第 61 回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集(2014 春 青山学院大学) 18a-D10-1 キレート剤を用いた大口径非鉛 KNN 圧電薄膜のウエットエッチング The Wet Etching Technique of KNN films by EDTA 日立金属( 日立金属(株),○堀切 文正,柴田 憲治,末永 和史,渡辺 和俊,野口 将希 Hitachi Metals, Ltd., ○Fumimasa Horikiri, Kenji Shibata, Kazufumi Suenaga, Kazutoshi Watanabe, Masaki Noguchi E-mail: [email protected] 【背景と目的】 スパッタ法を用いた非鉛系(K,Na)NbO3 薄膜 (以下 KNN と記述)の開発を進めており、高い圧電 定数を実現している[1]。前回、キレート剤を用いたウエットエッチング加工について報告したが、 エッチング速度が遅い(38nm/min.[70℃])という課題があった[2]。今回の報告では、エッチング速 度の向上検討、および、大口径サイズでのエッチングを行った結果を報告する。 【実験方法および結果】 試料として、RF マグネトロンスパッタリング法により、4 インチの(111)Pt/Ti/SiO2/Si 基板上に 作製した膜厚約 2µm の(K1-xNax)NbO3 (x=0.55)を用いた。エッチングマスクは、TEOS を用いた P-CVD 法により KNN 膜上に作製した SiO2 膜をバッファードフッ酸によりパターニングしたもの を用いた。本研究では、高濃度フッ酸並みの高い KNN 膜のエッチング速度、約 100nm/min.を得 るため、80-100℃の高温域でのエッチングを試みた。エッチング液組成は、エチレンジアミン四 酢酸 EDTA(5g), NH4OH(29%, 37mL), H2O2(30%, 125mL)の混合比とし、液量は 1.6L とした。本エッ チング液を高い温度で使用した場合、H2O2 の分解反応による発熱のため温度上昇が起こったが、 汎用のホットプレートでも PID 値を最適に設定すれば温度制御が可能なレベルであり、実用上特 に大きな問題にならなかった。図1にエッチング後の 4 インチ KNN ウエハの写真を示す。ウエハ 全面で綺麗にエッチングできている事が分かる。液温 90~94℃の条件において 30 分で 2µm 厚の KNN 膜を 4 インチ全面で精度良く加工する事ができた。エッチング速度は 95℃において約 90nm/min.と、高濃度のフッ酸と同等の値が得られた。 エッチングマスクの SiO2 との選択比は、15 程度であ った。また、KNN 膜のパターン加工精度は、ほぼ SiO2 マスクのパターン精度と同じものが得られてい る。EDTA を用いた KNN 薄膜のエッチングが、エッ チング速度、加工寸法精度、適用ウエハサイズの全 てにおいて、十分実用レベルのエッチング手法であ る事が示された。 [1] 柴田ら、第 57 回応用物理学会 講演予稿集, 19a-L-9, P.06-066 (2010). [2] 堀切ら、第 74 回応用物理学会 講演予稿集, 19a-D1-10, p.06-020 (2013). Ⓒ 2014 年 応用物理学会 06-010 Fig. 1 The etched 4inch KNN wafer by EDTA-etchant.
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