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OUR CUSTOMERS
オリジナル自転車メーカー
[アロハロコ]代表取締役
鹿野賢亮さん×
PEUGEOT3008
Premium
ハワイの風を感じながら
サイクリング日和
プジョー3008を営業用に使っているという、
若き起業家がいると聞いた。彼が手がけているのはオリジナル自転車の製造販売。
独自の世界観が投影された商品開発と自転車への愛着を聞いていくうちに、
クロスオーバーSUVにも新たな価値観が浮かび上がってきた。
文=齋藤正弘
text by Masahiro SAITO
写真=片岡弘道
photographs by Hiromichi KATAOKA
自然光がやさしく降りそそぐ
モダンリビングのような空間
が
「アロハロコ」
のショールーム
兼オフィス。オリジナル自転車
にこだわる鹿野さんは、自ら方
眼紙にデザインを起こし、新し
いライフスタイルとしての自転
車づくりに励む。またアフリカ
はガーナの職人による手編み
のバスケット
「ハウス・オブ・タ
レント」
、カナダ人女性デザイ
ナーのセンスが光るベル
「ドリ
ンドリン」など、アロハロコが
国内独占販売のパーツもとり
あつかう。これらの商品を載
せて販売店へと出かけるのに、
プジョー3008は欠かせない。
「テールゲートの下段はホビー
テールゲートと呼ばれる、自転
車などの荷物をスムーズに出し
入れできる設計になっていて、
とても使い勝手がいいですね」
カ
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イルアやハレイワ、ハレアカラにラハイナ。旅慣れ
こうして誕生するのが、オリジナル自転車
「alohaloco
たハワイ好きなら、それらの地名と自分の思い出
(アロハロコ)
」
。冒頭に記したカイルア、ハレイワ、ハレア
を重ねることができるかもしれない。たとえばビーチで遊
カラ、ラハイナは
「アロハロコ」ブランドを構成する自転車
んだひと時やノスタルジックな街並みの散策、標高3000
のモデル名でもある。
メートルの山頂で迎えたご来光だったり。一つひとつのス
「2月初旬発売予定の初代モデル『カイルア』を皮切りに、
トーリーはカラダで感じた体験として記憶され、楽園での
タイヤの小さいミニベロの
『ハレイワ』
、オフロードバイクを
ひとコマをいつでも再生できるのではないだろうか。
街乗り仕様にした
『ハレアカラ』
、スピード感を味わえるフ
さて、ここで紹介する鹿野賢亮
(しかの・けんすけ)さん
ラットロード
『ラハイナ』を3年くらいかけてリリースする予
は昨年、自転車メーカーを設立した起業家である。
定です」
自転 車 製 造 業には、たとえば 車 輪 だけでもタイヤ、
ひょっとしたら、お気づきの方もいるかもしれない。そ
チューブ、ホイール、スポークなどの部品サプライヤーがあ
れぞれのモデルがハワイの地名と絶妙に結びついている
る。それらのパーツを取捨選択し、1台に組み立てるのが
ことを。たとえばマウイ島の最高峰ハレアカラでは、山頂
一般的な自転車メーカーの商品開発だ。
まで続くつづら折りの道を自転車で下りていくツアーが人
しかし鹿野さんはできるかぎり、自らデザインすること
気。アロハロコの
「ハレアカラ」には、そのわくわくするス
にこだわる。理想のフォルムのためにフレームを作図した
ポーツ感覚がある。また歴史の街ラハイナを快適に、風を
り、既存の塗料にめざすボディカラーがなければ、メー
感じながらタウンクルーズする感覚が味わえるフラット
カーにかけあう。
ロードの
「ラハイナ」だったり。
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ね。でもクルマだと一方通行の道が多く、案外不便。公共
輸送でもルートや時間に制限があります。でも、自転車は
自由。実はカイルアのレンタサイクルの業者さんには、ア
ロハロコの自転車を使ってもらえないかと話をしているん
です。それとね、10年後くらいには僕自身がハワイに渡り、
レンタサイクル業を起業できたらと思っているんです。ハ
ワイを訪れるたくさんの観光客にアロハロコを体感しても
らいながら、楽しい旅の思い出づくりに役立ててほしいと
思っているんです」
鹿野さんがプジョー3008に乗りはじめたのは、昨年夏
プジョー3008の荷室には専用車載ベースを使って、
のこと。
自転車2台を楽々収納。
「以前にもプジョー207CC に乗っていたのですが、子ど
もが産まれたのを機に国産車にかえたんです。そしてアロ
しかしモータリゼーションが発達したハワイと自転車
ハロコを起ち上げると、営業用にも使える最低でも自転車
は、意外な組み合わせのような気がする。
2台収容できるラゲッジスペースのあるクルマが必要に
「オアフ島のカイルアにあるレンタサイクルの業者さんに
なった。アロハロコが提案するのは、心地よさとおしゃれ
聞いたところ、1日あたりの利用者は40人を数えるそうで
なライフスタイルとしての自転車です。ですから営業用とは
す。クルマが進入できない、だけど歩くにはけっこうな距
いえ、いわゆる商業車は念頭にありませんでした。以前
離の小径でも、自転車なら快適にアプローチできます。ま
207CC のオーナーだったこともあり、今回のクルマ選びで
たホノルルくらいになると歩く規模の町ではありませんよ
も、真っ先にプジョーのディーラーを訪ねたんですよ」
自転車の営業にはサンプル車を販売店まで運び、実物を前にしてのプレゼンテーションが
欠かせない。この日は以前から懇意にしている東京墨田区の
「イーストリバーサイクルズ」
の
岡野俊介さん
(左)
に、完成したばかりのアロハロコ
「カイルア」
をはじめて見てもらう。
休日に家族とすごす時間にも使うため、
クルマ選びには奥さんの
意見も大いに参考にしたそうだ。
「妻と子どもも、このパノラミッ
クサンルーフの開放感をとても気に入っています」
。
大
学卒業後、一時は金融業界に進むが、ダウンヒ
「実家の自転車屋は祖父が始めました。父の代になると
ルという自転車競技のプロになることを夢見る。
自動二輪も扱うようになるんですが、生前の祖父は
『オー
その後、自転車業界誌の編集者を10年、国内メーカーの
トバイも結構だが、自転車は奥が深い』と口にしていたそ
営業スタッフを3年務める。
うです」
「編集者時代には自転車製造のノウハウを学び、メーカー
法要で集まった親族は、自転車メーカーの社長になっ
では販売実務を積み重ねました。これまでのキャリアのす
た賢亮さんの姿に目を細めたという。
べてと夢や願望が、アロハロコにはつまっているわけです」
「祖父は自分で自転車をつくりたいと願っていたそうで
時間の流れが前後するが、アロハロコの設立にはもうひ
す。その夢は三代目の僕の手でかなえられたわけです」
とつの遠因がある。
「福島の実家は自転車屋なんです。初めてダウンヒルをし
たときも、周囲から筋がいいとほめられたんですけど、実
は子どものころ父からBMX バイクの手ほどきを受けてた
んです。でも大学進学で上京したときには
『絶対に自転車
屋にはならない』と心に決めていたんですけどね」
鹿野さんは昨年、親族の法要のために福島へ帰省した。
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アロハロコの初代モデル
「カイルア
(写真上)
」
は、サイズ2種類に各5色の
ボディカラーで2月初旬リリース予定。
以後、
ミニベロ、
クロスバイク、
フラッ
トロードといった車種が順次発売予定。商品の詳細や販売店情報などは
下記のウェブサイト、またはFacebookまで。
東京都江東区常磐1-4-10 カトウ・フォアビルA号室
http://alohaloco.com
www.facebook.com/alohaloco
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