コンデンサは電流で充電、リアクトルは電圧で充電する!

平地研究室技術メモ No.20060820
コンデンサは電流で充電、リアクトルは電圧で充電する!
(読んでほしい人:電気系の高専生、大学生)
2006/8/20 舞鶴高専 平地克也
■リアクトル電流の考え方
v=L
di
の公式を知らない人はないでしょう。しかし、次の問題にすぐに解答できる人はほとん
dt
ど居ないのでは?
<問題1> 図1の回路でスイッチ SW を ON してから 1 秒後までの電流 i の変化を図示せよ。
解答は図2の通りです。ON の瞬間からリアクトル L に 100V が印加され電流 i は直線的に増加して
1 秒後には 100A になります。
ON
SW
SW
E
v
100V
OFF
L
i
1H
100V
v
図1
0
100A
i
図2
0
0sec
この解答は公式 v = L
v=L
di
から簡単に導出できます。
dt
di
= E (一定値)
dt
よって、 ∆I =
1sec
1
E∆T
L
より、 L
∆I
=E
∆T
・・・・・①
L=1H、E=100V、ΔT=1sec を代入して、ΔI=100A
式①は次のことを表しています。
「リアクトル電流の変化は電圧時間積に比例する」
言い換えれば、
「リアクトル電流は印加電圧が一定なら直線的に増加する」
このリアクトル電流の性質は電気回路、特にチョッパやインバータの動作を理解する上で大変重要で
す。
1
■コンデンサとリアクトルの対称性
問題1がすぐには解答できなかった人も次の問題2はすぐに解答できるのではないでしょうか?
<問題2>図3のように、100A で 1F のコンデンサを充電した時の 1 秒後までの電圧 v の変化を図
示せよ。
解答:図4に示す。
i
100A
I
v
100A
i
C
0
1F
100V
図3
v
図4
0
0sec
1sec
皆さんの頭の中で、
「1A で 1F のコンデンサを 1 秒充電すれば 1V、100A なら 100V」というような
計算がすぐにできたのではないでしょうか? きちんと計算すれば次のようになります。
公式 i = C
i=C
dv
を使って、
dt
dv
= I (一定値)
dt
よって、 ∆V =
1
I∆T
C
より、 C
∆V
=I
∆T
・・・・・②
C=1F、I=100A、ΔT=1sec を代入して、ΔV=100V
①式の導出過程と②式の導出過程を比べると、コンデンサとリアクトルには対称の関係があることが
分かります。表にまとめると次の通りです。
コンデンサ
リアクトル
i=C
v=L
差分式
dv
dt
1
∆V = I∆T ・・・・・②
C
差分式の意味
1A で 1F を 1 秒充電すれば 1V
1V で 1H を 1 秒充電すれば 1A
微分式
di
dt
1
∆I = E∆T ・・・・・①
L
コンデンサを電流で充電するのと同様に、リアクトルは電圧で充電する、と理解して下さい。
充電の結果、コンデンサでは電圧が発生し、リアクトルでは電流が発生する、と理解下さい。
以上
2