2014年度年報(PDFファイル)

2014年度
京都大学野生動物研究センター年報
ゴマフアザラシ
ハイイロオオカミ
パームシベット
アジアゾウ
京都大学野生動物研究センター
2014 年度
京都大学野生動物研究センター年報
Wildlife Research Center, Kyoto University
目
次
1.
巻頭言
1
2.
野生動物研究センター憲章
2
3.
組織概要
2
4.
2014 年度構成員
2
5.
この一年の動き・活動
5
6.
学部・大学院教育
7
7.
外部資金
7
8.
大型プロジェクト
9.
8.1. 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム SATREPS
9
8.2. 日本学術振興会研究拠点形成事業 (A.先端拠点形成型)
11
8.3. 日本学術振興会研究拠点形成事業 (B.アジア・アフリカ学術
基盤形成型)
8.4. 文部科学省博士課程教育リーディングプログラム (オンリー
ワン型)
8.5. JICA 草の根技術協力事業
8.6. 国立環境研究所との共同プロジェクト
動物園・水族館との連携
16
16
21
22
22
10. 国内研究拠点・国内機関との共同研究
23
11. 共同研究者訪問履歴表
25
12. 海外拠点・海外機関との研究交流等
26
13. 海外渡航
27
14. 自己点検評価
32
15. 2014 年度研究業績
執筆文章 (和文)
33
執筆文章 (英文)
34
学会等での発表・講演 (日本語)
35
学会等での発表・講演 (英語)
37
受賞
39
新聞・雑誌・TV 等での紹介
39
学会活動等
39
社会貢献
40
16. 共同利用・共同研究拠点
41
2014 年度 公募研究による成果発表
執筆文章 (和文)
69
執筆文章 (英文)
70
学会等での発表・講演 (日本語)
70
学会等での発表・講演 (英語)
72
新聞・雑誌・TV 等での紹介
73
1. 巻頭言
2008 年の設立から 7 年が過ぎ, 本センターの活動もようやく軌道に乗った感があります。共同利
用・共同研究拠点事業や科研費による研究プロジェクトに加え, 大型外部資金による複数の国際プ
ロジェクトと新しい大学院教育プログラムなど, 定員教員 6 名の小さな研究センターとしては異例な
ほど活発な教育研究事業を展開していると自負しております。外部資金による特定教員などを加え
ると常勤教員数は 12 名, 研究員 16 名, 所属大学院生数も 25 名を越えました。これも学内外関係
者の方々の様々なご助力とセンター教職員・学生の皆さんの努力の賜物です。心より感謝申し上げ
ます。
共同利用・共同研究拠点「絶滅の危機に瀕する野生動物 (大型哺乳類等) の保全に関する研究
拠点」 (H23~27 年度) の事業は, 動物園・水族館との連携などの活動が高く評価され, 昨年度の
中間評価で A 評価を受けたことから予算が増額され, 昨年度より多くの公募研究を助成することが
できました。連携動物園・水族館も当初の 2 園 1 館から 10 園 5 館に拡大しています。関係者の皆様
の努力に感謝いたします。
今年度が 3 年目に当たる, 研究拠点形成事業 (先端拠点形成型) 「大型動物研究を軸とする熱
帯生物多様性保全研究」 (H24~28 年度) による国際研究交流事業では, 毎年インド, マレーシア,
ブラジルから大学院生や若手研究者を招聘し, 屋久島でフィールド実習, 京都大学でゲノム実習と
国際セミナーを, 理学研究科生物科学専攻の正式な授業科目として京都大学の大学院生と行って
きましたが, 昨年度, 日本学術振興会研究拠点形成事業 (アジア・アフリカ学術基盤形成型) 「西
部タンザニアにおける野生動物保全研究」 (H25~27 年度) と JICA 草の根技術協力事業「在来家
畜の生産の効率化によるガーナ食料事情向上支援」 (H25~28 年度) が新たに採択されたことによ
り, 今年度からタンザニアやガーナの大学院生や若手研究者も, これらの実習や国際セミナーに参
加できることになりました。また, 本事業による熱帯生物多様性保全に関する国際ワークショップを,
今年度はタンザニアのアルーシャで開催しました。これによって, 熱帯生物多様性保全に関する国
際ネットワークを, アジアと南米だけでなく, アフリカにも拡大することができました。さらに, 昨年度
に採択された, JST と JICA による地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS)
「“フィールドミュージアム”構想によるアマゾンの生物多様性保全」 (H25~30 年度) が本年度の 7
月から正式に開始され, アマゾンマナティーなど, 絶滅危惧野生動物の保全や研究, 環境教育に
貢献できる自然生息地型の動植物園・水族館「フィールドミュージアム」をアマゾンの大都市である
マナウスに整備し, 保全研究を推進する事業も進んでいます。
大学院教育では, 野生動物保全研究に貢献できる国際的人材を育成する文部科学省博士課程
教育リーディングプログラム (オンリーワン型) 「霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大
学院」 (H25~31 年度) が始まり, 10 名の履修生を選考・採用して教育プログラムを開始しました。
今年は野生動物研究センターの修士課程に新たに 5 名が入学, 2 名が博士号を取得, 2 名が修
士号を取得し, うち 1 名が博士後期課程に進学しています。
今後とも, ひきつづき野生動物研究センターの活動へのご指導とご協力をお願い申し上げます。
京都大学野生動物研究センター
センター長 幸島 司郎
1
―1―
2. 野生動物研究センター憲章
(平成 20 年 2 月 5 日制定)
京都大学野生動物研究センターは, 野生動物に関する教育研究をおこない, 地球社会の調和あ
る共存に貢献することを目的とする。その具体的な課題は次の 3 点に要約される。第 1 に, 絶滅の
危惧される野生動物を対象とした基礎研究を通じて, その自然の生息地でのくらしを守り, 飼育下
での健康と長寿をはかるとともに, 人間の本性についての理解を深める研究をおこなう。第 2 に, フ
ィールドワークとライフサイエンス等の多様な研究を統合して新たな学問領域を創生し, 人間とそれ
以外の生命の共生のための国際的研究を推進する。第 3 に, 地域動物園や水族館等との協力によ
り, 実感を基盤とした環境教育を通じて, 人間を含めた自然のあり方についての深い理解を次世代
に伝える。
京都大学野生動物研究センター設置準備委員会
3. 組織概要
センターの研究は, 野生動物のこころ, からだ, くらし, ゲノム, そして健康長寿の探究をめざしま
す。そのために, 下記のような 5 つの研究部門で構成されています。さらに 1 つの寄附部門, 国内
に 3 つの研究拠点, 海外に 7 つのフィールドワークの研究拠点があります。
1. 研究部門
比較認知科学, 動物園科学, 保全生物学, 人類進化科学, 健康長寿科学
2. 寄附研究部門
福祉長寿研究部門
3. 国内の研究拠点
幸島観察所, 屋久島観察所, 熊本サンクチュアリ
4. 海外の研究拠点
ボルネオのダナンバレー, タンザニアのウガラとマハレ, コンゴのカフジとワンバ, ガボンのム
カラバ, ギニアのボッソウ・ニンバ
なおセンターの運営は, 協議員会でおこない, 諮問機関として, 連携協議会があります。
4. 2014 年度構成員
4.1. 教員
センター長・教授 : 幸島 司郎 (こうしま しろう)
教授 : 伊谷 原一 (いだに げんいち)
教授 : 村山 美穂 (むらやま みほ)
教授 : 平田 聡 (ひらた さとし)
准教授 : 杉浦 秀樹 (すぎうら ひでき)
准教授 : 中村 美知夫 (なかむら みちお)
特定教授 (研究拠点:CICASP) : David Anthony HILL (でぃびっと あんそにー ひる)
2
―2―
特定准教授 (研究拠点) : 森村 成樹 (もりむら なるき)
特定准教授 (研究拠点:CICASP) : Andrew J. J. MACINTOSH (あんどりゅー J. J. まっきんとっしゅ)
特定助教 (研究拠点) : 服部 裕子 (はっとり ゆうこ)
特定助教 (研究拠点) : 岸田 拓士 (きしだ たくし)
特定助教 (科学研究) : 山梨 裕美 (やまなし ゆみ) (2015 年 1 月 16 日~)
客員教授 (外国人研究員) : Augustin Kanyunyi BASABOSE (おうぎゅすたん かにゅに ばさぼせ)
(2014 年 9 月 1 日~2014 年 12 月 15 日)
客員准教授 (寄附研究部門) : 中村 美穂 (なかむら みほ)
4.2. 兼任教員
教授 : 古市 剛史 (ふるいち たけし) 京都大学霊長類研究所・教授
教授 : 松沢 哲郎 (まつざわ てつろう) 京都大学霊長類研究所・教授
教授 : 松林 公蔵 (まつばやし こうぞう) 京都大学東南アジア研究所・教授
教授 : 山極 壽一 (やまぎわ じゅいち) 京都大学大学院理学研究科・教授 (~2014 年 9 月 30 日)
教授 : 遠藤 秀紀 (えんどう ひでき) 東京大学総合博物館・教授
教授 : 長谷川 寿一 (はせがわ としかず) 東京大学大学院総合文化研究科・教授
准教授 : 友永 雅己 (ともなが まさき) 京都大学霊長類研究所・准教授
准教授 : 今井 啓雄 (いまい ひろお) 京都大学霊長類研究所・准教授
准教授 : 藤田 志歩 (ふじた しほ) 鹿児島大学共同獣医学部・准教授
准教授 : 松林 尚志 (まつばやし ひさし) 東京農業大学地域環境科学部准教授
4.3. 特任教員
特任教授 : 田中 正之 (たなか まさゆき) (京都市動物園)
特任教授 : 青木 秀樹 (あおき ひでき) (お茶の水総合法律事務所)
特任教授 : 岡安 直比 (おかやす なおび) (WWF ジャパン自然保護室)
特任教授 : 西田 睦 (にしだ むつみ) (琉球大学)
特任教授 : 星川 茂一 (ほしかわ しげかず) (前 京都市副市長)
特任教授 : 堀江 正彦 (ほりえ まさひこ) (明治大学)
特任教授 : 毛利 衛 (もうり まもる) (日本科学未来館)
特任准教授 : 杉山 茂 (すぎやま しげる) (静岡大学)
特任准教授 : 山本 真也 (やまもと しんや) (神戸大学)
特任准教授 : 齋藤 亜矢 (さいとう あや) (中部学院大学)
4.4. 事務職員・技術職員・非常勤職員等
事務長 : 小山 房男 (こやま ふさお) (北部共通事務部長と兼任) (~2014 年 4 月 30 日)
事務長 : 奥村 晃弘 (おくむら あきひろ) (農学研究科等副事務長・農学研究科担当課長と兼任)
(2014 年 5 月 1 日~)
事務掛長 : 砂田 明展 (すなだ あきのぶ)
事務掛員 : 藤岡 恭伸 (ふじおか やすのぶ)
技術職員 : 鈴村 崇文 (すずむら たかふみ) (幸島観察所)
技術職員 : 野上 悦子 (のがみ えつこ) (熊本サンクチュアリ)
特定職員 (PWS ユニット支援室長) : 大槻 義実 (おおつき よしみ)
特定職員 (PWS ユニット支援室) : 左海 陽子 (さかい ようこ)
教務補佐員 : 今井 由香 (いまい ゆか)
教務補佐員 : 植田 彩容子 (うえだ さよこ)
教務補佐員 : 酒井 道子 (さかい みちこ) (~2014 年 10 月 31 日)
3
―3―
教務補佐員 : 鈴木 真理子 (すずき まりこ) (~2014 年 8 月 31 日)
教務補佐員 : 髙橋 佐和子 (たかはし さわこ)
教務補佐員 : 前垣 慧 (まえがき さと) (2014 年 5 月 1 日~)
教務補佐員 : 水野 名緒子 (みずの なおこ)
教務補佐員 : 吉田 弥生 (よしだ やよい) (~2014 年 4 月 30 日)
事務補佐員 : 一井 泉 (いちい いずみ) (~2014 年 9 月 30 日)
事務補佐員 : 杉谷 美紀 (すぎたに みき)
事務補佐員 : 栗野 紋子 (くりの あやこ)
事務補佐員 : 栗原 智子 (くりはら ともこ)
事務補佐員 : 前川 洋子 (まえかわ ようこ)
派遣職員 : 小林 宏美 (こばやし ひろみ)
派遣職員 : 牧村 裕貴 (まきむら ゆうき)
派遣職員 : 寺川 絵美 (てらかわ えみ)
派遣職員 : 安本 基子 (やすもと もとこ)
派遣職員 (PWS ユニット支援室) : 秋山 未来 (あきやま みく) (2014 年 12 月~)
4.5. 研究員等
日本学術振興会 特別研究員 PD : 木下 こづえ (きのした こづえ) (~2014 年 8 月 31 日)
日本学術振興会 特別研究員 PD : 花村 俊吉 (はなむら しゅんきち)
日本学術振興会 特別研究員 PD : 山梨 裕美 (やまなし ゆみ) (~2015 年 1 月 15 日)
日本学術振興会 特別研究員 PD : 西江 仁徳 (にしえ ひとなる)
日本学術振興会 外国人特別研究員 : Coline Arnaud (こりぬ あるの) (~2014 年 9 月 28 日)
日本学術振興会 外国人特別研究員 : Vanessa Wilson (ばねっさ うぃるそん) (2014 年 11 月 17~
2015 年 1 月 23 日)
特定研究員 (研究拠点) : 廣澤 麻里 (ひろさわ まり)
特定研究員 (研究拠点) : 澤田 晶子 (さわだ あきこ)
特定研究員 (研究拠点) : 古賀 典子 (こが のりこ)
特定研究員 (研究拠点) : 大橋 岳 (おおはし がく) (~2014 年 12 月 31 日)
特定研究員 (研究拠点) : 新宅 勇太 (しんたく ゆうた)
特定研究員 (研究拠点) : 岡部 直樹 (おかべ なおき) (~2014 年 11 月 30 日 JMC へ勤務地変更)
特任研究員 (熊本サンクチュアリ) : 上坂 博介 (うえさか ひろすけ)
特任研究員 (熊本サンクチュアリ) : 鵜殿 俊史 (うどの としふみ)
特任研究員 (熊本サンクチュアリ) : 寺本 研 (てらもと みがく)
特任研究員 (熊本サンクチュアリ) : 長野 邦寿 (ながの くにとし)
特任研究員 (熊本サンクチュアリ) : 那須 和代 (なす かずよ)
特任研究員 (熊本サンクチュアリ) : 森 裕介 (もり ゆうすけ)
研究員 (特別教育研究) : 伊藤 詞子 (いとう のりこ)
研究員 (特別教育研究) : 座馬 耕一郎 (ざんま こういちろう)
研究員 (研究拠点) : 髙橋 明子 (たかはし あきこ)
研究員 (特別教育研究) : 村松 大輔 (むらまつ だいすけ)
研究員 (受託研究) : 岡本 妃花理 (おかもと ひかり)
研究員 (受託研究) : Christopher Adenyo (くりすとふぁー あでにょ)
研究員 (研究拠点) : 吉田 弥生 (よしだ やよい) (2014 年 5 月 1 日~)
研究員 (研究拠点) : 中村 美穂 (なかむら みほ) (寄附研究部門教員と併任)
研究員 (受託研究) : 池田 威秀 (いけだ たけひで)
研究員 (受託研究) : 菊池 夢美 (きくち むみ)
特任研究員 : 和田 晴太郎 (わだ せいたろう)
4
―4―
特任研究員 : 幸島 和子 (こうしま かずこ) (2014 年 10 月 1 日~)
研修員: 幸島 和子 (こうしま かずこ) (~2014 年 9 月 30 日)
4.6. 大学院博士後期課程
原澤 牧子 (はらさわ まきこ) (2015 年 3 月 31 日認定退学)
黒鳥 英俊 (くろとり ひでとし)
坂本 英房 (さかもと ひでふさ)
飯田 恵理子 (いいだ えりこ) (2015 年 3 月 23 日認定退学)
松川 あおい (まつかわ あおい)
澤栗 秀太 (さわぐり しゅうた)
中林 雅 (なかばやし みやび) (2015 年 3 月 23 日修了)
原 宏輔 (はら こうすけ)
田和 優子 (たわ ゆうこ)
水口 大輔 (みずぐち だいすけ)
遠藤 良典 (えんどう よしのり)
桜木 敬子 (さくらぎ ひろこ) ※PWS リーディング大学院履修生
仲澤 伸子 (なかざわ のぶこ) ※PWS リーディング大学院履修生
水野 佳緒里 (みずの かおり)
4.7. 大学院修士課程
洪
小林
榊原
炭谷
大谷
沓間
佐藤
松島
水越
(Hong Wan-Ting) (ほん わんてぃん) (2014 年 9 月 24 日修了)
宜弘 (こばやし のりひろ)
香鈴美 (さかきばら かすみ) (2015 年 3 月 23 日修了・博士後期課程へ進学)
麗 (すみたに れい)
ミア (おおたに みあ)
領 (くつま りょう) ※PWS リーディング大学院履修生
悠 (さとう ゆう)
慶 (まつしま けい) ※PWS リーディング大学院履修生
楓 (みずこし かえで) ※PWS リーディング大学院履修生
4.8. 研究生
辻 紀海香 (つじ きみか)
4.9. 特別研究学生
吉川 翠 (よしかわ みどり) 東京農工大学大学院連合農学研究科博士後期課程
※期間が書いていない場合は 2014 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日の在籍
5. この一年の動き・活動
2014 年 4 月11日:
野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
5 月 6日: 幸島野外実習 (~13日)
5 月16日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
5 月18日: 屋久島フィールド実習 (~5月26日)
5
―5―
5 月20日:
共同利用研究会「次世代シーケンサーの有効活用」 (於: 関田南研究棟地
階会議室)
5 月29日: 野生動物研究センター連携協議会 (於: 関田南研究棟地階会議室)
5 月29日: 野生動物研究センター共同利用・共同研究拠点運営委員会 (於: 関田南研
究棟地階会議室)
5 月29日: ゲノム実習 (~6月5日)
6 月 6 日: 国際セミナー「JSPS Core-to-Core Program “The 3rd International Seminar
on Biodiversity and Evolution」 (於:京都教育文化センター)
6 月13日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
7 月11日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
7 月12日: 第6回熊本サンクチュアリ運営委員会 (於:KS)
8 月 6日: 大学院修士課程 入学試験 (於: 理学研究科) (~7日)
8 月20日: 国際セミナー「International Seminar in JSPS Core to Core Program 2013
Current States and Problems of the study for Wildlife Conservation」 (於: 関
田南研究棟地下会議室)
8 月29日: 国際シンポジウム「The 2nd International Symposium on Primatology and
Wildlife Science」 (於: 理学部セミナーハウス) (~30日)
9 月22日: 国際ワークショップ「The 3rd International Workshopon Tropical Biodiversity
and Conservation」 (於: インパラホテル, タンザニアアルーシャ) (~23日)
10月10日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
11月14日: 野生動物研究センター共同利用・共同研究拠点計画委員会 (於: 関田南研
究棟地階会議室)
11月14日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
11月27日: 野生動物研究センター連携協議会 (於: 吉田泉殿)
11月27日: 野生動物研究センター共同利用・共同研究拠点運営委員会 (於: 吉田泉殿)
12月12日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
12月14日: 共同利用シンポジウム「屋久島学ソサエティ設立大会」 (於: 屋久島離島開発
総合センター) (~15日)
12月21日: 共同利用シンポジウム「勇魚会:海生哺乳類の繁殖―育む命・育まれる命」
(於: 神戸市須磨海浜水族館) (~22日)
2015 年 1 月16日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
1月17日: 第7回熊本サンクチュアリ運営委員会 (於: 日本モンキーセンター)
1 月28日: 野生動物研究センター大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究棟地階会議
室)
2 月13日: 野生動物研究センター協議員会, 大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究
棟地階会議室)
2 月17日: 大学院博士後期課程編入学試験 (於: 関田南研究棟地階会議室)
2 月17日: 野生動物研究センター大学院系 (分科) 会議 (於: 関田南研究棟地階会議
室)
3 月 4日: 野生動物研究センター共同利用・共同研究拠点計画委員会 (於: 関田南研
究棟地階会議室)
3 月 5日: 国際シンポジウム「The 3rd International Symposium on Primatology and
Wildlife Science」 (於: 理学部セミナーハウス) (~8日)
3 月13日: 野生動物研究センター協議員会 (於: 関田南研究棟地階会議室)
3 月15日: 野生動物研究センター市民公開シンポジウム「ず~ぜよ。動物園大学⑤ in
高知」 (於: 高知県立のいち動物公園)
6
―6―
6. 学部・大学院教育
全学共通科目
野生動物研究のすすめ I (自然群・前期)
野生動物研究のすすめ II (自然群・後期)
心理学 IA (人社群・前期)
ポケット・ゼミ
遺伝子からみる野生動物 (B 群・前期集中)
大学院生向け講義
生物科学専攻インターラボ (前期集中)
野生動物概論 (前期集中)
野生動物・行動生態基礎論 (前期集中)
野生動物・動物園科学基礎論 (前期集中)
野生動物・ゲノム科学基礎論 (前期集中)
野生動物・比較認知科学基礎論 (前期集中)
野生動物特論 (後期集中)
野生動物・行動生態野外実習 (前期集中)
基礎フィールドワーク実習 (後期集中)
野生動物ゼミナール IA (前期)
野生動物ゼミナール IB (後期)
野生動物ゼミナール IIA (前期)
野生動物ゼミナール IIB (後期)
霊長類学・野生動物特殊研究 IA (前期)
霊長類学・野生動物特殊研究 IB (後期)
霊長類学・野生動物特殊研究 IIA (前期)
霊長類学・野生動物特殊研究 IIB (後期)
博士学位論文 (京都大学大学院理学研究科博士後期課程)
中林 雅「Feeding ecology of three frugivorous civets in Borneo」 (ボルネオ島に生息する
果実食性シベット 3 種の採食生態)
吉田 弥生「Sound variation and function in Commerson's dolphin」 (イロワケイルカの音声
バリエーションとその機能に関する研究)
修士論文 (京都大学大学院理学研究科修士課程)
榊原 香鈴美 「野生イルカの水中遊泳者に対する接近行動 (性・成長段階による差)」
7. 外部資金
7.1. 科学研究費補助金
受入者
代表/
分担
村山 美穂
代表
平田 聡
代表
幸島 司郎
平田 聡
代表
代表
新学術
領域
新学術
領域
基盤 A
基盤 A
村山 美穂
代表
基盤 B
田中 正之
代表
基盤 C
杉浦 秀樹
代表
基盤 C
David Hill
代表
基盤 C
種別
金額 (千円: 直接/
間接)
研究課題名
共感性を支える遺伝子の進化系統解析
19, 700/5, 910
類人猿の心的時間旅行
11, 100/3, 330
地球規模環境変動が氷河生態系に及ぼす影響評価
チンパンジーとボノボの道具的知性と社会的知性
野生動物保全のためのゲノム・細胞バンクの構築と
活用
ニシゴリラにおける比較認知発達科学的研究
過去の植生改変は, 現在のニホンザル個体群を不
安定にしているか?
音響ルアーをもちいた森林性コウモリの社会生態の
分析
12, 000/3, 600
12, 400/3, 720
7
―7―
4, 100/1, 230
1, 600/480
1, 200/360
1, 100/330
MacIntosh
Andrew
岸田 拓士
代表
若手 B
代表
若手 B
澤田 晶子
代表
若手 B
中村 美穂
代表
寺本 研
代表
森 裕介
代表
奨励
花村 俊吉
代表
特別研究
員奨励費
ヒトとチンパンジーにおける社会性の基盤としての
同調行動に関する比較認知科学的研究
霊長類の社会進化に対する選択圧としての寄生虫
の役割
ヒゲクジラの嗅球と嗅覚認識に関する研究
ニホンザルにおける腸内細菌叢の形成過程および
伝播メカニズム
チンパンジーの加齢と老人力:ビデオカタログと高
品質動画の分析で長寿の進化を探る
飼育チンパンジーにおける慢性的ストレスとなる要
因の因果的解明
チンパンジーの健康管理を目的とした睡眠行動の
自動分析システムの開発
野生チンパンジーの集団における離・散を内包した
社会構造と社会的境界の生成プロセス
木下 こづえ
代表
特別研究
員奨励費
近赤外分光法を用いた雌霊長類の新規発情モニタ
リング
1, 100/330
山梨 裕美
代表
特別研究
員奨励費
チンパンジーのストレスと個体差―個体差を形成
する要因と福祉への影響
1, 300/390
西江 仁徳
代表
特別研究
員奨励費
野生チンパンジーの社会的相互行為の諸形式とそ
の発達過程
1, 400/420
中林 雅
代表
原 宏輔
代表
仲澤 伸子
代表
果実食を選んだ食肉目パームシベット―採食戦略
の解明
熱帯アフリカ山岳地域における氷河後退の研究―
気候変動予測と人間活動への影響評価
タンザニアにおける大型食肉目の行動・生態学的
研究
村山 美穂
(Coline Arnaud)
代表
特別研究
員奨励費
特別研究
員奨励費
特別研究
員奨励費
特別研究
員奨励費
幸島 司郎
分担
基盤 A
村山 美穂
分担
基盤 C
村山 美穂
分担
挑戦的
萌芽
村山 美穂
分担
基盤 B
村山 美穂
分担
平田 聡
分担
基盤 A
特別
推進
田中 正之
分担
服部 裕子
代表
若手 B
挑戦的
萌芽
挑戦的
萌芽
基盤 S
野生霊長類 (ニホンザル) の行動特性の進化
大型類人猿を含む霊長類群集と森林構造の比較
研究
パンの世界地図―酵母と乳酸菌の遺伝子解析か
ら見るパンの多様性
希少動物由来の培養細胞バンクとiPS細胞樹立の
試み
ニホンザルの社会構造の個体群間差異:その遺伝
的背景を探る
アフリカ類人猿のコミュニティの構造と進化
1, 200/360
1, 000/300
500/150
1, 600/480
800/240
500/150
300
1, 200/360
900
900
1, 100
300
1,000/300
150/45
50/15
250/75
500/150
知識と技術の世代間伝播の霊長類的基盤
2, 000/600
海のこころ, 森のこころ―鯨類と霊長類の知性に
関する比較認知科学
1, 500/450
7.2. その他の研究費
受入者
野生動物研
究センター
野生動物研
究センター
野生動物研
究センター
研究課題
種別
西部タンザニアにおける野生動物保全
研究
大型動物研究を軸とする熱帯生物多様
性保全研究
動物園におけるセンサー情報・飼育情
報の統合管理・分析技法に基づく種の
金額 (千円: 直接/間
接)
アジア・アフリカ学術基盤形成
事業
8, 360/836
研究拠点形成事業
16, 000/1, 600
総務省/戦略的情報通信研究
開発推進事業 (SCOPE)
1, 757/627
8
―8―
保存および環境教育活動支援プログラ
ムの研究開発
野生動物研
究センター
霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リー
ディング大学院
野生動物研
究センター
野生動物研
究センター
“フィールドミュージアム”構想によるアマ
ゾンの生物多様性保全
在来家畜生産の効率化によるガーナの
食料事情向上支援
研究拠点形成費等補助金
(リーディング大学院構築事業
費)
地球規模課題対応国際科学
技術協力プログラム委託研究
草の根技術協力事業 (草の
根パートナー型)
193, 050
30, 322/6, 997
21, 950
7.3. 寄附金
受入者
福祉長寿研究部門
幸島 司郎
幸島 司郎
中村 美知夫
寄附の目的
種別
寄附部門・福祉長寿研究部門に係る寄附
野生動物研究センターにおける学術交流お
よびアウトリーチ活動助成
野生動物研究センターにおける学術交流お
よびアウトリーチ活動助成
「生物多様性」をローカライズするータンザニ
ア西部における地域コミュニティによる内発
的自然保護を支援する環境教育システムの
構築
金額 (千円)
三和化学研究所寄附金
30, 000
和研薬 (株)
100
ナカライテスク (株)
100
トヨタ財団
4,000
8. 大型プロジェクト
8.1. 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム SATREPS
SATREPS (サトレプス) とは, 国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) と独立行政法人国
際協力機構 (JICA) 独立行政法人国際協力機構 (JICA) が共同で実施している, 地球規模課
題解決と将来的な社会実装に向けて日本と開発途上国の研究者が共同で研究を行う 3~5 年間
の研究プログラムである。
野動物研究センターでは, 「“フィールドミュージアム”構想によるアマゾンの生物多様性保全
(Biodiversity conservation in Amazon based on a new concept of “Field Museum”)」という課題名に
取り組んでいる。世界最大の熱帯多雨林アマゾンに, 地域生態系の保全・研究・教育ばかりでなく
地域社会の発展にも貢献できる理想の動植物園・水族館ともいえる「フィールドミュージアム」を整
備するため, アマゾンの中心都市であるマナウス近交に残された貴重で多様な生物生息地にお
いて, 日本とブラジルの研究者が共同でアマゾンの代表的生物と環境に関する研究を実施すると
ともに, アマゾンで研究・保全・自然観察に必要な技術開発と施設整備, 人材育成と自己継続可
能な運営のための組織整備を行い, フィールドミュージアムを地域生態系の研究・保全・環境教
育。エコツーリズムの拠点として活用するための仕組みを構築する。
(http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/satreps/ 参照)
今年度の主な活動は以下のとおりである。
①生態系の解明と保全法の開発
水生生物の生態研究法開発
新しい水生生物の研究法として, 2015 年 1 月にノボ・アイラオにおいて長期間水中音モニタリン
グシステム (LIDO) を設置した。また, 国立アマゾン研究所 (INPA) 専属の漁師の協力を得て現
地で魚類を採取し, 5 種 (総計 60 個体) の鳴音を記録すると同時に, その体長体重および種同定
のための遺伝子サンプルを取得した。
マナティー野生復帰プログラム
9
―9―
アマゾンマナティーの保全を目指し, 保護・飼育個体の野生復帰が計画されている。2014 年 10
月には放流用に半野生の環境で飼育されている 4 頭のマナティーを捕獲し, 音響記録装置と行
動記録装置による行動の調査を行なった。
カワイルカ保全プログラム
アマゾンカワイルカに水中録音機を装着し, 世界で初めて音声と水中 3 次元行動の同時記録に
成功した。2014 年 11 月にマミラウア自然保護区において音響データロガーと加速度データロガー
を用いてアマゾンカワイルカの水中での音声行動と遊泳行動の記録を行なった。
水生生物と河川環境の理解
2015 年 1 月, ノボ・アイラオにて, 捕獲したナマズに超音波発信機を装着後リリースし, その深浅
移動ならびに活動リズムをサンプリングした。また, 小型魚類の生態・行動を, 飼育実験から明ら
かにし, 展示に活用するために, ブラジル側研究者との打ち合わせを行った。
林冠動植物相互作用の解明
8 月の打合せで, リサーチステーション付近に林冠観察 walkway を設置した長期調査区を設定し
て共同研究を行う方針が決まった。11 月に日本側メンバーとブラジル側メンバーが, クイエイラス
川のリサーチステーション建設予定地へ行き, この地域の森林哺乳類 (絶滅危惧種であるフタイ
ロタマリンやナマケモノ, アルマジロなど) 研究のための予備的調査を行う予定であったが, ブラ
ジル側メンバーの都合で 3 月に延期になった。3 月には, とくに浸水林と非浸水林との動物相の違
いを明らかにできるよう, 地上部に設置するセンサーカメラの配置について, 具体的な場所と方法
を決定する。また 3 月初旬には, 実質的に研究を担う日本側メンバーとブラジル側メンバーを決定
し, それぞれの担当と目標を共有できるようにブラジル側メンバーを招いて日本で会議を行なう。
技術移転としては, 林冠部に設置するセンサーカメラ網について, 現地で具体的な方法を議論
し, 林冠観察 walkway の設置とともに実現させる予定である。
データベースの構築
当プロジェクトを紹介する以下のホームページに, アマゾンの生物データベースのプラットフォー
ムとなるバーチャルミュージアムのページを設けた。また今年度にアマゾンで採取した水中生物音
のデータを赤松らによる水中音のデータベース「水中生物音図鑑」に加えた。これらのデータベー
スを順次拡充し, 将来的には「Bosque da Ci ncia (科学の森)」での展示物としても利用する予定で
ある。
ホームページアドレス
http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/satreps/index.html
水中音のデータベース
http://cse.fra.affrc.go.jp/akamatsu/SoundDatabase/Index.html
②フィールドミュージアムの構築
グランドデザイン
8 月の打合せで, 本プロジェクトで整備するアマゾンのフィールドミュージアムのポルトガル語名
を「Museu na Floresta (森の博物館)」とすること, INPA の Bosque da Ciencia (科学の森) とクイエイ
ラスステーション周辺をフィールドミュージアムの核となる主要コンポーネントとして本プロジェクトで
整備し, プロジェクト終了後も MUSA のアドルフォドキ植物園などと連携しながら, INPA 保護林を
中心に順次拡大・整備してゆく構想を共有した。また本プロジェクトで, Bosque da Ci ncia (科学の
森) の展示・環境教育プログラムを刷新するほか, クイエイラス地区に調査基地と森林上層部観察
施設を含む長期調査区を整備し「科学エコツーリズム」を試みることを確認した。
水生生物展示法の開発と施設整備
Bosque da Ci ncia (科学の森) の現状調査を行い, マナティー飼育施設からの処理済み排水を
利用した小型魚類展示施設や現有施設改良の可能性を検討し, 展示プランに関する協議を行っ
た。
大型水生哺乳類研究・展示施設整備
10
― 10 ―
マナティー飼育施設の改修および排水浄化システム整備に関しては, 基本設計がほぼ終わり,
それをもとに詳細設計発注の準備に取りかかっている。現在, 大まかな見積もりと, 浄化システム
の詳細設計が可能な業者を選定中である。
森林生態系研究・展示法の開発と施設整備
8 月の打合せで, リサーチステーション付近に長期調査区を設定して林冠観察 walkway を設置
する方針が決まった。11 月に日本側メンバーとブラジル側メンバーが, クイエイラス川のリサーチス
テーション建設予定地へ行き, 林冠観察 walkway の設置場所選定のための植生調査を行う予定
であったが, ブラジル側メンバーの都合で 3 月に延期になった。3 月には, 現地調査の結果をもと
に林冠観察 walkway の具体的な場所と方法を決定する予定である。
ビジターセンターの整備
Bosque da Ci ncia (科学の森) 内にある Casa da Ci ncia (科学の家) など, 現有展示施設の現
状調査を行い, ビジターセンター化するための協議を行った。ビジターセンターとしての機能も有
するクイエイラス地区に整備予定のリサーチステーションに関しては, 仕様がほぼ確定し, 基本設
計に必要な作図と大まかな見積もりを業者に発注した段階である。
③フィールドミュージアム運営のための社会システム構築
協議会の設立
フィールドミュージアムを自立的に運営・活用する組織の構築に向けて, 本プロジェクトにおける
科学研究と施設整備に関する協議委員会 (Science Steering Committee, SSC) をブラジルと日本
の参加研究者を委員として設立した。また, プロジェクトの活動にフィールドミュージアムの潜在的
利用者の意見を取り入れ, 将来の協力者を発掘してフィールドミュージアムを運営・活用する組織
を構築するために, ステークホルダー・ワークショップを 3 月に開催する予定である。
ステークホルダー・ワークショップ用の資料として, プロジェクトを紹介するホームページ (日, 英,
ポ), パンフレット, ビデオ資料の作成を行った。パンフレットはプロジェクト概要とフィールドミュー
ジアムの将来予想図の 2 種類の日本語版とポルトガル語版を作成した。ビデオ資料はポルトガル
語 (英語字幕) で作成した。
8.2. 日本学術振興会研究拠点形成事業 (A.先端拠点形成型)
「大型動物研究を軸とする熱帯生物多様性保全研究 (CCTBio)」
アマゾンやボルネオの熱帯雨林など, 熱帯生物多様性のホットスポットを有するだけでなく, 近
年, 経済発展が著しく, 自力での多様性保全の機運が高まっているブラジル・マレーシア・インドと
日本が, 対等な関係で研究交流することで熱帯生物多様性保全に関する国際研究協力ネットワ
ークを構築することを目標とした事業である。生態系保全の要となる大型動物の保全研究や専門
家育成を軸としていること, また将来的には, アマゾンやボルネオなどの自然生息地に, 研究・保
全・教育に役立つばかりでなく, 育成した専門家の職場にもなり, 地域経済にも貢献できる次世代
型の動物園・水族館・フィールド博物館の整備を目指す。
毎年各国から大学院生や若手研究者を招聘し, 京大の大学院生と屋久島でのフィールド実習と
京大でのゲノム実習, 国際セミナーなどを行うともに各国持ち回りで熱帯生物多様性保全に関す
る国際ワークショップを開催する。今年度の国際ワークショップは, 下記 3 の「JSPS 拠点形成事業
(B:アジア・アフリカ学術基盤形成型)」, 及び博士課程教育プログラム「霊長類学・ワイルドライフサ
イエンス・リーディング大学院」と共同で, タンザニア野生動物研究所の協力を得てタンザニア北
東部の町・アルーシャで 9 月 22~23 日に開催した。
(http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/core-to-core/参照)
①屋久島フィールド実習&ゲノム科学実習及び国際セミナー
ブラジル・マレーシア・インドの 3 カ国から 7 名の外国人学生を受け入れ公用語を英語とする実習
を行なしった。サル班, シカ班, 昆虫班, 植物班の4グループに分かれて, 屋久島実習にて採取
したサンプルを元にゲノム解析を行い国際セミナーにて報告を行った。
参加した招聘者
マレーシア: Sabilah Binti Tahir (マレーシア・サバ大学, Universiti Malaysia Sabah), Nur Munira
Binti Azman, Mohd Abdul Muin Bin Md Akil (マレーシア科学大学, Universiti Sains Malaysia) ブラ
11
― 11 ―
ジル:Waleska Gravena, Louzamira Feitosa Bivaqua De Araujo (国立アマゾン研究所, National
Institute for Amazonian Research), インド: Vani Dahiya, Bharti k. Dharapuram (インド科学大学,
Indian Institute of Science) .
学生の参加者
京都大学大学院生物科学専攻の大学院生 (屋久島フィールド科学実習 13 名, ゲノム科学実習
13 名)
②屋久島フィールド科学実習 (2014 年 5 月 18 日~5 月 26 日) ゲノム科学実習 (2013 年 5 月
29 日~6 月 5 日)
サル班
屋久島の西部地域ではヤクシマザルの長期研究が継続されており, 野生のサルを直接観察す
ることができる。サルの採食行動を観察し, 実際に何を食べているかも調べた。また, 糞を採取し,
次世代シークエンサーを用いてメタゲノム解析による食物分析を行った。サルの食べる食物を中
心に, 屋久島の低地照葉樹林の植物を観察した。
昆虫班
屋久島で特にサルの食べそうな昆虫を採取し, DNA バーコーディングをおこなって種同定のた
めのデータを蓄積した。
植物班
屋久島におけるシダ植物の多様性と繁殖スケジュールの基礎データを得るために, 3地点で胞
子形成を行っているシダと栄養成長を行っているシダの同定を行った。DNA サンプルを同時に採
集することにより, 形態による同定が難しい場合や, 胞子体形成に至っていないシダ同定すること
ができた。
シカ (および他の哺乳類の) 糞班
屋久島の 5 箇所でシカの糞を採取し, 食べているものがどの程度違うかを調べた。
また, ゲノム科学実習では, 屋久島フィールド科学実習での課題とは独立に, 次世代シークエン
サーを用いて, ヤクシマザルの腸内細菌叢のメタゲノム解析も行った。
③第 3 回国際セミナー: The 3rd International Seminar on Biodiversity and Evolution
平成 26 年 6 月 6 日 京都教育文化センターにて開催。
ゲストスピーカー2名, 口頭発表者 18 名, ポスター発表者, 23 名。
プログラム
9:05-9:20
Oral 1
9:20-9:35
Oral 2
9:35-9:50
Oral 3
9:50-10:05
Oral 4
10:05-10:20
Oral 5
10:30-10:45
Oral 6
10:45-11:00
Oral 7
Multiple sexual cues and mating
strategies in captive olive baboons
(Papio anubis)
Understanding elephant-human conflict in a multivariate framework in
Kodagu, Southern India
Immobile tactic in frogs for increasing latency against predator
The use of spectrogram analysis as a
tool for acoustic census of the Amazonian Manatee (Trichechus inunguis)
The Feeding Ecology of Mahale
M-Group Chimpanzees (Pan troglodytes) in Mahale Mountains National
Park, Western Tanzania
Difference in abundance of forest
ungulates among habitats in Moukalaba, Gabon
Population abundance & spacial
distribution of large mammals in
Ngorongoro crater, Ngorongoro
conservation area, Tanzania.
Lucie RIGAILL
Vani DAHIYA
NISHIUMI
zomi
No-
Primate Research Institute,
Kyoto University
Centre for Ecological Sciences,
Indian Institute of Science,
India
Graduate School of Science,
Kyoto University
Louzamira Feitosa
Biváqua DE
ARAÚJO
Aquatic Mammals Laboratory,
National Institute of Amazonian
Research, Brazil
Simula Peres
MAIJO
Mahale-Gombe Wildlife Research Centre, Tanzania Wildlife Research Institute, Tanzania
AKOMO-OKOUE
Etienne-François
Graduate School of Science,
Kyoto University
Chediel Kazael
MRISHA
Njiro Wildlife Research Centre,
Tanzania Wildlife Research
Institute, Tanzania
12
― 12 ―
11:00-11:15
Oral 8
Bird species composition and community structure in three habitat types
in northern Peninsular Malaysia
Nur Munira Binti
AZMAN
11:15-11:30
Oral 9
Herpetofauna of Bukit Panchor State
Park, Penang, Malaysia
Mohd Abdul Muin
B. Md. AKIL
11:30-11:45
Oral 10
13:15-13:45
Oral 11
13:45-14:00
Oral 12
14:00-14:15
Oral 13
14:15-14:30
Oral 14
14:40-15:10
Oral 15
15:10-15:25
Oral 16
15:25-15:40
Oral 17
15:40-15:45
Oral 18
16:05-17:35
17:35-17:40
The diversity and infestation of gastrointestinal helmints of some freshwater fish in Klias Peninsula, Sabah
How many individuals should be
sequenced per species for species-level identification?
Understanding the evolutionary
processes shaping Australian alpine
biodiversity
Dispersal correlates in marine invertebrates: Role of life history and
oceanography
The boto (Inia spp.) from the Madeira
River Basin: Distribution, Evolution
and Populational Structure
Recent bioinformatics development in
quantitative metagenomics
Willingness to explore a novel food is
genetically transmitted in free-ranging
Japanese macaques
Limited Habitat? Case studies of
Rhesus and Nothern Pig-tailed Macaque in Thailand
Distribution and present status of
lorises and macaques in North-central
Vietnam and in a part of
North-western Vietnam
Poster Session
Closing Remarks
Sabilah Binti
TAHIR
TANABE Akihumi
ENDO Yoshinori
Bharti Krishnamoorthy
DHARAPURAM
Waleska
GRAVENA
OGATA Hiroyuki
School of Biological Sciences,
Universiti Sains Malaysia,
Malaysia
School of Biological Sciences,
Universiti Sains Malaysia,
Malaysia
Institute for Tropical and Biology Conservation, Universiti
Malaysia Sabah, Malaysia
Fisheries Research Agency,
National Research Institute of
Fisheries Science
Wildlife Research Center,
Kyoto University
Centre for Ecological Sciences,
Indian Institute of Science,
India
Aquatic Mammals Laboratory,
National Institute of Amazonian
Research, Brazil
Bioinformatics Center, Institute
for Chemical Research, Kyoto
University
Coline ARNAUD
Wildlife Research Center,
Kyoto University
WAKAMORI
Hikaru
Primate Research Institute,
Kyoto University
NGUYEN Van
Minh
Primate Research Institute,
Kyoto University
ITO Hideyuki
WRC, Kyoto Univ.
Poster Session (16:05~17:35)
Poster 01
Poster 02
Poster 03
Poster 04
Cross-species amplification of microsatellite markers in three zebra
species
Analysis of human DIMT1L and
TFB1M homologous to KsgA, a DNA
glycosylase in E.coli
Ciona intestinalis have three AP endonucleases, and how they function in
vivo ?
Migration of planarian pluripotent stem
cells is regulated by the homologs of
cancer metastasis-related gene
HAYASHI
chiro
Yui-
Graduate School of Science,
Kyoto Univ.
FUNAKOSHI
Masahumi
Graduate School of Science,
Kyoto Univ.
SATO Yuki
Graduate School of Science,
Kyoto Univ.
Poster 05
Factors influencing personality in wild
bonobos
Cintia GARAI
PRI, Kyoto Univ.
Poster 06
Species discrimination between
free-ranging botos (Inia geoffrensis)
and tucuxis (Sotalia fluviatilis) in
Amazon River by acoustic characteristics of echolocation clicks
YAMAMOTO
Yukiko
National Research Institute of
Fisheries Engineering
Poster 07
Underwater vocalization and associated
behavior in captive ringed seals
MIZUGUCHI
Daisuke
WRC, Kyoto Univ.
Poster 08
Estimation of the lag time in echolocation of captive commerson’s dolphins
YOSHIDA Yayoi
WRC, Kyoto Univ.
Poster 09
Right-handed sankes and left-handed
snails
HOSO Masaki
Graduate School of Science,
Kyoto Univ.
13
― 13 ―
Poster 10
Poster 11
Poster 12
Poster 13
Poster 14
Poster 15
Active foraging for toxic prey as indirect maternal care in a chemically-defended snake
Difference in mating and reproductive
success between two morphs of sexually mature males in free-ranging Bornean orangutans
Prolonged maximal sexual swelling in
wild bonobos facilitates affiliative
interactions between females
Fruit selection of frugivorous carnivores: Palm civets
Den shifting by wild dholes (Cuon
alpinus) in Mudumalai Tiger Reserve,
southern India
Ecology of Long-tailed porcupine
living in tropical rainforests of Borneo,
Malaysia: Burrow use and behavior in
the nighttime
KOJIMA Yosuke
Graduate School of Science,
Kyoto Univ.
TOMOYUKI
Tajima
Graduate School of Science,
Kyoto Univ.
RYU Heung jin
PRI, Kyoto Univ.
NAKABAYASHI
Miyabi
WRC, Kyoto Univ.
SAWAGURI
Shuta
WRC, Kyoto Univ.
MATSUKAWA
Aoi
WRC, Kyoto Univ.
Poster 16
Relation between Facial color pattern
and gazing behavior in Canid species
UEDA Sayoko
WRC, Kyoto Univ.
Poster 17
Oil palm use by wild animals in the
Mahale Mountains National Park,
Tanzania
ZAMMA
chiro
WRC, Kyoto Univ.
Poster 19
What leopard (Panther pardus) eat in
western Tanzania?
NAKAZAWA
Nobuko
WRC, Kyoto Univ.
IIDA Eriko
WRC, Kyoto Univ.
YASUI Saki
Kyoto City Zoo
AKIYAMA
Yoshitaro
Graduate School of Science,
Kyoto Univ.
TAWA Yuko
WRC, Kyoto Univ.
Poster 20
Poster 21
Poster 22
Poster 23
Poster 24
Poster 25
Poster 26
Poster 27
Poster 28
Daily activity of bush hyrax (Heterohyrax brucei) in the Miombo Forest,
Western Tanzania.
Touch with trunk tip between captive
female Asian elephants (Elephas maximus)
Mathematical models for information
processing of planarian
Vocalization as short-distance communication in wild Malayan tapir (Tapirus
Indicus)
Participants of Training Course
Participants of Training Course
Participants of Training Course
Participants of Training Course
Participants of Training Course
Koi-
④共同研究のための渡航
本拠点では, 熱帯生物多様性保全に関する研究と若手研究者育成のための国際協力ネットワ
ークと自然生息地型動物園水族館の実現を目指し, 主に, インド (拠点: インド科学大学), マレ
ーシア (拠点: サバ大学, 協力: サバ財団・マレーシア科学大学・プラウバンディング財団・オラン
ウータン島財団), ブラジル (拠点: 国立アマゾン研究所) を拠点/協力機関として, 研究・教育を
共同で進めている。今年度の共同研究のための渡航については「13. 海外渡航」を参照のこと。
⑤国際ワークショップ: JSPS Core to Core Program“The 3rd International Workshopon Tropical
Biodiversity and Conservation”
平成 26 年 9 月 22~23 日にタンザニア・アルーシャホテルにて第 3 回国際ワークショップを開催。
口頭発表者は 18 名, ポスター発表者は 12 名。
プログラム
The 3rd International Workshopon Tropical Biodiversity and Conservation
22/9/2014
Time
09:30-10:00 Registration
14
― 14 ―
Speaker
10:00-10:15
Opening remarks
SESSION 1: Conservation and wildlife monitoring
10:15-10:35 Concept of “field museum” for tropical biodiversity conservation
Oral 1
10:35-10:55 The use of camera traps to monitor a multispecies carnivore assemOral 2
blage: An example from Tarangire National Park, Tanzania
11:10-11:30
Oral 3
Monitoring of botos and tucuxis (Mammalia, Cetacea) over the last
twenty years in Brazilian Amazon shows drastic populational decrease
11:30-11:50 Capture, Boma management and movement pattern of the first
Oral 4
released wild dogs pack in the Serengeti Ecosystem, Tanzania.
11:50-12:10 Landscape changes: Implications to chimpanzees (Pan troglodytes)
Oral 5
conservation in Tanzania
SESSION 2: Genome sciences
13:40-14:00 The puzzling relationships amongst the Southeast Asian Bovini
Oral 6
14:00-14:20 Conservation of Bornean banteng (Bos javanicus lowi) in Sabah,
Oral 7
Malaysian Borneo
14:35-14:55 Toothed whale olfaction
Oral 8
14:55-15:15 Recent advances of DNA technology to investigate genomes and
Oral 9
ecology of wildlife
1530-1630
POSTER SESSION
23/9/2014
SESSION 3: Ecology and animal behavior
10:00-10:20 Timing of browsing reduces forage scarcity period in the dry season
Oral 10
1020-1040
Rapors of rice-fields in the Northern region of Peninsular Malaysia
Oral 11
1040-1100
Applications of acoustic lures for surveying and studying microOral 12
chiroptera
11:15-11:35 Recent findings from long-term studies of Mahale chimpanzees
Oral 13
11:35-11:55 Long-term study of wild Japanese macaques
Oral 14
SESSION 2: Humans & animals
13:45-14:05 The influence of social structure on the success of microOral 15
credit-funded businesses aiming to curb illegal bushmeat hunting in
Serengeti, Tanzania
14:05-14:25 The behavioural ecology of elephant-human conflicts and their
Oral 16
management
SESSION 4: Wildlife health
14:40-15:00 Disease status at the human-livestock-wildlife interface in the
Oral 17
Serengeti ecosystem, Tanzania
15:00-15:20 Internal parasites of wildlife in the Serengeti ecosystem, Tanzania
Oral 18
15:20-15:40 Closing remarks
POSTER SESSION
No. Title
1
Estimation of the lag time in echolocation of captive commerson’s dolphins
2
How do wild dolphins approach toward underwater swimmers?
3
Affiliative behaviors by third party toward victim of conflict in bottlenose
dolphins
4
Ecology of long-tailed porcupines in tropical rainforests of Borneo, Malaysia: burrow use and behavior in the nighttime
5
Non-invasive analysis of adrenal hormones in female Japanese macaques
(Macaca fuscata)
6
Utilization of salt licks by wild Malayan tapirs
7
Relations between wild mammals and human activitiesin the Ugalla area,
Western Tanzania
8
Pup rearing by dholes (Cuon alpinus) in and around a den near Mudumalai
Tiger Reserve, Southern India
15
― 15 ―
Idani, Gen'ichi and
Mduma, Simon
Koshima, Shiro
Msuha, Maurusi
da Silva, Vera M. F.
Ernest Eblate
Ndimuligo, Sood
Ahmad, Abdul H.
Matsubayashi, Hisashi
Kishida, Takushi
Agata, Kiyokazu
Kohi, Edward
Sah, Shahrul A. M.
Hill, David
Nakamura, Michio
Sugiura, Hideki
Lowasa, Asanterabi
Sukumar, Raman
Fyumagwa, Robert
Keyyu, Julius
Koshima, Shiro and
Keyyu, Julius
Presentator
Yoshida, Yayoi
Sakakibara, Kasumi
Sakuragi, Hiroko
Matsukawa, Aoi
Takeshita, Rafaela
Sayuri C.
Tawa, Yuko
Iida, G. E.
Sawaguri, Shuta
9
Gut microbiota associated with dietary changes in wild Japanese macaques
Sawada, Akiko
10
Prey species of leopards (Panthera pardus) in Mahale Mountains National
Park and Ugalla area
Long tail & short tail, difference of caudal vertebral morphology in macaque
species
Gray wolves keep their eyes on the same sex family members
Nakazawa, Nobuko
11
12
Wakamori, Hikaru
Ueda, Sayoko
8.3.日本学術振興会研究拠点形成事業 (B.アジア・アフリカ学術基盤形成型)
「西部タンザニアにおける野生動物保全研究」
多様な動植物に恵まれている西部タンザニアにおいて, 日本およびタンザニアを中心とした研
究チームによる長期研究体制を確立し, 野生動物の基礎研究を推進すること, ならびにそうした
基礎研究から得られた成果をもとにこれらの野生動植物を効果的かつ持続的に保全する具体的
計画を立案し提言することを目標とする。
現在は西部タンザニアにおいてはタンザニア人研究者による野生動物研究がほとんどなされて
いないのが実情であるが, この地で長期研究を継続してきた日本人研究者の指導の下, タンザニ
ア人研究者や学生ら自身が主体的に研究を展開できる土壌を整え, タンザニア野生動物研究所
(TAWIRI) と野生動物研究センター, およびそれぞれの関連研究機関との間の有機的ネットワー
クを拡充し, 強化する。
2015 年 3 月 5 日~8 日に博士課程教育プログラム「霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディ
ング大学院」と共同でシンポジウムを開催した。
(http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/asia-africa/参照)
8.4. 文部科学省博士課程教育リーディングプログラム (オンリーワン型)
「霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院 (PWS)」
(プログラム・コーディネーター:松沢哲郎)
2013 年 10 月 1 日に採択され発足した当プログラムは, 日本の他の大学に類例のない, フィール
ドワークを基礎とするプログラムである。学内の研究者のみならず, 外交官, 地域行政, 法曹, 国
際 NGO, 博物館関係者などからなるプログラム分担者をそろえ, 3 つの出口 (「国連や国際 NGO
で活躍する生態保全の専門家」「博物館・動物園・水族館で活躍するキュレーター (博士学芸
員) 」「長い歳月をかけて一国丸ごとを対象としたアウトリーチ」) を明確に意識した体制を構築し
た。2014 年度のプログラムの進捗状況は, 大別して 4 つにまとめられる。
① 履修生の受入開始に伴うカリキュラムの整備と運営
必修の 8 実習「インターラボ」「幸島実習」「屋久島実習」「ゲノム実習」「比較認知科学実習」「笹ヶ
峰実習」「動物園・博物館実習」「自主フィールドワーク実習」のカリキュラムの整備をおこない, 日
程を逐次 HP に掲げ, それぞれの実習の意図を詳述して周知・広報につとめた。また座学として,
英語が公用語の「アシュラ・セミナー」を 17 回, 公用語を定めない「ブッダ・セミナー」を 4 回実施し
た。これらの実習・セミナーは複数言語を使用しており, 特に実習は年に 2 回ずつ実施することで,
履修生の所属研究科の講義の受講や自主的なフィールドワークの妨げとならないよう配慮した。
・インターラボ:京都市動物園・生態学研究センター・原子炉実験所・瀬戸臨海実験所・霊長類
研究所・日本モンキーセンターを回り, 生物科学専攻における広範囲な研究領域の概略を
学ぶ
・幸島実習:日本の霊長類学の発祥の地である宮崎県幸島において, 天然記念物である幸島の
野生ニホンザルを観察して, 糞の採集から食物となった植物を同定するなど, 各自がくふう
したテーマで研究を行い, 野外研究の基礎を学ぶ。
・屋久島実習:世界遺産の島・屋久島で, 海外の学生との研究交流も兼ねて, タンザニア, イン
ド, マレーシアの大学院生とともに英語を公用語としたフィールドワークを行う。採取した試
料は, 続いて行われるゲノム実習で使用する。
・ゲノム実習:屋久島で採取した試料を使って, 様々な実験と解析を行う (初心者コース/次世
代シーケンサーを駆使した高度なコース)。屋久島実習に引き続き参加する海外の大学院
生を交えて, 実習は英語を公用語として進められる。フィールドでのサンプリングと, それに
16
― 16 ―
続くゲノム分析を通して経験することで, フィールドワークもラボワークも行える研究者を養
成する。得られた成果をもとに, 最終日に国際シンポジウムでポスター発表 (英語) を行う。
・比較認知科学実習:比較認知科学研究のための基礎を学ぶことを目的として, チンパンジー
(霊長類研究所=PRI) とボノボ (熊本サンクチュアリ=KS) を対象とした認知実験や行動
観察の手技を実習によって習得する。 PRI では, 霊長類とは異なる環境に適応してきた有
蹄類であるウマについてもその行動観察を行う。
・動物園・博物館実習:日本モンキーセンターにおいて, PWS 教員・キュレーター・飼育技術員・
獣医師を講師としたレクチャーを受け, 現場で飼育実習を行い, 教育普及活動にも参加す
る。PWS の3つの出口のうちのひとつである「博士学芸員」の仕事について学ぶとともに, 霊
長類及びワイルドライフサイエンスの環境教育の実践に触れる。
・笹ヶ峰実習 (無雪期・積雪期):京都大学笹ヶ峰ヒュッテ (新潟県妙高市:標高 1300m の高原)
において, 生物観察や火打山 (標高 2462m) 登山や夜間のビバーク体験 (戸外での緊急
露営) を通して, フィールドワークの基礎となるサバイバル技術を学ぶ。
・自主フィールドワーク実習:自主企画の海外研修を行うことで, 履修生の自発的なプランニング
能力の向上を図り, 出口となる保全の専門家や, キュレーターや, アウトリーチ活動の実
践者の育成につなげる。
実習実施の拠点の整備とその維持にも力を注いだ。具体的には, チンパンジーとボノボを擁す
る熊本サンクチュアリ, 幸島の野生ニホンザル施設, 屋久島の野生のサルとシカの調査施設, 公
益財団法人日本モンキーセンターなどである。国外では, アフリカ, 中南米, インド・東南アジアと
いう 3 つの熱帯林を中心とした野生動物のホットスポットが挙げられる。履修生は, L1 からすぐに,
これらの海外拠点で 2~6 ヵ月の中長期にわたって自主企画のフィールドワークをおこなった。
あわせて, 履修生を広く深く支援する教育研究体制を構築した。特定教員 5 名をはじめ, 履修
生の身近でファシリテーターとして支える研究員, 語学に堪能な事務職員を各拠点に配置し, 協
力して履修生をサポートした。
② 連携体制の維持強化
プログラムの意思決定は, 学内分担者の全員からなる月例の協議員会で, その中枢としてヘッ
ドクオーター (HQ) 制度をとった。コーディネーターを含む 8 名の HQ がいて, 諸事の運営を審議
し, それを実現する事務組織として PWS 支援室を京都の野生動物センターに置いた。多数の分
担者が, 犬山と京都, さらには熊本や幸島というフィールド拠点に分散しているため, 月例の協議
員会は 5 元中継のTV会議で開催し, 面談と同様の臨場感をもって審議している。同様の理由に
より, プログラムの方針・運営状況・カリキュラム・成果・履修生の動向などについて, 対内外の情
報・広報は, すべて一元的に HP (http://www.wildlife-science.org/) に集約することとした。スタッ
フ専用の閲覧ページも含めて, HP そのものが活動の要であり, リアルタイムに日々更新される。教
員も履修生も全員がフィールドワーカーであり, 世界各地に飛びまわっているので, いつでもどこ
でも同じ情報にアクセスできるようにした。この HP を活用することで, 月例の協議員会の資料も
PDF で用意でき, ペーパーレス会議を実現して, 身近なところから森林資源の保護につなげてい
る。
さらに, 年 2 回開催 (平成 26 年度は 8 月 29-30 日と 3 月 5-8 日) の国際シンポジウム“The
International Symposium on Primatology and Wildlife Science”で, 履修生や外国人協力者 (IC)
も含めた 100 名超のプログラム関係者が一堂に会することで, プログラムの方向性や進捗状況を
確認し, 連携強化を図った。なお, 年度末のシンポジウムは平成 27 年度の履修生の選抜試験も
兼ねており, 平成 26 年度を上回る数の応募者があった。
加えて, 日本学術会議・基礎生物学委員会・統合生物学委員会合同ワイルドライフサイエンス分
科会を発足し, プログラム・コーディネーターが委員長を務めることで, 長期的かつ学際的な評
価・支援基盤を固めた。屋久島学ソサエティへの協力をはじめとして, 国内のワイルドライフサイエ
ンスの担い手との連携も進めた。
③ 出口を見据えた履修生の自主性の涵養
必修の「自主フィールドワーク実習」では, 履修生が自主企画の海外研修をおこなうことで,
自発的なプランニング能力の向上を図り, 出口となる保全の専門家や, キュレーターや, アウト
リーチ活動の実践者の育成につなげている。平成 26 年度の L1 は, コンゴ・ウガンダ・ブラジル
などに数カ月以上滞在してフィールドワークを実施し, 現地の研究機関との交渉や現地語の習
得も含めて, 人間のこころ・からだ・くらし・ゲノムの包括的理解に努めた。個人的なフィールドワ
ークに限らず, 大学院生のイニシアチブによる自主企画の集団実習も奨励し, 運営能力・実践
17
― 17 ―
能力の涵養を図った。具体的には, 8 月 7-17 日の「国際霊長類学会に合わせたベトナム研修」,
8 月 12-14 日の「丸の内キッズジャンボリーへの PWS ブース出展」, 3 月 12-14 日の「小豆島実
習」である。
④ 優秀な履修生の継続的な獲得に向けたプログラム広報
春秋の国際入試によって留学生に門戸を開いた。また, 国際学会にブースを出して, 国際
的な広報活動を実践した。HP の内容を充実させて, HP を見れば本プログラムのすべてがわか
るようにした。学内外のプログラム説明会も複数回実施した。
2014 年度活動状況
※略語:PWS=霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院, WRC=野生動物研究
センター, PRI=霊長類研究所, KS=熊本サンクチュアリ, JMC=公益財団法人日本モンキーセ
ンター
※PWS 主催のものについては, 主催者の記載を省略
1日
2日
4日
8日
PWS 履修生面談@京都
PWS 履修生面談@犬山
アシュラ・セミナー"Cultural Primatology: Issues and Insights" (@WRC 地階会議室)
・Prof. William C. McGrew (University of Cambridge)
博士課程教育リーディングプログラム運営会議 (第 2 回) (@本部棟 5F 特別会議室)
学際融合教育研究推進センター主催ユニット合同説明会 (@iCeMS 本館 2F セミナー室)
9日
11 日
PWS 協議員会 (第 6 回) (@3 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本)
PWS 履修生面談@京都
インターラボ
12 日
4
月
16 日
18 日
19 日
24 日
4日
博士課程教育リーディングプログラム編入資格審査専門委員会 (第 1 回) (@本部棟 5F 大会
議室)
アシュラ・セミナー (@PRI 大会議室)
・Prof. Dora BIRO (University of Oxford) "From individual cognition to collective organization"
・Prof. Claudia SOUSA (Universidade Nova de Lisboa) "Conservation and Research of Wild
chimpanzees in Guinea-Bissau"
・Prof. Tatyana HUMLE (University of Kent) "The oil palm, cultural primatology and chimpanzee conservation "
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
・Dr. Kimberley HOCKINGS (Oxford Brookes University) "Great Apes at the Interface"
・Dr. Kathelijne KOOPS (University of Cambridge) "Ecology of Technology"
・Dr. Susana CARVALHO (George Washington University) "Did tool use come before archaeology? "
The 3rd International Seminar on Biodiversity and Evolution "Tropical Biodiversity Conservation" (PWS 共催) (@京都教育文化センター)
博士課程教育リーディングプログラム運営委員会 (第 12 回) (@学務部会議室)
幸島実習 (WRC)
11 日
5
月
6
月
15 日
16 日
17 日
18 日
リュウグウノツカイ公開解剖 (@京都市水族館)
PWS 協議員会 (第 7 回) (@3 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本)
幸島実習 (PRI)
21 日
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
・Mr. Jean Mobuli (WWF-Malebo) "Conservation and habituation of
bonobos (Pan paniscus) in the West part of the Batekes-North region,
Station WWF-RDC/Malebo. "
屋久島実習 (WRC)
26 日
27 日
29 日
PWS 履修生面談@犬山
4日
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
・Prof.Vera Maria Ferreira da Silva (Instituto Nacional de Pesquisas da
Amaz nia) "Project BOTO (Amazon river dolphin) "
18
― 18 ―
ゲノム実習
(WRC)
6日
9日
11 日
13 日
14 日
17 日
20 日
9日
11 日
7
月
ブッダ・セミナー「地球環境を考える」 (@野生動物研究センター地階会議室)
・尾池和夫 (京都造形芸術大学学長) :地震とジオパークほか
・小沢晴司 (環境省) :インドネシアのエコツーリズムと福島の除染活動ほか
・青木秀樹 (弁護士・PWS特任教授) :浜岡原発差し止め訴訟ほか
比較認知科学実習 (KS)
PWS 履修生面談@犬山
PWS 協議員会 (第 9 回) (@4 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸島)
PWS 履修生面談@京都
18 日
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
・Prof.John Iversen (University of California San Diego) "Music and animals"
・Prof.Maciej Trojan (University of Warsaw) "Nature and animals in Poland"
・Dr. Yoriko Nishizawa (京都大学) "1170days of nestling close to neonates in Bhutan"
12 日
14 日
17 日
24 日
25 日
28 日
29 日
30 日
17 日
20 日
22 日
30 日
10
月
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
・Dr. Pema WANGDA (ブータン農林省) "Evergreen Broad-leaved forest dynamics and its uses
in the Bhutan Himalaya"
PWS 履修生面談@犬山
PWS 協議員会 (第 8 回) (@4 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸島)
PWS 履修生面談@京都
動物園・博物館実習 (@JMC)
8日
9
月
第 2 回国際照葉樹林サミット in 屋久島 (PWS 共催) (@屋久島環境文化村センターなど)
14 日
17 日
22 日
25 日
1日
4日
7日
8
月
The 3rd International Seminar on Biodiversity and Evolution "Tropical
Biodiversity Conservation" (PWS 共催「アシュラ・セミナー」) (@京都教育文
化センター)
3日
6日
8日
笹ヶ峰実習 (無雪期・夏) (@妙高高原笹ヶ峰ヒュッテ)
PWS 履修生面談@京都
PWS 履修生面談@犬山
アシュラ・セミナー (@東南アジア研究所東棟 1F 第 1 会議室)
「京都大学ブータン友好プログラム第 3 回国際ワークショップ」
丸の内キッズジャンボリーブース出展「サル・ヒト・キミ研究室―野生動物の
ふしぎにせまる!―」 (@東京国際フォーラム)
自主企画集団
実習「IPS 開催
にあわせたベト
ナム実習」
ブッダ・セミナー「行政と地球環境」 (@吉田泉殿)
・嘉田由紀子 (前滋賀県知事) :原発被害地元の知事を経験して
・星川茂一 (前京都市副市長・PWS特任教授) :京都市の行政と教育
比較認知科学実習 (PRI)
The 2nd International Symposium on Primatology and Wildlife Science (@理学部セミナーハウ
ス)
博士課程教育リーディングプログラム修了審査委員会 (第 3 回) (@本部棟 2F財務部会議室
1)
タンザニア実習
博士課程教育リーディングプログラム運営委員会 (第 13 回) (@本部 The 3rd International
Workshop on Tropi棟 1F ミーティングルーム)
cal Biodiversity and
Conservation (PWS
共催) (@タンザニア)
霊長類学・ワイルドライフサイエンス・東京フォーラム「フィールドと動物園をつなぐ」 (@日本科
学未来館)
・湯本貴和 (霊長類研究所教授) 「野生動物の生息地をミュージアムに:オープンフィールド博
物館の試み」
・平田聡 (野生動物研究センター教授) 「類人猿の知性をさぐる:実験室からアフリカの森へ」
・赤見理恵 (公益財団法人日本モンキーセンターキュレーター) 「フィールドとつながる動物
園・日本モンキーセンターの新たな挑戦」
動物園・博物館実習
(@JMC)
PWS 履修生面談@犬山
19
― 19 ―
9日
10 日
15 日
18 日
19 日
21 日
24 日
27 日
31 日
1日
4日
6日
11
月
11 日
14 日
27 日
30 日
4日
5日
8日
9日
12
月
10 日
12 日
PWS 協議員会 (第 10 回) (@4 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸島)
PWS 履修生面談@京都
笹ヶ峰実習 (無雪期・秋) (@妙高高原笹ヶ峰ヒュッテ)
ブッダ・セミナー「国連・NGO と地球環境」 (@吉田泉殿)
・堀江正彦 (地球環境問題担当大使, 世界自然保護連合 (IUCN) 理事/ PWS 特任教授)
「地球環境問題対応大使とマレーシア大使の経験から」
・岡安直比 ( WWF ジャパン自然保護室チーフコーディネーター / PWS 特任教授) 「WWFの
自然保護室長としてのしごとの紹介」
「PWS ハウス屋久島」開所式 (@PWS ハウス屋久島)
博士課程教育リーディングプログラム運営委員会 (第 14 回) (@本部棟 5F 屋久島実習
(PRI)
大会議室)
ゲノム実習 (PRI)
第 20 回「野生生物と社会」学会大会犬山大会公開シンポジウム「フィールドミュージアムの可
能性を探る」 (PWS 共催) (@犬山国際観光センターフロイデ)
アシュラ・セミナー (@PRI 大会議室)
University of Sri Jayewardenepura Nugegoda "A new international field study program in Sri
Lanka on Wildlife and Primate Conservation"
学際融合教育研究推進センター運営連絡会 (第7回) (@総合研究 8 号館 2 階会議室 1)
ゲノム実習 (PRI) 成果発表会"Report of Yakushima field work and genome training course, fall
2014" (@霊長類研究所大会議室)
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
University of Sri Jayewardenepura Nugegoda "A new international field study program in Sri
Lanka on Wildlife and Primate Conservation"
アシュラ・セミナー (@PRI 大会議室)
Prof. Augustin K. Basabose (Centre de Recherche en Sciences Naturelles de Lwiro / WRC
Visiting Professor) "Long-Term Ecological Studies on Chimpanzee Inhabiting the Montane
Forest of Kahuzi-Biega National Park"
PWS 協議員会 (第 11 回) (@4 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸島)
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
Prof. Augustin K. Basabose (Centre de Recherche en Sciences Naturelles de Lwiro / WRC
Visiting Professor) "Getting to know an unhabituated Chimpanzee community using noninvasive genetic methods."
「雲南の山と自然」写真展/特別講演会 (@松本市美術館)
・松沢哲郎 (PWS プログラム・コーディネーター/霊長類研究所教授) 「キンシコウ:孫悟空の
モデルになったサル」
・山越言 (アジア・アフリカ地域研究科准教授) 「アジア・アフリカの里山と人びとの暮らし」
・小林尚礼 (写真家/カワカブ会代表) 「雲南の最高峰・梅里雪山 その自然と聖地の魅力」
博士課程教育リーディングプログラム運営委員会 (第 15 回) (@附属図書館 4F 研修室)
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
・Dr. Boniface Kayang (University of Ghana) "Characterization for conservation and sustainable
use of local animal genetic resources in Ghana."
・Dr. Erasmus Owusu (University of Ghana) "Human-Wildlife Conflicts in Ghana: The Role of
"Uncharismatic" Species."
アシュラ・セミナー「ワイルドライフサイエンスへの展望」 (@PRI 大会議室)
博士課程教育リーディングプログラム運営会議 (第 3 回) (@本部棟 5F 特
別会議室)
PWS 履修生面談@犬山
PWS 協議員会 (第 12 回) (@4 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸島)
PWS 履修生面談@京都
「雲南の山と自然」特別講演会 (@百周年時計台記念館 2F 会議室Ⅳ)
・松沢哲郎 (PWS プログラム・コーディネーター/霊長類研究所教授)
「PWS リーディング大学院履修生募集説明会」
13 日
14 日
屋久島学ソサエティ第 2 回大会 (PWS 共催) (@屋久島町総合センター)
27 日
「雲南の山と自然」特別講演会 (@百周年時計台記念館 2F 会議室Ⅳ)
・松林公蔵 (東南アジア研究所教授) 「ヒマラヤ登山と高地住民高齢者の
健康―フィールド医学の現場から―」
20
― 20 ―
「雲南の山と自
然」写真展 (@百
周年時計台記念
館「京大サロン」)
4日
1
月
16 日
26 日
31 日
1日
12 日
13 日
16 日
2
月
第 59 回プリマーテス研究会 (PWS 共催) (@JMC)
PWS 履修生面談@犬山
PWS 協議員会 (第 14 回) (@4 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸島)
PWS 履修生面談@京都
アシュラ・セミナー (@吉田泉殿)
・Dr. Rekha Chhetri (Royal University of Bhutan.) ほか
19 日
市民公開講座「第 4 回ひと・健康・未来シンポジウム 2015 犬山:サルに学ぶ, 人間の不思議」
(PWS 協力) (@JMC)
23 日
アシュラ・セミナー (@吉田泉殿)
(University of Medical Sciences of Bhutan) "Introduction and future perspective"
27 日
アシュラ・セミナー (@WRC 地階会議室)
"Deeping Japan-Laos Friendship through Lao Elephant Breeding Project"
・Prof. Houngphet CHANTHAVONG (National Univ. of Laos)
・Mr. Saysamone PHOTHISAT (Deputy Director of DFRM, MoNRE, Lao P.D.R.)
3日
博士課程教育リーディングプログラム運営委員会 (第 16 回) (@本部棟 5F 中会議室)
4日
ブッダ・セミナー「日本科学未来館毛利衛館長と科学コミュニケーターとのワークショップ」 (@
JMC セミナー室「白帝」)
・毛利衛 (日本科学未来館館長/ PWS 特任教授)
・岩崎茜 (日本科学未来館科学コミュニケーター)
・高橋麻美 (日本科学未来館科学コミュニケーター)
5日
3
月
「雲南の山と自然」特別講演会 (@百周年時計台記念館 2F 会議室Ⅳ)
・小林尚礼 (写真家/カワカブ会代表) 「雲南の最高峰・梅里雪山 その
自然と聖地の魅力」
PWS 協議員会 (第 13 回) (@4 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸島)
「雲南の山と自然」特別講演会 (@百周年時計台記念館 2F 会議室Ⅳ)
・山越言 (アジア・アフリカ地域研究科准教授) 「アジア・アフリカの里山と
人びとの暮らし」
8日
The 3rd International Symposium on Primatology and Wildlife Science/2015 年度履修生入試
(@理学部セミナーハウス)
12 日
13 日
14 日
15 日
17 日
25 日
28 日
PWS 協議員会 (第 15 回) (@5 元中継 TV 会議:京都・犬山・熊本・幸
島・JMC)
自主企画集団実習
「小豆島実習」 (@小
豆島)
シンポジウム「ず~せよ。動物園大学⑤ in 高知」 (@高知県立のいち動物公園) (PWS 後援)
博士課程教育リーディングプログラム運営委員会 (第 17 回) (@本部棟 5F 中会議室)
笹ヶ峰実習 (積雪期) (@妙高高原笹ヶ峰ヒュッテ)
8.5. JICA 草の根技術協力事業
「在来家畜生産の効率化によるガーナの食料事情向上支援」2014 年 3 月―2017 年 2 月
ガーナの人口は 10 年で 30%増加し, 特に北部では食料供給が不安定で, 深刻な栄養不足が
起きている。食料問題の解決には, 穀物だけでなく動物タンパク源の確保が必須である。現状で
は野生動物の狩猟への依存度が高く, 希少野生動物の生息する生態系に重大な影響を及ぼし
ている。よって野生動物に替わる持続可能なタンパク源の確保は急務と考えられるが, 気候条件
の厳しい北部では欧米原産の大型家畜の飼養や魚類の養殖は困難な状況である。そこで, 連携
先であるガーナ大学と共同で, 新たな家畜として, アフリカ原産で食用として好まれている大型齧
歯類, グラスカッター (アフリカタケネズミ) の優良系統の飼育普及を支援し, 食育および環境教
育を行い, タンパク源の安定供給による食料事情の向上をはかる事業を行っている。2014 年 10
月 21 日にガーナ北部の Wa で, 専門家や飼育農家の代表者が参加してワークショップを開催し
た。
(http://grasscutter.sakuraweb.com/参照)
21
― 21 ―
8.6.国立環境研究所との共同プロジェクト
国立環境研究所とは 2013 年に連携協定を締結し, 京都大学, 筑波大学, 東北大学, 酪農学
園大学の研究者が参加した「野生動物ゲノム連携研究グループ」の一員として共同研究を推進し
ている。2014 年 9 月 19 日につくば市において開催された国際シンポジウムでは, センターの教員
や学生が多数発表した。またその際に, サンジエゴ動物園, スコットランド王立動物園協会からの
招待講演者を京都へも招聘し, 動物園との連携協力について討論した。2014 年 12 月より, 「野生
動物遺伝資源データベース」において, 当センターの保有するデータの一部を公開した。
(http://www.nies.go.jp/time_capsule/search.php 参照)
9. 動物園・水族館との連携
京都市動物園
1) 京都市動物園・京都大学野生動物研究センター連携 5 周年記念事業を行った。
2) 動物園での小講演活動
毎月 1 回, 通年で田中正之が実施。テナガザル, マンドリルでの研究の解説を中心に, 動物
の生態や動物園でおこなう研究の意義について説明した。
3) 京都市動物園との連絡協議会
京都市動物園において野生動物研究センターがおこなう研究や教育の内容について, 月例
で報告や協議をおこなった。
4) チンパンジー, テナガザル, マンドリルを対象とした比較認知科学的研究
5) ニシゴリラの無麻酔での健康管理 (共同利用・共同研究採択課題)
6) 飼育下ニシゴリラにおける健康管理 (共同利用・共同研究採択課題)
7) アミメキリンにおける親子間行動および繁殖生理の研究 (共同利用・共同研究採択課題)
8) 飼育下のシセンレッサーパンダの繁殖関連行動の観察 (共同利用・共同研究採択課題)
9) フンボルトペンギンの抱卵時の卵の温度変化及び親鳥の行動について (共同利用・共同研究
採択課題)
10) 群れ個体の出産を契機とした未経産チンパンジーの社会行動の変化 (共同利用・共同研究採
択課題)
11) DNA 細胞データベースへの試料提供
12) 希少動物における iPS 細胞樹立への試料提供
13) 野生ウマ科動物の遺伝子解析
14) イヌ科動物の視覚コミュニケーションに関する研究
15) ポケゼミ学生による観察 (チンパンジー, ペンギン)
16) ヤブイヌの音声コミュニケーション
17) チンパンジーの採食エンリッチメント
名古屋市東山動植物園
1) 東山ワークショップの共催 (2 ヶ月に一度)
2) スマトラオランウータンの形態発達とホルモンに関する研究
3) 飼育環境の変更がフクロテナガザルの日常的な行動に及ぼす影響 (共同利用・共同研究採
択課題)
4) コアラが採食のためにユーカリ (品種・部位等) を選択する基準の解明 (共同利用・共同研究
採択課題)
横浜市立よこはま動物園「ズーラシア」
1) 飼育チンパンジーの発情回帰が複雄複雌集団の社会におよぼす影響 (共同利用・共同研究
採択課題)
2) インドゾウにおける夜間行動観察 (共同利用・共同研究採択課題)
3) ドールの音声行動
京都水族館
1) イルカの飼育環境変化に伴う行動学的研究
2) イルカパフォーマンスの展示に用いる鳴音の録音・提供
3) イルカの個体間関係に関する行動学的研究
22
― 22 ―
熊本市動植物園
1) チンパンジー飼育技術の協力および個体の行動観察
2) 動物園におけるセキショクヤケイの管理改善および維持に関する研究 (共同利用・共同研究
採択課題)
横浜市繁殖センター
1) バク科動物の行動観察および予備実験
小樽水族館
1) ワモンアザラシ, アゴヒゲアザラシ, クラカケアザラシの水中音声の録音および行動観察
大分マリーンパレス水族館うみたまご
1) アゴヒゲアザラシの水中音声の録音と行動観察および糞の採集 (テストステロンを抽出し濃度
を測定)
福山市立動物園
1) ヒョウの音声の録音・行動観察・母子の糞サイズの解析
日本モンキーセンター
1) リスザルの行動関連遺伝子に関する研究
愛媛県立とべ動物園, 鹿児島市平川動物公園, わんぱーく高知アニマルランド, 秋吉台動物園,
池田動物園, 安佐動物公園, 福山市立動物園, 下関市立しものせき水族館海響館, 宇部市常盤
動物園
1) 鳥類の性判別
わんぱーく高知アニマルランド, 秋吉台動物園, 池田動物園, 安佐動物公園, 福山市立動物園,
下関市立しものせき水族館海響館, 宇部市常盤動物園
1) 各園より 1 名を招聘して, 2014 年 10 月 1 日~2 日にセミナーおよび技術研修 (「DNA 細胞デ
ータベース検討会:性判定技術研修」) . 担当: 村山美穂, 森村成樹, 伊藤英之, 佐藤悠,
小林宏美.
10. 国内研究拠点・国内機関との共同研究
幸島観察所
1) 幸島ニホンザルに関する報告
幸島観察所において例年通り, 宮崎県幸島に生息する野生ニホンザルを対象に個体データの
蓄積, 各個体の体重測定など基礎データの収集をおこなった。今年度は出産数頭 9 頭, 死亡
数 2 頭で 7 頭増であった。2013 年 3 月末の個体数は 97 頭である。今年の死亡個体数の内訳は
1~5 歳個体が頭, 1頭が新生児の死亡であった。主群のαオスは昨年と同様に「カバ」, サブグ
ループであるマキ群のαオスは「ヘビ」である。
2) 施設に関する報告
敷地境界のフェンスが老朽化しており転倒する恐れがあったため改修を行った。
3) 研究・教育に関する報告
今年度も国内外から多数の研究者が来訪し観察・調査研究がおこなわれた。野外実習では, 京
都大学野生動物研究センターをはじめ, 京都大学霊長類研究所, 宮崎大学の学生実習がおこ
なわれた。日本モンキーセンター全職員を対象としたフィールド研修が行われた。また, 一般を
対象にした自然観察会, 見学会が開催され, これらの講師として協力した。 報道関係も数件依
頼があり, 協力した。
屋久島観察所
「霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院」での活動のための, 宿泊・研修施設
「PWS ハウス屋久島」が完成し, 2014 年 10 月 19 日に開所式を行った。約 23 名が宿泊し, 36 名程
度がミーティングや食事ができる施設となった。今後, 備品等を整備し, 本格的に運用する。
23
― 23 ―
本年度も大学院生や若手研究者を中心に活発に研究がおこなわれた。また, 「霊長類学・ワイルド
ライフサイエンス・リーディング大学院」および当センターの研究拠点形成事業「大型動物研究を軸
とする熱帯生物多様性保全研究」による屋久島フィールド科学実習がおこなわれた。
地域に密着した, 屋久島について学ぶ学会, 「屋久島学ソサエティ」の第 2 回大会が行われ, 屋
久島での研究成果を発表した。
なお, 2015 年 3 月に, 屋久島観察所の敷地内に, 京都大学防災研究所が口永良部島の火山活
動観測のためのアンテナを新たに設置したことを記しておく。これまで, 小型のアンテナを屋久島観
察ステーションに設置し, 無線によって口永良部島から送られる測定データを同ステーション内から
ISDN 回線で防災研究所に送っていた。新たに電柱を設置して, 送受信装置すべてを電柱に取り付
け, 電源も含めて観察ステーションと独立なものにした。これにより, 観察ステーションの送受信装置
も撤去された。口永良部島は 2014 年 8 月 3 日に噴火が起きており, 活動が活発になっている。
福祉長寿研究部門/熊本サンクチュアリ
1) ボノボの導入
アメリカからボノボ 2 個体を導入した。いずれもシンシナチ動物園の由来である。アメリカ動物園
水族館協会の合意を得て, シンシナチ動物園と移送契約を締結し, 所定の手続きを経て輸入
に至った。2014 年 5 月 21 日に熊本サンクチュアリに到着した。2013 年度にすでに4個体のボノ
ボを新規導入しており, 今回の 2 個体を加えて計 6 個体となった。チンパンジーとボノボを対象と
した比較研究に着手した。
2) 飼育体制に関する報告
熊本サンクチュアリにおいて飼育しているチンパンジー個体数は 2014 年度末時点で 56 個体と
なった。9 月 17 日, ケニーが急死した (24 歳)。剖検結果より肉眼病変は見られず急性心不全が
疑われた。2014 年 9 月 28 日, ロイ (1995 年 7 月 24 日生まれ, 三和由来) 及びツバキ (1996
年 2 月 17 日生まれ, 三和由来) をブリーディングローンにて愛媛県立とべ動物園に搬出した。
この他, 前年度までに京都市動物園にブリーディングローンで供しているジェームスの貸出契約
を延長し, 引き続き同動物園にて飼育をおこなっている。チンパンジーについて, 第 1 飼育棟に
は雄 16 個体 (2~4 群), 第 2 飼育棟には雄 11 個体 (2~4 群), 第 5 飼育棟には雄 6 個体と雌
23 個体 (5 群) が雄/雌のみや複雄複雌など様々な構成で社会生活を送っている。また, 第 5
飼育棟には, ボノボ 6 個体が 2 群で暮らしている。定期健康診断を 21 個体で実施したほか, ポ
ータブル心電計を使った無麻酔心電図検査を, のべ 114 個体で実施した。子宮筋腫が疑われ
る症状への治療 (ヨシエ), 経口避妊薬長期投与 (リナ, ツバキ, ミズキ, ミサキ, ナツキ), 痙性
麻痺対処 (サチ), ビタミン K 予防投与 (HCV キャリア 5 個体), 麻酔下での外科治療 (リナ, ナ
オヤ, ムサシ, コテツ, カナコ), 一斉駆虫をおこなった。
3) 施設に関する報告
比較認知科学用大型実験ケージ・熊本 1 号機に対して設備追加をおこない, 実験ならびに観察
研究をする上での機能向上を図った。第1飼育棟ならびに第 5 飼育棟でも, 行動観察プラットフ
ォームの設置および室内空間の各種充実化をおこない, 研究観察環境を整備した。2014 年 7
月 6 日に施設への落雷により電話設備, ネットワークシステム, 第 5 飼育棟空調機, 自動火災報
知設備, 超低温フリーザに故障が発生し, それぞれ必要な修理対応をおこなった。この他, 電
動スライド扉, 排水配管, 屋上防水, 排水ポンプについて修繕をおこなった。
4) 研究・教育に関する報告
英文 1 報, 和文 4 報, その他の執筆 4 報を公表した。学会発表 8 件, 講演は 9 件, マスメディ
ア (新聞, 雑誌, TV 等) に 1 件対応した。共同利用共同研究に関しては, 研究利用が 7 件 179
名 , 施 設 利 用 が 17 件 158 名 , 試 料 分 譲 が 3 件 3 名 だ っ た 。 ホ ー ム ペ ー ジ
http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/kumasan/) を毎月更新し, KS 活動の普及広報に努めた。
独立行政法人理化学研究所
「霊長類 (マカクサル・マーモセット) の遺伝子多型と分子イメージングとの関連」に関する研究契
約を継続した。
24
― 24 ―
11. 共同研究者訪問履歴表
訪問日
終了日
日数
所属
職
2014/4/1
2015/3/31
230
京都大・文
研究者
1
研究
2014/4/1
2015/3/31
165
京都大・文
院生
1
研究
2014/4/1
2015/6/30
40
京都産業大
学生
1
研究
2014/4/11
2014/4/11
1
京都産業大・総合生物科学
研究者
2
研究
2014/4/16
2014/5/13
28
京都大・霊長研
研究者
1
研究
2014/4/23
2014/4/23
1
広島大・農
研究者
4
研究
2014/5/9
2014/5/9
1
ニッポンジーン
研究者
2
研究
2014/5/20
2014/5/20
1
東山動物園
研究者
1
研究
2014/6/11
2014/6/13
3
京都大・生態研
研究者
2
研究
2014/7/3
2014/7/3
1
スコットランド王立動物園協会
研究者
1
研究
2014/7/7
2014/7/7
1
玉川大
研究者
2
研究
2014/7/10
2014/7/10
1
京都大・アフリカ研
院生
1
研究
2014/7/17
2014/7/17
1
ニッポンジーン
研究者
3
研究
2014/7/23
2014/7/23
1
産業総合研究所
研究者
1
研究
2014/7/25
2014/7/25
1
玉川大
研究者
1
研究
2014/7/31
2014/7/31
1
京都府立大
研究者
2
研究
2014/8/27
2014/8/27
1
産業総合研究所
研究者
1
研究
2014/9/9
2014/9/9
1
帝京科学大
研究者
1
研究
2014/9/9
2014/9/12
4
帝京科学大
研究者
1
研究
2014/9/10
2014/9/10
1
九州大
研究者
1
研究
2014/9/22
2014/9/22
1
サンジエゴ動物園
研究者
1
研究
2014/9/30
2014/9/30
1
大阪大
研究者
1
研究
2014/10/3
2014/10/3
1
京都大・農
研究者
1
研究
2014/10/9
2014/10/9
1
麻布大
研究者・院生
2
研究
2014/10/10
2014/12/5
48
静岡大
学生
1
研究
2014/11/4
2014/12/19
46
ガーナ大
院生
1
研究
2014/11/21
2014/11/21
1
玉川大
研究者
2
研究
2014/11/18
2015/1/23
59
エジンバラ大
院生
1
研究
2014/11/28
2014/12/19
22
ガーナ大
研究者
2
研究
2014/12/1
2014/12/1
1
静岡県立大
研究者
5
研究
2014/12/25
2015/3/26
25
京都大・医
院生
1
研究
2015/1/17
2015/1/17
1
酪農学園大
学生
3
研究
2015/1/26
2015/1/26
1
麻布大
研究者・院生
2
研究
2015/1/26
2015/2/6
12
秋田県畜産試験場
研究者
1
研究
2015/2/16
2015/2/28
13
琉球大
研究者
1
研究
2015/3/5
2015/3/18
14
玉川大
院生
1
研究
2015/3/26
2015/3/26
1
京都大・医
研究者
1
研究
2015/3/26
2015/3/26
1
静岡大
学生
3
研究
計
733
人数
60
25
― 25 ―
訪問目的
12. 海外拠点・海外機関との研究交流等
マレーシア拠点
マレーシアでは 2009 年度にサバ大学と, 2011 年度にサバ財団と研究協定を締結しており, そ
れに基づいて以下の活動を行っている。
1) サバ州ダナンバレー保護区におけるシベットの研究
2) サバ州カビリ・セピロク保存林におけるヤマアラシの研究。
3) ペラ州ベルム-テメンゴル熱帯林におけるマレーバク類の研究。
タンザニア拠点
タンザニアには, 京都大学アフリカ類人猿調査拠点, アフリカ人類学・生物学研究フィールドセ
ンター, およびウガラ野生動物フィールド研究拠点がある。また, 2013 年にタンザニア野生動物
研究所 (TAWIRI) と研究教育連携協定を締結した。これらの拠点を利用して以下の活動を行っ
ている。
1) タンザニアでの野生動物研究に関する今後の方向性について TAWIRI と議論を行った。
2) ウガラ乾燥疎開林におけるチンパンジーをはじめとする霊長類, ブッシュハイラックスをはじ
めとする中小型哺乳動物, ヒョウをはじめとする肉食動物, 猛禽類等の生態・行動学的研究。
3) マハレ山塊国立公園における野生チンパンジーとヒョウの社会・生態学的研究。
4) 新たなフィールド開拓のためのセルー動物保護区の視察。
ガーナ大学拠点
2009 年度にガーナ大学農業消費科学部と締結した研究交流協定にもとづき, 以下の活動を
おこなっている。
1) セミナーの開催:ガーナ大学から研究者 4 人を招聘し, 2014 年 11 月 30 日に一般向けセミナ
ー「ガーナを知ろう」, 12 月 4 日に PWS のアシュラセミナーを, 京都大学で開催した。
2) 共同研究:グラスカッターの腸内容物の解析による食用植物の同定, マクスウェルダイカーの
遺伝的多様性解析を行った。
3) 若手研究者養成:上記共同研究は, ポスドクと修士課程の学生が中心になって行った。また
セミナーへの参加と運営に, 若手研究者が多数関わった。
アマゾン拠点
ブラジルでは 2012 年度に国立アマゾン研究所と研究協定を締結し, 以下の活動を行ってい
る。
1) アマゾン川流域における音響的手法を用いたアマゾンカワイルカの行動学的研究。
2) アマゾン川流域における音響的手法を用いたアマゾンマナティーの行動学的研究。
インド拠点
インドではインド科学大学生態科学研究センターとの研究協定締結に向けて以下の活動を行
っている。
1) ムドマライ国立公園におけるドールの行動生態学的研究。
その他
1) チリのマガジャネス大学パタゴニア研究所との共同研究でプンタアレーナスにおけるイロワケ
イルカの音響学手法に基づく行動学的研究。
2) タイのスリン・エレファント・キャンプにおけるアジアゾウの行動学的研究。
26
― 26 ―
13. 海外渡航
氏名
日程
用務先 (国名)
用務
当該プロジェクトにかかる現地
調査・指導及びガーナ大学
Kayang 先生と研究打合せ
当該プロジェクトにかかる現地
調査・指導及びガーナ大学
Kayang 先生と研究打合せ
JSPS先端拠点形成事業 R-2
推進の為, VERA Da Silva
教授と研究打合せ及び資料収
集
ワークショップ “What Makes us
Animals Cognition, Biology and
the Origins of Musicality” 参加
および当該プロジェクトにかか
る情報収集
ロカウィ野生動物公園での実験
及びマレーシア・サバ大学での
科学分析, 調査許可延長の手
続き
JSPS 先端拠点形成事業 R-1 推
進の為, シャルール准教授と
研究打合せ
費用
JICA 草の根技術協力
事業 (受託研究費)
Adenyo,
Christopher
2014/3/18
~11/4
ガーナ大学 (ガーナ共和国)
岡本妃花理
2014/3/18
~12/17
ガーナ大学 (ガーナ共和国)
幸島司郎
2014/4/2
~4/8
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
服部裕子
2014/4/6
~4/13
Lorentz Center (オランダ)
中林雅
2014/4/14
~5/4
コタキナバル市内, サバ大
学, ロカウィ野生動物 (マレ
ーシア)
田和優子
2014/4/14
~4/19
マレーシア科学大学 (マレー
シア)
Hill, David
2014/4/21
~5/6
Paluma Rainforest (オーストラ
リア)
コウモリの出哺育に関する野外
調査およびDNA試料収集
科研費
松川あおい
2014/4/23
~5/5
カビリ・ セ ピ ロク森 林保 護区
(マレーシア)
熱帯雨林に生息するヤマアラ
シ科動物に関する野外調査
JSPS受託事業費
(先端拠点)
澤栗秀太
2014/4/28
~5/9
アリグナル動物公園, ムドゥマ
ライ国立公園 (インド)
村山美穂
2014/4/27
~5/7
ガーナ大学 (ガーナ共和国)
菊池夢美
2014/4/30
~5/18
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
池田威秀
2014/5/4
~5/14
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
中村美知夫
2014/5/24
~6/19
木下こづえ
2014/6/8
~6/17
伊谷原一
2014/6/14
~6/30
田和優子
2014/6/16
~6/21
マハレ野生動物研究 センタ
ー・タンザニア科学技術局
(タンザニア)
サバ大学・ロッカウィ動物園・
キナバタンガン川流域・ダナ
ムバレー自然保護区・シンガ
ポール動物園
(マレーシア)
WWF ジャパンコンゴ事務所・ボ
ノボ孤児院 (コンゴ民主共和
国)
ブラウバンディング島内 (マレ
ーシア)
JSPS先端拠点形成事業R-3
推進の為, ドール観察と森林
局での許可申請
当該プロジェクトにかかる現地
調査・指導及びガーナ大学
Kayang 先生と研究打合せ
飼育マナティーを対象とした鳴
音の収録実験
JSPS 先端拠点形成事業 R-2 推
進の為, Vera Da Silva 教授と研
究打合せ及び資料収集
研究連絡, 野外調査にかかる
情報収集・研究連絡および資
料収集
JICA 草の根技術協力
事業 (受託研究費)
JSPS 受託事業費
(先端拠点)
先方負担
(Lorentz Center)
JSPS 受託事業費
(先端拠点)
JSPS 受託事業費
(先端拠点)
JSPS受託事業費
(先端拠点)
JICA 草の根技術
協力事業 (受託研究
費)
JSTJICA SATREPS
(受託事業費)
JSPS 受託事業費
(先端拠点)
トヨタ財団研究助成金
オラウータンの行動観察および
尿サンプル収集
科研費
WWF ジャパンプロジェクトに係
るボノボ現地調査
先方負担 (WWF)
JSPS先端拠点形成事業 R-1
推進の為, 塩場を利用する哺
乳類の調査
JSPS受託事業費
(先端拠点)
27
― 27 ―
JSPS先端拠点形成事業 R-1
推進の為, ハミド博士と研究打
合せ及び資料収集
JSPS先端拠点形成事業 R-1
推進の為, ハミド教授と研修打
合せ
幸島司郎
2014/6/18
~6/22
サバ大学 (マレーシア)
中林雅
2014/6/19
~6/30
サバ大学・ダナンバレー自然
保護区 (マレーシア)
桜木敬子
2014/6/28
~7/31
仲澤伸子
2014/6/28
~7/31
大谷ミア
2014/6/28
~11/30
ダルエスサラーム大学・キワ
沿岸部・リンディ沿岸部・ムトワ
ラ沿岸部・マフィア沿岸部 (タ
ンザニア)
タンザニア科学技術委員会・
マハレ山塊国立公園・タンザ
ニア野生生物研究所 (タンザ
ニア)
マハレ山塊国立公園 (タンザ
ニア)
森村成樹
2014/7/1
~8/6
ギニア科学技術局・ボッソウ
村ニンバ山 (ギニア共和国)
野生チンパンジーの行動生態
調査
Arnaud,
Coline
2014/7/10
~7/22
Dachin 博士と当該プロジェクト
にかかる研究打合せ, データ
収集
西江仁徳
2014/7/14
~8/6
ポール・サバティエ大学・チェ
コ大学プラハ生命科学校 (フ
ランス・チェコ)
マハレ山塊国立公園 (タンザ
ニア)
澤栗秀太
2014/7/18
~8/4
アリグナル動物公園・ムドゥマ
ライ国立公園 (インド)
中林雅
2014/7/19
~7/25
ケアンズコンベンションセンタ
ー (オーストラリア)
ウダワラウェ国立公園・ヤラ国
公園・ガル・オヤ国立公園・ピ
ンナワラ・ゾウ独児院・デヒワラ
動物園・ムドゥマライ国立公園
(スリランカ・インド)
JICAブラジル事務所・国立ア
マゾン研究所・クイエイラス川
(ブラジル)
水野佳緒里
2014/7/19
~8/21
池田威秀
2014/7/22
~9/3
松川あおい
2014/7/29
~8/9
サバ大学・カビリ・セピロク森
林保護区 (マレーシア)
沓間領
2014/7/29
~8/9
松島慶
2014/7/29
~8/9
サバ大学熱帯生物学研究所
(マレーシア)
サバ大学熱帯生物学研究
所・カビリ・セピロク森林保護
区 (マレーシア)
服部裕子
2014/8/3
~8/8
延世大学校 (ソウル)
2014/8/7
~8/14
2014/8/7
~8/14
カンザー国立公園・ヴァンロン
自然保護区 (ベトナム)
カンザー国立公園・ヴァンロン
自然保護区 (ベトナム)
桜木敬子
水越楓
JSPS受託事業費
(先端拠点)
JSPS受託事業費
(先端拠点)
PWS 必修自主フィールドワーク
実習事前準備・打合せ, 小型
鯨類の調査
MEXT リーディング
大学院構築事業費
PWS 必修自主フィールドワーク
実習:ヒョウの食性の
調査
MEXT リーディング
大学院構築事業費
ヒョウの音声解析などの調査
野生チンパンジーの調査
JSPS先端拠点形成事業R-3
推進の為, ドール観察及び調
査
第 51 回国際熱帯生物保全学
会に参加し, 当該プロジェクト
にかかる発表および資料収集
ゾウの行動観察・データ収集
プロジェクトに係る打合せ, 資
料収集・現地調査
先方負担
(椙山女学園大学)
心の起源を探る
比較認知科学研究の
国際連携拠点形成
代表:松沢哲郎
科研費
JSPS受託事業費
(アジア・アフリカ)
JSPS受託事業費
(先端拠点)
科研費
特別経費 (共通)
JSTJICA SATREPS
(受託事業費)
JSPS先端拠点形成事業 R-1
推進の為, アブドゥルハミド博
士と調査に関する打合せ
PWS 必修自主フィールドワーク
実習事前準備・打合せ
MEXT リーディング
大学院構築事業費
PWS 必修自主フィールドワーク
実習事前準備・打合せ
MEXT リーディング
大学院構築事業費
ICMPC13-APSCOM5 学 会 に
参加及びヒトとチンパンジーに
おける同調行動に関する比較
認知科学的研究の情報収集
PWS 必修自主企画フィールドワ
ーク:野猿観察
PWS 必修自主企画フィールドワ
ーク:野猿観察
28
― 28 ―
JSPS受託事業費
(先端拠点)
科学研究費補助金
MEXT リーディング
大学院構築事業費
MEXT リーディング
大学院構築事業費
仲澤伸子
2014/8/7
~8/14
カンザー国立公園・ヴァンロン
自然保護区 (ベトナム)
PWS 必修自主企画フィールドワ
ーク:野猿観察
MEXT リーディング
大学院構築事業費
木下こづえ
2014/8/7
~8/24
カンザー国立公園・メリアホテ
ル・ボゴール農科大学 (ベト
ナム)
野生動物観察, 当該プロジェク
トにかかるデータ
収集
科研費
大橋岳
2014/8/10
~/8/19
メリアホテル・カッティエン国
立公園 (ベトナム)
第 25 回国際霊長類学会参加・
発表及び心の起原に比較認知
科学研究に関する情報収集
心の起源を探る
比較認知科学研究の
国際連携拠点形成
代表:松沢哲郎
西江仁徳
2014/8/10
~8/19
メリアホテル・サイゴン動植物
園 (ベトナム)
第 25 回国際霊長類学会に参
加, 当核プロジェクトにかかる
発表および資料収集
科研費
MacIntosh,
Andrew
2014/8/10
~8/18
メリアホテル (ベトナム)
第 25 回国際霊長類学会参加
科研費
古賀典子
2014/8/10
~8/18
メリアホテル (ベトナム)
澤田晶子
2014/8/10
~8/21
メリアホテル (ベトナム)
山梨裕美
2014/8/10
~8/22
メ リ ア ホ テ ル ・ Cat Tien
National Park (ベトナム)
森村成樹
2014/8/11
~8/16
メリアホテル (ベトナム)
中林雅
2014/8/17
~9/1
サバ大学・エクアトリアルホテ
ル・ダナンバレー自然保護区
(ベトナム)
幸島司郎
2014/8/18
~8/29
田和優子
2014/8/18
~8/26
Hill, David
岸田拓士
2014/8/22
~9/9
2014/8/23
~9/3
第 25 回国際霊長類学会にて
PWS 協力誌「プリマーテス」ブ
ース出展にて広報活動
第 25 回国際霊長類学会大会
参加
第 25 回国際霊長類学会参加・
発表・野生霊長類の観察を行
い, 当該プロジェクトにかかる
データ収集
第 25 回国際霊長類学会参加・
発表
JICAブラジル事務所・国立ア
マゾンン研究所 (ブラジル)
ペラ州森林局熱帯雨林研セ
ンター・プラウバンディング島
(マレーシア)
Sidenik solaris Resort (ドイツ)
国立アマゾン研究所・クイエイ
ラス川 (ブラジル)
タンザニア野生動物研究所・
ンゴロンゴロ保全地域・ゴンベ
国立公園 (タンザニア)
デ ラマコット商 業林 ・サバ大
学・パイタン森林保護区 (マ
レーシア)
MEXT リーディング
大学院構築事業費
科研費
科研費
心の起源を探る
比較認知科学研究の
国際連携拠点形成
代表:松沢哲郎
当該プロジェクトにかかる資料
収集および共同研究者との打
合せ・第 3 回国際保全生物学
会アジア地区大会に参加
プロジェクトに係る研究打合せ・
資料収集
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
当該プロジェクトに係る調査許
可の取得・哺乳類の野外調査
JSPS受託事業費
(先端拠点)
科研費
ヨーロッパバット研究シンポジウ
ムに参加
プロジェクトに係る研究打合せ
及び資料収集
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
プロジェクトに係る研究打合せ・
生態調査
JSPS受託事業費
(アジア・アフリカ)
プロジェクトに係る調査地視察・
ハミド教授と当該プロジェクトに
係る研究打合せ
JSPS受託事業費
(先端拠点)
私費
飯田恵理子
2014/9/8
~10/19
田和優子
2014/9/8
~9/14
平田聡
2014/9/17
~9/21
University college London (イ
ギリス)
Conference on Percussive
Technology and Human Evolution 参加, 発表, 資料収集
心の起源を探る
比較認知科学研究の
国際連携拠点形成
代表:松沢哲郎
仲澤伸子
2014/9/18
~9/30
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバラ沖合 (タ
ンザニア)
PWS 必須自主フィールドワーク
実習:東アフリカサバンナ生態
系の調査
MEXT リーディング
大学院構築事業費
29
― 29 ―
花村俊吉
2014/9/18
~10/20
タンザニア科学技術局・マハ
レ野生動物研究センター・マ
ハレ山塊国立公園 (タンザニ
ア)
田和優子
2014/9/20
~9/30
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
澤田晶子
2014/9/20
~10/1
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域 (タンザニア)
榊原香鈴美
2014/9/20
~9/30
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
澤栗秀太
2014/9/20
~9/30
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
松川あおい
2014/9/20
~9/30
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
桜木敬子
2014/9/20
~
2015/1/24
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
植田彩容子
2014/9/20
~9/30
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
吉田弥生
2014/9/20
~9/30
岸田拓士
2014/9/20
~9/30
Hill, David
2014/9/20
~10/1
黒鳥英俊
2014/10/5
~10/14
松島慶
2014/10/8
~11/28
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
沓間領
2014/10/8
~11/28
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
澤栗秀太
2014/10/11
~
2015/3/20
ムドゥマライ国立公園 (インド)
当該プロジェクトに係る調査
村山美穂
2014/10/13
~10/29
アントワープ動物園 (ベルギ
ー)・ガーナ大学 (ガーナ共和
国)
当該プロジェクトにかかる資料・
情報収集・意見交換・ガーナ大
学 Kayang 先生と研究打合せ
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域, ザンジバル沖合 (タ
ンザニア)
Impala hotel, ンゴロンゴロ保
全地域 (タンザニア)
ヒューストン動物園, チャペル
テペック動物園, グアダラハラ
動物園 (アメリカ・メキシコ)
野生チンパンジーの集団の社
会構造に関する研究連絡・現
地調査
JSPS 先端拠形成事業 S-2 タン
ザニアワークショップ事前準備,
参加・東アフリカサバンナ生態
系の調査
PWS共催タンザニアWS事前
準備・参加・東アフリカサバンナ
生態系の調査
JSPS 先端拠形成事業 S-2 タン
ザニアワークショップ事前準備,
参加・東アフリカサバンナ生態
系の調査
JSPS 先端拠形成事業 S-2 タン
ザニアワークショップ事前準備,
参加・東アフリカサバンナ生態
系の調査
JSPS 先端拠形成事業 S-2 タン
ザニアワークショップ事前準備,
参加・東アフリカサバンナ生態
系の調査
PWS共催タンザニアWS事前
準備・参加, PWS必修自主フ
ィールドワーク実習:東アフリカ
サバンナ生体系の調査
JSPS 先端拠形成事業 S-2 タン
ザニアワークショップ事前準備,
参加・東アフリカサバンナ生態
系の調査
科研費
JSPS受託事業費
(先端拠点)
MEXT リーディング
大学院構築事業費
JSPS受託事業費
(先端拠点)
JSPS受託事業費
(先端拠点)
JSPS受託事業費
(先端拠点)
MEXT リーディング
大学院構築事業費
JSPS受託事業費
(先端拠点)
PWS 必修自主フィールドワーク
実習引率:小型鯨類の調査
MEXT リーディング
大学院構築事業費
PWS 必修自主フィールドワーク
実習引率:小型鯨類の調査
MEXT リーディング
大学院構築事業費
PWS 必修自主フィールドワーク
実習引率:小型鯨類の調査
オラウータン会議に出席, チャ
ペルテペック動物園, グアダラ
ハラ動物園にて調査
Vera de silveria に教育指導を
受け, 今後の調査地見学, 予
備調査実施
Vera de silveria に教育指導を
受け, 今後の調査地見学。予
備調査実施
MEXT リーディング
大学院構築事業費
30
― 30 ―
私費
MEXT リーディング
大学院構築事業費
MEXT リーディング
大学院構築事業費
JSPS受託事業費
(先端拠点)
科研費
伊藤英之
2014/10/13
~10/20
アントワープ動物園(ベルギ
ー)
2014/10/19
~12/25
2014/11/15
~12/12
2014/11/17
~12/6
Workshop (molecular genetics
for species management in zoos
and aquaria) への参加
当該プロジェクトにかかる研究
連絡, 現地調査, 資料収集
PWS 履修生の自主 FW 実施の
指導・サポート
熱帯雨林におけるキガシラコウ
モリについても共同研究・調査
MEXT リーディング
大学院構築事業費
JSPS受託事業費
(先端拠点)
Belum-Temengor 森林地区の
塩場を利用する哺乳類の調査
JSPS受託事業費
(先端拠点)
科研費
田和優子
2014/11/17
~11/29
水野佳緒里
2014/11/9
~
2015/3/22
マハレ野生動物研究所・マハ
レ山塊国立公園 (タンザニア)
ルオー学術保護区ワンバ村
(コンゴ)
マレーシア科学大学 (マレー
シア)
ぺラ州森林局熱帯雨林研究
センター・マレーシア科学大
学・ブラウバンディング島内
(マレーシア)
インド科学大学・バルパライ高
原・ムドゥマライフィールドステ
ーション (インド)
菊池夢美
2014/11/29
~12/8
インディアスコンベンションセ
ンター (コロンビア共和国)
森村成樹
2014/12/13
~12/26
マケレレ大学・カリンズ森林保
護区・他 (ウガンダ共和国)
研究打合せ・情報収集・シンポ
ジウム参加
JSPS受託事業費
(アジア・アフリカ)
代表:古市剛史
幸島司郎
2014/12/14
~12/21
JICA ブラジル事務所・国立ア
マゾン研究所 (ブラジル)
JICAブラシル事務所 駒沢氏
と当該プロジェクトに係る研究
進捗状況報告及び研究打合せ
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
伊藤詞子
2014/12/14
~
2015/2/20
野生チンパンジーの野外調査,
研究報告当該プロジェクトにか
かる資料収集
トヨタ財団研究助成金
西江仁徳
森村成樹
Hill, David
仲澤伸子
Adenyo,
Christopher
2014/12/14
~
2015/2/20
2014/12/19
~
2015/5/21
ゴンベ-マハレ野生生物研究
所・マハレ山塊国立公園・ダ
レスサラーム大学 (タンザニ
ア)
タンザニア科学技術委員会・
マハレ山塊国立公園 (タンザ
ニア)
ガーナ大学 (ガーナ)
岸田拓士
2015/2/1
~2/8
ノースイーストオハイオ医科大
学 (アメリカ合衆国)
田和優子
2015/2/2
~2/16
ペラ州森林局熱帯雨林研セ
ンター・マレーシア科学大学
(マレーシア)
Hill, David
2015/2/14
~3/2
バンヤ山地国立公園・テウェ
ンティン立森林公園等 (オー
ストラリア)
岡本妃花理
2015/2/17
~11/16
ガーナ大学 (ガーナ共和国)
菊池夢美
2015/3/1
~3/27
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
スクマール・ラマン教授と当該
プロジェクトに係る研究打合せ,
調査
共同研究者ダニエル氏と当該
プロジェクトに関する研究打合
せ
PWS 必修自主フィールドワーク
実習調査結果報告と今後の打
合せ
当該プロジェクトにかかる現地
調査・指導及びガーナ大学
Kayang 先生と研究打合せ
ハンス・テーヴィセン教授と共
同研究に関する打合せ, およ
びホッキョククジラとシロイルカ
の脳組織の解部学的実験の遂
行
当該プロジェクトに係る調査許
可所得, シャルール教授と当
該プロジェクトに係る研究打合
せ
PWS広報・履修生新規実習候
補地調査・今後の国際連携協
議について
打合せ
当該プロジェクトにかかる現地
調査・指導及びガーナ大学
Kayang 先生と研究打合せ
当該プロジェクトに係る研究打
合せ及び資料収集・国際ワーク
ショップに参加及び発表
31
― 31 ―
科研費
JSPS受託事業費
(先端拠点)
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
MEXT リーディング
大学院構築事業費
JICA 草の根技術協
事業 (受託研究費)
いしずえ
JSPS受託事業費
(先端拠点)
MEXT リーディング
大学院構築事業費
JICA 草の根技術協
事業 (受託研究費)
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
平田聡
2015/3/2
~3/11
ケンブリッジ大学・オックスフォ
ード大学・マックスプランク研
究所 (イギリス・ドイツ)
ケンブリッジ大学・オックスフォ
ード大学・マックスプランク研究
所で講演及び心の起源を探る
比較認知科学研究の国際連携
拠点形成に関する研究打合せ,
セミナーで研究成果の発表
松川あおい
2015/3/8
~3/14
サバ大学・サバ州野生生物
局・カビリ・セピロク森林保護
区 (マレーシア)
当該プロジェクトに係る研究打
合せ及び資料収集
JSPS受託事業費
(先端拠点)
中林雅
2015/3/8
~3/14
サバ大学 (マレーシア)
JSPS受託事業費
(先端拠点)
幸島司郎
2015/3/9
~3/22
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
岸田拓士
2015/3/10
~3/19
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
池田威秀
2015/3/10
~3/22
国立アマゾン研究所 (ブラジ
ル)
原宏輔
2015/3/11
~3/27
チリ水資源総局 (DGA)・チ
ンダル氷河 (チリ)
当該プロジェクトに係る研究打
合せ及び資料収集
当該プロジェクトに係る研究打
合せ及び資料収集・国際ワーク
ショップに参加及び発表
当該プロジェクトに係る研究打
合せ及び資料収集・国際ワーク
ショップに参加及び発表
当該プロジェクトに係る研究打
合せ及び資料収集・国際ワーク
ショップに参加及び発表
氷河調査のための調査収集・
調査準備, 調査
心の起源を探る
比較認知科学研究の
国際連携拠点形成
代表:松沢哲郎
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
JST JICA SATREPS
(受託事業費)
科研費
14. 自己点検評価
野生動物研究センターで重点的に取り組んでいる項目について, 自己点検評価の概要を記す。
動物園・水族館との連携, 研究・教育の推進
着実に進んでいる。連携する動物園・水族館もさらに増えた。今年度も連携する動物園と協力し
て情報交換・共同研究・教育普及を目的としたシンポジウムを開催した。 共同利用・共同研究拠
点事業に動物園, 水族館からも応募いただき, 研究を進めた。動物園, 水族館での調査研究
活動は, 徐々に根付いてきていると言えるだろう。
共同利用拠点として機能の充実
着実に進んでいる。公募研究の申請件数も増加し, 野生動物に関する共同利用拠点として認
知されてきたと言えるだろう。特に, 動物園・水族館に関連した共同利用研究が多いことは評価
できる。しかし, 研究成果を論文として発表するまでには至らない場合も少なくない。少なくとも
和文の学会誌に研究成果を, 発表していく等の努力が, 今後, 必要であろう。論文の出版まで
視野に入れた支援をしていくことも考えるべきであろう。熊本サンクチュアリではさらにボノボを導
入した。チンパンジーとボノボの比較研究の成果も出始めている。屋久島では, リーディング大
学院の支援を受けて, 新たな宿泊棟の使用が可能になった。研究だけでなく, 教育活動にも活
用していくことが課題である。
海外研究拠点の整備, 研究・教育の推進
順調に進んでいる。JST-JICA 地球規模課題対応国際科学技術プログラムに採択され, ブラジ
ルでの共同研究が活発に行われた。タンザニアでの国際ワークショップを実施し, 共同研究体
制が進んだ。タンザニアの調査拠点では活発な研究がおこなわれた。ガーナ大学との研究交流
は今年も引き続きおこなわれており, 着実に進展している。
スペースの拡充
今年は特に進展はなかった。
教育・研究
着実に進んでいる。今年度も博士課程の修了者を出すことができた。また修士研究でも, オリジ
ナリティーの高い研究をおこなっていることは評価できる。大学院での研究成果も, 徐々に論文
として発表されるようになってきた。今後も, 一層, 成果を発表していくことが必要である。
若手研究者への支援
32
― 32 ―
若手研究者の就職は全般に厳しいが, 博士の学位を持った研究者が, 有期雇用の教員, 研究
者として雇用されたことは一定の評価ができるだろう。また, 当センターとの関わりの深いプロジ
ェクトでも若手研究者を雇用していることも評価できる。研究拠点形成事業等において, 若手の
野生動物研究者が就職できるような事業の創出も視野に入れて活動している点や, リーディング
大学院では, コース終了後の就職も明確な目標として活動している点が評価できる。
15. 2014 年度研究業績
執筆文章 (和文)
伊谷原一編, 伊谷純一郎著 (2014) 「人類発祥の地を
求めて-最後のアフリカ行」, 岩波現代全書.
大橋岳 (2014) ボッソウからリベリアへ―国境を越えてチ
ンパンジーを探す. 「プリマーテス研究会記録」
55:6-9.
大橋岳 (2014) チンパンジーの文化的行動. 「アフリカ
学事典」 アフリカ学会 (編), 昭和堂, pp460-461.
勝野吏子, 鈴村崇文, 山田一憲, 中道正之 (2014) 嵐
山・幸島におけるニホンザルの死産の報告. 「霊長類
研究」 30:163-172.
河村正二, 竹ノ下祐二, 川本芳, 杉浦秀樹, 宇野壮春,
今野文治, 漆原佑介, 福本学, 近江俊徳, Steen TY
(2014) 福島第一原子力発電所事故後 3 年を経た野
生ニホンザルの保護, 管理, 研究の現状と課題.
「霊長類研究」 30: 227-250.
今野晃嗣, 長谷川壽一, 村山美穂 (2014) 動物パーソ
ナリティ心理学と行動シンドローム研究における動物
の性格概念の統合的理解. 「動物心理学研究」
64:19-35.
座馬耕一郎 (2014) イノシシを食べる? 食べない?
「マハレ珍聞」 24:1-2.
座馬耕一郎 (2015) 霊長類のフィールドワークと映像の
活用法.「FENICS100 万人のフィールドワーカーシリ
ーズ第 15 巻フィールド映像術」分藤大翼, 川瀬慈,
村尾静二 (編), 古今書院, pp.68 77.
鈴村崇文 (2014) 幸島のニホンザル~日本の霊長類学
は宮崎からはじまった~. 「平成 26 年度宮崎県文化
講座研究紀要」 41:1-14
.
田中正之 (2014) 動物園での研究・教育のためにできる
こと-京都市動物園の取り組み紹介-. 「日本野生
動物医学会誌」 19(1):1-7.
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.10 三つ子の魂百まで.
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=20648 (2014
年 4 月 17 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.11 ゴリラのおうち~新しいゴリラ展
示に向けて~
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=21022 (2014
年 5 月 14 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.12 なんのために勉強するのか-京
都市動物園での比較認知研究-
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=21246 (2014
年 6 月 18 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.13 国際ゴリラワークショップで発表
してきました.
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=21695 (2014
年 7 月 27 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.14 子どもから大人へ~仲間のやり
たいことはしたくなる!?~
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=22354 (2014
年 9 月 22 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.15 わんぱくニイニ~「ふつう」に育
つこと part 3~
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=22616 (2014
年 10 月 21 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.16 ゴリラのお勉強 ~三人目の参
加者!?~
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=22958 (2014
年 11 月 26 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.17 弱者の知性 ~子どもなりの社
会の生き抜き方~
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=23089 (2014
年 12 月 11 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.18 京都市動物園の教育の取り組
み紹介
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=23593 (2015
年 1 月 29 日)
田中正之 (2014) ドクター・田中正之の「Edutainment in
Kyoto Zoo」 Vol.19 モモタロウがさわった!
http://www.doubutsu-no-kuni.net/?p=24007 (2015
年 3 月 2 日)
長尾充徳・釜鳴宏枝・山本裕己・高井進・田中正之
(2014) 京都市動物園における人工哺育ニシゴリラ
(Gorilla gorilla) 乳児の早期群れ復帰事例. 「霊長類
研究」 30:197-208.
中村美知夫 (2014) マハレのチンプ (ん?) 紹介―第
23 回 ターニー. 「マハレ珍聞」 23:4.
中村美知夫 (2014) マハレのきのこ:第 4 回 トンガリ頭
の「きのこの山」― ムトゥリ. 「マハレ珍聞」 23:6.
中村美知夫 (2014) トングウェ・ランドにおける動物知識
の変容―マハレ周辺の人びとはどれだけ野生動物を
知っているか. 「生態人類学会ニュースレター」
20:2-4.
中村美知夫 (2015) 森の中で動物と出会う. 「動物と出
会う I: 出会いの相互行為」木村大治 (編), ナカニ
シヤ pp. 79-81.
西江仁徳 (2014) マハレ珍道中:第 3 回 広大なタンガ
ニイカ湖をボートで行く. 「マハレ珍聞」 23:1-2.
西江仁徳 (2015) 出会うべきか, 出会わざるべきか:動
物研究者の抱えるジレンマと「二つのわかり方」. 「動
物と出会うⅡ:心と社会の生成」木村大治 (編), ナカ
ニシヤ出版, pp. 88-90.
33
― 33 ―
花村俊吉 (2015) サルと出遇い, その社会に巻き込ま
れる:観察という営みについての一考察.「動物と出会
うⅠ:出会いの相互行為」木村大治 (編), ナカニシ
ヤ出版, pp. 87-104.
平賀真紀, 小川直子, 富岡由香里, 小倉典子, 小林和
彦, 渡辺聡史, 齋藤憲弥, 森村成樹 (2015) 飼育チ
ンパンジーの赤ん坊が同居個体の社会行動におよ
ぼす影響:社会的エンリッチメントの観点からの事例
報告. 「動物園水族館雑誌」 55(4), 95-103.
平田聡 (2014) チンパンジーのこころの時間. 「Brain
Medical」 26(1):10-15.
平田聡 (2014) 共感の進化. 梅田聡 (編) 岩波講座「コ
ミュニケーションの認知科学 2 共感」, pp. 53-77. 岩
波書店.
平田聡 (2014) 日本初のボノボ研究. 「科学」
84:404-405.
平田聡 (2014) ボノボの社会と認知研究. 「科学」
84:922-923.
平田聡 (2014) 日本初のボノボ研究. 「どうぶつと動物
園」 66(4):41.
平田聡 (2015) 社会的知性の進化. 「Clinical
Neuroscience」 33:143-146.
堀裕亮, 藤田和生, 瀧本彩加, 坪山佳織, 沓掛展之,
井上‐村山美穂 (2014) 御崎馬におけるドーパミン受
容体 D4 遺伝子の多型解析. 「DNA 多型」 22:42-44.
松沢哲郎, 山極寿一, 伊谷原一 (2014) 公益財団法人
日本モンキーセンター-「自然の窓」としての動物園
-.ちびっ子チンパンジーと仲間たち第 152 回 「科
学」 84 (8) :842-843.
村山美穂 (2014) 答えはひとつではない.研究者にな
る!「京都大学男女共同参画センターNews Letter た
ちばな」 59:4.
村山美穂 (2015)犬の性格を遺伝子からみる―作業犬
の選択のために―ヒトと動物の関係学会第 20 回大会
シンポジウム 2/イヌはどこまで理解されたか. 「ヒトと
動物の関係学会誌」 39:49-56.
綿貫宏史朗, 落合知美, 平田聡, 森村成樹, 友永雅己,
伊谷原一, 松沢哲郎 (2014) 日本におけるチンパン
ジー飼育の変遷 (1926-2013) .「霊長類研究」
30:147-156.
執筆文章 (英文)
Abe H, Inoue-Murayama M (2014) Structural variation of
G protein-coupled receptor in birds. Receptors &
Clinical Investigation 1:200–207.
Ando H, Emura N, Denda T, Nakahama N, Inoue-Murayama M, Isagi Y (2014) Development of
microsatellite markers for the coastal shrub Scaevola
taccada (Goodeniaceae). Applications in Plant Sciences 2(5):1300094.
Endo Y, Nash M, Hoffmann AA, Slatyer R, Miller AD
(2014) Comparative phylogeography of alpine invertebrates indicates deep lineage diversification and historical refugia in the Australian Alps. Journal of Biogeography. 42:89–102.
Fukuda T, Katayama M, Kinoshita K, Kasugai T, Okamoto H, Kobayashi K, Kurita M, Soichi M, Donai K,
Uchida T, Onuma M, Sone H, Isogai E, Inoue-Murayama M (2014) Primary fibroblast cultures
and karyotype analysis for the olive ridley sea turtle
(Lepidochelys olivacea) . In Vitro Cellular & Devel-
opmental Biology - Animal 50:381–383.
Garai C, Furuichi T, Kawamoto Y, Ryu H, Inoue-Murayama M (2014) Androgen receptor and
monoamine oxidase polymorphism in wild bonobos.
Meta Gene 2:831–843.
Idani G (2014) Origin of the human family. Genes and
Environment 36(3): 89–94.
Kaneko T, Ito H, Sakamoto H, Onuma M, Inoue-Murayama M: (2014) Sperm preservation by
freeze-drying for the conservation of wild animals.
PLOS ONE e113381.
Kishida T, Thewissen JGM, Hayakawa T, Imai H, Agata
K (2015) Aquatic adaptation and the evolution of
smell and taste in whales. Zoological Letters 1:9.
McGrew WC, Matsumoto T, Nakamura M, Phillips CA,
Stewart FA (2014) Experimental primate archaeology:
Detecting stone handling by Japanese macaques
(Macaca fuscata). Lithic Technology 39:113–121.
Mitani, Y, Iwahara Y, Otsuki M, Nishizawa B, Mizuguchi
D, Haba S, Sekiguchi K, Mizuno H, Sakurai Y (2014)
Marine debris observed in the North Pacific during
Oshoro-maru cruise in 2012. Bulletin of Fisheries
Sciences, Hokkaido University 64(1):25–29.
Miyagawa-Kohshima K, Miyahara H, Uchida S (2014).
Embryonic learning of chemical cues via the parents’
host in anemonefish (Amphiprion ocellaris). Journal
of Experimental Marine Biology and Ecology
457:160–172.
Morimura N, Ohashi G, Matsuzawa T (2014) A survey of
the savanna vegetation in Bossou, Guinea. Pan Africa
News 21:22–24.
Nakabayashi M, Nakashima Y, Bernard H, Kohshima S
(2014) Utilization of gravel roads and roadside forests
by common palm civet (Paradoxurus hermaphroditus)
in Sabah, Malaysia. Raffles Bulletin of Zoology
62:379–388.
Nakamura M (2014) Discriminating Saba and Landolphia
seeds in chimpanzee feces at Mahale. Pan Africa
News 21:3–6.
Nakamura M (2015) A comment to “Embracing in a wild
group of Yakushima macaques (Macaca fuscata yakui)
as an example of social customs” by Nakagawa et al.
Current Anthropology 56:114–115.
Nakamura M, Itoh N (2015) Larger chimpanzee-dispersed
seeds are elongated at Mahale, Tanzania: possible
consequence of plant-disperser interaction? Journal of
Tropical Ecology 31:183–186.
Ogawa H, Yoshikawa M, Idani G (2014) Sleeping site
selection by savanna chimpanzees in Ugalla, Tanzania.
Primates 55:269–282.
Sekiguchi K, Onishi H, Sasaki H, Haba S, Iwahara Y,
Mizuguchi D, Otsuki M, Saijo D, Nishizawa B, Mizuno H, Hoshi N, Kamito T (2014) Sightings of the
western stock of North Pacific right whales
(Eubalaena japonica) in the far southeast of the
Kamchatka Peninsula. Marine Mammal Science
30:1199–1209.
Slatyer RA, Nash MA, Miller AD, Endo Y, Umbers KD,
Hoffmann AA (2014) Strong genetic structure corresponds to small-scale geographic breaks in the Australian alpine grasshopper Kosciuscola tristis. BMC
Evolutionary Biology. 14:204–216.
34
― 34 ―
Tawa Y, Jono T, Numata H (2014) Circadian and temperature control of activity in Schlegel’s Japanese
gecko, Gekko japonicus (Reptilia: Squamata:
Gekkonidae). Current Herpetology 33:121–128.
Ueda S, Kumagai G, Otaki Y, Yamaguchi S, Kohshima S
(2014) A Comparison of facial color pattern and gazing behavior in canid species suggests gaze communication in gray wolves (Canis lupus). PLoS ONE
9(6): e98217.
Uetake J, Tanaka S, Hara K, Tanabe Y, Samyn D, Motoyama H, Imura S, Kohshima S (2014) Novel biogenic
aggregation of moss gemmae on a disappearing African glacier. PLoS ONE 9(11): e112510.
Wilson ML, Boesch C, Fruth B, Furuichi T, Gilby IC,
Hashimoto C, Hobaiter CL, Hohmann G, Itoh N,
Koops K, Lloyd JN, Matsuzawa T, Mitani JC, Mjungu
DC, Morgan D, Muller MN, Mundry R, Nakamura M,
Pruetz J, Pusey AE, Riedel J, Sanz C, Schel AM,
Simmons N, Waller M, Watts DP, White F, Wittig RM,
Zuberbuhler K, Wrangham RW (2014) Lethal aggression in Pan is better explained by adaptive strategies
than human impacts. Nature 513:414–417.
Yoshida YM, Morisaka T, Sakai M, Iwasaki M, Wakabayashi I, Seko A, Kasamatu M, Akamatu T, Kohshima S (2014) Sound variation and function in captive Commerson’s dolphins (Cephalorhynchus commersonii). Behavioural Processes 108:11–19.
Zamma K, Ramadhani L, Hamisi B, Rehani B, Kabugonga S (2014) Chimpanzee distribution around the
northern boundary of the Mahale Mountains National
Park, Tanzania. Pan Africa News 21:10–12.
学会等での発表・講演 (日本語)
飯田恵理子, 伊谷原一 (2014) 西部タンザニア, ミオン
ボ疎開林におけるブッシュハイラックスの巣穴利用.
日本アフリカ学会. (2014/05, 京都).
石塚真太郎, 松永雅之, 島田かなえ, 山梨裕美, 田中
正之 (2014) 京都市動物園におけるアカンボウチン
パンジーの近接関係の変化に伴う行動発達. SAGA17 シンポジウム. (2014/11, 茨城).
石塚真太郎, 松永雅之, 島田かなえ, 田中正之, 山梨
裕美 (2015) 同年代個体のいない飼育下赤ん坊チ
ンパンジーの社会行動とその相手. ず~ぜよ。動物
園大学⑤ in 高知. (2015/03, 高知).
伊谷原一 (2014) 新しいモンキーセンターの動物園構
想. 日本霊長類学会大会・特別シンポジウム.
(2014/07, 大阪).
伊藤英之, Langenhorst T, Rob Ogden R, 井上‐村山美
穂 (2014) マイクロサテライトマーカーを用いたシマ
ウマ 3 種の遺伝構造の解析. 日本野生動物医学会.
(2014/09, 茨城).
井上-村山美穂, 山田一憲, 井上英治, 大西賢治, 栗
原洋介, 早川祥子, 風張喜子, 中川尚史 (2014) ニ
ホンザルにおける寛容性に関わる候補遺伝子の個体
群間比較. 日本哺乳類学会. (2014/09 京都).
大西賢治, 山田一憲, 中道正之, 井上英治, 齋藤慈子,
長谷川寿一, 井上-村山美穂 (2014) ニホンザルに
おける社会性の個体差に影響する遺伝子. 日本哺
乳類学会. (2014/09, 京都).
大屋賢司, 安田早織, 高島康弘, OWUSU Erasmus,
KAYANG Boniface, 村山美穂, 福士秀人:ガーナ共
和国の野鳥および家畜におけるクラミジア保有状況
の調査. 第 32 回クラミジア研究会. (2014/09, 京都).
岡部光太, 髙木直子, 塩田幸弘, 田中正之 (2014) 飼
育下レッサーパンダの同居時の行動変化と個体差.
日本哺乳類学会. (2014/09, 京都)
鏡味芳宏, 荒木謙太, 綿貫宏史朗, 堀込亮意, 木村直
人, 伊谷原一 (2014) 日本モンキーセンターにおけ
る環境エンリッチメントの取り組み.第 17 回 SAGA シン
ポジウム. (2014/11, 茨城).
風張喜子, 井上英治, 杉浦陽子, 井上-村山美穂:野
生ニホンザルで起きた家系レベルの優劣関係の逆転.
日本霊長類学会. (2014/07, 大阪).
片山雅史, 土内憲一郎, 清野透, 大沼学, 西森克彦,
村山美穂, 福田智一:変異型ヒト CDK4, CyclinD,
hTERT 発現による鳥類の不死化細胞の樹立の試み
日本野生動物医学会. (2014/09, 茨城).
金子武人, 伊藤英之, 坂本英房, 大沼学, 村山美穂:
希少動物におけるフリーズドライ精子保存法の確立
及び配偶子バンクの設立. 日本野生動物医学会.
(2014/09, 茨城).
金子祐希, 佐々木智子, 伊藤二三夫, 田中正之
(2015) フンボルトペンギンの繁殖期におけるコミュニ
ケーションと個体間関係について. ず~ぜよ。動物
園大学⑤ in 高知. (2015/03, 高知).
岸田拓士 (2014) 脳とゲノムから探るヒゲクジラの嗅覚能
力の進化. 日本進化学会. (2014/08, 大阪).
岸田拓士 (2014) 鯨類の嗅覚能力とその進化. 日本哺
乳類学会. (2014/09, 京都).
木下こづえ, 仲澤伸子, 井上英治, Tsenkova Roumiana,
井上-村山美穂, 伊谷原一 (2014)近赤外分光法を
用 い た ヒ ョ ウ (Panthera pardus) お よ び サ ー バ ル
(Leptailurus serval) の種および雌雄判別. 日本野生
動物医学会. (2014/09, 茨城).
酒井麻衣, 北 夕紀, 小木万布, 篠原正典, 森阪匡通,
椎名 隆, 井上-村山美穂 (2014) 野生ミナミハンドウ
イルカにおける養子とりの観察. 日本哺乳類学会.
(2014/09, 京都).
榊原香鈴美, 小木万布, 酒井麻衣, 森阪匡通, 幸島司
郎 (2014) 野生イルカはどのように水中遊泳者に接
近するか? 日本動物行動学会. (2014/11, 長崎).
佐々木智子・伊藤二三夫・伊藤英之・吉田信明 (2015)
データロガーを用いたフンボルトペンギンの抱卵温度
と角度の測定. ず~ぜよ。動物園大学⑤ in 高知.
(2015/03, 高知).
佐藤悠, 伊藤英之, 大沼学, 前田琢, 井上-村山美
穂:次世代シーケンサーを用いたイヌワシのマイクロ
サテライトマーカーの開発と遺伝的多様性の解析.
日本生態学会. (2015/03, 鹿児島).
澤栗秀太, Sukumar R, 幸島司郎 (2014) 南インド, ムド
ゥマライ国立公園のドール (Cuon alpinus) の巣を変
える行動の過程, 原因と機能. 日本哺乳類学会.
(2014/09, 京都).
塩田幸弘, 伊藤英之, 河村あゆみ, 濱崎勤, 岡橋要,
佐藤元治, 田中正之 (2014) 大型草食獣に給餌し
ている樹葉の栄養評価について. 第 62 回動物園技
術者研究会. (2014/10, 愛媛).
杉浦秀樹 (2014) カメラトラップを用いたヤクシマザルの
密度推定. 日本霊長類学会. (2014/07, 大阪).
杉浦秀樹 (2014) 震災後の宮城県金華山島での調査
活動. 日本霊長類学会・自由集会. (2014/07, 大
阪).
杉浦秀樹 (2015) 屋久島の一次林と二次林における
35
― 35 ―
中・大型動物の生息密度の比較. 日本生態学会.
(2015/03, 鹿児島).
杉本親要, 井上 村山美穂, 池田 譲 (2015) 頭足類の
社会性に関する研究-⑭アオリイカのソーシャルネット
ワークと群れ構成員の遺伝的組成. 日本水産学会.
(2015/03, 東京).
高橋明子, 鈴村崇文, 冠地富士男, 山口直嗣, 杉浦秀
樹, 伊谷原一 (2015) ニホンザルの生涯にわたる体
重曲線と環境・順位との関係. 日本生態学会.
(2015/03, 鹿児島).
田中正之 (2014) 国際ゴリラワークショップに行ってきま
した. SAGA17 シンポジウム. (2014/11, 茨城).
田中正之, 伊藤二三夫, 佐々木智子, 長尾充徳
(2014) 京都市動物園における新しいニシゴリラ展示
と管理の方法. 日本霊長類学会. (2014/07, 大阪).
田中正之, 長尾充徳, 伊藤二三夫, 佐々木智子
(2014) 京都市動物園のニシゴリラ新展示施設におけ
る行動評価―樹上性のゴリラを見せることができるか.
第 62 回動物園技術者研究会. (2014/10, 愛媛).
田中正之, 前垣慧, 長尾充徳, 伊藤二三夫, 佐々木智
子, 和田晴太郎, 吉田信明 (2014) 京都市動物園
のニシゴリラ新展示施設における行動評価―樹上性
のゴリラを見せることができるか. SAGA17 シンポジウ
ム. (2014/11, 茨城).
田中正之, 松永雅之, 島田かなえ, 伊藤二三夫, 佐々
木智子 (2015) 動物園飼育の霊長類における系列
学習. 第 59 回プリマーテス研究会. (2015/01, 愛
知).
田中正之, 吉田信明, 和田晴太郎 (2015) タブレット端
末を用いた来園者が参加できる動物行動記録アプリ
ケーション開発. ず~ぜよ。動物園大学⑤ in 高知.
(2015/03, 高知).
田和優子, Sah SAM, 田中正之, 幸島司郎. 野生マレ
ーバクの塩場利用. 日本哺乳類学会. (2014/09, 京
都).
土田さやか, 佐藤康弘, 田中正之, 和田晴太郎, 長尾
充徳, 村山美穂, 牛田一成:宿主を特徴づける腸内
乳酸菌―ゴリラにはゴリラの乳酸菌!! ず~ぜよ。
動物園大学⑤ in 高知. (2015/03, 高知).
寺本研, 山梨裕美, 森裕介, 野上悦子, 森村成樹, 平
田聡 (2014) 熊本サンクチュアリにおける体毛中コル
チゾル測定の試み. SAGA17 シンポジウム. (2014/11,
茨城).
寺本研, 山梨裕美, 森裕介, 野上悦子, 森村成樹, 平
田聡 (2015) チンパンジーの体毛からストレスを測定
する:熊本サンクチュアリの試み. ず~ぜよ。動物園
大学⑤in 高知. (2015/03, 高知).
中村美知夫 (2014) 調査地の周辺住民や関係者への
配慮と問題点―とくに海外のフィールドにおいて. 日
本霊長類学会大会・自由集会 1「霊長類の野外研究
における倫理的課題―PSJ 版野外研究ガイドライン
策定にむけて」. (2014/07, 大阪).
中村美知夫 (2014) 動物は「非」人間か?―「人間・動
物・もの」に関する一考察. 「もの」の人類学的研究
(2) (人間/非人間のダイナミクス) 第 4 回研究会.
(2014/12, 東京).
西江仁徳 (2014) 「金子守恵『行為を記述する可能性:
エチオピア西南部における学校のノートの取りあつか
われ方を事例に』」に対するコメント. 京都人類学研
究会. (2014/10, 京都).
西江仁徳 (2014) 野生チンパンジーの行動の地域差と
「文化」. 日本アフリカ学会中部支部 2014 年度第 1
回 例 会 兼 中 部 人類 学 談話会 第 225 回 例会 .
(2014/10, 愛知).
萩原慎太郎, 井亀徹, 藤井修, 菅里美, 原田昌治, 井
上和彦, 森村成樹, 田中正之, 杉浦秀樹, 岡本智
伸, 伊藤秀一 (2015) 飼育下アジアゾウにおける採
食に関した鼻を使う行動の左右差. 日本家畜管理学
会・応用動物行動学会. (2015/03, 栃木).
橋本直子, 小倉匡俊, 小山奈穂, 田口勇輝, 萩原慎太
郎 , 三 家 詩 織 , 山 崎 彩 夏 , 山 梨 裕 美 (2014)
SHAPE-Japan の活動紹介~エンリッチメントをみんな
で形に!~. SAGA17 シンポジウム. (2014/11, 茨
城).
花村俊吉 (2014) チンパンジー社会における「他者」:不
意に到来するよそ者の声, 新入りメスと在住個体の
ふるまい方の違い. 人類社会の進化史的基盤研究
(3) 2014 年度第 1 回研究会. (2014/06, 東京).
花村俊吉 (2014) チンパンジーの長距離音声を介した
相互行為と視覚を超えたゆるやかなまとまり. 日本霊
長類学会. (2014/07, 大阪).
早川卓志, 井上英治, 松尾ほだか, Koops K, 村山美穂,
橋本千絵, 松沢哲郎, 今井啓雄 (2015) 野生チン
パンジーにおける苦味受容体の遺伝的多様性と進
化. プリマ-テス研究会 (2015/01, 愛知).
平田聡 (2014) チンパンジーの協力行動. 第 4 回社会
神経科学研究会「社会認知とコミュニケーション」.
(2014/07, 愛知).
藤澤加悦・古田洋・佐藤英雄・栗原幹尚・太田真琴・山
本香織里・田中正之 (2014) 飼育下におけるインドゾ
ウの夜間行動観察. 日本哺乳類学会. (2014/09, 京
都).
村山美穂 (2014) グラスカッタープロジェクトの概要. 公
開セミナー「ガーナを知ろう!」 (2014/11, 京都).
村山美穂 (2014) 共感性に関わる候補遺伝子の種間比
較. 共感性の進化・神経基盤第 2 回領域会議.
(2015/01, 奈良).
村山美穂 (2014) 遺伝子から野生動物との共存を考え
る. 京都大学附置研究所・センターシンポジウム 京
都からの提言. (2015/03, 広島).
Mobuli J, 岡安直比, 伊谷原一 (2014) コンゴ民主共和
国, マレボ地区のボノボ保護プロジェクト―バンドゥン
ドゥ州におけるボノボ研究とツーリズム開発の可能性
について. 日本アフリカ学会 (2014/05, 京都).
森裕介, 森村成樹 (2014) 飼育チンパンジーのスクリー
ム 音 声 に お け る 個体 差 . SAGA17 シ ン ポ ジ ウ ム .
(2014/11, 茨城).
森裕介, 森村成樹 (2015) 自動分析機器を用いた飼育
チンパンジーの夜間睡眠. ず~ぜよ。動物園大学⑤
in 高知. (2015/03, 高知).
森村成樹 (2014) 飼育下チンパンジーに離合集散社会
を導入する. 日本哺乳類学会・自由集会. (2014/09,
京都).
森村成樹 (2015) 野生チンパンジーにおける葉の道具
製作の三次元構造分析. 日本応用動物行動学会.
(2015/03, 栃木).
山極寿一, 伊谷原一, 松沢哲郎 (2014) 新生日本モン
キーセンターと国際学術誌 PRIMATES の未来. 日本
霊長類学会大会・特別シンポジウム. (2014/07, 大
阪).
山梨裕美, 松永雅之, 島田かなえ, 門竜一郎, 小林幸
雄, 田中正之 (2014) 杵つきする飼育チンパンジ
ー?:チンパンジーの道具使用行動を促すフィーダ
ー の 作 成 と そ の 評 価 . SAGA17 シ ン ポ ジ ウ ム .
36
― 36 ―
(2014/11, 茨城).
山梨裕美, 松永雅之, 島田かなえ, 門竜一郎, 小林幸
雄, 田中正之 (2015) 飼育チンパンジーの道具使用
行動を促すフィーダーの導入とその評価:新しい行
動の獲得と福祉への影響の検討. 日本応用動物行
動学会. (2015/03, 栃木).
吉川翠, 小川秀司, 小金沢正昭, 伊谷原一 (2014) タ
ンザニア西部ウガラ地域の乾燥疎開林に生息するチ
ンパンジーの採食物. 日本霊長類学会. (2014/07,
大阪).
吉田信明, 田中正之, 和田晴太郎 (2014) タブレット端
末を用いた来園者参加による動物行動記録アプリケ
ーション. SAGA17 シンポジウム. (2014/11, 茨城)
吉田信明, 田中正之, 和田晴太郎 (2014) 行動記録を
通じた動物の理解のための動物園動物観察アプリケ
ーションの開発. 第 130 回情報システムと社会環境
研究発表会. (2014/12, 福岡).
吉田信明, 田中正之, 和田晴太郎 (2014) 動物園にお
けるセンサーデータ活用に向けた飼育管理システム
の開発. 第 130 回情報システムと社会環境研究発表
会. (2014/12, 東京).
吉田信明, 田中正之, 和田晴太郎 (2014) タブレット端
末を用いた動物行動観察アプリケーション. 第 55 回
日本動物園水族館教育研究会. (2014/12, 宮城).
吉田信明, 田中正之, 和田晴太郎 (2015) 動物園にお
ける多様な動物データの収集・蓄積とその活用に向
けて. ず~ぜよ。動物園大学⑤ in 高知. (2015/03,
高知).
吉田弥生 (2015) イロワケイルカにおける音声研究の可
能性. 第 10 回犬山比較社会認知シンポジウム.
(2015/02, 愛知).
和田晴太郎, 田中正之 (2015) 動物園だからできる教
育プログラムの一例~全身骨格組立の実践例~. 日
本生物教育学会第 98 回全国大会. (2015/01, 愛
媛).
綿貫宏史朗, 落合知美, 打越万喜子, 友永雅己, 伊谷
原一, 松沢哲郎 (2014) 日本のいけるゴリラ飼育の
変遷. 第 17 回 SAGA シンポジウム. (2014/11, 茨城).
学会等での発表・講演 (英語)
Adenyo C, Hayano A, Inoue E, Kayang BB, Owusu EH,
Inoue-Murayama M (2014) Marker development for
the genetic improvement of grasscutter. Ghana Grasscutter Project Farmers Training Workshop: Equipping
Farmers for Successful Grasscutter Production.
(2014/10, Ghana).
Ando H, Setsuko S, Horikoshi K, Suzuki H, Umehara S,
Hanya G, Inoue-Murayama M, Isagi Y (2014) Feeding
ecology and conservation of the endangered
red-headed wood pigeon in isolated and disturbed
oceanic island habitat. Island Biology. (2014/07,
USA).
Fukuda T, Donai K, Eitsuka T, Kurita M, Saito T, Okamoto H, Kinoshita K, Katayama M, Soichi M, Uchida
T, Onuma M, Sone H, Inoue-Murayama M, Kiyono T
(2014). Primary cell culture and immortalized cells
from Loggerhead sea turtle, and establishment as the
ideal material for the genomic analysis with next generation sequencing. Unraveling Biodiversity from
DNA: From the Management of Databases to the Use
of Next Generation Sequencers. (2014/09, Ibaragi)
Hanazuka Y, Tanaka M, Midorikawa A (2014) The effect
of animal keepers on the drawing behavior of a Bornean orangutan (Pongo pygmaeus). International Primatological Society XXV Congress. (2014/08, Vietnam).
Hirata S (2014) The science of mental time. The 74th
Annual Meeting of the Japanese society for AnimalPsychology. (2014/07, Aichi).
Hirata S (2014) Introduction to Kumamoto Sanctuary,
Wildlife Research Center, Kyoto University. PWS Interim Symposium. (2014/08, Kyoto).
Hirata S (2015) Experimental studies of social intelligence in chimpanzees. BioAnth Seminar Series.
(2015/03, UK).
Hirata S (2015) Experimental studies of social intelligence in chimpanzees. Animal Talks. (2015/03, UK).
Hirata S (2015) Experimental studies of social intelligence in chimpanzees. Invited Lecture at Max Planck
Institute for Evolutionary Anthropology (2015/03,
Germany).
Hirata S, Matsuzawa T, Arroyo A, Robson S, de la Torre I
(2014) Captive chimpanzee nut-cracking and Oldowan
stone tools. International Conference on Percussive
Technology and Human Evolution. (2014/09, UK).
Inoue E, Fujita S, Ando C, Akomo-Okoue EF,
Nze-Nkogue C, Inoue-Murayama M, Yamagiwa J
(2014) Individual identification by fecal dna analyses
in a western gorilla group. The 25 th Congress of the
International Primatological Society. (2014/08, Vietnam).
Inoue-Murayama M (2014) Application of DNA/cell
database for wildlife conservation. Unraveling Biodiversity from DNA: From the Management of Databases to the Use of Next Generation Sequencers.
(2014/09, Ibaragi).
Inoue-Murayama M (2014) Why we starded grasscutter
project. Ghana Grasscutter Project Farmers Training
Workshop: Equipping farmers for successful grasscutter production. (2014/10, Ghana).
Ito H, Langenhorsnst T, Ogden R, Inoue-Murayama M
(2014) Cross-species amplification of microsatellite
markers in three zebra species. The 3rd International
Seminar on Biodiversity and Evolution. (2014/06,
Kyoto).
Ito H, Langenhorst T, Ogden R, Inoue-Murayama M
(2014) Cross-species amplification of microsatellite
markers in three zebra species. Unraveling Biodiversity from DNA: From the Management of Databases
to the Use of Next Generation Sequencers. (2014/09,
Ibaragi).
Kaneko T, Ito H, Sakamoto H, Onuma M, Murayama M:
Sperm banking using freeze-drying in endangered
animals. Unraveling Biodiversity from DNA: From
the Management of Databases to the Use of Next
Generation Sequencers. (2014/09, Ibaragi).
Kinoshita K, Takai A, Sano Y, Shimahara N, Okada A,
Kuze N, Ozaki Y, Inoue-Murayama M, Idani G (2014)
Urinary sex steroid hormone and protease concentrations in live birth and stillbirth of Bornean orangutans
(Pongo pygmaeus). From Molecule to Culture. Kyoto
University and Bogor Agricultural University International Symposium “Diversity and Conservation of
37
― 37 ―
Asian Primates-The 4th International Congress on
Asian Primates” A Post-Congress Symposium to 25th
Congress of the International Primatological Society.
(2014/08, Indonesia).
Kishida T (2014) Toothed whale olfaction. The 3rd International Workshop on Tropical Biodiversity and Conservation (2014/09, Tanzania).
Kishida T (2015) Evolution of the sense of smell in cetaceans: do baleen whales use olfaction in foraging?
Tokai Univ. IIST International Symposium: Baleen
Whale Behavior. (2015/02, Shizuoka).
Murayama M (2014) Activity in Ghana. PWS Symposium.
(2014/08, Kyoto).
Murayama M (2014) Genetic background of social behavior. PWS Symposium. (2015/03, Kyoto).
Nagao M, Itoh F, Sasaki T, Tanaka M (2014) New approach for husbandry and exhibition of western gorillas in Kyoto City Zoo. International Gorilla Workshop
(2014/06, USA).
Nagao M, Itoh F, Sasaki T, Tanaka M (2014) Reintroduction of an infant gorilla at Kyoto City Zoo. International Gorilla Workshop. (2014/06, USA).
Nakabayashi M, Ahmad AH, Kohshima S (2014) Feeding
strategy of frugivorous carnivores in Borneo: Comparison with frugivorous primates. 51st Annual Meeting of the Association for Tropical Biology and Conservation. (2014/07, Australia).
Nakabayashi M, Ahmad AH, Kohshima S (2014) Fruit
selection of frugivorous carnivores; palm civets. The
3rd Asia Regional Conference of the Society for Conservation Biology. (2014/08, Malaysia).
Nakamura M (2014) Behavioral diversity among wild
chimpanzees. International Union of Anthropological
and Ethnological Sciences 2014 (IUAES 2014).
(2014/05, Chiba).
Nakamura M (2014) Recent findings from long-term
studies of Mahale chimpanzees. The 3rd International
Workshop on Tropical Biodiversity and Conservation.
(2014/09, Tanzania).
Nakamura Miho (2014) Visible?/invisible? Fieldwork
with video equipment. PWS Interim Symposium.
(2014/08, Kyoto).
Nishie H, Inoue E, Matsusaka T, Nakamura M, Zamma K
(2014) Leaf-clipping is not a token of “courtship display”: from the descriptions of leaf-clipping behavior
by the M group chimpanzees at Mahale, Tanzania. The
25th Congress of the International Primatological Society. (2014/08, Vietnam).
Ochiai T, Watanuki K, Udono T, Idan G, Tomonaga M,
Hirata S, Morimura N, Matsuzawa T (2014) The early
history of captive chimpanzees in Japan. The Annual
Meeting of the Japanese Society for Animal Psychology. (2014/07, Aichi).
Sakakibara K, Sakai M, Morisaka T, Kogi K, Kohshima S
(2014) How do wild dolphins approach toward underwater swimmers? The 3rd International Workshop
on Tropical Biodiversity and Conservation. (2014/09,
Tanzania).
Sakakibara K, Sakai M, Morisaka T, Kogi K, Kohshima S
(2015) Differences of “inquiring” behaviors to human
by sex and age class in the wild dolphins, International
Symposium “Baleen Whale Behavior”. (2015/02,
Shizuoka).
Sato Y, Ito H, Onuma M, Maeda T, Inoue-Murayama M
(2014) Developing new microsatellite markers using
next generation sequencer for endangered golden eagle. Unraveling Biodiversity from DNA: From the
Management of Databases to the Use of Next Generation Sequencers. (2014/09, Ibaragi).
Sawaguri S, Sukumar R, Kohshima S (2014) Den shifting
by wild dholes (Cuon alpinus) in Mudumalai Tiger
Reserve, southern India. The 3rd International Seminar on Biodiversity and Evolution (The JSPS Core to
Core Program). (2014/06, Kyoto).
Sawaguri S, Sukumar R, Kohshima S (2014) Pup rearing
by dholes (Cuon alpinus) in and around a den near
Mudumalai Tiger Reserve, southern India. The 3rd International Workshop on Tropical Biodiversity and
Conservation (The JSPS Core to Core Program).
(2014/09, Tanzania).
Sugiura H (2014) Long-term study of wild Japanese
macaques. The 3rd International Workshop on Tropical Biodiversity and Conservation. (2014/09, Tanzania).
Takahashi A, Suzumura T, Arnaud C, Inoue-Murayama
M, Kanchi F, Yamaguchi N, Sugiura H, Idani G: Polulation viability analysis in Koshima island, Japan.
The 25th Congress of the International Primatological
Society. (2014/08, Vietnam).
Takahashi A (2014) Koshima Field Station. The 1st PWS
Interim Symposium. (2014/08, Kyoto).
Takahashi A (2015) Does an individual’s growth in body
weight at early stage affect its reproductive output?
The 2nd Annual Symposium of Leading Graduate
Program in Primatology and Wildlife Science.
(2015/03, Kyoto).
Tanaka M, Shimada K, Matsunaga M (2014) Serial
learning and metacognition in a white-handed gibbon
(Hylobates lar). International Primatological Society
XXV Congress (2014/08, Vietnam).
Tanaka M (2015) Serial learning in zoo primates: To
make an exhibition of primate intelligence. The 2nd
Annual Symposium of Leading Graduate Program in
Primatology and Wildlife Science. (2015/03, Kyoto).
Tanaka M, Ito F, Sasaki T, Nagao M (2014) Cognitive
studies in western gorillas (Gorilla gorilla): An introduction of Kyoto City Zoo. The 1st PWS Interim
Symposium (2014/08, Kyoto).
Tanaka M, Ito F, Sasaki T, Nagao M (2014) Cognitive
studies in western gorillas (Gorilla gorilla): An introduction of Kyoto City Zoo. The 25th Congress of the
International Primatological Society. (2014/08, Vietnam).
Tawa Y, Sah SAM, Kohshima S (2014) Vocalization as
short-distance communication in wild Malayan tapir
(Tapirus indicus). The 3rd International Seminar on
Biodiversity and Evolution (The JSPS Core to Core
Program). (2014/06, Kyoto).
Tawa Y, Sah SAM, Matsubayashi H, Kohshima S (2014)
Utilization of salt licks by wild Malayan tapirs. The
3rd International Workshop on Tropical Biodiversity
and Conservation (The JSPS Core to Core Program).
(2014/09, Tanzania).
Yamanashi Y (2015) Welfare studies of captive chimpan-
38
― 38 ―
zees: Development of practical methodologies to
monitor and alleviate stress at a sanctuary and zoos in
Japan. The 2nd Annual Symposium of Leading Graduate Program in Primatology and Wildlife Science.
(2015/03, Kyoto).
Yamanashi Y, Teramoto M, Morimura N, Hirata S, Kinoshita K, Hayashi M, Suzuki J, Inoue-Murayama M,
Idani G (2014) Effects of relocation on long-term
stress level in captive chimpanzees using hair cortisol
measurement. The Annual Meeting of the Japanese
Society for Animal Psychology. (2014/07, Aichi).
Yamanashi Y, Teramoto M, Morimura N, Hirata S, Kinoshita K, Hayashi M, Suzuki J, Inoue-Murayama M,
Idani G (2014) Hair cortisol analysis of captive chimpanzees (Pan troglodytes): Stability and effects of
captive environment. The 25 th Congress of the International Primatological Society. (2014/08, Vietnam).
受賞
水口大輔, 角川雅俊, 幸島司郎, 「飼育下のアゴヒゲア
ザラシにおける水中音声を用いた鳴き交わし行動」,
2014 年度勇魚会シンポジウム口頭発表部門 研究発
表大賞.
新聞・雑誌・TV 等での紹介
「京都市動物園―連携―府立図書館 研究者お薦め本
を特集」 京都新聞. 2014 年 4 月 2 日 (田中正之).
「ワイルドライフ―世界遺産 屋久島 南限のニホンザル
悠久の森に抱かれて」 NHK 衛星放送 BS プレミアム
2014 年 4 月 14 日 (杉浦秀樹 取材協力).
「京都市動物園ニシゴリラ 新しい『おうち』ウホウホ」 朝
日新聞. 2014 年 4 月 28 日 (田中正之).
コープ月刊誌「クリム」取材. 生活協同組合連合会コー
プ九州事業連合. 株式会社博報堂プロダクツ. 2014
年 5 月 9 日 (鈴村崇文).
「ゴリラ 知性にタッチ 京都市動物園に『学習』用パネ
ル」 京都新聞. 2014 年 5 月 12 日 (田中正之).
「チンパンジーアユム 恋と青春の悩み」 CBC ニュース
「イッポウ」 2014 年 5 月 13 日 (中村美穂).
「ゴリラ 世代間で IT 格差?」 産経新聞 2014 年 5 月 16
日 (田中正之).
「ダーウィンが来た!生きもの新伝説―世界遺産 屋久
島 サルたちの波乱万丈生活」 NHK 総合テレビ.
2014 年 5 月 18 日, 再放送 2014 年 11 月 3 日 (杉浦
秀樹 取材協力).
「大自然の表情伝える『ネイチャー』―予想外のアングル
3D で」 毎日新聞. 2014 年 5 月 23 日 (中村美知夫).
「ワイルドライフ―沖縄やんばる 鳴いた!跳んだ!知ら
れざるカエル王国」 NHK 衛星放送 BS プレミアム.
2014 年 6 月 9 日 (中村美穂).
「『学べる動物園』プロ養成」 中日新聞. 2014 年 6 月 21
日 (田中正之).
「ゴリラ猛勉強 京都市動物園, 知性を研究・紹介」 朝
日新聞. 2014 年 6 月 23 日 (田中正之).
「滝川クリステルのベイビープラネット~希少動物の赤ち
ゃんを訪ねて~」. BS ジャパン 株式会社スマド. 2014
年 6 月 27 日 (鈴村崇文).
「島の魅力を訪ねて 幸島」. クリム 7 月号 生活協同組
合連合会コープ九州事業連合. 2014 年 7 月 1 日 (鈴
村崇文).
「指さしに隠された進化の秘密とは」 CBC ニュース「イッ
ポウ」. 2014 年 7 月 24 日 (中村美穂).
「僕も数字の猛勉強 京都市動物園 ゴリラのゲンタロウ」
毎日新聞 2014 年 7 月 26 日 (田中正之).
「『研究室』に行ってみた―京都大学野生動物研究セン
ター熊本サンクチュアリ 霊長類学―」 文・川端裕人.
ナショナルジオグラフィック. 2014 年 8 月 4 日~8 月 8
日 (平田聡).
「京都市動物園のゲンタロウ 数字学習に成果」 産経新
聞 2014 年 8 月 6 日 (田中正之).
「母ゴリラ子まね『学習』 京都市動物園のタッチパネル」
京都新聞 2014 年 8 月 28 日 (田中正之).
「歳のとり方も似ている人間とチンパンジー」 CBC ニュー
ス「イッポウ」. 2014 年 9 月 15 日 (中村美穂).
「『京人』 国内初 ゴリラの知性研究 京都市動物園生き
物・学び・研究センター長 田中正之さん」 産経新聞
2014 年 10 月 6 日 (田中正之).
「日本で唯一! 勉強するゴリラ」 CBC ニュース「イッポ
ウ」. 2014 年 10 月 29 日 (田中正之, 中村美穂).
「新九州遺産 日南海岸~都井岬」 宮崎放送. 2014 年
11 月 28 日 (鈴村崇文, 高橋明子).
「ゴリラ 数字を勉強中」 読売 KODOMO 新聞. 2014 年
12 月 18 日 (田中正之).
「ゴリラ『ゲンタロウ』3 歳に」 京都新聞. 2014 年 12 月 22
日 (田中正之).
「チンパンジー 高い高いで深まる親子のコミュニケーシ
ョン」 CBC ニュース「イッポウ」. 2014 年 12 月 23 日
(中村美穂).
「実験チンパンジー 静かな余生を」 産経新聞. 2015 年
2 月 3 日 (平田聡).
「 霊 長 類 を 通 じ て 突 き 詰 め る , ヒ ト と は 何 か ? Kyoto
University Academic Talk」 α-Station “Sunnyside
Balcony”. 2015 年 2 月 18 日 (伊谷原一).
「遺伝子解析 保護にも期待」 読売新聞. 2015 年 2 月 19
日朝刊 (村山美穗).
「Whales can't enjoy their food: Giant sea mammals have
lost the ability to detect all tastes except SALT.」
DailyMail (英国). 2015 年 2 月 27 日 (岸田拓士).
「鯨類 味分からず 海進出時に味・嗅覚失う―京大グル
ープ」 読売新聞 2015 年 3 月 16 日 (岸田拓士).
「のんびり ゆったり 路線バスの旅 スペシャル」 NHK 総
合. (株) VSQ. 2015 年 3 月 19 日放送 (鈴村崇文, 高
橋明子) .
「チンパンジー 息子が父を越えるとき」 (CBC ニュース
「イッポウ」. 2015 年 3 月 20 日 (中村美穂).
「チンパンジーが教えてくれる 人間ってすばらしい」
CBC「伝える」. 2015 年 3 月 22 日 (田中正之, 中村
美穂).
学会活動等
日本霊長類学会
評議員:伊谷原一, 村山美穂, 平田聡, 田中正之,
中村美知夫, 座馬耕一郎
理事:中村美知夫
39
― 39 ―
幹事:田中正之, 座馬耕一郎
生態人類学会
理事: 中村美知夫
日本アフリカ学会
評議員: 伊谷原一
ヒトと動物の関係学会
常任理事: 伊谷原一
評議員: 村山美穂
アフリカ/アジアの大型類人猿を支援する集い (SAGA)
世話役: 伊谷原一 (代表), 平田聡, 田中正之, 中
村美知夫
ボノボ研究ワンバ委員会
副委員長: 伊谷原一
日本動物遺伝育種学会
理事: 村山美穂
日本動物心理学会
編集委員: 平田聡
日本応用動物行動学会
評議委員:山梨裕美
IUCN/SSC Primate Specialist Group, the Great Ape Section
Member: 中村美知夫
Behaviour
Associate Editor: 平田聡
Primates
Associate Editor: 村山美穂, 中村美知夫, 平田聡
Scientific Reports
Editorial Board Member: 平田聡
Journal of Comparative Psychology
Associate Editor: 平田聡
African Study Monographs
編集委員: 中村美知夫
アフリカ研究
編集委員: 中村美知夫
公益社団法人日本動物園水族館協会
学術研究部員: 田中正之
屋久島学ソサエティ
運営委員: 杉浦秀樹 (2014 年 12 月まで)
理事: 杉浦秀樹 (2014 年 12 月~)
社会貢献
第 52 回中部財界セミナー「サルを知り, ヒトを知る」.
2015 年 2 月 6 日 (伊谷原一).
日本モンキーセンター・京都大学モンキーキャンパス「女
性が導く近隣関係:ボノボの社会から.」. 2014 年 8 月
17 日 (伊谷原一).
第四錦林小学校 2 年生 生活科の単元「まちたんけん」
野生動物研究センター見学の受入・解説. 2014 年 6
月 26 日 (杉浦秀樹, 村山美穂, 座馬耕一郎).
日本モンキーセンター研修受入. 2014 年 6 月 9~11 日
(高橋明子).
日本モンキーセンター研修受入 2014 年 7 月 1~3 日
(高橋明子).
平成 26 年度串間市建設業安全推進大会 特別講話「幸
島の野生ニホンザル」. 2014 年 6 月 23 日 (鈴村崇
文) .
「平成 26 年度くしま学講座」 幸島見学, 串間市教育委
員会主催. 2014 年 8 月 5 日 (鈴村崇文, 高橋明子).
宮崎県文化講座「ニホンザル~日本の霊長類学は宮崎
からはじまった~」, 宮崎県立図書館主催. 2014 年 7
月 26 日 (鈴村崇文).
熊本県立宇土高等学校・中学校スーパーサイエンスハ
イスクール特別授業「類人猿を通してヒトを知る」.
2014 年 7 月 8 日 (平田聡).
日本モンキーセンター研修受入. 2014 年 7 月 28~30 日
(高橋明子).
吉田弥生, 赤見理恵, 他 13 名 一般向けレクチャー「サ
ル・ヒト・キミ研究室 ~野生動物のふしぎにせまる!
」, 丸の内キッズジャンボリー, 東京, 2014 年 8 月
23-25 日
平田聡 (2014 年 10 月 4 日) 類人猿の知性を探る:実験
室からフィールドへ. PWS 東京フォーラム. 日本科学
未来館, 東京.
埼玉県開智高校 見学受け入れ 2014 年 10 月 28 日 (中
村美知夫) .
日本モンキーセンター研修受入 2014 年 10 月 30 日~
11 月 1 日 (高橋明子)
吉田弥生, 水口大輔 (2014 年 11 月 29-30 日) 2014 年
度 勇魚会シンポジウム 「海棲哺乳類の分布・資源・
保全」, 勇魚会, 京都大学, 京都
最先端の科学を学ぶ講座「研究者が語る“野生動物の
生態”」 第1講「チンパンジー社会における『文化』の
形成・発達過程」 宇治市生涯学習センター 2015 年
1 月 24 日 (西江仁徳) .
日本モンキーセンター研修受入 2015 年 1 月 27~29 日
(高橋明子)
最先端の科学を学ぶ講座「研究者が語る“野生動物の
生態”」 第2講「チンパンジーもストレスを感じるの?
~チンパンジーのストレスとその対処~」 宇治市生
涯学習センター 2015 年 1 月 31 日 (山梨裕美) .
京大モンキーキャンパス幸島見学会 2015 年 2 月 6~8
日 (鈴村崇文, 高橋明子)
平田聡 (2015 年 2 月 19 日) チンパンジーとボノボ-仲
間とかかわる心の進化. 第4回ひと・健康・未来シン
ポジウム「サルに学ぶ, 人の不思議」. 日本モンキー
センター, 犬山.
京大モンキーキャンパス幸島見学会 2015 年 2 月 20~
22 日 (鈴村崇文, 高橋明子)
最先端の科学を学ぶ講座「研究者が語る“野生動物の
生態”」 第3講「霊長類の社会性・相互作用:嵐山モ
ンキーパークのニホンザル」 宇治市生涯学習センタ
ー 2015 年 2 月 21 日 (花村俊吉) .
日本モンキーセンター研修受入 2015 年 3 月 24~26 日
(高橋明子)
山梨裕美 (2014 年 9 月 5 日) チンパンジーの生活・研
究者の生活.静岡雙葉学園, 静岡.
40
― 40 ―
16. 共同利用・共同研究拠点
平成 22 年 7 月 1 日付けで, 本センターは共同利用・共同研究拠点として以下の認定を受けた。
大学・研究施設名: 京都大学野生動物研究センター
拠点名: 絶滅の危機に瀕する野生動物 (大型哺乳類等) の保全に関する研究拠点
研究分野: 野生動物学
認定有効期限: 平成 23 (2011) 年 4 月 1 日~平成 28 (2016) 年 3 月 31 日
これに伴い, 本センターは, 絶滅が危惧される野生動物の保全に関する研究をおこなっている研究
者, また野生動物の研究を希望する研究者, および動物園・水族館等で働く職員の方, その他野生
動物保全に携わる方を対象として, 共同利用・共同研究の事業を実施することとした。日本で唯一の
野生動物保全研究の拠点を構築することで, 野生動物に関するさまざまな方面からの研究を促進し,
野生動物保全につなげていくことを目指す。
今年度は, 野生動物や飼育下の動物の基礎研究を推進し, 保全や繁殖育成や健康長寿に資する
研究を推進した。また, 動物園・水族館等との広範な連携体制の構築を目指すと共に, 海外調査を基
盤に国際的な共同研究の連携体制の構築を図った。
計画研究として推進したのは, ①野生動物 (大型哺乳類等) を対象とした保全研究, ②動物園・水
族館における基礎研究, ③東日本大震災後の野生動物への影響の調査研究の 3 つである。また, 上
記の枠にとらわれない, 申請者による提案型の研究もおこった。
研究費を支給する研究課題数としては 38 件, 研究費を配分せず, 施設や資料の利用による同利用
研究を 57 件を実施した。
共同利用・共同研究拠点運営委員会
幸島司郎 (京都大学野生動物研究センター・教授)
松沢哲郎 (京都大学霊長類研究所・教授)
山極壽一 (京都大学大学院理学研究科・教授) (2014 年 9 月 30 日まで)
中道正之 (大阪大学大学院人間科学研究科・教授)
牛田一成 (京都府立大学大学院生命環境科学研究科・教授)
田中正之 (京都市動物園・生き物・学び・研究センター長)
共同利用・共同研究拠点計画委員会
依田憲 (名古屋大学大学院環境学研究科・准教授)
内藤和明 (兵庫県立大学自然・環境科学研究所・講師)
大西尚樹 (森林総合研究所東北支所生物多様性研究グループ・主任研究員)
今井啓雄 (京都大学霊長類研究所・准教授)
森阪匡通 (京都大学野生動物研究センター・特定助教/東海大学創造科学技術研究機構・特任講
師)
平田聡 (京都大学野生動物研究センター・教授)
杉浦秀樹 (京都大学野生動物研究センター・准教授)
2014 年度公募研究成果概要報告
計画研究1 野生動物 (大型哺乳類等) を対象とした保全研究
2014- (計画) 1-1 揚妻 直樹 (北海道大学), 揚妻-柳原 芳美 (日本哺乳類学会)
「照葉樹林に生息するシカの個体群動態モニタリング 3」
(対応者:杉浦 秀樹)
森林伐採や狩猟圧がなく, 安定した照葉樹自然林に生息するヤクシカの個体群を対象に, 2014 年度もデモグラフィ
ーに関する情報を収集した。
2014 年 8 月に屋久島西部の 2 サイトにおいてルートセンサスを行い, 発見したシカの属性・場所・時間・逃走方向・
シカまでの距離等を記録した。調査ルートの総距離は約 30km で, ダブルカウントを除く 398 頭のシカのデータを収集し
た。分析の結果, ルートセンサスの effective stripe width は 21.8m と算出され, シカ密度は 311.0hd/km2 (95%信頼区
間:286.2-338.0hd/km2) と推定された。過去 2 年分のデータに対し同様の分析を行ったところ, 2012 年は 283.6hd/km2
41
― 41 ―
(252.7-318.2hd/km2), 2013 年は 230.8hd/km2 (206.6-257.8hd/km2) となり, 過去 3 年間で年ごとに生息密度が約 20
~35%増減していたと推定された。
2013年4月時点で, 調査地においてメス11頭とオス4頭の成体を個体識別していた。そのうち, 2014年3~4月にオス1
頭が死亡したが, 他の個体は2015年2月まで生存していたことを確認した。2013年に識別メスが産んだ3頭の当歳仔は
全て2013年内に消失した。2014年に識別メス11頭のうち出産したのは4頭で, それらの当歳仔は2015年2月時点で生存
していたことを確認した。なお, 2014年春で満9歳となったメスおよび推定満5歳以上となったメスの初産は確認できなか
った。
今後も, このような個体縦断的なデータを長期的に収集し, 暖温帯における自然状態のシカのデモグラフィー情報を
蓄積していく必要がある。
2014- (計画) 1-2 根本 唯 (東京農工大学大学院 連合農学研究科), 原口 拓也 (東京農工大学大学院 農学府),
古坂 志乃 (東京農工大学大学院 農学府), 長沼 知子 (東京農工大学 農学部)
「ツキノワグマの移動パターンへの内的要因と外的要因の影響」
(対応者:幸島 司郎)
ツキノワグマの移動パターンへ影響する要因を明らかにするために, 野生下のツキノワグマの行動データの取得およ
び生体サンプルのサンプリングを行った。これらのデータの取得にあたって, 栃木県足尾・日光山地において野生下の
ツキノワグマの生体捕獲を行った。行動データの取得においては, 生体捕獲の他に電波による GPS 首輪からのデータ
ダウンロードも行った。その結果, 13 個体のツキノワグマを捕獲し, 延べ 5 個体の行動データを取得できた。
2014- (計画) 1-3 採択後に辞退 (対象となる動物が捕獲されず, 研究が実施できなかったため)
2014- (計画) 1-4 山根 裕美 (京都大学 アジア・アフリカ地域研究研究科), 山越言 (京都大学大学アフリカ地域
研究専攻), チャールズ・ムトゥア・ムシヨキ (ケニア野生生物公社)
「ケニア, ナイロビ国立公園周辺の人為的景観下におけるヒョウの保全生態学」
(対応者:中村 美知夫)
ケニアの首都ナイロビにおいて, 生息域の急激な減少から, 地域的絶滅の危機におかれている, アフリカヒョウ
(Panthera pardus) の行動域とそれを取り巻く環境について 2009 年より調査を進めてきた。2014 年度の渡航では, 2013
年にヒョウに装着した GPS 首輪によるモニタリングと, 生息域の環境変化の観察を実施した。
2012 年に始まった, ナイロビ国立公園を取り巻く大規模なバイパス建設が終盤に入っていたが, まだ開通していない
ため, 今後の交通量および野生動物への影響が特に懸念されている。道路は, ヒョウの行動域を分断する位置に建設
されており, 行動に影響が出ると考えている。また, 国立公園内には 2013 年までの調査では, 目撃頻度が低かった,
首輪を装着していない新しいメスの個体が, 頻繁に目撃されるようになった。
2014 年 9 月 5 日に帰国後, 9 月 6 日に報告が入り, 以前首輪を装着していたメスの個体が, ハイエナによって殺さ
れた。これによって, 新たにみつかったメスが, よりこの地域で優位に行動できる状況となった。
また, 2011 年に首輪を装着したオスの個体が, 徐々に高齢化する中で, 2015 年 2 月 20 日にナイロビ国立公園内で
新たなオスが出現したことで, 優位オスの世代交代が考えられる。
今後の課題として, ナイロビ国立公園内とその周辺におけるヒョウの優位が入れ替わり, 子供も目撃されていること
から, 2009 年から 2013 年にかけて, 安定した状況を保っていたヒョウ社会に, 変化があると考えている。このあたりに注
目して引き続き, 都市を利用するヒョウの行動を追っていく。
また, 道路やさらなる都市化がヒョウをはじめとした野生生物にどのような影響を与えていくのかに着目して, 行動の
モニタリングを継続していく。
計画研究 2 動物園・水族館における基礎研究
2014- (計画) 2-1 藤澤 加悦, 古田 洋, 佐藤 英雄, 栗原 幹尚, 太田 真琴, 山本 香緒里 (横浜市立よこはま
動物園), 田中 正之 (京都市動物園 生き物・学び・研究センター)
「飼育下におけるインドゾウの行動調査」
(対応者:森村 成樹)
平成25年度に引き続き, 飼育下のインドゾウの夜間行動観察を行った。今年度もオスゾウのマスト期の行動変化の
調査を中心としたが, 同時にゾウが夜間使用できる寝室を変化させることによる行動変化も調査をした。まずオスゾウの
行動変化に関して, 昨年度より寝室を1部屋から2部屋に拡張した状態で夜間飼育を行っているので, その観察を継
続した。行動の発生割合を比較すると, マスト期から非マスト期に移行することにより, 横臥睡眠が 7%増加, 起立睡眠
が 12%減少, 常同行動が 10%増加, その他 (採食・接触・探索行動) が 12%減少するといった結果が得られた。この
行動変化は, マストが落ち着くことにより排尿の回数も減少し, 横臥睡眠の時間が増加したことと, 隣接したメスゾウとの
接触時間の減少が原因だと推測できる。また, 非マスト期に寝室を1部屋のみ使用していた時との行動割合を比較する
と, 寝室を拡張することにより起立睡眠が 19%減少, 常同行動は 13%減少, その他 (採食・接触・探索行動) が 28%
増加するという結果となった。次に時間の経過による行動変化について, 非マスト期で寝室拡張開始より 7 か月経過し
た時点での調査を実施した。その結果, 横臥睡眠が 12%減少, 起立睡眠が 5%増加, 常同行動が 14%増加した。こ
れは時間の経過に伴う環境への順化による変化だと推測できる。以上のことより部屋の拡張により, 睡眠場所や移動場
所の選択が増えることで, 本来の目的でもあった足裏や身体の健康管理もでき, 飼育環境の改善に繋がったと考えら
42
― 42 ―
れる。また, メスとの接触頻度が上がることにより, メスの発情時期を推測するのにも有効な手段となる可能性もあるため,
今後はメスのホルモン動態と夜間行動調査を合わせた調査を実施していく予定である。
2014- (計画) 2-2 平賀 真紀 (横浜市立よこはま動物園), 野口 忠孝, 小倉 典子, 井川 阿久里
(横浜市立よこはま動物園)
「飼育チンパンジーにおける赤ん坊の発達的変化に応じた未経産雌の社会交渉の変化」
(対応者:森村 成樹)
集団で生活する霊長類にとって飼育環境は社会的な刺激に乏しい。赤ん坊の誕生によって同居する大人個体にと
って赤ん坊の存在が良好な社会的刺激を与えると考えられているが, 行動研究はされてこなかった。横浜市立よこはま
動物園では飼育環境を野生の状態に近づけることを基本理念とし, 2009 年よりチンパンジー (Pan troglodytes) の複雄
複雌集団を飼育した。社会管理として 2011 年 6 月より行動観察を継続してきた。2012 年に赤ん坊が 2 個体誕生したこ
とから, 赤ん坊の社会的エンリッチメント効果を明らかにすることを目的として, 赤ん坊が生まれる前後ならびに赤ん坊
の成長にともなう同居大人 7 個体及び赤ん坊 2 個体同士の社会交渉を比較した。対象は, よこはま動物園で飼育され
ている 22~36 歳のチンパンジー7 個体 (雄 2, 雌 5) 及び赤ん坊 2 個体 (雌 2) その中で人工保育個体は 3 個体 (雄
1, 雌 2) だった。観察期間は 2011 年 8 月 1 日から 2015 年 2 月 28 日までとした。行動は飼育員 4~5 名が交代で, 放
飼直後 (9~10 時の間) から 30 分間観察した。1 回の観察で 3~4 個体, 2~3 日毎に全個体の行動を記録した。記録
方法は, 個体追跡法で 1 分間隔の瞬間サンプリングとした。行動レパートリーは採食や休息など 13 項目とし対象が明確
な場合は行為の方向も記録した。観察データは 1 週間単位で, 各個体・各行動レパートリーの頻度を算出した。その結
果, 赤ん坊が成長するに伴い行動域が広がると集団全体の社会交渉が増加し, そのまま観察期間に渡り維持された。
特に未経産雌 3 個体について自然保育で生育した個体の社会交渉は著しく増加したが, 人工保育で生育した 2 個体
ではわずかに増加しただけだった。このことから赤ん坊誕生後の社会交渉の増加には個体差が見られ, 生育歴に影響
を受けると考えられた。また赤ん坊からの遊びが激しくなると自然保育で育った個体は赤ん坊と積極的に関わることで解
決を図ったが, 人工保育の個体は終始受け身だった。
2014- (計画) 2-3 木村 幸一 (名古屋市東山総合公園東山動物園), 木下 こづえ (京都大学霊長類研究所)
「スマトラオランウータン (Pongo abelii) におけるアンフランジオスの 2 次的な性的発達について」
(対応者:幸島 司郎)
フランジ成長期のオスのテストステロン, 成長ホルモン, 黄体形成ホルモン, およびジヒドロテストシテロン濃度はアン
フランジオスよりも高いことが知られている (Maggioncalda AN et al., 2000)。しかしフランジの成長過程におけるこれらホ
ルモンの濃度動態は調べられていない。
東山動物園で飼育されていたスマトラオランウータンのフランジオス (バラン) の死亡によって, アンフランジオス (ピ
カ) のフランジの発達が観察された。ピカのフランジの発達は長期にわたって計測を行っていた。
昨年度の共同研究では, フランジ成長期にあったピカの尿について, テストステロンおよびコルチゾール濃度を測定
し, フランジ成長との関連性を調べた。その結果, 特にテストステロンについて, フランジが成長するにつれて濃度上昇
が認められた。
本年度の共同研究では, 新たに成長ホルモン濃度の測定を追加し, フランジ成長との関連性を検証した。成長ホル
モン濃度測定には, ヒト用の市販測定キットを使用した。その結果, フランジオスであったバランでは低濃度しか検出さ
れず, 測定キットの検出限界値以下を推移していた (<2.5 ng/ml)。一方, フランジ成長期にあったピカでは, フランジ
成長が認められてから約1年後の2013年3月以降から高濃度の値を連日で検出した (115.7-399.0 ng/ml)。ただし, そ
れ以外の期間では, ほとんどの日でバランと同様に検出限界値以下の低値を示していた (<2.5 ng/ml)。本研究成果に
より, フランジ成長過程において, フランジ成長がある程度進んだオスにおいて, 成長ホルモンの分泌が認められること
が判明した。
今後, さらに日誌等の記録と照らし合わせて, 行動の変化とこれらテストステロン, コルチゾールおよび成長ホルモン
濃度変化との関係を詳細に検証し, フランジ成長過程の内分泌動態と行動変化との関連性を明らかにしたい。また, フ
ランジ成長過程でピカが心筋梗塞により死亡しているが, 行動変化とコルチゾール濃度動態を詳細に比較することで,
フランジ成長過程におけるオスのストレス状態についても明らかにしたいと考える。
2014- (計画) 2-4 大井 裕典 (大阪大学大学院 人間科学研究科)
「動物園のワオキツネザル集団における子への関わりかけが集団の社会構造に与える影響の検討」
(対応者:杉浦 秀樹)
代表者は, 公益財団法人日本モンキーセンターのワオキツネザル集団を対象に, 2013年11月‐2014年5月と2014年9
月に約470時間の行動データを収集した。本共同利用・共同研究では2014年4‐5月, 9月に実施した43日間のデータワ
ークにかかる旅費として支援を受け, 計画通りのデータ収集を完了した。2015年3月1日時点で収集したデータの整理と
解析を行っており, 今回は整理を終えた234時間分のデータの解析結果を報告する。
対象としたチェリー群 (オス8‐13頭, メス8‐11頭) では2014年3‐5月に8頭の子が生まれた。親和的行動 (近接, 毛
づくろい) を指標として社会ネットワーク分析を行い, 観察月ごとにネットワーク指標を算出し, ソシオグラムを作成した。
ソシオグラムの類似性を月ごとに検討したところ, 2013年11月から2014年2月までの連続する月同士では有意な相関が
あったが, 2014年の2月と3月の間では有意な相関が見られなかった。しかし再び2014年3月以降の連続する月同士で
有意な相関が確認された。この事実から, 2月と3月の間に親和的な社会関係を変動させる要因があったと考えられた。
個体の属性を用いて月ごとに親和的行動の生起頻度を比較すると, 出産個体か否かによって3月と4月の生起頻度に
有意な差が見られる傾向にあった (F =2.83, P =.06)。以上より, 個体レベルでは出産個体が実際の出産前後で親和的
交渉を増加させる傾向にあったが, 集団レベルでは子が生まれ始める少し前から関係性が変動している可能性が示唆
43
― 43 ―
された。 新生体の誕生が母ザルや周囲の個体の行動を変化させることはこれまで指摘されてきたが, 本研究ではネッ
トワーク分析を用いた集団レベルの検討をすることによって, 新生体の誕生が集団全体の行動パターンに与える影響
についてさらに検討していく。
平成 27 年度は, 日本モンキーセンターでの京大サロン (開催日未定) や第 31 回霊長類学会 (7 月 18‐20 日) での
学会発表, Primates への論文投稿等を計画している。
2014- (計画) 2-5 丸 一喜 (旭山市旭山動物園)
「冷温帯で飼育されるチンパンジーの道具使用と行動と温湿度条件の関係」
(対応者:森村 成樹)
気温や湿度など外部環境は野生動物の行動に様々な影響をもたらす。一般に, 霊長類は気温が上昇すると活動性
が低下することが知られている。チンパンジーは道具使用行動などの複雑な知性をともなう行動が知られているが, 外
部環境が道具使用行動に与える影響については分かっていない。そこで, 旭山動物園で飼育されている 2 群 13 個体
のチンパンジーを対象に屋外放飼場でフィーダーを用いて, チンパンジーの道具使用行動および外気温湿度が道具
使用行動に及ぼす影響について調査した。フィーダーは, 2 段にした透明塩ビ管 (長さ 50cm/φ5cm) に穴を多数開
け, ペレットやブドウなどの食物を入れ, 木の枝を使って食物を取り出し口まで移動させることで, 食物を食べることが
できるようにした。フィーダー利用時の道具使用行動は 60.6%, 道具使用時の食物獲得率は 62.4%, 未使用時は
24%であった。フィーダーの平均利用時間も道具使用時は1分 58 秒で未使用時は 33 秒と, 道具使用時と未使用時で
違いが見られた。調査時の屋外放飼時間の平均気温は 15.2℃, 平均湿度は 68.3%であった。温度条件では, 平均気
温以下でのフィーダー利用回数は 54.4%, 利用時間は 53.8%と平均気温より低い方がフィーダーを利用する頻度が高
かった。利用時間は平均気温以上で 1 分 26 秒, 平均以下で 1 分 24 秒と類似していた。湿度条件については, 平均
湿度以上でのフィーダー利用回数は 58.0%, 利用時間は 61.5%と, 平均湿度より高い方がフィーダーの利用頻度が
高かった。利用時間は平均湿度以上で 1 分 30 秒, 平均以下で 1 分 17 秒と平均湿度以上で長くフィーダーを利用して
いた。今回の調査では, 温度条件の例数が僅か, 一部の個体によるフィーダーの独占など, 道具使用行動と温度条件
の関係を明らかにするまでには到らなかった。
2014- (計画) 2-6 金澤 朋子 (日本大学大学院 生物資源科学研究科)
「飼育下インドゾウに対する自動給餌装置の設置」
(対応者:森村 成樹)
飼育下インドゾウは夜間および早朝において常同行動の発現率が高まるため, これらの時間帯に常同行動の低減を
目的とした方策が求められる。本研究では飼育作業が困難な上記時間帯に, 給餌をすることで常同行動の低減が可能
になると考えた。そこで本研究では, インドゾウに対して試行可能な自動給餌機の作成および本機での給餌による行動
時間量変化の調査を行った。獣舎の構造を利用して設計した自動給餌機は, 梁に鎖で吊るした枝葉が時間になるとゾ
ウの鼻が届く位置に落ちる仕掛けとなっていた。作動部は電子ソレノイド, プログラムタイマー, その他備品を用いて作
成し, 総額の諸経費はおよそ 2 万円であった。横浜市立金沢動物園で飼育されているインドゾウ雌 1 個体を対象に, 本
対象個体が屋内寝室を利用する 17 時から翌朝 8 時間の 1 日 15 時間を観察した。行動の観察項目は「常同行動 (定
義:片足を軸に体を前後に揺らす) 」, 「操作 (定義:鼻で物を触る, 探る) 」, 「休息 (定義:伏臥位や横臥位の姿勢を
とる) 」とした。試行①は夜間 (18 時半) に 1 回, 試行②は夜間 (19 時半) と早朝 (6 時) に各 1 回の計 2 回, 試行③
は夜間 (18 時~20 時) と早朝 (6 時~7 時) に毎日違う時間に各 1 回の計 2 回, 試行④は早朝 (6 時と 7 時) に 2 回,
それぞれ自動給餌機を用いて枝葉 3 ㎏/回の計 6 ㎏ (試行①のみ枝葉 6 ㎏/回) を給餌した。全試行で通常時 (枝葉
6 ㎏を通常餌と同様に床置きで給餌) と比べ各行動の行動時間量に変化が認められなかった (P>0.05)。また, 自動
給餌機が作動後 1 時間の通常時との比較においても, 夜間においては同様に変化がなかったが, 早朝においては常
同行動の有意な減少 (P<0.05) および操作の有意な増加 (P<0.05) が確認された。このことから, 他の餌が残って
おり飼育員による給餌が可能な時間帯での自動給餌機の導入は効果が期待されないが, 普段は飼育作業が困難な時
間帯での自動給餌機の導入は効果が期待されると考えた。
2014- (計画) 2-7 採択後に辞退 (他の研究費に採択されたため)
2014- (計画) 2-8 伊藤 秀一 (東海大学 農学部応用動物科学科)
「動物園におけるセキショクヤケイの繁殖行動および Crowing に関する研究」
(対応者:平田 聡)
セキショクヤケイの雄は, Crowing とよばれる特徴的な鳴声をもっている。Crowing は, その発現が光を環境因子とす
る体内時計により制御され, 夜明けの約 2 時間前に予期的に発現することが報告されているが, その機能は未だ明ら
かにされていない。本研究では繁殖期と非繁殖期の Crowing 発現時刻および頻度を比較した。熊本市動植物園で飼
育管理されているセキショクヤケイの雄 4 羽 (個体名:A, B, C, D) を観察対象とした。各個体は, 4 つに分割された大型
野外ケージで飼育されており, 各ペンでは雄 1 羽と共に雌3羽が群飼されていた。春期 (5, 6 月) および秋期 (9 月) に
それぞれ 2 日間, IC レコーダーをケージ中央に設置して 24 時間連続で音声を録音した。録音した音声を音声再生ソフ
トに取り込み, 個体別に Crowing 発現時刻と, 発現回数を 1 時間ごとに集計した。さらに, 薄明 (天文薄明, 航海薄明,
常用薄明) および日の出時刻と Crowing の発現時刻と照合した。それぞれの季節において, すべての個体が日の出
前の薄明時間に Crowing を発現した。繁殖期である春期において, 最初の個体が Crowing を発現する時刻は, 2 日間
とも 2:53 であり, これは日の出の 137 (±2) 分前であった。一方, 非繁殖期である秋期では, 最初の個体は 5:15 と 4:30
に Crowing を発現した。これはそれぞれ, 日の出時刻の 75 (±23) 分前であり, 季節が Crowing 発現時刻に影響して
いる可能性が示唆された。また, 個体ごとの 1 日の Crowing の発現頻度は, 春期においては (A) 486 回, (B) 253 回,
44
― 44 ―
(C) 405 回, (D) 282 回 (4 羽平均:352 回) であり, 秋期においては (A) 217 回, (B) 163 回, (C) 243 回, (D) 125 回 (4
羽平均:187 回) であった。春期は秋期に比べて, 全ての個体が Crowing を多く発現し, さらに頻度の個体差が認めら
れた。一方の秋期は, 発現頻度が低く, さらに個体ごとの差が小さかった。本研究から, セキショクヤケイの Crowing は,
繁殖期には発現時刻が早まり, 頻度が増加するだけでなく, 個体差が大きくなる可能性が示唆された。
2014- (計画) 2-9 大島 由子 (京都水族館)
「ミナミアメリカオットセイにおける性ホルモン動態に関する研究」
(対応者:伊谷 原一)
飼育下の動物において, 繁殖や継代飼育を目指す上で性ホルモンの動態を把握することは重要である。現在, 性
ホルモンは血液を用いて測定することが一般的であるが, 血液採取が困難でリスクを伴うこと, 被検体に過剰なストレス
をかけること, 測定には専用の機器が必要となるため, 外部検査機関へ依頼により経費・時間・労力を要するなどデメリ
ットが多い。また, 飼育下ミナミアメリカオットセイの繁殖期における性ホルモン動態に関する報告は極めて少ない。
そこで, 本研究では2014年6月24日に出産をしたミナミアメリカオットセイ (♀・出産当時推定4歳) を対象に, 2014年
6月1日~8月28日間に非侵襲的方法で採取した糞を用いて性ステロイドホルモンを測定し, 出産前から発情期までの
ホルモン動態を調べた。測定にあたっては, 京都大学野生動物研究センターにおいて研究員の指導の下, 乾燥重量
1gの糞便からメタノール抽出された性ステロイドホルモンのプロジェステロン (P_4) とエストラジオール-17β (E_2) を
EIA法により測定した。
結果, P_4:534.56-3418.71 (μg/g (糞乾燥重量) ), E_2:2.73-18.70 (μg/g (糞乾燥重量) ) という値が得られた。P_4
は出産直前に低下し, 出産後約1ヶ月半で最も高い値を示したのに対し, E_2は低値が継続し, ピークに至ることはなか
った。この傾向はキタオットセイで報告されている血中ホルモン動態 (Kiyota, et al., 1999) と同様の動態を示しているこ
とを示唆する。
今後は, 対象個体数を増やすと共に非妊娠個体においても測定を行い, ミナミアメリカオットセイのメスにおける性ホ
ルモン動態をより詳細に追跡することで, 飼育下における繁殖研究を発展させたい。
2014- (計画) 2-10 八代 梓 (東海大学大学院・農学研究科), 伊藤 秀一 (東海大学), 松本 充史 (熊本市動物
園)
「熊本市動植物園のチンパンジーにおける採食エンリッチメントに関する研究」
(対応者:平田 聡)
熊本市動植物園では, 飼育されている 5 頭のチンパンジーに対して, 福祉レベル向上や多様な展示を目的とした採
食エンリッチメントの導入が試みられている。本研究では, 摂食時間の増加を目的として熊本市動植物園において利用
されている塩化ビニル製の筒型フィーダーについて, その効果を行動学的に検討した。フィーダーを設置しないコント
ロール条件である条件 1, 午前のみ設置する条件 2, 午後のみに設置する条件 3, 午前と午後の両方に設置する条件
4 の処理を, 午前と午後の各2時間について実施した。行動観察の結果, エンリッチメントフィーダーの使用により, 摂
食飲水行動の変化は認められなかったが, 摂食行動を詳細に分類すると, 条件4で摂食処理行動が増加したことから,
フィーダーの使用により摂食処理行動を増加させることが可能であり, さらに設置時間に比例することが明らかとなった。
また, 個体によって, フィーダーの使用時間に差があったことから, 今後は個体に応じたフィーダーの形状や設置場所
を考慮することが必要だと考えられた。
さらに, 生息環境展示の導入が, 動物の行動と来園者の動物や施設に対する評価におよぼす影響を明らかにする
ため, 熊本市動植物園のニホンザルエリアにおいて動物の行動観察と来園者への調査を行った。ニホンザルの行動観
察を実施したところ, 新施設移行直後 1 週目は, 檻型施設と比べて移動・探査行動の増加と, 摂食, 自己グルーミング,
親和行動の減少が認められたが, それ以後は檻型施設との間に差は認められなかった。また, 来園者に動物の面白さ
や見やすさ, 展示施設での滞在時間等について, 来園者にアンケート調査を実施したところ, “動物にとって快適な環
境だと思う”や“長い間見ていたい”との回答が生息環境展示へ移動直後に増加したが, 短期的な効果であった。
2014- (計画) 2-11 山田 信宏 (公益財団法人 高知県のいち動物公園協会 高知県立のいち動物公園), 竹下秀
子 (滋賀県立大学 人間文化学部), 林美里 (京都大学霊長類研究所 思考言語分野), 水野友有 (中部学院大学
子ども学部), 高塩純一 (社会福祉法人 びわこ学園医療福祉センター草津)
「麻酔下での介助出産により誕生したチンパンジー人工哺育個体の発達検査」
(対応者:伊谷 原一)
本研究の対象個体 (ミルキー:女, 2013 年 7 月 14 日生) は母親の難産のため母親麻酔下で出生, その後人工保育
となった。日常の行動観察から発達の遅れを疑い, 17 週齢より 4~5 週に 1 回, 姿勢運動の自発的な行動型の観察お
よび姿勢反応検査による姿勢運動発達評価と, 提示されるガラガラや積木等 (新版 K 式発達検査で利用されるもの)
への行動反応の観察による認知発達評価を実施してきた。その結果, 姿勢運動発達および物の操作等の発達遅滞と
左右側の機能発達のアンバランス等から脳性麻痺と診断された。継続的な発達検査から得られた情報にもとづく発達
評価を踏まえて, 58 週齢からは理学療法士の参加を得て姿勢運動と認知行動への発達支援をめざした。そのために具
体的な働きかけを考案し, それを飼育担当者が実践して 4~5 週おきに再評価を行った。53 週齢には日常生活中に出
現する発作様の不自然な動きについて小児神経科医へ相談し, 以後も助言を得ている。69 週齢からは高知県内在住
の理学療法士, 作業療法士からなる療育チームを組織し, 週 1 回約 1 時間のセラピーを実施し発達支援を行った。
これまでの経過は以下の 4 期に区分できた。Ⅰ期 (17 週齢~) Ⅱ期 (26 週齢~) Ⅲ期 (40 週齢~) Ⅳ期 (58 週
齢~)。ホッピング試行での踏み出しは未だ見られず, 姿勢反応の発達段階は後肢伸展支持の後期と評価できる。姿
勢反応を比較軸とすると, 物の操作の発達の遅れ, 姿勢運動の顕著な左右機能差が持続している。他方, 定期的な
セラピーの実施, 日常養育中のかかわりの強化などにより, 対象個体の発達の特徴や障がいの特性が明らかになると
45
― 45 ―
ともに, 関連専門職種の連携による養育者支援や養育環境の整備がこれらの症状の固定化の防止, 障がいの軽減に
つながる可能性が明らかになった。今後も発達検査と療育, 日常的養育における支援を継続するとともに, 他事例にも
応用可能な療育プログラムの提案に向けて資料を集積していく。
2014- (計画) 2-12 岡部 光太 (京都市動物園)
「飼育下のシセンレッサーパンダの繁殖関連行動の観察」
(対応者:伊谷 原一)
レッサーパンダ (Ailurus fulgens) はIUCNレッドリストで, 絶滅危惧II類 (Vu) に当たる絶滅危惧種である。日本では
主にシセン亜種を飼育し, 世界の飼育頭数の3/4を占める数がいる。その飼育上の課題として多様な性格があげられ,
繁殖時に相性による問題を起こしやすい。繁殖するペア, 園館にも偏りがあり, 国内の血統に偏りが出始めている。そ
のため飼育技術の向上, 共有を目的として繁殖関連行動の観察を行うことを目的とした。
個体は京都市動物園で飼育する, オス3個体, メス2個体を供試した。交尾に至るまでの経過を, 繁殖用のオス1頭,
メス2頭で観察した。繁殖期に当たる2013年12月から2014年2月まで及び2014年12月から2015年3月に同居を行った。
2013年度には, オスはそれぞれのメスに応じて行動を変化させており, オスの逃避行動の頻度及びメスからの闘争行
動の頻度に差が見られた。また2014年度は2013年度に比べ, 交尾当日, 交尾に至るまでの時間がかなり短縮され, オ
スの経験が影響をしているように考えられた。
2014年6月19日及び6月24日にそれぞれのメスに出産が確認された。出産1例は, 産後3日で子が死亡した。両メスと
もに, 約1時間ごとに授乳と思われる行動が観察されたが, 授乳体勢について違いが見られた。
もう1例は順調に生育していたが, 産後1ヶ月で親が体調不良になり, 出産した2頭の子のうち1頭が死亡した。残りの
1頭を人工哺育に切り替え, 生育した。
その後, 人工保育個体を繁殖に結び付けていくため, 他の個体との同居を進めた。同居した個体は, 老齢オス個体
1 頭と親個体である。老齢個体との同居時には, 子からの闘争行動が見られたが, その後あまり見られなくなった。親個
体とは, 親個体からの闘争行動により, 子からの接近は減少し, 距離を置いて行動するようになった。
2014- (計画) 2-13 田中 悠介 (マリンピア松島水族館), 寺沢 真琴, 伊藤 なお子, 神宮 潤一 (マリンピア松島
水族館)
「飼育イルカに対する, よりよいエンリッチメントデバイス (EnD) の探求」
(対応者:杉浦 秀樹)
イロワケイルカCephalorhynchus commersonii 4個体 (a.性的成熟メス〔23歳齢〕, b.成熟オス〔16歳齢〕, c.未成熟メス
〔4歳齢〕, d.未成熟オス〔1歳齢〕) を対象に, 以下に紹介するエンリッチメントデバイス (EnD) を導入後, 観察実験を
行った (以下個体a-dと表記)。ただし実験期間中前半は, 個体a, 個体c, 個体dを同居飼育 (No.1プール) し, 個体b
のみ隔離飼育 (No.2プール) を行った。後半は4頭で同居飼育 (No.1プール) を行った。
実験内容として, まず前半に1.沈降型のロープ付きボール (④とする) での実験を行った。後半に④を除去後, 2.
対照実験 (既存の EnD〔①沈降型のボール A, ②沈降型ボール B, ③沈降型の輪〕による遊び行動の観察) を行い,
その後既存の EnD はそのままに, 3.浮遊型のロープ付きボール (⑤とする) での実験観察を行った。
観察時間は, 各回 30 分とし, 前半に No.1 プールで 7 回行い, No.2 プールで 8 回行った。後半に 13 回行い, 前後
半合わせての総観察時間は 840 分間であった。
ここでは1.についてのみ報告する。
各EnDがイルカに与える影響を評価するひとつの指標として, 接触頻度 (単位時間内の, 【標的のEnDに触れた回
数】/【標的を含めいずれかのEnDに触れた回数】×100〔%〕) を検討した結果, ④に対しての接触頻度は個体bで最
も高く (24.7%), ついで個体c (7.7%), d (3.4%), 個体aについては実験期間中一度も触れることはなかった (0%)。昨
年度の実験結果からも, 個体bは沈降型の新規EnDに対して, 他個体よりも接触頻度が増す傾向にあり, 個体c, dはそ
の逆で, 浮き型にその傾向が見られた。個体aについては, 新規EnD全般についての接触頻度が低い傾向にあった。
以上より, 個体による指向性を加味した上で EnD の形状を工夫し, また評価方法として, 接触頻度だけでなく, 接触
時間や行動のバリエーション, また個体間の相互作用などを検討し, それらの視点からデータを見直すことが今後の課
題である。
2014- (計画) 2-14 加藤 洋子 (千葉市動物公園・飼育課)
「国内チンパンジーの飼育者の飼育経歴調査」
(対応者:森村 成樹)
国内で飼育されるチンパンジーは 2013 年 12 月末時点で 51 施設 324 個体であり, その 78%が動物園において飼
育展示されている。動物園においてこれまで長期的な関わりが認められていたゾウや大型類人猿でも比較的短期間で
飼育者が変わったり, 飼育経験の浅いものが担当したりする傾向がみられている。これは, 飼育者の専門的な知識や
技術を養うことを難しくしており, 飼育される動物の質にも何らかの影響を与えていると考えられる。本研究では, 国内
チンパンジー飼育施設 51 施設のうち 55%にあたる 28 施設に任意調査のアンケートに協力してもらい, チンパンジー担
当者の現状の把握を試みた。アンケートの内容は担当者の人数, 主副担当の区分, 飼育職経験年数, チンパンジー
担当経験年数, その他担当動物, また現場にて必要とされる情報についてである。回答は 2014 年 12 月末時点での情
報とした。平均担当者数は 3.1 名 (うち主担当平均 2 名, 副担当平均 1.1 名) であった。平均飼育職歴経験年数は 16.3
年 (主担当 17.2 年, 副担当 15 年), 平均チンパンジー担当経験年数は 8.6 年 (主担当 10.1 年, 副担当 6.5 年) であ
った。その他の担当動物は, 専任の場合から, 霊長類, 草食動物, 食肉目, 両生爬虫類, 魚類, 鳥類など多種多様
であった。必要とされる情報については, 「チンパンジー」, 組織や担当者など「飼育体制」, 「施設」, 「その他」に分け
られ, 圧倒的に「チンパンジー」に関するものが多かった。 (67.5%, 他順に 24.7%, 5.2%, 2.6%) 回答からは比較的
46
― 46 ―
飼育職歴のある飼育者がチンパンジーに関わることが多い一方, 1 年未満の担当者もいることがわかった。後継者育成
を重要な課題と考える施設もあった。各施設で似たような情報を必要としている場合も多く, 全国チンパンジー飼育者
が積極的な情報交換をする意義は大きいと考えられた。
2014- (計画) 2-15 福守 朗 (鹿児島市平川動物公園)
「九州沖縄地域における飼育チンパンジーの父系について実態調査」
(対応者:森村 成樹)
チンパンジーはアフリカのみに生息する絶滅危惧種であり, 飼育下個体群の持続的管理が域外保全に直結する。
父系に基づく群を形成させるためには, 実際に繁殖可能なオスの個体数を明らかにした上で繁殖計画を立案すること
が求められる。血統登録台帳からは, 現時点で繁殖可能な個体と同居しているのか, また繁殖行動に関する特性が読
み取れないため, 今後の個体群の動態予測は困難である。そこで九州沖縄地域の飼育施設を対象に, 繁殖の可能性
があるオスの個体数および父系の数を明らかにすることを目的として飼育状況調査を行った。
九州沖縄地区には 10 の飼育施設で 99 頭のチンパンジーが飼育されている。オスの総数は 9 施設に 51 頭で, 繁殖
実績のある個体は 4 施設で 10 頭であった。その年齢は 20 歳から 44 歳の範囲であり, 平均年齢 (±SD) は 30.6±8.3
歳でメスと同居している個体は 2 頭である。繁殖制限されていない個体はその内 1 頭のみである。他の 8 頭はオス同士
で同居している。ファウンダーとなるオスは 8 頭であった。
繁殖実績はないが交尾が過去に確認されている, または成育歴や社会性から交尾可能と推測されるオスは 3 施設に
22 頭であった。その年齢は 13 歳から 40 歳の範囲であり, 平均年齢 (±SD) は 26.7±7.5 歳でメスと同居している個体
は 2 頭である。いずれも同居メスに避妊薬が投与され繁殖制限されている。ファウンダーとなるオスは 11 頭であった。
また, 併せてメスに関しても飼育状況調査を行った。メスの総数は 8 施設で 48 頭, その内オスと同居しているのは 44
頭, 繁殖経験があるのは 22 頭であった。
今後は飼育下個体群の持続的管理のため, 未繁殖個体の遺伝子を次世代に残せるよう個体レベルでの具体的繁
殖計画の立案と実行が急務である。
2014- (計画) 2-16 花塚 優貴 (中央大学大学院文学研究科)
「顔補完課題を用いたオランウータンの顔認知機能の検討」
(対応者:平田 聡)
描画行動はヒトや類人においてよく観察されるが, ヒトと類人では描画行動の様式が異なることが知られている。例え
ば目が欠如した顔刺激を呈示すると, ヒトの幼児は「ない」目の領域を描画する傾向があるのに対し, チンパンジーは
顔の輪郭をなぞるという描画パターンを示す。これはヒトとチンパンジーの顔に対する知覚・認知機能の差異を表してい
ると考えられている。本研究では類人の一種であるオランウータンを対象とし, その描画行動を調べることで類人の描画
様式を明らかにすることを目的とした。
対象は東京都多摩動物公園で飼育されていたボルネオオランウータン 2 頭と名古屋市東山動物園で飼育されてい
たスマトラオランウータン 1 頭とした。オランウータンに呈示する刺激としてオランウータンのモノクロの顔写真 (オリジナ
ル刺激), オリジナル刺激の目の領域を除去した顔写真 (目欠如刺激), 口の領域を除去した顔写真 (口欠如刺激) を
それぞれ 3 セット用意した。刺激を呈示するデバイスとして iPad2 台を使用した。オランウータンが iPad に呈示された刺
激を自由に触れることができるよう, iPad をアクリルケースに入れ, これを寝部屋の内側に設置した。オリジナル刺激と目
もしくは口欠如刺激を対呈示し, オリジナル刺激と比較して (1) 欠如刺激に対して描画量が増えるか, (2) 欠如した領
域に対して描画量が増えるかの 2 点について分析した。結果, 3 頭のオランウータンはいずれも, (1) オリジナル刺激と
欠如刺激の双方に同等の描画量を示し, また (2) 欠如した領域に対して有意に描画しないことが明らかとなった。欠
如した領域を描画しないという結果は, チンパンジーでの研究と一致するものである。本研究では対象とした個体数が
少ないためさらなる検討は必要であるが, オランウータンにおいても顔の欠如部位に対する補完は認められない可能
性が示唆された。
2014- (計画) 2-17 三家 詩織 (京都市動物園)
「飼育下ニシゴリラの乳児の社会的発達」
(対応者:伊谷 原一)
ゴリラは現在, 国内に 25 個体しかおらず, 日本動物園水族館協会 (JAZA) から 2030 年にはわずか 6 個体になって
しまうという厳しい予測も立てられている。そのような事態になることを防ぎ, 飼育下の個体数を維持するためには, この
動物への理解を深め, 健全な成長や繁殖に適した環境を整えていくことが重要である。
京都市動物園には, モモタロウ (2000 年 7 月 3 日生まれ), ゲンキ (1986 年 6 月 24 日生まれ), ゲンタロウ (2011 年
12 月 21 日生まれ) と, 3個体のニシゴリラが飼育展示されている。ゲンタロウは人工哺育で育てられ, 母親個体 (ゲン
キ) ・父親個体 (モモタロウ) との同居が成功した個体である。本研究では, このゲンタロウを主な対象個体とし, ニシゴ
リラ乳児の心の発達の過程を捉えること, さらに適切な発達に必要となる環境要因を検討することを目的として観察をお
こなった。
対象個体を含む全個体は, 通常展示時間が終了する午後5時前後から翌日の午前 9 時前後までは必ず屋内の寝
室へ収容される。誕生時から人工哺育期間を経て両親との同居後約1年間 (2013 年 12 月 24 日まで) は旧ゴリラ舎屋
内監視カメラの映像が消灯後の夜間も含めて保存されている。今回, この映像を見直し, 屋内収容中の対象個体の行
動と位置, そばに居る個体の分析をおこなった。また, 各個体の状態を知る手がかりとして日々の飼育管理日誌の記
録を用いたところ, 対象個体を含む全個体が 2014 年 4 月 14 日, 15 日に新しく完成したゴリラ舎に移動してからは, 特
に父親個体の行動に変化があり, 対象個体との好意的な関わりが以前の施設にいた時と比較して減少する傾向が見ら
れたが, 2014 年 9 月には再び頻繁に社会的な遊びを通して関わる様子が見られるようになった。今後の計画としては,
47
― 47 ―
新しいゴリラ舎に消灯後の撮影が可能となる赤外線対応ビデオカメラを設置し, 夜間における対象個体と母親個体の
行動と関わりの様子を以前の施設での場合と比較したいと考えている。
2014- (計画) 2-18 萩原 慎太郎 (福山市立動物園), 伊藤 秀一 (東海大学 農学), 田中 正之 (京都市動物園),
森村 成樹 (京都大学 野生動物研究センター)
「飼育下のアジアゾウにおける体の“利き側”を利用した新訓練法の検討」
(対応者:杉浦 秀樹)
ヒトの利き手のような行動の左右差は, ヒト以外の霊長類やイルカ, ゾウをふくむ広い動物分類群で見られる現象で
あるが, ヒト以外での詳細は明らかにされていない。ゾウ飼育では, 健康管理上のトレーニングや QOL 向上のための環
境エンリッチメントが行なわれており, 種や個体の特徴に合わせて行なっていくと, より効果的であると考えられる。本研
究では, 特徴として, トレーニング時および日常的に発現される行動の左右対称性を明確にするため, 福山市立動物
園の雌アジアゾウ (ボルネオゾウ) 推定 16 歳1頭において, 左右一方を選択して行動すると思われる 8 項目について
調査した。調査はビデオ観察もしくは直接観察で行なわれた。まず, 採食時の鼻を使う行動 4 項目において, 鼻の巻き
取り方向 (左巻きまたは右巻き) を記録した。 (1) サトウキビを供試個体の頭上に吊るして計 100 本提示し, 全て右巻
きで獲得した。 (2) 透明円筒内中央に落花生 1 個を入れ, 供試個体と正対するように計 70 回提示し, 左巻きでの獲得
が有意に (P<0.0001) 多かった。 (3) オーツ麦乾草を地面に計 20 回提示し, 全て左巻きで獲得した。 (4) (3) で提示
したオーツ麦乾草をドングリに変更して計 10 回提示したが, 巻き取らず, 鼻先でつまんで獲得した。次に (5) 砂浴び
行動において, 体の左右に砂をかけた回数をそれぞれ計測した結果, 計 126 回中, 左側 49 回, 右側 46 回と左右の
頻度に有意差はみられなかった。トレーニング時における (6) 伏臥・ (7) 起立時における後肢の動かし方について調
査し, 伏臥時には 31 回全てで右ひざから地面につき, 起立時には左後肢を地面について起立する行動が有意に多く
(P<0.05) みられた。 (8) すでに常同行動として確認されている, 回ゆう癖の回転方向を調査し, 観察された回ゆう癖全
てで, 時計回りであった。本研究ではドングリ採食および砂浴び行動に左右差は見られなかった。一方, 6 項目では明
らかな左右差を確認できたが, その方向に一貫性はなく, 環境要因による影響が考えられた。
2014- (計画) 2-19 佐々木 智子 (京都市動物園・種の保存展示課・畜水産技術職)
「フンボルトペンギンの転卵時の卵の温度と角度の計測および親鳥の行動について」
(対応者:伊谷 原一)
飼育下フンボルトペンギンの抱卵中の行動及び卵の状態を知るため, 2014年4月9日から同年5月3日の25日間, 抱
卵中の1ペアに温度・加速度データロガーを挿入した擬卵を抱卵させ, 卵温度及び転卵角度を測定し, 巣内の録画を
行った。観察開始日は産卵後63日で, 実際の抱卵期間を超過してからの観察となった。
卵温度は平均34.6℃, 最高36.9℃, 最低20.1℃であった。抱卵時の卵の平均温度はオスとメスで有意差がありメスの
ほうが低かった。オスと比較してメスには頻繁に立ち上がったり抱卵を中断したりする傾向があったため, このことが卵の
平均温度の差に影響したと考えられた。抱卵個体が卵を離れて巣から出る抱卵中断は給餌時に多い印象があったが,
抱卵中断全72回中給餌時のものは24回 (約3割) であり, 抱卵中断は採餌だけに起因したものではないことが示された。
また抱卵中断開始時の卵温度の平均は33.4℃で, 抱卵期間全体の卵温度の平均よりも低いことから, 抱卵中断は 必
ずしも卵の温度を下げる放冷のためではなく他にも要因があると考えられた。
抱卵中は転卵の他に立ち上がり, 羽づくろい, 排泄などの, 卵が動く要因となる様々な行動が観察され, 意図的な
転卵より大きく卵が動くことがあったため, ペンギンが意図しているか否かに関わらず卵が±20°以上動いたものを今
回は転卵と定義した。転卵回数は 923 回, 転卵の間隔は, 1 分から 8 時間 54 分であった。日中 (6 時から 18 時台) と
夜間 (19 時から 5 時台) では, オスメスともに日中の転卵頻度が高かった。また, 卵の温度帯ごとの転卵頻度が日中と
夜間で似たような変化をしており, 卵温度を感じて転卵している可能性も考えられた。日ごとの転卵回数は異なるが, 25
日間を通しての著しい変化は見られなかった。このことは抱卵初期・中期・後期で転卵頻度が異なるという先行研究と一
致しないため, 今後は, できるだけ実際の抱卵期間中にデータを収集し, 今回のものと比較検討したい。
2014- (計画) 2-20 明石 富美子 (京都水族館)
「ケープペンギンにおける血中ビタミン濃度の測定」
(対応者:伊谷 原一)
飼育下では, ペンギンの餌料として冷凍魚を使用するため, ビタミン摂取量不足が懸念され, ビタミン剤を経口投与
している。また, ビタミン剤の投与は趾瘤症改善に効果があるとも言われている。しかし, 投与の有用性や効果ついて
検証した事例はなく不明な部分が多い。今回, 飼育下のケープペンギンを用い, ビタミン B1 およびビタミン E の血中濃
度に着目し, ビタミン剤の経口投与の有用性, 趾瘤症治療におけるビタミン剤の効果を調べた。
2014 年 11 月から 2015 年 2 月に総合ビタミン剤の投与錠数, 投与頻度を変更し正常個体 3 羽, 趾瘤症個体 3 羽の
血中ビタミン濃度を調べた。
その結果, 総合ビタミン剤を毎日 2 錠投与する方が, 毎日 1 錠投与するより血中ビタミン濃度が高くなる傾向にあり,
経口投与することによってビタミンが効果的に摂取されていることがわかった。しかし, 投与頻度を毎日, 2 日に 1 回, 3
日に 1 回と変更しても血中ビタミン濃度に大きな変化は見られなかった。3 日に 1 回まで投与頻度を減少しても, 血中ビ
タミン濃度を維持できる可能性が示唆されるが, 1 日で代謝してしまう可能性が否定できず, 今後更なる詳細な分析が
必要である。
正常個体と趾瘤症個体を比較すると, 血中ビタミン B1 濃度は趾瘤症個体が高い傾向にあり, 血中ビタミン E 濃度は
正常個体が高い傾向にあった。従って, 趾瘤症治療にはビタミン E 剤を投与することが有効であることが示唆された。
血中ビタミン E 濃度は, フンボルトペンギンにおいて季節的変動も認められるとの報告があるため, 他の季節でも検
証する必要がある。またフンボルトペンギンで報告されている血中ビタミン E 濃度より, 今回のケープペンギンの供試個
48
― 48 ―
体の方が血中ビタミン E 濃度が高いことから, 他種よりビタミン剤の投与量を減らすことができる可能性もある。今後継続
して血中ビタミン濃度を調べ, 飼育下におけるペンギン飼育および健康維持の向上を目指したい。
2014- (計画) 2-21 尾崎 康彦 (名古屋市立大学大学院医学研究科産科婦人科学), 久世 濃子 (国立科学博物
館), 須永 絵美 (横浜市環境創造局動物園課繁殖センター), 木村 幸一 (東山動植物園), 田島 知之 (京都大学理
学研究科), 木下 こづえ (京都大学霊長類研究所)
「ヒト補充生殖技術 (ART) の飼育下オランウータンへの応用およびオランウータンの尿中ホルモンの簡便な測定法」
(対応者:森村 成樹)
本研究では, 以下の2つの目的に取り組んだ。
(1) 飼育下でのオランウータンへ, 排卵予知, 人工授精等のヒト補助生殖技術 (ART: Assisted Reproductive
Technology) を応用することにより, 日本国内のオランウータンの繁殖成績の向上に寄与する
(2) 近赤外分光法および高速液体クロマトグラフィーを用いた, オランウータンの尿中ホルモンの簡便なモニタリン
グ方法の開発
(1) については飼育下で採取した精子の凍結保存法の確立を目指し, 平成26年1月~12月に横浜市繁殖センター
にて, 代表者および共同研究者4名 (久世, 宮川, 木村, 木下) が, よこはま動物園と千葉市動物公園で飼育してい
るオランウータン (雄) 各1個体から無麻酔で採取した精液を使って, 無処理およびヒト用精子保存液 (P1 Medium) と
サル用精子保存液 (TTE) で洗浄した検体の, 採精後から24時間までの精子の活性を調べた。その結果, 無処理の
検体でも24時間後で68%の精子活性があること, P1よりTTEで洗浄した検体の精子活性が高い傾向があることを確認で
きた。
また, 千葉市動物公園より, 園で飼育している雌雄のペア間での人工授精への協力の打診があり, 平成27年3月10
日に代表者および共同研究者2名 (久世, 木下) が参加して, 人工授精を実施した。結果が判明するのは2015年4月
以降である。
(2) については, 久世がボルネオ島で採取した野生オランウータンの尿サンプルを, 木下が京都大学野生動物研
究センターにて尿中発情ホルモン代謝産物 (Estrone-3-glucuronide) およびクレアチニンの濃度を従来法と近赤外分
光法を用いて測定し, それぞれの結果について部分最小二乗法で回帰分析を行ったところ, 決定係数 R2>0.68 の精度
が得られた。これにより, 近赤外分光法で両者の濃度を簡便に測定できる可能性が示唆された。
2014- (計画) 2-22 藤谷 武史 (名古屋市立東山動物園), 谷 佳明 (東山動物園), 安川 雄一郎 (高田爬虫類研
究所), 玉井 勘次 (元鹿児島市平川動物公園)
「国内飼育種アルダブラゾウガメにおける種の再検討」
(対応者:幸島 司郎)
アルダブラゾウガメ属 Dipsochelys の現存種として, アルダブラゾウガメ Dipsochelys dussumieri, セーシェルヒラセゾウ
ガメ D.arnoldi, セーシェルセマルゾウガメ D.hololissa の 3 種が知られているが, 日本の動物園水族館ではアルダブラ
ゾウガメ Dipsochelys dussumieri 以外の飼育は認められたことがない。しかし, 一般的なアルダブラゾウガメと外部形態
が異なる個体が飼育下で何頭か確認されている。そこで, 我々は国内の動物園水族館で飼育されているゾウガメの中
にアルダブラゾウガメ以外の種が隠ぺいされていないか昨年度より形態学的手法を用いて調査を行っている。具体的
には 3 種の間で差異の大きいことが知られている, 第一肋甲板長と第二肋甲板長の比, 第二椎甲板長と第三椎甲板
長の比, 肛甲板長と後肛甲板最深部長の比 (以下「アナルノッチ」と表記) の 3 箇所を用いて比較検討した。昨年度は
11 園館 35 個体について調査を行い, セーシェルヒラセゾウガメの形態に該当する個体が 5 個体, セーシェルセマルゾ
ウガメの可能性があると思われる個体は 2 個体確認された。今年度は 6 園館 17 個体の調査を行い, セーシェルセマル
ゾウガメの可能性があると思われる個体が新たに 1 個体確認された。アルダブラゾウガメ以外の種と推定されるこれら 8
個体に加え, 計測データではアルダブラゾウガメ以外の種と判定されなかった個体の中でも, 外見上非常に疑わしい
形態を示している個体が 3 個体確認された。また, 今回アルダブラゾウガメ以外の種と判定された個体はすべてオスで
あり, メスの個体の種同定が困難である可能性も示唆された。今回の調査では遺伝的調査の実施には至らなかったが,
このことに鑑みても外部形態に加えて遺伝的調査の必要性が強く示唆される。今後は遺伝的調査を加え, さらに種同
定の確立化に努めたい。
計画研究 3 東日本大震災に伴う共同利用・共同研究
2014- (計画) 3-1 水谷 友一 (名古屋大学大学院 環境学研究科), 永田瑞穂 (名古屋大学大学院 環境学研究
科)
「大規模災害後の餌環境の変遷と野生海鳥種の行動変化」
(対応者:杉浦 秀樹)
2011年の東日本大震災により本研究の調査地である青森県八戸市の蕪島ウミネコ繁殖地周辺及び太平洋沿岸域は
被災し, ウミネコが高頻度で利用していた繁殖地近隣の餌場 (漁港や沿岸域にある水産加工場) が消失した。しかし,
これらの場所は震災から徐々に復旧しており, 昨年までの調査で, ウミネコがこれらの場所を餌場として再認識し, 利
用していたことが分かっている。このような環境変動の変化に対して, 野生動物が行動をどのように変化させているか明
らかにすることを目的とした。
ウミネコの抱卵期 育雛初期にあたる5月から6月に, 青森県八戸市にある蕪島ウミネコ繁殖地にて親鳥を捕獲し,
小型行動記録計GiPSy (GPSデータロガー) を背中に装着し, 18個体から4 13日間の行動軌跡を得た。
49
― 49 ―
ウミネコの海洋へ向かった採餌旅行に注目し, 個体ごとの採餌旅行と移動速度・移動に費やす時間から推定した採
餌場所について解析した。その結果, 2014年は同様の採餌行動調査を行った他年度と比べて, 繁殖地から東方沖の
広い海域で採餌していた。また, 1回の採餌旅行に費やす時間は変わらなかったが, 総移動距離と繁殖地から最も離れ
た距離が長く, 利用した海域の面積も広かった。つまり, 餌探索の努力量を増やしていた。
また, ウミネコが実際に利用した場所とシミュレーションによるウミネコが利用可能な場所との比較では, 海面水温とク
ロロフィルα濃度の変化による採餌場所の違いは見られなかった。漁獲情報として本調査時期に八戸および岩手県沿
岸部で, ウミネコの主食の1つであるイカナゴの水揚げ高が大きく減少していた。
これらのことから, ウミネコは海面水温やクロロフィルα濃度の変化で採餌行動を変化させないが, 年によって異なる
餌資源量に対応し採餌行動を変化させていたことが明らかとなった。2014 年の八戸近海のウミネコの餌となる海洋資源
は乏しく, ウミネコは東方沖合まで採餌範囲を広げる必要があったと考えられる。
自由研究
2014- (自由) 1 福田 智一 (東北大学大学院農学研究科)
「絶滅が危惧鳥類からの初代細胞培養と保存, 無限分裂 (不死化) 細胞樹立の試み」
(対応者:村山 美穂)
【研究の目的】近年, 人類の大気中への二酸化炭素の放出量はさらに増加している。現在, ペンギン類は IUCN のレ
ッドリストにおいて Least Concern に分類されているが, 近い将来に個体数が減少すると予想される。
本研究ではペンギン類の組織の一部を採取し, その組織由来の初代培養細胞を得ることを試みた。我々が樹立す
る細胞は, 安価に保存が可能になる上, 研究者の間で研究リソースとして広く共有し, 絶滅危惧動物の研究の発展に
寄与すると考えられる。
【方法】2014 年に名古屋港水族館においてアデリーペンギンの成体死亡個体1例および, アデリーペンギンの発生
途中の卵から得られた胎児組織を材料に培養を開始した。成体の場合, 死亡直後に筋肉組織をサンプリングし, 培養
を開始したが組織の自己融解が激しく培養細胞を得ることは出来なかった。
一方, 発生途中の胚組織を用いた実験では, 国立環境研究所の大沼学研究員の協力を得て, 鳥類の培養に最
適化された KAV1 培地を使用した。この培養培地は鳥類, 特に始原生殖細胞 (PGC) の培養に特化した組成を持つ。
胚から得られた肋骨周辺筋肉組織および肝臓由来組織から培養を開始した。培養は CO2 インキュベータを用いた上,
細胞培養ディッシュにはコラーゲン処理を行い細胞の生着を加速した。
【結果および考察】培養開始後約5日目に肋骨周辺筋肉組織から, 特有の突起を持つ形状の細胞の出現を認めた。
さらに細胞分裂し, 培養開始後 3 週間目には 100mm 培養ディッシュにコンフルエント状態に達した。細胞の形態から考
え, 筋肉由来の線維芽細胞と考えられた。加えて肝臓組織においても大型の核を持つ特徴的な細胞集団の出現を培
養7日目に認めた。細胞形態から判断するに肝実質細胞と考えられた。以上の結果から我々はアデリーペンギン由来
の初代培養細胞の作成に成功したと判断した。今後, 本研究成果をもとに絶滅危惧鳥類の培養細胞の樹立など実用
化および発展を目指す。
2014- (自由) 2 金子 武人 (京都大学・医学研究科・附属動物実験施設), 伊藤 英之 (京都大学・野生動物研究セ
ンター, 京都市動物園), 坂本 英房 (京都大学・野生動物研究センター, 京都市動物園)
「希少動物におけるフリーズドライ法による精子保存法の確立及び配偶子バンクの設立」
(対応者:村山 美穂)
本研究では, 液体窒素を必要としない長期保存が可能なフリーズドライ精子保存法における希少動物の保全への応
用の可能性について評価した。試験に使用した精子は, 京都市動物園で飼育されていたジャガーおよび野外で採取
されたケナガネズミから精子を回収した。精子は, 精巣上体尾部より回収し, Tris-EDTA 溶液に懸濁した。精子懸濁液
をガラスアンプルに導入後, フリーズドライ処理を行った。フリーズドライアンプルは密閉し, 冷蔵庫 (4℃) で 1 ヶ月程
度保存した。その後, フリーズドライ精子は, 純水で復水しマウス未受精卵内に顕微注入した。精子注入後の卵子は 6
時間程度培養した後, 前核の出現を確認した。前核の出現を受精成功と判断し, その卵子と受精した精子に受精能力
があるものと評価した。今回試験に用いた動物種において, フリーズドライ後一定期間冷蔵保存された精子に受精能力
があることが確認できた。今回用いたフリーズドライ精子保存法は, 代表者が開発したマウス・ラット精子に用いる方法で
あり, 以前の野生動物研究センター共同利用・共同研究において, チンパンジー, キリン, イタチの精子においても同
様にフリーズドライ後の精子に受精能があることを確認している。このことから, 本方法は, 同じプロトコールであらゆる
動物種の精子保存に適応できる可能性が極めて高いと推察される。今回およびこれまでの研究成果から, フリーズドラ
イ精子保存法が希少動物の保全に貢献できる技術であると考えられ, 今後も多くの希少動物種のデータを蓄積してい
きたい。
2014- (自由) 3 土田 さやか (京都府立大学大学院), 牛田一成 (京都府立大学大学院)
「霊長類における宿主と乳酸菌の共進化」
(対応者:村山 美穂)
古典的培養法および分子生物学的手法を用い, 霊長類と乳酸菌の共進化の過程でどのような要因が共進化に影響
を与えたのかを明らかにする目的で, すでに単離している飼育ニシローランドゴリラ (京都市動物園・東山動物園) およ
び野生ニシローランドゴリラ (ガボン共和国) の乳酸菌の系統解析および, 生理性状試験を行ったところ, 採材したす
べての個体から同種の乳酸菌が単離されており, 16S rRNA遺伝子を用いた系統解析の結果から, この乳酸菌は
50
― 50 ―
Lactobacillus gorillaeであることが明らかとなった。この菌種の16S rRNA遺伝子配列は, 配列のみではあるが, サンディ
エゴ動物園の飼育ニシローランドゴリラおよび野生ヒガシゴリラからもDNAデータバンクへの登録があることから, 環境に
左右されることなくゴリラという種と強く共生関係を築いていることが明らかとなった。
また, 古典的培養法を用いた菌株の生理性状試験では, 野生個体由来株がヘミセルロース分解活性やフェノール
誘導体分解活性をもつ, 飼育ゴリラ由来株ではこうした能力が失われ, ヒト由来近縁株である L. fermentum と同じ表現
系を示すように変異していることを示した。さらに, NaCl に対する抵抗性も野生ゴリラ由来株 (≦6.5%) と飼育ゴリラ由来
株 (≦8.0%) に差があり, 飼育ゴリラ由来株に高い NaCl 抵抗性が認められた点は, 飼育ゴリラの食事がミネラルバラン
スを十分維持したペレット飼料などでまかなわれている点, 野生ゴリラは食事中の Na 不足に常にさらされている点など
から, 同一種においても株レベルで飼育条件への適応がすでに始まっていることを示すことができた。
2014- (自由) 4 福田 真嗣 (慶應義塾大学 先端生命科学研究所), 伊藤 優太郎 (慶應義塾大学 環境情報学
部), 吉川 実亜 (慶應義塾大学 環境情報学部)
「シカの食性と腸内細菌叢の解析」
(対応者:杉浦 秀樹)
本研究では屋久島に生息している野生のシカの糞便中細菌叢を分析した。屋久島の西部林道において野生のシカ
を追跡し, 10個体 (9個体の成体および1個体の幼体) の排便直後の糞便を採取して細菌叢解析を行った。その結果,
成体の細菌叢は互いに類似しており, その大部分 (45-95%) は大腸菌で占められていることが明らかとなった。また,
幼体の細菌叢においては大腸菌が占める割合は5%程度と成体に比べて非常に小さく, ルミノコッカス属等をはじめとす
るクロストリジウム目が60%程度を占めていることが明らかとなった。9個体の成体の中にこの幼体の母親が含まれている
が, 親子の糞便中細菌叢は構成が大きく異なっていた。ヒトの腸内細菌叢においても幼児と大人ではその構成が大きく
異なることが示されており, 本研究はシカにおいてもその傾向が認められることを明らかにしたものである。本研究で糞
便を採取した個体の中には行動範囲が異なるものもいたが, いずれも植物の芽等を食しており, 基本的な食性に違い
は見られなかった。成体の細菌叢は個体間で大きな差異はみられなかったが, これは食性が類似していたことに起因
すると考えられる。また, 性別による細菌叢の差異もみられなかった。これらのことから, シカの細菌叢は幼体と成体で
構成が異なるものの, 成体になるにつれて画一的な構成に収束していく可能性が示された。
本研究には慶應義塾大学の教員及び学生が9名で参加し, シカの追跡調査, 糞便サンプルの採取, 細菌叢解析実
験およびデータ分析を行った。
2014- (自由) 5 栗原 洋介 (京都大学霊長類研究所)
「野生ニホンザルにおける C ペプチドを用いたエネルギーバランス評価」
(対応者:杉浦 秀樹)
エネルギーバランスは動物の生存・繁殖に影響する重要な要因である。本来社会生態学モデルの検証にあたっては,
採食競合がエネルギーバランスや繁殖成功にまで影響しているかを調べる必要があるが, その正確な評価は困難であ
った。近年, 尿中のCペプチドを定量することで体内のインスリンレベルを推定する方法が確立され, 非侵襲的かつ正
確にエネルギーバランスを評価することが可能になった。本研究では, 屋久島海岸域に生息するニホンザルを対象とし,
群れサイズによる採食行動の違いが個体のエネルギーバランスに影響しているかどうか調べることを目的とした。
実験には2012年10月から2013年10月に収集した尿サンプル (2群・オトナメス13個体分, 127サンプル) を用い, 高
速液体クロマトグラフィー (HPLC) および酵素免疫測定法 (EIA) により尿中のCペプチド濃度を定量した。
予備的な解析の結果, 2 群とも果実の利用可能性が高い秋に C ペプチド濃度が高いことがわかったが, 群間で C ペ
プチド濃度に違いはみられなかった。今後も解析を続けていくとともに, HPLC と EIA の測定値の比較検討を行い,
HPLC による C ペプチド濃度測定の妥当性について検討する。
2014- (自由) 6 宮田 晃江 (京都大学霊長類研究所)
「屋久島におけるヤクシマザルの集団の分布とその変遷」
(対応者:杉浦 秀樹)
屋久島では, 1960年代, 70年代に行われた拡大造林によって, ヤクシマザルによる農作物被害が増加した。農作物
被害対策としての捕獲と, サルの個体群保全の両立を目的として, 1991年から1993年に, 屋久島の海岸部に生息する
サルの群れ密度と植生との関係が調査された。その結果, ヤクシマザルの群れ密度は自然広葉樹林で高く, 人の居住
地周辺では低くなる傾向が見られた (Yoshihiro, 1998)。この調査では, 調査定点周辺のどのような要素がサルの群れ
密度に影響を及ぼしているかについては分析していなかったため, 本研究は, (1) 過去に行われた分布調査の結果か
ら, 植生および捕獲とサルの集団発見頻度との関係を調べること, (2) 過去に行われた分布調査を一部地域で再調査
し, 20年後の集団発見頻度の変遷を明らかにし, 植生および捕獲の影響を調べることの2つを目的とした。
過去の定点周辺の植生と集団発見頻度の関係を知るために, QGISで作成した屋久島のデジタル地図を用いて植生
の面積割合を求めた。また, 過去の調査定点の一部を利用した定点観察を行った。さらに, 屋久島町役場からサルの
捕獲頭数のデータを取得し, 集団発見頻度と捕獲との関係を分析した。
(1) の調査の結果, 過去の集団発見頻度は農地の面積および捕獲と有意な負の相関を示した。 (2) の調査では,
今回および過去の集団発見頻度のデータについて, 永田~志戸子間で得られたデータを「北」, 楠川~原間で得られ
たデータを「東」, 尾之間~栗生間で得られたデータを「南」, 西部林道で得られたデータを「西」と 4 つのグループにま
とめて, グループごとに比較を行った。その結果, 北と東では現在の発見頻度が過去の発見頻度と比較して減少して
いることが分かった。また, 人工林面積の広がりと捕獲頭数の多さが北と東の集団発見頻度の減少の要因である可能
性が示唆された。
51
― 51 ―
2014- (自由) 7 豊田 有 (京都大学霊長類研究所), 古市 剛史 (京都大学霊長類研究所社会生態分科社会進化
分野教授), 清水 慶子 (岡山理科大学理学部動物学科教授)
「嵐山E群の高齢メスニホンザルにみられる性行動の生殖関連ホルモン動態との関連, およびその社会的機能につ
いて」
(対応者:杉浦 秀樹)
2013 年 9 月 17 日から 2014 年 2 月 21 日まで, 京都市嵐山で高齢メス 14 頭を対象とした性行動の観察および糞サ
ンプルの採集を行った。観察日数は 144 日間, 総観察時間は 802.0 時間であった。この調査期間中に観察した交尾例
数は 223 例, 集めた糞サンプルは 737 個であった。
共同利用として貴財団から配分を受けた研究費を用い, 調査期間中に集めた 737 個の糞サンプルから糞中性ホル
モン代謝産物を測定した結果, 対象個体すべてで排卵は認められず, 閉経状態にあることが明らかになった。本結果
は, 野生マカクについてホルモン測定を用いた研究で閉経状態を確認した数少ない成果であると同時に, 閉経期にお
いても性行動を行うことを確認した貴重な例である。現在修士研究として成果をまとめている。
また, これらの研究の過程で, 嵐山のニホンザルの糞中のプロゲステロン代謝産物が非常に高いことを発見した。
その普遍性を検証するために, 2014 年 10 月に霊長類研究所で飼育されている高齢メス 4 頭から血液サンプルおよび
糞サンプルを採取し, 貴財団から配分を受けた研究費を用いてホルモン測定を実施した。その結果, 研究所の飼育高
齢ザルでも同様の結果が認められた。一般的に高齢になるとホルモンレベルは低下することが知られているが, 本結果
はこれら先行研究とは異なる結果を示している。今後の研究で, 高齢期における代謝機能や, 加齢変化に伴うホルモ
ン代謝経路について調べることで, より詳細な知見が得られると考えている。
2014- (自由) 8 Edward M. Kohi (Tanzania Wildlife Research Institute), Simula P. Maijo (Tanzania Wildlife Research
Institute)
「Feeding Ecology of Mahale Mountains Chimpanzees」
(Host researcher: Michio Nakamura)
In order to understand the distribution and amount of chimpanzee food resources in terms of nutrient and energy values
at Mahale, Tanzania, we conducted the study by focal observation of the well-habituated M group chimpanzees (Pan
troglodytes) in the Mahale Mountains National Park from morning to evening, as long as possible. We recorded following
data during the focal follows. 1) We recorded all food items consumed by the chimpanzees and time taken to consume
each item 2) We collected leftovers of food items from the same plant individual that chimpanzees actually utilized in
order to estimate nutrient and energetic values. The samples were air dried and packed in zipper plastic bags and brought
back to the research camp. Nutrient and energy value analyses are ongoing. 3) We also continuously recorded the location
of focal chimpanzees by GPS system while we follow them and we marked the locations of feeding trees.
Preliminary analyses of feeding behavior suggest that fruits form the major diet (54.6%) of Mahale chimpanzees followed by leaves (21%) . Chimps eat a diversity of fruits and leaves within the Mahale Mountains, where in this study we
recorded about 45 plant species of which 26 species were fruits and 13 species were leaves. Chimpanzee changes diet
over time depending on availability; for example, in June chimpanzees heavily depended on fruits of Canthium rubrocostatum and Cordia africana while in in July they started eating more on Dalbergia malangesis and Ficus sonderi.
Myrianthus sp. fruits become more important from September as well as fruits of Cynanchum sp.and Saba florida which
extent to November. We hope to capture the remaining months for the ongoing fieldwork. We will keep analyzing the
nutritional values and energy of these fruits.
2014- (自由) 9 松本 祥子 (名古屋大学大学院 環境学研究科)
「イエネコによるオオミズナキドリへの捕食被害の定量化」
(対応者:幸島 司郎)
新潟県粟島には数万羽のオオミズナギドリが繁殖しているが, 近年イエネコが持ち込まれ, 野生化した個体が親鳥
やヒナを捕食する事例が観察されている。イエネコの被害の現状を把握するために, 粟島内のオオミズナギドリ繁殖地
を赤外線カメラにより常時観察し, イエネコの繁殖地への侵入頻度やそれによる捕食被害の程度を明らかにすることを
目的とした。
繁殖地観測のため, 5月に赤外線カメラ12台をオオミズナギドリ繁殖地内に設置し, 24時間の常時モニタリングを開始
した。5月から7月のオオミズナギドリの産卵・抱卵期間と9月から11月までの育雛期間の映像を記録することができた。
育雛期前半の映像解析から, イエネコのオオミズナギドリ繁殖地への侵入は1-5日毎に確認された。イエネコの侵入
時間帯は午前1時から午前6時の間で, 日中には確認されなかった。繁殖地への侵入のうち, およそ80%でヒナを捕食
する様子もしくはヒナをくわえて移動する様子が確認された。ヒナを捕食するのに要する時間は全て1分以内であった。
一方で, オオミズナギドリの親鳥に対してはたとえ遭遇しても捕食しようとする様子は見られなかった。このことから, 育
雛期ではイエネコは容易に獲得できるオオミズナギドリのヒナに対して強く影響を及ぼすことが示唆された。
本調査期間中には, 島民へオオミズナギドリの生態やイエネコ被害の現状について周知するために, 粟島島内にて
講演を行った。今後は, 繁殖期後半および産卵・抱卵期の映像解析を進め, ノネコの影響を繁殖ステージ毎に比較す
る予定である。
2014- (自由) 10 山本 千里 (長崎大学大学院 水酸環境科学総合研究科)
「飼育ハンドウイルカにおける闘争個体への協力者が得る利益の検討」
(対応者:杉浦 秀樹)
52
― 52 ―
協力行動は様々な動物で見られるが, 協力者がいつどのような利益を得ているかは多くの研究で明確でない。ハン
ドウイルカでは, 闘争個体と周りの個体が闘争後親和行動を行うことで, 闘争個体が利益を得ていることが示唆されて
おり, このため闘争後親和行動を行った周りの個体は協力個体であると考えられる。本研究は, 協力個体がいつどのよ
うな利益を得ているかを明らかにするために, 協力個体が始めた闘争後親和行動後に協力個体が得る利益について
検討した。
2014年4月から2015年2月まで計36日間, かごしま水族館で飼育されている10頭のハンドウイルカを観察した。2012
2013年に得たデータを加え, 以下の解析を行った。
協力者が得る即時的な利益として, 闘争後親和行動を行うことで闘争個体からの攻撃を防いでいるかを検討した。
闘争個体が周りの個体を攻撃する頻度は, 闘争後とそれ以外の期間では, 差が見られなかった。このことから, 即時的
な利益を得るために, 協力者は闘争後親和行動を始めるわけではないと考えられる。
次に, 協力者が得る将来の利益として, 相互に闘争後親和行動を行っているか検討した。闘争後以外に行った親和
行動の頻度から, 個体ペアごとに親密さの指標を算出した。高い親密さの指標を共有する個体ペアほど, 協力者が闘
争後親和行動を始める頻度が高かった。このことから, 高い親密さの指標を共有する個体ペアでは, 相互に闘争後親
和行動を行っている可能性が高いと考えられる。
ハンドウイルカにおいて協力者は, 即時的な利益よりも将来の見返りを求めて, 闘争後親和行動を始めていると考え
られる。
2014- (自由) 11 岩原 由佳 (北海道大学大学院 環境科学院), 三谷 曜子, 宮下 和士 (北大 FSC), 白曼 大翔,
西條 大輔, 伊藤 慶造, 阪口 功輝, 石井 緑, 辻井 浩希, 田代 郷史, 片山 誓花 (北大水産)
「カマイルカの回遊追跡と集中利用海域の把握について」
(対応者:杉浦 秀樹)
北海道周辺のカマイルカ (Lagenorhynchus obliquidens) の回遊経路, 海域の利用様式, 系群構造の解明の一助と
することを目的とし, 本種に対し衛星発信機を装着して得られた位置情報から集中的利用海域の把握し, その海域や
目視調査から得られた位置情報と, 物理環境や餌環境の情報を空間的に解析し, 分布環境を把握を目的とした。
衛星発信機によるカマイルカの追跡調査では, 例年本種の混獲がある漁協に, 2 週間調査員 3 人で待機し, 本種
の混獲に備えた。しかし, 今年度は本種が定置網に混獲されず, 発信機は装着できなかった。
また, 船舶からの目視調査は, 北海道大学練習船「うしお丸」にて2014年7月の11日間と9月の8日間, 北海道南東
部海域で行った。環境情報は調査船に備わっているサーモサリノから表面水温, 日本海洋データセンターから水深を
得て, MAXENTを用いてモデル化し, 本種が分布する物理・餌生物環境を明らかにした。また解析には2009, 2011~
2013年に取得したデータも用いた。
目視調査の結果, カマイルカは沿岸に多く, 特に根室海峡および北海道南東部沿岸海域において発見が多かった。
一方で, 北海道南東部沖合海域や知床半島沿岸海域では, ほとんど発見されなかった。発見位置の分布環境は, 水
温が約 14~20 ℃, 陸からの距離が 0~20 km, 水深 0~100 m の海域であった。サンプル数の関係上, 9 月のデータ
をプールして, MAXENT で分布確率の高い海域を算出した結果, 本種の分布要因として寄与率は水深が 75.5%と最も
高く, 水深が非常に浅い所で分布確率が高かった。また, 本調査と同時に行った計量魚群探知機による音響データか
ら, 本種が多かった水深 100 m 以浅の海域と, 分布確率が低くなる水深 100 m より深い海域で, 100 m 以浅の表層魚
群量を比較すると, 本種の分布していた水深 100 m 以浅の海域の方が表層魚群量が多かったことが明らかになった。
本種は主に表層性魚類を捕食することが知られており, 本種は表層性魚類の多い浅海域に分布すると考えられる。
2014- (自由) 12 杉本 親要 (琉球大学 理工学研究科), 池田 譲 (琉球大学 理学部・教授)
「社会性頭足類における性格関連遺伝子と飼育環境への順応性との関係」
(対応者:村山 美穂)
本研究は, 社会性頭足類が群れを維持する上で, 構成員がどのように群れ内の社会環境に順応しているのかを明ら
かにするため, 琉球列島周辺に生息するアオリイカを対象とし, 社会性の基となる顕著な行動の個体差と群れへの順
応性との関連を飼育環境下において調べることを目的とした。
始めに, 沖縄島西岸域由来の60個体の群れ, 同じく東岸域由来の36個体および19個体の群れの全構成員につい
て (同年採集サンプル), ミトコンドリアDNAのCOⅠ領域およびマイクロサテライト11遺伝子座における遺伝子型を調べ
た。前者について, 計8種類のアリルが見つかり, 4つのハプロタイプが特定された。各群2 3タイプを有しており, 1タイ
プは全群に共通だった。また, 19個体の群れにおいて, 独自のタイプが見られた。後者について, 平均8種類のアリル
が特定された。60個体の群れでは9遺伝子座, 36個体の群れでは4遺伝子座, 19個体の群れでは5遺伝子座において
それぞれ1 3種類の独自のアリルが見られた。ミトコンドリアDNAとマイクロサテライトの多型に基づく遺伝距離はよく対
応していた。これらの群れの全構成員を個体識別した後, 飼育下での死亡の順番を記録し遺伝子解析データと照合し
たところ, マイクロサテライト型の違いによる遺伝距離に基づく系統樹内のクラスターと死亡時期との関連が認められた。
次に, 個体識別した 19 個体の群れについて, ソーシャルネットワークグラフを描き, 他個体と多くつながる少数のハ
ブ個体と1個体とのみつながる複数の周辺個体を特定した。この情報を基に, 餌刺激への攻撃, 回避刺激への防衛お
よび新奇環境での探索場面において, ハブ個体と周辺個体の間で他個体を先導する性質に差が見られるかどうか検
証した。その結果, ハブ個体の行動に対して, 他個体が多く先導される様子を観察するとともに, ハブ個体は, 特定の
マイクロサテライト型に基づくクラスターに属する傾向が見られた。
2014- (自由) 13 谷戸 崇 (京都大学大学院 理学研究科 生物科学専攻 動物系統学研究室)
「ネズミ科におけるオスの生殖器の形態機能学的研究」
(対応者:杉浦 秀樹)
53
― 53 ―
日本産ネズミ科 Muridae ネズミ亜科 Murinae 6 種とキヌゲネズミ亜科 Cricetidae ミズハタネズミ亜科 Arvicolinae 5
種について陰茎骨遠位部の三叉構造の有無, 形態の特徴, 骨化の様式を解明することを目的として調査をおこなった.
これまで, 三叉構造について報告されてこなかったハツカネズミ Mus musclus, オキナワハツカネズミ M. caroli, カヤネ
ズミ Micromys minutus を含む観察した全ての種 (アカネズミ Apodemus speciosus, ヒメネズミ A. argenteus, ハツカネ
ズミ, オキナワハツカネズミ, カヤネズミ, ドブネズミ Rattus norvegicus, ハタネズミ Microtus montebelli, タイリクヤチネ
ズミ Myodes rufocanus, ヒメヤチネズミ M. rutilus, スミスネズミ Eothenomys smithii, ヤチネズミ E. andersoni) で三叉
構造が確認された.ネズミ亜科で側乳頭突起が骨化する種は確認されず, ミズハタネズミ亜科に属す種は正乳頭突起,
側乳頭突起ともに骨化が確認された.オキナワハツカネズミ, ハツカネズミ, カヤネズミでは側乳頭突起が非常に小さく
痕跡的なのに対して, 正乳頭突起は発達しており, 特にカヤネズミでは顕著であった.また, 三叉構造がすでに知られ,
三叉構造が骨化しない種であるアカネズミと骨化する種であるタイリクヤチネズミについて, 陰茎骨とその周辺組織の形
態を明らかにし, 三叉構造の動き, 機能について考察した.その結果, 側乳頭突起は骨化の有無に関わらず, 血液が
陰茎海綿体内の血管を通り, 側乳頭突起の海綿体洞へ流入することで開くと考えられた.また, 側乳頭突起が骨化しな
いアカネズミは側乳頭突起の骨化していない領域でも海綿体洞が確認されたことから, 三叉構造の機能は骨化の有無
で異ならないと考えられた.カヤネズミのように側乳頭突起を退化させ正乳頭突起を発達させた種と, アカネズミのように
側乳頭突起を発達させた種にみられる違いは異なる繁殖様式に対する適応進化である可能性が示唆された.
施設利用 (随時募集)
2014- (施設) 1 半谷 吾郎 (京都大学霊長類研究所)
「屋久島のニホンザルの人口動態」
(対応者:杉浦 秀樹)
ニホンザルのような寿命の長い生物の人口動態を明らかにするには, 長期にわたる継続調査が必要である。屋久島
では, 1970年代から海岸部で複数の群れの個体識別に基づく継続調査が行われている。その結果, 群れの分裂・融
合・消滅などの大きな社会変動が起きていることが明らかになった。屋久島は標高によってさまざまな生息環境があり,
標高の高い地域に住んでいるニホンザルは, 食性, 活動時間配分, 群れ間関係などの点で, 海岸部のニホンザルと
は大きく異なることが明らかになっている。しかしながら, 上部域では研究の歴史が浅いため, 長期にわたる人口変動・
社会変動がどのように起こっているかは, 明らかではない。本研究は, 生息環境の異なる屋久島海岸部と上部域での
人口変動・社会変動を長期にわたって比較し, 個体数変動のメカニズムが, 生息環境によってどのように異なるのかを
明らかにすることを, 最終的な目的として, 調査を行った。
調査地は, 屋久島西部, 大川林道の終点付近で, 標高は約1000メートルである。調査対象は, HR群というひとつの
群れである。この群れは, すべての個体を識別しているので, それらの出席を確認するとともに, 出産や, 新規に加入
したオスの確認を行った。また, 今後の個体確定の参考とするため, 排泄物から遺伝子試料を収集した。
本年度は, 4月, 5月, 3月に各1週間から2週間程度の調査を行い, HR群というひとつの集団の構成を確定した。また,
8月に周辺地域での一斉調査を行い, この地域全体での群れの分布と, 主要な群れの構成を確定した。これらの内容
については, 報告書にまとめ, 関係機関に送付するとともに, 以下のホームページに内容をまとめてある。
http://www11.atpages.jp/yakuzaru/
今後もこの調査を継続して, 人口学的パラメータの経年変化を調査するとともに, 遺伝子解析を行って, 個体間の遺
伝的関係を推定する。
2014- (施設) 2 半谷 吾郎 (京都大学霊長類研究所)
「ニホンザルと真菌の関係について実験的研究」
(対応者:杉浦 秀樹)
本研究では, 屋久島で, サルの糞の存在によって土壌中の真菌相が変化することを実験的に証明する。サルがキノ
コを多く採食する時期にサルの糞を回収し, 空気中の菌の胞子, 土壌中のアンモニア菌, サルの糞に含まれるキノコ
食に由来する糞の胞子の影響を区別するため, 複数の処理を行って土壌に付置する。付置前, および付置後1か月,
3か月, 1年, 1年半後に付置場所の土壌を回収し, 次世代シーケンシングによって, 土壌中の真菌層を網羅的に明らか
にする。
屋久島の西部林道で2013年6月, 7月, 9月に各10個の排泄直後のサルの糞を採取し, ステーションに持ち帰って処
理を行った。そのうち一部をエタノール保存した後, 以下の4つの処理を行う。 (1) 土壌に安置し, それ以上動物の撹
乱を受けないように, 幅20cm程度のプラスチック製の籠で糞を覆う。 (2) 土壌に安置し, (1) の籠と同じ大きさのアクリ
ル製の透明の箱で覆う。 (3) オートクレーブで滅菌し, 冷えた後, (2) 同様に土壌安置。 (4) 蒸留水と糞の懸濁液を,
軌道振とう機で60rpm, 30分間攪拌した上澄み。さらにコントロールとして (5) 何も置かず, 籠だけを設置する条件を設
定する。屋久島国有林275林班内で, これらの籠・箱を設置し, 同時にその場所の土を採取してエタノールで保存した。
付置後1か月, 3か月, 1年に付置場所の土壌を回収し, 同様に保存する。
2014 年度は, 7 月と 9 月に設置後 1 年の土壌の回収を行い, 箱・籠の撤去を行った。これらの土壌および糞からの
DNA の抽出が完了した。これらのサンプルの DNA 抽出は終了し, 現在シーケンスを行う準備を進めている。
2014- (施設) 3 Cintia Garai (PRI, Kyoto University), Takeshi Furuichi (PRI, Kyoto University), Yoshi Kawamoto (PRI,
Kyoto University), Heungjin Ryu (PRI, Kyoto University)
「The relationship between social hierarchy and personality in wild living bonobos」
(Host researcher:Miho Murayama)
54
― 54 ―
Androgen receptor gene (AR), monoamine oxidase A gene (MAOA) and monoamine oxidase B gene (MAOB) have
been found to have associations with behavioral traits, such as aggressiveness, and disorders in humans. However, the
extent to which similar genetic effects might influence the behavior of wild apes is unclear. We examined the loci AR
glutamine repeat (ARQ), AR glycine repeat (ARG), MAOA intron 2 dinucleotide repeat (MAin2) and MAOB intron 2
dinucleotide repeat (MBin2) in 32 wild bonobos, Pan paniscus, and compared them with those of chimpanzees, Pan
troglodytes, and humans. We found that bonobos were polymorphic on the four loci examined. Both loci MAin2 and
MBin2 in bonobos showed a higher diversity than in chimpanzees. Because monoamine oxidase influences aggressiveness, the differences between the polymorphisms of MAin2 and MBin2 in bonobos and chimpanzees may be associated
with the differences in aggression between the two species. In order to understand the evolution of these loci and AR,
MAOA and MAOB in humans and non-human primates, it would be useful to conduct future studies focusing on the
potential association between aggressiveness, and other personality traits, and polymorphisms documented in bonobos.
2014- (施設) 5 栗田 博之 (大分市教育委員会 文化財課)
「ニホンザル群における食物摂取と栄養状態および繁殖成績の関係について:幸島群と高崎山群の比較」
(対応者:杉浦 秀樹)
幸島での写真計測法による体長計測は, 8 月中旬に実施し, メス 16 個体についてデータ収集を行った。また, 高崎
山での同法による体長計測は, 例年通り 9 月に実施し, 5 個体のデータ収集を行った。まだ分析が充分ではないが, 特
に幸島群における高齢個体のデータが少なく, 今後データ蓄積を行った上で, 給餌量の多い高崎山群と相対的に給
餌量の少ない幸島群との間に, 体長の縦断変化パターンに違いがあるのかどうかを明らかにしたい。
体重については, 幸島個体では体重の年変動が大きく, 年変動パターンは個体間で同調していることがこれまでの
分析から明らかになっている。そこで, 幸島個体における年によるばらつきが高崎山個体のそれよりも明らかに大きいか
どうかの分析を行った。充分な比較データがある 2005 年から 2008 年までの 4 年間における (妊娠個体がほぼいないと
思われる) 10 月時体重の個体内のばらつきの程度を 2 群間で比較したところ, 幸島個体の方が有意に大きいことが示さ
れた。
また, 2011 年度より行っている幸島群における餌 (コムギ) 獲得量調査については, 今年度は 11 月に実施し, 2 個
体の採餌行動を個体追跡を行いながら観察・記録した。当調査については, 高崎山では 2005~2008 年の間に上位下
位 8 個体ずつのデータ収集を, 幸島では 2011~2014 年の間に同 3 個体ずつのデータ収集を行った結果, 高崎山の
上位個体は下位個体の 1.5 倍 (エネルギーベース) の餌を, 幸島の上位個体は下位個体の 1.8 倍 (同) の餌を獲得し
ていた。まだ, 幸島個体の方で標本数が少ないため, 今後データ蓄積を行い, 餌獲得量の順位格差の様相が 2 群間
で異なるのかどうか明らかにしたい。
2014- (施設) 6 高橋 大希 (秋田県畜産試験場), 力丸 宗弘, 佐藤 悠紀 (秋田県畜産試験場)
「鳥類における行動特性と遺伝子との関連性の解明」
(対応者:村山 美穂)
平成25年度より, 村山教授と当場で, 鳥類における行動的ストレス反応性の強さと遺伝的多型の関連性を解明する
ための協定研究を実施しており, 昨年度の遺伝子解析および関連解析において, ニワトリのTonic Immobility (緊張性
不動) の持続時間と, 候補領域の多型との間に有意な関連を見出した。今年度は当該領域ならびに関連が期待される
領域についての追跡調査に加え, 新たに実施した行動学実験のスコアとの関連についても解析を行った。
供試鶏 ニワトリ3品種ならびに雑種2系統のメス各30羽
・比内鶏
・ロードアイランドレッド
・白色プリマスロック
・比内鶏×ロードアイランドレッド (比内地鶏)
・比内鶏×白色プリマスロック
方法 行動学実験
・Tonic immobility (TI) 試験
ヒナを仰向けに寝かせて数秒保定し, 不動状態に入るまでの試行回数, 時間, ならびに不動状態の持続時間を測
定した。
・Manual restraint (MR) 試験
ヒナを軽く保定し, ストレス行動表出の潜時および回数を測定した。
この実験の前後にコルチコステロン測定用の血液を採取した。
遺伝子解析
・コピー数多型測定
候補領域のコピー数をreal-time PCRにより測定した。
測定結果はβアクチンのコピー数により補正した。
生理学的調査
・コルチコステロン測定
ストレスホルモンであるコルチコステロンについてエンザイムイムノアッセイ法により濃度を測定した。
サンプルはMR実験の前後に採取した血漿とした。
結果 行動学的調査
TI 試験ならびにMR 試験ともに有意な品種間差が確認された。
白色プリマスロックに比べて比内鶏, 比内地鶏がストレス行動の表出しやすいことが示された。
55
― 55 ―
遺伝子解析候補領域のβアクチンに対する相対的コピー数に品種間差が見られた。このため, 品種内で行動学実
験のスコアとの関連解析を現在進めている。
生理学的調査
MR試験後の血漿中コルチコステロン含量の, 試験前含量に対する比は, 比内鶏および比内地鶏で高い傾向が見ら
れ, これらの品種は人との接触に対し, より多くのストレスを受けることが推察された。
2014- (施設) 7 Julie Duboscq (UdS-CNRS), Cedric Sueur (UdS-CNRS), Valeria de Paula (UdS-CNRS), Robert
O’Hagan (UdS), Andrew MacIntosh (Kyoto University WRC and PRI)
「Social networks as a trade-off between optimal decision-making, information transmission and reduced disease transmission」
(Host researcher:Hideki Sugiura)
Within a group, each individual can be seen as part of a network of social interactions that vary in strength, type and
dynamics, and influence transmission of parasite or information. The aim of this study was to understand disease and
information transmission within social networks in Japanese macaques of Kojima islet. To study information transmission,
I planned to carry out artificial fruit experiments where individuals with different position in the social network are
trained to open boxes in two ways (e.g. push/pull) . This part of the project failed due to technical problems with the
boxes. To study parasite transmission, I planned to apply pseudoectoparasites (PEPs), made out of coloured rice grain
covered in hypoallergenic natural wax, on the hair of the box-trained individuals. This experiment had to be stopped too
as no transmission of PEPs occurred between adult females. Finally, between April and Novembre 2014, we collected
about 270h of behavioural data and almost 900 fecal samples. We are now analyzing and publishing these data. One
article relates measures of centrality in social networks and a measure of lice load estimated during grooming observation.
Japanese monkeys are conspicuous when feeding on louse eggs during grooming and we used this behavior to estimate
individual lice load. We found that there was a link between how central females were in the network in terms of number
of social partners and their lice load but only according to seasons. More central females had fewer lice in winter (mating
season) and summer (birth season) but more in spring and fall (both non-mating seasons) . We explain this pattern in
relation to the biology of both the host (monkey) and the parasite (louse) and suggest it is a good example of tradeoffs
between costs and benefits of being highly social.
2014- (施設) 8 島 悠希 (京都大学理学研究科)
「ニホンザルの群れにおける休息時の毛づくろい相手の選択」
(対応者:杉浦 秀樹)
本研究の目的は, ニホンザルの群れの個体が同時に集まり毛づくろいが起こる休息時, 個体は第三者として他個
体間の親和的関係に基づき, すぐに毛づくろいを受けられる可能性の高い相手を選択していることを明らかにするこ
とである。休息場所にやって来た個体の, すでに休息中の個体に対する「接近」を調べた。接近とは, 接近相手との
距離 5m以内で 3 秒間停止することとした。接近を, 相手と接触する位置まで接近する「接触接近」と, 相手と接触しな
い位置に接近する「非接触接近」に区分した。接触接近ではすぐに相手と毛づくろいが起こった。親和的関係は毛づ
くろい頻度で示した。接触接近相手は, 休息中の個体のうち, 接近した個体と最も親和的な個体である傾向がみられ
た。また, 毛づくろい中の個体に対する接近に着目したところ, 接近した個体と接近相手の親和的関係が接近相手と
その毛づくろい相手の親和的関係より強いときに, 弱いときより接触接近する傾向にあった。これは接近した個体と接
近相手の親和的関係によってのみ説明されなかった。また前者の場合ですぐに毛づくろいが受けられ, 後者の場合
で受けられなかった。よって, 対象としたニホンザルが, 自分と相手の親和的関係を認識しているのみではなく, 第三
者として他個体間の親和的関係を認識し行動を変化させている可能性が示唆された。
2014- (施設) 9 MacIntosh, Andrew (WRC, PRI, Kyoto Univ.), Kaneko, Akihisa (PRI, Kyoto Univ.), Itoh, Makoto
(Aichi Medical University), Shimizu, Keiko (Okayama University of Science), Mouri, Keiko (PRI, Kyoto Univ.),
Duboscq, Julie (University of Strasbourg), Sueur , Cedric (University of Strasbourg), Cecile (University of Strasbourg),
Okamoto, Munehiro (PRI, Kyoto Univ.), Suzumura, Takafumi (WRC, Kyoto Univ.), Romano, Valeria de Paula (Univ.
Strasbourg)
「Parasites as a selective force in primate social systems evolution」
(Host researcher:Hideki Sugiura)
This research tested (1) whether intestinal parasites constrain macaque health and fitness; and (2) behavioral and social
factors related to parasite reinfection by experimentally removing parasites from target female macaques on Koshima via
oral anthelmintics, monitoring infection via parasitological analysis of fecal samples, and continuously recording macaque body mass, breeding output, behavior and physiology.
We treated 13 adult females (currently 12) 8 times between November 2012 and March 2015. Parasitological analysis
of fecal samples (Nexamined=802, Ncollected>1800) shows high drug efficacy against 3 of 4 parasite species. Treated females
maintained higher body masses than control females through September 2014 (glmm: treatment, p=0.007), though most
benefits appear restricted to high-ranking females (glmm: rank*treatment, p=0.014), and displayed higher reproductive
output over two breeding seasons (2013-2014) after controlling for age, rank and historical breeding success (glm:
p=0.038) . Current results indicate that parasitic worms do constrain Japanese macaque health and fitness, providing the
first evidence that intestinal parasites can regulate primate populations. Two manuscripts describing this research will be
submitted in March 2015.
56
― 56 ―
We used this project to launch other investigations of relationships between behavior, social interactions and spread of
infectious organisms. Currently, three manuscripts describing this work are submitted or nearing submission.
Julie Duboscq found that individuals with large grooming networks had lower lice loads, despite that extended
networks allow for greater contact and transmission opportunities. Grooming thus effectively limits infestation and transmission of lice loads.
Valeria Romano used simulations based on observed contact networks to show that pathogen spread is likely
to be more extensive and quicker within a group on Koshima than on Yakushima.
Cecile Sarabian used experiments and observation to show that macaques are consistent in food manipulation and feces
avoidance behaviors which appear to determine their risk of infection with fecal-oral parasites. We conclude that these
hygienic tendencies thus reflect parasite avoidance strategies.
2014- (施設) 10 Cecile A Sarabian (Strasbourg University), MacIntosh Andrew (WRC, KUPRI)
「Hygiene and parasite infection in Japanese macaques of Koshima island」
(Host researcher:Hideki Sugiura)
Hygiene encompasses behaviors that maintain individuals and their environments clean to avoid infectious diseases.
Hygienic practices are universal among humans, but less is known about such behaviors in nonhuman animals. For example, diverse strategies for avoiding parasites have been proposed for nonhuman primates, however very few studies investigated feeding-related infection-avoidance strategies, despite the ubiquity of parasites that use the fecal-oral pathway.
Thus, we tested through experimentation and observation whether food manipulation behaviors and feces avoidance in a
nonhuman primate could reflect hygienic tendencies that reduced parasite burdens. We observed that food-related
risk-sensitivities, manifest as tendencies to process food items before consumption and avoid feces, were consistent across
individual Japanese macaques in their natural habitat and correlated negatively with intensity of infection by fecal-oral
geohelminths. Collectively, this suite of behaviors may therefore reflect hygienic tendencies, providing a mechanism of
parasite avoidance with implications for the evolution of health maintenance strategies in humans.
2014- (施設) 11 大園 享司 (京都大学・生態学研究センター), 松岡俊将 (京都大学・生態学研究センター)
「微生物群集の系統的多様性の解析と多様性保全指標の開発」
(対応者:村山 美穂)
世界自然遺産である北海道の知床国立公園の 100 平米運動地において, 生態系の管理が土壌菌類の多様性と種
組成に及ぼす影響を明らかにすることを目的に研究を行った。4 タイプの植生, すなわち農耕地が放棄されたのち草原
になった場所, 同じくカラマツ植林地, カラマツ・アカエゾマツ・ダケカンバの混合植林地が造成された場所, および天
然林を対象とした。それぞれに, エゾシカを除去するための防護柵が約 15 年前から設置されている。2013 年 5 月に, 4
タイプの植生のそれぞれにおいて, 防護柵の内外に各 3 プロットを設置し, プロット内の 3 地点から土壌を採取した。同
年 10 月にも土壌を採取した。2 回×4 植生×柵内外 2×3 プロット×3 点=144 点を解析に用いた。土壌試料から DNA
を抽出, 精製したのち, 菌類特異的なプライマーを用いて菌類 DNA の ITS 領域を増幅した。調整後, 2014 年 6 月 11
13 日に, 利用者 2 名が, 野生動物研究センターの Roche 454 GS Junior を用いてパイロシーケンシングを行った。得
られた塩基配列から, キメラ配列, 短い配列, シーケンシングエラーを除去したあとの 62477 配列について, Claident を
用いた操作的分類群 (operational taxonomic unit, OTU) へのクラスタリング (相同性閾値 97%) と, データベースへ
の照合による分類群の検討を行った。その結果, 土壌菌類として合計 631 OTU が得られた。OTU 数は柵の内外で有
意差が認められなかったが, 天然林では他の植生タイプに比べて OTU 数が有意に少なかった。また OTU 数は 5 月の
回収時に比べて 10 月の回収時には有意に減少した。分類群情報に基づき, リグニン分解性の担子菌類を 4 OTU 特
定したが, いずれも出現頻度が低く, 土地利用やシカ柵の設置が土壌中のリグニン分解菌に及ぼす影響は評価できな
かった。今後は, 担子菌類に所属する外生菌根菌に注目して, 土地利用にともなう土壌菌類の変化の機能的な意義を
評価し, 保全指標としての有用性について検討する予定である。
2014- (施設) 12 篠原 渉 (香川大学 教育学部)
「屋久島におけるシダ植物の前葉体フロラ調査, 屋久島高山性ミニチュア植物の調査」
(対応者:杉浦 秀樹)
2014年5月14日から5月19日にかけて, シダ植物の前葉体が屋久島内のどこにどれくらい生育しているかを調査した。
調査場所は尾之間道及び安房林道, 宮之浦林道の3地点において, どのような形状の前葉体がどれくらい生育してい
るかを調査し, 記録した。また同時に周囲に生育しているシダ植物の胞子体の種についても記録した。
また屋久島の高山性ミニチュア植物類 (ヒメコナスビ, ヤクシマオオバコ, ヤクシマタチツボスミレ, ヒメウマノアシガタ)
について継続して観察している集団での生育状況の調査を行った。それぞれの種について生育状況について観察・記
録した。
2014- (施設) 13 澤田 晶子 (京都大学野生動物研究センター)
「ヤクシマザルの生態学的調査および植生調査」
(対応者:杉浦 秀樹)
腸内細菌は食物の消化・吸収に密接に関連することから, 宿主である動物の適応度を左右する非常に重要な存在
であると考えられている。単一菌種の分離・培養過程を必要としないメタゲノム解析手法を用いることで, 難培養細菌も
含めた腸内細菌叢の網羅的な解析が可能となる。次世代シークエンサー (Miseq) を用いた解析手法を確立するため,
西部林道域に生息する野生ニホンザルから糞サンプルを採取し, 予備実験を実施した。
57
― 57 ―
現在, すでにニホンザルの腸内細菌叢のメタゲノム解析を実施できるようになっており, その結果を国内外の学会で
発表している。
2014- (施設) 14 栗原 洋介 (京都大学霊長類研究所)
「屋久島に生息するニホンザルにおける栄養状態の群間比較」
(対応者:杉浦 秀樹)
霊長類を対象とした生態学では従来, 果実は量が少ないが糖が多いため食物として価値が高く, 葉は大量に存在
するが繊維質が多いため価値が低いと考えられてきた。しかし, 食物となる植物の栄養分析と行動観察を組み合わせ
た詳細な研究が行われるようになり, 霊長類の栄養要求量を考慮すると, 摂取エネルギー量最大化に加え, 炭水化
物・タンパク質・脂質をバランスよく摂取することが重要であると明らかになってきた。申請者は, 採食競合の様式がメス
の繁殖成功にあたえる影響を調べるために, 屋久島海岸域に生息する 2 群のニホンザルを対象に行動観察を行った。
その結果, 大きい優位の群れは成熟葉採食時間が長く, 小さい劣位の群れは果実種子採食時間が長いことがわかっ
た。本研究では, 群間の食性の違いが個体の栄養摂取にあたえる影響を明らかにすることを目的とした。そのために,
ニホンザルによる採食が観察された植物のサンプリングを行った。サンプリングしたのは, アコウ (果実), イヌビワ (果
実), シマサルナシ (果実), センダン (種子), シラタマカズラ (成熟葉), ハナガサノキ (成熟葉), クスノキ (新葉・新
芽), ハゼノキ (新葉・シュート・冬芽), マテバシイ (新芽) である。今後も植物サンプリングを継続して行い, 必要なサ
ンプルがそろい次第, 栄養分析を実施し, エネルギーおよび炭水化物・タンパク質・脂質摂取量を群間で比較する。
2014- (施設) 17 相場 慎一郎 (鹿児島大学 理工), 澤田 佳美 (鹿児島大学 理工), 黒瀬 大貴 (鹿児島大学 理
工)
「屋久島の森林動態」
(対応者:杉浦 秀樹)
屋久島の標高および遷移段階が異なる森林に設定した植生調査区を再調査し, 樹木群集の種多様性の変化, 成
長速度, 回転速度などを明らかにした。また, 気象条件と森林動態の関係を分析するため, 屋久島ステーションに設置
した気象測器の維持管理とデータ回収を定期的におこなった。
2014- (施設) 18 Hill David (PRI/WRC. Kyoto University)
「Vocal communication in the Ussuri tube-nosed bat, Murina ussuriensis」
(Host researcher:Sugiura Hideki)
We conducted a survey of bat activity at five sites in Yakushima where the habitat had been modified by farming and
forestry activities.These included a tea garden, two sites with a mix of orchards, forest and plantation and two sites dominated by conifer plantation. At each site a transect line was walked and bat activity was monitored using ultrasonic bat
detectors. On nights when the weather permitted bats were also captured using a harp trap with acoustic lure. Each site
was surveyed on 11 nights, giving a total of 55 survey nights. Bat activity was most frequent at the tea garden and lowest
in the conifer plantations. Although most species were recorded at all sites at some point, mean species diversity was
higherst at the Issou site, where abandoned agricultural land bordered on secondary forst. Activity at the tea garden was
dominated by two species that fly in open areas. No bats were captured in the tea garden. Forest bat species were recorded
and captured most frequently at sites with good forest cover.
The survey showed that areas at the interface of cultivated land and forest are important foraging habitats for bats in
Yakushima. The bat species recorded by cultivated land feed largely on Diptera and Lepidoptera, which may include
agricultural pests. Bats may therefore be beneficial to farmers. Bat activity and diversity can be enhanced by retaining
areas of secondary forest cover in adjacent to the farmed land.
2014- (施設) 19 大西 賢治 (東京大学総合研究文化研究科), 山田一憲 (大阪大学)
「ニホンザルにおける性格関連遺伝子の多型解析」
(対応者:村山 美穂)
本研究課題では, ニホンザルの寛容性の地域集団間変異に影響を与える新たな候補遺伝子としてオキシトシン受容
体遺伝子に注目し, 遺伝的多型の有無とその遺伝子頻度を地域集団間で比較することを目的とした。さらに, オキシト
シン受容体遺伝子とその他の性格関連遺伝子の遺伝子型が, ニホンザルの寛容性, 利他性, ソーシャルネットワーク
内での役割, 子の養育の個体差に与える影響を検討することも目的とした。
上記の目的を達成するため, 勝山ニホンザル集団と淡路島ニホンザル集団において, 研究代表者および分担者が
収集した糞資料から性格関連遺伝子の遺伝子型を分析した。分析は, 村山美穂教授が責任者である遺伝子解析施設
において行った。本年度中に遺伝子解析施設において本研究課題に関連する分析を行ったのは研究代表者1名であ
った。
分析を行った結果, 勝山ニホンザル集団と淡路島ニホンザル集団では, オキシトシン受容体遺伝子のSNPにおける
遺伝子型の頻度が異なることが明らかになった。勝山集団と淡路島集団では, 社会行動に多くの違いが認められてい
る。現在, 両集団の行動の違いを示す実験を実施しているため, 今後, 行動実験の結果と遺伝子頻度の違いを合わ
せて分析を行う。
また, 勝山集団において, オキシトシン受容体遺伝子の型が社会性の個体差に影響することが見いだされた。この
内容は 2015 年度中に学術論文として発表することを目指す。
58
― 58 ―
2014- (施設) 21 向井 真那, 北山 兼弘, 源六 孝典 (京都大学農学研究科) 相場 慎一郎, 澤田 佳美 (鹿児島
大学理工学研究科)
「屋久島の標高に沿った地下部動態の研究」
(対応者:杉浦 秀樹)
標高傾度に沿った樹木の地下動態を見るため, イングロ ースコア法を用いて, 標高の異なる 7 つのサイト
(0.25-0.5ha) から直径 40mm の採土管を用い, 各サイト 20 か所深さ 20cm の穴をあけた。そこに細根や石を取り除いた
現地の土を入れた直径 37mm の円筒状のメッシュに一定量入れ, 作成した穴に埋めた。現在はこのメッシュを埋めたま
まであり, 2015 年 7 月に採取予定である。採取する際は, コアの中にある根の現存量を測定する。また, 土壌の無機態
窒素濃度や土壌呼吸量を調べるため, 30m のラインを 5 本引き, 各ライン 10m 間隔で 5 か所から直径 37mm の土壌コ
アを用いて深さ 20cm の土壌を採取した。採取した土壌は京都大学に持ち帰り, 化学実験を行った。
研究参加者は, 向井真那, 相場慎一郎, 澤田佳美, 源六孝典の 4 名だった。
2014- (施設) 23 松尾 侑紀 (京都大学大学院 情報学研究科), 木下 こづえ (京都大学霊長類研究所)
「飼育下におけるジュゴンの性ステロイドホルモン分泌と行動の関連」
(対応者:幸島 司郎)
鳥羽水族館で飼育されている雌ジュゴン 1 頭を対象に, 糞中ホルモン測定により性ステロイドホルモン分泌の変化を
検出可能かを明らかにすること, および, 身体的, 行動的な発情の兆候に関連する性ステロイドホルモン濃度の変化を
調べることを目的として研究を行った。2013 年 8~12 月, および 2014 年 4~11 月にかけて, 週 1 回以上の頻度でジュ
ゴンの糞のサンプリングを行い, 凍結保存した。糞サンプリングにおいては, 鳥羽水族館職員の協力を得た。糞サンプ
ル中のプロゲステロン (P4) およびエストラジオール 17-β (E2) の濃度を, 酵素免疫測定法 (EIA) によって測定した。
測定は, 京都大学野生動物研究センター地下実験室の設備, 機材を利用し, 木下こづえ氏, 水口大輔氏 (京都大学
野生動物研究センター所属) の協力を得て実施した (参加者 3 名)。測定の結果, E2 では濃度の変化が見られなかった
のに対し, P4 では明確なピークが検出された。また, ピークの前には生殖孔の開きなどの身体的変化が報告された。
2014- (施設) 24 杉浦 秀樹 (京都大学・野生動物研究センター)
「屋久島西部地域における中大型動物の生態調査」
ヤクシマザルおよびヤクシカの頭数の年次変化を把握するため, 頭数調査を行った。
西部林道周辺に生息するヤクシマザル8群を対象に, 群を追跡し, 個体識別をしながら, 頭数を数えた。
ヤクシカについては, ライントランゼクト法を用いて, distance sampling を行った。
そのほか, 道路を歩いて, サルとシカを数え, 出産率の推定を行った。
また, カメラトラップを設置して, 中大型動物の相対密度推定をおこなった。
2014- (施設) 25 採択後に辞退 (悪天候により幸島で調査スケジュールが合わなかったため)
2014- (施設) 26 堀 裕亮 (京都大学文学研究科), 荒堀みのり (京都大学文学研究科), 藤田和生 (京都大学文学
研究科), 黒島妃香 (京都大学文学研究科)
「神経伝達, ホルモン伝達関連遺伝子と認知・行動特性の関連」
(対応者:村山 美穂)
ヒトに身近なコンパニオンアニマルであるイヌ, ネコ, ウマを対象に神経伝達・ホルモン伝達関連遺伝子の多型と行
動特性の個体差の関連を検討した。いずれの研究においても, 遺伝子型判定は野生動物研究センターの遺伝子解析
実験施設を利用しておこなった。
イヌについては, レトリーバー犬および柴犬を対象に, 飼い主から離れた際や新奇な人物と一緒にされた際の行動
反応を測定するテスト, 新規課題訓練時の飼い主とイヌのインタラクションを観察するテスト, イヌの我慢強さを調べる課
題などをおこなった。また, イヌの行動分析を行うための質問紙調査であるC-barqを利用した行動評定をおこなった。
行動テストと同時にDNAサンプルとして口内粘膜細胞の採取をおこない, アンドロゲン受容体遺伝子, オキシトシン受
容体遺伝子などの型判定をおこなった。今後もサンプルの数を増やし, 行動データと遺伝子型との関連を解析する予
定である。
ネコについては, 一般家庭やネコカフェで飼われているネコを対象に, 性格特性を評定するための質問紙調査をお
こなった。同時に口内粘膜細胞を採取してオキシトシン受容体遺伝子の配列決定を行い, 3か所の一塩基多型 (SNP)
を新たに確認した。遺伝子型と質問紙調査の関連を調べた結果, 「優位性 (Dominance) 」スコアと一箇所のSNP
(G738A) の遺伝子型に有意な関連が見られた。
ウマについては, 宮崎県都井岬の半野生馬である御崎馬を対象に遺伝子多型解析を行い, オキシトシン受容体遺
伝子, バソプレシン受容体遺伝子, μオピオイド受容体遺伝子において新たな SNP を確認した。また, JRA 日高育成牧
場で調教を受けているサラブレッド馬を対象に遺伝子多型と馴致の難易度との関連解析をおこない, セロトニン受容体
遺伝子の SNP が牝馬の馴致難易度に関連していることが示された。
2014- (施設) 27 栗原 洋介 (京都大学霊長類研究所)
「野生ニホンザルにおけるコルチゾールを用いたストレスレベル評価」
(対応者:杉浦 秀樹)
野生動物は環境や同種他個体との関わりのなかで, さまざまなストレスを受けながら生活している。長期間もしくは高
頻度でストレスを受け続けると, 免疫抑制や成長・繁殖率の低下が起きると知られている。環境・社会・人的要因が野生
動物のコルチゾールレベルにあたえる影響を明らかにすることは, 対象動物の個体群動態を理解し, 保全を考えるうえ
59
― 59 ―
で重要である。本研究の目的は, 屋久島西部地域に生息するニホンザルにおいて, 群れサイズおよび観光客数の変
化がストレスレベルにあたえる影響を明らかにすることである。
実験には2012年10月から2013年10月のあいだ, 行動観察と並行して収集した糞 (2群・オトナメス13個体分, 195サン
プル) を用い, 糞中のコルチゾール濃度を測定した。方法は MacIntosh et al. (2012) に従い, 糞を乾燥し, 種子や繊
維を取り除いた後, リン酸緩衝液を加え, 24 時間振盪してコルチゾールを抽出した。濃度測定には市販の ELISA
(Oxford Biomedical Research) キットを利用した。
予備的な解析を行ったところ, 群れサイズおよび観光客数はコルチゾールレベルの変動に影響していなかった。今
後は気象要因 (気温や湿度), 食物の利用可能性やサルの栄養状態の季節変動を考慮した統計モデリングを行うなど,
測定結果にかんする解析を継続する予定である。
2014- (施設) 28 竹内 浩昭 (静岡大学 理学部 生物科学), 甲斐 千晶 (静岡大学 理学部 生物科学)
「希少動物レッサーパンダにおける遺伝子多型と性格の解析」
(対応者:村山 美穂)
絶滅危惧種 (VU) に登録されているレッサーパンダにおいて, 適切で効率的なペアリング形成と種の保存への応用
を目的として, 各個体の性格と遺伝子多型との関係を調べるために遺伝子解析を行った。
動物園で採取された213個体分の毛根・糞のサンプルからDNAを抽出し, 他の動物種で性格と関連が報告されてい
るドーパミンD4受容体遺伝子 (DRD4), オキシトシン受容体遺伝子 (OXTR), -1 オピオイド受容体遺伝子 (OPRM1),
セロトニン受容体1A遺伝子 (htr1A) について, イヌまたはネコのプライマーを用いてPCR増幅を試みた。増幅した遺伝
子は塩基配列を読み, 他動物の配列との比較, レッサーパンダの個体間での比較を行った。
-1 オピオイド受容体遺伝子において, ネコのプライマーを用いてPCRを行った結果, 増幅が認められ, シークエン
ス解析により, 2個体に1ヶ所ずつ一塩基置換が見られた。レッサーパンダの配列とネコの配列と比較したが違いが見ら
れなかった。配列を読んだサンプル数が少ないため, 今後サンプル数を増やして性格との関連性について確認する必
要がある。ドーパミンD4受容体遺伝子においては, イヌのプライマーを用いたところ, 増幅が確認できたが多型解析に
進めなかった。オキシトシン受容体遺伝子 (ネコのプライマー使用) とセロトニン1A受容体遺伝子 (イヌのプライマー使
用) については, PCRで増幅が確認されず, 多型の有無を調査できなかった。今回解析対象とした遺伝子に関してプラ
イマーやPCR条件などの再検討を進めるとともに, これら以外の性格関連遺伝子についても解析を試み, レッサーパン
ダの性格関連遺伝子をさらに探索していくことが必要である。
なお, 今回の遺伝子解析と併行して実施した性格に関するアンケート調査 (208 個体分 499 部) では, 40 項目中の
34 項目による因子分析で 4 因子に収束し, 累積寄与率は 59.36%となり, このアンケートが性格を評価するのに妥当で
あると判断した。ただし, 各因子に対する項目数の偏りが見られ, 攻撃性の信頼性が低いという問題点があり, 更なる
検討を予定している。
2014- (施設) 29 松原 幹 (中京大学 国際教養部)
「ヤクシマザルの糞中種子の二次散布者調査」
(対応者:杉浦 秀樹)
屋久島のニホンザルが糞散布した種子の生存率に, げっ歯類とヤクシカなどの哺乳類による種子捕食が与える影響
を定量的に調べるのが本研究の目的である。屋久島西部地域でサル糞を採集, 糞の湿重量を計測後, 糞中の直径5
mm 以上の種子を除去し, 種同定と糞中種子密度を計測後, 耐水性絵具で着色した。種子を除去した糞に1種あたり
10~20 個の着色種子を埋め込み, 糞を原形に近い形に成形した (以下, 調整糞と呼ぶ)。半山地区に 1m x1m の実験
区を 5 ヶ所設定する。木に自動撮影カメラを固定して, 実験区内の処理区画①~⑥の撮影を行った。区画①約 1mm×
1mm メッシュで調整糞を覆う。区画②約 10mm×10mm メッシュ。区画③約 30mm×30mm メッシュ。区画④調整糞に覆い
なし。区画⑤着色種子のみ設置。区画⑥着色なしの種子。調整糞設置から 1 日後, 3 日後, 5 日後, 1 週間後, 1 ヶ月後,
各区画内の着色種子の状態を観察し, 残存種子が外部から目視できれば数と位置を記録した。
平成 26 年 11~12 月の調査では, げっ歯類とヤクシカ, シロハラ, げっ歯類が自動撮影カメラで確認された。覆いの
ない糞は, すべてシカに被食された。シカ除け覆い下の糞中種子 (モクタチバナ, ハゼ, モッコク) は, メッシュサイズ
が大きいほど種子の消失率が高かったが, カメラの設置位置が悪く, 動物が種子を口に入れた瞬間の撮影はできなか
った。
問題は, 捕食者を防ぐ覆いを 1~2cmほど土中に埋め込んだが, センチコガネ類が覆いの外からトンネルを掘って
到達したため, センチコガネによる種子埋没と持ち去りの影響を除去しきれなかった。また, シカに覆いが破壊された実
験区もあり, より強度の高い金属製の覆いを土中に深く埋め込む必要がある。また, 台風で果実が不作だったため, 検
討できた植物種数が 3 種のみに留まった。
2014- (施設) 30 高岸 治人 (玉川大学 脳科学研究科), 仁科 国之 (玉川大学 脳科学研究科)
「共感性を支える遺伝子の解明」
(対応者:村山 美穂)
本研究の目的は, 霊長類が示す共感性とその関連を示す遺伝子を明らかにすることである。頬粘膜から DNA を抽出
し, 遺伝子多型の判定を行った。共感性の候補遺伝子は, オキシトシン受容体遺伝子 (OXTR rs53576), バソプレシン
受容体遺伝子 (AVPR1A), セロトニントランスポーター遺伝子 (5-HTT), ドーパミン D4 (DRD4) 遺伝子であった。現在,
共感性に関係する行動実験での結果と遺伝子多型の関連を検討しているところである。
2014- (施設) 32 西川 真理 (京都大学理学研究科), 持田浩治 (琉球大学)
「屋久島に生息するニホンザルの群れの個体数と行動圏の年次変化」
60
― 60 ―
(対応者:杉浦 秀樹)
動物の群れの個体数の変動や行動圏の空間的変動のパターンを明らかにすることは, その種の個体群動態のメカ
ニズムを明らかにする上で重要である。また, 群れのメンバー間の社会関係 (特に順位関係) の変動は, その種の社
会構造を明らかにする上で重要である。申請者らは, 2004 年から継続して調査をおこなっている屋久島に生息するニホ
ンザルの一群を調査対象として, 2015 年のメンバー構成と順位関係を把握し, GPS を用いて行動圏の定量をおこなった。
調査は 2015 年 2 月~3 月におこなった。調査の結果, 2014 年 3 月に確認していた個体はすべて生存しており, アカン
ボウが 2 個体生まれていた。また, オトナオス 1 個体が移入し, E 群の出身ではないコドモとワカモノメスが複数個体移
入したことが分かった。コドモの移入はこれまでに報告がなく, その経緯を知ることはできないが, 隣接群で群れの崩壊
などが起こりコドモだけが移入してきた可能性が考えられた。群れのオトナ間の順位関係に大きな変動はないようだが,
調査期間中に一部の個体の組み合わせで敵対的交渉が生起しなかったため, すべての個体間の優劣関係を明らか
にすることはできなかった。行動圏は, 昨年までのエリアよりも北側に拡大し, 海岸域も使うようになっていた。本調査地
周辺では, 群れの行動圏が大きくシフトすることが知られているので, 今後も継続して調査する必要がある。
2014- (施設) KS-A-1 加藤 洋子 (千葉市動物公園)
「国内チンパンジー飼育者の飼育経歴調査」
(対応者:森村 成樹)
国内の動物園では, これまで動物との長期的な関係作りが認められていたゾウや大型類人猿でも比較的短い期間
で飼育担当者が変わる傾向が近年強まっており, 飼育者の専門的な知識や技術を養うことを難しくしていると考えられ
る。そこで国内チンパンジーの飼育担当者を対象に飼育業務に関するアンケートを任意で実施した。国内で飼育される
チンパンジーは 2013 年 12 月末時点で 51 施設 324 個体であり, このうち 55%にあたる 28 施設から回答を得た。
その結果, 比較的飼育経験の長い飼育者がチンパンジーを担当することが多い一方で, 動物園勤務 1 年未満の担当
者もチンパンジーを担当していることがわかった。各施設で似たような情報を必要としている場合も多く, 全国のチンパ
ンジー飼育者で情報交換をする機会を増やすことが重要と考えられた。
なお, 本研究は野生動物研究センター共同利用・共同研究【2014- (計画) 2-14】の一貫で実施した。
2014- (施設) KS-A-2 山本 真也 (神戸大学大学院国際文化学研究科)
「チンパンジー・ボノボの道具加工技術の獲得と伝播に関する研究」
(対応者:平田 聡)
申請者はこれまでに, チンパンジーが道具使用技法を社会学習によって習得し, より効率のよいほうへと技法を改良
させ得ることを示してきた。これは累積的文化進化の重要な基盤となる認知能力である。しかし同時に, より良い手本が
身近に存在するにもかかわらず, チンパンジーが他者の技法を学習しない場合があることも報告されている。このことか
ら, チンパンジーが社会学習する際には, copy-if-better (他者の技法がより良い時に社会学習する) 戦略よりも
copy-if-dissatisfied (自分の技法に満足していないときに社会学習する) 戦略が取られていることが示唆される。この戦
略は, 道具使用に個体差が生まれる基盤となるだろう。本研究では, Pan 属 2 種を対象に, 道具加工技術の獲得・個体
間伝播の過程を詳細に記録し, 技術の累積的進化がヒト以外でみられるのかどうかを検討した。これまでに収集したデ
ータから, チンパンジーの道具加工技術には個体差がみられ, さらには加工技術にすぐれた個体ほど道具をより持ち
運ぶという行動特性が見つかった。自ら加工した道具だから持ち運ぶのか (加工にかけたコストが重要なのか), あるい
は効率のよい優れた道具であればどの個体も持ち運ぶのか (道具の良し悪しが重要なのか), これらを検討する追加
実験を現在おこなっている。道具の継続利用という行動特性がどのような認知的基盤により成り立っているのかを明らか
にするとともに, 野生では道具使用をほとんど見せないボノボと比較することによって, 文化が発展する進化的基盤に
ついて明らかにしたい。
2014- (施設) KS-A-3 山梨 裕美 (京都大学野生動物研究センター)
「施設移動・群移動したチンパンジーのストレスの変化とその個体差」
(対応者:平田 聡)
【目的】飼育下では, 繁殖や群れ管理などの理由で, オスもメスも飼育施設を移動することがある。チンパンジーにとっ
て, 新規な環境への移動は大きなイベントであるが, その長期的なストレスへの影響はあまり調べられていない。そこで
今回熊本サンクチュアリ (KS) に新しくやってきた個体の体毛中コルチゾル濃度の変化を調べ, 在来個体と比較するこ
とを試みた。今年度はさらに詳細な行動データを収集した。
【方法】チンパンジー57 個体とボノボ 6 個体の腕から毛を採取した。2014 年 9-10 月と 2015 年 3-4 月の 2 回採取した。
行動は第二と第五飼育棟のオス個体を中心にデータを収集した。さらに昨年度までのデータの分析もおこなった。
【結果と考察】昨年度までのデータを分析したところ, 1 年間の体毛中コルチゾル濃度に影響を与える要因として①攻撃
を受ける頻度②群れの形態 (オスグループか混合グループか) ③来歴④性別が影響を与えていることがわかった。移
動をしたかどうかは有意な要因ではなく, それよりも移動後に攻撃を受けているかどうかの方が影響を与えているようだ
った。詳細な行動データは分析中だが, オスの攻撃行動や遊び行動に季節差や群れ形態による差などがみられた。今
後さらに今年度採取したサンプルから体毛中コルチゾル濃度の測定をおこない, 詳細な行動との相関や病気などとの
関連を調べていきたい。
2014- (施設) KS-A-4 川上 文人 (京都大学霊長類研究)
「チンパンジーにおける笑顔の分類: 笑顔表出の比較発達行動学的検討」
(対応者:森村成樹)
61
― 61 ―
背景 人間の笑顔は言語や社会性の発達とともに単に快感情を示すものから, 様々な感情を表出し隠すための表情
へと発達することが明らかになっている。笑顔の進化に焦点をあてチンパンジーを観察した結果, 笑顔は子どもや青年
期個体を含む遊び場面でのみ確認された。
目的 以下の 2 点を中心に探る。1) 複雑な感情を含みうる笑顔は人間固有のものなのであろうか, 2) 若い個体以外で
も笑顔は見られ, その笑顔は質的に異なるものなのであろうか。
方法 オスの成体個体のみで構成されている第一飼育棟において, その 17 個体を対象に, 1 回 10 分間のフォーカル・
サンプリングによるビデオ撮影を行った。2014 年 6 月から 11 月にかけて, ひと月に 3 日程度, 1 日 3 時間程度撮影した。
結果と考察 50 時間の観察で少なくとも 18 回の笑顔が見られた。その全ては遊び場面で生起していた。この結果から
2 点述べることができる。1 つはチンパンジーの笑顔は若い個体のみではなく, 成体同士にも見られるということである。
もう 1 点は, 成体でも笑顔を見せるのは遊び場面でのみであったということである。今後, 観察された笑顔の形状, 継続
時間, 遊び開始から笑顔表出までの潜時を詳細に分析することにより, 若い個体が見せる笑顔との相違点, その背後
に考えうるより複雑な感情との関連を探る。
2014- (施設) KS-A-5 藤澤 道子 (京都大学東南アジア研究所)
「チンパンジーにおける認知症の有無と死因についての検討」
(対応者:平田 聡)
目的:認知症は, 認知機能の低下により, 自立した社会生活が営めなくなった状態を言う。そのため, 高度な社会性
をもつチンパンジーに認知症があるのかどうか, 存在するならば症状と他個体との関係性の変化を明らかにする。また,
認知症の診断の妥当性を病理学的に検索する。その他, 高齢で死亡したチンパンジーの死因検索をおこなう。方法:
群れの中で生活するチンパンジーの行動を観察する。高齢で死亡した個体の脳病理と死因を病理学的に検索する。
結果:これまでのところ, チンパンジーにおいて認知症を疑われる個体がまだ存在していない。心臓疾患にて死亡した
ことが疑われたチンパンジーにおいて, 病理学的に検索したところ, 人間においては頻脈性心臓変化に類似した所見
であった。考察:これまでに, チンパンジーの脳病理において, アルツハイマー病の所見を有したものの報告があるが,
臨床症状は明らかにされていない。人間でも, 現在のような長寿社会になるまでは, 認知症はまれな疾患とされてきた。
今後チンパンジーが高齢化することで, 認知症を発症するものが出現する可能性は高いと考えている。また, 飼育下チ
ンパンジーでは死因として, 何らかの心疾患が疑われるものの報告が多いが, 交感神経系の緊張がその一因である可
能性があり, 今後さらに検討していきたい。
2014- (施設) KS-A-6 川口 ゆり (京都大学文学部)
「ボノボの協力と利他行動」
(対応者:平田 聡)
先行研究でチンパンジーやボノボが実験的場面で協力行動を行うことは知られているが, 不明な部分も多く残ってい
る。そこで, 今回, ボノボにおける協力と利他行動を調べるための実験的研究を行った。協力を必要とする課題を設定
した。報酬を得るためには, 2 個体のボノボが同時に装置のひもを引いて食物の載った装置を引き寄せる必要があった。
あるペアで課題を訓練したのち, 課題に習熟した個体と課題にナイーブな個体を新たにペアにして, 課題時に相手に
対して要求や積極的教示が見られるのかについて焦点を当てた。その結果, 相手が不在の時には待つなどして, 課題
自体には比較的高い割合で成功した。一方で, 2 個体でタイミングを合わせる合図のようなものはほとんど見られなかっ
た。ただし, 2 個体間でのアイコンタクトが観察され, チンパンジーでの先行研究では皆無であったコミュニケーションの
ような行動も数例ではあるが見られた。このことがボノボの高い親和性を反映していることが考えられ, 今後さらに進化
的に最もヒトと近縁なボノボの研究を通してヒトの協力や利他行動の進化的起源を明らかにしたい。
2014- (施設) KS-A-7 MTA
契約に基づき非公表
試料利用
2014- (試料) B-1 小川 裕子 (多摩動物公園飼育展示課), 谷口 敦 (日本動物園水族館協会生物多様性委員会
種保存事業部チンパンジー計画管理者), 竹田 正人 (日本動物園水族館協会生物多様性委員会種保存事業部霊長
類類別事業調整者)
「チンパンジーの苦味受容体遺伝子 cTAS2R 解析による亜種判定」
(対応者:平田聡)
この調査は, これまでのミトコンドリア DNA 解析法では亜種不明ないしは不確定となっていた国内のチンパンジー約4
0頭の亜種を, 苦味受容体遺伝子 cTAS2R の解析によって決定することを目的としている。熊本サンクチュアリ飼育個体
では, ニッキー (登録番号0321), ボン (登録番号0388) の亜種が未確定であったため, この2個体の凍結保存され
ていたバフィーコートの提供を受け, 28あるチンパジーの cTAS2R 遺伝子のうち, 8遺伝子 (cTAS2R1, cTAS2R38,
cTAS2R41, cTAS2R43, cTAS2R49 (20), cTAS2R50, cTAS2R56 (60), cTAS2R62) を解析し, 既知のハプロタイプとの比
較を行った。その結果, ニッキー, ボンの8座位で確認されたハプロタイプは, 全て西亜種で確認されたタイプであり,
この2個体が純粋なニシチンパンジーである可能性が極めて高いと判断された。
(この調査は日本動物園水族館協会生物多様性委員会種保存事業部の霊長類作業部会における調査として行われ
た。)
2014- (試料) B-2 及び B-3 京都大学霊長類研究所資料委員会
B-2「チンパンジーケニー (死亡個体) の臓器」今井, B-3「チンパンジーケニー (死亡個体) の筋骨格筋」西村
62
― 62 ―
(対応者:平田 聡)
2014 年 9 月 17 日に死亡したケニー (GAIN# 0363) の耳介をもとに線維芽細胞の初代培養を実施し, 増幅培養した
細胞の凍結保存を行った。また, チンパンジーiPS 細胞を作成するために, 同線維芽細胞にプラスミドベクターのヒト初
期化 6 因子 (OCT4, SOX2, KLF4, L-MYC, LIN28, shP53) をリポフェクションにて導入した。遺伝子導入後, Na ve 条
件および Primed 条件で培養を実施したところ, 両方の条件においてアルカリホスファターゼ活性陽性のコロニーを観察
することが出来た。これらのうち, Primed 条件で樹立した iPS 細胞について, フィーダー細胞非存在下で培養する手法も
確立した。この結果を踏まえ, Primed 条件の iPS 細胞に対して染色体や遺伝子発現などの性状解析を進めており, これ
までに免疫染色によって多能性マーカー遺伝子の発現を確認している。また, 分化能の検証として, 同 iPS 細胞の胚
様体形成培養を行い, 分化マーカー遺伝子の発現上昇や拍動心筋細胞の出現も確認している。今後は Primed 条件
の iPS 細胞を用いて神経幹細胞および神経細胞への選択的な分化誘導を行うほか, Na ve 条件と Primed 条件で樹立し
た iPS 細胞の比較性状解析に取り組む予定である。チンパンジーのオス個体 (ケニー) の分子生物学試料ならびに,
死体資料の譲渡を受けて, 以下の作業および研究を行った。
1. 資試料化作業
a. 筋骨格を冷凍標本として保管 (PRISK-10301)
b. CT 画像: 頭部の CT 撮像を行い, CT 画像データベース (DMM,
http://dmm3.pri.kyoto-u.ac.jp/dmm/WebGallery/index.html) に搭載した (PRICT-1320)。
c. 分子生物学用試料を作成した (PRIGEN 個体番号:131)
2. 京都大学霊長類研究所での研究利用
a. iPS 細胞研究 (京都大学霊長類研究所・今井公紀, 北島龍之介)
耳介をもとに線維芽細胞の初代培養を実施し, 増幅培養した細胞の凍結保存を行った。また, チンパンジーiPS 細
胞を作成するために, 同線維芽細胞にプラスミドベクターのヒト初期化 6 因子 (OCT4, SOX2, KLF4, L-MYC, LIN28,
shP53) をリポフェクションにて導入した。遺伝子導入後, Na ve 条件および Primed 条件で培養を実施したところ, 両方
の条件においてアルカリホスファターゼ活性陽性のコロニーを観察することが出来た。これらのうち, Primed 条件で樹
立した iPS 細胞について, フィーダー細胞非存在下で培養する手法も確立した。この結果を踏まえ, Primed 条件の
iPS 細胞に対して染色体や遺伝子発現などの性状解析を進めており, これまでに免疫染色によって多能性マーカー
遺伝子の発現を確認している。また, 分化能の検証として, 同 iPS 細胞の胚様体形成培養を行い, 分化マーカー遺
伝子の発現上昇や拍動心筋細胞の出現も確認している。今後は Primed 条件の iPS 細胞を用いて神経幹細胞および
神経細胞への選択的な分化誘導を行うほか, Na ve 条件と Primed 条件で樹立した iPS 細胞の比較性状解析に取り組
む予定である。
3. 京都大学霊長類研究所共同利用・共同研究での利用
a. 大型類人猿における手首・大腿部の可動性の検証 (共同利用・共同研究 H26-D-21, H27-B-41, 京都大学・中
務真人他)
利用概要: 手首と足首の CT 撮像, および前肢の筋解剖 (標本を貸出中)
4. 発表・出版
なし
2014 年度 その他の概要報告 (実習, 予備調査, 取材, 見学, アウトリーチなど)
2014- (施設) 4 辻 大和 (京都大学霊長類研究所)
「“生態学野外実習”の実施」
(対応者:鈴村 崇文, 杉浦 秀樹)
野生ニホンザルを間近に観察し, 生態学・行動学に関するデータの収集, データのまとめ方理解を深めることを目的
として, 幸島で野外実習を行った。幸島観察所のスタッフからニホンザルの説明と注意事項に関する説明を受けたあと,
サルの観察を行った。大学院生は予備調査の結果をふまえて各自で研究テーマを設定し, 本調査期間中にデータを
収集した。ステーションにてデータの解析・発表を行った。教員1名および非常勤研究員1名は, 大学院生の引率, デ
ータ収集・解析・発表の補助業務を行った。実習のおおよその日程は以下のとおりだった。
5 月 11 日 (日) 集合
5 月 12 日 (月) 午前中に予備観察, 午後に研究計画の話し合い, 統計・R についてのレクチャー
5 月 13 日 (火) データ収集
5 月 14 日 (水) データ解析, 雨天のため午後に都井岬の半野生馬の観察
5 月 15 日 (木) データ収集, データの解析
5 月 16 日 (金) 午前プレゼン, 午後打ち上げ
5 月 17 日 (土) 掃除, 解散
2014- (施設) 15 杉浦 秀樹 (京都大学・野生動物研究センター)
「幸島野外実習」
(対応者:鈴村 崇文)
京都大学大学院理学研究科の授業として, 野外実習を行った。2014年5月5日~5月11日の7日間に渡り, 教員2名,
大学院生7名が実習を行った。また, 幸島観察所の鈴村氏, 高橋氏にも, ご指導いただいた。
3 泊 4 日で幸島に泊まり込み, 各自で設定したテーマに沿ってニホンザルの行動観察を行った。また, 野外調査の
基礎的な技術についてもトレーニングを行った。そのほか, 都井岬で馬の観察を行ったり, 幸島観察所近辺で, カメラト
ラップを用いた動物調査を行った。
63
― 63 ―
2014- (施設) 16 杉浦 秀樹 (京都大学・野生動物研究センター)
「Yakushima Field Science Course」
京都大学大学院理学研究科の授業として, 野外実習を行った。2014年5月19日~5月25日の6日間に渡り, 教員13
名, 京都大学の大学院生13名, 海外の大学院生9名の合計35名で野外実習を行った。4つのコースに分かれて, テー
マに沿った調査を行い, 結果をまとめ最終日に発表した。なお, 公用語は英語とし, ミーティング, 討論, 発表などは,
英語で行った。
また, 5月23日の夜に, 屋久島環境文化村にて, 参加講師が中心となって地元向けの公開講座を行った。
各コースの詳細は以下の通り
A) サル コース
屋久島の西部地域でヤクシマザルの採食行動を中心に観察し, サルが何を食べているか調べる。行動観察とあわせ
て, サルの食べ残した食物片と, 糞の採取も行い, DNA分析用の試料とする。
B) 昆虫コース
ヤクシマザルの食べた昆虫を, サルの糞に含まれるDNAから同定するためには, 屋久島の昆虫DNAデータベース
を自分たちで作る必要がある。屋久島で特にサルの食べそうな昆虫を採取し, DNA分析用の試料とする。
C) 植物コース
屋久島は年間降水量が4000-8000 mmに達する多雨地帯であり, シダ植物の宝庫となってる。屋久島におけるシ
ダ植物の多様性と繁殖スケジュールの基礎データを得るために, いくつかの地点で胞子形成を行っているシダと栄養
成長を行っているシダの同定を行う。DNAサンプルを同時に採集することにより, 形態による同定が難しい場合や, 胞
子体形成に至っていないシダも対象する。
D) シカ (および他の哺乳類の) 糞コース
サル以外の糞を採取して, そこから情報を得ることを目指す。今回は, 必ず取れそうなシカの糞を採取するとともに,
機会があれば, イタチやその他の食肉目の糞も探す。シカは, サルに比べて直接観察が難しく, 何を食べているかは,
よく分かっていない。糞に含まれる植物の DNA が同定できれば, 屋久島のシカの食性を知る上で, 有用な情報になる
と期待される。異なる地域の糞を分析して, 食べているものがどの程度違うかを調べる。
2014- (施設) 20 松沢 哲郎 (霊長類研究所・日本モンキーセンター所長)
「日本モンキーセンター 幸島研修」
(対応者:鈴村 崇文)
目的
JMC全職員を対象に, 日本の霊長類学発祥の地を見ること, 及びそこに生息する野生ニホンザルを観察することで,
新生JMC職員としての資質を涵養する。
内容
幸島観察所到着から3日間, 観察所施設を利用した。幸島に渡れる日は, 幸島にて野生ニホンザルの観察を行い
「小麦洗い」「体重測定」「個体識別」を見学し, 鈴村技術員・高橋研究員の元で山頂を目指しながら幸島内の自然の観
察・記録をとった。渡島した際, ニホンザルの糞を採取し観察所に持ち帰り「糞分析」を行った。悪天候等の理由により
幸島に渡れない場合は, 都井岬で「御崎馬」の観察や, 国の天然記念物でもある「石波の海岸樹林」の視察を行った。
幸島観察所利用日数18日 (各班3日間)
研修参加者 計16名
研修日程と研修参加
2014年
6月 (2名) 木村直人, 坂口真悟 (9, 10, 11日)
7月 (6名) 堀込亮意, 高野智, 根本慧 (1, 2, 3日)
赤見理恵, 寺尾由美子, 中尾汐莉 (28, 29, 30日)
2015年
1月 (5名) 奥村文彦, 山田将也, 安倍由里香, 石田崇斗, 杉浦直樹
(27, 28, 29日)
2月 (1名) 江藤彩子 (20, 21, 22日)
3 月 (4 名) 田中ちぐさ, 長谷川裕士 (24, 25, 26 日)
2014- (施設) 22 足立 幾磨 (京都大学霊長類研究所), 川上 文人 (京都大学霊長類研究所), Robert Hampton (エ
モリー大学), Emily Brown (エモリー大学), Victoria Templer (エモリー大学), Michael Beran (ジョージア州立大学),
Klaus Zuberbuehler (ヌシャテル大学)
「幸島ニホンザルの行動観察」
(対応者:鈴村 崇文)
チンパンジー, アカゲザル, ダイアナモンキーなどを対象に, さまざまな行動・認知の研究を推進している研究者を
あつめ, 幸島観察所にて野生ニホンザル観察をおこなった。参加者は上記研究代表者, 分担者全員の計7名であっ
た。
2014年7月22日, 23日の2日間に渡り, 幸島観察所の鈴村崇文さん, 高橋明子さんの引率・解説の下, 幸島野生ザ
ルの行動観察および, その生息域の散策をおこなった。
64
― 64 ―
直近の目的は以下の二つであった。1) 日本の霊長類学について理解を深めてもらうこと, 2) 日ごろ飼育下の動物
を対象に研究を行うことが多い研究者に, 野生サルの姿をみてもらうことにより, 新たな気づきを得てもらうことである。
こうした活動を通し, 日本と海外の研究者をつなぎ, また気づきについて共有議論することで, 今後の共同研究へと
つなげていければと期待している。
2014- (施設) 31 湯本 貴和 (京都大学霊長類研究所), 早川 卓志 (京都大学霊長類研究所), 新宅 勇太 (日本モ
ンキーセンター)
「屋久島のニホンザルの研究のアウトリーチ」
(対応者:杉浦 秀樹)
屋久島でのこれまでのニホンザル研究に関して, 屋久島の地域住民や屋久島に関心に高い来訪者に対して, 「屋
久島学ソサエティ」とその関連イベントにおいてアウトリーチ活動を行なった。「屋久島学ソサエティ」大会では, 2つのテ
ーマセッションにそれぞれ 200 名程度の参加者があり, 湯本はテーマセッションの企画策定から当日の司会進行などを
担当した。また早川と新宅は, テーマセッションに参加しただけではなく, 関連のエクスカーションで参加者にヤクシマ
ザルや屋久島の生態系・動物相などに関する知見を披露する機会を得た。
2014- (施設) 33 兼子 明久 (京都大学霊長類研究所), 鈴村 崇文 (野生動物研究センター), 橋本直子 (霊長類
研究所), 山中 淳史 (霊長類研究所), 澤田 晶子 (野生動物研究センター)
「屋久島生息地研修」
(対応者:杉浦 秀樹)
目的:屋久島に生息するニホンサルなどの動物の観察を通して, 動物本来の生態や屋久島という生息地と動物との
関わりを学ぶこと, また霊長研の飼育環境の改善・構築に向けて参考にすることを目的として研修をおこなった。
内容:同行者の澤田さんから屋久島のサルについて, 屋久島についてのレクチャーを受けた後, 主に西部林道のサ
ルの群れを対象に, 採食行動や社会行動を中心に観察をおこなった。またヤクシカとの関係や観光客などヒトとの関係
にも注目した。滞在 4 日で様々な時間帯での観察もおこなった。
滞在中の一部では屋久島町役場 (尾之間支所農林水産課) にて屋久島における鳥獣被害の現状と対策について
のヒアリングの機会を得て役場の方と意見交換をおこなった。 (事前に連絡して予定を組んでいた。)
また地元の方との交流として, 永田集落のお祭にも参加する機会があり, 集落の歴史からヤクサルについて, さらに
はこれまでの京大と屋久島のつながりや研究者への思いなどを聞くことができた。
参加者:霊長類研究所から獣医業務や飼育業務をおこなっている兼子明久橋本直子, 山中淳史の 3 名, 幸島でサ
ルの観察, 管理をおこなっている鈴村崇文, 屋久島で研究をおこなっている澤田晶子の計 5 名であった。
2014- (施設) 34 杉浦 秀樹 (京都大学野生動物研究センター)
「屋久島学ソサエティでの発表 (調査地でのアウトリーチ活動) 」
研究成果を調査地の社会に還元することを目的に, 屋久島学ソサエティ年次大会にて, 研究成果を発表した。聴衆
は地元の住民やガイドを中心に延べ 300 人以上の参加があり, 盛況であった。
2014- (研修) 1-17
「チンパンジーおよびボノボの研究飼育に関する研修」
(対応者:平田聡)
合計 17 件の研修を熊本サンクチュアリで受け入れて実施した。熊本市動植物園, 愛媛県立とべ動物園, 日本モンキー
センター, よこはま動物園ズーラシア, 高知県立のいち動物公園の各動物園の職員に対する飼育並びに動物福祉に
関する実習, および千葉科学大学, 酪農学園大学, 京都大学学内の学生並びに大学院生を対象とした比較認知科
学研究および動物福祉学に関する実地研修である。こうした研修を通して, 国内の他の動物園の関係者とのネットワー
ク形成と情報共有, 飼育技術の向上と, 学生教育に貢献した。
2014 年度共同利用・共同研究拠点が支援した研究会・シンポジウム
動物園・水族館での哺乳類研究
2014 年 9 月 4 日~9 月 7 日
場所:京都大学
主催:日本哺乳類学会と京都大学野生動物研究センターによる共催
大会企画シンポジウムおよびポスター発表
参加人数: 約 60 名 (企画シンポジウム)
日本哺乳類学会 2014 年度大会と共催で, 大会企画としてシンポジウムおよびポスター発表を行った。
動物園・水族館は様々な活動を行っているが, 中でも研究に焦点を絞ることにした.学会参加者の多くは, 調査・研
究に従事しており, 研究が最も接点が多いだろうと考えたのである.大学等に所属する研究者が動物園・水族館で研究
するというのは従来からある.しかし, 最近では, 動物園・水族館の職員が, 自分の担当する動物に関する調査を行うと
いう取り組みも増えており, これもぜひ紹介したいと考えた.
65
― 65 ―
具体的には, 動物園・水族館の職員や大学などの研究機関に所属する研究者が一緒に発表するシンポジウムと,
動物園・水族館の職員を中心としたポスター発表を行った.シンポジウムは野外研究や野生動物の保全といった, 動物
園以外の研究と動物園の研究活動をつなぐことを意識して構成した.動物園や水族館は, 動物を深く知るための絶好の
場である.野外では見ることすら困難な動物を間近で観察したり, 尿や糞, 細胞などの生体試料を容易に採取すること
ができる.このようなメリットを活かして, 動物園や水族館で基礎研究を行い, その知見を野外での研究に応用する試み
がある.このような取り組みを行っている, 水口氏と木下氏に発表いただいた.動物園・水族館の職員が, 自分の担当す
る動物に関する調査を行うという取り組みとして, 萩原氏と高木氏に発表いただいた.最後に, 野生下での研究によって
得られた知見を基に, 動物園・水族館での展示・繁殖を改善していこうという試みについて, 森村氏に発表いただいた.
シンポジウムでは, 動物園と野外の双方に深く関わっておられる伊谷氏と, 動物園での研究活動に熱心に取り組ん
でおられる畑瀬氏からコメントをいただいた後, 総合討論を行った.ここでは様々な意見や質問が出されたが, 私が印象
に残った点を記し, まとめに代えたい.
一つは伊谷氏も指摘されたことであるが, 飼育下と野生下の動物の双方を視野に入れた活動の重要性である.本シ
ンポジウムでは, 動物園の研究成果を野外研究に応用するというアプローチが多く, そちらがやや強調されてしまった
が, 野外で得られた知見を, 飼育下の動物に還元していくということも重要である.野生下の動物がどのように暮らして
いるかという知見は, 動物園・水族館での動物のよりよい飼育だけでなく, 展示方法などにも利用できだろう.その際に
は, 飼育下と野生下の動物の比較は避けて通れないはずである.違いを検討し, その原因を考えていくプロセスは, 比
較研究にほかならない.
もう一つは, 動物園・水族館での研究を活発にしていこうという熱意のある方が, 動物園・水族館の中にも, また本学
会員の中にも, 確実におられるということである.畑瀬氏のコメントからもこの熱意は十分に伝わったことと思う.日本の動
物園・水族館では, 研究の位置づけが必ずしも高くなく, 研究活動が重視されて来なかったこともあったようだ.しかし,
このような状況は改善されつつある.動物園・水族館での研究を活発にしていく上では, 様々な研究者が関わっていくこ
とが, 一つの有効な手段であろう.
ポスター発表はすべて, 動物園・水族館の職員の方に筆頭著者として発表していただいた.この発表は, 一般ポスタ
ーと高校生ポスターの間に, まとめて並べたものの, そこが企画ポスターであることを意識しないまま発表を聞いた聴衆
も多かったのではないかと思う.これは, 内容が多岐にわたっていて, 動物園・水族館という共通項が全面に出ていなか
ったことと, 研究の水準も一般ポスター発表と遜色のないものが多かったためであろう.
なお, 詳細については, 哺乳類科学 55 巻 1 号の企画シンポジウム記録に掲載予定である。
大会企画シンポジウム「動物園・水族館での哺乳類研究」の演題
水口大輔 (京都大・野生動物研究セ) 北極圏に生息するアザラシ類の音響モニタリングに向けた飼育個体における
鳴音解析
木下こづえ (京都大・野生動物研究セ) 動物園の飼育個体の排泄物を用いた野生で応用可能な種同定モデルの
構築について
萩原慎太郎 (福山市立動物園) ボルネオゾウの適正な飼育管理のための身体測定と行動調査
高木直子 (京都市動物園) キリンの母子間コミュニケーション
森村成樹 (京都大・野生動物研究セ) 飼育下チンパンジーに離合集散社会を導入する
伊谷原一 (京都大・野生動物研究セ), 畑瀬淳 (広島市安佐動物公園) コメント
大会企画ポスター発表「動物園・水族館での哺乳類研究」の演題
岡部光太, 髙木直子, 塩田幸弘, 田中正之 (京都市動物園) 「飼育下レッサーパンダの同居時の行動変化と個体
差」
吉澤聡吾 1), 大島由子 1), 下村実 1), 芦刈治将 2), 三浦晴彦 2) 1) 京都水族館, 2) すみだ水族館 「ミナミアメリカオット
セイにおける出産事例」
山田信宏 1), 笠木靖 1), 竹下秀子 2) (1) 高知県立のいち動物公園, 2) 滋賀県立大学) 「チンパンジー人工哺育個体『ミ
ルキー』の1年」
木村幸一 1, 高倉健一郎 1, 黒鳥英俊 2, 3 , 木下こづえ 3, 4 , 小倉匡俊 5 , 尾崎康彦 6 , 久世濃子 4, 7 (1 名古屋市
東山動物園, 2 東京都恩賜上野動物園, 3 京都大学野生動物研究センター, 4 日本学術振興 会, 5 北里大
学獣医学部, 6 名古屋市立大学産婦人科, 7 国立科学博物館) 「スマトラオランウータン, フランジ雄死亡によ
るアンフランジ雄の二次性徴について」
青木孝平 (東京都恩賜上野動物園) 「ニホンザル亜種間雑種群の母系統間に見られた繁殖成功度の違い」
平賀真紀 1, 野口忠孝 1, 小倉典子 1, 福島翔太 1, 須田朱美 1, 森村成樹 2 (1 よこはま動物園, 2 京都大 野生動物)
「赤ん坊が飼育チンパンジーの社会交渉におよぼす影響」
藤澤加悦 1 , 古田洋 1 , 佐藤英雄 1 , 栗原幹尚 1 , 太田真琴 1 , 山本香織里 1 , 須田朱美 1 , 田中正之 2 ( 1
よこはま動物園, 2 京都市動物園) 「飼育下におけるインドゾウの夜間行動観察」
(文責:野生動物研究センター 杉浦秀樹)
DNA 細胞データベース検討会-第 2 回性判定技術研修
2014 年 10 月 1 日~10 月 2 日
場所:京都大学野生動物研究センター
主催:京都大学野生動物研究センター
66
― 66 ―
参加人数: 20 名
野生動物研究センターでは, 動物園の飼育動物の DNA 細胞データベースを作成して研究に活用し, 成果を飼育管
理に役立てることを目指している。本研修では, よりよい活用を目指して, データベースをさらに充実させるための検討
を行ない, データベースの試料を用いた研究も紹介した。また飼育管理へ活用する試みとして, 鳥類の性判定技術研
修を実施した。動物園からは資料活用について実際に知る機会になったとの感想が多く, データベースの充実に向け
ての意見交換も行うことができた。2015 年度も実施を予定している。
10 月 1 日
13:00 概要説明
村山美穂 (京都大学野生動物研究センター)
13:30 動物園の活動紹介
吉澤未来 (わんぱーく高知アニマルランド)
佐藤 梓 (秋吉台動物園)
向澤奈津子 (池田動物園)
野々上範之 (安佐動物公園)
堀江里美 (福山市立動物園)
進藤英朗 (下関市立しものせき水族館 海響館)
木村嘉孝 (宇部市常盤動物園)
山根 到 (生理学研究所)
15:00 DNA 抽出, PCR
18:00 情報交換会
9:00 ゲル電気泳動, まとめ
10:00 データベース検討会
13:00 京都市動物園見学
(文責:野生動物研究センター 村山美穂)
コウノトリ野生復帰研究セミナー ─ 放鳥の新たなステージに向けて
2015 年 2 月 21 日 (土)
場所: 多摩動物公園 動物ホール
主催: (公財) 東京動物園協会, 兵庫県立コウノトリの郷公園, コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネル
(IPPM-OWS)
共催: 京都大学野生動物研究センター
後援: (公社) 日本動物園水族館協会
参加人数: 130 名
概要
1988 年, 国内で初めて多摩動物公園が二ホンコウノトリの繁殖に成功して今年 (2015 年) で 27 年となる。個体数は,
順調に増加し, 飼育下では国内 18 の施設で 200 羽程度を維持していいる。また, 2005 年, 兵庫県ではじまったコウノト
リの野生復帰は, 10 年目を迎え, 野外での個体数が 70 羽を超えるなど順調に推移してきている。こうした中, 福井県や
千葉県野田市でも, コウノトリの野生復帰を目指してコウノトリの飼育・繁殖がおこなわれ, 兵庫県以外での野生復帰に
向けた取り組みもはじまっている。野外個体群は, 飼育個体群が基となって形成される。すなわち, 野生復帰の過程に
おいて, 飼育している個体の重要性がいっそう高まるとともに, 野外の個体群との連携が必要となる。このような観点か
ら, 野外の個体と飼育されている個体を一体的に管理するための「コウノトリの個体群管理に関する機関・施設間パネ
ル」 (略称:IPPM-OWS) が 2013 年に設立された。今回, ひろがりつつあるコウノトリの野生復帰の取り組みにおける課
題や展望について, 多様な立場で意見交換をおこない, コウノトリの野生復帰について理解を深めることを目的にセミ
ナーを開催した。
セミナーは, IPPM-OWS の代表でもある, コウノトリの郷公園・山岸 哲園長の基調講演で始まり, コウノトリの野生復
帰の成果と現状, IPPM-OWS の意義が論じられるとともに, 野外の個体に対する“餌やり”の是非なども問題提起された。
ニホンコウノトリ計画管理者および IPPM-OWS 事務局長の大橋直哉氏からは, IPPM-OWS が目指す役割についてさら
に具体的な紹介がなされ, 読売新聞の松田 聡氏からは, この 10 年間, 新聞記者として豊岡の野生復帰事業を見守り
続けてきた立場での講演があった。コウノトリの野生復帰をこれから目指す 2 つの自治体からは, 取組み事例が報告さ
れた。
当日は 100 人を超える参加者があり盛況であった。生息域内・域外の関係者がパネリストとして登壇したパネルディ
スカッションでは, 「コウノトリの野生復帰の意義と今後の展望」をテーマに, 会場からの質問にも答えるかたちで討論を
進められた。「なぜコウノトリなのか」, 「多摩動物公園で 50 羽も飼育する理由は」などの質問のほか, 個体の地元定着
のような今後直面するであろう課題, また, 動物園としての携わり方にもふれ, 野生復帰事業と飼育下繁殖のつながり
や普及啓発の重要性を再確認する意見も聞かれた。
プログラム
67
― 67 ―
【基調講演】山岸 哲 (兵庫県立コウノトリの郷公園園長, IPPM-OWS 代表) 「コウノトリの放鳥開始から 10 年 ~見
えたものそして未来への展望 」
【講演 1】 大橋 直哉 (井の頭自然文化園教育普及係長, (公社) 日本動物園水族館協会 生物多様性委員会,
ニホンコウノトリ計画管理者, IPPM-OWS 事務局長) 「野生復帰と動物園をつなぐ ~IPPM-OWS が目指すもの 」
【講演 2】 松田 聡 (読売新聞豊岡支局記者) 「みんなで見る夢 コウノトリと人の共生 」
【事例報告】
(1) 福井県におけるコウノトリの野生復帰の取組みについて
報告/西垣正男 (福井県安全環境部自然環境課主任)
(2) コウノトリが舞う地域をめざして
報告/宇田川 克己 (野田市みどりと水のまちづくり課課長補佐)
【パネルディスカッション】
「コウノトリの野生復帰の意義と今後の展望」
(文責:兵庫県立大学 内藤和明)
ずーぜよ。動物園大学⑤in 高知
日時: 2015 年 3 月 15 日 (日)
場所: 高知県立のいち動物公園
主催: 京都大学野生動物研究センター
共催: 高知県立のいち動物公園, 京都市動物園, 名古屋市東山動物園, (公財) 日本モンキーセンター, (公財)
横浜市緑の協会 (よこはま動物園, 野毛山動物園, 金沢動物園), 熊本市動植物園, わんぱーくこうちアニマルラン
ド, 愛媛県立とべ動物園
後援: (公財) 日本動物園水族館協会, 高知県教育委員会, 高知市教育委員会, 香南市教育委員会, 共同利用・共
同研究拠点事業, 「絶滅の危機に瀕する野生動物 (大型哺乳類) の保全に関する研究拠点」, 京都大学 霊長類
学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院, 高知新聞社, NHK 高知放送局, RKC 高知放送, KUTV テレビ
高知, KSS さんさんテレビ, 香南ケーブルテレビ
参加人数: 約 177 名
ポスター発表:51 演題
概要
2011 年から毎年 1 回のペースで開催してきた市民公開シンポジウム「動物園大学」の第 5 回を高知県立のいち動物
公園において開催した。今回のテーマは「動物園動物の健康と福祉」である。当然のことだが, ヒト以外の動物もけがや
病気をする。動物園で飼育される動物のばあい, 獣医師が治療に当たり, 飼育員が療養中の面倒を見る。時には, 重
労働だったり, 生死に関わる困難な判断が要求されたりもする。しかし, 来園客として動物園に訪れるだけでは, 展示さ
れている野生動物の病気やけがを目にしたり, その治療や介護にあたる獣医師や飼育員の体験談や死をみとるときに
感じた気持ちを耳にしたりすることはない。どんなに大けがをしても, 大病を患っても生き続けようとする動物や, それを
必死で支える飼育員の姿からは, 生きることの意味や命の重さを感じることができるはずだ。
こうした趣旨に沿ってシンポジウム午前の部では, WRC が連携する国内の動物園 8 施設から飼育員を招いて, 動物
たちの闘病生活やその後の日常生活への復帰, 最後のときを迎えた動物の介護とみとりについて講演いただいた。シ
ンポジウムの参加に年齢を制限していないため, 乳幼児から高齢者まで誰でもが参加できる。演者には, 写真や動画
を多用すること, 専門用語や漢字を使用しても表現全般が平易になるようにいつもお願いしている。朝から夕方まで講
演が続くため, 子供と一緒に参加する父母のことを考えて, キッズスペースを初めて用意した。会場は 1 階, キッズスペ
ースは 2 階にあるため, 2 階からも視聴できるように中継した。そして当日, 雨の日曜日となったが動物園の正門には開
園を待つシンポジウム参加者の列ができた。会場は一日中満席で, キッズスペースも賑わった。
毎年, 午後に動物園の将来を考える討論会の場を設けている。高知県には公立動物園が 2 施設ある。午後の部で
は, それぞれの園長をお迎えして, 高知の動物園がその将来をどのように見据えているのか講演いただいた。また自
由討論では, 今回のテーマである動物の健康問題について自由闊達に議論した。その途中, キッズスペースにいた子
供たち数名が 1 階に下りてきて, シンポジウムに参加した。後から聞くと, 2 階ではどうしてもほかの雑音が紛れて聞きづ
らいので, よく話しが聞こえるようにと 1 階に移動したとのことだった。午後はどうしても堅い話になり, 幼い子供には理解
するのが容易でない。それでも, 頑張って参加しようとしていた姿が印象的だった。
集計の結果, 合計 177 名の方が参加した。このうち連携動物園関係者として 14 名を招聘した。開催地とその近隣の
四国地方からの参加者が 4 割, 残りは WRC 連携動物園のある地域を中心に関東から九州まで全国から集まった。動
物園のある香南市は人口約 3 万人である。“ごめん・なはり線”の愛称で親しまれる鉄道の最寄り駅から 1.5km 離れてい
る動物園は, 公共交通機関が充実しているとは言えない。立地条件や当日の天気に恵まれていないにもかかわらず,
様々な地域から多数参加いただいたことは, 開催園であるのいち動物公園すべての職員の奮闘によるものに間違いな
いが, 同時に多くの市民が動物園に魅力を感じ, 期待を抱いていることを裏付ける。参加者の 6 割が, 四国外から足を
運び, 動物園大学を成功に導いたといっても過言ではない。 “おらんく”の動物園が, WRC と連携することで重層的な
ネットワークを形成し, 社会に貢献する可能性を示した点で意義深い企画だった。
(文責:野生動物研究センター/ 伊谷原一・森村成樹)
68
― 68 ―
プログラム
【動物園の飼育係によるレクチャー】
(1) 山田信宏 (高知県立のいち動物公園) 「がんばれミルキー!脳性麻痺のチンパンジー「ミルキー」の成
長記」
(2) 吉澤未来 (わんぱーくこうちアニマルランド) 「高齢動物のケアとみとり」
(3) 熊岡悟史 (愛媛県立とべ動物園) 「障害のあるマントヒヒの群れへの復帰とその後」
(4) 川口かおる (京都市動物園) 「ツキノワグマサクラの老後ケアとみとり」
(5) 近藤裕治 (名古屋市東山動植物園) 「隻腕のチンパンジー, アキコ」
(6) 松本松男 (熊本市動植物園) 「アフリカゾウ「マリー」と「エリ」の幸せを考えて」
(7) 山口進也 (公財横浜市緑の協会野毛山動物園) 「フタコブラクダ「ツガル」の老後ケア」
(8) 中尾汐莉 (公財日本モンキーセンター)「目にケガを負ったワオキツネザルの治療奮闘話~もとの群れ
へ帰るまで~」
【動物園長のお話】
多々良成紀 (高知県立のいち動物公園) 「動物園のこれからの歩み」
渡部孝 (わんぱーくこうちアニマルランド) 「おらんくの動物園」
【自由討論-動物も歳を取るし, 病気にもなる!-】
コーディ-ネーター:伊谷原一 (京都大学野生動物研究センター/公財日本モンキーセンター)
2014 年度 公募研究による成果発表
(二重下線は共同利用研究代表者, 一重下線は共同利用研究分担者など, *は「15. 2014 年度研究業績」と重複し
ているもの)
執筆文章 (和文)
相場慎一郎, 澤田佳美, 原田廣子, 黒瀬大貴, 岡部憲
和 (2014) 照葉樹林 (1983-2013) と針広混交林
(1993-2013) の動態. 平成 25 年度屋久島世界遺産
地域における森林動態モニタリング調査業務報告書,
環境省九州地方環境事務所, pp.43-74.
揚妻直樹 (2015) シカと森の常識. 北海道大学北方生
物圏フィールド科学センター News Letter 12:6.
池田譲, 杉本親要 (2014) アオリイカの生物学と漁業技
術の進歩―行動と社会性.日本水産学会誌 80:247.
大園享司 (2014) 落葉分解.菌類の生物学―分類・系
統・生態・環境・利用― (日本菌学会編), 共立出版,
pp. 145-153.
岡部光太 (2014) レッサーパンダ輸入にかかる共同保
護計画実施状況報告書. 2014/12 経済産業省へ提
出.
甲斐千晶 (2014) レッサーパンダの性格判定:アンケー
ト調査と遺伝子多型解析. 2014 年度卒業論文, 静岡
大学理学部生物科学科.
栗原洋介 (2014) 屋久島海岸域に生息するニホンザル
における採食行動の群間比較. 屋久島学. 1:57-58.
黒瀬大貴 (2015) 屋久島西部における照葉樹原生林お
よび二次林の 30 年間の動態. 鹿児島大学理学部地
球環境科学科卒業論文.
澤田晶子 (2014) 総論:霊長類のキノコ食行動―今後
の課題と可能性. 霊長類研究 30:5-21.
澤田晶子 (2014) ニホンザルの採食行動を調べる-に
おいや味覚で毒キノコを回避. グリーン・パワー
422:12.
島悠希 (2014) ニホンザルにおける親和的関係に応じ
た接近相手の選択―毛づくろい場面に着目して. 修
士論文, 京都大学大学院理学研究科.
杉本親要 (2015) 頭足類学の創成 水産学における応
用的基礎として―行動学からみた頭足類.日本水産
学会誌.日本水産学会誌 81:135.
永田瑞穂 (2015) ウミネコにおける渡りルートと非繁殖期
の採餌活動. 修士論文, 名古屋大学大学院環境学
研究科.
萩原慎太郎 (2015) ゾウの利き鼻!?はどっちだ実験. 福
山市立動物園機関誌『さえずり』 15(4):4.
花塚優貴 (2015) オランウータンにおける社会的行動・
認知に関する心理学的研究. 博士論文, 中央大学
大学院文学研究科.
花塚優貴, 木村幸一, 今西鉄也, 田中正之, 緑川晶
(印刷中) 「認知エンリッチメントツールとしての iPad の
利用可能性 ―スマトラオランウータンを対象とした事
例研究―」
平賀真紀, 小川直子, 富岡由香里, 小倉典子, 小林和
彦, 渡辺聡史, 斉藤憲弥 (2015) 飼育チンパンジー
の赤ん坊が同居個体の社会行動におよぼす影響:
社会的エンリッチメントの観点からの事例報告.動物
園水族館雑誌 55(4):95-103.
藤澤加悦 (2014) 横浜市環境創造局業務研究・改善事
例発表会.
堀裕亮, 瀧本彩加, 坪山佳織, 沓掛展之, 井上‐村山
美穂, 藤田和生 (2014) 御崎馬におけるドーパミン
受容体 D4 遺伝子の多型解析. DNA 多型 22:42-44.
丸一喜 (2015) チンパンジーの活動性と温度の関係に
ついて. モユクカムイ 84.
水谷友一 (2015) 野外条件下におけるウミネコのテロメ
ア動態に関する研究. 博士論文, 名古屋大学大学
院環境学研究科.
宮田晃江 (2015) 屋久島におけるヤクシマザルの集団
の分布とその変遷. 修士論文, 京都大学大学院理
学研究科.
持田浩治, 西川真理 (2014) 暗闇に隠されたサルの眠
り. 屋久島学 1:55-56.
八代梓 (2015) 動物園動物の行動および来園者の意識
に飼育環境が及ぼす影響. 修士論文, 東海大学大
学院農学研究科.
69
― 69 ―
谷戸崇 (2015) 日本産ネズミ類における陰茎骨遠位部
の三叉構造に関する比較形態学的研究. 修士論文,
京都大学大学院理学研究科.
執筆文章 (英文)
Agetsuma N, Koda R, Tsujino R, Agetsuma- Yanagihara
Y (2015) Effective spatial scales for evaluating
environmental determinants of population density in
Yakushima macaques. American Journal of
Primatology 77:152–161.
Duboscq J, Bret C, Sosa S (in press) Primates non
humains in « Les réseaux dans les sociétés animales »,
Sueur C (eds), Editions matériologiques, Paris.
Duboscq J, Heeb P (in press) Transmission des
pathogènes et réseaux dans les sociétés animales in «
Les réseaux dans les sociétés animales », Sueur C.
(eds), Editions matériologiques, Paris.
*Fukuda T, Katayama M, Kinoshita K, Kasugai T,
Okamoto H, Kobayashi K, Kurita M, Soichi M, Donai
K, Uchida T, Onuma M, Sone H, Isogai E,
Inoue-Murayama M (2014) Primary fibroblast cultures
and karyotype analysis for the olive ridley sea turtle
(Lepidochelys olivacea) . In Vitro Cell Dev Biol Anim
50:381–383.
Garai C, Furuichi T, Kawamoto Y, Ryu H,
Inoue-Murayama M (2014) Androgen receptor and
monoamine oxidase polymorphism in wild bonobos.
Meta Gene 2:831–843.
Hanya G, Fuse M, Aiba S, Takafumi H, Tsujino R,
Agetsuma N, Chapman CA (2014) Ecosystem folivory
and frugivory by Japanese macaques in two temperate
forests in Yakushima. American Journal of
Primatology 76:596–607.
Hill DA, Fukui D, Agetsuma N, Macintosh AJJ (2014)
Influence of trap environment on the effectiveness of
an acoustic lure for capturing vespertilionid bats in two
temperate forest zones in Japan. Mammal Study
39:229–236.
*Kaneko T, Ito H, Sakamoto H, Onuma M,
Inoue-Murayama M (2014). Sperm preservation by
freeze-drying for the conservation of wild animals.
PLoS One. 2014, 9 (11) : e113381.
Kaneko T (2015) Simple sperm preservation by
freeze-drying for conserving animal strains. Method in
Molecular Biology, Chromosomal Mutagenesis,
Humana Press. 1239:317–329.
MacIntosh AJJ (2014) Ecology and Epidemiology of
nematode infection in Japanese macaques: building an
empirical model. Primate Research 30:23–51.
Onoda Y, Saluñga JB, Akutsu K, Aiba S, Yahara T,
Anten NPR (2014) Trade-off between light
interception efficiency and light use efficiency:
implications for species coexistence in one-sided light
competition. Journal of Ecology 102:167–175.
Pasquaretta C, Levé M, Claidière N, van de Waal E,
Whiten A, MacIntosh AJJ, Pelé M, Borgeaud C,
Brosnan S, Crofoot M, Fedigan L, Fichtel C, Hopper
L, Mareno MC, Petit O, Schnoell AV, di Sorrentino EP,
Thierry B, Tiddi B, Sueur C (2014) Social networks in
primates: smart and tolerant species have more efficient networks. Scientific Reports 4:7600.
Sarabian C (2014) On the origins of hygiene. Master
Thesis, Department of Ecology, Physiology and
Ethology, Hubert Curien Pluridisciplinary Institute,
University of Strasbourg.
Sawada A, Sato H, Inoue E, Otani Y, Hanya G (2014)
Mycophagy among Japanese macaques in Yakushima:
Species diversity and behavioral patterns. Primates
55:249–257.
Otani Y, Sawada A, Hanya G (2014) Short-term
separation from groups by male Japanese macaques:
Costs and benefits in feeding behavior and social
interaction. American Journal of Primatology
76:374–384.
学会等での発表・講演 (日本語)
揚妻直樹 (2015) シカ個体群の歴史から自然生態系保
全を考える. 第 18 回紀伊半島研究会シンポジウム
「森林とシカと人の暮らしを考える」. (2015/02, 奈
良).
*荒堀みのり, 井上-村山美穂, 藤田和生 (2014)
Influence of oxytocin receptor (OXTR) gene
polymorphisms on personality trait in cats. 日本動物
心理学会第 74 回大会. (2014/07, 愛知).
*井上-村山美穂, 山田一憲, 井上英治, 大西賢治, 栗
原洋介, 早川祥子, 風張喜子, 中川尚史 (2014) ニ
ホンザルにおける寛容性に関わる候補遺伝子の個体
群間比較. 日本哺乳類学会 2014 年度大会
(2014/09, 京都).
岩原由佳, 宮下和士, 三谷曜子 (2014) 北海道沿岸海
域における小型鯨類 3 種の分布について. 勇魚会シ
ンポジウム. (2014/11, 京都).
牛田一成, 土田さやか (2015) 厳しい生存環境に耐え
る野生動物の腸内細菌―プロバイオティクスとしての
応用可能性. 展示動物防疫衛生シンポジウム.
(2015/03, 宮崎).
大園享司, キノコとカビが語る芦生の森の魅力. 京都大
学フィールド科学教育研究センター第 24 回公開講
座「生態学からみる森と地球と私たち」京都大学芦生
研究林. (2014/11, 京都).
*大西賢治, 山田一憲, 中道正之, 井上英治, 齋藤慈
子, 長谷川寿一, 井上-村山美穂 (2014) ニホンザ
ルにおける社会性の個体差に影響する遺伝子.日本
哺乳類学会 2014 年度大会 (2014/09, 京都).
*大西賢治, 山田一憲, 中道正之, 井上英治 齋藤慈
子 長谷川寿一 井上-村山美穂 (2015) オキシトシ
ン受容体遺伝子の多型がニホンザルの社会性の個
体差に与える影響. 新学術領域研究「共感性の進
化・神経基盤」第 2 回領域会議 (2015/01, 奈良).
*岡部光太, 髙木直子, 塩田幸弘, 田中正之 (2014)
飼育下レッサーパンダの同居時の行動変化と個体差.
日本哺乳類学会 2014 年度大会 京都大学.
(2014/08, 京都).
*岡部光太, 田中正之 (2015) レッサーパンダの授乳初
期における成功例と失敗例の比較. 「ず~ぜよ。」動
物園大学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
*岡部光太, 田中正之 (2015) 飼育下のレッサーパンダ
における交尾に至るまでの行動評価. 日本家畜管理
学会・応用動物行動学会合同 2015 年度春季研究発
表会. (2015/03, 栃木).
奥村文彦ほか (2014) 日動水中部ブロック飼育技術者
研修会にて他生息地研修と合わせ発表. 富山県魚
津水族館. (2014/11, 富山).
70
― 70 ―
加藤洋子 (2014) 飼育チンパンジーの睡眠行動につい
て. SAGA17 in 茨城 (2014/11, 茨城).
金子武人, 伊藤英之, 坂本英房, 大沼学, 村山美穂
希少動物におけるフリーズドライ精子保存法の確立
及び配偶子バンクの設立. 第 20 回日本野生動物医
学会大会 (2014/09, 茨城).
金澤朋子, 西村直也, 半澤紗由里, 安藤正人, 村田浩
一 (2015) 自動給餌機導入による飼育下インドゾウ
の行動時間量変化. 「ず~ぜよ。」動物園大学 5 in
高知. (2015/03, 高知)
木下こづえ, 久世濃子, 宮川悦子, 小林智男, 中村智
行, 黒鳥英俊, 木村幸一, 尾崎康彦, (2014) ボルネ
オオランウータン (Pongo pygmaeus) における精子
運動率と時間変化に関する基礎的研究. SAGA17 in
茨城. (2014/11, 茨城).
木村幸一, 髙倉健一郎, 黒鳥英俊, 木下こづえ, 小倉
匡俊, 尾崎康彦, 久世濃子 (2015) スマトラオランウ
ータンフランジ雄死亡によるアンフランジ雄の 2 次的
な性的発達について. 第 59 回プリマーテス研究会
(2015/01, 愛知).
木村幸一, 髙倉健一郎, 木下こづえ, 黒鳥英俊, 小倉
匡俊, 尾崎康彦, 久世濃子 (2015) オランウータン
特有の身体の変化について. 「ず~ぜよ。」動物園大
学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
久世濃子 (2014) 妊娠中および授乳中の野生オランウ
ータンのホルモン動態. 第 29 回日本母乳哺育学会.
(2014/10, 神奈川).
粂佑奈, 新妻靖章, 水谷友一, 永田瑞穂, 白井正樹
(2014) ウミネコにおける一腹卵数とエネルギー消費
量. 日本生態学会第 61 回全国大会 (2014/03, 広
島).
栗原洋介 (2014) 屋久島海岸域に生息するニホンザル
における採食行動の群間比較. 第 14 回ニホンザル
研究セミナー. (2014/06, 愛知).
栗原洋介 (2014) ニホンザル単雌群のオトナメスはいか
にグルーミングを行うか. 第 30 回日本霊長類学会大
会. (2014/07, 大阪).
佐々木智子 (2015) ポスター発表. 「ず~ぜよ。」動物
園大学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
澤田晶子 (2015) サルは毒キノコを避けているのか?
鳥取大学ポストグローバル COE プログラム「持続性
社会構築に向けた菌類きのこ資源活用」. (2015/03,
東京).
澤田晶子, 早川卓志, 栗原洋介, 半谷吾郎, 岸田拓士,
阿形清和 (2015) 野生ニホンザルの腸内細菌叢は
採食パターンに応じて変化するのか. 第 62 回日本
生態学会大会. (2015/03 鹿児島).
杉本親要 (2014) アオリイカの群れ行動. NLPM コロキウ
ム, 広島大学. (2014/06, 広島).
杉本親要 (2014) 頭足類学の創成 水産学における応
用的基礎として―行動学からみた頭足類. 平成 26
年度日本水産学会秋季大会ミニシンポジウム.
(2014/09, 福岡).
杉本親要 (2014) わが道をゆく 「不可思議な賢者」頭
足類を訪ねる つながりが生む社会 アオリイカの群
れ行動とソーシャルネットワーク . 日本動物行動学
会第 33 回大会ラウンドテーブル. (2014/11, 長崎).
杉本親要 (2015) 生物のつながり. 科学技術振興機構
中高生の科学部活動振興プログラム, 沖縄県立浦
添高等学校. (2015/01, 沖縄).
杉本親要 (2015)アオリイカのつながりを読み解く. CAPS
インタラクション研究会, 関西学院大学. (2015/01,
兵庫).
杉本親要, 井上 村山美穂, 池田譲 (2015) 頭足類の
社会性に関する研究 ⑭アオリイカのソーシャルネッ
トワークと群れ構成員の遺伝的組成. 平成 27 年度日
本水産学会春期大会. 東京海洋大学. (2015/03, 東
京).
高橋大希, 力丸宗弘, 佐藤悠紀, 鈴木裕輔, 大槻久,
菊水健史, 村山美穂 (2015) 動画提示による比内地
鶏の逃避行動伝染実験. 新学術領域研究「共感性
の進化・神経基盤」第 2 回領域会議. (2015/01, 奈
良).
竹下秀子, 山田信宏, 笠木 靖, 高塩純一, 川上文人,
林 美里, 水野友有, 多々良成紀, 友永雅己
(2015) 人工哺育チンパンジーの認知と運動の障害と
発達―0~1 歳期の発達的変化. 日本発達心理学会
第 26 回大会. (2015/03, 東京).
*土田さやか, Nguema PPM, 佐藤康弘, 渋谷康, 伊東
英樹, 田中正之, 和田晴太郎, 長尾充徳, 村山美
穂, 牛田一成 (2015) 宿主を特徴づける腸内乳酸菌
―ゴリラにはゴリラの乳酸菌!! 「ず~ぜよ。」動物
園大学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
中尾汐莉ほか (2015) 幸島観察所の研修をポスター発
表. プリマーテス研究会. (2015/01, 愛知).
永田瑞穂, 水谷友一, 依田憲, 新妻靖章 (2014) ウミ
ネコにおける渡り行動の個体レベルでの再現性. 日
本動物行動学会第 33 回大会. (2014/11, 長崎).
長沼知子 (2015) メスのツキノワグマ (Ursus thibetanus)
における食性の個体差の解明とそれに及ぼす要因
の検討. 第 12 回とちぎ野生動物交流会. (2015/03
栃木).
西川真理, 持田浩治 (2014) 暗視ビデオカメラの動画を
用いた夜間におけるニホンザルの睡眠およびニホン
ジカとの種間交渉の研究. 日本哺乳類学会 2014 年
度大会. (2014/09 京都).
根本唯 (2015) ツキノワグマの秋の階層的な生息地選
択に対する堅果結実程度の影響. 第 12 回とちぎ野
生動物交流会. (2015/03, 栃木).
萩原慎太郎 (2014) ボルネオゾウの適正な飼育管理の
ための身体測定と行動調査. 日本哺乳類学会 2014
年度大会企画シンポジウム. (2014/09, 京都).
*萩原慎太郎, 井亀徹, 菅里美, 藤井修, 原田昌治,
井上和彦, 森村成樹, 田中正之, 岡本智伸, 伊藤
秀一 (2015) ボルネオゾウにも右利き左利きがあるの
か?? 動物園大学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
*萩原慎太郎, 井亀徹, 藤井修, 菅里美, 原田昌治,
井上和彦, 森村成樹, 田中正之, 杉浦秀樹, 岡本
智伸, 伊藤秀一 (2015) 飼育下アジアゾウにおける
採食に関した鼻を使う行動の左右差, 応用動物行動
学会 2015 年度春季合同研究発表会. (2015/03, 栃
木).
半澤紗由里 (2014) インドゾウに使用した夜間用自動給
餌機について. 第 62 回動物園技術者研究会.
(2014/10, 愛媛).
半澤紗由里 (2014) インドゾウにおいて行った大学との
共同研究の内容とその意義. 平成 25 年度 環境創
造局業務研究・改善事例発表会 (動物園部門・表
彰). (2014/10, 神奈川).
*平賀真紀, 野口忠孝, 小倉典子, 福島翔太, 須田朱
美, 森村成樹 (2014) 赤ん坊が飼育チンパンジー
71
― 71 ―
(Pan troglodytes) の社会交渉におよぼす影響. 2014
年度日本哺乳類学会大会. (2014/09, 京都).
*平賀真紀, 野口忠孝, 小倉典子, 福島翔太, 須田朱
美, 森村成樹 (2014) 飼育チンパンジーにおける赤
ん坊と同居大人個体との社会交渉の縦断的変化.
SAGA17 in 茨城. (2014/11, 茨城).
*平賀真紀, 野口忠孝, 小倉典子, 井川阿久里, 森村
成樹 (2015) チンパンジーを通じた横浜の動物園と
ウガンダの動物園との技術協力. 「ず~ぜよ。」動物
園大学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
藤澤加悦, 古田洋, 佐藤英雄, 栗原幹尚, 太田真琴,
山本香織里, 田中正之 (2014) 飼育下におけるイン
ドゾウの夜間行動観察. 日本哺乳類学会 2014 年度
大会. (2014/09, 京都).
藤澤加悦, 古田洋, 佐藤英雄, 栗原幹尚, 太田真琴,
田中正之 (2015) インドゾウの夜間行動調査. 「ず~
ぜよ。」動物園大学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
藤谷武史, 谷佳明, 玉井勘次, 安川雄一郎 (2014) 国
内飼育種アルダブラゾウガメ Dipsochelys dussumieri
における種の再検討. 第 26 回日本動物園水族館両
生爬虫類会議. (2014/11, 静岡).
藤谷武史, 谷佳明, 玉井勘次, 安川雄一郎 (2015) ゾ
ウガメを探せ!プロジェクト. 「ず~ぜよ。」動物園大
学 5 in 高知. (2015/03, 高知).
福原真治, 八代梓, 竹田正志, 山部哲也, 森田聡, 上
野明日香, 松本 充史, 瀧本 勉, 伊藤 秀一
(2014) チンパンジーにおける性比腫脹のレベルと群
れ社会の行動変化について. SAGA17 in 茨城.
(2014/11, 茨城).
*福守朗, 森村成樹 (2014) 九州沖縄地域における飼
育チンパンジーの父系について. SAGA17 in 茨城.
(2014/11, 茨城).
*堀秀帆, 岩原真利, 廣瀬真紀子, 松本充史, 田中正
之, 新村 毅, 伊藤秀一 (2015) セキショクヤケイに
おける Crowing の季節性. 日本家畜管理学会・応用
動物行動学会合同 2015 年度春季研究発表会
(2015/03, 栃木).
*堀裕亮, 南保泰雄, 佐藤文夫, 石丸睦樹, 戸崎晃明,
井上‐村山美穂, 藤田和生 (2014) Association
between genetic polymorphism and tractability in
Thoroughbred horses. 日本動物心理学会第 74 回大
会. (2014/07, 愛知).
*丸一喜, 森村成樹 (2014) チンパンジーの活動性と温
度の関係について. SAGA17 in 茨城 (2014/11, 茨
城).
水谷友一 (2014) 青森県八戸市蕪島神社主催の一般
向け講演会「第 2 回 ウミネコ塾」にて講演. (2014/07,
青森).
*三家詩織, 伊藤二三夫, 佐々木智子, 伊藤英之, 長
尾充徳, 田中正之 (2014) 社会環境の変化が飼育
下ニシゴリラの睡眠に与える影響. 応用動物行動学
会 2014 年度春季研究発表会 (2014/03, 茨城).
向井真那, 相場慎一郎, 北山兼弘 (2015) 屋久島の森
林の土壌無機化速度:土壌―植生相互作用の指標
として. 第 62 回日本生態学会 (2015/3 鹿児島).
八代梓 (2014) 動物園の楽しみ方教えます. 熊本市動
植物園・東海大学農学部合同シンポジウム.
(2014/11, 熊本).
*八代梓, 古家岬, 本村泰隆, 渡辺志織, 吉村出, 松
本充史, 中村寿徳, 村上憲一, 田中正之, 伊藤秀
一 (2014) 生息環境展示施設がニホンザルの行動と
来園者の意識に及ぼす影響. SAGA17 in 茨城.
(2014/11, 茨城).
*八代梓, 松本充史, 田中正之, 伊藤秀一 (2015) 生
息環境展示が来園者の意識に及ぼす影響. 応用動
物行動学会年次大会. (2015/ 3 栃木).
*谷戸崇, 岸田拓士, 本川雅治 (2014) ネズミの交尾器
を用いた形態比較. 日本哺乳類学会 2014 年度大会.
(2014/09, 京都).
山田信宏, 笠木靖, 竹下秀子 (2014) チンパンジー人
工哺育個体ミルキーの1年. 日本哺乳類学会 2014
年度大会京都大学. (2014/09, 京都).
山田信宏, 笠木靖, 竹下秀子 (2014) チンパンジー人
工哺育個体ミルキーの1年. SAGA17 in 茨城.
(2014/11, 茨城).
山本知里 (2014) ハンドウイルカにおける葛藤後行動,
日本心理学会第 78 回大会. 公募シンポジウム「海に
挑むこころの科学―イルカ類と鰭脚類の認知・行動
研究の最前線」. (2014/09, 京都).
(2013 年度の業績: 2013 年度の年報に未記載分)
池田譲, 杉本親要 (2013)アオリイカの生物学と漁業技
術の進歩―行動と社会性. 平成 25 年度日本水産学
会秋季大会シンポジウム. (2013/09, 三重).
学会等での発表・講演 (英語)
Aiba S (2014) Climate and conifer dominance along
latitudinal and altitudinal gradients in humid forests of
the western Pacific. 4th Taiwan-Japan Ecology
Workshop. (2014/11, Taiwan).
de Paula VR, Duboscq J, Sueur C, MacIntosh A (2014)
Modelling disease transmission in primate networks to
predict epidemics. The 25th Congress of the International Primatological Society. (2014/08, Vietnam)
Duboscq J, Romano de Paula V, Sueur C, MacIntosh A
(2014) Pseudoectoparasites: a useful tool for the study
of disease transmission within a social network”. 25th
meeting of the International Primatological Society.
(2014/08, Vietnam).
Duboscq J, Sueur C, Romano De Paula V, MacIntosh A
(2014) Pseudoectoparasites: a promising tool for the
study of parasite transmission in relation to social
networks. The 25th Congress of the International Primatological Society. (2014/08, Vietnam)
*Fukuda T, Donai K, Eitsuka T, Kurita M, Saito T,
Okamoto H, Kinoshita K, Katayama M, Soichi M,
Uchida T, Onuma M, Sone H, Inoue-Murayama M,
Kiyono T (2014) Establishment of primary cell culture
and immortalized cells from Loggerhead sea turtle, an
ideal material for the genomic analysis with next
generation sequencing. Unraveling Biodiversity from
DNA- From the Management of Databases to the Use
of Next Generation Sequencers. (2014, Ibaragi).
*Hanazuka Y, Tanaka M, Midorikawa A (2014) The
effect of human presence on drawing activity in a
bornean orangutan (Pongo pygmaeus). International
Primatological Society 25 (2014/08, Vietnam).
Hill DA, Anuar MSS (2014) Chatting to bats:
Applications of acoustic lures for surveying and
studying microchiroptera. 3rd International Workshop
on Tropical Biodiversity and Conservation. (2014,
Tanzania).
72
― 72 ―
Hill DA, Anuar MSS, Flanders J (2014) Acoustic lure
enhances survey and research capacity for microbats
in forest habitats. 16th Australasian Bat Society
Conference. (2014, Australia).
Hill DA, Anuar S, MacIntosh AJJ, Ghazali A (2014)
Acoustic lure gives increased efficiency for short-term
surveys of bat diversity in tropical rainforest. 13th
European Bat Research Symposium. (2014, Croatia).
Hill DA, Flanders J (2014) Whispering bats that shout out
in the night: Social calls of the Ussuri tube-nosed bat
Murina ussuriensis. 16th Australasian Bat Society
Conference (2014, Australia).
Kaneko T (2015) Sperm preservation by freeze-drying in
endangered animals. 41th Annual conference of the
international embryo transfer society. (2015/01,
France).
*Kaneko T, Ito H, Sakamoto H, Onuma M, Murayama M
(2015) Sperm banking using freeze-drying in
endangered animals. Unraveling Biodiversity from
DNA: From the Management of Databases to the Use
of Next Generation Sequencers. (2014/ 09, Ibaragi).
Kaneko T (2014) Preservation of mammalian sperm by
freeze-drying. 2014 World Forum on Biology; Joint
meeting of the sciety for in vitro biology and the
society for cryobiology. (2014/05–06, USA).
Kinoshita K, Kuze N. Urinary near infrared spectroscopy
to discriminate physiological status in Bornean
Orangutans (Pongo pygmaeus) . The 25th Congress of
the International Primatological Society. (2014/08,
Vietnam).
Kuze N, Tajima T, Kanamori T, Yamazaki S, Malim TP,
Bernard H (2014) Reproductive parameters of
rehabilitant female orangutans (Pongo spp.); high
infant mortality rate and young age at first
reproduction. The 25th Congress of the International
Primatological Society. (2014/08, Vietnam).
Kurihara Y, Hanya G (2014) Comparison of feeding
behavior between two different-sized groups of
Japanese macaques (Macaca fuscata yakui). The 25th
Congress of the International Primatological Society
(2014/08, Vietnam).
MacIntosh AJ (2014) A field-experimental approach to
primate-parasite interactions: filling in the knowledge-gaps. The 25th Congress of the International
Primatological Society. (2014, Vietnam).
Makoto K, Osono T, Fujii S, Koide D, Isbell F, Mori AS
(2014) Ungulate herbivory modifies belowground
properties differently depending on the afforestation
practice in cool-temperate forests. 8th International
Symposium on Ecosystem Behavior
(BIOGEOMON2014). (2014/07, Germany).
Nagata M, Yoda K, Mizutani Y, Niizuma Y (2015)
Individual consistency of migration route and
activities of black-tailed gull. Pacific Seabird Group
42th Annual Meeting. (2015, USA).
Nishikawa M, Mochida K (2014) Interruption factors on
sleep at night in wild Japanese macaques under
predator-free environment. 25th meeting of the
International Primatological Society. (2014/08,
Vietnam).
Sarabian C (2015) On the origin of hygiene: disgust,
health and primate evolution. PWS Annual
Symposium. (2015, Kyoto).
Sarabian C (2015) Hygienic tendencies limit parasite
infection in Japanese macaques. Journal Club, CNRS
Primatological Research Station. (2015, France).
Sarabian C (2015) L’Hygiène ches les macaques de
Koshima. Scientific presentation for primary school
children (in French), Ranville, France.
Sarabian C, MacIntosh AJJ (2014) In the dirt: Hygienic
behaviors and revulsion for feces in Japanese
macaques of Koshima island, XXV International
Primatological Society Congress. (2014/08, Vietnam).
Sarabian C, MacIntosh AJJ (2014) Hygienic tendencies
constrain parasite infection in Japanese macaques,
Interdisciplinary Symposium of Primatology. (2014,
Aichi).
*Sawada A, Hayakawa T, Kawaguchi E, Kishida T, Agata
K (2014) Gut microbiota of wild Japanese macaques.
XXV Congress of International Primatological Society.
(2014/08, Vietnam).
Sawada A, Hayakawa T, Kurihara Y, Agata K (2014) Gut
microbiota associated with dietary changes in wild
Japanese macaques. The 3rd International Workshop
on Tropical Biodiversity and Conservation. (2014/09,
Tanzania).
Shinohara W (2015) Evidence for adaptive evolution of
an alpine dwarf of Lysimachia japonica endemic to
Yakushima, Japan. International Conference on the
Water Crisis in the Asia-Pacifc Region. (2015,
Kagawa).
Sueur C, Pasquaretta C, Leve M, Claidiere N, van de
Waal E, MacIntosh AJ, Pele M, Whiten A (2014) Information transmission efficiency in primate networks.
The 25th Congress of the International Primatological
Society. (2014/08, Vietnam).
*Yatsushiro A, Huruie M, Motomura Y, Matsumoto A,
Tanaka M, Ito S (2014) Experience of a landscape
immersion exhibit: Zoo visitors’ perceptions of captive
Japanese macaques (Macaca fuscata). ISAE2014
(2014/07–08, Spain).
(2013 年度の業績: 2013 年度の年報に未記載分)
Kume Y, Niizuma Y, Mizutani Y, Nagata M, Shirai M
(2014) Field metabolic rates of black-tailed gulls
incubating two and three eggs. The 41st Annual Meeting
of the Pacific Seabird Group. (2014/02, USA).
新聞・雑誌・TV 等での紹介
岡部光太
レッサーパンダ赤ちゃん2匹. 京都新聞 朝刊. 2014
年6月20日.
レッサーパンダの赤ちゃん2匹誕生. 毎日新聞 朝刊.
2014年6月21日.
レッサーパンダ赤ちゃんが誕生. 毎日新聞. 2014年6
月25日.
レッサーパンダ赤ちゃんまた誕生. 京都新聞 朝刊.
2014年6月25日.
どうぶつえん日記 レッサーパンダの赤ちゃん誕生.
京都新聞 朝刊. 2014年6月27日.
レッサーパンダ赤ちゃん1頭死ぬ. 読売新聞 朝刊.
2014年7月20日.
73
― 73 ―
レッサーパンダ赤ちゃん1匹死ぬ. 京都新聞 朝刊.
2014年7月20日.
どうぶつえん日記 レッサーパンダの人工保育. 京都
新聞 朝刊. 2014年8月29日.
かわいい名前つけて. 京都新聞 朝刊. 2014年10月
30日.
レッサーパンダの赤ちゃんお披露目. 京都新聞 朝
刊. 2014年11月1日.
岡部光太 京都市動物園飼育員ブログ
http://www5.city.kyoto.jp/zoo/enjoy/breeder-blog/
diary
レッサーパンダ, 産休をいただきます. 2014年5月22
日.
パンダコパンダ. 2014年6月23日.
ろうにゃくなんにょ, レッサーパンダ. 2015年7月5日.
子レッサーパンダ, すくすくと…. 2015年9月9日.
You’ve Got Friend in Me ? (君は友達?). 2015年10
月17日.
吾輩は, 小熊猫である. 2015年11月17日.
キテマス!レッサーパンダの恋の季節. 2015年1月22
日.
ムータン, 遊びざかりナウ. 2015年1月24日.
続・キテマス!!レッサーパンダの恋の季節. 2015年
2月6日.
ようやくコトにも春が…. 2015年2月25日.
尾崎康彦
オランウータン 人工授精に初挑戦 16年同居も繁殖
至らず市動物公園. 千葉日報. 2015年3月5日.
オランウータン人工授精へ…千葉市動物公園. 読売
新聞 (千葉). 2015年3月6日.
オランウータン人工授精に挑む 千葉市動物公園.
東京新聞. 2015年3月9日.
オランウータン人工授精の国内初成功へ期待 千葉
市動物公園. 産経新聞. 2015年3月11日.
村山美穂, 池田譲
海の霊長類. 読売新聞 朝刊. 2015年3月23日.
水谷友一
「ウミネコの生態研究 最前線」調査・研究内容の紹介.
NHK青森. 2014年6月4日夕方のニュース内 (青森
県内) と, 6月5日朝の東北地方ニュース内 (東北
地方全域).
「第2回 ウミネコ塾」講演の紹介. NHK青森. 2014年7
月26日夕方のニュース.
山田信宏
こうち情報いちばん (脳性まひの赤ちゃんチンパンジ
ー「ミルキー」の物語). NHK高知放送局. 2014年9
月24日.
脳性まひの赤ちゃんチンパンジー「ミルキー」の物語
英語版. NHK WORLD配信. 2014年10月30日.
脳性まひの赤ちゃんチンパンジー「ミルキー」の物語.
フジテレビ「スーパーニュース」. 2014年12月8日.
74
― 74 ―
㻞㻜㻝㻠 ᖺᗘ㻌 ி㒔኱Ꮫ㔝⏕ື≀◊✲䝉䞁䝍䞊ᖺሗ㻌
㻌
Ⓨ⾜⪅㻌
ி㒔኱Ꮫ㔝⏕ື≀◊✲䝉䞁䝍䞊㻌
䛈㻢㻜㻢㻙㻤㻞㻜㻟㻌 ி㒔ᕷᕥி༊⏣୰㛵⏣⏫ 㻞㻙㻞㻠㻌
ி㒔኱Ꮫ㻌 㛵⏣༡◊✲Ჷ㻌
㟁ヰ㻦㻌㻜㻣㻡㻙㻣㻣㻝㻙㻠㻟㻥㻟㻌 㻌 㻲㻭㼄㻦㻌㻜㻣㻡㻙㻣㻣㻝㻙㻠㻟㻥㻠㻌
㼔㼠㼠㼜㻦㻛㻛㼣㼣㼣㻚㼣㼞㼏㻚㼗㼥㼛㼠㼛㻙㼡㻚㼍㼏㻚㼖㼜㻛㻌
㻌
㻞㻜㻝㻡 ᖺ 㻥 ᭶Ⓨ⾜㻌
㻌
www.wrc.kyoto-u.ac.jp