ジョモケニヤッタ農工大学派遣報告書 報告書提出者 報告者派遣先 派遣期間 荻原秋穂(人文学部所属・3 回/学籍番号 12110246) Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology(JKUAT) 平成 26 年 9 月 13 日~同 24 日(11 泊 12 日) 1. はじめに この報告書は、山形大学教育・学生支援部国際交流課「平成 26 年度新興国『学生大使』派遣自己改 革・成長プログラム 山形から世界へはばたけ−海外でグローバル力を磨く−」事業により派遣された JKUAT での日本語授業の状況やその他の情報を山形大学に報告するとともに、同事業により JKUAT への派遣希 望を考えている学生の参考にしてもらうためのものである。 2. 派遣の概要 2014 年(平成 26 年)9 月 13 日から 9 月 24 日の、11 泊 12 日の日程で派遣された。なお、現地まで/からの 移動を含めると、9 月 12 日から 25 日までの 11 泊 2 機中泊 14 日の日程である。なお、本派遣に際して派遣 期間の重複する山形大学学生及び山形大学日本人スタッフはいなかった。 3. 旅程 【往路】9 月 12 日-13 日 新横浜 10:45→(こだま 647 号)→名古屋→(名鉄線)→中部国際空港 中部国際空港 21:35→(エティハド航空 889 便・北京経由)→アブダビ空港 13:55(翌日) アブダビ空港 09:25→(エティハド航空 641 便)→ナイロビ(ジョモケニヤッタ)空港 13:20 【復路】9 月 24 日-25 日 ナイロビ(ジョモケニヤッタ空港)14:10→(エティハド航空 642 便)→アブダビ空港 アブダビ空港 21:30 発→(エティハド航空 888 便1・北京経由)→中部国際空港 13:55 中部国際空港→(名鉄線)→名古屋 17:53 発→(のぞみ 38 号)→新横浜 19:14 着 4. 航空運賃・海外旅行保険料 航空運賃 エティハド航空サイト直扱(クーポンコード利用) 129,000 円 海外旅行保険 損保ジャパン日本興亜株式会社 クレジットカード払い特約、インターネット特約 保険料 5,900 円 5. JKUAT について JKUAT は、ケニアの首都ナイロビから約 40㎞離れた Juja という地区にメインキャンパスを持 つ農工大学である。農学,科学,生命科学,工学,情報科学,環境エネルギー,薬学,建築,人材開発、 の学部を持つ。本派遣に関しては、メインキャンパスで授業を行い、またメインキャンパス内にある国際 学生寮に宿泊した。寮費は山形大学との協定により,1ヶ月未満は無料とのことであった.現地生活の サポートを Ms.Joan さんや,ALISO(Alumni and International Student Office)のスタッフさんがし てくださった. 5. 日本語クラスについて 先発の学生が派遣されていた期間とは異なり、授業は月曜日から金曜日まで、毎日 1 回、 17:00 から 1 時間半ないし 2 時間程度行われた。場所は Common Lecture Building と呼ばれる、 教養棟にあたる建物である。本クラスは正課の授業ではないことから、毎日建物の中で空き教室を探し て行われた。受講生の人数は日によってまちまちで、少ない日は 3 人、多い日は 25 人程度受講してく れた。ケニア人の学生のみならず、インド人、アルジェリア人などの留学生も受講してくれた。なお、ス タッフの Joan さんが授業をできるときは Joan さんに初級クラスの授業をお願いした。初級クラスの内 容はひらがなの読み書き及び簡単なあいさつ、自己紹介である。 2 クラス編成の時の上級クラスは荻原 が担当し、Joan さんからの要望で、日本語能力試験 N5 級に向けたコンテンツを編成して授業を行っ た。Joan さんが私事で来られない日は、その日の受講生のバランスや人数を考慮して、荻原が内容を 編成、クラスを実施した。 1実際は、アブダビ出発 1 時間遅れ、中部着 2 時間遅れであった。 授業は「考えて」「手よりも口を動かす」ことを重視した。特に、「こういいたいんだけどわからな い」という疑問や好奇心はひとつ残らず拾い上げて、該当する単語を教えるように心がけた。まず挨拶 からはじめ、日付を確認し、「定型文」を一つ教えて、その一部をどんどん変えていく形で様々な表現や 単語を覚えられるような工夫をした。また、「定型文」を問答形式にすることで、受講生同士でペアを組 んでワークをしてもらい、また、「右左」や「あれ、それ、これ」など概念的な単語は積極的に体を動かして 覚えてもらうような工夫を施した。そのほかにも、日本について知ってもらうべく、こちらから「日本の都 市」や「日本クイズ」などをしたり、それに対応するように受講生の母国の情報も日本語でプレゼンテー ションしてもらうような機会も設けたりした。 6. 現地環境 □ 住環境 キャンパスのはずれにある、国際学生寮に宿泊した。一戸建てで、部屋は 2 人部屋が 3 ユ ニットの 6 人仕様。バス洗面台、キッチン、トイレ、リビングが 6 人の共用スペースである。イメージとしてはシェ アハウスに近い.TV も設置されている。ルームメイトは、ドイツ人が 4 人とインド人 1 人であった。全員が院生 かその年代の人間で、インターンシップなどで働きつつ、片手で研究という身分の人間がほとんどのようであ る。ユニット内のコミュニケーションは基本的に英語で行われ、学問、政治経済など高度な話題が夜な夜な話 題となった。JKUAT は、理由は不明だがドイツ人が多い。最寄りのスーパーは Juja の街中にある「Happy Supermarket」か「UCHUMI」であり、徒歩で片道 20 分は最低でもかかる。ここで一通りの生活用品はそろ えることができる。物価は平均すると日本より安い。日本人が JKUAT にいることはいるが,あまり頻繁には見 かけなかった。 □ 食環境 Food poisoning(食中毒)にあたることは珍しくない。毎日、ルームメイトのうち少なくとも一人 が、diarrhea(下痢)の症状を訴えていた。すぐに回復すればよいが、長期化や重篤化の兆候が見られた場 合には、JKUAT 内の病院(国際学生寮のすぐ近く)を受診することになる 2。キャンパス内の学生食堂ですら あたることがあるので、体調に少しでも不安のある時は、高いお金を払ってでもレストランで食べたほうがよい。 街中で食べれば一回、最高でも 150 シリング弱、衛生的にしっかりしている Central Catering Center(職 員食堂)で食べれば 300 シリングほどである。なお、キャンパス外のサンライズ通りというところに「ダイナース」 という店があるが、この店であたったというのは聞いたことがなく、価格も安く、おいしい。 □ 治安 大学周辺の治安は良好である。少なくとも日中に身の危険を感じることはない。渡航前はかな りな不安を抱いていたが、幸いにも杞憂に終わった。油断は禁物だが、過度な恐怖心を抱く必要はないと感 じた。ただ、露店や個人商店で買い物をするとき、ぼったくられることはままあった。(現地の学生と提示される 価格が明らかに違う) 7. 授業時間外の活動 ざ 授業時間は平日 17:00 からのみであった.授業時間帯以外の過ごし方であるが,派遣期間 の前半は往路のフライトが原因とみられる風邪のため,部屋でおとなしくしていた.後半はキャンパス内 の見学や,ルームメイトの調査研究の手伝いなどをしていた. 派遣期間唯一の週末である9月20日,21日についてであるが,20日土曜日は,寮内の全員 が何らかの体調不良を訴えていたため,Juja(キャンパス周辺)に食料品の買い物をする以外はおとな しくしていた.日曜日は,ドイツ人3人と公共交通機関でナイロビ近郊の観光をした.訪れた主な施設は, Giraffe Centre(キリンの餌やりができる)と Karen National Museum である. 8. 見聞,感想 東アフリカの優等生とされるケニアに今回,派遣をされましたが、昨年度派遣をされたベトナム とは大きく異なり、社会格差の大きさをまざまざと見せつけられました。ナイロビのスラムを遠めながらバ スから眺めることができたこともあり、そうかと思えば同じ日にルームメイトらと一食 1,000 円程度もするラ ンチを食しました。 今回の派遣では,私がケニアへの派遣を希望していた理由の一つであった,生活と宗教の関 わりを見られる機会を頂きました.土曜日に大学構内で行われている Church(礼拝)に1時間ばかりで すが居合わせました.ケニアはイギリス統治時代の名残でキリスト教を信仰している国民が多く,38%が プロテスタント,28%がカトリックという統計データがあります(Pennsylvania University African Studies Center).話を聞く限り,見学した礼拝はカトリックのそれのようで,ゴスペルなどを披露してい ました.参加していた学生によれば礼拝は11時から日暮れまでずっと行われているとのことで,礼拝の 日はそれを中心に生活が回っているのだな,ということを知りました.ルームメイトのドイツ人は,ドイツを 含む欧州では礼拝の時間はもっと短く(せいぜい3時間程度),毎週参加する人はそれほど多くないと 言っていて,少なくともケニアは敬虔な信者が多いのだろうという想像が出来ました.実際,バスなど 2クレジットカードは受け付けていないそうなので、余分にケニアシリングを持っておいたほうがよい に”God in Trust ” などと書かれているバスを頻繁に見かけました. 最後に,今回の派遣を通して国の最高学府である大学で学ぶ意義をまたひとつ見つけました. JKUAT は,自国や世界に貢献できるような人材を育てることをミッションとしていました.また,学生側も 自身がどのような形で自国に貢献していくのかを,明確なビジョンとともに考え,勉学に向き合っていると いう印象を強く受けました.他方,私の日本での学習はただ目の前に与えられたコンテクストを淡々とこ なしていくだけというような学習態度だったので,これからはビジョンを持って取り組んでいければという ふうに考えています. 9. その他 JKUAT 派遣される方へアドバイス 1 日本からのフライトが長時間のため、初日、2 日目はゆっくりしたほうがいいと思います。 (私は風邪をひきました) 2 スワヒリ語が少しでも話せるだけで、値引きされたりと、いいことがあります。 3 ナイロビは気温が 15℃を下回るときもあり、赤道直下の割に寒いです。少なくとも日本の秋のレベルの 服装で。 4 胃腸薬、胃薬必須。ほぼ確実に、一回はおなかを壊すと思います。 5 ナイロビの空港では JPY の両替も受け付けていますが、ビザの支払いは USD なので、あらかじめ USD への両替を忘れずに。(ビザ料金の支払い場所は銀行より手前にある) 6 ケニア出国時に黄熱の予防接種証明書の提示を求められました。少なくとも黄熱の接種は受けていっ たほうがいいように思います。仙台で毎週受けることができます。 7 ケニアは医療水準が高くないので,万が一大怪我や深刻な病気になると本国移送などになる例がある, という話を聞きました.保険の移送費用や傷害費用は上限が高めのものを選択したほうがいいように思い ます. 8 家の中の移動用にスリッパがあると便利です.また,砂埃で靴があっという間に汚れるため,スーツケー スに余裕があれば,靴は壊れても良い,あるいは現地で捨ててきても良いようなものをもう一足持って いったほうが良いです. 9 アフリカの食事は日本では味わうことができないような味で,舌に合わない人にとってはかなりつらいも のがありました.日本食を少し多めに持っていったほうがいいかもしれません. 費用の目安 航空運賃:120,000 円〜190,000 円 寮費:不明 食費:600シリング/日 入国ビザ費用:50 USD ※2014年9月現在 送迎費用:8,000 シリング程度(往復) その他娯楽費 考えられる航空経路 ● 大韓航空でソウル/仁川経由→ナイロビ (2014年9月現在運休中) ● エティハド航空でアブダビ経由→ナイロビ ● エミレーツ航空でドバイ経由→ナイロビ ● カタール航空でカタール経由→ナイロビ ● エールフランスでパリ経由→ナイロビ ● ルフトハンザ
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