運輸安全マネジメントに関する取り組み

一部更新
平成28年6月28日
平成28年9月15日
運輸安全マネジメントに関する取り組みについて
阪神バス株式会社
当社は、輸送の安全の確保が事業の骨幹であるとの認識に立ち、お客様が安心してご乗
車頂けるよう、安全な輸送の遂行に最善の努力を尽くして参ります。
当社は、本年 3 月 20 日に尼崎市営バス路線を譲受し、路線バスの運行エリアを大幅に拡
大いたしました。譲受に伴いなお一層ご利用の皆様の利便向上に努めてまいりますが、事
業規模が拡大した今こそ役職員一同気を引き締め、地域の皆様の信頼に応える安全・安心
なサービスを提供できるよう「事故防止の徹底」と「接遇の向上」に取り組んでまいりま
す。
つきましては、輸送の安全を確保するため運輸安全マネジメントを推進し、下記のとお
り安全輸送に全社一丸となって取り組んで参ります。
1.尼崎市営バス路線譲受後の安全管理体制について
この度の尼崎市営バス路線の譲受により、当社の車両数は 200 両を超え 322 両となり、
運輸安全マネジメントの分類上大規模事業者となりました。
事業規模が拡大した今、教育・指導の充実をはじめとした安全運行への人的なサポ
ートは一層重要となりますし、一般路線バス・空港バス・高速バス・貸切バスそれぞ
れの事業特性に応じた安全設備面での対応など、ソフト・ハード両面で我々がこれま
で取り組んできた安全施策を一層深化させていくことが重要と考えております。つき
ましては、事故防止に特化した組織である安全管理室を中心にこれまで以上に輸送の
安全の確保に力を注ぎ、地域の皆様の信頼に応える安全で快適なサービスを提供でき
るよう、強固な安全管理体制を構築して参ります。
※なお、当社では平成 21 年 9 月に安全管理規程を制定し、安全統括管理者の選任や安全
管理委員会の設置を行うなど、平成 21 年度より大規模事業者(安全管理規程等義務付
け対象事業者)の基準に基づく安全管理体制を構築しています。(貸切事業を行ってい
ることから平成 25 年度に安全管理規程及び安全統括管理者の国土交通省への届出も実
施済みです。)
(1)譲受日
平成 28 年 3 月 20 日
(2)譲受の対象
尼崎市交通局の一般乗合全路線及び貸切事業
当社事業
運行路線
営業キロ数
在籍車両数
合 計
29路線
97.41km
126両
塚口営業所
12路線
武庫営業所 ATSへの委託
8路線
9路線
43両
40両
36両
※表中の「ATS」は、後述の尼崎交通事業振興(株)の略称です。
1
【参考】
ATS事業
貸 切
7両
3路線
15.99km
13両
(3)事業規模の拡大
車両数
従前 196 両
営業所数 従前 4 営業所
要員数
従前約 440 人
→
→
→
移譲後 322 両(乗合 310 両・貸切 12 両)
移譲後 5 営業所
(尼崎・西宮浜・大阪・塚口・武庫営業所)
移譲後約 510 人
(4)安全管理体制
尼崎市内線(従来の尼崎市営バス路線)は塚口営業所・武庫営業所および委託先事
業者である尼崎交通事業振興(株)で運行を行っております。
委託路線に関しては尼崎交通事業振興(株)も当社の 1 営業所として安全管理を
行い、当社の安全マネジメントの傘下で当社同様の安全管理を行います。
なお、当社では平成 24 年度より事故原因の分析、事故防止対策の立案、教育計画、
添乗観察の実施など安全管理業務を専ら担当する組織として安全管理室を設置して
います。この度の規模拡大に伴い安全管理室の活動を充実させるべく、平成 28 年 1
月より取締役1名を新たに安全管理室長に任命し 5 名体制に増員を図るなど、安全
管理体制の強化を図っております。
(参考)尼崎交通事業振興株式会社 会社概要
・事業所
本社(塚口営業所)
尼崎市東塚口町 2 丁目 4 番 37 号
その他事業所
阪神バスサービスセンター
・代表者
代表取締役 中池 利一
・設 立
昭和 63 年 4 月 1 日
・資本金
1,000 万円
・株 主
1 名(尼崎市)
・社員数
98 名
・事業内容
①一般乗合旅客自動車運送事業(自主車両数:13 両)
2
②一般乗合旅客自動車運送事業の管理受託事業
阪神バスの路線運行受託(旧尼崎市営バス運行路線)
③阪神バス(株)からの受託業務
(5)輸送の安全に関する会議体
安全管理委員会・事故防止対策委員会を柱に、直近の事故傾向を踏まえた事故防
止対策を迅速に審議・実行してまいります。
なお、事故防止対策委員会は平成 26 年度から毎週月曜日開催とし、内容の充実
を図っています。事故防止対策の審議や、教育に関する事項など、安全に関するす
べての情報について毎週審議・報告・改善検討がなされることで安全管理の PDCA
サイクルを短いスパンで回しています。
また、平成 28 年 4 月より委託先である尼崎交通事業振興(株)を交えた連絡会議
(安全・安心連絡会議)を月一回開催しており、安全情報について緊密な連携を図り
ます。
【会議体の関連図】
安全管理委員会
社長・安全統括管理者・安全管理室長・各部長及び課長
※随時実施
安全・安心連絡会議
安全統括管理者・安全管理
室長・運輸部課長・営業所
長・安全管理室
尼崎交通事業振興
※毎月下旬実施
A
T
S
・
安
分全
析管
理
室
に
よ
る
再
発
防
止
策
の
実
施
事故防止対策委員会
社長・安全統括管理者・
安全管理室長・各部長
及び課長・安全管理室
※毎週月曜日実施
営
業
所
・
安
分全
析管
理
室
に
よ
る
尼崎交通事業振興
(ATS)委託路線
事故発生
ヒヤリハット等 危険情報
再
発
防
止
策
の
実
施
幹部会
社長・安全統括管理者・安全管理室長・各部長及び課長
※毎週月曜日実施
運輸部
運輸部会議
部課長
所長
助役
当社運行路線・現場
事故発生
ヒヤリハット等 危険情報
安全統括管理者
安全管理室長
運輸部課長
営業所長
安全管理室
※毎月上旬・下旬
実施
助役会議
全助役 ※随時実施
乗務員
(現場からの
情報)
総務部
業務部
総務部長
副部長
業務部長
係長
課長
係長
課員
課員
乗務員
(現場への
指示・指導
・改善)
【会議体の審議内容等】
会議体
審議内容
構成員
安全管理委員会
安全方針・目標等、運輸の安全に関する
社長・安全統括管理者・安全
※随時実施
事項、運輸安全マネジメントに関する事
管理室長・各部長・各課長
項
3
事故防止
発生した事故の原因分析、再発防止策
社長・安全統括管理者・安全
対策委員会
の審議、事故の未然防止策の検討、教
管理室長・各部長・各課長・
※毎週月曜日実施
育の実施に関する検討・報告
安全管理室
その他安全施策に関する審議・報告・
改善検討全般
安全・安心連絡会議
委託先である尼崎交通事業振興(株)
安全統括管理者・安全管理室
※毎月下旬実施
との連絡会議
長・運輸部課長・営業所長・
委託路線における事故原因分析及び
安全管理室
再発防止対策の共有
尼崎交通事業振興(株)営業
その他安全に関する情報の連携
所長・副所長
各部業務全般に関する報告及び審議
社長・安全統括管理者・安全
幹部会
※毎週月曜日実施
等
管理室長・各部長・各課長
運輸部会議
運輸部業務全般に関する指示念達、
安全統括管理者・安全管理室
※毎月上旬・下旬実
現場課題についての情報共有、意見の
長・運輸部課長・営業所長・
吸い上げ
安全管理室
助役会議
全助役を招集しての会議
運輸部長以下全助役
※随時実施
全社課題の共有、現場情報の共有
施
2.輸送の安全に関する基本的な方針
(1) 社長及び役員は、輸送の安全の確保が事業経営の骨幹であることを深く認識し、
社内において輸送の安全の確保に主導的な役割を果たして参ります。また、輸送の
安全に関する声に真摯に耳を傾けるなど現場の状況を十分に踏まえるとともに、企
業理念等の浸透を図り、輸送の安全の確保が最も重要であるという意識を全従業員
に徹底して参ります。
(2) 輸送の安全に関する計画の策定、実行、チェック、改善を確実に実施するととも
に、安全対策を不断に見直し、全従業員が一丸となって業務を遂行することにより、
絶えず輸送の安全性の向上に努めて参ります。また、輸送の安全に関する情報につ
いては、積極的に公表いたします。
【平成2 8 年度行動指針】
お客様に安全で快適なサービスを
~安全速度の徹底により人身事故の完全撲滅を目指す~
【安全方針】
(1)安全確保の最優先がバス事業者の使命であることを深く認識し、社長及び役員
・社員一同が安全確保に最善の努力を尽くします。
(2)輸送の安全に関する法令及び関連する規程を遵守し、厳正かつ忠実に職務を遂
行します。
(3)安全管理体制を適切に維持するために不断の確認を励行します。
(4)輸送の安全に関する情報については、積極的に公表します。
4
3.輸送の安全に関する重点施策
(1) 輸送の安全の確保が最も重要であるという意識を徹底し、安全管理規程に定めら
れた事項及び関係法令等を遵守します。
(2) 輸送の安全に関する費用支出及び投資を積極的かつ効率的に行うよう努めます。
(3) 輸送の安全に関する内部監査を行い、必要な是正措置又は予防措置を講じます。
(4) 輸送の安全に関する情報の連絡体制を確立し、社内において必要な情報を伝達、
共有します。
(5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し、これを適確に
実施します。
4.輸送の安全に関する目標及びその達成状況
【平成28年度 輸送の安全に関する目標】
(1)速度を落とし、人身事故を防ぐ運転で死亡事故、重大事故 ゼロの達成
(2)厳正な点呼の実施による飲酒・酒気帯び運転・無免許運転の絶無
(3)有責事故の削減:年間70件以下の達成
(4)輸送の安全に関する予算額
車両関係(更新投資) 5億5千万円
教育・安全設備関係
2千万円
【平成27年度目標の達成状況】
平成27年度 輸送の安全に関する目標】
(1)速度を落とし、人身事故を防ぐ運転で死亡事故、重大事故
・・・結果 重大事故1件
ゼロの達成
※当社が第一当事者となる事故は0件
(2)厳正な点呼の実施による飲酒・酒気帯び運転・無免許運転の絶無
・・・結果 0件
(3)有責事故の削減:年間50件以下の達成
・・・結果 平成27年度有責事故件数 67件 (前年比25件増)
(4)輸送の安全に関する予算額
車両関係(更新投資)
3億3千万円
教育・安全設備関係
1千万円
・・・結果 車両関係(更新投資) 3億1千万円
(一般路線車両7両・空港車両3両・高速車両1両)
教育・安全設備関係
2千万円
5.自動車事故報告規則第二条に規定する事故統計
平成27年度に発生した自動車事故報告規則第二条に規定する事故件数
下記の1件 ※なお、当社が第一当事者となる事故は0件
第三号に関する報告・・・1件(重大事故)
6.輸送の安全に関する計画(平成28年度)
平成 28 年度目標の達成に向け3つの重点課題を定め、具体的な行動項目として下
記の重点実施項目に取り組みます。
5
【平成28年度重点課題】
事故防止の徹底
•全社一丸となって28年度目標(有責事故70件以下)を達成する。
•特に防ぐべき事故として人身事故(乗客負傷・公衆負傷)を撲滅する。
•速度を落とした運転で「人身事故」を防ぐ。
•マイク案内と発進時の車内確認で車内事故を防止する。
接遇の向上
•「おもてなし」の心を持ってお客様に接する。
•マイク案内を励行し、心のこもった旅客サービスを提供する。
服務規律の徹底(身だしなみ・言葉遣い・態度)
•お客様に信頼して頂ける清潔な身だしなみ
•丁寧で分かりやすく親しまれる言葉遣い
•笑顔でお客様に安心して頂ける操業態度
【平成28年度重点実施項目および具体的な実施計画】
(1)教育・指導面
安全対策の有効性をより高める観点から、①教育の充実、②操業チェック、③指導
の強化、④評価の4点を重点実施項目とし、各従業員が主体的に安全操業を行う仕組
みづくりを推進します。特に添乗による各自の達成度合いの評価及び安全意識の高い
者へのフィードバックなど、チェック→指導→評価というサイクルが機能するよう、
下記の項目に取り組みます。
•全体への教育と
実施対象を絞っ
た特別教育
•日々の操業で実
践できているか
のチェックの強
化
教育の
充実
操業チ
ェック
評価
指導の
強化
•日々の操業がそ
れぞれの評価に
つながる施策の
拡充
•安全管理室と各
営業所の連携に
よる個別指導
①教育の充実(事故防止・接遇教育)
全体に対し実施する一般教育については、当社の課題に即した実践的な内容で実施
します。また、実施対象を絞って実施する特別教育については、本年の新たな取り組
みとしてメニュー拡充及び内容の充実を図ります。
6
【実施計画】
~一般教育【定期実施】~
・夏の事故防止教育
・冬の事故防止教育
・新入時教育
・接遇教育【拡充】
・運行管理者教育【拡充】
~特別教育【随時実施】~
・路線資格取得時研修
・空港・高速線フォローアップ教育【拡充】
・新入社員入社後再教育(入社半年経過)に加え、乗務経験年数による教育の追
加【拡充】
・事故惹起者・事故多発者への教育の強化【拡充】
②操業のチェック
教育から各人の実践につなげる仕組みとしてのチェック体制を強化します。
【実施計画】
・添乗評価の強化【拡充】
・速度を落とした運転の指導徹底・速度記録チェック
③指導の強化
安全管理室・各営業所の運行管理者双方が協力して操業指導にあたります。
【実施計画】
・添乗結果・速度記録チェックに基づく個別指導
・営業所懇談会の定期実施(各営業所副主任以上と安全管理室で懇談を実施し、
指導課題の共有、事故防止策の検討を行う)【今年度から】
・個人面接指導の実施【拡充】
④評価
乗務員各自の取り組みを促し継続させる仕組みとして、優秀な操業に対する評
価、褒賞制度など、日々の操業がそれぞれの評価につながる施策を拡充します。
【実施計画】
・操業面で優良な運転士に対する評価・褒賞に向けた制度検討【今年度から】
・グループ無事故運動への取り組み
・連続無事故表彰制度(個人・営業所)
(2)安全操業に向けた環境整備
①各種安全運動の実施、②健康管理施策の推進、③車両設備の安全確保等、安全
操業の基本となる項目について、確実に実施してまいります。
7
【実施計画】
各種安全運動の実施
•安全運転宣言の日(毎月14日・28日)
•春の全国交通安全運動(4月上旬)
•夏の事故防止月間(7月中旬~8月中旬)
•秋の全国交通安全運動(9月下旬)
•年末の交通事故防止運動(12月上旬)
•年末年始の輸送等に関する安全総点検(12月中旬~1月中旬)
健康管理施策の推進
•50歳到達時の人間ドック・脳ドック全額補助制度の創設【6月1日から】
•産業医と連携した健康診断後の指導フォロー
•睡眠時無呼吸症候群(SAS)一斉検査(定期実施)の継続
•ストレスチェックの実施等メンタルヘルス対策の推進
•対面点呼による健康状態のチェックと勤務時間管理の徹底
車両設備の安全確保
•他社車両火災事例を受けての特別点検の実施
•法定を上回るスパンでの車両点検の継続
•旧型車両の更新、バスロケーションシステムの更新等、設備投資の実施
~28年度実施計画に関する特記事項~
・空港・高速線フォローアップ教育
実施対象を絞った少人数教育として好評であった「空港線フォローアップ教育」を、
今年度は空港線及び高速線それぞれを対象に実施します。これは座学・実車走行を
交えた安全教育で、空港線・高速線の資格取得時教育から一定の期間が経った乗務
員を対象に、少人数毎に実施します。慣れによる基本の失念が生じていないか、各
人の課題にあわせた指導が可能であり、気づきの多い教育になっていることから今
後も継続して実施していく予定です。
車庫内スラローム走行
内輪差の検証
・50歳到達時の人間ドック・脳ドック全額補助制度の創設
心臓や脳疾患などの重大な疾患が発症した場合、本人に危険が及ぶほか、乗務中
8
に発症した場合は重大事故に直結することから、一定の年齢(50 歳)に到達する者
が「人間ドック及び脳ドック(脳 MRI・脳 MRA)検査」を併せて受診した場合、その
費用を全額会社負担とする制度を開始しました。50 歳到達時の受診を無料とするこ
とで、重大疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的としています。
補助対象者:年度中に 50 歳を迎える乗務員及び助役
制度開始日:平成 28 年 6 月 1 日
7.輸送の安全に関する内部監査結果
実施日:平成 28 年 3 月 22 日
監査員:内部監査部 田中信行
監査項目:NASVA「内部監査チェックリスト(安全管理規程等義務付け対象事業者用)」
に基づき、下記の事項について適合しているかチェックを行う。
①経営トップの責務
②要員の責任・権限
③安全統括管理者の責務
④安全方針
⑤安全重点施策
⑥関係法令等の遵守の確保
⑦情報伝達及びコミュニケーションの確保
⑧事故、ヒヤリ・ハット情報等の収集・活用
⑨重大な事故等への対応
⑩関係法令等の遵守の確保
⑪安全管理体制の構築・改善に必要な教育・訓練等
⑫安全マネジメント体制を維持するために必要な教育・訓練等
⑬内部監査
⑭マネジメントレビューと継続的改善
⑮文書の作成及び管理
⑯記録の作成及び維持
監査所見(一部抜粋):
・尼崎市営バス事業譲受により 322 両となり、安全マネジメントの分類上当社は大規
模事業者となった。NASVA「内部監査チェックリスト」に基づき運輸安全マネジメン
トの適合性に関する確認を行った結果、各々の項目は基準に適合し、200 両以上の大
規模事業者としての安全管理に関する体制が構築されている。
・平成 27 年度の特記事項として、尼崎市営バス事業の譲受を控え、①新規採用による
要員確保と育成、②路線譲受に向けた塚口営業所路線教育、③尼崎市への要員派遣
9
による運行ノウハウの習得を順に実施し、事業規模拡大に向けた要員の育成に力を
注ぎ、無事円滑な譲受を達成することができた。
・事故防止対策委員会については毎週実施され、直近の事故傾向の分析や対策の有効性
を速やかに検証する風土(短いサイクルでのPDCA)が定着した。
・重大事故の絶無と有責事故の減少につながるよう、平成 28 年度もPDCAのサイクル
が有効に機能し、事故防止対策を現場に浸透させ事故減少につなげる取組みを継続し
ていくことが重要である。
8.安全統括管理者
取締役運輸部長
佐藤
周作
9.安全管理規程
別紙「安全管理規程」参照
10.事故、災害等に関する報告連絡体制
別紙「輸送の安全に関する組織体制及び指揮命令系統」・「事故、災害等に関する
報告連絡体制」参照
11.行政処分等
平成 28 年 9 月 15 日時点で、過去 3 年間の処分事案は下記の 1 件です。
【平成 28 年度】
平成 28 年 3 月 11 日、空港リムジンバス大阪空港西宮線において当社車両が免許路線
外の経路を一部走行する事案を惹起したことにより、当社は平成 28 年 9 月 15 日に近畿
運輸局より行政処分(延べ20日間の事業用自動車使用停止処分)を受けました。
本件処分を厳粛に受け止め、今後、乗務員に対する教育及び指導監督を適切に実施し、
再発防止に取り組んでまいります。
12.平成 27 年度の安全管理に関する取り組み事項
(1)教育の実施に関する事項
実施対象者を絞った教育 ~それぞれの課題に応じた教育~
①新入社員入社後再教育の実施
(座学、ドラレコ事故事例視聴、死角・内輪差等の確認、スラローム、路線実技等)
経験の浅い層の事故減少を目的として、入社半年経過の時期に再教育を実施してい
ます。
慣れが生じがちな時期に同期入社社員が集まって少人数の教育を再び行うこと
で、入社時には感じなかった新たな気づきの効果があります。
午前は座学でドライブレコーダー画像を視聴し、事故の怖さや安全確認の重要性を
認識させるほか、
午後は車庫内で死角、オーバーハング及び内輪差の車両特性の確認、
正しい運転姿勢の重要性やスラローム走行などの実技教育を実施。また、公道に出て
実車走行を行い、同期社員の操業で気づいた点をお互いに発表するなど、これまでの
操業を振り返り、気を引き締めて安全運行にあたる機会としています。
→7/5 45 期生 5 名、11/2 46 期生 2 名、11/3
11/23 49 期生 6 名に実施。
10
48 期生 5 名、
座学教育
スラローム走行による車両感覚の再認識
②高速バス路線習得教育
当社では経験年数に応じて、一般路線バス→空港バス→高速バス→貸切バスへと段
階的に運転資格を与える方式をとっています。今年度は下記のとおり高速バスの乗務
資格を得る者に対し、少人数毎に高速バス路線習得教育を実施しました。単に路線経
路の習得にとどまらず、高速道路走行における注意点、危険箇所など、運転基準に基
づき実際の路線を走行して習得する形での教育としています。
5 月:高速バス
11 月:高速バス
12 月:高速バス
神戸徳島線路線教育(西宮浜営業所)
大阪宇和島線教育(尼崎営業所)
大阪津和野線教育(尼崎営業所)
③尼崎市交通局・尼崎交通事業振興と連携した接客・接遇教育の実施
6/23~7/10 実施(武庫営業所・塚口営業所乗務員、非乗務員が受講)
(内容)
・外部講師による接客・接遇研修
・事故発生時における乗務員の初動対応
(車内事故発生のシナリオに沿ってバス車内で実施。当社安全管理室、武庫営
業所助役の進行で実施)
統一的に実施する安全・接遇教育 ~全体のレベルアップ~
①全乗務員に対する適性検査(ナスバネット)の実施
当社はナスバネット(自動車事故対策機構とのパソコン通信による適性診断)を
導入しており、適性診断を全乗務員に 3 年に 1 回実施しています。平成 27 年度は
一斉実施年度であり、各営業所に専用のスペースを設けて各人に実施し、第一四半
期で全乗務員に実施完了しました。
各個人の課題の分析結果が受診直後には印刷され、即座に自身の特徴を把握する
ことができるため、その結果を基に今後の事故防止に役立てる様に助役より指導を
行っています。
11
②夏の事故防止教育の実施(全乗務員対象)
夏の事故防止教育は、今年度に入り高齢者が発進時に転倒する車内事故が増加し
ていることから、車内転倒事故を防ぐにはマイクを使用することがいかに重要であ
るかの教育を実施しました。今年度発生した車内転倒事故のドライブレコーダーの
映像を元に各班で何が欠けていたのかを討議・発表する参加型の研修のほか、接遇D
VDの視聴等を行いました。
【9/7~9/29】
・27 年度 8 月までの事故発生件数の説明
・今年度発生の車内事故事例について、当社ドライブレコーダー画像の視聴
・
「発進時の車内事故を防ぐためにすべきこと」を各班ごとに話合い、発表。
・接遇DVD教育「全てはお客様のために!」
等
③冬の事故防止教育の実施
平成 27 年度の冬の事故防止教育は、営業所の実態、課題に応じたテーマとするため、
営業所単位で内容を変えて実施しました。
各営業所における教育の冒頭に社長が訓辞を行い 11 月 28 日に発生した歩行者との
重大事故に触れ、事故を風化させず速度を落とした運行を継続するよう念達を行いま
した。
【1/15~1/25 西宮浜営業所にて実施】
①福浦社長による訓辞(11 月 28 日の重大事故を受けて)
②車内事故防止教育
③高齢者疑似体験による発車時の車内転倒事故防止
車庫内で車両を使用して、高齢者疑似体験学習を行う。(体験装具を装着)
12
等
【2/1~2/7 武庫営業所にて実施】
①福浦社長による訓辞(11 月 28 日の重大事故を受けて)
②平成 26 年度の危険箇所の再確認(写真を使ってヒヤリハット体験を話合う)
③平成 27 年度の危険箇所の洗い出し
西宮浜営業所教育風景(高齢者疑似体験)
武庫営業所教育風景
④クレフィール湖東 交通安全研修(乗務員対象)
専門の研修施設での運転の限界体験を通して、運転技術、危険回避、事故未然防止な
ど、バス乗務員として必要な知識、技能を学ぶ事を目的に、平成 27 年度は合計 9 名の
乗務員をクレフィール湖東交通安全研修(1 泊 2 日)に派遣しました。
(2)尼崎市営バス路線譲受に向けた取り組みに関する特記事項
①新規採用による要員の確保と育成
安全運行や労働時間管理の観点から、尼崎市営バス事業譲受に伴い必要となる乗務
員の採用を積極的に実施しました。塚口営業所の乗務員必要数の確保や助役登用や退
職による減少分を充足するため、平成 27 年度は新規採用を合計 13 回実施し 55 名を採
用しました。
結果、優先交渉権者となった後の 2 年間で合計 21 回、90 名の採用を行い入社毎に
少人数教育を実施しました。安全運行の観点から新入社員教育には細心の注意を払い
乗務員の育成に注力しており、事業拡大に向け少人数毎に採用を重ね、独車経験を順
に積ませていくことで、要員の確保と育成を行いました。
②路線譲受に向けた塚口営業所路線教育(運賃制度・路線習得・実車研修等)
平成 28 年 3 月の尼崎市営バス事業の譲受に向けた路線習得教育については、配属
者が多数となるため、少人数毎にグループを分け計画的に実施しました。ベテランか
ら若手まで十分な運転スキルを持つ者を配属していますが、単に運賃制度や路線習得
の場となることなく、それぞれの路線危険箇所の把握など市内路線特有の安全運行ノ
ウハウを習得すべく、時間をかけて実施しました。
当社がこれまでの武庫営業所の受託により得た尼崎市内路線の運行経験が教育に
活かされたほか、尼崎市交通局との連携により合計 40 名以上の乗務員教育を実施し
ました。
13
平成 27 年 3 月
平成 27 年 10 月
平成 28 年 1 月~2 月
運転士 10 名に教育実施
運転士 4 名に教育実施
運転士 28 名を 3 班に分け、順に教育実施
③尼崎市への要員派遣による運行ノウハウの習得
あわせて、路線教育が終了した者の一部については、尼崎市からの要請に応じて段
階的に要員の派遣を実施することで、実務経験として運行管理面及び運転面でのノウ
ハウを蓄積しました。
平成 27 年春期に助役 3 名及び運転士 10 名を派遣し、秋期に 4 名、直前となる 1 月
~3 月には 11 名を派遣しました。結果、合計 28 名(非乗務員 3 名、乗務員 25 名)の
当社社員の派遣を行い、円滑な路線譲受の実現に向けた基礎を形成しました。
(3)健康管理体制の状況
①対面点呼による健康確認
従来より対面点呼による健康確認を行っていますが、運輸部会議で全営業所長等
に「事業用自動車の安全管理マニュアル」資料を配付し、
「乗務前点呼における乗務
判断」の部分(点呼時の確認手順、乗務中止の判断目安等)の確認を行いました。ま
た、過重労働管理の重要性、時間外上位者への勤務管理についても徹底を図ってい
ます。
②脳・心臓等の重大疾患への対応
平成 26 年度より産業医による健康診断有所見者への働きかけを強化しており、重大
事故に直結する「脳や心臓の疾患」を防止する観点から、特に治療を行うべき者を絞
っています。
健康診断の結果を受け、産業医による呼び出し指導の実施や、有所見者への指導書
面を交付しました。さらに、特に治療が必要な者(健康起因事故となりやすい要因と
して「脂質」
「糖尿病」の有所見者)に、産業医からの治療指示及び秋の健康診断で再
度採血を行う旨の通知を交付のうえ、秋の健康診断で再度血液検査を行うなど、継続
指導を行っています。
③睡眠時無呼吸症候群への対応
睡眠時無呼吸症候群(SAS)については、平成 20 年秋より乗務員全員に一次検
査を実施し、二次検査の対象となる者へは会社負担で検査を実施(平成 20 年末~平
成 21 年度にかけて実施)しました。また、以後の採用者には入社後に同様の検査を
実施し、全員が検査を受ける体制としています。
現在全乗務員対象に 21 年度以降 2 回目となる一斉検査を実施し、原則として 5 年
毎に一斉検査を実施する体制としています。
(4)他社車両火災事案を受けての重点点検実施について(平成 28 年 1 月より)
他社で車両火災が相次いでいる状況から、検車時に以下の重点点検を実施していま
す。
・対象車両
全車 196 両 (浜田・西宮浜車両)
・重点点検箇所 電気配線のショート・接続の状態、燃料・オイルの漏れ
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(5)他社スキーバス事故を受けた点検・当社の取り組み
平成 28 年 1 月に発生した他社スキーバス転落事故を受けて、当社においても安全対
策に不備がない様、下記の点検及び取り組みを行いました。
【主な取り組み】
・シートベルト着用のマイク案内の徹底
・座席ポケットへのシートベルト着用案内の挿入
・運行指示書の確認(貸切)
・高速道路を走行する車両についてタコチャートのチェックを強化。点呼で指定速度
厳守の再徹底を行い注意喚起。
参考:経験年数・年齢に応じた運転資格の管理について
当社では、勤続年数に応じた運転資格制をとっており、一般路線から技能を習得
させた上で、空港バス、高速バス、貸切バスに乗務させています。また、高速バス・
貸切バスは定年制(高速 55 歳・貸切 50 歳)をとっており、高齢運転士による乗務
はありません。
【運転資格の概ねの目安】(配属営業所等により異なる)
0年
2年
一般路線バス
空港バス
8 年~
15 年
高速バス(2 マン・1 マン)
貸切バス
参考:当社車両の安全設備について
①速度超過アラーム(一般路線バス)
一定速度を超えた際に警告音が鳴る速度超過アラームを一般路線バス(一部営業
所を除く)に搭載し、速度を抑えた安全運転を促す仕組みとしています。
ダッシュボード部にアラームを搭載
②高速道路走行車両への衝突防止補助システムの導入
高速道路での事故のリスクを低減するため、平成 26 年度より下記の機能を持つ
システム(MOBILEYE)を空港・高速・貸切車両に導入しています。現在、高速
道路を運行する全車両(67 両)に衝突防止補助システムを整備済みです。
・車線逸脱防止装置
車載カメラにて道路の通行区分帯(白線)を監視し、車両が通行区分帯を外れる
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と、注意表示及び警報ブザーを鳴らす装置
・車間距離警報ブザー
前方車両との距離が短くなった場合、障害物との衝突の危険が差し迫った場
合に警報を発する装置
※なお、うち 29 両(平成 26 年度下期以降に新造)には自動ブレーキと連動した
より高度な衝突防止補助システムを搭載しています。
③バックアイの導入(一般路線車両)
バック時の重大事故や建造物接触事故の発生を防止するため、尼崎営業所・西
宮浜営業所の全車両(129 両)へバックアイ(後方カメラ)を搭載済みです。タ
ーミナルで歩行者の乱横断が常態化している状況に鑑み、事故の未然防止の観
点から整備を行いました。
バックカメラ無し
バックカメラ有り
上からのイメージ図
サイドミラーで 目視可能範囲
サイドミラーで 目視可能範囲
画角:水平 約120°
サイドミラーで 目視可能範囲
サイドミラーで 目視可能範囲
横からのイメージ図
バックミラーで目視可能範囲
画角:垂直 約95.5°
サイドミラー バックミラーだけでは後方
に死角が出来てしまう。
カメラを装着する事で死角をなくし
安全を確保する。
④ドライブレコーダーの導入状況
本年 3 月に尼崎市交通局から譲受した乗合車両(119 両)については既にドラ
イブレコーダ-が導入済みであるため、現在当社は、乗合全車両(310 両)にドラ
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イブレコーダーの導入を完了しております。乗合・貸切合計 322 両中、現在 315
両に導入済みです(貸切車両 12 両中未整備である 7 両についても今年度中に導
入予定)
。
車外・車内のカメラと音声、速度データにより運行状況を記録できるため、
事故原因の分析、ヒヤリハット事例の収集など、事故防止対策に有効なツール
として活用しています。
(6)その他の社内啓発の状況について
・点呼場所等への安全マネジメント目標の掲出(社長名入り)
・平成 27 年度交通安全運動の実施について
年間 4 回の交通安全運動・事故防止運動を実施しました。運動冊
子を作成し期間中の重点実施項目を定め、全社員が運動バッジを佩
用して事故の防止に取り組んでいます。
また、運動期間については当社の繁忙期の実態に合わせた期間に
見直しているほか、従来の役職者の点呼立会いや早朝ターミナル観
察指導に加えて出庫時の早朝見送りや夕方ターミナル観察指導を
実施するなど、乗務員の安全意識を高める新たな取り組みを実施しています。
5 月 11 日~5 月 20 日
春の全国交通安全運動
最重点実施項目:安全速度の徹底(道路状況に適した速度で走行)
7 月 11 日~8 月 17 日
夏の事故防止月間
最重点実施項目:車内事故を防止する運転(積極的な車内マイクの活用)
9 月 21 日~9 月 30 日
秋の全国交通安全運動
最重点実施項目:安全速度の徹底(道路状況に適した速度で走行)
12 月 10 日~1 月 11 日 年末年始の安全総点検
最重点実施項目:「安全速度」の徹底による人身事故の完全撲滅
・「安全運転宣言の日」の実施
平成 25 年 8 月から従来の 2 種類の運動日を集約し、新たに毎月 14 日及び 28 日を
「安全運転宣言の日」として設定しております。
マイク活用による車内事故の防止や速度を抑えた運転など、安全運転強化に取り組
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む日として、全社員がバッジを佩用して業務にあたります。
また、当日は営業所への看板の設置や、役職者による営業所早朝巡視、ターミナル
立哨による定点観察の実施によって、運動の徹底をはかっております。
【実施日】 毎月14日及び28日
【名 称】 安全運転宣言の日
「安全運転宣言の日」
を14日及び28日としたのは、過去に惹起した重大事故(平
成 22 年 5 月 14 日及び平成 23 年 7 月 28 日)の発生日であり、事故を決して風化さ
せないためである。安全操業基準を遵守し不安全運転を排除すべく、安全運転に取
り組んでいく。
「安全運転宣言の日」の強化項目
1 「発車します」のマイク活用と着席前発車厳禁。
2 はっきり、笑顔で「ありがとうございます」。
3 指定速度の厳守。
4 体調と翌日勤務を考えた、体調管理。
佩用バッチ
・月間安全目標
事故防止に向けた月間目標については、運輸部内で毎月議論の上、毎月新たに設定
しています。月間目標は点呼・掲示で周知しています。
・その他社内掲示
当社事故統計に関する掲示
車庫出口付近への啓蒙看板(定期的に更新)
・乗務員に対する無事故表彰の実施
長期無事故者への表彰を行い、長期無事故達成への動機付けを図っています。
1.目
的
連続無事故者を表彰し、乗務員の安全運転意識の啓発を図る。
2.表彰対象期間
前年6月1日から本年5月31日迄の1年間
単年度表彰を通算し5年ごとに褒賞(賞状・賞金3万円)を行う。
3.無事故表彰式
平成27年7月6日 無事故表彰式実施(42名表彰)
20年無事故者4名
15年無事故者2名
10年無事故者2名
5年無事故者34名
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・営業所に対する連続有責無事故表彰の実施
平成 26 年度より実施した営業所単位で一定の有責無事故日数を達成した場合の表
彰について、平成 27 年度は 50 日無事故が 2 回、100 日無事故が 1 回達成され、それ
ぞれ表彰を行いました。
①平成 27 年 4 月 21 日 西宮浜営業所連続有責無事故表彰
平成 27 年 1 月 3 日から平成 27 年 4 月 12 日までの 100 日達成
②平成 28 年 2 月 10 日 西宮浜営業所、武庫営業所への連続有責無事故表彰
・西宮浜営業所
平成 27 年 12 月 9 日から平成 28 年 1 月 27 日までの 50 日達成
・武庫営業所
平成 27 年 12 月 12 日から平成 28 年 1 月 30 日までの 50 日達成
以
19
上