建築認証事業本部 長期固定金利住宅ローン「フラット 35」について 「フラット 35」とは? ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------フラット 35 とは、民間金融機関と独立行政法人 住宅金融支援機構(旧「住宅金融公庫」以下、支援機構という) の共同により提供される長期固定金利住宅ローンのことです。 最近、テレビ CM でも頻繁に目にする機会が増え、利用件数も増加傾向にあるフラット 35 について紹介します。 「フラット 35」の特徴 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------①取扱い金融機関によって異なる金利 フラット 35 を提供するのは全国で約 340 の金融機関です。都市銀行、地方銀行、信用金庫は勿論、ノンバンク でもフラット 35 の取り扱いが増えています。 しかし、フラット 35 の金利は金融機関全て同一金利ではなく、金融機関によって異なり、この 3 月の金利では、 2.55~355%(21 年以上)と 1.0%もの開きがあります。この金利差は主として金融機関のコストの違いによるもの で、ノンバンクが概して低い金利を提供しているのはインターネット手続き等によるコスト削減が考えられます。 ②技術基準と物件検査 支援機構は政策金融機関であるため、フラット 35 にも住宅政策的側面が大きくでています。技術基準と物件検 査もその一つです。 フラット 35 の対象となる住宅は、建築基準法に加えて断熱性・耐久性等について技術基準が定められ、基準の 適否について物件検査が行われます。 物件検査は建築確認検査機関が実施し、検査に合格すると適合証明書が交付される点が、民間の金融機関の 住宅ローンと大きく異なる点です。 利用しやすくなった「フラット 35」 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------フラット 35 については平成 15 年 10 月の開始以来、今までに多くの制度改善が図られ、利用しやすくなっていま す。 例えば平成 17 年 4 月から融資額の上限が 5,000 万円から 8,000 万円に引き上げられ、平成 17 年 12 月から はセカンドハウスも融資対象になり、昨年 6 月には従来建設費・購入価額の 90%であった融資率が 100%まで 可能になりました。また、住宅ローンの借り換えにも利用できるようになりました。 より有利な「フラット 35」S --------------------------------------------------------------------------------特に今回、大きな制度改善が図られたのが、「フラット 35」S の金利 引き下げです。 「フラット 35」S とは優良住宅取得支援制度のことで、フラット 35 の 基準に加えて更に省エネルギー性などに優れた住宅の場合、フラット 35 の金利を一定期間引き下げる制度です。 当初 10 年間の引き下げ幅が 0.3%でしたが、今回、1.0%に拡大され ました。これは平成 21 年 12 月に策定された「明日の安心と成長のた めの 緊急経済対策」に基づく制度拡充であり、平成 22 年 2 月 15 日 以降の資金受け取り分から平成 22 年 12 月 30 日までの申込分に ついて適用されます。 フラット 35S の 3 つのタイプ ------------------------------------------------------------------------------------フラット 35S には①フラット 35S、②フラット 35S(中古タイプ)、③フラッ ト 35S(20 年金利引下げタイプ)の 3 つのタイプがあります。 各タイプに必要な技術基準として、フラット 35S とフラット 35S(20 年金利引下げタイプは耐震性、耐久性・可変性、 バリアフリー、省エネルギー性の 4 つの内、いずれか一つ。フラット 35S(中古タイプ)ではバリアフリー性、省エネ ルギー性の 2 つの内いずれか一つの要件を満たす必要があります。 ただしこれら性能にはランクがあり、たとえが耐震性ではフラット 35S が耐震等級2(「住宅の品質確保の促進等 に関する法律」に基づく住宅性能表示制度の性能等級と同等)で可能ですが、フラット 35S(20 年金利引下げタイ プ)の場合は、1 ランク上の耐震等級 3 が必要になります。 活用しやすいフラット 35S(中古タイプ) -------------------------------------------------------フラット 35S(中古タイプ)でバリアフリー性の 場 合 、 要 件 と し て 「 浴 室 と 階 段 に 手 すり の 設置」または「屋内の段差の解消」となって おり、「浴室と階段に手すりの設置」について の対応は比較的容易です。特にマンションで は、通常屋内に階段が無いため浴室の手す り設置のみでフラット 35S(中古タイプ)の基準 を満たします。 平成 22 年度にはフラット 35 は大幅に伸張? ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------フラット 35 の利用率は今までの制度改善にもかかわらず、申請件数は余り伸びず、ここ数年、年間 6 万戸程度 の推移をしています。 原因としては民間金融機関の住宅ローン金利が依然として低いことにあります。例えば、最も低い変動金利の 場合 2.25%が数年続き、その後多少上昇していますが、この 3 月でも 2.475%となっています。 勿論、現在のような低金利の経済情勢が続くとは限りませんが、15 年間低金利時代が続き利用者も当面、急激 な金利上昇の懸念無し、と考えているためでしょう。変動金利型の利用率は最近 50%前後で推移していることも その現れだと考えられています。 しかし、フラット 35S を利用すればもっとも安い金利の金融機関の場合、10 年間は 2.55 から-1.0%の 1.55% で利用でき、変動金利タイプより有利になります。 事実、今回の経済対策が明らかとなると、フラット 35 の利用申請は増加し、平成 21 年度(平成 21 年 4 月 1 日 ~平成 22 年 3 月 31 日)の実績は 8 万戸を越えると予想され、過去最高となります。また、支援機構では平成 22 年度では 11 万戸超の申請を見込んでいます。 またフラット 35S の省エネルギー性、フラット 35S(20 年金利引き下げタイプ)の耐久性・可変性と省エネルギー性 は、3 月 8 日から受け付けが始まった住宅エコポイント発行の対象となるものもあり、相乗効果も期待できます。 景気の最悪期は脱したものの依然不透明で、民間金融機関の貸し渋り懸念も強まる中、今年はフラット 35、 特にフラット 35S への注目が必要となるでしょう。 ビューローベリタスのサービス 適合証明業務(フラット 35 及び独立行政法人住宅金融支援機構が融資する住宅) 建築認証事業本部 検査センター 藤根 光男
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