操船リスクシミュレータにおける波浪状況の生成と船体運動

操船リスクシミュレータに
おける波浪状況の生成と
船体運動
運航・物流系
福戸淳司、三宅里奈、疋田賢次郎
講演の構成
はじめに
海洋波の表現について
シミュレータの海洋波の表現機能
画像システムでの表現
運動計算と波の表現
波浪中の運動のシミュレーション例
まとめ
平成27年度(第15回)海上技術安全研究所研究発表会
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はじめに
重点研究:実海域再現水槽と操船リスクシミュレータを融合した
海難事故等再現・解析技術の高度化に関する研究
操船シミュレータと実海域再現水槽とのリンク
多種多様な自然環境や交通環境下の操船の再現
事故時の状況把握
原因の究明・安全対策の検討
荒天時の大洋航行や波浪中の海洋開発作業等に関わる
システムの検討時の事前評価
多様な自然環境条件の下、(波浪、風、潮流、浅水等)
多様な操船条件での、(幅広いスピードレンジ、定点保持等)
リアルタイムでの波浪と船体運動の表現技術の実現
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海洋波の表現について
x
l
V
C
c
座標系
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y
Z:
n:
hi:
f i:
t:
g:
X:
Y:
 i:
 i:
波高(m)
成分波の分割数
成分波の方振幅(m)
成分波の周波数(Hz)
計算開始からの経過時間(s)
重力加速度(m/s2)
南北方向位置座標(m)
東西方向位置座標(m)
成分波の波向き(rad)
成分波の位相(rad)
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波の表現
成分波の周波数と振幅の計算
1. 波のスペクトルに基づく
成分波への分割と
周波数fiの設定
2. 成分波の片振幅hiの計算
a1 = a2 = a3 ・・・ = an
S(f) [m2・s]
成分波の周波数fiと
波振幅hiの計算手順
5
A1
A2
a1
0
a2
a3
f1 f2 f3
ai
fi
an
f
n
・・・
・・・
Frequency [Hz]
等エネルギー分割法による周波数の分割
分割法については、平山、宮里による「任意形状スペクトルによる多方向不規則波の造波法の
提案」、港湾空港技術研究所報告 第48巻第2号、2009.6 を参照。
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Δfi
波の表現
成分波の周波数と振幅の計算
ITTC スペクトル
1/3 有義波高: 5m
分割数
50
0.3
等エネルギー分割法による周波数の分割
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1.57
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成分波の各周波数
最小値:0.406 [rad/s]
最大値:1.871 [rad/s]
波の表現
成分波の周波数と振幅の計算
成分波の振幅は、波のスペクトルを用いて、以下の式とし
て表現できる。
ここで、成分波の分割を等エネルギー分割法を用いたこと
により、各成分波で共通の値となる。
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波の表現式
成分波の波向きiの算定
成分波の波向きは、波の方向分布関数に基づき、
正規化した累積曲線を求め、乱数を対応することで求める。
Cosn型方向分布関数
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波向きの計算結果
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波の表現式
成分波パラメータのデータ形式
成分波番号
振幅 hi(m)
角周波数ωi
(rad/s)
波向きχi(rad)
位相差εi(rad)
1
0.250058
0.0646875,
3.47495
5.65493
2
0.250058
0.0690625
3.57792
5.30411
3
0.250058
0.0715625
3.75071
2.30052
4
0.250058
0.0740625
3.18872
1.41016
5
0.250058
0.0759375
2.94437
4.97141
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
n-1
0.250058
0.225937
3.97062
0.637725
n
0.250058
0.297813
3.39641
2.80193
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シミュレータ上の海洋波の表現機能
表現できる波の種類
規則波
1方向不規則波
多方向不規則波
ユーザ設定の不規則波
利用できる波のスペクトル
ITTC
ISSC
JONSWAP
Bretschneider-光易
ユーザ定義スペクトル
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規則波の3D波形
一方向不規則波の3D波形
多方向不規則波の3D波形
スペクトルの比較
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シミュレータ上の海洋波の表現機能
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利用できる波の方向分布関数
Cosn型方向分布関数
光易型方向分布関数
ユーザ定義方向分布関数
波方向135(deg)での波の方向分布関数
波方向135(deg)での正規化
累積波の方向分布関数
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Cosn型方向分布関数による
主要波方向135(deg)での波の
方向分布
シミュレータ上の海洋波の表現機能
任意の多角形で海域分割した
2つの海域での波を表現
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f(x,y,d)
2つの海域の成分波の振幅に
、重み関数を以下のとおり掛け
合わせ、2つの海域の波を表現
する。
成分波振幅 h(x,y)
= f(x,y,d) h1 + (1 - f(x,y,d)) h2
x, y : 位置座標、 d: 干渉調整幅
h1: 海域内の振幅
h2: 海域外の振幅
領域分割時の領域例と重み関数 f(x,y,d)
重み関数 f(x,y,d)は、境界外が0.0、境界内が1.0、境界多角形上が0.5とし、な
めらかに移行するために干渉調整幅を設け、任意の(x,y)座標から多角形まで
の距離と干渉調整幅の比から、重みを設定する。任意の(x,y)座標から多角形
までの距離は、多角形の全線分までの距離を計算し、最も短いものを距離と
する。
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シミュレータの海洋波の表現機能
操船シミュレータの構成と情報の流れ
主計算機
環境
データ
船舶
モデル
自船指令値
(舵角, 回転数等)
シミュレータ
主プロセス
波浪情報
自船運動状態
波浪設定情報
波浪条件
設定
景観画像生成PC PC1
CG生成プロセス
generation PC2
CG
CG generation
波浪計算プロセス
Wave
program
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シナリオ
データ
波浪計算
関数
船体運動
自船運動計算
プロセス
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画像システムでの波の表現
景観用波浪計算プロセスの関連シーケンス図
景観画像生成PC PC1
シミュレータ
主プロセス
初期化時
計算実行時
シナリオ・各種設定
計算開始指示
波の設定条件指示
CG 生成プロセス
画像データ
波の設定条件
船舶状態データ
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波係数計算要求
波の設定条件
計算終了指示
成分波パラメ
ータ計算
波高計算要求
波高データ
波係数計算要求
終了時
計算終了指示
波浪計算関数
波高計算
成分波パラメ
ータ計算
画像システムでの波の表現
今回更新した景観画像生
成システム "Vega Prime"は、
海面を詳細に表示するため、
海面の部分だけをメッシュ
状に分割し、それぞれの
メッシュ交点の波高を求め
設定することで、リアルな波
形を実現している。
CG画面の海面の部分のメッシュの状況
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波の画像
成分波50、有義波高4m のJONSWAPスペクトル、Cosn型方向分布関数を用いた波の景観画像
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運動計算と波の表現
LAN
LAN経由のプロセス間通信
実行時
他舶の運動計算
船体状態データ
他のプロセスとの
通信機能
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実行時
操船指令値
操船指令データ
波浪条件に基づく
成分波パラメータ計算機能
実行時
波浪条件の設定
実行時
シミュレータ主プロセスとの通信機能
船体状態量
操船指令取得管理
シナリオデータ
船体状態初期値
波浪条件データ
自船運動計算プロセス
成分波
パラメータ
シナリオデータ
初期化時
初期化時
シミュレータ
主プロセス
運動計算 DLL
操縦運動モデル(MMG)
+
波浪中の運動モデル、波浪計算関数
波浪中のシミュレーション例
運動モデル
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波浪による運動
不規則波中を航行する
船舶の運動モデル
+
操縦運動
6自由度の運動方程式
波浪による運動
or
成分波の規則波に
対する周波数応答の
重ね合わせ
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成分波のパラメータ
任意点の波高
成分波のパラメータ
波浪中の運動のシミュレーション例
平成27年度(第15回)海上技術安全研究所研究発表会
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まとめ
波浪状況下の船体運動の再現を目的として、波のスペクトル
等の統計量やユーザ設定による波の形状とその動きを計算する
波浪計算プログラムを作成した。
自船船体運動プロセスと個別の船体運動計算を行うダイナミ
ックリンクライブラリ及び波の景観作成プロセスから利用でく
るように、波浪計算プログラムを操船シミュレータに組み込ん
だ。
これにより、不規則波に対応した景観画像表現が可能となる
と共に、船体動揺計算に必要な波の詳細情報を実時間で提供で
きるようになった。
今後、波浪状況下での運動計算法として、MMG型の操縦運動
モデルと、ストリップ法をベースとし波浪中での復原力変動を
表現するために、時々刻々の水面下の船体形状に基づいた復原
力及びフルードクリロフ力を評価できる船体運動計算プログラ
ムを作成し、シミュレータに組み込む予定である。