安価な GOTO 望遠鏡と CCD カメラ

安価な GOTO 望遠鏡と CCD カメラ
永井和男
安価なGOTO望遠鏡とCCDカメラを買いました。望遠鏡は
ミードのETX-80ATです。CCDカメラもミード製でDSI Pro
です。
望遠鏡、ETX-80AT
CCDカメラ、DSI Pro
49,980円
29,400円
合計で8万円です。
ETX-80AT 望 遠 鏡 に は ハ ン ド コ ン ト ロ ー ラ の
Autostar#494が付いてきます。このコントローラにマイ
クロコンピュータが入っていて、望遠鏡のアライメント
や天体へのGOTOが
出来ます。
対物レンズは口径
8cm で 焦 点 距 離 は
400mmです。
接眼部はフリップ
ミラーが内蔵され
ていて光路を90度
曲げる事が出来ま
す。
そこにCCDカメラのDSI Proを付けます。ところが、
そこにDSI Proを付けると全体の光路が長すぎてピン
トがあいません。直視方向ならば、ピントが合いま
すが、特殊な径のねじ込み構造で取り付けられない
です。そこで、接眼部の
チューブを26mm切り取
りました。しかし、これ
は切りすぎでした。この
半分位が適切です。
材料はアルミでしたが
肉が厚く、金ノコで1時
間位掛かって切り落と
しました。
接眼レンズの固定は2.6mmのネジになっていま
したが、手持ちのタップは3mmが最小でしたの
で3mmのネジで固定するようにしまいました。
切りすぎてしまいましたが、ともかくDSI Pro
で焦点が合うようになりました。
DSI ProはUSB1.1でも動作しますが、遅すぎて
使い物になりません。USB2.0で使っています。
ハン ドコントロー ラの
Autostar#494は望遠鏡が
動くとケーブルが巻き込
まれそうになります。
コード巻き付き、と言う制
御をONにする事で巻き付
かないようになるそうで
すが、動きを見ていると何
とも頼りないです。
そこで、ちょっとみっとも
ないのですが、写真のよう
にフックを付けました。コ
ントローラはここに引っ
掛けておきます。これで安
心です。
望遠鏡をPCで制御させたい時はPCのRS232C(COM port)を使い
ます。私はステラナビゲータを使っています。DSI Proに
AutoStar Suiteと言う制御ソフトが付いていますが英語なの
でよくわからなく、持っていたステラナビゲータを使いまし
た。PCとETX-80ATの接続は専用のケーブルが必要です。DSI
Proに接続ケーブルが付属していますが、それを使ったらPC
が燃えてしまいました。必ず専用のケーブルを使いましょう。
ETX80/70アクセサリー(オートスター#494用)
ETX80/70<=>パソコン接続ケーブル2m
6,720円
実際に観測に使ってみるとファインダーが欲しくなります。
3cm6倍のファインダーをフードにくっつけました。
これで、観測に使えるようになりました。まず、ノーフィルターでM20を撮影してみました。下の写真
は11秒露出で撮影したものです。望遠鏡は経緯台ですが2軸モーターで日周運動を追尾します。この動
作がスムーズではありません。15秒間隔程度で上下方向にガクッと動きます。よって10秒程度までしか
露出が出来ません。それ以上にすると星が上下に2つ写ってしまいます。10秒にしても露出中にガクッ
動いてしまうこともありますので撮影画
像の半数は駄目になってしまいます。
変光星の測光観測を行うためにIcフィルターを付けました。フィルターは高価なものですが、手持ちが
有りましたので購入はしませんでした。むしろ、Iバンドのフィルターが余っていたのでIcフィルター
を付けたのです。取り付けは簡単です。DSI Proには初めからフィルター枠が付いていますので、そこ
に取り付けるだけです。
DSI Proでの撮影は付属ソフトのAutostar Envisageを使います。ファイルはFITSで保存出来ますので、
様々な測光ソフトで画像を読み込んで測光する事が出来ます。
私は自作のFitPhotoかFreeのマカリを使
っています。
ところが、FITSに記録されている時刻が撮影時刻では無くファイルの保存時刻になっていました。
普通は撮影開始時刻を記録します。
DSI Proは、30秒露出でファイルの保存に2秒掛かったとするとヘッダーに書かれる時刻は32秒ズレてい
ます。
通常、観測記録は撮影開始時刻と露出時間から撮影中央時刻を求める事になっています。
ですから、自作のFitsPhotoでもヘッダーの時刻に、半分にした露出時間を加算して観測時刻を求めて
います。
DSIシリーズで観測した場合の観測時刻は、ヘッダーに書かれている時刻から露出時間の半分とファイ
ル書き込み時間を引いたものにしな
いといけないです。
DSI Proはチップサイズが小さく、
400mmの直焦でも画角が狭いです。そ
こで、K40アイピースを分解し外形31
φで焦点距離(推定)60mmの単レンズ
を取り出して上の写真の順番でDSI
Proを組み立てます。これで、約0.7
倍のレデューサーの効果が得られま
した。
実際に W UMa を観測してみました。
Icバンドで10秒露出です。FitsPhoto
で測光しました。
ETX-80ATはプラスチックの望遠鏡ですので強度がたらないのですが、じっくり使えば変光星のCCD測光
にも使えなくはないです。北方向のアライメントが難しいのですが南の空は問題ないです。導入精度は
完璧ではありませんので変光星近傍の輝星でシンクロさせるとGOTO導入もうまく行きます。