡単か、
またユーザーを容易に追加できるか
新しいユーザーを迅速かつ簡単に追加できれ
ば、IT 部門の生産性の向上にもつながります。
• 強力でしかも使いやすい管理ツールを
備えているか
「誰が何に」
アクセスできるかを制
IT 部門は、
御し、スプレッドシートのみの環境では実現で
きない水準のセキュリティーと個人情報保護
を確保する必要があります。データは組織の
資産であり、BI 製品はそれらの保護に役立つ
ものでなければなりません。一方で、分析を必
要とする人が、効率的にそれを行えるようにす
る必要もあります。
いった使い方に対応する必要があります。
• 既存のデータやアプリケーションとの連携や
統合が短期間で可能か
たとえば、
データマートを使用する方法や、
デー
タコネクターやレポートテンプレートを含むソ
フトウェア/ サービスを通じた迅速な導入手法
などの方法論が考えられます。
パッケージの提供元の精査
BI ベンダーに何を求めるか
経験、評判、安定性など、BI のベンダーを選ぶと
いる場合、会社が別のデータベースを採用す
接続数、大企業向けなどのライセンスオプショ
きに考慮すべき重要な要素はたくさんあります。
る決断をしたときには、さまざまな問題が生じ
ンに対応しているベンダーを探すとよいでしょう。
さまざまなデータソースを扱うことのできる BI
両面で、広範なパートナー網が
ベンダーがどのような内容の専門サービスを提
供できるか、また良質で強力なパートナーシップ
を築けるかどうかも重要です。
以下は、特に考慮すべき重要な事項です。
• 収益性や能力を伸ばした実績や
ます。自社はもちろん競合他社のものも含め、 • ソフトウェアベンダーとコンサルタントの
ベンダーが必要です。
• ベンダーが提供する教育とトレーニングの内容
多くのベンダーがオンサイトや社内でのトレー
ニングを提供していますが、新しいユーザーの
形成されているか
「オープン性」を測る指標の 1 つは、BI ツール
と一緒に使用できる他社製ソフトウェアの数で
す。パートナーシップを積極的に推進するベン
成功事例があるか
ための入門を支援するコースや、経験あるユー
ダーは、自社のテクノロジーを顧客の現在(お
て、製品が受け入れられている証です。それが
ザーが短時間で高度な製品機能を習得できる
よび将来)のソフトウェア環境に統合する上で、
コースを、ユーザーが自分のペースで進めら
問題をほとんど発生させないでしょう。また、
コ
サービスを提供し、将来的な投資を行うことが
開発しているところは多くありません。
れるコンピュータベースのトレーニングとして
ンサルティングパートナーの強力な基盤を持
堅実な成長と収益性は、管理が行き届いてい
原資となってベンダーは、顧客にさらに優れた
できます。
• 補完的なテクノロジーを買収して
• 複数の提供オプションがあるか
多くのベンダーは、製品を顧客の会社内の
つベンダーなら、顧客の要件が特殊なものだっ
た場合でも、外部の専門家を容易に見つけて
くれるでしょう。
自社のソリューションと統合し、
サーバーで実行するためのライセンスしか認
さらには競合テクノロジーと組み合わせての
めていませんが、オンデマンドまたは SaaS
製品セットとなっているか
するベンダーもあります。その場合、ベンダー
境にまたがって機能するソリューションを必要
は自社のサーバーでソフトウェアを実行するホ
のニーズに合ったテクノロジーを提供するこ
スティングサービスを提供し、顧客はそれを
としている場合は、
このようなソリューションを
とができるでしょう。
Web ブラウザー経由で利用します。SaaS モ
限に高まります。
使用も積極的にサポートした実績があるか
このようなベンダーは市場の新たな需要に迅
速に対応し、現在そして将来においても、顧客
• ビジョンとイノベーションに
歴史の積み重ねがあるか
イノベーションと業界におけるリーダーシップ
について確かな実績を持つベンダーは、顧客の
現在のニーズに対応できるばかりでなく、将来
(software-as-a-service)オプションを提供
デルは特に、先行投資となる初期導入コスト
BI の活用が浸透するにつれ、おそらくBI 導入
選択することにより、導入面での柔軟性が最大
• ベンダー自身に成功の実績が豊富にあるか。
また、あらゆる規模の組織を支援した
そのソフトウェアを社内運用に移行することも
成長と拡大を目指している企業にとっては、こ
です。将来、経済的な見通しがついた時点で、
できます。
用意されているか
企業は成長するにつれ、成長段階に応じた最
の対象となるシステムやデータベースも増え
適なライセンス方式でソフトウェアを展開でき
ていくことになります。データベースベンダー
る柔軟性が欲しいと考えるようになります。BI
が提供する独自の BI テクノロジーを利用して
複数の業務システムとデータウェアハウス環
を最小限に抑えたい中小企業にとって魅力的
の要件を予想して対応することもできるでしょう。 • 各種のライセンスオプションが
• BI リーダーとしての評判と能力
• 力強い成長軌道をもたらす
投資を保護するためには、指定ユーザー、同時
幅広い経験を有しているか
の点も重要です。今日はまだ大企業ではなくて
も、明日はそうなるかもしれません。成長しなが
ら長く付き合えるベンダーを選ぶのが得策です。
• 多国籍の会社か
将来、国際的な規模での事業展開を目指して
いるのであれば、同じように国際的なベンダー
を選ぶ必要があります。
経験、評判、安定性など、BI のベンダーを選ぶときに考慮すべき
重要な要素はたくさんあります。ベンダーがどのような内容の
専門サービスを提供できるか、
また良質で強力なパートナーシップを
築けるかどうかも重要です。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
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すべての従業員には、
その時々で入手できるデータに基づき、
できる限り最良の意思決定を行う責任があります。データが
どこにあろうと自在に分析して有用な情報に変換する情報活用力が
高まれば、意思決定の的確さも比例して向上するはずです。
ビジネスインテリジェンスにより、組織全体の意思決定と業績が向上
結論
ビジネスユーザーは、ビジネスインテリジェンス
(BI)
を使って分析を行うことで、組織の計画と結
果を正しく把握できるようになります。BI は、物事
現在も多くの中堅・中小企業が主要な BI ツール
としてスプレッドシートを使っています。しかし、
それらの企業のほとんどが、それが一時しのぎの
が正しく行われているかを監視しながら、潜在的
ソリューションでしかなく、
「形態の異なるデータ
な問題があればそれを早期に特定して是正する
の混在」と一貫性のない分析結果に陥りやすい
ためのインサイト
(洞察)をもたらします。BI は、 ものであることを認識するようになりました。とは
これはスプレッドシートを放棄すべきだとい
チャンスや問題を認識する手段としても有効です。 いえ、
想定外の事態が発生した場合、関係者に対して
潜在的な問題についてのアラートを発するように
設定することができます。
すべての従業員には、その時々で入手できる
データに基づき、
できる限り最良の意思決定を行
う責任があります。データがどこにあろうと自在
う意味ではありません。スプレッドシートは BI ツー
ルセットの一部として活用できます。特に、
スプレッ
ドシート環境との統合を意図した商用 BI 製品群
と組み合わせて使う場合は、スプレッドシートが
重要かつ不可欠な要素となります。
くためには、全社規模で情報活用力と意思決定
るはずです。
そして、
そうしたデータとそれに基づく洞察を生か
BI は、それを実現するための多様なツールと
ソリューションから成り立っています。BI は、的確
な意思決定を縁の下で支えるテクノロジーであ
詳細については、今すぐ SAP 担当者にお問い合わ
せいただくか、以下の Web サイトをご覧ください。
http://www.sap.com/japan/solutions
/sapbusinessobjects/large
/business-intelligence/index.epx
した経営を推し進める上で、
ビジネスインテリジェ
ンス
(BI)
テクノロジーほど最適なソリューション
は存在しません。まずは、
貴社に合った BI ソリュー
ションを検討することから始めてください。本書
ポーネントです。また、BI は個人や部門の努力を
で示した指針が必ずやお役に立つことでしょう。
企業の戦略と整合させる上でも役立つため、企
下の実現を支援します。
• 自社のビジネスを深く理解する
• 確信を持って意思決定を行う
• 果敢に行動する
力をこれまで以上に高めていく必要があります。
となるコン
り、そのような意思決定のための
ソリューションは、以
ビジネスインテリジェンス
(BI)
企業の規模によらず、
これからの競争を行く抜
に分析して有用な情報に変換する情報活用力が
高まれば、意思決定の的確さも比例して向上す
詳細情報
業により多くの成果をもたらします。
:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
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:中堅企業向け活用ガイド
SAP Thought Leadership – ビジネスインテリジェンス(BI)
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SAP ジャパン株式会社
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東京都千代田区大手町 1-7-2 東京サンケイビル
TEL 03-3273-3333(代表)
http://www.sap.com/japan/
49009526J(SE/11/08)© 2011 SAP AG. All rights reserved.
SAP、R/3、SAP NetWeaver、Duet、PartnerEdge、ByDesign、SAP BusinessObjects
Explorer、StreamWork、SAP HANA、および本文書に記載されたその他の SAP
製品、サービス、ならびにそれぞれのロゴは、
ドイツおよびその他の国々における SAP
AG の商標または登録商標です。
Business Objects および Business Objects ロゴ、BusinessObjects、Crystal
Reports、Crystal Decisions、Web Intelligence、Xcelsius、および本書で引用され
ているその他の Business Objects 製品およびサービス、ならびにそれぞれのロゴも
含めて、Business Objects Software Ltd. の商標または登録商標です。Business
Objects は SAP の子会社です。
Sybase および Adaptive Server、iAnywhere、Sybase 365、SQL Anywhere、およ
び本書で引用されている Sybase 製品およびサービス、ならびにそれぞれのロゴも含
めて、Sybase, Inc. の商標または登録商標です。Sybase は SAP の子会社です。
本書に記載されたその他すべての製品およびサービス名は、
それぞれの企業の商標です。
本書に記載されたデータは情報提供のみを目的として提供されています。製品仕様は、
国ごとに変わる場合があります。
これらの文書の内容は、予告なしに変更されることがあります。これらの文書は SAP
AG およびその関連会社(「SAP グループ」)が情報提供のためにのみ提供するもので、
いかなる種類の表明および保証を伴うものではなく、SAP グループは文書に関する誤
記・脱落等の過失に対する責任を負うものではありません。SAP グループの製品およ
びサービスに対する唯一の保証は、当該製品およびサービスに伴う明示的保証がある
場合に、
これに規定されたものに限られます。本書のいかなる記述も、追加の保証とな
るものではありません。